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2. モデリング


2.1 オブジェクトのタイプ

2.1.1 基本形状

Art of Illusion では、直方体円柱/円錐 という、3つの幾何的な(形や大きさを持った)基本形状が用意されています。これらは以下のように、画面の左上隅にあるモデリングツールアイコンか、トップメニューバーから作成できます。

モデリングツールアイコン で、基本形状をすぐに作成できます。作りたいもののアイコンをクリックしてください。

直方体: 球: 円柱/円錐:

その後、視点ポートのどれかでクリック&ドラッグして、初期の2つの次元を決定します。3番目の次元は、必要なら、ほかの視点ポートで拡大縮小ツール を使って設定します。また Shift キー併用のドラッグで、3つの次元とも強制的に同じサイズにできます。

円柱/円錐 の場合、上端と下端との比率は、円柱/円錐アイコンをダブルクリックしてから描くことで、(円錐も含めて)テーパー状にもできます。この比率はまた、オブジェクト作成後にも編集できます(オブジェクトの編集 をご覧ください)。
メニューバーから基本形状を作成するには、オブジェクト → 基本形状の作成 を選択して、作りたい形状を選びます。円錐もこの方法で直接作れます。これで左の図のようなダイアログボックスが表示され、ここでオブジェクトの大きさ・位置・向きを正確に設定できます。
現実世界には基本形状ほどシンプルなものはめったにないので、これでリアルなオブジェクトを作るには限界があります。しかしアニメ風のシーンや、右の簡単な例のように 演算ツール から Constructive Solid Geometry (CSG) を用いて複雑なモデルを作成するのに、とても便利です。

基本形状は、三角メッシュ作成の開始点としても重要です。後述の 2.1.4 をご覧ください。
もうひとつ重要なオブジェクトに、Null(ヌル)オブジェクトがあります。Null オブジェクトには形やサイズがないので、レンダー画像には現れません。主な使い道は、幾何オブジェクトのグループ化です。例えば自動車のボディやホイール、窓ガラスなどを表すオブジェクトで自動車を作るとします。すべての部品を一緒にしておく便利な方法として、Null オブジェクトを作り、幾何オブジェクトをその Null の子としてグループ化します(オブジェクトリスト で詳述)。Null は視点ポート上では十字マークで表示されます。


2.1.2 曲線

曲線は1次元のオブジェクトです。1次元なので、シーンをレンダーしてもそれは見えません。しかし 3D オブジェクトを作るのに さまざまなやり方 を提供します。

曲線を作成するには、視点ポートのどれかで点の列を定義します。平滑化(Smoothing Method)は「補間」と「近似」の2つの方法から選べます。「補間」では曲線は強制的に各点を通ります。「近似」では曲線はすべての点を通る必要はありませんが、それでも点で制御されています。

曲線を作成するには をクリックします。

次に右の図のように、視点ポート上で位置を変えてクリックを繰り返し、点を定義していきます。Shift キー併用でクリックすると、尖った角になります。

曲線の最後の点(曲線の終点)を設定するには、ダブルクリックします。自動で曲線を閉じるときは、Ctrl キー併用でダブルクリックします。これ以上の点を追加することなく曲線の作成を終えるときは、曲線を閉じないなら Enter キーのみ、閉じるなら Ctrl 併用で Enter キーを押します。

これから作る曲線の平滑化を補間か近似に設定するには、 をダブルクリックします。ウインドウが表示され、ここで曲線の種類を選択できます。


閉曲線の 三角メッシュ への変換で、フィル(訳注: 中実の状態にすること)して 2D オブジェクトにもできます。

曲線を作成するもう一つの方法は多角形(ポリゴン)ツールです。多角形とは3つ以上の辺を持った平面形のことです。多角形曲線を作るには をダブルクリックして、以下のダイアログボックスを表示させます。
ここで多角形の辺の数と ふち の平滑方法を設定します。「折れ線」では多角形の外形は真っ直ぐになります。「補間」「近似」では外形が丸められます。「近似」平滑の場合、曲線はすべての点を通る必要がないので、「近似」多角形の全体的な外形は小さめになります。
3辺の多角形曲線での、3タイプの平滑方法の違いを右の図に示します。

この多角形は、多角形ツールのアイコンを1回クリック、視点ポートの1つで矩形領域をドラッグしてサイズ決定をして作成しました。

多角形ツールは「フィルの多角形表面」を作成するときにも使えます。これは三角メッシュオブジェクトとなります。作るには、<Ctrl> キー併用でドラッグします。

曲線の編集

多角形の外形や曲線が作成されると、それらを定義する点を編集できるようになります。それには、オブジェクトリストで多角形や曲線をダブルクリックします。例えば下の図は渦巻き型の近似平滑の曲線(訳注: 原文を訳すと「補間平滑の3辺の多角形」ですが、下の図に合わせて文を差し替えました)をダブルクリックすると、下の図のような編集ウインドウが表示されます。

選択と移動ツールで、点を選択・選択解除できます。複数の点を選択するには、<Shift> キー併用で各点をクリックします。また、点の集まりを囲むように四角くドラッグするマーキー法で選択もできます。<Shift> キーはマーキー法でも使えます。すべての点を選択するときは、編集メニューにそのオプションがあります。

点の選択を解除するには、単にクリック、または <Shift> キー併用でクリックします。また、点の集まりを選択解除するときは、<Ctrl> キー併用でその点のグループを囲むように四角くドラッグします。

選択した点は、左側にある選択と移動ツールで移動できます。あるいは拡大縮小・回転・変形・尖らせることが、それぞれのツールでができます。これらのアイコンで起動するツールのほとんどは自動注釈付きです。アイコン上にカーソルを置くと、機能を説明するツールチップが表示されます。ほとんどの操作には <Shift> や <Ctrl> での修飾があります。各ツールの詳細については、編集ウインドウの一番下をご覧ください。一般的に、選択した点の周りのハンドルをドラッグして操作できます。<Shift> キー併用のドラッグで、操作は一様になります。<Ctrl> 併用で中心を合わせます。スペースキーで、選択と移動ツールと最後に使ったツールとを素早く切り替えられます。

曲線編集機能の視点は、視点の移動/回転アイコンやキーボードショートカットを使って、メイン視点ウインドウと同じように操作できます。詳しくは コチラ をご覧ください。

