ひとりごちるゆんず 2002年8月
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2002.8.1 木曜
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「ひとりごちるゆんず」

1周年記念事業 8

2002年2月のぶん

1周年記念事業、なんとなくしばらくやらなんだが、ぼけっとしてるうちにもう8月になっちゃったよ。

この3つを選んでみた。印刷の話も人力音速も、途中で切れたままなんだよね (-_-;) ウムー まぁいいや、あとでテンション上がったら続けます。ってもう半年経ったよ。印刷屋の話は、職場で各種デバイスを駆使(笑)して印刷してるんだけど、気がついたら始めた頃の機材は一新されちゃって、全部新しくなって使い勝手がずいぶん良くなったなぁ、と感慨してさ。

まぁそれで書いてみた。あとは輪転機の進化について書きたいところだけど、これ、98年夏に導入したやつだからもう4年ものなんだ。我が職場では最も最新鋭の RICOH imagio 様(FAX コピープリンタ複合機)の印象があまりにも強くてさ。まぁでもこの導入には一波乱、導入後にもまた三波乱ぐらいあったんだよなぁ。

人力音速突破は、その日テキトーに思いついたアイディア。なかなかこういうことを考える人はいないだろうというところに価値を感じての出品。忘れてしまうには惜しくて。人間を発電機にすれば簡単に実現できることが分かったんだけど、どうもズルして結果を出してる気がしてな〜。物理力学的な作用のみで音速を出せるような機構の方が感動的なはずだと思う。原理としては弓矢やボウガンみたいになるかな。

究極的にはパイロットまたは漕ぎ手が乗った乗り物が人力で音速を超えることなんだが、なかなかいいアイディアが出んなぁ。このプロジェクトに対し、「何のためにそんなことを考えるのだ!?」「それが何になるのだ」「意味ないじゃん」等の傲慢な意見は受け付けませんよ。そういうことを言いたければ、まずはおいらの出す意地悪な質問に答えてもらいますよ(笑)

どーでもいー疑念もテキトーな思いつき。3月に入ってからもしばらく続いたけど、最近のおいらは音楽チャネルが閉じてるみたいで全然思いつかないっす。ていうか後半はかなり苦しかったし(笑)。

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2002.8.2 金曜
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今さら考証:

エボシ御前の

テクノロジー

「もののけ姫」に出てくる、エボシ御前が開発させた鉄砲、手持ちで撃つなんて絶対無理だと思うんだけど。弾丸の大きさ、野球ボールぐらいあったよね。いま重さを計算してみた。300g 近くありそう(直径を 5cm、材質を鉄 [密度 7.8g/cc] として)。普通のピストルで、たぶん弾丸の重さは 3 〜 10g 程度だと思う(パチンコ玉が約 5g であることから類推)。

実際の 30 〜 100 倍の質量の弾丸だよ。現代のピストルと同じ初速で弾を飛ばすとしたら(エボシ御前が製鉄所の城壁から山に打ち込んでたけど、あれ、500m ぐらい飛んでるよなぁ)、質量に比例する反動もまた 30 〜 100 倍。これはちょっと尋常じゃないでしょう。撃った瞬間、右腕が後ろにちぎれ飛ぶんじゃないの?

ああそれでエボシ御前は片腕なんだ。違うよな。

あれ、待てよ。あの鉄砲、バズーカみたいにかついでたよね。普通の銃だと考えると、あんな持ち方で撃ったら銃が後ろにすっ飛んじゃう。でも全然そんなことはなかった。ということは、無反動砲!?

無反動砲って、おいらはその存在しか知らなくて、原理は知らないんだけどさ。排気を後ろに逃がす形になるのかな。筒の底が抜けてるような形で。だとすると初速をピストル並みに付けるには、有反動砲の倍以上の火薬が必要になるよね。ただでさえやたら重たい弾丸をぶっ放すってのに。それとも抜けた筒の底にピストンが入ってるとか? 反動はそのピストンが後方に自由スライドすることで吸収する、と。

ツボどころは、ピストンの質量を弾丸よりはるかに大きくするということ。どういうことかというと、ピストンの質量が弾丸のより軽いか同じ程度だと、ピストンは弾丸と同じ速度かそれよりも速く後ろに飛ぶことになる。これじゃどっちが弾丸か分かったもんじゃない。もしピストンの質量が弾丸より圧倒的に大きければ、ピストンの後退速度は遅くなり、そのぶん弾丸の速度が稼げる。おお、そうだったのかエボシ殿。

しかしそれでもネックになるのは弾丸の重さ。これをはるかに超える重さのピストンが装着されているはずだ。このピストンが後方に移動するんだから、考えると、撃った直後はやっぱりよろめくんじゃないかな。筒先が上を向く形で。後ろが重くなるから。というより、銃身はピストンを支えなきゃいけないわ 300g もある弾丸を加速する爆圧に耐えなきゃいけないわで、銃全体としてかなりの重さになるんじゃないのかねぇ。なんだか軽々と取り扱ってたけど。やっぱり無理があるような……。

無反動かどうかより先に、あんなごっつい鉄砲を肩にかついで撃ったら、耳が聞こえなくなる気もするんですけどね。

ああそれでエボシ御前は誰の言うことも聞かないんだ。違うってば。

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2002.8.3 土曜
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ガイーン!

今週号のマガジンかサンデーかで、「機動戦士ガンダム」20周年記念で発売された「パーフェクトグレードガンダム」(プラモデル)開発物語が載っててね、感動してしまったよ。まぁ冷静に読めば、というかガンダムにあまり興味がない読者にとってはそんなにすごい出来のマンガではないと思う。でもそのテーマ:

製作者全員が「ガイーン!」を共有するに至るまで

という目のつけどころのよさが、在りし日ガンダムを愛してきた読者にとって感涙もの。主人公(開発屋)が作った試作で、無理難題を避けようとする製造屋さんたちを説得するところ。試作プラモで見せる演目は「ジェットストリームアタックの2回目」。その最大の見せ場で、開発屋と一緒に製造屋さんたちも思わず「ガイーン!」と言ってしまうんだが、実はそのとき、おいらの心もガイーン!だった(笑)。これだったんだなぁモビルスーツの魅力ってのは。今まで気付かなんだ。

モビルスーツが歩くガイーン!

モビルスーツがぶつかり合うガイーン!

パーツが合体してガンダムになるガイーン!

