ひとりごちるゆんず 2006年9月
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2006.9.1 金曜
前日に飛ぶ
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謎と夢のリチウムポリマー電池

リチウムポリマー(リポ)電池。こいつの素性がどうにも掴めない。最近ソニーの不良品のせいでヘンに話題になってるリチウムイオン(Li-ion)電池より断然性能がいいかのような記事を発見したんだけど、実情では大差ないらしいみたいな。

記事というのは、朝日新聞8月26日付の科学欄に出てたやつ。力仕事をサポートするいわゆる「着るロボット」、歩行障害者をおんぶしての登山に使うロボットスーツの電源を、Li-ion 電池からリポ電池に換えたら、10倍近く長持ちするようになった、とのこと。でも記事をよく読むと「リチウムポリマー電池」とは一言も書いてない。記事を抜粋。

(前略)

ロボットスーツは山海嘉之(さんかいよしゆき)・筑波大教授らのグループが開発した。

(中略)

リチウムイオン電池の従来型電源は、人を背負った登山では消耗が激しく、1回の充電で20分程度と平地での活動の8分の1しか持たない。そこで液体電解質の代わりにゲル状ポリマーを使い、10倍近く長持ちするような改造も加えた。

(後略)

だそうで、既存のリポ電池じゃなく、研究グループ自らがこの新型電池を開発したかのよーな感じ。でも「液体電解質の代わりにゲル状ポリマーを使い」ってリポ電池そのものの説明なんすけど。なんかすげぇダントツに性能いいんすけど。けど実際、既存のリポ電池は Li-ion 電池ほど普及してない。ていうか Li-ion 電池に取って代わられたりもしてる。おいらが今使ってるケータイは DoCoMo D506i で、バッテリーは Li-ion。容量は680mAh。これの前に使ってた DoCoMo D252i(今は目覚まし時計代わりに使ってる)のはリポで、容量は650mAh。同じメーカーの同じ系譜の商品で、リポ→ Li-ion になってる。どっちのバッテリーのメーカーも、ケータイ本体と同じく三菱電機謹製。で、確かに新しい方が容量がわずかながら大きい。そして、新しい方がサイズが2割ほど小さい。後発の方が分があるとはいえ、明らかに Li-ion 電池の方が優れてる。

やっぱりこれ、山海教授らのグループが、今までとは全く違う新たなリポ電池を作ったと考えるのが妥当っぽい。しかし Li-ion に比べて10倍長持ちって、今までのバッテリー技術の亀の歩みみたいな進歩からすると、とんでもない技術革新なんですけど。正直、記事の信憑性を疑ってるよおいら。新聞の記者さんって科学部所属でも科学に疎い人が多いらしくて、ときどきトンチンカンなことを書くんだよね。この記事を出したのと同じ朝日新聞、小惑星探査機はやぶさが取得した小惑星イトカワのデータと、それに基づく論文が公開された時の記事(6月2日付)で、見事な科学音痴ぶりを発揮してたからな。曰く、

イトカワには、「ミューゼスの海」のような平らな場所もある。こうした場所には数センチから数ミリの大きさの石や砂が集まり、重力が小さいことがわかった。小天体の衝突などでイトカワが揺さぶられた際、ふるいにかけられたように小石や砂が集まったと考えられた。

小惑星が揺さぶられた時、常識で考えても、石や砂がわざわざ重力が小さい場所に集まるわけないだろ。このとき はやぶさ を運用する JAXA 内の宇宙科学研究本部(ISAS)が発表した報告の中の、「平らな地形の形成」と問題の記事とを読み比べると、朝日の科学部の記者さん、「重力ポテンシャルが低い領域」を「重力が小さい領域」だとまるきし勘違いしたのがよく分かる。真相は逆。「重力ポテンシャルが低い領域」というのは、一般感覚でいわゆる「低い領域」ってこと。だから小石や砂粒が集まるんでしょが。そこの重力が小さいって意味じゃないのだよ。

高校物理の始めで習うニュートン力学の基礎も知らん人が、科学者を取材して科学の記事を書いてるの丸分かり。取材を受けた ISAS の中の人に同情するよ。ていうか校正段階かそれ以前で、記事の内容がおかしいことくらい常識で考えて分かれよ(失笑)

そんな前科があるもんだから、どうも朝日の科学記事ってのは今ひとつ信用ならない。でもここはひとつ、敢えて朝日に騙されてみたい気分。だって Li-ion の10倍持つ電池ですぜ。電気自動車の航続距離は現状で200km程度。普段の使用には充分耐えられるけど(大抵の人の走行距離は1日50km以内だそうで)、たまの遠乗りが不安。給電スタンドが全く未整備の今、出先で電池切れってのはあんまし考えたくない事態ですな。

そこでこの夢の新型リポ電池。航続距離2000km。1日で走りきれる距離じゃない。2,3泊くらいなら無充電で旅行できちゃいそう。日常的には、1カ月に1回充電すればよし。低燃費車がガソリンスタンドに通うくらいの頻度ですな。充電は家で、深夜・早朝の安い電気を利用すればいい。未来生活がすぐそこだよぉ〜(妄想涙)

ノート PC。現状では Li-ion バッテリー使用で2,3時間が関の山。全然足りない。そのブレイクスルーとして、ノート PC 用の燃料電池開発で各社しのぎを削ってるけど、肝心の製品がなかなか世に出てこない。とりあえず小型化で難儀してるらしい。しかも燃料電池の宿命として、燃料からの電力変換効率がせいぜい50%台。残りのエネルギーはそのまま熱になる。つまりやたらめったら発熱する PC ってことになる。

この熱問題は、電力変換効率が大幅に改善されない限り解決不能。具体的解決策は今のところ恐らくなし。ただでさえノート PC は発熱の処理が問題だってのに、火に油を注ぐことになる。

そこで夢の新型リポ電池。ノート PC からの発熱量は今までと同じで、バブル期の時任三郎のように24時間稼働できるようになる。これも電気自動車と同じく、2泊くらいの旅行なら無充電でいい(連続24時間もパソコンに向かいっぱなしじゃ人間の方が持たないから、休み休みということで)。 AC アダプターとコードなんつう野暮なものを持ち歩く必要がない。

ケータイだって、普通は満充電でも2時間も通話できないでしょ。これが新型リポ電池なら、時間を気にせずおもっきし長電話できる。使う人は便利だわ電話屋さんは通話料を稼げるわで、みんなみんな大喜び \(^O^)/ ワーイ

これはもう技術革新どころか技術革命ですよエエ(鼻息)。筑波大の山海先生、素晴らしい仕事を成し遂げられましたね。世界はこれで変わります。いや大げさでなく。ということで、この「Li-ion の10倍持つリポ」が朝日新聞科学部のガセネタだった場合、おいらをぬか喜びさせた罪で、記者とデスクは仲良く並んで切腹してください(刺し違え可)

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ちなみに今調べたら、筑波大の山海先生のじゃない現状のリポ電池の蓄電容量は、Li-ion 電池の約1.5倍だそうで(資料)。革新とは言えなくても、確実な進歩と言えますな。

銘板
2006.9.2 土曜
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今月のシネサロン出演予定

9月も『八戸フォーラム シネサロン』に出るよ〜。12日(火曜)19:30〜と、15日(金曜)09:30〜(再放送)っす。

本当は今月ぶんは出番がなかったんだけど、12日の週末(16日・土曜)に『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』の公開が控えてるんで、その回に出演する人と一緒に出るってことで、無理矢理ねじ込ませていただきました (^^;)

しかし『ワイルドスピードX3』、予告編を観るに、すげぇ期待を抱かせてくれるんすけど。去年の今頃公開された『頭文字 D THE MOVIE』にハマってしまったおいら としては、たまんなく待ち遠しいっす。で、おいらは勝手に、『ワイルド…』はハリウッドの映画人が『頭文字 D』を観て急遽作った、パクりにかなり近い作品だと思ってたんだけど、『頭文字 D』以前からきちんと時間をかけて企画されてたらしい(証拠)。ドリフトという日本発のクルマ文化は、ついにハリウッドを動かすまでになったってことですな(自国外の文化や流行に興味を示すなんて、自分が世界の中心だと思ってるアメリカでは珍しいこと)。しかも舞台を日本に据えるということで、そこらへんの礼儀もきちんわきまえてるなぁ。

公式サイトによると、『頭文字 D』にはなかった、東京の街なかや立体駐車場での大ドリフト大会の目新しさが期待できるほかに、クライマックスの峠攻め。これもまたワクワクドキドキ。こっちは既に『頭文字 D』で散々やってるんで、後発の『ワイルド…』は相当意識してると思う。先発をどれだけ超えられるかが見物ですなぁ。ハリウッドの意地ってやつを見せてもらおうじゃないですか。

で,シネサロン12日放送ぶんは本来、『時をかける少女』のためのもんだったんですわ。で、この『時かけ』にもおいら期待しちゃってるんだわ。『ワイルドスピードX3』とは対極の作品だけどさ。試写を見た批評家の前評判がいいんだよね。作品的には『ゲド戦記』よりもいいってことになってるらしい。おいらの年代的には、『時かけ』といえば原田知世ちゃん主演の角川映画(大林宣彦が監督。尾道三部作のひとつ)。あの頃おいら、知世ちゃんにモエモエだったのよね〜。

で、作品をテレビ公開時に観たんだけど(『時かけ』封切り公開時にはまだ萌えてなかった)、おいらがあまりにもガキだったせいでストーリーを全然理解してなかったりする。いやもう「知世ちゃんカワイ〜」ってだけ (^^;) 尾道三部作で言えば、最後の『さびしんぼう』でようやく話を理解・感動したっけなぁ。主演の富田靖子ちゃんがまたかわいくてなぁ(結局そこかい)

つうことで、今回は番組的には『時をかける少女』がメインなのよね。おいらはオマケ。でも『時かけ』の時間帯でもいろいろ横槍入れまくる予定(笑)。まぁ今回はタッグなんで、前回より負担がかなり減るなぁ。ありがたや〜。

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実は今まで2回ほど、よんどころなき理由により峠道を自分の限界ギリギリでブッ飛ばしたことがあるんだけど(日産アベニールとローバーミニで1回ずつ)、60〜70km/h がほんと限度だったよ。もちろん確実なグリップ走法だ(どっちも FF だってこともあるけど、要は腕前がグリップ走法しか許さない)。アベニールではリアタイヤがかすかに鳴いてたけど、ミニだと絶対テールスライドは厳禁。だって、

  1. オーバーハングがない
  2. ホイールベースが短い

んで、いったん滑ったらいきなりすげぇ角速度でクルマが回るんだもん(濡れ路面で1回だけ経験あり)。だからそうならない速度でしか走れない。ミニでテールスライドを自在に操れる人がいたら尊敬しちゃう。

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2006.9.3 日曜
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サボりの日

いや、書くネタはあるんだけど、なんかこう、今日は朝からずっとだるくてダメな日。ええい日曜日だし休んじゃえ。

あんましだるすぎて、映画にもマンキツにも行かなかっただよ。ていうかこの日記の HTML アップデートにいまだ没頭中。

銘板
2006.9.4 月曜
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仏滅七転八倒 前編

あれだね、やっぱしゲンのよくない日ってあるんだね。話はおととい土曜の夕方に遡る。

職場で帰り支度をしてたら妹が遊びに来た。妹が持ってきた話題は、日曜(つまり次の日)にオープンする全国チェーンの鯛焼き屋について。

「でもさ、普通土曜日にオープンするんじゃないの? 土曜っつったら今日だよ。あれ待てよ……」

カレンダーを見ると、そう。その日は仏滅。日曜は大安。理由はこれだな。うむうむ。納得して帰路についた。して家で待っていたのは、

18インチ液晶モニタの死骸。

いつもならキーをどれか叩けば数秒遅れで点灯するモニタが、沈黙してる(PC は常に起動していて SETI@home を回しっぱなしなのだ)。調べると、コンセントが抜けてた。何故? とりあえず原因はいいから、プラグを差してみた。

やっぱり沈黙 (-_-;)

パワーボタンを押しても何の反応もない。長押ししても無駄。速押ししても駄目。何してもなしのつぶて。これはあれですか、昼間に母親が部屋に入って掃除機をかけるのに、無造作にプラグを抜いたってやつですか。いわゆる「おかん攻撃」ってやつですか。母をキリキリ問い質したけど、なんだか要領を得ない。確かに掃除機をかけたけど、気を付けて空いてるコンセントを使ったとのこと。でも刺さってるプラグがコンセントから抜けてるってことは、掃除機のプラグを抜く時に一緒にやっちまった、という線が強く浮かび上がる。母が使ったというコンセントは、モニタのプラグが刺さってるところの隣。状況証拠からして、それしか考えられない。

母は非を認めて謝ってくれたけど、モニタが使えないのは痛い。一応問題の切り分けをすると、

  1. モニタ本体がトラブってる
  2. AC アダプタがトラブってる

となる。2. ならジャンクの AC アダプタをどっかから調達すればいい話。さてどうやって確かめるか。そこで役に立ったのが、ノート PC の AC アダプタ。アンペア数がちょっと違うけど、ボルト数は一緒。こいつを繋いで確かめてみた。

それでも沈黙 (-_-;;)

恐らく 1. のモニタ本体のトラブルですなこりゃ。まぁ、電源引っこ抜きを1回されたくらいで簡単に逝ってしまうくらいだったから、どのみち長くはなかったのかもしれんなぁ。いつ買ったんだっけこの中古モニタ(検索中...)。そうか 2005.2.27 か。29,800円。うちに嫁いで1年半の命でしたか。ちょっと短かったかなぁ。

で、とりあえず PC が生きててよかったけど、モニタがないと話にならん。かなりブルー入りながら対策を練ったよ。モニタなら部屋にもう1台ある。15インチ CRT のやつ。でもこいつは COMPAQ マシン + Linux で SETI@home を頑張ってもらってるのの専用モニタなんで、取り上げるのはちょっと殺生。ていうか18インチに慣れてしまった体で15インチはキツすぎる。ていうか CRT だからかなりの奥行きがあって、机に乗り切らないし。どうしても液晶の17〜18インチですな。近くの PC 屋の閉店時間までまだ時間がある。ここはいっちょフンパツしますか!