トップメニューバーから、ほかの編集ができます。

編集 メニューを以下に示します。
取り消し/やり直し で、選択も含め、最後の操作を取り消したり、取り消したばかりの操作をやり直したりできます。

すべてを選択 - すべての点と曲線を選択します。

選択範囲を広げる - すでに選択されている点の周りの点を自動選択します。

選択反転 - 選択中の点を選択解除し、選択されていない点を選択します。
なげなわ選択 - フリーハンド経路で囲んだ内側すべての点を選択します。ON/OFF を切り替えできます。

影響... - 選択中の点の周辺にある点(さらにその向こうもあり得ます)が、選択中の点とともに移動する量を制御します。このオプションを選択すると、右の図のようなダイアログボックスが表示されます。影響本数 は、選択中の点の周りにある、影響を受ける点の数です。Tension は、引きつける効果の強さです。「最高」の Tension では、影響される点はかなり大きく移動し、「最低」ではほんの少ししか移動しません。

The 曲線 メニューを以下に示します。
点を削除 - で、すべての点を削除します。

分割 - 既存の曲線に点を追加する方法です。このツールで、選択中の2つの点の間に点を追加します。

移動... - で、点や点の集まりの座標を明示的に設定できます。ダイアログに入力した数値は、リアルタイムプレビューで実際の曲線に反映されます。ダイアログをキャンセルすると、曲線はもとに形に戻ります。

ランダム... - 3軸のいずれかまたはすべてで、ユーザが設定した最大値以内で乱数を発生させ、点を移動します。
変形... - で右の図のようなダイアログが表示され、点を実際に移動・拡大縮小・回転できます。また、選択の中心かオブジェクトの基点について変形もできます。

曲線を中央に - で、曲線オブジェクトの中心が基点 (0,0,0) に一致するよう曲線オブジェクトを移動します。

平滑度... - 補間平滑か近似平滑が使われている場合、各個の点の平滑度を設定できます。右の例では、近似曲線ツールでハート形を作りました。図の右側のように曲線を「尖らせる」のに、その点を選択し、平滑度 を0にしました。これでこの点は完全に鋭くなります。その中間の平滑度にするには、値を0と1の間に設定します。ダイアログに入力した平滑度の値は、リアルタイムプレビューで実際の曲線に反映されます。ダイアログをキャンセルすると、曲線はもとに形に戻ります。

平滑方法 - 曲線を滑らかにする方法です。「なし(点と点の間は直線)」「補間」「近似」から選べます。

端は開 - 例えば完全な輪のような閉じた曲線の場合、これで開いた曲線にできます。両端をつなぐ でその逆の操作です。

画面 メニューを以下に示します。

表示方法 は曲線オブジェクトとは無関係です。

表示 で、現在アクティブな編集画面ウインドウについて、表示を 曲線シーン全体 から選べます。シーン全体を選択しても、曲線だけが編集可能です。

座標系 では 個別全体 を選べます。前者では、基点にある曲線の座標系ですべてのオブジェクトが表示されます。後者では、オブジェクトをメイン画面と同じように表示します。

1画面表示/4画面表示 で、選択中のウインドウを1画面表示と4画面表示とで切り替えます。

グリッド... でグリッドが表示され、スナップができます。詳しくは コチラ をご覧ください。

座標軸を表示 で、コチラ のように X, Y, Z 軸の表示を切り替えます。

下絵を表示/隠す で、次のメニューオプションで背景に選んだ画像を表示/非表示できます。

下絵の設定... で、編集画面の背景に使う画像(.jpg、.png、.gif フォーマット)を設定します。モデリングで参照するのに便利な機能です。このオプションを選択すると、画像を選ぶダイアログが表示されます。この下絵はすぐ上のメニューオプションで ON/OFF できます。


2.1.3 スプラインメッシュ

スプラインとは、制御点で設定し、平滑化を適用した滑らかな面です。スプラインを作るには、既存のオブジェクト(通常は曲線)にさまざまな モデリングツール を適用するか、 をクリックします。

その前に、同じアイコンをダブルクリックして、スプラインのプロパティをいくつか選択できます。これで右の図のようなダイアログボックスが表示されます。

UサイズとVサイズの入力欄で、スプラインメッシュ「シート」の物理的な次元、つまり2つの次元それぞれの制御点の数を決定します。

形状は、平面・筒・トーラスから選べます。筒とトーラスでは U 次元と V 次元を理解するのに、巻いた紙をイメージするといいでしょう。筒ではUサイズは円周まわりの、Vサイズは軸に沿いの点の数です。トーラスでも同じように、Uサイズは円周まわり、Vサイズは断面沿いの点の数です。

Smoothing Method(平滑方法)は「補間」と「近似」です。この説明については 2.1.2 をご覧ください。

太さ パラメータはトーラスのみで使います。右側の図のように、これで断面の直径を制御します。


いったんスプラインを作ると、オブジェクトリスト上でそのオブジェクトをダブルクリックすれば編集できます。これで以下の図のような編集画面が表示されます。

メイン画面 のように、向き・拡大縮小・視点のタイプ(平行または遠近法)を視点アイコンやキーボードショートカット、各視点上部のドロップダウンメニューで設定できます。陰影のタイプも メッシュ → 表示方法表示方法 で詳述)で変えられます。

編集ユーティリティでは、頂点(点)または 曲線 を編集できます。編集モードは左下のボタンをクリックして選びます。左上のアイコンで、上の図に示すように点と曲線をさまざまな方法で変形できます。変形する点や曲線は事前にクリックして選択しておきます。点や曲線を複数選択するには、<Shift> キー併用でクリックします。マーキー(ゴムバンド)選択も使えます。これは左マウスボタン押しながら、ハイライトした長方形をドラッグで描きます。
注意: 曲線をマーキー選択する場合、その曲線すべてを囲んでください。<Ctrl> キー併用でクリックやドラッグをすると、選択中の点や曲線の選択を解除します。編集 メニューから、なげなわモードも選べます。頂点や曲線を選択すると、赤い矢印のハンドルをドラッグして操作するツールが使えるようになります。

ここで使用可能なツールはほとんど自動注釈付きです。アイコン上にカーソルを置くと、機能を説明するツールチップが表示されます。ほとんどの操作は <Shift> や <Ctrl> での修飾があります。各ツールの詳細については、編集ウインドウの一番下をご覧ください。このツールは三角メッシュ編集ツールの一部でもあります。詳しくは コチラ をご覧ください。スペースキーで、選択と移動ツールと最後に使ったツールとを素早く切り替えられます。