擬音ですよ擬音。ガンダムの擬音を製作した方を、いま初めて尊敬しておりますです。ああ、心に次々と蘇るあの擬音たち。

モビルスーツの関節の音、「クココココ……」

ガンダムのビームライフルの音、「ビシキューン」

モビルスーツの排気音、「ブハー」

モビルスーツの共振音(?)、「ズミーン」

G アーマーのビーム発射音、「キュピーン」

エルメス(ブランドじゃなくモビルアーマー)のメガ粒子砲の音はご愛嬌として (^_^;)、どれも素敵じゃないか。中でも一番強烈なのが「ガイーン」というわけだ。昨日この開発物語マンガを読んでから、頭の中で「ガイーン!」が鳴りっぱなし……。

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2002.8.4 日曜
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洗車とワックスがけ完了

今日、洗車してさ。実は今年の2月にこの車を買ってから初めて自分で洗った。いや、うん、すんません全国の気合い入ったミニ乗りの皆様。なかにはこんなテンション低いオーナーもいるんですよ。それまで洗車しなかったのかと言えばそうでもなく、ガソリンスタンドでパパッとお願いしてたんですよ。洗車機使うからさ、「ワックス洗車」っつったって表面に細かい傷が一様に付いてさ、太陽が映り込んだりするとそういう傷がモヤーッと出たりして。

で、洗車してキレイキレイののちワッスクがけ。今までこれやらなかったのは、2月に買ったでしょ、寒い。春はボヘーッとしてなんにもしない。そうこうするうちに6月で梅雨。梅雨が明けたら(あれ、明けたのかな?)、あっつくて外に出る気がしない。中2日ぐらいで雨降りだし。「どうせ汚れるんなら」と何となくやっぱり延期に継ぐ延期。今日は盛岡あたりで「スターウォーズ EP 2」でも鑑賞するべかと思ってたんだけど、快晴なのに涼しくて。この日を逃して洗車日和はないって感じで決行。盛岡行き中止。

ミニのボディ表面積なんて普通車の半分ぐらいなんだから、まめにやればいいのに。ハイラックスの3分の1ぐらいだぞきっと。でもなんか落とし穴があったような……。まぁやってみりゃ分かるでしょう。

上から順に水かけながらタオルでフキフキ。すすぎですな。車全体の色は深緑だけど、屋根は白。この白い屋根、水かけて拭いた先からますます白くなっていく。こんなに汚れとったんかい。しかしミニの洗車は楽だねほんと。屋根の全域にそのまま手が届いちゃう。おいらはけっこう背が低い方なんだけど、それでも余裕で届いちゃう。ワンダーシビックに乗ってたときもあったけど、それでさえ屋根のまん中あたりには手が届かなくて、ドアを開けて車のふちに立って拭いてたもん。

ボディも洗う。けっこう「土埃+雨の跡」の水玉が付いてたからね。これを全部落とす。ホイールがなかなかこれもまた……。白く塗装したアルミのやつをつけてるんだけど、汚れて黒ずんじゃってて。なぜか前タイヤのホイールの方が黒い。後ろも洗ったらやっぱり汚れてたけど、前の方はすごかった。指ですくうだけでそこだけきれいになったのが一目瞭然。水をかけてタオルで磨いたらほらきれい。窓ガラスを別のタオルで拭いてたら、ボディが乾いてきた。

久々のワックスです。はい。ここでは「ベスト・キッド(原題: "Karate Kid")」みたいな「ワックスオン、ワッスクオフ」みたいなめんどいことはしない。というかあれやると下手に拭き上げると渦巻き模様が出ちゃって、何のためにワックスかけたのか分からなくなっちゃうんじゃないのかね。超上級者向けの塗り方だと思うけど。試したことないけど。

おいらのは簡単。一直線状に塗る。進行方向に対して直交するように。昔、「CAR トップ」ってクルマ雑誌に書いてた方法。どういう効能があるのかは忘れた。だったらなんでそれにこだわる? とお尋ね遊ばしますか。答えは簡単。楽だから(笑)。

とりあえず一気にクルマの半分ぐらいにワックスを塗りたくる。はじめに塗ったあたりがちょうど反乾きになるから、そこから乾いたタオルで拭き取っていく。よく見るとワックスムラが出まくりのところが多い。そういうところは念入りに拭く。おお、テカテカ! で、塗ったところ全部を拭き終わると、クルマの半分がワックス済み。もう半分が洗車のみの状態。全然違うぞ仕上がりが! ガソリンスタンドの洗車で付いた細かい傷も見えなくなった。

と、自己満足に浸ってから後半に突入。全工程で1時間半ほど。体を起こして腰に手をやって、うぉぉぉーと体を伸ばした。いててててて。ああこれだったかミニの落とし穴は。小さいもんだから、低い作業が集中して体をかがめっぱなしなんだよな。昔の田植えってこんな感じだったのかねぇ。いや、こんなもんじゃないか。

それにしても綺麗になったなぁ。空が映ってるよボンネットに。フェンダーには、片付けでバケツを持つおいら自身が映ってる。こんなにピカピカに。やればできるんだなぁ。古いクルマなもんだから光りものパーツが多いんだな。グリル、バンパー、モール、サイドミラー。こいつらも光ってカッチョイーーー。光りものはあとでコンパウンドで磨いてやろう。けっこうくすんじゃってる。

こうなると乗り回したくなりますな。

で、ちょっとそこまで乗ってみた。なんだ全然変わんないじゃん。そうだよなぁ、別に内装の掃除したわけじゃないんだもんなぁ。変わり映えしないっすよ実際。ボンネットもワイパーに隠れてろくに見えないし。あ、でも運転席側フェンダー(おいらのは右ハンドルだから右側)がよく見えるぞ。おおー、映り込んだ風景がどんどん過ぎ去っていくよ。

……って、ちゃんと前見て運転しろよ。<自分

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2002.8.5 月曜
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「北京原人 Who are you?」

久しぶりにビデオレンタルに行ったら、会員の期限が切れてた(笑)。その場で入会し直し。洋モノのカーチェイスの映画と、「北京原人 Who are you?」を借りてきた。まだ「北京……」しか観てないんだけど、んむー、久々だねこんなに出来の悪い作品(笑)。いやマジで。こんなのにわざわざ行かなくてよかった。

1997年製か。公開中に劇場に観に行こうと思ってたんだよ。監督が佐藤純彌だからさ。すごく好きなんだよ「新幹線大爆破」。あれ、大傑作。おいら、太鼓判。B 級くさいタイトルとチャチすぎる特撮で損してるけど。「植村直己物語」「敦煌」「おろしや国酔夢譚」の西田敏行3部作も好きな部類なんだけどね。

そういや「おろしや……」は映画館で2回見たんだけど、納得行かないところが2点ばかりあった。

その1:凍傷で片足を切った役の、西田敏行の松葉杖の使い方。使い始めの頃(切った足の側に持つ)はそれでいいけど、長く使って慣れると松葉杖を反対側(健常な足の側)に持つようになるんじゃないのか? その方が断然歩きやすいのは、そのことを知ってさえいれば、想像しただけですぐ分かる。おいらはそういう経験はないけど、医療関係の冊子をどこかの病院の待合室でふと見たら、この手の患者は普通、教えなくても2〜3カ月以内でそのことを発見して切り替えるということが書いてあった。たまたま映画を見る前にその冊子を読んじゃったからね。ちょっとね。