PC 屋。新品のモニタを見て回ったんだけど、お値段は39,800〜って感じ。痛いよなぁ。それに、入力はアナログ2系統じゃないといかんのだけど、新しいモニタって確かに入力2系統なんだけど、1個がアナログでもう1個が DVI なんだね。うちの PC はロートルばっかりなんだから、アナログ2系統じゃないと話にならん。

中古コーナー。ここに、条件に合うブツがあった。前のは東芝製だったけど、ここにあるのはシャープ製の同じ製品が2台。17,800円と19,800円。どちらも「筐体に割れアリ」と書かれてる。確かに割れてる。そして割れっぷりが派手な方がお安くなってる。うむ、一度は新品を買う決意をしたんだから、高い方を買うことにした。

「これ欲しいんですけど、映りを見させてもらえますか?」

店員さんは気持ちよく承諾してくれた。実は壊れてしまった東芝の液晶18インチ、映りがちょっと不満だったのよね。色数が少ないんじゃないだろうか。詳しいことはもう分からんけど(調べる気もしないんで)。で、いざお店のマシンに接続して見てみると、Windows のくせに背景色が茶色。そんな Windows 見たことないんだけど、設定でできないこともなさそう。

「この色、設定ですか」と訊いたら、そうじゃないとのこと。で、確認のために、筐体の割れがひどい安い方を繋いだら、今度は背景色が真っ黒。店員さんの判断は、「すみません、どっちも不具合あるんで売れません」。

困った。新品は条件に合わない。中古はこの体たらく。ダメもとで店員さんに条件を話して、在庫がないか訊いてみた。すると店員さん、PC の展示コーナーに向かっていった。そこのモニタに目星をつけたらしい。それについていくおいら。店員さんは1台ずつモニタをチェックしていく。そしたら一番隅っこに1台だけ、シャープの同じ製品(筐体の割れナシ)がきちんと稼働してるのが見つかった。PC の展示処分コーナーなのに、モニタにもしっかり値札が付いてる。22,800円だと。

「これさっきのと同じ製品ですね。でしたらさっきの値段の19,800円でいいですよ」

買った! かくして、不運の後を幸運がフォローする形で、モニタの更新は完了した。しかしさすが液晶はシャープだねぇ。東芝のやつより断然映りがいいよ。いやーなんかちょっと得したよーな気分。ま、けっこう長らく展示品として稼働してたらしく、スリープからの立ち上がりで画面上部がちょっとだけチラつくけどね。でも2,3分待ってりゃ収まるし、これでよしとするか。

でも更新完了とはいえ、後片付けが残ってるんだよね。液晶モニタって燃やさないゴミや粗大ゴミで引き取ってくれるんだろか。とりあえず CRT モニタはダメなんだよな。前に燃やさないゴミとして出したら放置プレイされたことがあったよ。CRT はブラウン管のガラスに鉛が混じってるからなぁ。その時はメーカーのサンヨーの回収プログラムに乗っ取って、4,200円払って処分した。手続きもけっこうめんどかった。液晶モニタもやっぱしメーカー回収なのかなぁ。だとしたら有料だよなぁ。

とりあえず今は、ぶっ壊れた東芝液晶モニタはどうしていいか分からんので、部屋の隅に鎮座してる。もしかして修理に出して安く直るんだったら、PC 屋に直してもらってそこに売りつけるってのも手だな。そこを試してみて、ダメだったら処分の方向で考えることにするべ。ああめんど。

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どうもすんませんダラダラした話で。で、とにかくそんなひと騒動があったんだけど、仏滅の夜はまだ長いのであった。とあざとく引っ張ってみる。

銘板
2006.9.5 火曜
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仏滅七転八倒 後編

素直に謝られると、振り上げた拳の持って行きどころがなくなっちまうのよね。モニタを壊したことで母は申し訳ながってくれたけど、このクサクサした気分は一体どこに吐き出せばいいんじゃ。そこに舞い込んで来たのが、よく行く居酒屋のねーちゃんからのお誘いメール。そうそう、週末なんだし、酒でも飲んで、居酒屋ねーちゃんと楽しい話(主にクルマの話。スペックとかドライビング特性とかw)でもしていい気分になりますか。『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』の封切りも近いんで盛り上がりそうだねぇ、と、シャープのモニタの立ち上げが終わるや否や、そそくさと家を出たおいらであった。

しかしねぇ、土曜なのよね。お店、書き入れ時なのよね。おいらだけ居酒屋ねーちゃんを独占するわけにもいかなくて、けっこうヒマな時間ができちゃったりして。んじゃまあヒマな間は、ケータイのメール使って今度の『八戸フォーラム シネサロン』の打ち合わせでもしますか。今回は3人体制で、連絡はおいらが両者の間を取り持つ形になってしまったから、両方にメールを出して、返事を待って、とりあえず日程調整はほぼ終了。9日(土曜)の18:00に収録しましょうかってとこまで話を持ってった(このときは提案までで、決定にまでは到達できなかったけど、後から正式にその線で決まった)。

で、そんなメールを打ってる最中、悪い意味で聞き覚えがある声が聞こえてきたんですよ。

あの人物、登場 (-_-;)

カウンターの席は他にも空いてるのに、わざわざおいらの隣にねじ込んできやがった。近くの客をどけてまで。いや、まさかよりによってこいつが来るとは思わなかったよ。んで、わざわざ隣に来たからには当然っちゃ当然だけど、やたら話しかけて来るのよ。聞いてほしいことがあるらしくて。面白い話ならいいなぁと思いつつ、ちょっと邪険にしてみた。「今ちょっと仕事のメールしてるから、打ち終わったらね」と。その間に他の人の方に移ってくれればいいなぁと淡い期待を抱いてたんだけど、この人、おいらの作業が終わるのを行儀よく待ってやがる。どうあってもおいらに聞いてほしい話があるらしい。

この日は PC のモニタが「おかん攻撃」を受けて、その後処理で疲れてるんだからさ、ナゴみたいわけ。面白い話をまた淡く期待したね。で、メール作業が終わった。その途端、この人は堰を切ったように愚痴攻撃。愚痴! 愚痴! 愚痴!

こんなコンディションの時を狙ったかのようにそれかい。勘弁してくれよまったく〜。ええ、ええ、全部受け止めましたよ。で、さすがに酒がまずくなってきたんで、終盤はもう疲れた顔を隠さなかったよ。隠す余裕もなかったし。ていうかそんな顔を露骨に見せることで、愚痴攻撃が終盤となるよう持ち込んだというか。

「だからさぁ〜こういう扱われ方ってどう思う?」

「知らねえ! 部外者だもんおれ!(本当は完全に部外者ってわけでもなかったんだけど、関わり合いになりたくなかったんで)」

こんな調子。しかもなんだかこの人、ことあるごとにおいらの腕とか肩とか触ってくるし。触んなよな。おいらあんたと同じ空気吸うのも嫌なんだから。とも言えず、ただひたすら耐えた。

愚痴を一通り言い終わったらすっきりしたらしく、今度はどっかに遊びに行く話になってきた。嫌だ。こいつなんかと一緒にどこにも行きたくない。テキトーに流したよ。うん。したらそのやる気のない生返事に、ニブいこの人も少しは感じるところがあったらしく、言って来た。

「何だよ〜もぉ〜、ゆんずちゃんに嫌われてんの?(笑)」

うん。「(笑)」とかじゃなくマジで大嫌い。けど「そんなことねーってば」と日和る弱気ナイスガイゆんず(泣)。だってよぉこいつ、平気で人をおとしめるようなことできちゃうやつなんだぜ。裏と表の顔を巧みに使い分けて。フツーに人の不幸を願ったりできちゃうんだぜ。逆恨みや陰口なんて、呼吸する程度の感覚でやらかしちゃう。こんな始末に負えないやつなんかと事を構えたくないんだわ。裏で何されるか分かったもんじゃないから恐くて恐くて。

でもさ〜自分のことを「勘が鋭い」と何かにつけて言うくせに、おいらの心の内をまったく読めたことがないのはホント間抜けだと思うぞ。おいらがこの人を避けてることを読めないのもそうだけど、内面がまだガキなもんだから、人の肉体的欠陥をあげつらって笑うのよ。本人を前にして。おいらに対してもそれをやるわけよ。当然ムカつきますわな。でもこの人、相手の気持ちを察する能力ゼロ。もう言いたい放題言われちゃったよ。どこらへんがどう勘が鋭いのかキリキリ説明いたせ(とおいらは心で思うだけ)。

適当な頃合いを見計らって、自分のぶんの勘定してとっとと帰ったよ。しかしほんと、この人と飲んだ帰り道って無性にクサクサするのな。毒気に当てられて。おいらはそういうところ、自分では鷹揚な方だと思うんだ。言い方を変えれば鈍いというか。よっぽどひどい相手とかち合わないと、そんな気分になることはないんだけど、よっぽどひどいわけです。2006.7.18 に出てきた霊感の強い人はそれで体調を崩したけど、霊感が鈍い人でもこうなんだもん、やっぱしこいつが撒き散らす毒は格別だよ。

どなたかこいつを退治して下さいませんかい。ライダーキックでもスペシウム光線でもいいです。

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実際、昨日あたりまでその影響でダウナー入ってたのよ。ほんとは今日書いたこのエピソードは、液晶モニタの話と合わせて日曜に書くはずだったんだけど、火曜になってようやく書く決心がついた、というわけ。ていうかもう日が改まって水曜になってるんだけどさ (-▽-;) 書く気になるまで相当かかっちまったよダウナー抜けなくて。

おいら、この人が「自分は持ってる」と主張する類いの霊能力はまったく信じてないんだけど、仏滅の日だけはちょっと気になるようになってしまったよ。

銘板
2006.9.6 水曜
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角川や あゝ角川や 角川や

打ちのめされましてござります。この衝撃はどう言えばいいんだろう。今度の『八戸フォーラム シネサロン』のネタ仕込みのために昔のアイドル映画をレンタル DVD で観て、思いがけず映画の本質を垣間見てしまった。よーするに、

映画は基礎さえ出来てりゃあとはどうでもいい

ということに気付かされたよ。「基礎」ってのは、脚本・演出・編集の映画製作工程3点セット。「あと」ってのは、ぶっちゃけ役者の演技力

泣けたよ。泣けましたよ。大林宣彦監督の『時をかける少女』。角川映画にして尾道三部作の2発目。主演の3人のうち、芸達者な尾美としのりが全体として演技レベルの引っ張り上げ役で、残り2人は棒読み。主役中の主役、原田知世は当時15歳。芸能界デビューして間もないうちで、芝居がヘタなのはしょうがない。ていうか同じく芸歴が短い高柳良一の方がもっと棒立ち棒読みだったぶんだけ知世ちゃんがフォローされてた感じ(笑)。それでもね、泣けるんですよ切なくて切なくて。

キャスティングの妙もあったけど、これはもう上述の「映画の基礎」がしっかりと出来てるからとしか言いようがない。原田、高柳両名の芝居のヘタささえ、この映画を作るための素材としてうまく料理しちまってる。大林宣彦恐るべし!

まぁ時代の要請と言いますか、最後のカーテンコール風クレジットタイトルと、最後の最後に知世ちゃんがカメラに向かって子犬みたいに走ってきて意味なく笑顔を振りまくあたりなんかもろにアイドル映画なんだけどさ、当時の角川映画ってのは、同時代の東宝の「作りゃいいんでしょ作りゃ」的な、製作側のモチベーション最低なスーパーアイドル映画と違って、映画としての品質を重視してたことが分かったよ。当時の角川春樹も恐るべし!

しかしさ〜、今の目で見るとほんと、昭和のアイドルって地味だよなぁ。髪は黒いし化粧っ気もほとんどないしスカートも長いし、そもそも顔の造りが地味だし。それでもさ、おいらはあの頃、原田知世ちゃんに入れあげてたのよね。『時かけ』の時点じゃまだファンじゃなかったんだけど、『天国にいちばん近い島』(1984)『愛情物語』(1984)のあたりにゃもうゾッコン LOVE だったね。知世ちゃんがかわいくてかわいくてかわいくて。

でも『早春物語』(1985)でなんか醒めちゃって。だってさ、まず話についていけなかったんだもん地味だしガキには難しすぎて。確か少女が大人の恋を知る話だったと思ったけど、よく覚えてない。そんで相変わらず芝居はヘタだしってことで、観てて途中で飽きちゃった。すごいがっかりして映画館を出て、心で知世ちゃんにサヨナラを告げたのを覚えてる。わずか1年半かそこらの、嬉し恥ずかしくもはかない夢でしたなぁ。でも今になって思う。多感な年頃のおいらにステキな夢を与えてくれてありがとうね知世ちゃん。本当に心がときめいたよ。

でさ、当時ってアイドル全盛。テレビじゃアイドルのバラエティ歌番組全盛。対して日本映画は斜陽を通り越して転落の時代。日本の映画界は生き延びるためにアイドル映画を作りまくったわけだ。主題歌を、歌がヘタなアイドルたちに歌わせたわけだ(そういや映画の内容じゃスカばっかだった東宝印のアイドル映画でも、松田聖子だけは演技力・歌唱力ともに別格だったな。あと、思わぬ拾い物は『プルシアンブルーの肖像』(1986)。全く期待してなかっただけに)。

そんなわけで角川映画も角川三人娘でアイドル映画商戦に名乗りを上げたんだな(ひいては映画とタイアップで音楽業界にも参入)。3人の中で一番美人だった末っ子の渡辺典子がコケたという誤算もあったけど、まぁとにかく長女・次女の薬師丸・原田は、角川から独立した今でも映画界の第一線で活躍してる。若い頃に(アイドル映画としては)質の高い映画に主演しまくって鍛え上げられた結果なんだろうなぁ。そこらは角川春樹の功績だね。

んで、その中の傑作のひとつが『時をかける少女』ってわけだ。ああやっと話が戻った (^^;) ていうかもう話すネタがないや。いい加減長くなったし、今日はこのへんでひとつ。

銘板左端銘板銘板右端

んでももうちょっと。角川三人娘のファンってさ、他のアイドルのファンたちと違って、徒党を組まなかったよね。個々の集まりというか、集まらないというか。あれってやっぱしアイドルとしては本格映画路線に乗ってたし、テレビのバラエティ番組には歌番組以外には極力出ないようにして、あくまで「女優」の路線を貫いたからなのかなぁ。まぁそれは仕手側の事情。ファン側の事情としては、オタッキーな性格の人たちがファン層だったってことが挙げられると思う。ことに知世ちゃんのファンって、どこかしらオタクの味わいがあったもんなぁ。まぁおいらはオタクへの道へは進まなかったけどさ(その方向に魅力を感じてしまいつつも、ハマる前に世間体を選んだ)。

銘板
2006.9.7 木曜
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脇差し@朝日科学部

今月1日に書いた「着るロボット」の朝日新聞の記事についてなんだけど、記事をよく読むに、リチウムイオン(Li-ion)電池より「10倍近く長持ち」はやっぱしガセなような気がする。

1日のログの最後の方で示したリチウムポリマー(リポ)電池の資料(Insider's Computer Dictionary)で、「エネルギー密度も高く(同体積のリチウムイオン・バッテリの1.5倍程度)」(傍線ゆんず)と書いてある。そして、朝日新聞8月26日の記事から再び抜粋。

 (前略)リチウムイオン電池の従来型電源は、人を背負った登山では消耗が激しく、1回の充電で20分程度と平地での活動の8分の1しか持たない。そこで液体電解質の代わりにゲル状ポリマーを使い、10倍近く長持ちするような改造も加えた。
 このロボットスーツを今月7月、長野県内に住む理学療法士、松本武志さん(28)が、スイスアルプスのブライトホルン(4164メートル)登山で装着し、足の不自由な同県小海町の自営業、内田清司さん(44)を背負って約30分間歩いた。(後略)

Li-ion 電池とリポ電池。20分と30分。きっかり1.5倍。Insider's Computer Dictionary の資料とバッチシ符合するんすけど。「10倍も持つのになんで30分しか歩かないのかなぁ」と疑問に思ってたんだが、これだと辻褄が合う。

朝日新聞科学部、またまたやらかしちまったか? これで、「10倍容量バッテリーで未来生活」の夢が崩れ去った可能性が高まったわけだが。どうしてくれようおいらをぬか喜びさせたこの不始末。相撲の行司が常に脇差しを腰に付けてるのは、「勝敗の判定ミスがあった場合、それで腹を切る覚悟」の意味とのこと。プロの鏡ですなぁ。朝日新聞科学部宛に、脇差しでも贈りますか(薄笑)

