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6. アニメーション


この章では、Art of Illusion でのアニメーションの作り方を探っていきます。そのためのツールは柔軟性に富んでいて、高品質な 3D アニメーションを効率よく作成できます。

注意: ここで紹介するアニメーションは、Art of Illusion でできる特定の側面を示すための、ごく簡単な例のみです。また、ファイル容量を小さくするために、アニメーション例は GIF 画像で高圧縮にしています。画質はこのため、Art of Illusion で実現できるものより相当低くなっています。

6.1 スコア

ほかの多くの 3D アニメーションプログラムのように、Art of Illusion でもさまざまな動作を設定するのに、スコア(タイムライン)を通してアニメーションを扱います。それぞれのオブジェクトは異なるトラック範囲を持ちます。トラックはスコアに沿って動作し、位置・向き・拡大縮小、骨格を利用したさらに複雑な動作などの、さまざまなパラメータを制御します。詳しくは、以降のセクションで解説します。


6.1.1 スコアのレイアウト

スコアのレイアウトを詳しく見ていきましょう。

スコアはこのような見た目で、トップメニューバーから アニメーション → スコアを表示 で表示できます。一番上の目盛りは時刻(秒)です。その下の左側には、選択中のオブジェクトのリストがあり、その横にアニメーショントラックがあります。この例では "hand" というオブジェクトがあり、このオブジェクトは位置と向きのトラックを持っています。

緑色の縦線は、視点ウインドウで現在表示されている時刻の位置を示します。この線をドラッグすると、シーン内のオブジェクトはアニメーションシークエンス内での実際の位置を反映する形で更新されます。アニメーションでの位置は、アニメーション メニュー(下の図)内の一連のコマンドで調整できます。
 

トラック上のダイア型のマークは、その時刻点で定義した位置や向きを示します。このような位置を「キーフレーム」と呼びます。キーフレームについては 次のセクション で詳述します。

スコアそのものとは別に、スクリーンの右側には下の図のような5つのボタンがあります。


一番上のボタンは、先に説明したものを表示します。2番目と3番目のボタンは、その情報をそれぞれの方法で表示します。どちらも、位置・向きなどのさまざまなパラメータの変化をグラフ曲線で表します。先の例では、2番目のボタンをクリックして "Position"(位置)を選択すると、トラックには以下が表示されます。



時刻に対する X,Y, Z 軸でのオブジェクトの位置が、ここにプロットされます。この例では時刻0〜1秒の間に、X はおよそ0.75〜-0.3単位で変化しています。

このモード(1つのグラフで表示)では、複数のトラックが選択されている場合、グラフ曲線は同じ軸のセットに描画されます。 (複数のグラフで表示)ボタンで2番目のプロットモードが選択されていると、各トラックの曲線は別々のグラフとして表示されます。このモードが便利なのは、異なるタイプのトラックが選択されて、数値がかけ離れているときなど(位置の値が1桁で、向きの角度が10°以上のときなど)です。

5つのボタンのうち、下のボタン2つは、編集モードと、スコア上の垂直・水平の拡大率を変えるモードとを切り替えます。

上の方のボタン (キーフレームの選択と移動)は、キーフレームや曲線の点を選択・移動する、編集のためのモードです。どの点でもクリック&ドラッグで選択・移動できます。複数の点を選択する場合は、<Shift> キー併用でそれぞれの点をクリックします。選択したグループはこれで移動できます。

一番下のボタン (スコア表示の移動と拡大縮小)では、スコアの軸を移動・拡大縮小できます。このモードを選択後、左マウスボタンで左右にドラッグすると水平軸が、上下にドラッグすると垂直軸が移動します。軸の拡大縮小をするには、<Shift> キー併用で上下・左右ドラッグします。 以下の操作は、このボタンを押さなくてもできます。スコア上で右マウスボタンを押して左右にドラッグすると、スコアの移動ができます。<Shift> キー併用で同じ動作をすると、スコアを拡大縮小できます。マウスホイールでも、スコアを左右に移動できます。


6.1.2 キーフレーム

Art of Illusion でアニメーションを動作させるには、特定の時刻点でキーアクションを定義します(オブジェクトをある位置に動かす、特定の骨格ポーズを作る等)。これらの点を「キーフレーム」と呼びます。キーフレームを設定すると、Art of Illusion は自動で補間しながら、キーフレーム間で位置やポーズなどを計算します。

キーフレームを設定するには一般に、緑色のタイムメーカーを適切な時刻に動かし、オブジェクトのプロパティ(位置、向きなど)を変えます。そして アニメーション → 位置を設定 を選択します。または、トラックを選択し、アニメーション → 選択トラックに設定 をクリックすると、トラックのどの時刻点でもキーフレームを作成できます。

作ったキーフレームはクリックで選択でき、アニメーション メニュー(下の図)で編集できます。
 

キーフレームの編集... で、キーフレームに関係するさまざまなパラメータを変更できます。実際のオプションはトラックのタイプによります。それぞれのトラックのセクションは、この章であとで詳述します。

キーフレームを削除 選択中のキーフレームを削除します。

まとめて編集 キーフレームのグループを以下のように編集できます。

移動... 左の図のようなダイアログが表示され、キーフレームをまとめてほかの時刻点に移動できます。操作は 全トラック選択オブジェクトの全トラック選択トラック に適用できます。

その後、キーフレームを動かす前後の時刻の間で時刻点を設定します。注意: コピー先の領域にある既存のキーフレームは上書きされます。

コピー... これは 移動... に似ていますが、コピー先の位置に新規のキーフレームができても、もとのキーフレームは残ります。

引き伸ばし... 指定した範囲内で、キーフレーム間を時間について拡大縮小します。この例では、0.4〜1.0秒のキーフレーム間隔を、0.5の要素で縮小して、時間を半分にしました。


ループ... 指定した範囲のキーフレームを、設定した回数だけ繰り返します。このダイアログでは、範囲と繰り返し(ループ)の回数を設定します。これで以下の図のように、選択範囲の後ろに新規のキーフレームが追加されます。


削除... 選択範囲内のキーフレームを単純に削除します。


キーフレームを編集するには、スコア上でキーフレームをダブルクリックするか、ポーズトラックからキーフレームを選択し、アニメーション → キーフレームの編集... をクリックします。表示されるダイアログは、トラックで制御するオブジェクトによります。



6.2 トラックの追加と編集

このセクションでは、シーン内の各オブジェクトで設定できるトラックのタイプを詳しく見ていきます。オブジェクトに新規トラックを追加するには、オブジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 をクリックします。ここからさまざまなトラックを追加できます。


それぞれのオブジェクトでのトラックの順序は、各トラックの効果において重要です。これは下から上の順で計算されます。トラックをリスト内で移動するには、オブジェクトリスト 内でオブジェクトを移動するのと同じく、クリック&ドラッグします。

オブジェクトは同じタイプのトラックをいくつも持てます。この場合、Weight (重み) を各トラックで設定でき、関連する影響を設定できます。この重みは、特定のキーフレームで値を設定すると、自身を時間で変更することができます。Weight (重み) トラックを表示するには、 をクリックします。これでリスト内のそのトラック名の下に現れます。

トラックが作られると、「トラックを編集...」「トラックを複製」「トラックを削除」「トラックを有効に/無効に」 の操作ができます。それにはスコア内のリストの、そのトラック上で右マウスボタンクリックします。あるいはアニメーションメニューからも同じことができます。

6.2.1 基本的な剛体移動トラック

ここでは、要素の変形なしでオブジェクトの位置や向きを変えることを扱います。つまり Posision (位置) トラックと Rotation (向き) トラックについてです。