その2:主人公たちが漂着した土地に住んでた北方民族の演技。どう見ても動きや仕種が猿人系。「北京原人 Who are you?」の原人の方がよっぽど人間っぽい。すごい昔の、差別意識丸出しの南洋探険映画に出てくる「架空の土人」そのもの。ただし最後の方、主人公たちが日本(松前藩の領地)に戻ったところに出てくるアイヌ民族は、威風堂々かっこよかったけどさ。「おろしや国酔夢譚」、せっかく全体としては名作なのに、なんでそういうところが抜けちゃうんだろう。そこらへんの考証や意識の甘さというか「やっつけ仕事っぷり」が日本映画の品質を落としてるってこと、いいかげん気付けよな製作者たちオブジャパン。

でもトータルとしては高水準の作品を生み出してきた佐藤監督、今度はどういうのを見せてくれるのか、と、まぁ今回の作品のよくない噂は既に聞き付けてたからそんなに期待はしてなかったけど、それっぽさを出してくれてはいるのかなぁと、そのぐらいの期待は許されるかもなぁと、そんなこんなの気持ちを込めて、いざビデオで観てみました「北京原人 Who are you?」

いや、いろいろ並べ立てたかったけど、ゆんず表現よりはるかに素晴らしい解説が載ってたページを発見したから、それを紹介するにとどめるか。勝手にリンク貼りますごめんなさい。

ここですよ、ここ。

けなしっぱしじゃなんだから、いいところも紹介すべえ。それは宇宙関係の SFX。これは良かった。生物学の科学考証は正視に耐えないほどドシャメシャだったけど、ロケットの打ち上げ・宇宙船の飛行・宇宙実験の様子の描写は凝りに凝ってて、ほぼ完璧な説得力。

担当した SFX スタッフは恐らく、相当な気合いをもって実際の映像を多数見まくって、充分頭に叩き込んでからじっくりとプランを練って作り上げたんだろう。正直、この映画に似つかわしくないほど素晴らしかった。映画に登場する HOPE-X II という日本製有人スペースシャトル、あれが立派に飛んでる様子を見ると、ちょっと感慨深い物がある。

1997年に公開されたこの映画では、2001年にH-II ロケットの先端に取り付けられて種子島から打ち上げられることになってる。有人打ち上げというフィクションとロケットの仕様の違い以外、当時の宇宙開発計画にほとんど完全にそぐってる。でも 1998年あたりかな。実際の HOPE-X は設計を見直して、形が変わっちゃったんだ。今研究されているものの方が一般的に航空機っぽい形だからウケがいいだろうけど、映画で登場した初期型の方がオリジナリティに溢れた格好をしてた。その、ちょっと不思議な形をしたオービターが陽炎の向こうで着陸するカット、どうやって作ったんだろう。完璧だったっすよ。

あと、劇中での哀しかったセリフ。

「日本はこれまで打ち上げに失敗したことがない」

実は過去にも文部省(当時)宇宙科学研究所の衛星打ち上げはたまに失敗していたんだが、映画で意味していたのは「宇宙開発事業団はこれまで……」ということ。その意味でとらえると、このセリフは正しかった。当時は。

映画公開後の1998年2月。長野冬期オリンピックの開催中、通信放送技術衛星 "COMETS (愛称:かけはし)" を搭載した H-II 5号機は、2段目エンジン LE-5A のトラブルにより静止遷移軌道への到達を果たせず、特殊法人宇宙開発事業団は初の打ち上げ失敗。それ以降、ただでさえ遅れ気味だった日本の宇宙開発はますます遅れ、追い討ちをかけるように1999年11月、運輸多目的衛星 "MTSAT (低軌道の人工衛星にさえならなかったため愛称なし) " を搭載した H-II 8号機も1段目エンジン LE-7 のトラブルにより打ち上げ失敗。

事態の重大さを受けて日本の宇宙開発は暗黒時代に入った。具体的には、計画であと1回残ってた H-II 7号機の打ち上げはキャンセル。開発中だった H-IIA 開発は事故原因究明と人的組織体制の見直しが済むまで開発ペースを落とすことに。さらに予算縮小の煽りで、同じく開発中だった日本製無人スペースシャトル HOPE-X も開発凍結の憂き目にあってる。せっかく設計変更までしたのに。

2001年8月と2002年4月、ようやく開発を完了した H-IIA ロケットが連続して打ち上げに成功。失った信頼をいくぶん取り戻した。しかし3号機の打ち上げを来月に控えた今もなお、宇宙開発に対する世間の目は厳しい。擁護派だったおいら自身も、「大丈夫かよオイ」って気分になってきてる。この映画が製作されたときには考えられなかった事態だよ。それを思うにつけ、この作品のほぼ完璧な宇宙技術描写(かなり重箱の隅な突っ込みどころはある)を見てため息をつかずにいられないねぇ。は〜あ。

は〜あ、映画全体としての最高なつまんなさにまたため息……。(←それはもう言わないヤクソク)

追伸:もっとひどい日本映画も観たことあるよ。林海象監督「ZIPANG ジパング」(爆) と、大森一樹監督「継承盃」(爆2)。以上をまとめて、「観客ミジメ三部作」(←観てると「こんなのを観てる自分の姿」を想像してしまってみじめな気持ちになる)とでも名付けておくか。

「継承盃」はあまりのつまんなさに、「おれはこんなにひどい映画を、わざわざ上映時間に合わせて劇場まで行って正規料金を払って最後まで見てきたぞ!」と友達に自慢しまくったけど(笑)。客が他に誰もいない、貸し切り状態の映画館って初めてだったなぁ。ポスターには「笑えます」なんて書いてたけど、おもしろいとこなんか見事にひとつもなかったぞ。ここまで徹底的につまんないと、段取りを踏んで劇場で見た方が自分を笑えていいかも。ああそれが「笑えます」なのか。違うよね。ビデオでお手軽に見てしまった日にゃ、「レンタル代はくれてやるけど失った時間を返せ!」と言いたくなると思う。

洋モノだと、新大陸発見500周年記念ってだけの「コロンブス(ジョン・グレン監督のやつ)」と、モンゴル映画と見せかけて実は日本から行ったスタッフが場当たり的に横槍入れまくったのがモロバレで、悪い意味でとっても日本映画的な「チンギス・ハーン」が最低だったね。

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2002.8.6 火曜
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体の予定