骨については セクション 2.1.5 で詳述しています。

メニュー

トップメニューバーにはさらに便利なツーがあります。


編集 メニューを右に示します。

取り消し/やり直し - 選択操作を含め、最後の操作を取り消したり、取り消した操作をやり直したりします。

すべてを選択 - すべての点や曲線を選択します。

選択範囲を広げる - 選択中の点や曲線周辺に選択を追加します。

なげなわ選択 - フリーハンド経路で囲んだ内側すべての点を選択します。ON/OFF を切り替えできます。

影響... - 近くのものを引き寄せる効果を生みます。点や曲線を移動すると、周辺の点や曲線もそれより少なく移動します。影響のダイアログボックスを右に示します。

影響本数 で、影響される点の数を決定します。例えば「2」に設定すると、メッシュのすべての辺に沿った点2つぶん以内の頂点は、何らかの変形を受けます。この変形の度合いは、選択した点からの距離に応じて減っていきます。図の右側の例でそれを示しました。ピンク色の点は選択した頂点、緑の点は影響本数「2」で影響を受けた頂点です。

Tension で、は、引きつける効果の強さを決定します。「最高」の Tension では、影響される点はかなり大きく移動し、「最低」ではほんの少ししか移動しません。


メッシュ メニューを以下に示します。曲線編集モードで使用可能なオプションを以下に示します。注意: 作業のモードによって、使用できないメニューアイテムがあります。
ここに示すのは、曲線編集モードで使用可能なオプションです。

曲線を削除 - 選択した曲線をすべて削除します。

分割 - 隣り合った曲線にのみ作用します。これは下の図のように、互いに隣り合った曲線の間に新たに曲線を作成します。メッシュに細部を追加することで、仕上がりを滑らかにするのに役立ちます。


移動... で、選択中の点の X, Y, Z の絶対座標と骨格プロパティ(骨格 で詳述)を設定できます。ダイアログに入力した数値は、リアルタイムプレビューで実際のメッシュに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、メッシュはもとに形に戻ります。

変形... で、点や曲線の移動・回転・拡大縮小を X, Y, Z 軸への数値入力で明示的に設定できます。

ランダム... 設定した許容誤差内で、位置を乱数的にばらつかせます。例えば、現実世界の不完全さを再現するのに便利です。

テクスチャ... については テクスチャと材質 で詳述します。

メッシュを中央に で、メッシュの中心が基点 (0,0,0) に来るよう平行移動します。

曲線を複製... で、選択中の曲線のコピーを新規オブジェクトとして作ります。曲線が1本だけ選択されているときのみ動作します。

平滑度... で、選択した点や曲線でのメッシュの曲がりの鋭さを設定できます。下に示した例では、平滑度3の曲線を右側の図で1〜0に変化させ、曲がりを鋭くしました。ダイアログに入力した平滑化の数値は、リアルタイムプレビューで実際のメッシュに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、メッシュはもとに形に戻ります。


平滑方法 は「補間」「近似」から選べます。どちらも、制御点のメッシュから滑らかな表面を作る細分化のタイプです。

接続 で、スプライン曲線を閉じ、完全なループを作成します。「U方向」「V方向」「両方」「なし」から設定できます。上の例では U 曲線が接続され、お椀型の円断面を形作っています。

面の向きをそろえる - 状況によっては表面の法線がひっくり返って、表面が正しく表示されないことがあります。この問題を解決します。

プレビューをレンダー -(訳注: ver. 2.9 ではなくなったようです)メッシュのレイトレースレンダーを生成するので、最終レンダーでのメッシュの見映えを確認できます。


画面 メニューを右に示します。

表示方法 - メイン画面と同じく、現在アクティブな画面で、ワイヤフレーム・陰影・滑らか・テクスチャ・透明・レンダーで表示を切り替えます。

表面の色 このサブメニューで、オブジェクトに骨格がある場合は骨の重みによって、テクスチャパラメータが設定されていればテクスチャパラメータによって、表面に色付けします。 三角メッシュについて、詳しくは このセクション をご覧ください。


表示 サブメニューで、さまざまなアイテムを表示/非表示できます。 三角メッシュについて、詳しくは このセクション をご覧ください。

座標系 - メッシュの作業で、個別の座標系かシーン全体の座標系かを選択できます。これはメッシュの向きや位置に影響を与えます。

グリッド... - メイン画面 と同じように、グリッドが表示されます。必要ならオブジェクトのスナップもできます。

座標軸を表示/隠す で、コチラ のように X, Y, Z 軸の表示/非表示を切り替えます。

下絵を表示/隠す で、次のメニューオプションで背景に選んだ画像を表示/非表示できます。

下絵の設定... で、編集画面の背景に使う画像(.jpg、.png、.gif フォーマット)を設定します。モデリングで参照するのに便利な機能です。このオプションを選択すると、画像を選ぶダイアログが表示されます。この下絵はすぐ上のメニューオプションで ON/OFF できます。


メニューは 2.1.5 Section で詳述しています。


2.1.4 三角メッシュ

三角メッシュは、複雑な面を作成する点でスプラインメッシュに似ています。しかしこの面はスプラインの場合と異なり、曲線で定義するわけではなく、三角形の小平面のメッシュから成ります。下の例では、スプラインメッシュと三角メッシュで作った球の表面で、両者の違いを表しています。


表面が三角形で形成されているということは、三角メッシュのほうがスプラインメッシュより融通が効くということです。メッシュはオブジェクトから直接か、既存のオブジェクト上でモデリングツールを使って作成します(モデリングツール をご覧ください)。

既存の幾何オブジェクトから三角メッシュ版を作るには、オブジェクトリスト内のオブジェクトを単にクリックして、オブジェクト → メッシュに変換 を選択します。選択したオブジェクトにより、メッシュの粗さについてのプロンプトが表示されることがあります。これはほとんどの要素が曲線を含んでいて、メッシュのみで近似されるからです。このときはメッシュの粗さを設定する必要があります。基本的にメッシュの粗さの許容範囲が小さいほど、メッシュを形成する三角形の数が多くなります。
しかし、メッシュが可能な平滑化のオプションで特段に高い精度が常に必要なわけではありません。比較的少ない数の点や三角面で滑らかなメッシュを作ることもできます。直方体を三角メッシュに変換するときがまさにそうです。この場合、メッシュの粗さのプロンプトは表示されません。