位置トラック

基本の位置トラックを設定するには、オブジェクトを選んで アニメーション メニューから トラックの追加位置 → XYZ (1トラック) を選択します。最も基本的なレベルでは、スコア上の緑色のタイムメーカーを目的の時刻点に動かし、その時刻にオブジェクトを置きたい場所にオブジェクトを移動し、アニメーション → 位置を設定 を選択します。これでダイア型マークのキーフレームが、スコア上の要求の位置に作られます。この工程を、ほかの時刻点でも繰り返します。

以下は、立方体が Z 軸に沿って移動する簡単な例です。たった2つのキーフレームを、左側のキーフレーム図とプロット図のように設定しました。結果のアニメーションはその右側です。



位置トラックのオプション

位置トラックで使えるオプションがいくつかあります。トラックオプションのダイアログを表示するには、スコア上のトラック名をダブルクリックするか、トラックを選択して アニメーション → トラックを編集... をクリックします。これで以下のようなダイアログボックスが表示されます。

一番上は Track Name です。お好きなように書き換えてください。

その次は 平滑方法 です。よりよく理解するため、上のアニメーションにキーフレームをもうひとつ追加してみましょう。タイムメーカーを0.5秒に移動して、位置トラックを選択、アニメーション → 選択トラックに設定 をクリックします。この状況では、位置を設定 は機能しないことにご注意ください。この時刻点での立方体の位置がそれ以前と変わらないので。キーフレームを作ったら、編集モードでプロットビューを表示して、以下の図のように新規の点を移動させます。

ご覧のように、点を通る曲線は平滑化され、かつすべての点を通っています。これはデフォルトの平滑方法が「補間」になっているからです。ほかに選択できる 平滑方法 は以下のとおりです。

ほかの 平滑方法 では、曲線は以下の図のようになります。
アニメーションの効果に関して、補間近似 では、立方体はなだらかに減速します。補間 平滑法では加速度が不連続に変化するのに対し、近似 平滑法では速度と加速度の両方とも連続的になります。このことから、近似 のほうがアニメーションが滑らかになります。

不連続 位置が突然変化します。

直線 立方体は2番目のキーフレームまで一定の速度を保ちます。その後、より遅い一定速度で最終位置に行きます。

それぞれとも、異なる状況で使います。

適用方法絶対関連 があります。「絶対」とはこの場合、オブジェクトの位置を基点 (0,0,0) からの移動で計算する、という意味です。「関連」モードでは、値はリスト内でそのすぐ下にあるトラックの結果からの移動となります。

例えば上の例で、アニメーションに位置トラックを追加し、関連 モードを選択したとします。下から上の順で変換が適用されるので、これが絶対位置トラックより上にあることを確認しなければなりません。

その後、関連トラックを使って、立方体のメインの動作に移動を追加できます。例えば、動作しながら揺らしたりできます。この例では関連トラックは、アニメーション → 選択トラックに設定 で0.2秒ごとにキーフレームされています。結果キーフレームの X , Y 座標を、プロットビューの "random" の位置に移動します。この効果は、立方体の絶対位置は、最初は絶対トラックで決められ、そこから、関連トラックが置き換えた座標で X, Y 位置を移動します。

これに適用 で、オブジェクトのどの部分をそのトラックで制御するかを、オブジェクトの基点骨格 内の関節の1つか、から決めます。

この振り子の例では、支点の位置に関節が1つ置かれています。これは位置トラックを適用するオブジェクトの一部として使われています。向きトラックはオブジェクトの中心に適用します。そして「支点」をキーフレームされた位置に固定すると、トラックはオブジェクトの位置決めをし直す働きをします。


座標系 変形が適用される場所での軸のセットです。つまり基点の位置と、軸の方向付けのしかたです。設定されたトラックモードにより、3〜4個のオプションが使えます。

全体 座標系 は Art of Illusion が用いるメインの座標系です。

このオプションは、ほかのオブジェクトの「子」となっているオブジェクトのためのものです。ほとんどの場合、親オブジェクトと一緒に、子を移動・回転させたいときに使います。この場合、子オブジェクトに位置トラックを与え、座標系 に設定します。時刻点の少なくとも1カ所(時刻0など)でキーフレームして、この関係と子オブジェクトを設定すると、親に従います。

他のオブジェクト... どのオブジェクトでも他のオブジェクトに従うようにできること以外は、 オプションに似ています。これを選択すると、 ボタンを使えるようになります。このボタンを押すと、オブジェクトや、骨格を定義したすべてのオブジェクトのすべての骨を選択でき、これらを従わせられます。

個別 関連 モードのトラックでのみ使用可能で、そのオブジェクト自体の座標系に関連する変形ができます。これはオブジェクトレイアウトから設定します。


影響 動作を特定の軸のみに制限できます。


位置キーフレームの編集

キーフレームを編集するには、スコア上でそのキーフレームをダブルクリックするか、位置トラックからそのキーフレームを選択して、アニメーション → キーフレームの編集... をクリックします。これで以下のダイアログが表示されます。
はじめの3つの入力は、定義された座標系内で、3つの軸それぞれでのオブジェクトの位置です。これはプロットビューでの編集よりももっと正確に位置を指定する方法です。

その次の入力は 時間 です。キーフレームの時刻の位置を明示的に指定できます。

ダイアログの下半分は、平滑方法 をさらに再調整する部分です。補間近似 の平滑方法では、曲線は 平滑度 の値(曲線の滑らかさの度合い)で与えられます。さらに、キーフレームより左側(=キーフレームより前の時間)の曲線で、キーフレームより右側の曲線(=キーフレームより後の時間)とは異なる 平滑度 を設定できます。

個別の位置トラックで、X, Y, Z 方向でそれぞれの動作を設定することもできます。アニメーション → トラックを追加 → 位置 → XYZ(3トラック) を選択すると、自動でこれを行います。この場合、3つのトラックが X, Y, Z のどれかひとつで 影響 が設定された状態で生成されます。


向きトラック

基本的な向きトラックを作るには、アニメーション → トラックを追加 → 向き → XYZ (1トラック) を選択します。トラックの基本の設定方法は Positon トラックと似ています。適切な時刻に移動し、その時刻で求められる角度にオブジェクトを回転させ(弧度法)、キーフレームします。以下は、2つのキーフレームで、立方体が X 軸と Y 軸まわりに回転する簡単な例です。



Rotation トラックのオプション

向きトラックでトラック名をダブルクリックすると、以下のオプションダイアログが表示されます。
設定のほとんどは位置トラックのオブションと同じです。詳しくは このセクション をご覧ください。

ただし 向きの場合、子オブジェクトか、ほかのオブジェクトの座標系で設定されたオブジェクトでは、位置トラックと向きトラックの両方が適所に必要になります。また正しく作動させるには、適切な座標設定も必要です。

実際に1つだけ違うのは 等方性(4つ組)回転 オプションです。これを ON にすると、それに含まれる回転の工程により、回転の終点がより重要になります。このプログラムはそれぞれの軸での指定の回転に必ずしも追従しませんが、可能な最も短い経路で終点に達します。例えば Z 軸で270°の回転を設定して等方性(4つ組)回転を ON にすると、Art of Illusion はこれを -90°として扱います。このため軸のどれかで 180°以上の回転を設定する場合、等方性(4つ組)回転を OFF にしてください。
ON にする場合、X, Y, Z 回転は Z, X, Y の順で独立して行われます。このせいで意図通りのアニメーションにならないかもしれません。このようなときは、一度に1つの軸のみで回転を行い、親子座標系でさらに複雑な回転を実行するのがいいでしょう。


向きキーフレームの編集

キーフレームを編集するには、スコア上でキーフレームをダブルクリックするか、向きトラックからキーフレームを選択して、アニメーション → キーフレームの編集... をクリックします。これで以下のダイアログが表示されます。
はじめの3つの入力は、定義された座標系内で、キーフレームの時刻点での、3つの軸それぞれでのオブジェクトの向きです。