明日は胃の検査、あさっては腸の検査。確認のための検査だから、たぶん変な結果は出てこないとは思うけど。

今日の夜8時からはなんも食えん。とっとと寝るべ。

銘板
2002.8.7 水曜
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朝8時半ちょっと前に病院に行ったら、既に患者のじさまばさまたちが待合室でテレビ見てた。診察券を出そうと思ったら、まだ受付に電気がついてない。掛札を見ると、「受付は8時45分からです」。早すぎるぞじさまばさま。おいらには、この時間に来いとのお達しだったんだが。

きっかり8時半、おいらは呼ばれて診察室に入った。

「胃カメラ、初めてですかぁ?」

2002.7.16 にレントゲン撮影を担当した看護婦さん、あくまで優しく聞いてきた。緊張をほぐすためだろうな。別に緊張してないおいら、ハイ、と笑顔で答えた。昨日は早めに寝たから気分がいいぞ。

「これ、胃の内側をきれいにする薬です。2杯飲んで下さい」と手渡されたのは、白濁したシロップ状の薬。

「なんだかヘンテコな味ですね」。おいらは飲んでから彼女に笑いかけた。

「そうですかぁ? 『おいしい』って言う人もいますよぉ」

「ふぅーん、うまいっちゃうまいかなぁ……初体験ですよこの味」

看護婦さんもちょっと笑った。

胃カメラってのは、年々進歩していく度合いが素晴らしい、と聞いたことがある。初期の頃は直径3センチ以上もある全然曲がらない管を飲み込まされたそうで。考えるだに恐ろしい。今はずっと細くなったらしいし、管がぐねぐね曲がるようになってるし、飲み込みやすいように工夫されてるみたいだし。大したことないだろう。かなりポピュラーな検査法だし。それは確かにそうかもしれないが、おいらはこのときまだ、これから起きる惨劇を知るよしもなかった……。

今日の拷問:人間ポンプ

シロップ薬を飲むと、ついたての向こうの長椅子で体の右側を下にして横になっているよう言われた。顔は壁に正対していて、診察室の様子は見えない。やがてがやがやしてきた。一般診察開始らしい。しかしこの姿勢でどれだけ待ってればいいんだろう。かなり待たされてるんすけど。首が痛くなってきたなぁ。

しばらくそのままにしてたら、看護婦さんから声がかかった。好きな姿勢にしていいそうだ。ああせいせいした。おや、傍らの胃カメラの機械、電源が入っているではないか。てっぺんのモニタに白黒画像が映ってるぞ。うむぅ……ひとしきり悩んだのち決断した。

『よし、これで遊ぼう!(笑) むひひひひひ……』

おおお、映ってるよあっちもこっちもそっちも。管の先をいろいろな方向に向けたりしてモニタを覗いてはまた被写体を探す。

『鼻の穴とか映したりして』

と、鼻の穴の手前に持ってきたけど、ライトがついてないから真っ暗にしか映らなかった。たぶんこれには今、メイン電源しか入ってないんだろう。全部電源が入ればカラー画像にもなるだろうしライトもつくだろうが、これ以上は勝手にいじるわけにもいかないだろうな。

管の先端を観察すると、5つの「何か」がある。ひとつは穴。たぶん胃を膨らますのに空気を送り込むんだろう。レンズっぽいのがあったから、そこに指をかざしながらモニタを見た。やっぱりレンズ。小さいレンズっぽいのもあった。たぶんライトだろう。あと2つは不明。

それから、管の先から5センチぐらいのところを持って、ぷるぷる振ってみた。ははぁさすがにモニタ表示は動作から少し遅れるんだな。コマ速度は15コマ/秒ぐらいか。胃の中には敏捷に動き回る物体があるわけでもなし、そんなのを追跡して観測するわけでもなし、こんな性能で十分なんだろう。あとやったのは、映画のカメラで言うと「パン」「チルト」「ドリー」「クレーン」をやってやった。せっかく撮影機械としてこの世に生まれてきたんだもん、こう使われたら本望であろうが。どうじゃ胃カメラ。

ふと我に返ったら、看護婦さんたちがみんなでこっちを見てた(汗)。やだ。ずっと見てたの?(滝汗)

そんなわけで担当の看護婦さん、ちょっと気まずそうにおいらを呼んだ。そのまま違う看護婦さんにパスされた。おお、あのかわいい看護婦さん。(^o^)/ ヨッ! 7月に来院したとき、おいらの便の全てを聞いた看護婦さん。 (-_-;) しょっく…

「お注射です。腕を出して下さい。んじゃぁちょっとチクッとしますねぇ〜」

なんでも、胃の緊張を取り去る皮下注射なんだそうで。刺されたときは痛くもなんともなかったんだけど、薬を注入したらこれが、痛い。

「け……けっこう痛いですねこれ」「ええ、皮下ですから」

かわいい顔してサックリかわしやがるなぁ。いででででで。で、またもとのソファで休むように言われた。さっきは気がつかなかったけど、ソファのところの壁には、患者向けの胃カメラの作法のポスターが貼ってあった。ははぁ体の力を抜いていれば大したことはないのか。

『検査は数分間で終わります』。おお、心強い! たとえ苦しくともこのぐらいの時間なら耐えてみせようぞ。担当の看護婦さんが来た。今度はのどの麻酔だってさ。これが一番不安だったんだよね。首に注射するんだろうか。だとしたら恐そう。と思ったら、飴みたいな麻酔薬をスプーン1杯ぶん、口に入れられた。仰向けに寝そべったまま、飲み込まずにのどの奥の方に3分ぐらい止めておけばいいそうで。ああなんだこれだけか。よかった。3分ほど経ったら、一般患者の診察を一区切り付けた先生登場。

「あ、へんへーおはおうごがいあふ」

「あ、ゆんずさんそのまま寝てて。おはようございます。麻酔薬、残りは飲み込んで下さい」

ごきゅっ。

先生は今日の体の調子などをいくつか質問した。問題ないことが分かると、胃カメラの説明に入った。どうしても苦しいときは手を挙げて知らせるように、とのことだった。そうだよな。のどに管が入ってちゃ喋れないもんな。今度は体の左側を下にして寝そべる。モニタが視界に入りそう。リアルタイムで自分の胃の中を見ちゃおうか。でもそういうの弱いからな。見ながら吐いたりして。胃液が胃の中で逆流するのが見えたりして。胃壁も激しく痙攣するのも見えたりして。それ見てますます吐き気がして……ってそれ悪循環じゃん。見ないようにしよう。うん。

この時点で、おいらはまだ胃カメラというものをなめていた。本番中はそんな余裕などないことを、この直後、嫌と言うほど知る羽目になるとは……。

胃カメラ装置のスイッチがひとつ入ると、モニタの画面はカラーに変わった。さて、もうモニタは見ないぞ、と。看護婦さんはおしゃぶりみたいなのを手渡した。これをくわえるんだそうだ。真ん中に穴があいてる。そこに胃カメラのチューブを通すらしい。言われた通りにすると、早速チューブがその穴を通して口に入ってきた。

「はい行きますよぉ〜」

先生の開始宣言と共に、やつ(胃カメラのチューブ)はおいらの体内へと容赦なく進撃を開始した。ぬおおおおお! ぎゅるじいぃぃぃぃぃ! がはっ! げはっ! ががはっ! えぐへっ!! うぐびえぉぉぉぉ! 体の中心線に沿って、チリチリした異物がどんどん刺さっていく。ひたすら奥に、奥深くに。あれ、止まってる……。そこにすかさず看護婦さんから指示が飛ぶ。

「ゆんずさん、肩と首に力がすごい入ってますよ。力を抜いて、楽に、楽にして」

そんなこと言われたって、体の力ってどうやって抜くんだか忘れたよ!