三角メッシュオブジェクトをダブルクリックすと、下の図のような三角メッシュ編集画面が表示されます。メッシュは左下のボタンを選ぶことで、点(POINT)・辺(EDGE)・面(FACE)それぞれで編集できます。



メイン画面 のように、向き・拡大縮小・視点のタイプ(平行または遠近法)を視点アイコンやキーボードショートカット、各視点上部のドロップダウンメニューで設定できます。陰影のタイプも メッシュ → 表示方法表示方法 で詳述)で選択できます。


モデリングツール

左側のアイコンの多くはスプラインメッシュ編集画面と同じです。三角メッシュではさらにツールがあり、すべてのツールは点点(POINT)・辺(EDGE)・面(FACE)に適用できます。ツールのほとんどは自動注釈付きです。アイコン上にカーソルを置くと、機能を説明するツールチップが表示されます。ほとんどの操作は <Shift> や <Ctrl> での修飾があります。各ツールの詳細については、編集ウインドウの一番下をご覧ください。スペースキーで、選択と移動ツールと最後に使ったツールとを素早く切り替えられます。以下で、各ツールを詳しく説明します。

選択と移動ツールで、頂点・辺・面の選択、移動ができます。選択した要素はピンク色になり、ほかのツールでも操作できるようになります。要素を選択するには、点・辺・面を直接クリックするか、選択したい要素の周りの矩形領域をドラッグしてマーキー選択します。編集 メニューから、なげなわ選択も使えます。離れた要素を選択するには、選択されていない要素を Shift キー併用でクリックします。要素を選択解除するには、すでに選択されている点・辺・面を Shift クリックするか、モデルの選択解除したい部分の領域を Ctrl ドラッグで囲みます。

このツールで、選択した要素を移動することもできます。それには選択の一部をクリック&ドラッグするか、矢印キーを使います。Ctrl キー併用での↑↓で、選択した要素は画面に対して前後に移動します。ALT キー併用で↓キーを押すと、10ピクセルずつ移動します。

選択した要素でのほかのツールの効果を、左の図で示していきます。
メッシュ拡大縮小ツールで、選択中の要素を伸縮できます。それにはハンドルのひとつを掴んでドラッグします。拡大縮小の操作は、Shift キーや Ctrl キーで制御できます。Shift キー併用でドラッグすると、選択した要素の外形を保ちながらの一様な拡大縮小になります。Ctrl キー併用では中心を合わせながらの拡大縮小になります。左の図は、選択した点で拡大縮小の操作をした結果です。この例では、Shift キーと Ctrl キーを同時に押しています。

このツールで左の図のように、選択中の要素を回転できます。選ぶハンドルによって、回転を実行する軸が決まります。回転の中心は赤い×印で示されます。この×印は、Chrl キーを押し、中心の移動先をクリックすると移動できます。
このツールで、選択した要素を変形できます。つまり左の図のように、要素はハンドルからの距離によって移動します。Shift キー併用でドラッグすると一様な変形に、Ctrl キー併用では中心を合わせた変形操作になります。
「尖らせる」ツールで左の図のように、ハンドルからの距離によって要素を拡大縮小できます。ほかの多くのツールと同じく、この操作は Shift ドラッグで一様に、Ctrl ドラッグで中心合わせしながらの変形になります。左の図の結果は、一番上のハンドルを内側に Ctrl ドラッグした結果です。
このツールで、頂点を法線に沿って内側か外側に移動させて要素を変形します。このツールにはハンドルがありません。操作は、視点ポート上で単に上下にドラッグして行います。結果は状況により、左の図のように中心合わせをした一様な拡大縮小にとても似たものになります。しかしそうでない場合、結果は明らかに異なるものになります。


移動/拡大縮小/回転 の操作を合わせた「カラクリ」ツール は、選択した要素で幅広い操作を実行する強力な方法です。これを使うには、このアイコンを選択し、変更する点・辺・面を通常どおりに選びます。下に示す図のように、「カラクリ」は選択の中心に表示されます。

「カラクリ」は、回転面を表す3つの円、座標軸を表す3つの線、中心の球から成ります。各軸には文字(X, Y, Z)が書かれた箱とダイア型のハンドルが付いています。

中心の球をドラッグすると、選択全体を自由に移動できます。特定の軸での移動をするには、その軸の文字箱をクリックし、左右にドラッグします。

特定方向に拡大縮小するには、その軸のダイア型ハンドルをクリック&ドラッグします。Shift キー併用ドラッグで、一様な拡大縮小です。

回転させるには、その円をクリックして、回転させたい方向にドラッグします。

「カラクリ」全体をサイズ変更するには、ダイア型ハンドルのどれかを Ctrl キー併用でドラッグします。

「カラクリ」の軸は初期は X, Y, Z が表示されますが、以下の図のようにほかの座標軸も、W をクリックして設定できます。左側の図は X, Y ,Z モードです。中央は 2D モードで、 U と V はそれぞれ、画面に対する水平・垂直軸です。右側の3番目のモードでは法線(N 軸)と対応する直交軸 P, Q についての変換ができます。


傾斜/押し出し ツール は、メッシュ要素を拡張するときの強力な方法です。このツールの機能はメッシュメニュー(後述)の「押し出す...」とまったく同じですが、さらにインタラクティブです。傾斜と押し出しは頂点・辺・面への単一の操作で、その後も要素は選択されたままなので、傾斜/押し出し操作を続けて行えます。
このツールを使うには、まず移動/選択ツールで傾斜/押し出しをする要素を選択します。次に傾斜/押し出しツールと操作モード(点・辺・面)を選択します。視点ポート上で上下方向にドラッグすると、要素が押し出されます。左右方向では傾斜です。純粋な押し出しのみに制限する場合は、Shift キー併用で上下にドラッグします。純粋な傾斜のみの制限なら、Shift キー併用で左右にドラッグです。
下の図は、あるサンプル要素に異なるモードでこのツールを適用した結果を示しています。面の場合は、アイコンをダブルクリックすると、押し出す要素についてのダイアログが表示されます。ここで、面の押し出し方について「別々に」か「いっしょに」かを設定します。



点を作成 ツール で、点・辺・面のモデリングモードごとの方法で新規の要素を作成できます。
点(POINT) モードでは、既存の頂点をドラッグすると新規の点が作られます。これは右の図のように、もとの点とつながっています。


辺(EDGE) モードでは、メッシュ上で選択した場所を単にクリックして、そこに新規の頂点を作成できます。下の例では、1での場所にカーソルを移動してクリックしたら、新規の頂点(と辺)が2のようにできました。同じように3の位置でクリックして、4のように新規要素ができました。以下、繰り返しです。