銘板
2006.9.8 金曜
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ラジオ収録前日

やべぇ、明日ラジオの収録だってのに、担当部分の原稿がまだできてない……。今日は飲み会が入ってしまって、とても原稿を書ける状態じゃないっす。ていうか眠くて眠くて。

まぁ今回はもう一人の人とタッグっていうか、ぶっちゃけおいらはオマケ的存在なんで、そんなに気合いが入らないのよね。新作紹介で『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』をアツく激しく紹介すれば、それだけで仕事8割方終了。マニアルームの原田知世特集は、もうお一方にほとんどオマカセの予定。おいらは茶々入れしてればそれでよし。そんなわけで安易に考えて、原稿書きを延ばし延ばしにして来たんだけど、そろそろちゃんとやらんといかんよなぁ。明日が休日でよかった。収録予定の夕方までに頑張って仕上げるべ。

あ、エンディングで、来週末の八戸フォーラム3周年記念企画の『相米慎二監督特集』のこと喋るのを忘れちゃいかんな。

銘板左端銘板銘板右端

気抜けついでに、全然発声練習してなかった。おいら普段はモゴモゴ系口調なんで、本番数日前から発声練習しないといかんのに、完全に忘れてた(汗)。とにかくとっとと原稿上げて、それ読みながら練習せんと……。でも今日は夜中まで飲んでもう眠いんで、とっとと寝る。おやすみ〜。

銘板
2006.9.9 土曜
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ラジオ収録完了!→居酒屋にツッコむ

どわりゃ〜! 『八戸フォーラム シネサロン』収録してきたぜ〜! 放送は12日(火曜)19:00〜、BeFM(76.5MHz)でだぜ〜! 新作『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』の紹介、カナーリ気合い入れたぜ〜! まぁ今回のメインは『時をかける少女』だったんだけどさ、こっちもがんばったよ(横から茶々入れ係だったけど)。

で、収録後ってのは解放感が格別でして、一緒に収録した仲間と屋台村に繰り出したわけだ。その人がよく行く、おいらにとっては初めて入った店でとりあえずカンパーイ。でさ、実はそこの斜め向かいの屋台が、前から気になってたのよ。全然客が入ってなくて。お盆前にいっぺんその店で飲んだんだわ。その時も屋台村ストリート全体が混雑してたのに、この店だけが客が入ってなくて、「しょうがないからここにするか」って感じで入ったんだ。したらこれがうまくて安くて。人気がないのがもったいなさすぎるってもんです。

んで、やっぱし今日も、週末ってこともあって屋台村は人、人、人。おいらたちが入った店は路地にまでテーブルを出してほぼ満員状態。他も大抵はそう。おいらたちも路地上の仮設テーブルで飲んだ。ビアガーデン状態だ〜。でも、問題の店だけは暇そう。通りかかる客はその店の存在に全く気付かないか、気付いてもスルーしちゃう。前回その店に入った時から気付いてた内装の問題点があったんだけど、今日は外からの見た目の問題点をじっくりチェック。地味で目立たないんだわ。居酒屋に必須の赤系統の色がないし、外に向かってアピールするものがない。お品書きや、どういう店かをしっかり見せるものがない。

ということで、酔い始めてきたこともあってなんだか見てらんなくなって、はじめに入った店を早々に出て、問題の店に入った。もちろんアドバイスするためだ。おいら的にはカラーコーディネーター(A・F・T ファッションコーディネート色彩能力検定2級っすから、ええ)の立場からいろいろと現状の問題点を挙げて、大してコストのかからない改善策をいくつか提案したよ。収録仲間は店に色気がないことを指摘(30代前半のあんちゃんが1人でやってる)。壁にアルバイト募集の貼り紙があったんで、愛想のいい女の子を雇うことを提案。大将は奥で黙々とうまい料理を作ってればいい。そしてその間、雇った女の子をカウンターに立たせてガンガン客の呼び込みをさせろ、と。

まぁそんだけやれば、他の店に負けずに間違いなく一見さんたちをひっかけられるし、味は絶品なんだからその中から常連客が生まれることでしょう。伝えることを伝えた満足感(9割方自己満足)に浸りつつ、おあいそしてもらった。やっぱ安い! そういう意味でも満足して我々は店を出た。

飲み仲間は早く帰らないといけなかったんで、ここでバイバイ。おいらはもう1軒、いつも行く店に顔を出すことにした。そしてそこでは、衝撃の真実がおいらを待ち構えていた。

銘板
2006.9.10 日曜
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勘定の真相

「いつも行く店」ってのは、2006.9.5 で行った店。行ったら早速お店のねーちゃんに「いや〜ゆんずさん先週はひどい目に遭いましたね」と同情された (-▽-;)

チビチビ飲んでたら、隣に座ってきた人は例のあいつじゃなく、前にここで知り合った塗装板金屋さん。この人がまたいい人で意気投合。今回は楽しい酒になりましたですよ。しかも1杯おごってもらっちゃった。ありがとう! \(^O^)/

夜も更けて客入りも落ち着いたあたり、店も暇になってきたんで、お店の人とおいら、ボツリボツリと語り出しますわな。話題は先週のあの人物。そいつのせいで酒がまずくなったんでおいらは途中で帰ったけど、やつはそれからもしばらく居続けたんだそうで。で、ほとんど自分で飲み代を払わなかったという。つまり、その店にたまたまやって来たそいつの知り合いに次々とたかってた、と。

そのたかり方がまた。たかる相手にはそのことを何も言わず、店の人にコッソリと「自分の勘定はあの人につけてくれ」と頼むという悪質さ。店としてはお客に意見できないんで、やつの言うなりにするしかなかった、と。そして、

おいらもたかられてた! orz

あの時さ、勘定が妙に高ぇなぁとは思ってたんだ。ただ、それを店に問うのはなんだかいかんような気がして、触れちゃまずい何かがあるような気がして、何も言わずに素直に払ったんだわ。それにおいらは酔っ払ってたんで、おいらが間違えてるかもと思ったんだ。それが、それが……ヤツの仕業だったのか!(怒)

ほんとあいつ性根の芯まで腐ってやがる。

やつが飲み屋街に出没するタイミングは土曜日らしい。で、1回出たら、何週間かのインターバルがあるらしい。ということで今回は土曜だけど安全日。安心して飲んだくれましたとさ。そしてやっぱり、お勘定はいつも通りリーズナブルでござった。

銘板左端銘板銘板右端

この飲みの前日(金曜)、例の問題人物が先週愚痴ってた対象から電話があった。問題人物に愚痴られた話を聞きつけて、その同情&事情説明の電話。なんかやつの言ってたこと、ところどころ微妙にあるいはまるきし違ってるんすけど。どっち信じるかっつったら、この電話してくれた人の方に決まってる。問題のやつはウソつくのが得意だから。うん。

なんか疫病神に取り憑かれたよーな気分さ (T▽T;) アハハ

銘板
2006.9.11 月曜
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H-IIA 10号機成功と NHK

やった! o( ̄□ ̄o) H-IIA 10号機、打ち上げ成功したぞ。搭載貨物の情報収集衛星が今後予定通り動くかどうかは、今はまぁどうでもいいっちゃどうでもいい。どうせ機密扱いで知りようがないんだし。とにかく H-IIA 打ち上げがとうとう2桁台の場数を踏めたことと、打ち上げ成功率がとりあえずの悲願の90%の大台に乗ったことを祝いたい。

ただ、日が悪かった。当初予定日の9月10日に打ち上げられてても、次の日は新聞が休刊日。で、ちょうど天候不良のせいで1日遅れて今日の打ち上げになったんだけど、やっぱり日が悪すぎた。だって9月11日だもん。お祭り騒ぎできる日じゃないよね。しかも今日は自民党の次期総裁候補の討論会。マスコミはどうしても9・11と討論会に重きを置きますわなぁ。

打ち上げ時刻の 13:35 もちょっとタイミングがまずかった。午後1時の NHK ニュース(テレビ)じゃ打ち上げ直前の様子しか報道できなかった。そしてその直後から討論会中継。テロップで打ち上げ結果の速報が入るかと、13:35 から仕事中なのにテレビ付けて食い入るように見てたけど、10分待って何も出てこなかったしさすがにバツが悪くなってきたんで諦めた。

午後7時の NHK ニュース。やっぱし9・11と討論会がトップ。終わり近くにやっと出てきたと思ったら、かなり短いんでやんの。しかもさぁ、今回打ち上げたのは光学衛星(高性能なデジカメが載ってると思ってくれ)なんだけど、ニュースに出てきた CG 映像はレーダー衛星を説明したもの。それは来年の春に打ち上げるやつでしょが。何なんだよ一体。やる気あんのか NHK。

この調子じゃ明日の朝刊もあんまし期待できそうにないですなぁ。まぁ、H-IIA 打ち上げの扱いが小さくなったってことは、それだけ H-IIA が「うまくいって当然」と信頼されてきたってことでもあるんだけどね。でも裏を返せば、失敗したらまたマスコミたちが喜々として大々的に報道するってことなんだよね。ハイエナ体質。まぁ今回は打ち上げから記事の締め切りまで時間があるんで、明日の新聞に淡い期待をかけてみますか。突っ込んだ内容を書いてくれる新聞社がいてくれればいいけど。

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5年くらい前までは、打ち上げ成功率90%、つまり10発に1発は失敗してもいいのが世界標準だったんだけど、いつの間にか成功率95%が標準になってしまった。それだけ世界のロケットの信頼性が上がったってことで、宇宙開発ファンとしては宇宙が少しでも近くなって喜ばしいことなんだけど、H-IIA にとっては、これから先、10発連続で成功しなきゃ、世界の衛星打ち上げ市場から信頼を勝ち得ることができないっつうことになったわけ。

現状じゃ1年に4発の打ち上げが限度なんで、最短であと2年半もかかることになる。H-IIA の最終的悲願である衛星打ち上げビジネス参入へは、苦難の道がまだまだ続きますなぁ。

銘板
2006.9.12 火曜
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静かな生活

今日オンエアされた『八戸フォーラム シネサロン』は、全体としてはまあまあうまくいったかなって感じ。反省点は、今回はおいらは脇役だったんだけど、主役のお方(新人)を時々押しのけてしまってたのはまずかった (-o-;) いや、確かに時々だったけど、流れを遮るような話を割り込ませるのはダメだよね。うん。反省。あと、エアチェック失敗してしまった orz

銘板左端銘板銘板右端

ここ2,3日、静かな生活を楽しんどります。何が静かかって、携帯電話の着信が。PC のメインアドレスに来たメールをケータイに転送するようにしてた設定をやめてみたのだ。ケータイのメール機能には、おいらのケータイ宛に直接出したメールしか来なくなったってわけ。

PC のメインアドレス、ここ数カ月でスパムがやたら増えちゃってさ。1日10通以上来るようになっちゃった。以前はスパムが来るようになっても散発的で、放っておけば自然と来なくなってたんだけど、今回のはしつこい。しかもだんだん増えてる。タイトルも巧妙化してきてる。「こんばんは」「お詫び」「ありがとうございました」「お礼」「Re:」なんて、メールのタイトル付けがヘタな人やタイトルを気にしない人のまねしてくるようになってきやがった。でも相変わらず「人妻アクロバティックナイト!!」「★出会い系サイト攻略★」「肉体以上のカンケイ」なんつうある意味正しいスパムも健在だけど。

んでこうゆーのがケータイに転送されて来る度にいちいち削除してたんだわ。この時点で既に気分的にいっぱいいっぱいだったんだけど、さらに、最近新規に高校の同期会の SNS に加入しちゃって、マイフレンドの登録・承認ごとにメールがけっこうばんばん届くようになってしまって。んで、この SNS が楽しいもんだから調子に乗ってダベり系コミュ立ち上げたら、コミュに人が参加するごとにメール来るし。

サブのアドレス(このサイトの公開アドレス)で登録すればよかったんだけど、どうもサブアドレスの鯖と同期会 SNS の鯖との相性が悪くてうまく連絡がつかなくて(そういうことあるのかな。考えにくいんだけど。でも実際そうなった。相性以外の問題かな)、しょうがないからメインアドレスを使う羽目になった、と。ケータイにますますメールが殺到するようになっちまった。

で、便利だったんだけど泣く泣く「メインアドレス→ケータイ」の転送設定解除。

前は1時間か30分ごとにケータイが「ム゛ー、ム゛ー」と振動してたんだけど、もうほとんど鳴らなくなった。鳴るときは必要なときのみ。快適快適。今まで転送設定解除を躊躇してたんだけど、やってよかった。パケ代も抑えられるし。

そそ、一番ムカついてたのが、ケータイでメールを書いてるときにメール着信しちゃったとき。基本的に着信メールを無視してそのままメールを書き続けてたんだけど、誰からどんなメールが来たのか気になる。けっこう急ぎの用件かもしんないし。書きかけを保存するの面倒だから、急いでメールを仕上げて送ってから着信メールを見ると出会い系。ムカァ〜 (-_-#)

んでまぁそういうことがなくなって落ち着いた暮らしができるようになったんだけど、根治はしてないわけよ。PC にメールを落とすと、スパムと高校同期 SNS のメールが入り交じっちゃってて。まぁメール振り分け機能で SNS の方を別フォルダに入れる方向で対処するか。

しかしスパムってさぁ、ほんとどうにかなんないもんかね。常時接続って ADSL の普及とともに「夢、到来」って感じだったのに、こんな招かれざる客まで到来してしまった。常時接続自体は、アメリカの市内電話って「1回いくら」っつう料金設定で、何時間かけても同じ料金なんで、56kbps とかの電話用モデムでできちゃうんだよね。だからスパムメールというアイディアもその手口も、インターネット歴も常時接続歴も長いアメリカから来たと思うんだけど、やっぱ本場でも打つ手がないんだろうなぁ。英語のスパムも毎日のように来るようになったしなぁ。

こいつさえどうにかなれば、本当の「静かな生活」が手に入るんだが。救いは、愛用のメールソフト Netscape 7.2 のジャンクメール検出機能がけっこう精度よく働いてくれてるってとこか。

銘板
2006.9.13 水曜
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堂々巡り的スパイラル

この日記の HTML アップデート作業、当初計画はようやく終わった。Another HTML-lint gateway 様での添削でも HTML 4.01 Strict 規格で89点以上で、「よくできました」を頂けた(2006年8月分以前のやつね)。まだツッコまれポイントはいくつかあるけど、いずれさらに移行する予定の XHTML 1.0 だと OK の項目だったり、現状の規格じゃ対応できないものらしいんで、そうゆーのは放っとくことにした。

しかし、

Another HTML-lint gateway 様でも見逃す問題点をまた発見してしまった。table 内での tr や td タグでの align 属性はノーチェックなのね。見つけてしまった以上、潰さねばなりませんな。たとえチェックサイトのお目こぼしであろうと、規格外は規格外。そして CSS 的対応策はある。別に表示に不具合はないんだけど、なんかやっぱし直さないと気が済まんなぁ。しかも今度はログ1日ぶん毎に改善点がある。日付や「前日に飛ぶ」を収めてる table 内の改善。まぁ「前日に飛ぶ」機能を付けた以降のログについてなんで、5年分全部ってわけじゃないのが救いか。