「鼻で深呼吸して、鼻で」

言われてそうしてたら少し力が抜けた。管は進む。うぃえあぁぁぁぁ!

『管の先が食道を通ってる間は辛いけど、胃に抜けるとけっこう楽になりますよ』との事前の説明を必死に思い出し、おいらは耐えた。

「胃に出ましたよぉ〜」

先生の、なんだかのんきな声が聞こえた。早速調査開始らしい。奥に入れたり戻ったりしてる。うそつき! 全然楽になんかならないぞうぐえぁおお。

「もっと奥に行きますよぉ〜」

あ゛あ゛あ゛、あ゛あ゛あ゛、あ゛あ゛あ゛! がばぎびぐぶげべごぼ。

「はい、そうそう。吐いていいですよぉ」

ぐるじぃぃぃぃぃ。だずげで! だずげで!! だずげでえええええ!!! 宙にさまよった手の指が、ピアニストの霊でも憑いたみたいに勝手に動いてた。わらわらわらわらわらわらわらわら。薄目が勝手に開いた。ああ、目を閉じてたのか。「先生もう勘弁して」と、涙の溢れる目で見上げると、仁王立ちの先生はモニタを見つめながら、両手でチューブを1m間隔で握り、捻ったり押したり引いたりしていた。彼のその姿に、おいらは心で叫んだ。

『あんた先生つうより船頭だぜ』

とても耐えられん。そうだ、手を挙げよう。先に言われてたように、震える手を挙げた。

無視。

もう最後まで検査しちゃう以外どうしようもないもんなぁこんな串刺しにしちゃった状態じゃ。意識が薄れかけてきた。逃げたい、逃げたい、逃げたい……。でもどうやって? あああ頭がうまく働かん。いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ……。ただ、ひたすら、ただひたすら、耐えるしかなかった。

……、

……、

……。

「では戻しますよぉ〜」

もう少しだ。もう少しの辛抱だ。ぐぁぁぁぁぁぁげばぎぶごべがぼ。帰りも食道の通過は厳しかったのね。忘れてた。

はひーっ、はひーっ……。チューブが抜かれてからしばらくの間、身動きが取れなかった。体の動かし方が分からん。口の下に置かれた浅い洗面器みたいに容器には、透明な、水飴みたいな、どろっとした液体が 500cc ほど溜まってた。胃液? いや、無色だから唾液か。こんなに……。うええ、自分のツバでもこんなに溜まったのを見ると気持ち悪いもんなんだ。うええええ。

少し休んで落ち着いたら、血圧測定。異常なし。

「2回目以降はこんなに辛くないですよ」

と言う看護婦さんに、おいらは本音を答えた。

「もう二度とやりたくないっす」

看護婦さんは笑ったけど、おいらは笑いたくても笑う気力がなかった。

先生から解説を受けて、ようやく開放された。ぽちぽちとただれが見られるけど、ときどき胃薬でも飲んでれば大丈夫なんだってさ。

病院の外に出たのは11時半。天気予報では最高気温21℃と、真夏なのに過ごしやすい天気になるはずだったのに、やっぱり今日も猛暑。明日の腸検査にもおののきつつ、よろめきながら職場に向かうおいらであった。その場でもらった記念写真を片手に。

銘板
2002.8.8 木曜
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胃の検査を終え、胃カメラの通った跡がしっかりと体の感覚に残ったままのおいらは、腸検査に向けての遅い朝食を摂った。前から病院に渡されていたものだ。レトルトのお粥と、それにかける梅干しふりかけ。それと粉をお湯で溶かすみそ汁。期待してなかったけど、けっこううまかった(笑)。

うまかったんで、昼のぶんも食べた。同じくレトルトのお粥とおかかふりかけとお湯でとかすみそ汁。みそ汁が意外とうまい。一応麩の具が入ってた。夕方6時半に晩飯。もちろん指定の食事。期待してたら、コーンポタージュと粉をとかすジュースだけだった。がっかり。ーンポタージュはスープだけでなんも具が入ってないし(ああ、普通そうか)。

夜8時にひまし油を飲もうと思ったら忘れてて、9時に飲んだ。油くさいのかなぁと思ったら、これまた意外といい匂い。香料をまぜて飲みやすくしてるらしい。柑橘系とバニラだねこれは。レンタルビデオの「ワイルドスピード」を見てたらクライマックス寸前で急にトイレに行きたくなった。11時頃。おおー、ひまし油の効果ってすごい。トイレの個室の中が、柑橘バニラの香りで満たされたよ(爆)。明け方もう一回トイレに行って、腹の中はほとんどこれでからっぽ。

ちょっと寝たらもう起きる時間だった。今日の腸検査は朝7時からだから、もたもたしてはいられん。まぁ今日の検査は大したことないだろう。胃カメラよりきついのなんて想像できないもんな。軽い足取りで何も知らずに病院へと向かったおいらであった。

今日の拷問:カエルごっこ

指定された朝7時に病院に行ったら、昨日とはまた違う看護婦さんが待っていた。とりあえず浣腸を2回ぐらいかけて、腸の中をきれいにしてしまわなきゃならない、と事前に聞いてた。しかしあれだね。事前に聞いて確かに了承してたけどさ、いざ浣腸されるってのは、おばさんとはいえ異性にやられるのってヤだね。ならば同性ならいいのか。やっぱヤだなぁ。どっちにしても嫌なもんである。それでも耐えて2回やったら、すっかりきれいになったらしい。準備 OK。専用の服(お尻のところが割れてるズボン)に着替えて、レントゲン室へ。

看護婦さんに指示されて診察台に横になってたら先生登場。

「あ、先生おはようございます」

起き上がろうとしたら先生はそれを手で制止して、「おはよう」と言いながら、説明に入った。検査の内容は、腸内に空気とバリウムを注入して、その様子をリアルタイム動画の X 線撮影装置で見たり写真を撮ったり。バリウムを流し込むために、診察台を傾かせたりとかするんだそうだ。患者も指示に従って横向きとか仰向け、うつ伏せなどいろいろな姿勢をしなきゃならないらしい。聞くと今日のは管はちょっと入るだけだから、昨日の胃カメラみたいな苦しみはないだろう。おいらはそう判断した。

