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2. モデリング

2.2 モデリングツール

このセクションで解説するツールは、トップメニューバーの ツール メニューから使えます。このツールはすべて新規のオブジェクトを作成するものです。そのうちいくつかはスプラインメッシュや三角メッシュを作り、これらは作成後、 前のセクション で説明した方法で編集できます。


2.2.1 並べて複製

このツールで、既存のオブジェクトのコピーとして、いつものオブジェクトを作成できます。オブジェクトリストでオブジェクトをクリック、ツール メニューから 並べて複製... を選択すると、以下のダイアログボックスが表示されます。

コピーは直線(Linear: 線形)に、あるいは事前に設定した曲線に沿って作られます。Linear オプションでは、コピーの数(Number of Copies)を設定し、コピーオブジェクトが並ぶ方向(X, Y, Z)も、Step X, Step Y, Step Z(X, Y, Z の きざみ幅)の入力欄に数値入力します。この値は、結果オブジェクト同士の間隔を表します。これはオブジェクトのサイズ(Times X Size などにチェックを入れる)または絶対単位(ボックスにチェックを入れない)に換算して決まります。
例えば、Step X を1にして、Times X Size(X のサイズを○倍にする)をチェックすると、X 軸に沿って、お互いがきっちり触れ合うようにコピーを作成します。下の図のように、1つ以上の Step X/Y/Z を設定することで、コピーが並ぶ方向を定義できます。


From Curve(曲線から) オプションでは、ドロップダウンメニューで選んだ既存の曲線沿いにコピーオブジェクトが作られます。コピーは曲線に沿って等間隔で並び、その数は明示的に設定できます。あるいは Step Size(単位で)で計算で設定することもできます。
コピーオブジェクトの向きは、曲線に従わせる(Orientation Follows Curve)か、Orientation Follows Curve のチェックを外した上で、もとの位置に固定もできます。さらに、もとの位置と方向を、コピーの位置と向きの基礎にもできます。

右の図の例では、車輪のスポークを作るのに「並べて複製」ツールを使いました。この例の場合、円状の経路には近似平滑の多角形を用いています。もとの円柱は図のとおりで、その向きと位置が使われています。また "Orientation Follows Curve"(向きは曲線に従う)にチェックを入れました。



「並べて複製」ツールは配列に使えることにご注目ください。この例は「配列の配列の配列」で、多数のコピーをどれだけ素早く作れるかを示しています。

ダイアログの下のほうのチェックボックスで、以下のオプションを設定できます。

Include Children(子を含む) コピーするオブジェクトの子のコピーも同じように作ります。

Group(グループ化) 「並べて複製」ツールで作られたオブジェクトを、Null オブジェクトを親としてグループ化します。

Skip First Copy(最初のコピーを省略) 最初のコピーは作りません。もとのオブジェクトを配列のうちの1つにするとき便利です。

Live Duplicates(クローンを作成) 「並べて複製」ツールで作られたオブジェクトを「クローン」にします。つまり、この後もとのオブジェクトに加えられた操作は、コピーにも自動的に適用されます。


2.2.2 押し出す

このツールで、軸に沿って、あるいはほかの曲線に沿って、曲線を拡張してスプラインメッシュオブジェクトを作成します。例を下に示します。左側の図は、近似曲線ツールで作った閉曲線です。ツール メニューから 押し出す... を選択すると、右側の図のようなダイアログボックスが表示されます。



この例では曲線が Z 軸沿いに引っ張られ、円柱のようなスプラインオプジェクトを生成しました。結果オブジェクトは Extrude(押し出す)ダイアログボックスの右側に表示されます。これはオブジェクト上でクリック&ドラッグすると回転できるので、好きなアングルからチェックできます。
この例の場合、曲線が X-Y 平面にあるので、X 軸や Y 軸方向への押し出し操作では 2D オブジェクトが生成されます。Z 軸方向への押し出し操作で、もとの曲線から、直立した壁のようなオブジェクトを作れます。押し出しの長さは Distance 入力欄で設定できます。