位置トラックでのキーフレームと同じく、時間に対する向きの平滑度の設定はキーフレームの前後でそれぞれ設定できます。

位置トラックと同じように、特定のタイプのトラックを自動設定する方法があります。これをするには、アニメーション → トラックを追加 → 向き メニューを使います。ここから、自動設定する X, Y, Z の個別のトラックや等方性(4つ組)回転トラックを選べます。


曲線からパスを設定

曲線描画ツール のどれかで作った既存の曲線を使って、オブジェクトの位置トラックと向きトラックを設定する特別な方法です。

これを行うには、オブジェクトリストからオブジェクトと曲線を選び、アニメーション → 曲線からパスを設定... をクリックします。これで以下のようなダイアログが表示されます。
ここで、使用するオブジェクトと曲線(はじめに1つ以上選択されていた場合)を選択できます。

オブジェクトの向きを曲線に従わせるか、固定したままにするかも設定できます。後者では向きトラックは作られません。

キーフレーム間隔 のオプションは 自動一定速度一定加速 の3つがあります。この設定によって、指定できる追加パラメータが決まります。

開始終了 で、オブジェクトが曲線に沿って動く速さを決定します。一定速度一定加速 を選択すると、これらの値は、ほかのダイアログボックスで設定する速度や加速度で決まります。

以下に簡単な例を示します。バウンドするボールが従うパス(経路)となる曲線を描きました。その後、球の経路はこの曲線で設定しました。速度は一定です(もちろん物理的にリアルではありません)。結果、位置トラックが自動で作られ、以下のようなアニメーションになりました。


6.2.2 手続き(procedural)剛体移動トラック

手続き(procedural)アニメーショントラックで、オブジェクトの位置と向きを、方程式を使って明示的に制御できます。現実世界の物理的動作を再現するときなどで便利です。

手続きアニメーショントラックを追加するには、オブジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 をクリック、位置 → 手続き向き → 手続き を選びます。手続き編集機能を表示するには、スコア上のトラック名をダブルクリックするか、それを選択して アニメーション → トラックを編集... をクリックします。実質これは、手続きテクスチャ/材質のものと同じものです。明らかに違う点は、出力モジュールが X, Y, Z だということです。位置トラックの場合、これらは X, Y, Z 位置です。向きトラックでは、それぞれの軸まわりの方向です。

ウインドウの左側の各カテゴリで、さまざまな値や関数モジュールを手続きに追加できます。使用できるモジュールの詳細は 手続きテクスチャ をご覧ください。

プロパティ... メニューアイテムで、単純な位置トラック と同じように平滑方法のタイプと座標系を定義できます。
空中に投げ出されたボールを考えます。X 軸を横方向、Y 軸を上方向とします。発射体の動作を表す物理学の方程式によると、X 方向の距離は x = u t cos a で与えられます。u は速度(短い時間では定数と見なす)、t は時間、a は水平を基点にした打ち出し角度です(右の図を参照)。

Y 軸の距離は y = h + u t sin a - 0.5 g t2 で与えられます。h は初期の高さ、g は重力加速度(= 9.81 m/s2)です。

調整しようとしているのはボールの 位置 なので、この方程式を手続き位置トラックに挿入します。考えられるのは以下のように、 モジュールを使って、その出力を関連する X, Y の出力モジュールに与えることです。この例では、打ち出し速度はパラメータで設定しているので、条件が異なる打ち出しも簡単に設定できます。これは初期の高さ(例では1.0)や打ち出し角度(同0.79ラジアン=45°)など、ほかの変数でもできます。



手続きアニメーショントラックでは、手続きの一部を作るパラメータもキーフレームできます。例えば上記の手続きを修正して、以下のように風の効果を追加したりできます。
新規のパラメータ wind effect を導入しました。これを X の移動を制御する式の入力2(Input2)に挿入しています。この式は少しだけ変更して、X 位置から風の効果を減算しました。これは、風がボールをどれだけ押し返すかを設定できる、割り切って単純化したシミュレーションです。

タイムメーカーを狙いの時刻に移動し、アニメーション → 選択トラックに設定 を設定して、このパラメータをキーフレームします。これでスコア上の現在の時刻点にキーフレームが作られます。このキーフレームをダブルクリックすると、キーフレームの値を設定する、以下のようなダイアログが表示されます。

このダイアログで、特定の時刻点でのパラメータの値を設定できます。時刻点それぞれでのパラメータの値は、手続き編集機能のプロパティメニューオプションから選択した平滑方法を使って、キーフレームされた値の間で補間されます。

先に説明したように、平滑方法が補間か近似の場合、平滑度の値を設定できます。また、平滑化を左側と右側で別々に設定できます。

いくつかの時刻点で値を設定すると、右のアニメーションのように単純な風の効果を作れます。ご想像のとおり、もっと洗練されてリアルな再現方法もできます。

手続きアニメーショントラックは、その前の動作を適用するときにも使えます。手続きエディタで X, Y, Z 値が使われているならいつでも、それらはこのトラックが適用される直前のオブジェクトの位置や向きとなります。例えば以下の手続きは、X 軸でのその前のトラックのすべての動作を2倍にします。



6.2.3 ポーズトラックと骨格

ポーズトラックはほかのオブジェクトのプロバティをキーフレームする方法で、特にメッシュオブジェクトで有用です。

基本形状(幾何)オブジェクトでのポーズトラック
基本形状(幾何)オブジェクトでは、編集できるプロバティは オブジェクトの編集(拡大縮小パラメータなど)を使って編集します。適用するには アニメーション → トラックを追加 → ポーズ を選択します。そして、拡大縮小パラメータを設定したい時刻でキーフレームを追加します。これにはポーズトラックを選び、アニメーション → 選択トラックに設定 を選択します。キーフレームをダブルクリックすると、オブジェクト編集ダイアログが表示されます。拡大縮小パラメータを設定して、OK をクリックします。必要なら、ほかの時刻でも繰り返します。またパラメータの値は現在のシーン時間で直接、オブジェクトのプロパティパネル からも設定できます。フレーム間の補間平滑化は トラックダイアログ で設定できます。

照明でのポーズトラック
ポーズトラックは照明でも設定できます。この場合は 強度(すべての照明のタイプ)、半径減衰率(Decay Rate)(点光源とスポットライト)、スポットライトの角度減衰率(Falloff Rate)(スポットライト)を調整できます。このポーズトラックの手順は基本形状オブジェクトと似ています。ポーズトラックを追加、要求の時刻でキーフレームして、その時刻点で照明パラメータを修正するようキーフレーム編集します。またパラメータの値は、現在のシーン時間で直接、オブジェクトのプロパティパネル からも設定できます。

カメラでのポーズトラック
カメラのプロパティ焦点距離被写界深度視野 も、ポーズトラックでアニメーション化できます。こちらの手順も、基本形状や照明と同じです。ポーズトラックを追加、要求の時刻でキーフレームして、その時刻点でカメラパラメータを修正するようキーフレーム編集します。またパラメータの値は、現在のシーン時間で直接、オブジェクトのプロパティパネル からも設定できます。

カメラフィルター のパラメーターも、ポーズトラックの時間でアニメーション化できます。方法は上記と少し異なります。まず、使いたいフィルターをカメラに追加します(カメラフィルター で詳述)。そしてポーズトラックを追加します。スコア上でポーズトラックを広げる(左側にある小さな矢印をクリック)と、各フィルターに対応するトラックのリストが表示されます。トラックを選択して アニメーション → 選択トラックに設定 を選ぶと、トラックにキーフレームを追加できます。以下に例を示しました。