甘かった。

まず、先生が指を入れて触診。これはすぐ終わった。管を入れる。これも大したことはない。さっき浣腸でやってるし。

「では空気を入れまぁす」

看護婦さんの一言が、悶絶の門扉を開いた。ぐほっ。

「バリウム入りまぁす」

ぐがっ。ああっ、きついきついきつい! 腹が張る! ちょ、ちょっと待って下さい! 止めてもらった。

「苦しいですか? 痛いですか?」

どっちもですよどっちも。痛いし苦しいですよ(既に半泣き)。でも少しの間そのままにしていたらおさまってきた。腸が奥まで開いたんだと思う。まだ苦しいけど。

「ではまた行きま〜す」

だからちょっと待って、待ってってば。あがはぁ……。顔を横に向けたら、15インチ CRT モニタがあった。X 線画像がそこに映ってる。灰色のもやもやした背景の前で、何やら黒くて細長い影が、ぱぷんぱぷんと膨らみながら伸びてった。カメラの視野はその先端を追っている。おいらの腹の上に位置する撮影機が同時に動いてる。あああ気持ち悪いぞこの画像。

「はい体を左に向けて」

左に倒そうとしたら、差し込んでるチューブが気になった。あれが足に絡んだら抜けちゃうんじゃないだろうか。そう言ったら、看護婦さんはチューブを持って邪魔にならないようにしてくれた。

「今度はうつ伏せになって」

「はいまた左向きになって」

腹具合が悪くてなかなか思うように体が動かん。

「これをあと3回繰り返しまーす」

無茶言うなよ!

こうやって、複雑に曲がった腸内にバリウムを流していくのだ、と頭では理解できるけどさ、それにしてもきつい。きつすぎる。

「はい息をしっかり止めてー。はい OK でーす」

何度かこうして撮影したら、今度は診察台の上に何かをネジで固定した。ちょうどおいらの両肩の上あたり。おいらのお気に入りモビルスーツ、ガンキャノンにちょっと似てるなぁとは思ったけど、同時に「もしかしてこれは……」と嫌な予感がした。的中。

「頭が下がりまぁーす。手すりをしっかり掴んで下さぁーい」

診察台が容赦なく回転を始めた。うおおおおこりゃ恐い! でも -30゜ぐらいで止まった。ほっ。また水平に戻った。

「じゃあ右向きになって下さーい」

はいはい。よっこらしょ。

「手すりに両手でしっかり捕まって下さーい」

え?

「しっかり押さえてますから大丈夫ですよ」

えっ!?

診察台は無情にも、また同じ方向に回転しだした。すっ滑る。危ない危ない危ない。

ぬおおおお、ぬおおおおおおおお、-60゜いってるよこれ! 先生はおいらの肩を下から支えてる。看護婦さんはおいらの腰を支えてる。おいら自身は手すりを必死に掴んでる。おいらの肩を支える先生の手が震えてるよ。恐怖のあまり、声に出してしまった。

「おっ落ちる……こわいこわい……落ちる……」

万が一滑り落ちたら死ぬぞ。おケツにゴム管ブッ刺したこんなみじめな格好では死ねん! 死ねん!! 死ねん!!!あっ足が診察台から浮き上がってる。このままでは横向きのシャチホコになってしまう!(意味不明)

……、

……、

……。

ズイィィィィィィィン。診察台が水平に戻っていく。ああほんと死ぬかと思った。はぁ、はぁ……。

「はい起き上がって反対向きに寝て下さい。頭があっち側になりまーす」

とりあえず上体を起こして、診察台に座る形になった。下を見たら、ああなんてこった。こんなふうになってたのか。尻につながるチューブ、反対側は長く伸びて何らかの医療機械につながってるもんだとばっかり思ってたんだが、見えているチューブはせいぜい 20cm ぐらい。先っぽにはパフパフ式のラグビーボール型空気ポンプが付いてる。管の途中に T 字型の弁が付いていて、そこからバリウムを注入するらしい。

かっこ悪い! 圧倒的に!! これじゃ空気ポンプで跳ねるカエルのオモチャだよ! それを見て泣きたくなった。パンパンに張った下腹のせいで具合いが悪いうえにこの失望。生きた心地がしない。のろのろとようやく体を反対向きにして、と。あ、また腹が痛くなってきた。

先生は今度はさっきの肩当てのところに板を据え付けた。

「手すりに捕まって下さーい。今度は起き上がりまーす」

診察台がさっきと同じ方向に回転して、体が起き上がった。

「はい息をしっかり止めてー。はい OK でーす」

もうここらへんでは意識が朦朧として、何をどうしたんだかよく覚えてない。ただ先生の言葉に従ってただけ。

「もう少しで終わりですよー」

という声のあと、本当にすぐに終わったのだけ覚えてる。ああそうだ。診察台を立てたまま終わったんだ。管のバルブを開いて、注入されたバリウムと空気を出したんだっけ。「はい、いきんでー」と言われたって、体に力が入らなくて。着替えてトイレに行って残りを出そうとしてもやっぱり力が入らなくてなかなか出なかった。

診察室に戻ったら、先生が解説してくれた。一応診察中に見たところでは異常はなかったらしい。あとは今日撮影したレントゲン写真をじっくり見て詳しく調べるんだそうで、その結果は来週の火曜日以降に来院すれば分かるんだってさ。

2日連続で、元気に病院に行き、半病人みたいになって病院を去ったおいらであった。

検査料は昨日の胃の検査のぶんと合わせて 6,230 円也。保険が効いてるからとはいえ、けっこう安いもんなんだねぇ。個人病院であんなハイテク医療機器を使って。でも医療機器メーカーさん、お願いだからもっと苦痛の少ない機材や方法を開発して下さいよ。昔よりずっとましなんだろうけど、やっぱりツラ過ぎるっす(泣)

銘板
2002.8.9 金曜
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たけし

しまぶー捕まったねぇ。ジャンプの「世紀末リーダー伝 たけし」どうなるんだろ。

最近はまた格闘編に入ってたから読んでなかったけどね。彼はギャグの切れが良くてなぁ。そんなときはいつも読むんだよなぁ。やっぱギャグはジャンプって感じで。でも今みたいにマジなケンカものに突入してると、どうも肌が合わなくて。だから掲載中止になったとしてもあんまりピンと来ないんだけどさ。来週号(ああ、もう明日出るんだっけ)は、間に合わないから掲載かな。さ来週号からは掲載中止だろうな。

なんかもったいねーなー。でも罪状が罪状だけにちょっとね。少年誌だし。うーん残念。彼はもう少年ジャンプには帰って来られないんだろうか。スーパージャンプかヤンジャンならいけるか?