下の図の例のように、異なる方向への押し出し操作は、Extrude ダイアログで Vector(ベクトル)を設定して行います。


Extrude ツールはまた、下の図の例のように、Twist 入力欄に角度を入力して、ねじれた押し出し操作もできます。

Number of Segments(分節の数: 押し出し軸沿いの分割数)も設定できます。Number of Segments の値を変えると、ねじれたオブジェクトに違いが出ます。



ある曲線に沿って、ほかの曲線を押し出すこともできます。この場合、押し出される曲線は、2番目の曲線で定義された経路沿いにオブジェクトを形成していきます。下の図の例がそれを示しています。直交する平面上に、2つの曲線があります(視点の「前」と「上」で見える)。オブジェクトリストで両方の曲線を選択し、ツール → 押し出す... をクリックすると、上述と同じダイアログが表示されます。しかし今回は Extrude Direction → Curve オプションが使えます。このオプションをクリック、Curve 2 を選択して作成した結果が右上の図です。右下は、Curve 1 沿いに Curve 2 を押し出したオブジェクトです。



押し出す曲線の向きは、Orientation Follows Curve(向きは曲線に従う)をクリックして、曲線に従わせる設定もできます。押し出す曲線はこれで、経路曲線に従って向きを直すのではなく、経路の曲線がある平面に対して常に垂直になります。その違いを、以下の図で示します。


Orientation Follows Curve
(向きは曲線に従う)


経路曲線に従って向きを直す

「押し出す」ツールは、開いたスプラインメッシュや三角メッシュにも使えます。両方とも、結果は三角メッシュになります。以下の例では、まずスプラインツール で平面のスプラインメッシュを作りました。そして図のような形状を編集で作り、「押し出す」ツールで押し出しました。

メッシュを押し出すとき、Surface Accuracy(表面の粗さ)を設定できます。ほかのツールと同様、ここで結果メッシュを定義する点の数を決めます。


この例で Surface Accuracy(表面の粗さ)を変化させた効果を、下の図で示します。


2.2.3 回転体

回転体ツールは、単一の曲線を利用して操作します。設定した軸やベクトルまわりでその曲線を掃引し、スプラインメッシュを作成します。オブジェクトリストで曲線を選択して、「ツール」メニューから「回転体...」を選択すると、下の図のようなダイアログボックスが表示されます。

回転体の例で使用した曲線

この曲線オブジェクトは、X, Y, Z 軸まわりか曲線の端をつなぐ線まわりで回転体を作れます。掃引する角度は設定可能で、360°未満では表面が開いた状態になります。Radius (半径) とは、曲線の中央から掃引の軸までの距離です。上の例では Radius の値を大きくするほど、トーラス(ドーナツ型)中央の穴が大きくなります。さらに典型的な例として、回転体ツールを使ってワイングラスの形を作る例を紹介します。

この例では、必要な形が得られるまで、Radius の値をいろいろ入力して試す必要があります。

Segments (分割数) の値で、右の図のように、結果スプラインメッシュに作成する点の数を設定します。点を多くすれば、結果オブジェクトの制御を多くできるようになります。

注意: 厚みのある花瓶やコップを作る場合、以下の図のように閉曲線を先に作る必要があります。



2.2.4 膜

このツールは、その点で断面を定義する曲線の連続に合わせて「膜」を作成します。すべての曲線は同じ数の点を持ちます。開曲線か閉曲線かも同じになり、両方が混ざったりはしません。以下の例では、3つの多角形からスプライン表面の膜を作成しました。
注意: 曲線に同じ数の点を持たせなければならないので、三角形や四角形のオブジェクトを五角形に合わせるのに、点の数が5つにするよう編集が必要になります。この操作のため、曲線をダブルクリック、隣り合う2つの点を選び、曲線 → 分割 を選択しました。これを、四角形では1回、三角形では2回行いました。

オブジェクトリスト から3つの曲線をすべて選択し、ツール → 膜... を選ぶと、右の図のようなダイアログボックスが表示されます。

曲線の順番は組み替え可能です。ダイアログ左側のリストで曲線を選択し、"Move Up", "Move Down" ボタンで上下に移動させるとできます。どの点を接続するかの方向も、"reverse Direction" で反転できます。