面(FACE) モードでは、面の中をクリックして新規の頂点を作れます。右の例では、1の場所をクリックして、2のように新規の頂点を作成しました。3と4も同じ流れです。



メニュー

トップメニューバーには、三角メッシュの多用性を反映して、スプライン編集機能以上にツールがあります。

編集 を右に示します。

取り消し - 選択操作を含め、最後の操作を取り消します。取り消しをした直後は、この部分は「やり直し」に替わります(訳注: ver. 2.9 では「やり直し」メニューは独立しています)。

削除 - 選択した点・辺・面を削除します。<delete> キーを押しても同じ結果になります。

すべてを選択 - すべての点・辺・面を選択します。

選択範囲を広げる - 選択範囲を、選択中の点・辺・面を周辺を追加する形で広げます。

選択反転 - 現在選択されていない点を選択し、選択中の点の選択を解除します。

特殊な選択 で、以下のサブメニューにあるオプションで要素選択を行います。


ふちを選択 - メッシュの一部が開いている場合、このオプションでその ふち の部分を選択できます。下の例をご覧ください。



選択部分のふち - このツールで下の図のように、現在選択中の要素の ふち となる辺を選択できます。
この辺を含む輪 - で、平行に近く、輪を形作っている辺を選択します。以下の図をご覧ください。

同じ向きの辺 - で、平行に近く、ほかの辺とつながっていない辺を選択します。選択した辺を分割して新規に辺の輪を作るとき便利です。




あいまい選択 - 辺モードと面モードで、マーキー選択ツールのように使えます。マーキー選択では、長方形の囲みに完全に入っている辺/面のみが選択されます。あいまい選択が ON のときは、範囲にその一部でもかかっている辺/面はすべて選択されます。以下の図に示します。


なげなわ選択 - フリーハンド経路で囲んだ内側すべての点や曲線を選択します。ON/OFF を切り替えできます。

四角で表示 - メッシュの辺の表示を切り替えます。隣接する面が似た向きになっている場合、間にある辺が非表示になり、2つの三角面は四角形の面として表示されます。以下の図で示すように、メッシュの見映えがすっきりします。


表面に合わせて表示 効果を予測しやすいメッシュ要素となるよう、モデル表面のメッシュを調整します。以下の図をご覧ください。

これを非表示 右の図のように、選択した要素を非表示にします。複雑なメッシュの編集時、要素が重なって見づらい場合に便利です。


すべてを表示 非表示になっているすべての要素が表示されます。
影響... - スプラインメッシュのツールと同じく、選択中の点を移動すると、周囲の点も一緒に移動します。詳しくは コチラ をご覧ください。


メッシュ メニューを以下に示します。

辺を分割/面を分割 - 辺と面の編集モードで、選択中の辺と面は分割できます。メッシュの特定の部分に細部を追加するとき便利です。下の図に示すように、もとの選択が同じでも、辺の場合と面の場合では異なった処理をします。



分割は、使用する平滑方法(後述)によっても異なる処理をします。以下の図は、立方体のすべての辺での分割を、近似平滑をする前と後とで行った例です。処理後の表面が違っています。



単純化... - メッシュ内にある点の数を、設定した表面精度まで減らします。複雑なメッシュ簡単になり、作業しやすくなります。近似平滑法の場合、より滑らかになることもあります。

移動... 選択した点について、X, Y, Z の絶対座標を設定します。また骨格プロパティ(骨格 をご覧ください)も設定できます。ダイアログに入力した数値は、リアルタイムプレビューで実際のメッシュに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、メッシュはもとに形に戻ります。

変形... X, Y, Z 軸に明示的に数値入力して、選択中の点の移動・回転・拡大縮小ができます。

ランダム... 設定した許容誤差内で、位置を乱数的にばらつかせます。例えば、現実世界の不完全さを再現するのに便利です。

押し出す... - 既存のメッシュの要素を拡張するのに大変便利なツールです。傾斜/押し出しツール に似ていますが、こちらは傾斜や押し出しの値を明示的に設定できます。この機能は点・辺・面のいずれでも使えます。面の場合、選択全体または各個の面で、傾斜や押し出しができます。いずれの場合でも、押し出す長さ、傾斜の幅を設定できます。左の図の例では面に適用しています。点・面については 傾斜/押し出しツール をご覧ください。

テクスチャ... - テクスチャ内の特定の頂点でパラメータを設定できます。テクスチャと材質 で詳述します。

メッシュの最適化... - メッシュ内の辺を並べ直して、より滑らかに見えるメッシュにします。特に「ピンチング」が発生して、たくさんの辺を持つ点ができてしまったメッシュに効果的です。

メッシュを中央に - メッシュの中心を基点に移動します。

ふちを閉じる - 先に説明した 編集 → ふちを選択 で ふち が選択中のとき、滑らかな表面になるよう、ふち を閉じます。表面を修復したり、左下の例のように、スプラインメッシュを三角メッシュに変換した後に端を閉じるとき便利です。

このツールは、部分的な ふち にも適用できます。ふち の一部を単に選択してこの機能を適用すれば、右側の例のようになります。


ふちをつなぐ... - これで、2つ以上の別々の「穴」や ふち を、トンネルを作って接続します。このトンネルは図の例のように、メッシュを通す形、あるいは ふち同士の間に橋をかけた形になります。


部分的な ふち同士でも、下の図のように接続します。


メッシュを複製... - で、選択中の面の新規オブジェクトを作成します。

曲線を複製 - で、選択中の曲線の新規オブジェクトを作成します。

平滑度... - スプラインメッシュのオプションと似ています(注意: 平滑度の設定は点と辺のみで設定できます)。ダイアログに入力した平滑度の数値は、リアルタイムプレビューで実際のメッシュに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、メッシュはもとに形に戻ります。下の図では、「外側へ移動」ツールで、極端な平滑度(0〜1の範囲で設定できます)を設定しました。この例では近似平滑が使われていますが、補間平滑でも効果があります。

平滑方法 - 平滑方法は4つあり、それぞれで、制御点で設定されたオブジェクトの見映えが違ってきます。「なし」ではファセット(切子)的な、「陰影」では表面の法線を変えてかすかに滑らかに見えるように、「補間」「近似」ではオブジェクトの要素を明らかに変えた見映えを作ります。これらは有機的なオブジェクトの場合にとても強力な分割方法です。以下の図は、立方体を三角メッシュに変換した単純なオブジェクトでの違いを表しています。また、各個の点/辺の平滑度は、先に説明した平滑化ツールで制御できることを忘れないでください。