メッシュオブジェクト、管、直方体でのポーズトラック
メッシュオブジェクト、管、直方体でのポーズトラックは、頂点のレベルでは位置トラックのときと同じような働きをします。前提は、ポーズトラックの作業をするには、頂点の数が定数のオブジェクトでなければならないということです。そこから、編集機能でオブジェクトを操作して、オブジェクトのさまざまな「ポーズ」を設定します。Art of Illusion はオブジェクトの頂点それぞれや、ポーズ間で頂点をどれだけ変化させればいいかを見ます。そして、キーフレームされたポーズの間でのフレームについて、頂点それぞれの経路を補間で計算します。

骨格があるメッシュオブジェクトでは少し異なります。骨格の骨の位置を各フレームの中間で計算してから、骨の位置をもとにメッシュの頂点の位置を計算します。

オブジェクトにポーズトラックを追加するには、アニメーション → トラックを追加 → ポーズ を選択します。剛体移動トラックと同じく、アニメーションの設定はスコア上の適切な時刻点へのタイムメーカーの移動や、適切なダイアログを使っての個別のオブジェクトのプロパティの編集、変更を加えたトラックのキーフレーミングをもとにします。もしくは アニメーション → 選択トラックに設定 から、要求の時刻にキーフレームを置くことができます。これは後で アニメーション → キーフレームの編集... で編集できます。

メッシュオブジェクトでポーズトラックを追加すると、以下の警告が表示されます。



メッシュアクターでポーズを作成するには、スコア上で要求の時刻にタイムメーカーを動かし、オブジェクトリストでオブジェクトをダブルクリックします。これで以下のようなダイアログが表示されます。
ウインドウの左側は、定義された「ジェスチャ」のリストです。ジェスチャとは、このメッシュ特有のインスタンスです。はじめは「Default Pose」ひとつだけで、これは生成された位置にあるオブジェクトです。このジェスチャは削除できません。新規ジェスチャを作るには、この Default Pose を選択して 複製 をクリックします。プロンプトにポーズの名前を入力すると、新規ジェスチャがリストに追加され、オブジェクト編集機能が開きます。このウインドウで 通常 と同じようにオブジェクトを編集できます。ただし頂点の削除や、押し出しや分割での頂点の追加はできません。

メッシュの編集後、OK をクリックして新規ジェスチャを更新します。このリストから現在の時刻にジェスチャを割り当てるには、これを選択して をクリックします。これで 現在のポーズ リストにジェスチャが追加されます。このリストでは、この時刻でのメッシュの見映えを設定します。最後のポーズは、このリストのジェスチャすべての重みを合計したもので、これらのジェスチャは、デフォルトのポーズから 置換 したものとして扱います。重み を設定するには、ポーズリストからジェスチャを選択、リストの右側にある 重み 値の入力欄に数値を打ち込みます。あるいは、単にこのリストにジェスチャを追加して OK をクリックします。2つのキーフレーム間の時刻点でこのダイアログを見てみると、各ジェスチャの 重み が状況に合わせて計算されているのが分かるでしょう。また、 重み はマイナスの値にも設定できます。

このダイアログではほかに2つのオプションが使えます。保存...現在のポーズ リスト内に、ジェスチャの現在の重みの平均と等しい新規ジェスチャを作成できます。

抽出... で、現在のポーズ リスト内で設定したジェスチャのセットから決定した現在のポーズを、新規メッシュオブジェクトとして保存します。

メッシュポーズダイアログを終えたら、アニメーション → 位置を設定 で、この新規ポーズのキーフレームを設定します。

メッシュオブジェクトのポーズトラックを使うと、モーフィングのような効果を作れます。



オブジェクトのプロパティパネル からも、さらに直接的にアクターのポーズトラックをキーフレームできます。アクターをクリックすると、プロパティパネルにはジェスチャのリストが表示されます。これは現在のポーズのリストに既に追加されたものです。それぞれの重みは、プロパティパネル内で、数値入力かノブで直接設定できます。その後、重みは アニメーション → 位置を設定 か CTRL - SHIFT - K で設定します。




新規のジェスチャやポーズを作るとき、アニメーションで骨格を使うと効率的です。これをするには、骨格を作ってメッシュに取り付けます。そして上述の各ジェスチャでの場合と同じ方法で、単に骨を動かして、ポーズをキーフレームします。以下はデフォルトに加えて3つのジェスチャと、5つのキーフレームを使った例です。デフォルトは最初と最後に使いました。




スコア上のトラック名をダブルクリックすると、ポーズトラックのオプションダイアログが表示されます。
オプションの数は剛体移動トラックより少ないです。

トラック名 はお好きなように変更できます。

平滑方法 は、フレーム間でパラメータを補間する方法を参照します。メッシュオブジェクトで関連するパラメータは、ポーズを構成するさまざまなジェスチャの 重み です。平滑方法の違いについて、詳しくは 上述 をご覧ください。

適用方法絶対関連 から選べます。絶対 トラックでは、リストにあるほかのポーズトラックを効果的に上書きします。 関連 トラックでは、以前のポーズトラックに追加します。

関連 ポーズトラックは、異なる動作でよりよい操作性を保ちつつ、複雑なポーズを構築するのに便利です。以下の例では、単純な腕のモデルで一連のポーズを組みました。閉じた位置で指ごとに別々のポーズがあり、手首のポーズもまた別です。ひとつながりのポーズトラックでキーフレームごとに別々に編集するよりも、2つのポーズトラックを作り(1つは絶対トラックモードで指用のもの、もう1つは手首用の関連トラックモード)、手首の動作のみ追加/変更するほうがよほど簡単です。


例えば、手首の動作の追加や削除は、手首トラックの有効化/無効化と同じくらい簡単です。





子オブジェクトと、ポーズのアニメーション化

(訳注: ヘビの例はなくなってしまっているようです)以前のヘビの例に、子オブジェクトとして目玉を追加することを考えてみましょう。ヘビが頭を動かすとともに、目を頭と一緒に動かしたいとします。ご自分で試して、結果を確かめてみてください。デフォルトでは、子オブジェクトはその親のオブジェクトとともに移動と回転しますが、この場合は目玉が動きません。なぜでしょう。これは、先の例では、ヘビの位置と向きが実際には変わっていないからです。ポーズトラックでは、ヘビの、これを反映するポーズだけが変わります。

デフォルトで、子オブジェクトは親オブジェクトとともに移動・回転します。これは、子オブジェクト(目玉)に使われている座標系がデフォルトで「親」に設定されていることを意味します。このヘビの例では、目玉を同じように、ポーズとともに動かそうとしています。これをするには、目玉オブジェクトの座標系を親のメッシュに含まれる骨にリンクさせるよう設定します。

目玉をポーズに従わせるには、スコアで目玉の位置トラックをダプルクリック(または右クリックして トラックを編集... を選択)して、座標系 を 他のオブジェクト... に設定します。これで が使えるようになります。これを押すとオブジェクトを、あるいは設定済みの骨格のあるオブジェクトから骨を選択でき、子オブジェクトをその選択要素に従わせられます。ここでヘビオブジェクトを選択してオブジェクトのサブアイテムのリストを拡張すると、ヘビオブジェクトで使われている骨のリストが表示されます。目玉の位置に近い骨を選ぶと、目玉はポーズとともに動くようになります。この段取りを、向きトラックでも同じように繰り返したりコピーしたりします。

注意点がいくつかあります。

本来的に、子オブジェクトについてキーフレームごとを設定でき、それをアニメーション化できます。位置トラックと向きトラックは、親オブジェクトから来たほかの動作との組み合わせになります。