きりがないけど、それでソースがかっこ良くなるかと思うと、やめられん……。

銘板左端銘板銘板右端

ちなみにうちの BBS はどうなっておるのかとソースを見てみたら、今どき堂々と center タグとか使ってやがった。見るんじゃなかった……。

銘板
2006.9.14 木曜
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あっちの世界から帰って来ました

すんませんこれ、日曜(17日)未明に書いてます。ここしばらく、ちょっと遠い世界に行ってたもので。

高校の同期生の SNS にハマっちゃってさ。始めはおずおずと参加したんだけど、懐かしい友達とのトークセッションで次々に蘇る記憶が面白くて、そっちにばっかし入り浸ってしまって。で、土曜(16日)にようやく mixi の方に復活してバトンを楽しんだぐらいにして意識を一般社会向けに慣らして、そんでやっと本拠地(このサイト)に心が帰って来ました、というわけ。

でもあんましこの日記が遅れちゃったもんだから何書いていいやら分からなくて。リハビリにもう少し時間かかりそうな気配。

なんかさ、SNS でばっかし書き込みしてると、HTML 4.01 の厳格なルールに乗っ取って手書きでサイトを作るのがあほらしく感じられてきてさ。やばいよなぁ。モチベーション下がっちゃってるよ。

つうことで、これからもしばらくは腑抜けた日記になりそげ。

銘板
2006.9.15 金曜
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成田に国内便をもっと入れてくれ

成田空港の第2滑走路を2,500mに延ばすことが決まったんだって? これで、ジャンボジェット機が離着陸できるようになるんだそうで。ただ、燃料をあまり積んでない状態あるいは燃料タンクが小さいタイプのボーイング747ってことで、アメリカ西海岸の空港が精一杯らしい。アメリカ東海岸まで一気に飛ぶためには、それだけ燃料を積んだ重い機体を飛ばさなきゃならなくて、滑走路は3,500mくらい必要になる。そういう便は相変わらず第1滑走路しか使えない。ということで、今は反対派に押さえられてる土地も視野に入れて、第2滑走路をさらに延ばす夢は捨ててないらしい。

それはいいんだけど、やっぱさぁ、現状の「成田は国際便専用、羽田は国内便専用」って基本方針、多少の例外はあるにせよ、不便だしおかしいよ。外国の国際空港や中部国際空港って、国際便・国内便をその場で乗り換えできるじゃん。そうゆー形の方が断然便利だってのに。

その線で考えて、成田も羽田も国際便・国内便どっちも扱うようにしたらいいと思うんだけどねぇ。でも、主に成田空港サイド(地元自治体)の要望として、「成田は(ほぼ)国際便専用、羽田は(ほぼ)国内便専用」がいまだに継続されてるんだよね。どうも成田派の人は「羽田と競争になると東京から離れた成田は不利」と思い込んでるらしくて。

違うんだよこれが。確かに東京は日本の人口の約1割を抱える大所帯だから、大事なお客さんなのは分かる。でも、他のところにも日本人は住んでるのよ。要は、成田は東京以外からの客を集めれば全く問題ないのではないのか、っちうことだよ。

東京以外に住んでる人が、海外に行くとする。一番便数が多くて便利な成田空港を使う場合、まず東京に出なくちゃならない。んで、重い荷物を体一杯にまとって、慣れない人混みをかき分けて京成電鉄に乗り込むか、JR の成田エクスプレスあたりで成田空港に行く。東京に出る時に新幹線を使った場合はまだいい。東北系新幹線ユーザーなら上野駅で京成電鉄に乗り換えられるし、JR 東京駅はけっこう千葉寄りだから、そのまま JR の乗り継ぎって手もある。めんどくさいけど、はじめに鉄道を選んだ時点である程度の覚悟はできてる。

問題は、飛行機で東京に出る場合。到着先は大抵の場合羽田空港ですな。今は成田までの直通電車があるらしいけど、それでもいったん空港を出て首都を横断してまた別な空港に入るっての、すげぇ効率悪いんすけど。つうか用事もないところ(東京)に無理矢理立ち寄らせられてけっこうムカつくんすけど。

これが、地方空港から成田に直接乗り入れて国際便に乗り換えられれば、どんなに便利なことか。地方客にとっては、東京になんて別に用事がないんだから、羽田が東京都内にあることも、成田が新宿から遠いことも関係ない。成田空港が各地方への国内便をうまくつかまえさえすれば、成田と羽田は同じ国内・国際兼用空港として、協力し合ってうまく棲み分けていけるかと。つまり、羽田は首都圏の西側の人口密集地帯から直接来る乗客がターゲット。成田は地方空港からの乗り入れ客がターゲット。

まぁ依然として羽田に国内便が往来するんで(東京圏を目的地とした乗客)、羽田が有利な感じはあるけど、そこらはあとは成田が自助努力でどうにかすればよし。これは国策絡みでもあるんで、国としても野放図な自由競争させるってわけにもいかないでしょ。しかも首都圏第三空港案なんてふざけた話も出てることだし。いや、3つめをうんぬんする前に、今ある2つの空港を有効活用しようよ。本来の、お客さん本意の姿勢でさ。

銘板
2006.9.16 土曜
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趣味再燃の兆し

探し物をすると意外なものが出てくる。って前にもそんなことを書いた気がする。今回はね、青春の遺物を探してたのよ。そしてら思いも寄らぬものが出てきちゃって。

探してたのは、青柳金属工業(AYK)謹製「RS401i サイクロン」。まー昔のラジコンカーだわね。売ってた当時は 26,000円という高嶺の花だったんだけど、何年か落ちの売れ残りを模型屋で10,000円で買ったんだった。12分の1電動オンロードカーでは珍しい4輪独立懸架サスペンション装備。その売り物のサス機構と設計が、米デルタ社の8分の1エンジンオンロードカー「イーグル」にそっくりだったことから、アメリカでは「ベイビー・イーグル」とあだ名されてたそうな。

名車なら売れ残ることもなかったんだけど、こいつは名車ってよりキワモノ的存在だった。当時8分の1の方では4独サス装備車が台頭してきてて、その流れを12分の1に持ってきた形だったんだけど、AYK がサイクロンを開発中の段階で、大阪の ABC ホビー社が12分の1オンロード4独サス車・スーパーヒーロー X1 を先に開発して販売してしまった。

実際は大したポテンシャルのマシンじゃなかったんだけど、焦った AYK はスケジュールを繰り上げることを決断。ともかく商品化を急いだ。「青柳金属工業」の名前通り、この会社は金属加工が得意で、試作車はパーツのほとんどがアルミ製だった。けどその焦りからか、軽量化・コストダウンのためか、慣れぬナイロン樹脂パーツを大量に導入したのが敗因となった。

樹脂製品は精度を出すのが難しい。溶かした樹脂を金型に流し込んで作るんだけど、樹脂が冷えて固まると体積が減って、金型通りの形にならない。だから、冷えた時の形を見込んで、職人の経験と勘を織り交ぜて金型が作られるんだけど、このとき AYK は質の悪い金型屋に発注しちゃったらしい。サスペンションを構成する各パーツの加工精度は「これが日本製の工業製品か」と絶句するほどひどいもんじゃった。サスペンションは作動するにはしたけど、動作のシブさがね。

樹脂パーツの精度以前に、全体の設計にもところどころに問題があったんだわ。商品化のためのシェイクダウンをろくにやらず、やっつけ仕事で急造したマシンだということが手に取るように分かってしまうという、なんだかうら悲しい宿命を負ったマシンなのであった。シャーシやメカプレートのサイズが、半ば規格品のバッテリーやサーボと合わないんだもんなぁ。しかも12分の1カテゴリにはとうとう4独サスの波は来なかった。

そこから何年か後に確定したんだけど、スイングアームやダブルウィッシュボーンのしっかりとしたサス構造 + コイルスプリング + オイルダンパーなんつう実車寄りなメカはせいぜい10分の1サイズまでで有効で、12分の1なんて小ささじゃ、「スリーポイント式」という、小型の模型でしかあり得ない超単純なサスペンション形式が最適解だったのよね。

しかしッ! サイクロンのシャーシのフォルムは群を抜いてカッコ良かった。「欲しい!」と思わせるだけの魅力に満ちあふれてた。ということで、数々の問題点を抱えたマシンだということを承知で、売れ残りを手に入れた若きゆんずであった。

でも当時はもう12分の1電動オンロードのカテゴリ自体が退潮気味で、時代は10分の1電動オフロード全盛になってた。おいらはでき得る限りの改造を施して、このマシンを「使える」状態に持って行ったんだが、ついにレースで活躍する機会はなかった。とにかく何かと哀しい宿命のマシンなのだった。そいつをなんか知らないけど急に見たくなっての探し物だった。『ゆんず金属工業略して SNACK ゆきこ』の萌芽のひとつに再び触れたくなって(あと当時は、今は亡き石政模型の12X [トゥエルブエックス] と京商のスコーピオンにもバリバリに手製の改造を施した。こいつらは発見済み)。

我が AYK RS401i サイクロンは部屋のどこかに眠ってるはず。で、ガサ入れ開始。でもいくら探してもブツは出てこない。捨ててしまったんかなぁ。それでもとにかく頑張って探してたら、あるはずのないものが出てきてしまった。それは

カシオトーン。

ご丁寧に、脚も分解状態で一緒に保存されてた。な、なんでこんなもんがここに?……確か大学を卒業してアパートを引き払う時、後輩にあげたはずのものだったのに、ほんとなんで?……って「後輩にあげたと思い込んでた」としか考えられんな。

このカシオトーンは友達に売ってもらったやつなんだよなぁ。これを使って、妹からもらったピアノの教科書「メトードローズ」(フランスのやつ。簡単で短い練習曲がてんこ盛り)を一通り独学したんだよなぁ。ああ、RS401i サイクロンほど昔じゃないけど、過去の記憶のニオイが鼻の奥にツーンと蘇っちまったぜ。あれから手に触れたキーボードと言えば、PC のキーボードだけ。音楽の方のキーボードの腕は完全に落ちてる。ていうかメトードローズは基礎中の基礎なんで、それだけできても結局何の役にも立たないんだよなぁ。

うちにはスタンドピアノが1台ある。妹が小さい頃に習ってたやつ。メトードローズもその時のもの。カシオトーンなんかより、こっちで十何年かぶりにメトードローズの復習をして、そこからバイエル(ドイツの教科書。ペダルの使い方も学べるけど内容はとにかく単調で、やり通すには相当な根気を必要とする)の練習をした方がよっぽどマシなんだが、そこに問題が立ちはだかるわけ。

学生時代、実家に帰省するごとにピアノでメトードローズを練習したんだが、カシオトーンと違って、ピアノは打鍵の強弱まで音の強弱として表現できるわけだ。実際に演奏して自分で聴くと、それぞれの音の大きさがめちゃくちゃなんですわ。いつも聴いてたのはピアノ曲じゃなくハードロックばっかしだったけど、プロの整ったサウンドに慣れ親しんだ自分の耳が、そのひどい音を受け付けなかったのよね。初心者なんだからヘタで当たり前なんだけど、あまりのヘタさに自分で耐えられなくて。

うまくならなきゃ練習できないという間抜けなジレンマ。

でも、時間作ってまた挑戦しようかな。この「時間がない」というのも問題なんだけど、そこをなんとかやりくりして、やりかけのこの趣味を完成させようかな。別に今さらプロ級の腕前は求めない。。「練習曲でもいいから、凝った技巧もできなくてもいいから、なんとか人様にお聴かせできる程度の腕前」を目標にってことで。甘いかなぁ。

想定外のブツを発掘してしまったおかげで、今まで消えてた音楽への野望が再燃しつつあるっす。

銘板左端銘板銘板右端

んで、我が AYK RS401i サイクロンはいずこへ……?

銘板
2006.9.17 日曜
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意味なし弥七発電機

商業至上主義がウソつきだって物証を発見してきただよ。某大手郊外型大型ショッピングセンターで。そこは「私たちは環境に配慮しています」なんてポーズを取っててさ、いいイメージを前面に出してるわけよ。でもね、それはあくまでもポーズだけだったよ。環境問題に対する本気の姿勢が全然ないってことが、分かってしまったよ。

おいらがこのショッピングセンターを利用する理由はただひとつ。併設されてるシネコンで映画を観るため。八戸フォーラムでやってない映画をやってるときがあるから、それで。でなきゃわざわざ買い物なんかで八戸市外にまで足を運ぶ気がしない。

そのショッピングセンターは、買い物をした時にレジ袋を断るとスタンプカードにスタンプをついてもらえて、スタンプがたまると何らかの特典があるとか、裏にでっかい風力発電機が設置されてるとか、「木を植えています」宣言とか(広大な雑木林を丸刈りして建設したショッピングセンターなんだけどね)。そういう、環境問題を利用したイメージアップ戦略を展開してるわけ。商売をサポートさせるのが主目的とはいえ、環境にいいことならやった方がいいわな。でもねぇ、環境対策の専門家抜きの素人考えのみで、ぶっちゃけお店のイメージアップのためでやってるっぽいのよね。

そのショッピングセンターに、『グエムル 〜漢江(ハンガン)の怪物〜』のレイトショウを観に行ったのよ。んで、裏手の巨大駐車場から回ってシネコン用の駐車場に向かったら、風力発電機が。ばばーんとライトアップされてどどーんと目立ってるのよ。いかにも「うちはこんなにも環境保護に寄与してるんですぅー!」とでも言いたげに。

風力発電機ってさ、自然エネルギーから電力を取り出す装置なわけ。何もないところから電力を作り出すわけ。だから環境にいいってのが触れ込みなわけ(製造・廃棄に費やすエネルギーを考えるとかえって環境に悪いとか、貴重な野鳥をギロチンに処すとんでない機械だとかっつう意見もあるけど)。けどその夜は無風で、風車は完全に止まってたのよ。

風力発電機
この発電機、ライトアップで電気無駄食いしてますが。

そういうわけで、このショッピングセンターのシンボル的存在のこの風力発電機は、環境保全対策を真面目に考えたものじゃなく、ただの広告塔なんだわ。この発電機を開発したメーカーさんや技術者さんたちにとっても、大変不本意な使われ方だと思うんだが。

銘板左端銘板銘板右端

八戸やその近郊の気候は、年間を通して晴れの日が多くて、積雪が少なく、冬場以外は風の強い日があまり多くない。ということで、頼りにならない風任せの風力発電より、太陽電池の方がよっぽどまともに電力を稼げるんじゃないかと。それならこの郊外型大型ショッピングセンターの有り余る屋根に太陽電池を並べた方がずっと環境にいいと思うんだが、それじゃ周囲から見て目立たないから絶対にやらないだろうなぁ。

銘板
2006.9.18 月曜
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趣味の世界なのです

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

おととい探してたブツがとうとう見つかった! 青柳金属工業(AYK)RS401i サイクロン。会いだがっだよぉ〜 (T▽T)

こいつはおいらがラジコン(RC)をやらなくなってから、人に預けてたんだよな。預けてたというか任せてたというか。「好きにいじっていいよ」と。したら、とりあえずおいらが塗装したボディをなくされたわけだ。まぁいい。あの塗装はそんなうまくなかったから。うん。いや、自分じゃ気に入ってたんだけどね。まぁいい。うん(啜泣)。で、もうこいつが走ることはないんだろうけど、「いじっていい」と言った手前、メカ関係をいじられてますな。

しかしサーボセイバーを上向きにしてステアリングロッドを上から取るのは、このクルマに関しては御法度なんだが、ステアリングロッドは下から出さなきゃいかんのだが、やっちゃってるんですなぁ。おかげでフロントサスの沈み具合でトーインが変化しちゃってるよ。これじゃあコーナリング時は巻き込んで扱いにくかったろうなぁ。

でも痛快だったのは、このマシンは現役時代(22年くらい前)に、RC カーフリークたちからかなりの注目を集めた過去を持ってたんで、おいらがこのサイクロンを預けた人が東京のサーキットで走らせてたら(12年くらい前)、「おおっ懐かしい!」と人だかりができたらしい。なんせこのマシン、後ろから見ると一発でそれと分かるくらいの個性を放ってるもんだから(これほど凝ったリアサスを持った12分の1オンロードカーは他にないのだからして)。

んで、おいらの独自改造を褒めてくれた人がけっこういてくれたらしい。嬉しいもんですなぁ。にょほほほほほほ。

んでもまぁあらためて見直すと、改造箇所、いずれもかなり地味なんですわ。こんな地味な改造に気付いた人たちって一体……。もしかしてこれが「マニヤ」ってやつですか? 東京のマニヤは底が知れんなぁ。だったらついでに、10分の1オフロードカーの京商スコーピオンも一緒に彼に託すんだった。フロントサスを派手に改造してるんで。オリジナルのダメダメなセミダブルトレーリングアームを見慣れたマニヤさんたちの目には、同じ部品を使って作り直したダブルウィッシュボーンのフロントサスはさぞ強烈に映ったことじゃろうて。

おいらが現役だった頃、せっかくそんな大改造をしたってのに、完成した時にはみんな原形を忘れ去ってしまってて、かなり悲しい思いをしたもんじゃよ。あ、今度そのスコーピオンの大改造したフロントサスを見せたげるよ。もういい。分かる人に分かってもらえればそれでいい。

おっ、京商のホメパゲ発見!