面の向きをそろえる - 状況によっては表面の法線がひっくり返って、表面が正しく表示されないことがあります。この問題を解決します。


メニューは 次のセクション で詳述します。

画面 メニューを右に示します。
表示方法 - メイン画面と同じく、現在アクティブな画面で、ワイヤフレーム・陰影・滑らか・テクスチャ・透明・レンダーで表示を切り替えます(以下の例をご覧ください)。


表面の色 サブメニューで、骨の重み(オブジェクトに 骨格 がある場合)や テクスチャパラメータ(設定されている場合)に従って表面に色を付けます。
以下の例では、キツネの足にある骨を選択していて、メッシュ表面への骨の影響が緑色で表現されています。この場合、重みが滑らかに変化しているので、緑色はグラデーションになっています。その一方、右側では表面すべての IK 重みが1なので、一様な緑色となっています。



表示 サブメニューで、選択中の画面内のさまざまなアイテムを表示/非表示できます。以下に例を示します。



座標系 - メッシュの作業で、個別の座標系かシーン全体の座標系かを選択できます。これはメッシュの向きや位置に影響を与えます。

グリッド... - メイン画面 と同じようにグリッドが表示され、必要ならオブジェクトのスナップもできます。

座標軸を表示 コチラ のように X, Y, Z 軸の表示を切り替えます。

下絵を表示/隠す 次のメニューオプションで背景に選んだ画像を表示/非表示できます。

下絵の設定... で、編集画面の背景に使う画像(.jpg、.png、.gif フォーマット)を設定します。モデリングで参照するのに便利な機能です。このオプションを選択すると、画像を選ぶダイアログが表示されます。この下絵はすぐ上のメニューオプションで ON/OFF できます。

プレビューをレンダー -(訳注: ver. 2.9 ではなくなったようです)メッシュのレイトレースレンダーを生成するので、最終レンダーでのメッシュの見映えを確認できます。




2.1.5. 骨格

骨格それ自体はオブジェクトではありませんが、メッシュオブジェクトの変形を制御するのにとても便利な方法です。アニメーションで最も大きな効果が得られます(コチラ で詳述)。

骨格の基本前提は「骨」のつながりを作成することで、これをメッシュに取り付けます。その後、骨の動きを別個の2つの方法のうち1つから選びます。

前向き制御(Forward Kinematics: FK): 骨の関節をクリックすると、FK ハンドルが表示されます。これで骨に、親の骨に関連させて、回転/ねじり/伸ばし の動作を与えます。

逆向き制御(Inverse Kinematics: IK): まず、さまざまな関節を固定します。そしてほかの関節を、マウスで掴んで意図する位置に移動させます。この関節とほかの固定された関節の間の骨はこれで、逆向き制御と呼ばれる工程で、骨格のつながりを保ったまま自動的に移動します。

どちらの場合でも、メッシュは骨の動きに合わせて変形します。


骨格の作成
骨格を作成するには、メッシュオブジェクトをダブルクリックしてメッシュ編集画面を開き、 をクリックします。

新規の骨を定義するには、骨を作りたい場所で <Ctrl> クリックします。最初に定義された骨を「根」といいます。今度はメッシュ沿いに、根とは別の場所を <Ctrl> クリックします。新しく十字が現れ、両者は凧型の「骨」でつながります。右の図の例のように、この工程を必要なだけ繰り返します。

凧型の形は重要です。幅が薄い側の端は根の方を向いています。幅が太い側の端は末端を向いています。

骨格が出来上がると、骨の端の十字をクリックして骨を選択できます。選択中の「関節」はピンク色の表示になります。骨が選択された状態でどこかを <Ctrl> クリックすると、その場所から関節の間に新規の骨が追加されます。これとは別の骨のつながりを作り始める前に、編集画面上で既存の骨から離れた場所をクリックして、骨が選択されていない状態にします。

「基礎」関節は緑色で表示されます。既存の関節を <Shift> クリックすると、一時的に「基礎」にできます。これで骨格の動作を制限できます。末端に向いた骨は動かせるのに対して、基礎と根の間のすべての骨は固定されたままとなります。Art of Illusion ではこの方法で、骨の関節を好きな数だけ固定できます。
左の図は、先ほどより複雑な腕のモデルの例です。「根」は肩の関節で定義され、上腕から肘までを表現する骨がついています。さらに肘から手首までの骨、手首から手の中心までの骨もあります。ここからさらに複雑になります。
手の中心からそれぞれの指へ、骨がつながっています(それぞれの指の骨のつながりを作り始めるには、手の中心の関節に戻ってクリックします)。

注意: 骨格編集機能は通常、骨格の奥行きの位置決めのとき、その骨格がメッシュ全体にわたって作られたとして処理をします。一般的にこれがベストな方法ですが、メッシュは単一の平面に保持されたままとなります。

骨をメッシュに取り付ける

骨格を作り終えたら、メッシュに取り付けます。このためにはメッシュのすべての点を選択、骨 → 点を骨に関連付け... をクリックして、以下のダイアログを開きます。

「逆向き制御の重み」で、メッシュに取り付けられた骨の動きがメッシュをどれだけ変形させるかを決めます。ある点の逆向き制御の重みが1.0なら、メッシュは最も近い骨からのみ影響を受けます。しかしこれは、この隣の点がほかの骨と最も近いとき問題になり得ます。この場合、ある点がある骨とともに動きますが、隣の点はそうはなりません。
Art of Illusion ではこの問題の解決のため、点は最も近い骨だけではなく、その骨の親(例: 根の方向にある隣の骨)からも影響を受けます。このダイアログを使って骨格がメッシュに取り付けられているとき、プログラムは重みをブレンドして、メッシュ表面の動作を滑らかにします。骨の中心に近い点の重みは1に近く、関節に近い点では低い重みとなります。ここで設定した逆向き制御の重みのブレンド値で、それぞれの関節周辺の、低い重みを適用する領域の大きさが決まります。

「逆向き制御の重み」のブレンド値が0ならブレンドをしません。すべての点で、逆向き制御の重みは1になります(例: ロボット的な硬い腕)。反対側の極端な例は、ブレンド値を1にしたときです。これは庭の水まきホースのような柔軟さを表現するとき便利です。