それぞれの子オブジェクトについて、キーフレームを少なくとも1つ設定する必要があります。これで座標系の連携を確立します。

この方法でほかのオブジェクトの座標系に追従するオブジェクトは、そのオブジェクトの子である必要はありませんが、大抵は親子関係にすると便利です。

単純化のため、子オブジェクトは自動で親の骨格につなげられます。その親の子オブジェクトを選択し(個別に、あるいは親を選択して 編集 → 子を選択)、アニメーション → 骨に関連付ける... をクリックします。このツールで、子それぞれについて位置トラックと向きトラックを作り、それらをキーフレームし、連携を作り上げます。そして親の骨格内で最も近い骨に、各オブジェクトを取り付けます。


6.2.4 変形トラック

変形トラックは幾何オブジェクトの表面を、手続きの方法で変えるのに使います。Art of Illusion で現在使える変形トラックは、曲げる変形手続き大きさ破片ねじる逆向き制御骨格 の7つあります。はじめの5つはオブジェクトの表面に直接作用し、すべての幾何オブジェクトに使えます。あとの2つはメッシュの骨に適用され、その結果、メッシュの表面に間接的に変化を及ぼします。トラックそれぞれについては、以下で個別に詳述します。

注意: はじめの5つの変形トラックでは、オブジェクトがメッシュの場合、変形は表面が分割される 前に、制御メッシュの頂点ごとに適用されます。これで処理が速くなり、表面も滑らかになります。オブジェクトがメッシュではない場合、最初に、レンダリングで設定した表面精度で三角メッシュに変換します。その後、メッシュの頂点ごとに変形が適用されます。この手順のせいで、期待した結果がでないことがあることにご注意ください。例として、「大きさ」トラックで球を拡大することを考えてみます。これを表面精度0.01でレンダーするとします。球体は最初に精度0.01で三角メッシュ化され、結果メッシュはその後に拡大されます。これは、誤差が0.01より大きくなることを意味します。

変形トラックでよく知られているコツは、モデル内の頂点の数が合理的かどうか確かめることです。こうすると変形は滑らかになり、予測可能にもなります。

曲げトラック

名前が示すとおりこのトラックでは、指定した軸と向きについて、ある角度でオブジェクトを曲げます。

曲げトラックをオブジェクトに追加するには、オブジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 曲げる を選びます。このトラックのプロパティを編集するには、スコア上のトラック名をダブルクリックするか、右クリックして トラックを編集... を選択します。これで以下のような、曲げトラックのダイアログウインドウが表示されます。

トラック名 はお好きなように変えられます。これはスコア上のトラックリストに表示されます。

曲げ変形で設定した 平滑方法 は、キーフレームされた値の間で補間されます。選択肢について、詳しくは 上記 をご覧ください。

The 曲げの軸 は、オブジェクトが曲がるもとになる軸です。

曲げ方向 「曲げの軸」で設定した軸から、オブジェクトをどの方向に曲げるのかを決めます。

曲げ方向を逆に オブジェクトが曲がる方向を、反対側の端を固定して、もう1つの端が曲がるようにします。

座標系 曲げの軸と方向について、オブジェクト個別の座標系を使うか、シーン全体のものを使うかを設定します。

曲げ角度 の値を設定するには、要求する時刻にタイムメーカーを移動してキーフレームを追加し、選択トラックに設定 を選択します。このキーフレーム編集するには、スコア上でそのキーフレームをダブルクリックして、以下のダイアログウインドウを表示します。

ここで 曲げ角度(弧度法)と時間を設定できます。

トラックオプションダイアログでの平滑方法が 補間近似 の場合、平滑度 の値を設定できます。

指定した時間の前と後で、曲線の 平滑度 を変えることもできます。これをするには、左右の平滑度を分ける にチェックを入れます。

以下の例では、曲げトラックを管オブジェクトに適用しました。曲げ角度は0〜270°で、0°に折り返します。平滑方法は補間です。




変形手続きトラック

変形手続きトラックはこの中で最も柔軟です。実際、曲げる、大きさ、ねじるトラックは、すべてこの変形手続きトラックでできます。

オブジェクトに変形手続きトラックを追加するには、オブジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 変形手続き をクリックします。これで、このオブジェクトのトラックリストに "Deform" という名のトラックが追加されます。変形の操作は、手続きエディタを通して行います(手続きテクスチャや手続き位置/向きトラックと似ています)。編集ウインドウを開くには、"Deform" トラック名をダブルクリックするか、右クリックして トラックを編集... を選択します。これで出力が X, Y, Z の通常の手続きエディタが表示されます。これらはそれぞれの軸に対応する表面変形です。ウインドウの左側の各カテゴリには 手続きテクスチャ のセクションで解説した、値や関数、パターンなどの便利な機能があります。

変形手続きトラックの使い方と威力を示すため、作例を用意しました。狙いは、円柱型のオブジェクトで「バルジ(膨らみ)」トラックを作ることです。このトラックで、オブジェクトの両端はそのままで、真ん中のみ「膨らませ」ます。

まずはそれ用のオブジェクトを作成します。表面にある頂点の数が合理的なことを確認するため、そのままの円柱ではなく、押し出しで作られたフィル(中実)の多角形を使います。多角形アイコンをダブルクリックして、辺の数を8にします。そして形状を近似にすると、実質的な円断面が作れます。一番上の視点ウインドウで、<Shift> キーと <Ctrl> キー併用で多角形をドラッグ、次に ツール → 押し出す... をクリックします。このダイアログで、押し出しの方向を Y 軸に、高さもちょうどいいところを設定します。セグメント(分節)の数は10にしましょうか。

このオブジェクトに変形手続きトラックを追加して、手続き編集画面を開きます。バルジの基本アルゴリズムは、バルジ要素で X, Y 軸を拡大することですが、設定された高さと幅のみを使います。このバルジ高さの外側では、拡大の影響を受けません。以下がこれを行う手続きです。

ちょっと複雑そうですが、実際はとても単純です。

まず、設定する2つのパラメータがあります。バルジ高さ はオブジェクトの影響を受ける部分の長さです。バルジサイズ はオブジェクトのその部分に適用される拡大率です。以下の図で示します。



バルジは、Y 軸(y=0)に中心合わせします。はじめの関数は ">" で、Y の量が バルジ高さ より小さいときは1を返し、それ以外では0を返します。これを倍率の数式に与え、(1 + バルジ高さ)*x を乗算します。これで、表面の バルジ高さ の外にある部分では、この数式の値は0になります。しかしオブジェクトのこの部分の表面を、0ではなく要素 X で拡大したいので、「+」関数を使います。これで倍率要素にほかの数式を加算します。これはバルジ高さの外側の表面の一部を、 X と等しくします。

バルジ領域の内側では、拡大倍率要素は単に (1 + バルジサイズ)*x です。バルジ高さの内側では2番目の数式の値は0なので、はじめの数式には何も加算しません。

Z 方向でもこれを繰り返します。2つの数式で、単に X を Z に入れ替えます。

バルジ高さバルジサイズ のパラメータについて、許容範囲と初期値を設定します。それにはモジュールをダブルクリックして、数値を入力します。

手続き編集画面の左上にある プロパティ... ボタンを押すと、右のようなダイアログが表示されます。

平滑方法 キーフレームしたパラメータ値の間での平滑化のタイプです。平滑化のタイプについて詳しくは、上記 をご覧ください。

座標系 で、個別(オブジェクト自体の座標系)か 全体(シーン全体の座標系)かを選びます。

数式にパラメータを使っているので、トラックをキーフレームできます。これをするには、タイムメーカーを0に移動してバルジトラックを選択、アニメーション → 選択トラックに設定 を選択します。これで時刻0にキーフレームが追加されます。これをほかの時刻でも行います。それぞれのキーフレームでパラメータ値を設定するには、キーフレームをダブルクリックして、以下のキーフレームダイアログウインドウを表示します。
このダイアログの一番上には、手続きパラメータすべてがリスト表示されます。それぞれに付いているスライダーバーで、その時刻での値を設定できます。