ふむぅ、10分の1電動オフロードカーは こういう形に進化したのか。サス形式が前後ともダブルウィッシュボーンなのは20年前に出来上がった形とほとんど変わらんけど、パワートレインの形態は激変したんだなぁ。まさかモーターもバッテリーも縦置きになるとは。しかもシャフトドライブ。当時のオフロード四駆の前後方向の動力伝達はコッグドベルトかミニチュアチェーンが主流だったのに、これってタミヤのホットショットとスーパーショットが一番正解に近かったってことになるなぁ。なんとなく癪だなぁ(笑)

で、サイクロンと同じ12分の1オンロードはどうなんじゃい。と京商サイトを漁ったら、ない! 一番近いカテゴリで10分の1電動。しかも中身を見たらベルトドライブ四駆じゃないのよ。なんか違う! あまりにも違いすぎる! 過去にあれだけの栄華を極めたカテゴリが消滅したってのは、悲しいもんですなぁ。

確かに初心者には敷居が高かった。12分の1スケールという小ささに、7.2V ニッカドバッテリーとマブチ540Sと同規格のモーターは明らかにオーバーパワーだった。しかもマブチ 540S はあくまでも基準というか普及品で(1,200円だった)、各メーカーやサードパーティーがしのぎを削って開発したモーターはもっとパワフルだった(4,000円〜12,000円くらい)。

おいらの愛車サイクロンには写真の通り、普及品のマブチ 540S が載ってるわけだが、それでも速すぎて手こずったぞ。サイズが10分の1スケールくらいに大きくなれば挙動がおとなしくなって、しかも四駆だから操縦もラクチンなんだろうなぁ。本格的なダブルウィッシュボーンサスペンションを装備してまともに機能できるサイズでもある。で、ピーキーで神経質な12分の1は廃れてしまったということかと思う。それは理解できた。

でも理解できないことがある。それは値段。京商の10分の1オンロードで50,400円。10分の1オフロードで42,000円。高いよ。べらぼうに高すぎるよ。買えねぇってば。おいらが現役だった頃には、どんなに高くても26,000円くらいだったぞ。スコーピオンなんか17,800円だったんだぜ。何がどうなって、失われた10年の間に日本経済全体がデフレスパイラルしてた中で、なぜに RC カーだけがこんなにインフレまみれになったんだろ。

最近ちょっと RC 界への復帰を目論んでたんだけど、値段見てやる気失せたわ。でもまぁ、今度 RC 雑誌でも買ってみようかな。おいらが何か重大な勘違いしてるかもしれんし。

銘板左端銘板銘板右端

あ、タミヤの10分の1オンロード四駆は本体価格12,800円だ。やっぱし何かおいらが勘違いしてるっぽいな。

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2006.9.19 火曜
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手動的自動処理

なんか最近すげぇ寝不足で。うむ。2つの SNS にハマってるってのが原因なわけだが。

昨日のログ書きなんか自動操縦状態だったもんな。書いてる時の記憶が飛び飛び。自動でアヤシゲな文章を書き連ね、自動で写真を撮って PC に落としてレタッチして自動で鯖に上げて自動でページにリンクを貼り込んで、自動で関連リンクを探してページに埋め込んで、自動でちゃんと表示されるかどうかチェックして……。5年もやってると、そんな芸当もできるようになるのだね。

んで、こんなに狭く特殊化された技能が、一体他に何の役に立つんだろ orz

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2006.9.20 水曜
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新政権に無茶な期待

小泉ロングラン劇場も、けっこうな人気を保ったまんまで、ついに円満に幕を引きそうですな。んで思うんだけど、あの小泉人気って、北朝鮮という外敵の存在のおかげだったんじゃないのかねぇ。

マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『華氏911』からの受け売りだけど、政府が国外からの脅威の存在を示して国民に警戒を呼びかければ呼びかけるほど、国民は政府を頼る、つまり政権の支持率を上げる方向に傾くんですな。このメカニズムが小泉政権にも作動してたんじゃないかと。わざとかどうかは知らんけど(メリケンの藪大統領の場合、外から見てかなりロコツだったよね)。

小泉外交の成果として、北朝鮮訪問から始まって、拉致被害者とそのご家族の一部奪還、六カ国協議の設立と参加という一連の流れが挙げられますな。当初は北朝鮮との友好を目的としてたんだけど、拉致問題から両国の関係はこじれましたな。これははじめの筋書き(日朝共同声明を出すこと)と違ってたけど、その後うまいことマイケル・ムーア理論のツボにはまったって感じ。

そのせいかどうか不明だけど、衆議院選じゃ自民党が濡れ手で粟の大圧勝(民主党がふがいなかったってのも大きかったけど)。比例代表でも取りすぎて余っちゃった議席を社民党あたりに恵んでやったぐらいにして。さらに小泉政権終盤にはご丁寧にジョンイル君、意味なく日本海にミサイルぶっ放して日本に脅威を与えてくれたし。小泉君、政権支持率を見て笑いが止まんなかったんじゃないだろか。唯一の誤算は、メインディッシュのテポドン2号がスカだったってあたりか。多段ロケットの1段目の開発は難しいからなぁ。

とまぁこうして日本を外から眺めたよーな書き方してるけど、実際おいらは日本国の中で、日本の生活にどっぷり浸かりながらこれ書いてるわけで、事象が客観的に見えてるってわけじゃないかもしんないのよね。

それでもまぁ辺境に住んでるおかげで、遠い中央から発せられる主に中央向けの情報を、ある程度醒めた状態で受け止められるっつうメリットはあるけど。日本のお国柄って「日本=東京」かつ「東京=日本」みたいなところがあるからね。その証拠に全国系マスコミの街頭インタビューって、全国系のくせにほとんど東京でしかやんないでしょ。日本人の大部分を占める、東京圏以外に住む国民の意見なんて蟻のささやきぐらいにしか思ってないっしょ。当の地方在住民も含めて。「首都圏民にあらずんば人にあらず」ですな。

そうして、一応日本に住んでる日本国民ではあるんだけど日本に棄てられてる宙ぶらりんな人間としてはですな、どの政権が立とうが、政府や政権に対して必ず距離を感じるわけですよ。それでも政府からバイアスかけられてる可能性もあるけど、「構ってくれないならどうでもいいや好きにすれば。見届けてやるから」的な観点を持てるわけですわ。

つうことでね、日本に居ながらにしてできるだけ客観的なものの見方をしたかったら、どこでもいいからなるべく東京から離れた地方に引っ越しなさい、と。かなり場当たりな意見だけど。

新しい首相もさ、決まるや否や真っ先にアメリカに挨拶に行く悪習をやめてさ、本当に日本全体のことを考えてるなら態度と行動で示せ、と。つまり首相に就任したら、太平洋を飛んで渡る前にまず国内でしょ。いの一番に全国行脚して全国民にナマで挨拶しろ、と。東京に籠ってちゃ絶対に見えない、日本全国民のナマのツラを見て回れ、と。東京から電波で挨拶して国内はそれで済まそうなんて横着はするな、と。

政府や首相がそこまでやってくれるなら、おいらマイケル・ムーア理論に基づくマインドコントロールに引っかかってやってもいいよ。まぁ現状でも半分くらい引っかかってそうなのが気持ち悪いとこだけど。

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その考えで行けば、宇宙から地球を眺めると、世界の本当の姿が拝めるってことになるわな。高度はそうだなぁ、国際宇宙ステーションの400〜500km程度じゃまだまだだな。視野から地球が溢れちゃう。かといって静止軌道(高度35,800km)じゃ地球の球としての膨らみがあまり感じられなくて、平らな円盤に見えちゃうかも。ちょっと遠すぎ。

高度5,000〜10,000kmくらいか? これだと地球の大きさが視野角 60°〜43°くらいで(表計算ソフトで計算しました。便利だなぁ)、立体感を感じたまま地球全体を一望できる。宇宙船の軌道はその高度の円軌道じゃなく、楕円軌道で遠地点がそのあたりの高度ってことにすれば安く上がりそうだけど、現状だと旅費が100億円くらいかかりそう (T▽T)

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2006.9.21 木曜
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西部劇なハチアブジェット

ハチアブジェット。こいつがおいらの頼もしい右腕さ。

たまたまなんだけど、まず、高校同期の SNS で「スズメバチが家に入ってきて困ってます」という日記を書かれた方がいて。さらに別口の友達からケータイメールで、「家にスズメバチの巣ができちゃったよ〜明日業者さんに来てくれるように頼んだけど16000円もかかるってさ〜」。

SNS のお方は、1匹だけだったし、なんとか自力で家から追い出すのに成功したみたい。ケータイメールのお方には、ハチアブジェットの紹介と、その時の服装(スズメバチ黒いものに敏感なんで、白っぽい服と帽子着用)を指導しといた。してその答えは

そんなこと怖くてできん!
命がかかってるじゃん!!
まだ死にたくないよ

ハチアブジェットの素晴らしさを知らんと見えるな。おいらがこいつのお世話になったのは、もうかれこれ7年も前の話さ。ちょっと検索してみたら、おお、今は「アース ハチアブ マグナムジェット」という新モデルになってたか。名前も強化されたなぁ。

7年前、おばあちゃん一人暮らしの親戚の家にスズメバチが巣を作ってさ、この蜂の巣がまた家の内部にできちゃって。庇の下に開いた穴から我が物顔に出入りしてやんのスズメバチ。で、とりあえずなんかあるだろう、と DIY 店に行って見つけてきたのが、アース ハチアブジェット。

あの年の夏は異様に暑かった。空梅雨にそのまま続いた猛暑で空気も乾燥してて、土の地面がすっかりひび割れてた。そんな西部劇っぽい気候の中、おいらはスズメバチーニョ一味に一人で立ち向かうのだった。「ふっ、てめえらの蜂の巣を蜂の巣にしてやるぜ!」。しまったテンガロンとポンチョとブーツでキメるんだった。

服装はどうでもよい。おいらはスズメバチが周囲を飛んでいない頃合いを見計らって、出入り口の穴に銃口(?)を向け、距離2メートル弱から一気に噴射した。おおおーすげぇ勢い! 確実に穴に入っていってるよ殺虫剤。で、数秒間噴射してから様子を見てたら、やっこさんがた穴からぞろぞろ這い出てきやがった。

なんかもう完全にヘタレ切ってて、よろめきながら穴から出ては、「お、おのれぇ〜」とでも言いたげに地面にボタボタ落ちていったよ。それから出張ってたやつらが戻ったところを狙って何度か噴射して、おいらが弾丸切れになったとき、沈黙は訪れた。中で死んだのも相当いただろうけど、外に這い出て死んだやつらは総勢13匹。落ちてからも数分は羽根と足を痙攣させてたけど、5分くらいでみんな動きが止まった。

容赦なく照りつける太陽の下で死んでいく悪者ってのも、これまた西部劇っぽかったなぁ(笑)。で、自然界の非情さを感じたのは、落ちたハチの動きが止まるか止まらないかのうちに、もうアリが群がってハチの体を食いちぎり始めたこと。あれはさすがにちょっとかわいそうだったよ。しかし、殺虫剤まみれのハチを食って、あいつら大丈夫だったんだろか。どうでもいいんだけどね。

つうことで、あれ以来スズメバチ退治はしてないんだけど、ハチアブジェットは頼れる相棒として、ダーティーハリーでのスミス&ウェッソン級の地位をおいらの中で確立したのだった。

でもさ、なんてーの、ときどき思い出すんだよなあの時のコーフンを。ハチアブジェット。それは、使う者を病み付きにさせる、なんともアヤシゲなウエポンなのであった。

「今宵のハチアブジェットは血に飢えている」って感じ (^o^;)

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2006.9.22 金曜
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ラスト M-V 打ち上げ成功祈願

明日、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で、太陽観測衛星 SOLAR-B の打ち上げがあるね。と同時に、M-V(ミュー・ファイヴ)ロケット最後の打ち上げでもあるのだね。

日本の全段固体燃料ロケットの代表格だったMシリーズは前にも書いた通りこれで運用が打ち切りになって、もっと小型のロケットがこれから新規開発されて、Mシリーズのノウハウがそれに継承されるっつうことらしい。んでこの新開発予定の小型固体ロケットは現時点で既にダメロケットっぽいんで、事実上、M-V がこの分野の歴史上での最高峰ってことになる。

そのラストフライト、是非是非成功させて、有終の美を飾って頂きとうござります。M-V の1代前のロケットである M-3SII のラストフライトが失敗に終わったっつうこともあって、ちょっとだけ不安……。

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2006.9.23 土曜
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GX をとっとと飛ばせ 前編

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の M-V(ミュー・ファイヴ)ロケットの最後のお仕事、無事に完了したね。M-V を開発・運用された皆様、本当にお疲れ様でした。さてこれからは、最後の M-V で打ち上げられた太陽観測衛星 SOLAR-B、愛称「ひので」(なんか大衆食堂っぽいネーミングだなぁ (^^;))の活躍に乞うご期待ですな。

人工衛星は、軌道投入されてから2カ月くらいは大きな電圧がかかる部位が使えないんで(無重力の真空中では、衛星が地上にあった時に部品の表面に付着した物質が、衛星内部にプラズマ状態で浮遊するため、不用意に大電圧をかけると内部にスパークが発生して、電子部品を壊してしまう。そのプラズマ状の不純物が衛星から抜け切るまで2カ月かかるっつうこと)、各部の地道なチェックにその2カ月を費やすのだよね。だから本格稼働するのは12月頃かな。