この段階での「逆向き制御の重み」は、骨格に取り付けられたすべての点での全体的な制御となります。特定の点でのさらに細かい制御を設定するには、該当する点を選択して、メッシュ → 移動... を選びます。下の図のように、このダイアログの下の部分で、点を制御したい骨と、適用する逆向き制御の重みを決められます。
繰り返しになりますが、逆向き制御の重みは、親の骨から来ている、最も近い骨の相対的な効果です。このことから、値が0.5での点への影響は、その点に最も近い骨からのものとその親からものが等しくなります。値が0.8なら、最も近い骨の影響は親より大きくなります(80% vs 20%)。

注目: 必要なら、メッシュの一部のみを骨格に取り付けることも可能です。こうするには、取り付けたい点を単に選択、骨 → 点を骨に関連付け... をクリックします。骨格を取り替えたのに、骨格のほかの部分では既に逆向き制御を最終調整済み、の場合に便利です。こんなときは、すべての点を取り付けてしまうと、逆向き制御の重みをすべて最初から設定し直さなければなりません。それを避けるには、取り替えた骨の周辺の頂点を選択して取り付けます。


骨格の編集

骨は前向き制御(FK)か逆向き制御(IK)を使って動かすことができます。FK では、骨は固定された親の骨から独立して動かせます。FK の動作を付けるには、選択した関節から出ている FK ハンドルを使うと便利です。ハンドルは、関節から出た線の先の赤い四角として表示されます(下の図)。使用できるハンドルの数は、固定されていない自由度と FK ハンドルの設定によります。デフォルトでは2自由度(X Bend [曲げ]・Y Bend)です。FK ハンドルの設定は、固定されていない自由度のみ表示されます。

ほかの自由度を変更するには、下の図に示す骨編集ダイアログを使って、ほかの2つの自由度(ねじり・長さ)の固定を解除します。また現在固定されている自由度を表示でき、ここで FK ハンドルの変更ができます。FK ハンドルでこれができるよう設定するには、骨アイコンをダブルクリックします。これで3つのオプション (1)「動かせるものだけ」、(2)「表示しない」 、(3) 「すべて表示」が使えます。注意: 骨編集ダイアログから自由度を解除すると、FK 表示の設定とは異なり、IK で骨を操作したときも固定の解除となります。

骨を動かすには、適切なハンドルをクリックします。X Bend(曲げ)と Y Bend のハンドルの場合、親の関節を中心にした円が表示されます。これは下の図のように、可動範囲を示します。マウスの左ボタンを押しての左右のドラッグで、その自由度で制限された動作で骨を回転させます。



骨を動かすもうひとつの方法は、逆向き制御(IK)です。IK では、<Shift> キー併用で骨の関節をクリックして(緑色になります)、その関節を固定できます。骨格を動かすには、固定されていない関節をクリック&ドラッグします。Art of Illusion 内の IK 解析機能が自動で、骨格のつながりを保ちながら、この関節と固定された関節との間にある骨の位置を計算します。

骨の作成と取り付けの後、オブジェクトのポーズに影響を及ぼすことなく骨の位置決めをし直す必要がある場合、骨 → 関連付けを一時解除 を選択します。骨格を正しく位置決めできたら、骨 → 関連付けを一時解除 を選択、このオプションを再度 OFF にします。この段階では、頂点が適切な骨に割り振られたかを確かめるのに、骨格に取り付け直すこともあり得ます。


動作制限の設定

デフォルトでは、骨の回転に制限はありません。これは物理的にリアルではないので、IK で骨を動かすときに問題となり得ます。この問題を避けるため、それぞれの骨の動作を制限できます。それには骨の端の関節をクリック、骨 → 骨を編集... を選択します。これで以下のようなダイアログが表示されます。
一番上は骨の名前で、お好みで変更できます。

次の2つの変更可能なプロバティは X BendY Bend です。これは親の関節(回転させる骨の、凧型の薄いほうの端)のまわりの骨の、左右と前後の回転に関するもので、左側が X Bend、右側が Y Bend です。
この入力欄の値を変えると、骨格にリアルタイムで反映されます。角度動作の入力欄の右側にある円形装置でも、骨を動かせます。外側の円の黒い正方形のハンドルを円に沿ってドラッグすると、その自由度を変更できます。

X, Y 方向まわりでの回転は、固定 ボックスをチェックすると完全に不可能になります。また各方向の曲げの最大角を制限するには、範囲制限 ボックスにチェックを入れて、その下の2つの入力欄に極値を入力します。円形装置では角度の禁止範囲は黒く塗りつぶされます。範囲設定はさらにもうひとつ、無理のない範囲 があります。骨が常にそこにいられる範囲のことで、強制されたときのみその外に行きます。円形装置では、無理のない範囲の外側では灰色の表示になります。
最後に、関節の Stiffness(固さ・強さ)も設定できます。これは、骨のつながりの中のある関節を、ほかの関節より簡単に曲げられるようにする機能です。

関節を曲げる機能ではなく、軸まわりでねじる(Twist)機能もあります。この制御方法は、X, Y Bend と同じです。

そして 長さ の制御もできます。これで骨を長さ方向に伸縮できます。ここでも範囲制限や無理のない範囲、Stiffess の指定ができます。


骨メニュー

骨格セクションの締めくくりに、トップメニューバーの骨メニューを見てみましょう。下の図に示しました。

骨を編集... 先に説明したように、骨の動きを制限するダイアログが表示されます。

骨を削除... 選択中の骨を削除します。

親の骨を指定... 骨の階層構造を作成できます。特に、骨を削除する前後に骨の設定をやり直すのに便利です。下に例を示します。

【左】今、一番上の図で関節2と3の間の間の骨を削除するとします。この骨の親の関節は2です。ここで関節3を選んで消そうとするなら、この骨のすべての子を消さなければなりません。つまり指の関節すべてです。

しかし以下の方法でできます。まず骨4の親を、今の親である3から2に替えましょう。骨4を選択し、骨 → 親の骨を指定... をクリック、リストから骨2を選びます。骨の階層構造が、中段の図のように変わります。

あとは不要になった骨を選択して、削除するだけです。

【下】似た方法で、骨の挿入もできます。既存の1つの骨を、2つ以上にうまく入れ替えられます。入れ替えたい骨をクリックし、親の骨を「なし」に設定します(骨のつながりが切れます)。そして、新しい骨を追加したい骨を選択、新しい骨を普通の方法(Ctrl クリック)で作ります。最後の骨を、残りの骨のつながりに接続するには、つながりの端を選択、その親として、最後に新規作成した骨を指定します。