トラックのプロパティでパラメータの 平滑方法補間近似 の場合、このダイアログで 平滑度 を設定できます。また、この時刻点の前後で異なる補間を設定できます。

以下は最終的なアニメーションです。4つのキーフレームで設定し、バルジサイズ パラメータのみを変えています。



以下は別のアニメーションの例です。サイン関数で球メッシュの表面を平らに変形して、時間でサイン波の位相を変化させました。x の前の数値(この場合は3)で、ある距離内での完全なサイン波の数を定義しています。t の後ろの数値で、サイン波が動く速度を制御しています。この例では 2×π(6.283)、つまり1秒での完全な周期と等しくしました。


以下の例のように、変形手続きトラックは画像を使うと、風景のような興味深い要素も作れます。



注意: このような複雑な画像をきちんと表現するには、完成度の高いメッシュが必要です。このためメモリが多く必要になります。


大きさトラック

大きさトラックでは、ある方向またはすべての方向に、オブジェクトを拡大縮小します。大きさトラックを追加するにはオブジェクトを選択して、アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 大きさ を選びます。スコア上のリストにある Scale トラック名をダブルクリックすると、以下のダイアログウインドウが表示されます。

トラック名 はお好きなように変えられます。

平滑方法 キーフレーム間で拡大縮小要素を補間する方法です。選択肢は 上述 と同じです。

座標系 - 個別 座標系を使うか 全体 座標系を使うかを設定します。後者の場合、オブジェクトの拡大縮小はオブジェクトの中心を通る軸ではなく、シーンの基点を通る軸について行われます。

特定の時刻の拡大縮小要素を設定するには、タイムメーカーをその時刻に移動させて、アニメーション → 選択トラックに設定 を選択します。これでその時刻にキーフレームが追加されます。このキーフレームをダブルクリックすると以下のダイアログが表示され、値を設定できます。

拡大縮小要素は X 倍率Y 倍率Z 倍率 の入力欄で明示的に設定します。

トラックオプションダイアログでの平滑方法が 補間近似 の場合、平滑度の値を設定できます。また、その時刻点の前後で、補間の平滑度を別々に設定できます。


破片トラック

破片トラックは、爆発を表現する方法です。オブジェクトは三角形の破片に破壊され、外向きに移動します。それが結果として「爆発」となります。破片は自転し、重力の影響を受けます。時間とともに消滅させることもできます。

オブジェクトに破片トラックを追加するには、オブジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 破片 を選びます。このタイプのトラックにはキーフレームはありません。制御はすべてトラックオプションのダイアログで行います。これを表示するには、スコア上のトラックのリストでトラック名をダブルクリックします。そのダイアログを以下に示します。
トラック名 はお好きなように変えられます。これはスコア上のトラックリストに表示されます。

開始 は爆発を始めたい時刻です。この時間まで、トラックは何の効果も起こしません。

破片の大きさ - 破片の大きさはすべて同じです。AoI は表面の三角形を要求されたサイズになるまで分割するので、最小サイズはありません(注意: 破片のサイズを小さくするほど、処理速度に影響します)。最大サイズはありますが、表面要素によります。例えば立方体では、破片は球体の場合より大きくなる傾向があります。同じ表面精度の場合、立方体の表面は、球体の表面の場合より大きな三角形で表現できるからです。このオプションで、そのようなオブジェクトで破片の大きさを制限できます。

飛び散る速さ 破片が外側に飛び散る初速です。

破片の回転 破片の回転速度を設定します。

消える時間 - 0以外に設定すると、破片はランダムな時間に消滅します。ここで設定する時間は、すべての破片が消えるまでの時間です。

重力 破片にかかる力の量を設定します。

重力軸 「重力」が作用する方向を設定します。通常はもちろん Y にします。しかし場合によってはそれにこだわる必要はありません。

乱数 爆発中の動作の一様さを設定します。0では破片の速度はすべて同じです。1ではとてもバラバラになります。

座標系 オブジェクト自体(個別)か、シーン(全体)かを選びます。後者では、爆発はシーンの基点から外側へ、となります。オブジェクトの位置が基点ではない場合、「横方向に吹き飛ぶ」結果になります。

以下は、円盤に破片トラックを適用した例です。開始 時刻は、ボールが円盤に当たる時刻と一致させています。円盤のメッシュには近似平滑を使い、滑らかな三角の破片を作っています。




ねじりトラック

ねじり変形トラックは、特定の軸まわりに、軸からの距離で増える角度で、表面を回転させます。オブジェクトの1つの端は固定され、反対側の端がねじられます。詳しく説明するため、例を示します。

この例で使ったオブジェクトはピラミッド型で、平らなスプラインから押し出して、押し出された頂点を点に縮小して作りました。滑らかな変形にするため、メッシュは2,3度分割して、右の図のようになりました。

オブジェクトにねじりトラックを追加するには、アニメーション → トラックを追加 → 変形 → ねじる を選択します。トラックオプションを編集するには、スコア上のトラック名をダブルクリックするか、右クリックして トラックを編集... を選択します。これで以下のダイアログが表示されます。
トラック名 はお好きなように変えられます。

平滑方法 キーフレーム間でねじりの値を補間する方法です。このオブションは 上記 で説明しています。

ねじりの軸 オブジェクトはこの軸まわりでねじられます。

ねじり方向を逆に オブジェクトを逆方向にねじるので、反対方向の端が固定されます。

座標系 使用する座標系を 個別全体かで選びます。後者の場合、オブジェクトをねじる軸は、オブジェクトの中心を通る軸ではなく、シーンの基点を通る軸です。

ねじりの値を設定するには、ねじりトラックを選択して、タイムメーカーを要求の時刻に移動、アニメーション → 選択トラックに設定 を選びます。これでその時刻点にキーフレームが作られます。値の設定には、キーフレームをダブルクリックします。これで以下のダイアログが表示されます。
ねじり角度 与えられた 時間 での、設定した軸まわりの回転の量を制御します。

トラックオプションのダイアログで平滑方法が 補間近似 の場合、平滑度の設定ができます。またその時刻点の前後で、補間の平滑度を別々に設定できます。

以下の例では、5つのキーフレームでねじり角度を変えています。サイン波タイプのパターンでアニメーションを作りました。



逆向き制御トラック

逆向き制御トラックでは、メッシュの骨格の関節に制限を追加してメッシュを変形します。関節それぞれは固定したり、シーン内の他のオブジェクトを強制的に追跡させたりできます。

メッシュオブジェクトに逆向き制御トラックを追加するには、オプジェクトを選択して アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 逆向き制御 をクリックします。逆向き制御トラックにはキーフレームはなく、代わりにトラックの 重み で設定する制御を関節に課します。制御は逆向き制御トラックのダイアログを介して設定します。このダイアログを表示するには、スコア上のトラック名をダブルクリックするか、右クリックして トラックを編集... を選択します。
以下の図の左側のダイアログでは、設定済みの制御がリスト表示されます。新規の制御を追加するには 追加... をクリックします。これで右側の図の「制御の編集」ダイアログが表示されます。ここで関節を選択できます。また、固定 ラジオボタンをクリックして骨格内のある場所に関節をロックしたり、追跡目標 ラジオボタンをクリックして、シーン内のほかのオブジェクトを追跡させたりできます。その後 設定 ボタンをクリックして、適切なオブジェクトを選択します。



以下の例では、キャラクターの頭に「ハチ」を追跡する動作をさせています。「首は固定」関節は固定して、「頭部の制御」は「ハチ」を追跡するようにしました(この場合 "head control" の骨もメッシュ編集機能を通して、この親に従って固定しています)。