ああいう創作系のお仕事って、煮詰まるとああなりやすいんだろうか……。

銘板
2002.8.10 土曜
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帰省入れ違い

今日、友達が一人、帰省してくる。一緒に飲みに行こうっと。でもそいつ、明日東京に戻るんだと。ばかたれ。もっといろ。

明日また一人帰ってくる。あさってまた一人。

銘板
2002.8.11 日曜
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大変重大な事実

昨日飲みながら友達と語っていて思い出した大変重大な事実を、また忘れてしまう前に書き残しておこう。

「エイリアン4」のシガニー・ウィーバーは
 マイケル・ジャクソンにウリふたぁつ!!
ふーっ!!

いや、ほんとだってば (^^;)

銘板
2002.8.12 月曜
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救出隊 出動!

11日は、午後2時半に八戸駅に行く予定だった。10日夜に一緒に飲んだ友達が東京に戻るから、彼を駅までクルマで送り、一緒に駅そばを食い、3時頃に八戸駅に着く別の友達(東京からの帰省)を拾ってうちまで送る、とまあそういう段取りになっておった。駅そばは、古い八戸駅界隈ではけっこう有名で、なんかそのあたりでは一番うまかった。新駅の建設でこの2年間、駅機能はプレハブの仮駅舎に移っていたんだが、ここには立ち食いそば屋がなかった。新しい駅ではそば屋が復活したんで試食してみようという魂胆だった。

全ての予定が狂ったのは雨のせい。1時か2時頃、これから東京に戻る友達から電話があった。どうも特急はつかりが大雨の影響で止まっているらしい。八戸駅は役に立たない状態らしい。東京から帰省して来る友達は盛岡で足止めを食ってるらしい。東京に戻る友達は既に、十和田市在住の友達に声をかけて、クルマを出してもらうことになったらしい。それで盛岡に乗せてってもらって、帰りに帰省する友達を拾ってくる段取りになったらしい。

おいらの車には乗りたくないらしい(笑)。エアコンがないのと狭苦しいのと、いつ故障するかわからないスリルも敗因らしい(爆)。で、おいらのすべきことはなくなってしまったんだが、盛岡まで同行することに決まっていたらしい。ほどなくして十和田のやつが東京に戻るやつを乗せて、おいらのうちまで来た。そのまま盛岡に発進!

八戸自動車道の上り線、すごいすいてるよちょっと。では帰省客が利用しているはずの下り線は混んでるのかというとそっちも相当な余裕がある。さすが八戸道(笑)。盛岡に近づくに従って、このシーズンにしては意外なほど上り線のクルマが増えてきた。この中のけっこうな割合が、我々と同じ目的なんだろうなぁ。盛岡駅に送迎しに行く人たち。この間、盛岡駅で足止め食ってるやつとは携帯のメールで連絡。盛岡インターで降りたあたり、

切符を精算して外に出てもいいのか

と来た。うむー、改札の内側でずっと状況待ちしてたんか。1時半頃に盛岡駅に着いたとして、もう4時過ぎてるぞ。盛岡駅には他にもそういう境遇の人たちがたくさんごった返してるんだろうなぁ。あともう少しで駅に着くってあたり、またメールが来た。

JR、今頃になって代替バスを出す話をし始めた

それに返信。もう着くよ!(爆) いやー盛岡駅の改札の向こう、予想はしてたけどすごい人の数。東京・仙台方面から新幹線で次々と人が降りてくるのに、全然さばけないんだもんな。んでまぁせっかくだからとりあえずめしでも食うか、と盛岡名物の冷麺でも。駅ビルの焼き肉屋で。それぞれいろんな辛さで頼んで食い比べてみたんだが、特辛でも大して辛くないぞ。

おいらは汗っかきだから辛いやつは夏場はだめなんだな。汗がどんぶりに入るのが許せん。で、辛味なしで頼んだんだけど、こんなんじゃ中辛ぐらいでもよかったな。全く辛くない冷麺ってかなり味気なかった。しかも変に甘みばっかり目立っちゃって。

東京に戻る友達を駅で見送った帰り、高速のインターに向かう我々は盛岡市内で、我々は大変興味深い物件に出くわした。

太鼓屋さん。店内には作りかけの太鼓が並んでる。こういう専門店って、あるのか。しかもよく見ると、1軒の建物に見えたのは実は寄り添った2軒だった。それぞれが別な名前の太鼓屋さんだった。なんだか爆笑してしまったよ。ラ、ライバル!? ケンカに強そうな職業ナンバーワンだよなぁ太鼓屋さんって。それが2軒並んじゃって、ドラゴンボール級のケンカを毎日繰り広げてそう。

さらによくよく見ると、寄り添った2軒は実は3軒だった。さすがに3軒目は太鼓屋さんじゃなかった。赤い色の看板が出ていた。

「やきとり たいこ」

火に油を注いだように笑ってしまった。うーーーーーーーーーーーーーーーーむ。たいこさんという女性の名前なのか、太鼓のことなのか、全く判別できんそんなところがまたいい感じで。

顔を合わせれば喧嘩ばかりの2人の太鼓職人、サキチとトメキチの間にいつも割って入って止めさせる、焼鳥屋の看板娘のたいこちゃん。

「ちょいとちょいとあんたたち、いつもいつもみっともないったらありしゃしない」

二人ともたいこちゃんに気があったりして、気の強い彼女に止められると二人ともしゅんとなったりして、でもやっぱり何でも張り合わなきゃ気が済まない二人は今日も何かしょうもないことで殴り合い。どっちも実はたいこちゃんに味方についてほしいと願ってたりして、どっちも『たいちゃんは俺のもんだい。てめぇはすっこんでな』と、口に出しては言わないけど内心そう思ったりして。

そして心の底では『こうして喧嘩してればそれを止めにたいちゃんが来る。ああ今日も会いてぇなぁ。早く焼鳥屋の暖簾を平手でパンとはね上げて顔見してくれよ』なんてこっそり思ってたりして。

ところがある日、いくら喧嘩を続けても焼鳥屋からは誰も現れない。不思議に思った二人は焼鳥屋の店先から中を覗いてみた。文金高島田を着込んだ滅法な美人がカウンターの丸椅子に腰掛けている。