ひので の場合は同時にこの期間を使って、自力で本来の軌道に乗るんだそうだ。M-V じゃわずかながら力が足りなかったってことになるのかな。とにかくトラブルなしで初稼働にまでこぎ着けてほしいもんですなぁ。前回打ち上げた赤外線天文衛星 あかり のときは確か太陽センサが働かなくて、地球センサを代用することでどうにかしたんだと思った。あの時はちょっとヒヤヒヤさせられたよ。

ひので は先代の太陽観測衛星 ようこう をはるかにしのぐ性能を誇ってるそうだから、大発見尽くしだった ようこう を超える成果を期待しとるよ。

この1年ちょっとの間で、M-V は3機もの宇宙科学衛星を打ち上げた。X線天文衛星 すざく(2005年7月10日打ち上げ)、赤外線天文衛星 あかり(2006年2月22日打ち上げ)、そして今日打ち上げられた太陽観測衛星 ひので。この科学衛星3兄弟が地上にもたらす膨大なデータは世界中の天文学者たちの手で解析され、宇宙に関する新たな知見が続々と明らかになると思われる。日本の科学衛星の何度目かの黄金期到来ってわけだ。

この科学衛星3兄弟に共通して言えることは、科学衛星にしてはけっこうな大型で、それぞれの用途に適した大口径の望遠鏡を備えてるってこと。それが高性能のもとになってる。ところが、日本の宇宙開発はこれからは中型化・小型化を目指すのだそうで。それが科学衛星にも及びそうな気配。このダウンサイジングの流れの理由は、大型の衛星だとどうしても開発期間が10年くらいの長期スパンになり、衛星の開発ノウハウの継承がうまくできないから、これからはなるべく小さい衛星を短いサイクルで開発してどんどん打ち上げる、とのことだそうで。ひいてはそれが衛星開発者を多く効率よく育て、確かな衛星を作っていく基盤になる、のだそうで。

確かにそれは当たってると思う。過去、日本の宇宙科学の自前の衛星打ち上げ手段が貧弱だったおかげで、小型・低予算・短期間開発の衛星を次々に打ち上げて成果を上げてきた。それが M-V の登場で大型の科学衛星や惑星探査機の打ち上げが可能になった反面、衛星の開発には多大な予算と時間がかかるようになってしまって、それまで続けてきたほぼ1年に1度の打ち上げサイクルが保てなくなった。でも、宇宙望遠鏡や惑星探査機のように、サイズ面でどうしても譲れないってときがある。

突き詰めれば、宇宙科学研究が大きな宇宙機を必要とするまで高度化したのに、日本の宇宙科学研究の予算が全く増えてないっつう現実があるわけ。科学衛星や探査機は実用衛星と違って一品もの。1機ごとに基本設計からして違う。それに大型の科学衛星・探査機を作るには新しい装置の設計・試験・運用にそれなりの人員が必要。人員の確保にはカネが必要。そのカネが、大型科学衛星開発に間に合ってない。だからどこかでコストダウンしなきゃなんない。

で、白羽の矢が立ったのが打ち上げロケット。つまり M-V。こいつの打ち上げコストがかなり高い。ここの予算を圧縮できればそのぶん、衛星の方にカネを向けさせることができる。して、JAXA が下した決断が、M-V の廃止と新型ロケットの開発(本当は M-V のコストを半額にする構想があったんだけど、防衛族議員からの「ミサイル技術への転用がドータラコータラ」とかいう無茶な横槍で、計画として承認されなかったらしい)。でもこの計画、M-V よりはるかに打ち上げ能力が落ちることがもう決まってるんで、結局衛星の小型化につながることになる。上述の衛星ダウンサイジングの方針にそぐってはいるけど、一線級の研究はかえってしづらくなってしまう。

ただし、省庁再編で複数あった宇宙機関が統合されたおかげで、これまでの「科学衛星は M-V で、実用衛星は H-IIA で」という縦割りがなくなったんで、科学衛星は他のロケットを使う選択肢ができた。なんなら海外のロケットで打ち上げてもいいんだけど、とりあえずその選択肢は日本のロケットファンとしては認めたくないんで、ここでは考えないことにする。

ところが国内を見ると、現状ですぐに使えるものっつったら H-IIA ロケットしかない。大型科学衛星とは言っても M-V で打ち上げられる程度(H-IIA の約5分の1の能力)なんで、H-IIA じゃ大き過ぎてもったいない。費用の面でも、高かった M-V の打ち上げ費用が70〜80億円。世界のロケット市場での一般的な価格帯にある H-IIA は、このまえの情報収集衛星打ち上げ で約95億円(H-IIA のいろいろある仕様の中でも一番安いものだった)。やっぱり高い。かといって M-V の後継になるロケットは安くなる予定だけど、M-V よりだいぶ打ち上げ能力が落ちる。件の日本科学衛星3兄弟なんてとてもとても打ち上げられる代物じゃない。つまり、間がないのが問題なんですな。できれば M-V より多少打ち上げ能力が高くてコストが安いロケット。そういうのが欲しい。日本国内に本当にないのか。それが、ある。いや、まだ「ない」と言った方がいいか。

官民共同開発中の GX ロケット。これがその、ちょうどいいロケット。2段式。計画では M-V の約2倍の打ち上げ能力を持つことになってる。でも現在開発中っていうよりほとんど開発停滞中らしいんですなぁ困ったことに。普通、ロケット開発で一番難航するのが第1段目。けどこれは民間のギャラクシーエクスプレス社が担当で、アメリカで現役活躍中の、アトラスロケットの1段目をそのまま使うことで話が決まってる。そっちの開発はすんなり終了済みなわけ。

問題は2段目。こっちは JAXA が開発を担当してるんだけど、液化天然ガス(LNG)を燃料にするという世界初の新技術に挑戦してて、そのせいで開発が難航中。ていうかあまりに難し過ぎてほとんど停滞中ってな顛末。今年の4月20日付読売新聞の記事「官民共同の宇宙開発“不協和音”」から抜粋。文面の「宇宙機構」ってのは JAXA のこと。

(前略)(官民の協議会の場で)宇宙機構と民間との間で技術判断などをめぐって意見が対立、計画の先行きが危ぶまれていた。文科省では「民間と宇宙機構は150度ぐらい離れ、信頼関係も薄れている」と話す。
 原因は、LNGエンジンの開発が難航していることだ。宇宙機構は一部の設計変更で乗り切ろうとしたが、その後、燃焼試験で新たな問題が発生。宇宙機構は「深刻な状況で、原因を究明するまで先へ進めない」とし、民間側は「エンジン開発では、よくある現象」と反論、亀裂が深まった。
 さらに5日に開かれた関係者の会議で、宇宙機構が「早くても2009年度打ち上げ。場合によっては2、3年遅れ。さらに長期化の可能性がある」と説明したことで、「やめると言っているに等しい」と、不満が爆発した。
 民間は8割方仕事が終わり、LNGエンジン待ちの状態だ。計画が遅れるほど米企業に支払う費用がかさみ、ロケットの価格が跳ね上がる。
 14日の協議会で、取りあえず、再びもとの土俵に戻した格好だが、試験結果によっては、問題再燃の可能性があり、依然不透明さは続く。

なんかもう泥沼に近い状況みたい。2002年の時点で、ギャラクシー社は2005年に GX の初打ち上げを目指してたのに、もうかなり遅延することが決まっちゃってる。このままいつ出来るか分からない、もしくは永遠に完成しないかもしれない LNG エンジンをほげーっと待ってていいのか。いやだめだ(古文直訳風)。そこでだ、おいらなりに考えた、GX ロケット計画の歩むべき道を提案しようと思う。でももう眠いんで、後でね。

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2006.9.24 日曜
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GX をとっとと飛ばせ 中編

GX ロケット構想には大もとがある。それは「J-I 改」構想。2006.7.29 に書いた通り、J-I ロケットは運用コスト高のために、1回打ち上げただけで計画を取りやめられてしまった。

宇宙開発事業団(NASDA。現在の宇宙航空研究開発機構 [JAXA] の前身)としては続ける気満々だったんだけど、会計監査院に「緊縮財政のご時世に何遊んでんだ」とツッコまれて、やめざるを得なくなってしまったんですな。でも NASDA の手駒は H-II という大型ロケットしかなくて、小型ロケットの必要性を強く感じてた。それで出てきたのが、安価でそこそこの性能を出すと見込まれる、液化天然ガス(LNG)を全段の燃料に採用したロケット案。それが「J-I 改」構想。1997年の夏頃、確か毎日新聞だったかにその記事が載った(曖昧でスマンす)。

NASDA には設立以来のロケット開発方針てのがあった。「初めて扱う燃料のロケットを開発する場合、まず開発が比較的容易な上段を先に開発して実際に運用して経験を積み、それから開発の難しい第1段に着手する。開発初期の1段目はとりあえず外国製のものを導入する」。

N-I → N-II → H-I → H-II の一連の流れで、その正しさは証明された。という論理で(たぶん)、J-I 改にもその戦術が採られることになった。そしたらそのすぐ後に、官民共同開発というトレンドがやってきた。そんなわけで、1段目の調達と完成後の運用は民間に任せ、NASDA は2段目用 LNG エンジンの開発に専念することになった。そのとき宇宙関連企業が共同出資して設立された民間企業が 株式会社ギャラクシーエクスプレス。全段 LNG 燃料の J-I 改につながるそのロケットの名前は「GX」となった。

以上の経緯があって、JAXA(旧 NASDA)としては何が何でも GX の上段に LNG エンジンを載せたい。民間のギャラクシー社はその意向に従う形で、LNG 燃料の上段エンジンが JAXA から届けられる日が来るのを待ってる。でも楽勝と目されてた LNG 上段エンジン開発は想定外に難航。いつ出来上がるか全く分からない(少なくともあと3年はかかる)まま現在に至る。そしてギャラクシー社はただただ JAXA からの2段目を待ちつつ、1段目を提供する米ロッキード・マーチン社に契約通りにただただカネを支払い続けてる。この現状のおかげで、JAXA とギャラクシー社の間に軋轢が生じてる。

で、心から思う。ギャラクシー社は、当てになんない LNG エンジンにこれ以上付き合う必要ないんじゃないの? と。

そこでだ、JAXA には納得行くまで時間をかけて LNG エンジンの開発をしてもらうとして、ギャラクシー社はそれまでは暫定的な2段目を用意して、とっとと打ち上げビジネスを始めればいいんじゃないのか。で、1段目は決まってるから外国製を使うとして、日本人のおいらとしてはやっぱり2段目その他は日本製で行きたい。つうことで、国産で2つほど使えそうなのがあったんで見繕っといた。

その1:M-34 モータ(M-V の3段目)を使う

エンジン全長直径質量推進剤質量真空中推力燃焼時間比推力
LNG8.0m3.3m12.3t9.9t97kN342秒345秒
M-343.61m2.2m12.0t11t337kN94秒301秒
M-34 の全長は伸展ノズルを縮めた状態。
1段目分離後に伸ばした状態では4.29m。
資料:http://www.galaxy-express.co.jp/aboutGXrocket_final.pdf
http://www.jaxa.jp/jda/brochure/img/01/m_v.pdf

上の表ですぐ分かるのは、質量がほぼ同じということ。単純に考えて、M-34 を2段目に載せた場合でも、1段目燃焼時の飛びっぷりには影響がない。それから、固体燃料ロケットの弱点である比推力(ぶっちゃけ燃費のこと。数字が大きいほど燃費がいい)の小ささだけど、この M-34 は300秒の大台に乗ってる。独自技術の伸展ノズルの影響が大きいと思うけど、固体ロケットとしては快挙と言っていい(大抵のロケットの本には、固体燃料の比推力は280秒程度と書かれてる)。LNG の比推力とは11%くらいの違いが依然としてあるけど、空虚質量(質量‐推進剤質量)は M-34 の方がいくぶん小さいんで、最後の最後で踏ん張るってことで、いくらか埋め合わせが付くでしょう。

面白いのは、真空中推力と燃焼時間の数字がちょうど逆になってるってとこ。LNG は小さい推力で長く燃えるのに対して、M-34 は大出力短時間でパッと燃える。だけど結果的に最終到達速度が同じくらいになるってこと(比推力の差を無視できるとした場合)。M-V は7回打ち上げられて、そのうち6回で M-34 モータが稼働して(残る1回は、M-34 稼働前に異常が発生して指令破壊された)、100%完全作動したっつう実績がある。GX にそのまんま使えますぞこれは。

弱点もいくつかあるけどね。

  1. M-V から持ってきたものなんで、コストが高いかもしれない。
  2. 衛星に LNG エンジンの約3.5倍の加速度がかかる。
  3. 大出力エンジンなので、稼働中の振動が大きい。
  4. 固体燃料ロケットの宿命として、リアルタイムの出力調整ができず、また途中で止めることもできない。
  5. M-34 モータは全体が衛星フェアリング(超音速の向かい風から衛星を守る覆い)に内蔵されていることが前提なので、フェアリングの設計変更が必要

1. は、M-V 開発者の名誉のために言うと、M-V の打ち上げってのは1回ごとが工学実験で、常に新機軸を投入し続けてきた。しかもそのデータを得るためのテレメトリ(各種センサー)も多く搭載してた(はず。これは憶測)。これじゃコストが高くなるのは当たり前。商用製品として設計を固定して、テレメトリも減らせば、コストは確実に安くなる。

2. と 3. の改善には、全体の設計変更をしないとどうしようもないんだけど(つまり全く別の固体ロケットを作ることになる)、実際にこのままで科学衛星や惑星探査機を6機打ち上げて、どれも打ち上げ時の加速度や振動によるトラブルが発生しなかったっつう実績があるんで、今まで通り、打ち上げられる宇宙機側で耐える設計にしてもらう、というのが最適解かと。もしくは、打ち上げ能力が多少落ちるけど、M-34 モータと衛星との間に高性能なダンパーを入れて振動を吸収させるとか。まぁ致命的欠陥というほどのことじゃない。

4. は出力調整ができなくても大したことないんだけど、途中停止・再着火ができないってことは、1回の打ち上げで複数の衛星を異なる軌道に投入できる柔軟性がないってこと。それと、軌道投入精度が比較的アバウトだってこと。それだけビジネスチャンスを逃す可能性があるのが難点ですな。同じく中型ロケットだった H-I でできたことが、M-34 使用の GX ではできなくなる。GX の打ち上げ性能は H-I を軽くしのいでるんで、こればっかりは残念なところですなぁ(開発中の LNG エンジンに再着火機能があるかどうか知らないけど)。

5. は、書いたまんま。ただ、表で分かる通り M-34 モータはかなり小さくて、特に全長が LNG 仕様の2段目の半分以下という短さなんで、フェアリングを伸ばす量も大したことないと思われ。搭載する衛星のサイズにもよるけど、なんなら M-V のフェアリングをそのまま使うという手もある。

以上、これが一番手っ取り早い GX ロケット実用化への道。長くなったんで、もうひとつの案は後日ってことで。

銘板左端銘板銘板右端

今日付けの読売新聞の社説で間違いを発見。M-V 以後の不透明なロケット政策への懸念を書くのは正しいことだと思うけど、

(前略)M5(M-V のこと)より小型のロケットを開発する計画だが、(中略)
 別の計画として、液体燃料を使う中型衛星用ロケット「GX」が官民共同で開発中だが、M5の後継ロケットと能力が重なる。役割分担をどうするのか。(後略)