ときどき、このタイプの変形操作がメッシュ表面の「潰れ」の原因になることがあります。以下の例をご覧ください。下の左側の図は、変形していないメッシュ表面とその簡単な骨格です。この例で、逆向き制御では2番目の図の「制御の編集」ダイアログのように、根の関節の設定でメッシュの一番下を固定し、メッシュの一番上の関節は null を追跡します。null は大雑把に、メッシュの一番上を囲む半円形の経路に沿って動くようキーフレームされています。あるフレームでの結果も示しました。下の図の右側が、この設定で組んだアニメーションです。ご覧のように、メッシュは曲がっている場所で、予期せず潰れてしまっています。



この現象を避けるには、逆向き制御トラックダイアログの「ポーズをメッシュ形状に」オプションを使います。このオプションを ON にすると、既存のジェスチャでメッシュの形状を制御するのに、骨格の動作のみで形状を決めるのではなく逆向き制御トラックも使えます。この場合すべきことは、メッシュの骨格をそれぞれの側に曲げて2つの新規ジェスチャを作ることです。骨格を適切な位置に曲げたときのジェスチャを作ると、メッシュは上記の逆向き制御トラックのように潰れます(まったく同じことをしているので)。
しかし今回は、ジェスチャの問題の部分の近くの頂点を移動できます。これで以下の2つのジェスチャのように、関節が「潰れない」ようにします。そして逆向き制御トラックのダイアログに戻り、「ポーズをメッシュ形状に」を ON にします。こうすると逆向き制御トラックは、その前に設定した制御をもとに骨格を適合させます。しかし今回は作成されたジェスチャを見て、逆向き制御の骨格と構成が一致するジェスチャからポーズを生成します。これで以下のアニメーションのように、逆向き制御トラックを使って、より良く制御もしやすい変形を作れます。



実際、「ポーズをメッシュ形状に」オブションは骨格の構成を気にしません。逆向き制御を通して行う必要がないので、ポーズトラックや、ポーズトラックの組み合わせの結果と同じにもなり得ます。この場合は、逆向き制御の設定は必要なく、ただ「ポーズをメッシュ形状に」を ON にします。

「ポーズをメッシュ形状に」オプションはまた、腕を曲げて力こぶを作るときなど、ほかの効果にも使えます。


骨格トラック

骨格トラックは、骨格でメッシュのポーズを作る方法です。このタイプのオブジェクトでのポーズトラックの代わりになります。骨格トラックはキーフレームが使え、これで特定の時刻での骨格の構成を定義します。

骨格トラックを使うには、骨格を持つメッシュに、アニメーション → トラックを追加 → 変形 → 骨格 でこのトラックを追加します。タイムメーカーを適切な時刻に動かし、そこでキーフレームを追加、アニメーション → 選択トラックに設定 を選択します。そのキーフレームをダブルクリックすると、以下のようなダイアログが表示されます。

この編集機能はメッシュ編集機能に似ていますが、メッシュを操作できるのは骨格を通してのみで、メッシュ頂点からは操作できません。編集 メニューで、操作の取り消しが1レベルできます。編集 → プロバティ(訳注: Mac 版では「設定...」)でプロバティのダイアログが表示され、他のトラック のように左右の平滑度の設定ができます。

メニューは右の図に示したとおりです。

骨を編集... これで骨の関節の編集画面が表示されます(コチラ をご覧ください)。

Default Poseにもどす キーフレームの骨格を、このオブジェクトでのデフォルトのポーズの構成に戻します。

動きからポーズを作成... 現在のジェスチャのポーズを表示し(オブジェクトがアクターでない場合、オプションは使えません)、ジェスチャのさまざまな重み付けの合計で作ったポーズから、骨格キーフレームを実際に作成できます。

画面 メニューは、メッシュメニューの画面メニューと同じです。

骨格トラックを編集するには、スコア上でトラック名をダブルクリックするか、右クリックして トラックを編集... を選択します。これで以下のダイアログが表示されます。

トラック名平滑方法 は、ほかのトラックと同じように編集可能です。

ポーズをメッシュ形状に逆向き制御 変形トラックのそれと似ています。骨格トラックでは骨格の動作のみでメッシュを変形します。状況によっては、骨格単独の変形に頼ると、メッシュの「潰れ」問題が発生します。例えば関節の周辺で特によく起きます。しかし、骨格トラックでこれが起きそうな骨格の構成のジェスチャを作ってしまった場合、メッシュの頂点は移動できるので、そのジェスチャでのこの問題を解決できます。その後、骨格トラックでポーズをメッシュ形状に を ON にします。これで自動的に問題が解決されます。
実際に骨格キーフレームを作り、(適切なジェスチャを作成して)このオプションを ON にして編集すると、「潰れない」効果がリアルタイムで適用されます。

以下は実習例です。この腕のモデルは、肘の部分で曲がるように作ろうとしました。適切な骨を回転させたら、左側の図のように関節の周りに「潰れ」問題が発生しました。骨格トラックでこの方法で腕を曲げようとしたら、結果はまずいものになるでしょう。しかし、まずこの位置で骨格でジェスチャを作り、右側の図のように、問題のある頂点を修正しました。リアルさを改善したいときにも、ほかの頂点を移動できます。ここでは力こぶを微妙に2つ膨らませ、肘のカドを鋭くしました。



そして ポーズをメッシュ形状に を ON にして骨格トラックを作り、キーフレームを作って編集し、肘の関節を動かす場合、問題の領域は発生しません。これらは2つの力こぶと尖った肘とともに、リアルタイムで修正されます。以下のレンダーしたアニメーションは2つのキーフレーム間で作りました。それぞれ、「ポーズをメッシュ形状に」が OFF(左側)、ON(右側)です。



この方法ではご覧のように、骨格トラックはキャラクターの最初の動作をキーする直接的な方法になります。ジェスチャのセット(オブジェクト → アクターに変換... で、まずメッシュをアクターに変換)は、重要で問題が発生しがちな領域(関節や、例えば筋肉の動作が主な関節の動作の上に来るようなメッシュの変形)で設定できます。そんな場合、骨格トラックは、関節の「潰れ」などを気にすることなく、キャラクターの位置を編集するのに使えます。

骨格トラックは絶対的なので、スコアでその下にあるほかの骨格トラックやポーズトラックより優先されます。骨格トラックは通常は、キャラクターの大きな動作の設定に使います。その次に関連するポーズトラックを、追加的な、あるいは副次的な動作に使います。


6.2.5 制限トラック

制限トラックはほかのトラックとは異なり、キーフレームを持ちません。これはアニメーション全体で、オブジェクトのさまざまな変形を制限する方法です。オブジェクトに制限トラックを追加するには、アニメーション全体 → トラックを追加 →制限 をクリックします。スコア上のリストに現れたそのトラック名をダブルクリックすると、以下のダイアログが表示されます。

トラック名 は変更可能です。その下の3行で、オブジェクトの位置を制限する方法を設定します。軸それぞれについて、制限なし から選び、数値(単位で)を設定します。例えば、X 制限を 3 にすると、オブジェクトは x=3 平面から向こうへは行きません。

その次の行で 向き を制限します。ここでは、(オブジェクトの座標系で)軸を1つ指定できます。その右側で 面の向き を選ぶと ボタンが現れます。これをクリックして、オブジェクト(または骨格があるなら、関節の1つ)を選ぶと、それに対する面の向きとなります。面の向き 以外では 平行垂直 も選択できます。これらを選ぶと以下の図のような X, Y, Z の入力欄が現れ、そのベクトルのセットに対しての 平行垂直 となります。

制限トラックで可能な用法のひとつとして、アニメーションのキャラクターの、目の向きの制御があります。以下の例では両目に制限トラックを適用して、揺れ動く宝石のオブジェクトを向くようにしています。