骨の読み込み... このシーンのほかのオブジェクトの骨格を、現在のメッシュに読み込んで使えます。

点を骨に関連付け... 骨格をメッシュに取り付けます。これで、骨の動作に対応してメッシュが変形します。詳しくは先の説明をご覧ください。

関連付けを一時解除 で、骨格とメッシュの間の関連付けを OFF にします。これで、メッシュに影響を及ぼすことなく骨格の設定ができます。


2.1.6 管オブジェクト

管オブジェクトは曲線から 管ツール で作成します。これで円断面の押し出し面を生成します。管オブジェクトを編集するには、オブジェクトリスト内でそのオブジェクトをダブルクリックします。あるいは、右クリックして 編集... を選択します。これで下の図のような管オブジェクト編集画面が表示されます。



この編集機能は、先に述べたスプラインメッシュや三角メッシュのものとよく似ています。編集の柔軟性がそれらより本質的に低いので、使えるアイコンは多くありません。アイコン上にカーソルを置くと、機能を説明するツールチップが表示されます。スペースキーで、選択と移動ツールと最後に使ったツールとを素早く切り替えられます。管の表面は直線でつながった線の並び、つまり曲線で制御されます。この曲線で、管の中心線の形が決まります。断面の直径は、曲線を作るそれぞれの点で設定できます。

トップメニューバーもまた、ほかのオブジェクト編集と似ています。

編集 メニューを以下に示します。

取り消し/やり直し - 選択作業も含め、最後に行った作業を取り消したり、最後に取り消した作業をやり直したりします。

すべてを選択 - 曲線のすべての点を選択します。

選択範囲を広げる - 選択中の点に隣り合う点も選択に加えます。

選択反転 - で、選択中の点を選択解除し、選択されていない点を選択します。

なげなわ選択 - フリーハンド経路で囲んだ内側すべての点を選択します。ON/OFF を切り替えできます。

影響... 選択した点に隣接する点に、さまざまな変形ツールで影響を与えます。詳しくは 曲線セクション をご覧ください。


メニューを以下に示します。

点を削除 選択中のすべての点を、管の曲線から削除します。

分割 複数の隣り合う点同士の間に点を追加します。

移動... 選択した点の X, Y, Z 座標のダイアログが表示され、明示的に設定できます。ダイアログに入力した数値は、リアルタイムプレビューで実際の管オブジェクトに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、管オブジェクトはもとに形に戻ります。

変形... 選択した点を、値を特定して移動・回転・拡大縮小できます。変形は選択部分の中心まわりか、オブジェクトの基点まわりかを選べます。

ランダム... - 3軸のいずれかまたはすべてで、ユーザが設定した最大値以内で乱数を発生させ、点を移動します。

テクスチャ... - テクスチャ内の特定の頂点でパラメータを設定できます。テクスチャと材質 で詳述します。

太さ... - 選択中のすべての点で値を指定して、管の直径を設定します。右の図の例をご覧ください。

管を中央に - 管の中心を基点に移動します。

平滑度... - 曲線の平滑度ではなく、管自体の平滑度を参照します。曲がっている部分が、低い数値では鋭く、高い数値では滑らかになります。平滑度は管を構成するすべての点で設定できます。
ダイアログに入力した数値は、リアルタイムプレビューで実際の管オブジェクトに反映されます。ダイアログをキャンセルすると、管オブジェクトはもとに形に戻ります。

平滑方法 - メッシュや曲線と同じく、平滑方法を替えられます。管オブジェクトでは「なし」「補間」「近似」から選べます。「補間」では断面の中心は強制的に制御点を通ります。「近似」では制限はあまり厳しくありません。

端の形 - 管の端の見映えをどうするかを設定します。オプションは 端は開(中空に見える)、両端をつなぐ(両端がつながり、右の図のようにループを形成する)、端は面(フタをした形になり、中実の棒に見える)の3つです。

画面 メニューを以下に示します。

表示方法 - メイン画面と同じく、現在アクティブな画面で、ワイヤフレーム・陰影・滑らか・テクスチャ・透明・レンダーで表示を切り替えます。

表面の色 このサブメニューで、オブジェクトに骨格がある場合は骨の重みによって、テクスチャパラメータが設定されていればテクスチャパラメータによって、表面に色付けします。

表示 サブメニューで、上述 のようにさまざまなアイテムを表示/非表示できます。

座標系 - メッシュの作業で、個別の座標系かシーン全体の座標系かを選択できます。これはメッシュの向きや位置に影響を与えます。

グリッド... - メイン画面 と同じように、グリッドが表示されます。必要ならオブジェクトのスナップもできます。

座標軸を表示/隠す コチラ のように X, Y, Z 軸の表示/非表示を切り替えます。

下絵を表示/隠す 次のメニューオプションで、背景に選んだ画像を表示/非表示できます。

下絵の設定... で、編集画面の背景に使う画像(.jpg、.png、.gif フォーマット)を設定します。モデリングで参照するのに便利な機能です。このオプションを選択するとダイアログが表示されます。この下絵はすぐ上のメニューオプションで ON/OFF できます。


2.1.7 参考画像平面

参考画像平面(RIPs: Reference image planes)はレンダーされないオブジェクトで、モデリングなどで参考用の画像を表示するのに使います。RIP を挿入するには、オブジェクト → 基本形状の作成 → 参考画像 を選択します。これでファイル選択ダイアログが表示されます。ここで画像を選ぶと、画像平面の位置・向き・サイズを設定するオブジェクトレイアウトダイアログが現れます。
参考画像平面を生成すると、平面オブジェクトに投影される形で、画像が視点ウインドウに現れます。ほかのオブジェクトと同じやり方で、この平面も変形できます。平面オブジェクトにその画像が投影されたものが表示されます。唯一の違いは、レンダー画像には表示されないことです。また、ほかのオブジェクトと同様、画面 → 表示 → シーン全体 を選択すると、この画像平面はメッシュ編集ウインドウでも表示されます。

自動車のモデリングを例にしましょう。このモデルを横の視点から見る場合、自動車の横向きの参考画像が出ていると便利です。同じように、前、後、上などの画像もあるといいでしょう。こうするには、各視点で RIP を作り、下の画像のようにシーン内で適切な方向に向けます。図のように透明モードでモデリングすると、各視点ポートで適切に参考画像を見られます。






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