とある。能力は重ならないよ。これから開発する2段式小型ロケットの低軌道打ち上げ能力は、JAXA 公表値で500kg〜1.3トン(松浦晋也氏の解説 によると500kgとのこと)。対する GX の低軌道打ち上げ能力は4.4トン。ちゃんと役割分担できるくらいの能力差がある。

読売さん、悪いことは言わない。記事書くプロなら数字のデータの確認くらいしなよ(2006.10.3 追記:と大見得切りつつ、GX の打ち上げ能力が3トンに落とされて開発されてたことをついさっき知った(恥))。

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2006.9.25 月曜
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GX をとっとと飛ばせ 後編

今日は大したデータを揃えてないんでサクサク行くよ〜。残るもう一つの案は、

その2:LE-5B (H-IIA の2段目のエンジン)を使う

燃料が液体水素なんで、胴体部分(燃料タンク)は GX ロケットに合わせて独自に設計する必要がある。胴体もセットになった M-34 モータに比べて面倒な感じだけど、液体水素の取り扱いなら、ロケットを扱う企業は液化天然ガス(LNG)以上に経験とデータの蓄積があってかなり心得てるはずなんで、GX に見合った胴体くらいは比較的簡単に設計・製造できるはず。で、肝心のサイズは、計算がめんどそうなんでパスさせて頂きますすんません。

LE-5B は比推力が大きいぶん燃料は食わないんで、搭載する燃料と酸化剤(液体酸素)の重量は大したことがない。だけど、水素はこの宇宙で最も密度の低い物質なんで、液化したってタンクのサイズはどうしても大きく(重く)なる。そこらへんの兼ね合いがどう出るかですな。そんなあたりのもろもろの計算は面倒だし間違いそうで自信ないんで(苦手な化学式絡みだしなぁ)、「LE-5B 使用時の GX 2段目のサイズ・質量は不明」ってことでひとつ。それでも一応、参考になりそうなデータを挙げてみる。

エンジン真空中推力比推力燃焼時間
LNG97kN345秒342秒
LE-5B137kN447秒(計算値)242秒
資料:http://www.galaxy-express.co.jp/aboutGXrocket_final.pdf
http://www.nasda.go.jp/projects/rockets/h2a/design/index_j.html

大型ロケット用のエンジンとは言え、推力は LNG エンジンの41%増し程度。昨日の M-34 の3.5倍よりずっと穏やかな加速度しか出さない。そもそもこの LE-5B エンジンのご先祖様は H-I ロケットっつう、GX より一回り小振りなロケットの2段目エンジン LE-5 なんですな。これをベースに、軽量化と、性能と信頼性を向上させたのが日本初の大型ロケット H-II 2段目用の LE-5A。さらにそれをコストダウンさせたのが H-IIA ロケット用の LE-5B エンジンってわけ。もともとが中型ロケット用なんで、GX との相性もまずまずかと。

コストはどうか。このエンジンは年2〜3回打ち上げられてる H-IIA のものなんで、量産効果で比較的安く上がる気がする。

LE-5B の具体的な価格は分からないけど、参考として、H-IIA 用1段目エンジンの LE-7A エンジンは1基7〜8億円らしい。LE-7A の出力は LE-5B の約7倍。単純に出力で割ると1億円かそこら。そう単純じゃなさそうなんで2億としてみるか。

GX の打ち上げ費用を1発50億円と仮定すると、そのうちの2段目エンジンのぶんは 4%(エンジンのみ。胴体は含まない)。まぁこんなもんじゃないかな。

本来の LNG エンジンと比べてどうかは、LNG エンジンが完成しないことには分からんけど。問題は燃料にまつわるあたりですな。そもそも液体水素の値段が LNG に比べて断然に高い。極低温だし、この宇宙で最も分子量の小さい物質なんで少しのすき間からどんどん漏れるしで、取り扱いにも手間とカネががかかる。それと、さっき書いたように燃料タンクが大きくなりそうなんで、胴体の製造コストも高くなるかも。さらに沸点が LNG よりずっと低いんで(LNG: -162℃, 液体水素: -253℃)、断熱材も LNG 用よりいいやつを使わないといかんしね。

メリットもちゃんとあるぞ。

目玉のひとつは、今まで9回の運用実績(H-IIA ロケット打ち上げ10回のうち、6号機では LE-5B の出番より前にトラブルが発生。ロケットは指令破壊された)でまだトラブル知らずということ。実績に基づく信頼性の点では、まだ出来てない LNG エンジンや、運用実績6回の M-34 より上ってこと。こいつは頼もしい。ついでに、H-IIA だと LE-5B の燃焼時間は530秒なんだけど、GX に積むと稼働時間はその半分以下の242秒でいい。かなりの余裕ができますな。ますます信頼性が上がりますな。

もう一つの目玉は、エンジンの再着火・再々着火ができるという点。つまりエンジンを稼働させたり止めたりを、1フライト中に3セットできるってこと。これで、1回の打ち上げで、複数の衛星を異なる軌道に投入できる。固体燃料の M-34 モータにはできない離れ業。液体ロケットは再着火可能とはいえその技術は難しいんで、LNG エンジンでも最初のバージョンでは出来ないかも。LE-5B だと、衛星打ち上げ請負のビジネスチャンスが広がりますな。

てなことで、GX ロケットを開発中のギャラクシーエクスプレス御中には、待てど暮らせど一向に出来上がらない2段目用 LNG エンジンなんか待ってないで、既存の2段目エンジンが国内にいいのがあるんだからそれを有効活用して、早いとこ衛星打ち上げビジネスに参入してほしいですな。そうすれば、日本科学衛星3兄弟サイズやそれ以上の大型科学衛星や惑星探査機を、比較的低コストで打ち上げられるようになるのじゃよ。そして、名機だった M-V ロケットの退役でできた穴を埋めることができるのじゃよ。

ていうか、ギャラクシー社がなんでそうしないのかすごい不思議。おいらみたいなエセエンジニアでさえ思いついたアイディアを思いつく人材が社内にいないとは、とても考えられんのだが。M-34 モータなら IHI エアロスペース社に、LE-5B エンジンなら三菱重工業に話を持ちかければ、喜んで相談に乗ってくれると思うぞ。

おいらと同じ提案はとっくに検討済みのうえボツだとか? それならしょうがないけど、現状じゃ JAXA の LNG エンジン開発の頼りなさにただ振り回されてるだけみたいに見えたもんだから。とにかくがんばってくれよ株式会社ギャラクシーエクスプレス御中。

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2006.9.26 火曜
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GX をとっとと飛ばせ 補足編

おとといの、M-34 モータと LNG エンジンとのスペック比較表をつらつらながめてたら、パワー・稼働時間・燃費のバランスで見ると、M-34 の方が微妙に数字が小さいことに気付いた。質量が似たようなものなんで、それぞれの「真空中推力×燃焼時間×比推力」を算出して比率を出せば、GX ロケットに M-34 モータを使ったときの貨物輸送能力を算出できるわけだ。とりあえずこの単純な計算で比較してみる。

エンジン質量真空中推力燃焼時間比推力(かけ算)比率貨物質量
LNG12.3t97kN342秒345秒11445030100%4.4t
M-3412.0t337kN94秒301秒953507883.3%3.67t
資料:http://www.galaxy-express.co.jp/aboutGXrocket_final.pdf
http://www.jaxa.jp/jda/brochure/img/01/m_v.pdf

LNG 仕様の2段目を使った場合の貨物輸送能力を100%とすると、M-34 を2段目に代用したときの輸送能力は83.3%と出ましたな。GX の資料から、GX の低軌道への打ち上げ能力は4.4トンとなってる。これが3.67トンに落ちる。その差730kg。「中の小」サイズの衛星1個ぶんですなあ。このままだとちょっと厳しい結果というか。

M-34 に肩入れしたいおいらは、さらにおとといの表をながめた。M-34 が有利な点は、

これらで補正すれば、もっとマシな数字になるはず。計算がめんどそうだけどやってみるのだ。2項目めに対応する計算式は、log(M/m) だ。稼働中、推進剤(燃料 + 酸化剤)を噴射して刻々と軽くなりながら加速していくロケットの、最終速度を求める式(ゼンガーの公式)から流用。

M は2段目質量(推進剤含む)+ 搭載貨物質量。m は2段目質量(推進剤なし)+ 搭載貨物質量。つまり M/m は、推進剤満タン時の全備質量を、ガス欠時の全備質量で割った数字。M-34 が搭載できる貨物質量を求めるんで、この式の M に使う搭載貨物質量は、計算のし始めはとりあえず増加分を見込んでテキトーに4トンとしてみるけど、表計算ソフト(AppleWorks)で数値をいろいろ試し打ちして合致点を見出した。以下がその結果。

エンジン質量推進剤質量全備質量空虚質量ln(M/m)比率1比率2貨物質量
LNG12.3t9.9t16.7t11.2t0.399100%100%4.4t
M-3412.0t11t16.54t9t0.495124.0%103.3%4.54t
比率1は LNG を100%としたときの、M-34 の log(M/m) の割合。
M-34 の比率1→比率2の間には、初めの表での比率83.3%をかけてある。

おおっ諸君、見給え! M-34 の貨物輸送能力は、なんと LNG エンジンを超えてしまったぞ!! いや〜自分でもビックリだよ〜まさかこんな結果になるとはな〜。M-34 モータは、LNG エンジンに比べて燃費で劣るぶんを、空虚質量の軽さと推進剤搭載量の多さでカバーし切ってしまった。これじゃ LNG エンジンの出る幕ないじゃん。

ギャラクシーさん、もうこれで行きましょうよ。M-V ロケットの遺産である M-34 を上段に乗っけて、GX ロケットをとっとと打ち上げちまいましょうよ。

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暇を見つけてはチマチマとネタ帳に書き溜めてた、このテーマのデータや URL なんかを、これでバッサリ消せたよ (^o^;A)

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2006.10.3 補足:実際は世の中そう単純じゃないんだそうで。そこらへんのしがらみがある程度判明したんで、9月27日付の追記に書いといたよ。

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2006.9.27 水曜
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「また会う日まで」に込めた意味

昨日届いた ISAS メールマガジン107号が、なんかちょっとアレな内容で。

まず ISAS(アイサス)って何かっつうと、文部科学省の宇宙航空研究開発機構(JAXA)内の「宇宙科学研究本部」のことで、省庁再編前は、「文部省宇宙科学研究所」って名前だった。省庁再編前も後も、略称は ISAS のまま。

ISAS が所属してる JAXA は、平たく言えばアメリカの NASA(航空宇宙局)みたいなもん。国の航空宇宙政策を実行する機関。ちょうど3年前、「宇宙3機関」と呼ばれてた宇宙開発事業団(NASDA)、宇宙科学研究所(ISAS)、航空技術研究所(NAL)が合体して JAXA ができた。実際は3機関の中で一番大きな NASDA が全体の仕切り役になる形で、あとの2機関を傘下に収めた感じになった。ISAS は前まで担当省庁(文部省)直属だったのに、1ランク下がった格好になったわけだ。

これでもろに影響をかぶったのが、ISAS 自前のロケット M-V。運用が廃止される羽目になってしまった。最後の M-V は4日前に打ち上げられた。以前はお役所的な縦割りもあって、NASDA は実用衛星を打ち上げる目的から、国際競争力を持つ大型ロケット開発路線を進み、ISAS は自分の都合でロケットを打ち上げたい上に宇宙工学の研究者へ研究の場を提供する目的もあって、M-V という独自開発のロケットを運用してた。

宇宙技術ジャーナリストの 松浦晋也氏の解説 によると、どうも筑波の木っ端役人の都合で M-V は殺されてしまったらしい。この松浦文書の序文を抜粋。

旧文部省・宇宙科学研究所、現宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙科学研究本部(ISAS)が開発したロケット「M-V(ミュー・ファイブ)」が岐路に立っている。

2003年10月に宇宙三機関が統合され、JAXAが設立された後、ロケットはすべて筑波宇宙センター内の宇宙基幹システム本部に移管された。とはいえ、すぐにM-Vのすべての面倒を筑波で見ることができるわけではないので、M-Vプロジェクトのプロジェクト・マネージャーとして、ISAS の森田泰弘教授が就任し、表向きは「相模原(ISASの所在地)と筑波が協力して、M-Vロケット低コスト化の検討を行う」ということになった。

ところが、JAXAに統合されても、旧組織の縦割りは厳然として残っている。その中で筑波側が提案している、低コスト化案は技術的に見てあまりに稚拙で、センスが悪い。筑波案が通れば「確かに安いがそれ以上に性能が悪くてコストパフォーマンスは低下」というロケットが、開発予算と時間を消費した上で完成しそうな雲行きである。

松浦氏のこの懸念が、ドンピシャ当たってしまった。JAXA は7月26日付の『今後のM-Vロケット等について』で、松浦氏の言う「『確かに安いがそれ以上に性能が悪くてコストパフォーマンスは低下』というロケット」を開発し、M-V は退役させる方針を公式発表した。

また松浦文書の受け売りだけど、宇宙3機関統合前に ISAS は、従前からコスト高が指摘されてた M-V の低コスト化計画案を作成したけど、その開発費が予算に認められないまま統合してしまって、立ち消えになったそうな。そして統合後、「M-V は高すぎる」とツッコまれて、退役を余儀なくされた。なんかお役所内部での足の引っ張り合いみたいなのが垣間見える気がする。

これからの、ダメロケットであることがほぼ確定的な新型小型ロケット開発の総責任者には、それまでの M-V のプロジェクト・マネージャーの、ISAS の森田泰弘教授がそのまま就任することになったそうだ。まぁ ISAS としてはさぞかし納得の行かないものがあるっぽいわけ。それでも決まったことである以上やらなきゃならないわけ。で、そんな心情が、昨日届いた ISAS メールマガジン107号ににじみ出てた。

このメルマガは、ISAS 内部のいろんな人たちに寄稿してもらう形を取ってる。この回は、ISAS の重鎮である的川泰宣(まとがわ・やすのり)教授から、M-V 退役についてのメッセージ『ありがとうMーVロケット、また会う日まで』を載せてる。そこから抜粋(下線ゆんず)。

(前略)「世界で最も素晴らしい固体燃料ロケット」の名に恥じない有終の美を飾ったMーVに、見学者からも報道関係者からも惜しみない拍手が送られたことを、まずはご報告しておきたい。「なぜこんなに優秀なMーVロケットを廃止するの?」という、たびたび浴びせられる質問に対しては、「コストが高いそうです。でも、コストダウンのシナリオはあるんですがね……」としか答えられない。

(中略)さまざまな複雑な事情を経て、MーVの廃止がJAXAから宇宙開発委員会に提案され、すでに後継のより小型の固体燃料ロケットの開発が、若いエンジニアたちによって検討され始めている現在、事の是非はともかく、私のような立場と年齢の者が、ノスタルジックに過去にしがみつくことは許されないだろう。

その後継機の開発をリードする森田泰弘教授は、「世界に冠たる固体燃料ロケットを、これまで世界一のMロケットを作り上げてきた先輩たちの成果を確実に踏まえて作り上げる」決意を、悲壮にも表明した。歴史の歯車は逆転しない。「一歩後退、二歩前進」の精神を掲げて頑張ってほしい。私たちは、前を向いて歩こうとする若者たちの姿勢に大きなエールを送ろう。