6.2.6 可視トラック

可視トラックは最も単純なトラックです。これは、オブジェクトがシーンでいつ可視になるかを制御します。可視トラックを追加するには、アニメーション → トラックを追加 → 可視 を選択します。

オブジェクトを不可視にするには、タイムメーカーを適切な時刻点に移動し、オブジェクト → これを非表示 を選択して、アニメーション → 位置を設定アニメーション → 選択トラックに設定 をクリックします。新規のキーフレームをクリックして アニメーション → キーフレームの編集... を選択すると、以下のダイアログが表示されます。
ここで、この時刻でこのオブジェクトを可視にするかどうかを設定できます。


6.2.7 テクスチャのアニメーション化

Art of Illusion では、テクスチャは多くの方法でアニメーション化できます。そのうち2つの方法では、手続きテクスチャ が必要です。

最初の方法では、手続きテクスチャ編集機能で有効な 時間 パラメータを使います。これをテクスチャに追加するには、挿入 → 値 → 時間 を選択します。このアニメーションのどの位置でも、このパラメータはその点での時間に等しくなります。このため、時間パラメータを使ってのテクスチャの作成は、それに応じて少し違ってきます。

以下は、時間パラメータで透明度を制御する単純なテクスチャの例です。



他の方法では、テクスチャパラメータ を使います。手続きテクスチャで設定されるこのようなパラメータの値は、アニメーション化したテクスチャを作り、時間で変化させられます。

パラメータ込みでテクスチャを作り、オブジェクトに割り当てたら、アニメーション → トラックを追加 → テクスチャ を選択して、テクスチャトラック を設定します。スコア上でこのトラック名をダブルクリックすると、以下のダイアログが表示されます。
トラック名 お好きなように変えられます。

平滑方法 上記 と同じです。この場合、パラメーターの値が指定の方法で平滑化されます。

その下の部分は、オブジェクトのテクスチャで現在定義されているパラメータのリストです。ここで、このアニメーショントラックを通して、どのパラメータを制御するかを選べます。複数を選択するには、リスト内で <Shift> 併用でクリックします。

制御するパラメータを決定すると、通常の方法でキーフレームできます。タイムメーカーを適切な時刻点に移動し、アニメーション → 選択トラックに設定 をクリックします。キーフレームを編集するには、スコア上でキーフレームをダブルクリックするか、キーフレームを選択して アニメーション → キーフレームの編集... をクリックします。これで以下のダイアログが表示されます。
このウインドウの一番上に出ているのは、その前のダイアログで決めたすべてのパラメータです。この例では「パラメータ」と "trans" という名の2つのテクスチャパラメータが表示されています。この時刻点での値は、スライダーバーや入力欄への数値打ち込みで変えられます。

時間 も再設定できます。

ダイアログの残りの部分は、キーフレーム前後での平滑化に関するものです。同じにも、別々にも設定できます。平滑度 の数値は左右それぞれ入力でき、その前のダイアログで 補間近似 平滑化が選択されているとき有効になります。

プロットビューも使えます。パラメータそれぞれの、時間に対するプロットが見られます。

以下は簡単な例です。単一のパラメータで「毛」の長さを制御します。「毛」は置換マッピングで作ります。2つのキーフレームが開始 (0) で使われ、アニメーションの終了時刻は (1) です。



6.2.8 トラックの編集

アニメーション メニューのさらに下には、トラックを編集するためのオプションがいくつかあります。

トラックを編集... トラック名をダブルクリックするのと同じです。これで、トラックのタイプごとのダイアログが表示されます。詳しくは先の説明をお読みください。

トラックを複製 選択中のすべてのトラックとまったく同じコピーを作ります。

トラックを削除関連トラックを選択 これらは自動注釈付きです。

トラックを無効に 選択中のトラックのすべての機能を一時的に止めます。この隣にある トラックを有効に で元に戻ります。

テクスチャトラックは、重ね合わせテクスチャで ブレンド比率 をアニメーション化するのにも使えるので、テクスチャは互いにブレンドし合えます。ブレンド比率はテクスチャトラックのオプションダイアログに表示されます。これで、ほかのパラメータとまったく同じように制御できます。

注意: テクスチャトラックでは頂点ごとのテクスチャをアニメーション化できません。しかしポーズトラックを使えばできます。通常 と同じ方法でテクスチャを設定し、オブジェクトに頂点ごとで割り当てます。メッシュを「アクター」に変換すると、頂点ごとのテクスチャの情報は保存され、異なるキーフレームでのポーズごとに、キーフレーム間での補間とともに変化します。


6.3 アニメーションのプレビューとレンダー


6.3.1 アニメーションのプレビュー

アニメーション → プレビュー... で、アニメーションをいつでもプレビューできます。これで以下のようなダイアログが表示されます。
カメラ ドロップダウンメニューで、シーン内のどのカメラからの視点でもプレビューを見られます。

表示方法 ドロップダウンメニューで、ワイヤーフレーム、陰影、滑らか、テクスチャ、透明のうちから表示方法を選べます。

開始終了 で、プレビューを行う時間を指定します。

プレビューウインドウのピクセル単位での次元です。

フレーム/秒 プレビューの滑らかさを制御します。フレーム/秒 の値を大きくすると位置の補間が多く作られ、アニメーションが滑らかになります。

OK をクリックすると、以下の図のように、選択した表示方法でプレビューを表示します。



参照用に、時間とフレームの値が表示されます。プレビューを終了するには「閉じる」をクリックします。


6.3.2 アニメーションのレンダー

アニメーションのレンダーは、静止画像と同じく シーン → レンダー... で行います。これで レンダー の章で解説したダイアログが表示されます。このダイアログでアニメーションのレンダーで関係のある部分を以下に示します。
静止画像ではなくアニメーションをレンダーする場合、Movie ラジオボタンをクリックします。

そしてレンダーの 開始終了 の時刻を設定します。

フレーム/秒 で、アニメーションの平滑度を設定します。フレーム/秒 の値を大きくすると位置の補間が多く作られ、アニメーションが滑らかになります(ただしレンダー時間とディスクスペースが多く必要になります)。

画像/フレーム で、複数の画像で各フレームを作ることができます。これでモーションブラー(動作ブレ)を再現します。モーションブラーとは、現実世界で、カメラの露出時間より動作が速いときに起きる現象です。この機能で、フレームそれぞれについて設定した数の画像が作られます。時刻点を追加して画像の平均を計算・蓄積し、それで補間する形で処理します。例を以下に示します。左側の動画は1画像/フレーム(モーションブラーなし)、右側の動画は3画像/フレームです。フレームの数を大きくするとモーションブラーはよりスムーズになりますが、レンダー時間が増えてしまいます。



OK をクリックすると、以下の図のように、画像ファイルフォーマットと画質のダイアログが表示されます。

画質 画像圧縮の量を設定します。数値を大きくすると画像の見映えが良くなりますが、ファイル容量も大きくなります。

TIFF、JPEG、PNG、BMP、HDR を選択すると、アニメーションはそのフォーマットの1枚ずつのフレームとして保存されます。このうちの1つを選択して OK をクリックすると、ファイル名のダイアログが表示されます。動画の一部としてレンダーされた各フレームにはここで入力したファイル名が付けられ、そこにフレーム番号に関連した文字列が追加されます(「ファイル名0001」「ファイル名0002」など)。
開始フレーム番号 は、左に示したダイアログ上で変更できます。このデフォルト値は、開始時間から計算されます。

また、アニメーションは Quicktime フォーマットでも作成できます。「保存時のファイル形式」からこれを選べます。注意: 動作させるには Java Media Framework が必要です。詳しくは インストール のページをご覧ください。



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