OK ボタンをクリックした結果を以下に示します。


2.2.5 演算

演算モデリングは、複雑な要素を比較的単純にする強力な方法です。4つの方法から1つ選び、既存の要素を組み合わせることでこれを行います。今のところ演算ツールは2つのオブジェクトで動作し、そのうち1つは中実である必要があります。オブジェクトを組み合わせるには、視点ウインドウか オブジェクトリスト から両方を選び、ツール → 演算... を選択します。これで下の図のようなダイアログウインドウが表示され、ここで操作のタイプ(結合、共通部分、1つ目 - 2つ目、2つ目 - 1つ目)を選びます。
「結合」では、2つのオブジェクトを足し合わせた新規オブジェクトが作られます。「共通部分」で作られるのは、2つのオブジェクトが重なり合っている部分の新規オブジェクトです。ほかの2つは幾何学的な引き算です。以下の画像は、つぶれた球体のオブジェクトでの、それぞれの操作の効果を示しています。


OK をクリックすると新規オブジェクトが作られます。もとのオブジェクトはそのまま残り、新規の演算オブジェクトはもとのオブジェクトからは完全に独立します。しかし、新規の演算オブジェクトのもととなった複数のオブジェクトは、オブジェクトリストで演算オブジェクトをダブルクリックするか、この演算オブジェクトを選択してトップメニューから オブジェクト → 編集... とをクリックすると編集できます。これで演算編集機能が立ち上がり、構成するオブジェクトを変形したり、必要なら選べ直したりできます。


左側のアイコンは、メインレイアウトウインドウのいくつかと同じです。編集 → 設定... から、演算操作を再設定できます。オブジェクトメニューでは、メインレイアウトウインドウのオブジェクトメニュー(コチラ をご覧ください)と同じように変形と編集ができます。
演算ツールでできることについて、もう少し複雑な例を挙げます。2つの円筒の差分から演算を行います。ある円筒が、より背の高い別の円筒の中に入っています。「結合」では、2つのオブジェクトがはっきり見えます。「1つ目 - 2つ目」で、目的の効果が出ています。

OK をクリックして、お城の小塔の第一段階ができました。ここにサイズを調整した直方体を追加して、左下の画像のように「へこみ」を作ります。この直方体のコピーを、コピー&貼り付けを繰り返して(あるいはそれに合った曲線で「並べて複製」を使って)、小塔となるオブジェクトの上端に配置していきます。
この直方体を、ひとつの演算オブジェクトになるまで演算ツールで結合します(もとのオブジェクトと中間の演算オブジェクトは、作業を進めながら削除していきます)。



メインの小塔の演算と結合した直方体の演算を選択し、差分を作成します。左側の図がそれをよく表しています。「1つ目 - 2つ目」を選択すると、右側の図の小塔が作られます。演算ツールの利用で、さらに複雑でリアルなモデルを作ることができます。

また、ほかの幾何オブジェクトと同じように、結果の演算オブジェクトは三角メッシュに変換できます。これでさらに細部を仕上げることができます。また、さまざまな平滑方法も適用できます。


2.2.6 管

管ツールは曲線で適用され、管オブジェクト を作成します。これは基本的に、曲線に沿った円断面の押し出し操作です。

管オブジェクトを作るには、オブジェクトリストから曲線を選び、ツール → 管... を選択します。これで管ダイアログウインドウが表示されます。以下の図は、曲線オブジェクトと、表示された管ダイアログを示しています。



このダイアログから、Tube Width(管の太さ) で直径を設定できます。この直径の値は管の全体で使われます。ただし管の太さは、管のどの部分の点ででも、管オブジェクト編集機能で設定できます(管オブジェクト をご覧ください)。

Cap Ends(端を閉じる) オプションで、"Open Ends"(端を開く)か "Flat Ends"(平らなフタで閉じる)を選べます。管オブジェクトが作られると、編集機能 で端同士をつなぐこともできます。



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