的川先生もまた、新型小型固体燃料ロケットが、ろくなものにならないと踏んでおられるのがよく分かる。そして先生が、M-V のコストダウン案が改めて採用されることと、新生 M-V が復活することを多分に期待されてるのが、本文やタイトルから分かる。恐らく、まずは問題の木っ端役人に従って、彼らが構想した次世代ロケットを開発して「ほらやっぱりだめだった」というのを実際に見せて、そこから新生 M-V 開発へ持って行く、というのが、 ISAS 内部での共通認識的なシナリオなんじゃないだろか。それが、寄稿文のタイトルが「……さようなら」じゃなく「……また会う日まで」である意味なんじゃないだろか。

だったら、新型ダメロケットの開発は急いだ方がいい。とっとと開発してとっとと運用して、会計監査院あたりに「こりゃだめですな」という烙印をとっとと押してもらうべきだ。10年前、同じようなコンセプトで開発して頓挫した J-I ロケットのいきさつをそのまま使い、逆に利用してやろうってわけ。

素人が無理矢理作り上げた新型ロケット案の開発責任者として、M-V のプロマネ(もちろん ISAS の人)を指名したという点も見逃せない。今あるモノ(M-V)を捨てさせてまで新規開発するんなら、自分たちに都合のいいプロマネを指名する力もあるはずなのに M-V のプロマネをそのまま使うなんて、やっこさんがたはこのプロジェクト自体には全く興味がないのがミエミエ。筑波での権力レースの道具としてしか見てなさそう。

7月26日に新型ロケット案が通った時点で、彼らにはその旨の経歴がついたわけで、彼らは自分たちの仕事はもう終わったと思ってるんだろうなぁ。あとでその経歴が汚点になるのは火を見るより明らかなわけだが、失敗の責任を誰にかぶせるかまできっと考えてあるんだろうな。

プロマネの森田教授にはこれから泥水を飲んで頂くことになるけど、それは教授ご自身がよく承知されてるはず。もし将来、新生 M-V が復活する日が来たときは、今までの M-V を熟知してる人が絶対必要になる。その筆頭が、M-V プロマネってわけ。どうかその日が来るまで、森田教授を始め、新型ロケットに携わる皆様、腐らずに、これを踏み台に、技術の研鑽にお励み下さい。

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M-V が退役したことで、鹿児島県内之浦の宇宙空間観測所のお仕事は S-310 とか S-520、SS-520 といった小型の弾道ロケット を打ち上げるしかなくなったわけだ。どうもこれが筑波のお役人の狙いどころだったらしい。つまり、「衛星打ち上げは種子島に集約・一本化する」ってやつ。新型小型固体ロケットは、H-IIA ロケットの固体燃料ブースター(SRB-A)を第1段目に使うことが決まってる。この SRB-A の胴体はカーボン製の一体成型品で、種子島宇宙センター内の燃料充填工場で固体燃料を詰め込まれ、そのままどこに運び出されることもなく、種子島宇宙センターでの打ち上げに使われることが前提になってる。

この SRB-A は、いったん固体燃料を詰め込まれたが最後、二度と公道運搬が出来なくなっちゃう。危険物取扱法により、公道で一度に運搬できる固体燃料の量が決められてて、それに引っかかってしまうわけ。そして、内之浦宇宙空間観測所には、SRB-A を扱うほど大掛かりな固体燃料充填施設がない。その結果自動的に、新型小型ロケットは必ず種子島宇宙センターから打ち上げ、ということになる。そこらを鑑みるに、筑波の役人の第一目的がやっぱし「衛星打ち上げの種子島への集約・一本化」だったことが伺える。

しかしこれ、担当の官僚には何かメリットがあったんだろうけど、運用面じゃデメリットしかないんだよね。種子島で打ち上げができる期間は、冬期と夏期とで大体1〜2カ月ずつくらいしか取れない。これは地元漁協との交渉でこうなった(最近はもう少し弾力的になったらしい)。H-IIA は1カ月のインターバルで打ち上げ可能。だけど天候不良やトラブルでの延期を見積もって、各打ち上げ期の最初と最後あたりを使って、年に4回の打ち上げが現状で精一杯。来年度から H-IIA の運用を任せられた三菱重工業もまた「年4回打ち上げないと採算が取れない」と言ってるんで、何としてでも年4回の打ち上げを確保して、種子島宇宙センターに与えられた打ち上げ期間を有効に使い切ろうとするはず。

そうなると、新型小型ロケットや中型の GX ロケットは、H-IIA の打ち上げ期間の真ん中あたりを狙って打ち上げるってことになる。種子島宇宙センターがかなりケツカッチンになるのが見えてる。

ロケット関連の事故って、スケジュールに余裕がない時に限って起きるんだよねぇ。これはジンクスじゃなく、「運用に余裕がないと必ずどこかに無理がかかり、運が悪いとそこから破綻を来す。そのまま何も改善せずに運用を続ければ、確率論的に、いつか必ず破綻する」というからくり。そうなるべくしてそうなるってこと。しかも、どこかで何かがトラブって、あるいは天気待ちで延期になると、割を食ってその後のスケジュールも押してしまうことになる。

実際、今年初めの H-IIA 2連続打ち上げは、1発目が数日延期になったせいで、2発目もそれに合わせて延期した。そういうことが起こりやすくなる。ついでに言うと、現状の種子島の打ち上げ体制では、その状態でいっぱいいっぱいだったことが見て取れる。

1カ月で種子島から H-IIA を2機打ち上げるってのは、今年の1月〜2月に実際にやってみせてる。で、実はその間、内之浦からも2機のロケット(S-310 と M-V)が、1カ月弱のインターバルで打ち上げられてる。日本はそのとき、たった1カ月で4機ものロケットを打ち上げた。それもこれも、打ち上げ施設が2カ所に分散してたから。お互いがお互いを気にせず、2機ずつのロケットの打ち上げ作業に専念できた。

それが、できなくなる。「衛星打ち上げは種子島に集約・一本化」という無謀な新方針のせいで。ただ、もっけの幸いというか情けないことにというか、種子島じゃ当面は H-IIA 以外に打ち上げるロケットがないんで、その間はまだ余裕があるけど。

なんか JAXA、バカ官僚のおかげで自分で自分の首を絞めてるっぽい。毛利さんどうにかして。

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業界用語じゃロケットを「打つ(射つ)」って言うんだね(ISAS ロケットだけかな?)。この前の M-V 7号機での太陽観測衛星 ひので の打ちげ後の記者会見で、ロケット班の人がそう言ってた。確かに「打ち上げ」だし、打ち上げ場所は「射点」、打ち上げ時のロケットの据え付け場所は「射座」だから、自然に「打つ(射つ)」って動詞が使われるようになったんだと思うけど、あまりにもモロな表現なんで、ちょっと笑っちまったよ。

そういえば惑星探査機の打ち上げ方で、いったん地球周回軌道に乗せずに、離陸から一気に地球の引力を振り切って惑星間軌道に乗せる打ち上げを ISAS 内では「ドンドン打ち」と言ってるらしい。さすがそういうやり方を実際に3回もこなしたことがあるとなると、こんなテキトー風味な言葉にも風格を感じますなぁ。次はいつやってくれるのかなぁドンドン打ち。

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2006.10.3 追記:宇宙作家クラブのサイト のニュース掲示板にて、今日になっていろいろ新情報を得たよ。遅かったけど。M-V 廃止に至った過程は多分に複雑で政治的なんだそうで。背景には、GX ロケット開発が何としてでも成功してくれなきゃ困る勢力があるんだそうで。で、困ったことにその勢力、政治力を頼みに開発してるんだそうで。つうことで、開発に失敗すると責任を問われる方々がいるんだそうで。

つうことは、GX の2段目は何が何でも LNG エンジンでなきゃならないってことかな。つうことは、この日記の23〜26日で書いた「GX をとっとと飛ばせ」で出した案じゃ駄目ってことか。思ってたより面倒な事態になってたんだな〜 (-_-;)

で、その GX ロケットは先に書いた通り開発が難航して遅れてて、当初の低軌道打ち上げ能力4.4トンが大幅に引き下げられて、打ち上げ能力たった3トンってことで開発されてるらしい。なんじゃそりゃ話が違うだろ。

そして、現時点で2.3トンの低軌道打ち上げ能力を持つ M-V は、ISAS が作った改造案によれば、値段は半額の35億円、打ち上げ能力は3トンに達するという。自分の都合で勝手に性能を落とした GX と見事にかぶっちゃうわけ。しかも、恐らく GX より安くなる。しかも、今作ってる最中でまだ1度も飛んだことがない GX と違って、M-V 退役が正式発表された時点(今年の7月)で、失敗1回も含めて既に6回もの打ち上げ実績がもうあった。GX 陣営にとっては M-V は目の上のタンコブなわけ。で、政治力のある GX サイドが力ずくで M-V を潰しちゃったらしい。ドロドロですなぁ。ああいやだいやだ。

あと、新型小型固体燃料ロケットは、種子島からじゃなく M-V を打ち上げてた内之浦から打ち上げることが半決まりだそうで。この点は ISAS の人たちがずいぶん頑張ったらしい。第1段に SRB-A を使うというのも確定じゃないんだってさ。

じゃあ一体その新型ロケットって何なんだよ。まだ骨格もあやふやなうちに強引に M-V を引っ込ませといて、それからゼロから開発しますって時点でおかしいし。初打ち上げ予定は2010年。GX はたぶんもっと後。H-IIA じゃ能力が余りすぎて中・小型衛星を打ち上げられない、これからの空白の4年間をどうしてくれるつもりなんだろ。

とりあえず GX 計画が全てを狂わせたってことははっきりした。今後さらに250億円の開発費がかかると宇宙開発委員会推進部会に報告(2006年9月26日23時9分 読売新聞) なんてふざけたことやってるし。 もうやめちまえよそんなガス臭え腐れロケットなんか。

GX なんかのために、ない知恵いろいろ絞って損した気分満喫さ〜。別に誰に頼まれたってわけでもないけど、あーあほらし。

銘板
2006.9.28 木曜
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ご無沙汰なるお手紙

なんかこう、昼めし食ってすぐのあたりに、突如として胸が打ち震えたよ。こっ……これはっ!!

……、

……、

……。

胸ポケットのケータイのバイブ。

いや、すんません (^_^;)> ケータイにメールが来るのすげぇ久しぶりだなぁと思って。2006.9.12 に書いたよーに、とどまるところを知らぬスパム攻撃に嫌気がさして、PC アドレスからケータイへの転送を止めたんだわ。そんでケータイに来るメールが激減したってわけ。

どんだけ長いことメールを貰ってなかったか見てみたら、まる1週間ぶりだった orz

しかも来たの、TSUTAYA メールだった ○| ̄|_

銘板
2006.9.29 金曜
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締め切り過ぎてた……か?

気が付いたら、A・F・T 色彩検定冬期試験の申込の締め切りが過ぎてた。昨日までだったんだわ。

夏期試験 で2級を取れたもんだから、今度取るなら1級ってことになるんだけど、この1級試験、冬期でしかやんないのよね。年に1回だけ。つうことで、次また狙うなら1年後ってことに自動決定され申した。んでも、なんかあんまし悔しくないんだわ。締め切りを忘れてたってほどなんで、2級を取ったらもう熱が冷めちゃったのかも。

とりあえずそういうことになっちゃったんで、この1年間は2級保持者として、色に関して勉強したり応用したりして、ぼちぼち経験を積もうかなっと。

と、そこまで決心して A・F・T のサイトを見たら、

インターネット個人受験申込みのご案内  受付中
受付期間 2006年10月5日(木)17時まで受付けます
※書店、郵送でのお申込みは9月28日(木)

ってオイ、ネット上じゃまだ受付中だったのかよ。

……、

……、

……。

でも、だみだこりゃ。前回は受験勉強に、本業が暇な時期2カ月強をかけたけど、今回は1カ月強しか時間がない。しかも本業は繁忙期。全く自信ないわ。受験料も高いしなぁ(15,000円)。ていうか、1級の2次試験内容で、「一部実技」ってあるんだけど、何なんでしょうかこの実技ってのは。そこらへんが不明なのもなんだか怖い。まぁこの1年をかけて情報収集するとしますか。

銘板
2006.9.30 土曜
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歴代3位

久しぶりに、って感じで、やってもーた。今月の日記、歴代3位のデータ量になっちまった。

それに、木曜日の即日ネタを間違えて水曜日のところに書いてしまった(水曜日にサボったの忘れてた)。今日になって慌ててそいつを木曜のところに移して、水曜ぶんに用意してたネタを書き込んだよ。したら思わずアツくなって、やたら長いログになっちゃった。ISAS の的川先生がメルマガで思わせぶりな寄稿文を出したもんだから、いろいろ勘繰って勘繰って。で、結局それが歴代3位に押し上げたってわけ。

今月は公私ともに忙しかったはずなのに、なんでこんなになっちゃったかねぇ。最後の方はほんとに忙しくてかなり溜め込んじゃったんで、水曜日と金曜のぶんを、今日一気に書いちゃった。で、これでようやく日付に追い付いた、と。水曜のぶんが大作になったんで、せっかくだからそこにアンカー置いて、今月はそこを頭出しにしたまま〆ようかと思う。

しかしほんとよくネタ尽きねえなぁ。我ながら呆れる。もしこれが全部面白い話だったらきっとこのサイトも有名になるんだろうけど、今月主にデータ量を稼いだネタは、宇宙技術関係。

これほんと人気ないんだよなぁ。読者さんたちから言われるもん。「ロケットの話だったらその日は読まない」って。そんなに嫌わないでよ〜(笑)。すごい頭使って根性出して書いてる力作なんだからさぁ〜。でもウケが悪いのは事実。こういうの書くと、それから数日間、アクセスカウンタの回りが遅くなるもん。

まー、これからしばらくはロケットネタは書かないつもり。ウケ以前に今んとこそっち系はネタ切れだし。国内の打ち上げも12月までないし。でも GX ロケットのネタは気合い入ったね。このネタ半年近く前から温めてたのよ。少しずつデータを集めたり、考えを整理したりして。こいつのせいでネタ帳が倍くらいのサイズになってた。そいつを書き終えて、ネタ帳のその部分をバッサリ消したときは爽快だったね。しかも的川先生ご提供のネタも存分に書いてスッキリってことで、ロケット話はしばらくないかと思われ。皆さんよかったね、とか言ってみる (^▽^;)

だからといって面白いネタが増えるかといえば、そういうわけでもないのがツライところですなぁ。なんたって行き当たりばったりなもんだから。つうことで、ロケットネタも、思いつき次第書く可能性がまだあったりする(やっぱ書くんじゃん)

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あと酔っ払いにからまれた話も、単発だったけどデータ稼いだなぁ(2006.10.4 追記:そのログは 2006.10.5 に引っ越しました、で、結局今月は歴代4位になりました)。ネタが尽きたら1人で飲みに行くことにしますか。からまれに (-▽-)

あ、飲み話と言えば、今まで飲みに行くときはチャリンコで出かけてたんだけど、チャリでも酒酔い/酒気帯び運転は自動車と同じ罰則が適用されるんだね。知らなかったよ。しかも、前までは「でも自転車だからね」と見逃してもらえたのに、容赦なく捕まえるようになったらしい。近年自転車による人身事故がとみに急増してるってことと(自転車のコストパフォーマンスが上がったからかと思われ)、さらに酒酔い運転に厳しい目が向けられるようになったってことで。

これから一体どーやって飲みに行ったらええんじゃ(悩)

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