「おいおい誰だいありゃ」

喧嘩仲間に耳打ち。

「おっおい、たいちゃんだぜ」

「バカ言え。あの子がなんで嫁入り姿しなきゃなんねん……ほんとだ。違ぇねえ」

彼女は二人に気付き、歩み寄ってきた。

「黙っててごめんね。サキっつぁんにトメキっつぁん、あたしお嫁に行くの。親の決めた縁談でね、あたし一人じゃどうにもならなかったの」

「そんなこと急に言われたって……」

二人は同時に声に出し、顔を見合わせた。相手の情けないツラを見た二人は、思わずいつものように張り合った。

「お、おう、そっそそそんじゃしかたねぇよな」

「だっ、大事にしてもらうんだぜ。旦那が泣かしやがったらおっおお俺が承知しねぇや」

「そりゃ俺のセリフだ」

「へっ、おめえなんかに任せられるか」

「なんだと?」

「二人とも」

「おっと済まねぇ、目出てぇ日に喧嘩だなんて」

「なんだたいちゃん泣いてんのか? ごめんよ、なぁごめんよったら」

「違うんだよ。もう二人に会えなくなると思ったら、なんだか急に……」

(ひたすらベタなんで中略。ていうかとっとと終わりたくなってきた)

チャグチャグ馬っこの花嫁行列を送り出す二人の暴れ太鼓が、盛岡の街いっぱいに響き渡った。

ほんとベタベタだな。それに盛岡(南部弁)なのに江戸っ子言葉って……(謎)。とまぁ大体こういう話があったんですよあの3軒の並びには、きっと(ゴマカシ笑)。

太鼓屋さんの前を過ぎて高速に乗ってから八戸まで、実にスムーズだったなぁ。ほんとに帰省ラッシュなのかよ。別な友達から、「お盆あたりになると、八戸インター近くにイカの絵か何かが出るはずだ」と言われてたんで、高速を降りるあたりでみんなで捜してみた。料金所と料金所の間に、それはあった。

ベニヤ板にイカの絵を描いて切り出したような、そんな感じのやつ。身長1.2mぐらい。デザイン自体はかわいげなんだけど、目が蛍光ボールでさ、光ってんの。ちょいキモかった。

銘板
2002.8.13 火曜
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暁の脱出

タイトルの割に大した内容じゃないんだけどね。昨日、帰省してる友達と飲んでね、クルマで街まで行ったから帰りは運転代行を使ってね。まぁつまり、なんだね、6月から飲酒及び酒気帯び運転で捕まるとめちゃめちゃ罰が重くなったからね。「ビール1杯30万」ということらしい。ということできちんと代行を使おう、と。あ、今までも代行を使ってたけどね。誤解なきよう。

で、クルマを運転してもらって帰って、「そこにクルマを置いて下さい」と運ちゃんに頼んだら、なんか妙に突っ込んだところに止めたんだ。まあでも大丈夫かなぁ、と酔っ払った頭で判断して、代行料金1,700円を払った。安いよなぁ。タクシーでうちから街まで往復すると3,500円ぐらいかかるからなぁ。これからも飲みに行くときは代行かチャリンコだね。あ、チャリもほんとは飲酒・酒気帯び運転はダメなんだった。徒歩だね徒歩。片道1時間ぐらいかかるけど(笑)、帰った頃にはだいたい酔いが醒めてるからこれもよし、と。

朝、今日も出勤。お盆だから早仕舞いだけど。とにかく出勤。クルマに乗った。エンジンかけた。バックで出ようとしたら、スタック。泥の中でタイヤが空転。あの代行屋め! (▼_▼メ) 最近降り続いてる雨で土が緩んでるんだから、ちゃんと砂利のところに止めろよなクルマ。

ちょうど前タイヤが土のところに行っちゃってるんだ。いつもより突っ込んだところに止めたもんだから。後ろタイヤは砂利の上だけどさ、意味ないんだこれが。ミニは FF(Front Engine, Front Drive)だからね。FF 駆動の車のメリットとして、「駆動輪に高い垂直荷重がかかっている」ということがある。これはつまり「駆動輪の摩擦力が大きい→駆動力が大きい」ということ。つまり同じパワーをかけてもタイヤがスリップ(空転)しづらいということ。

まあ RR(Rear Engine, Rear Drive)でも同じことなんだけど、駆動輪の直上に、シャシーに次いでの重量物であるエンジンがのっかってるからそうなる。FR(Front Engine, Rear Drive)よりも、悪路などでスタックしづらい。

スタックっつうのはこの場合、泥・砂・雪などの柔らかい路面にタイヤが空転しながら潜り込んでしまって、自前のエンジンパワーのみによる自力脱出が不可能になる事態のこと。路面とタイヤとの摩擦力が低い状態であまり荷重がかかっていないと、タイヤが空転しやすい。泥・砂・雪のように柔らかい路面だと、タイヤはその場で路面を掘り起こし、タイヤはひたすら沈んでいく。ますます脱出しにくくなる。悪循環ですな。

FR のクルマはこの悪循環に陥りやすい。一番強いのは四駆だけど、FF 車はそれに次いでスタックしづらい。でもやっぱりスタックするときがある。今日のがそれ。スタックすると、最悪の場合、つまりタイヤが掘り下げ過ぎて車の腹が地面に乗ってしまうと、もう本格的に脱出が難しくなる。俗に言う「亀の子状態」。こうなると一人でいくら頑張っても脱出はほぼ無理。それでも一人でやるとしたら、ジャッキアップしてクルマの腹につかえてるもの全部をスコップで掘り出して、クルマの前か後ろにも腹がすらないような坂道を造ってジャッキを下ろしてようやく脱出トライ開始。だめならまたはじめからやり直し。2時間コースは堅いでしょうな。

人数がいる場合、ジャッキアップなしでつかえた腹の下からできるだけスコップで泥・砂・雪を掘り出して設置面積を減らし、タイヤの前後をスコップで掘り起こして登りやすいようにして、別なクルマ1台にロープで引っ張ってもらって、さらにスタックしたクルマの周囲に2, 3人ほど配置して押してもらってようやく脱出できる。おいらは今まで何度かこれを経験してきたからね。脱出手伝いも含めて。そんなわけで、今朝は無理にエンジンをふかして脱出することはすぐ諦めた。クラッチを断続してクルマを前後に振り子のように揺さぶりつつ振幅を増やしていって脱出する方法に切り替え。

それでもだめだった。これ以上空転させると最悪の事態になりそう。車を降りて下を覗いてみると、まだクルマの腹がつかえるまでは多少余裕がある。なんとか一人で脱出できそう。スコップは……あ゛、ないんだっけ。雪かき用のもあるけど、泥じゃだめだね。弱すぎて。雪かきスコップを壊すだけ。そしたらそしたらうーん、移植べら? これしかないの?

しょうがないから移植べらでタイヤ周辺の掘削作業開始。そういや泥スタックからの脱出って自分のクルマでは1回もやったことなかったわ。雪なら何回かあるけど。「こんなもんかな」とタイヤの前後を掘ってスロープを造った。「振り子作戦人力編」開始。おいらがクルマを押したり引いたりしながらやろうということ。やってみたけどクルマはぴくりともしない。なんでじゃ!?

ああそうか。サイドブレーキ入れっぱなし。(^_^;) サイドブレーキを解除してもういっぺん。今度は今度で、ぴくりとしかしない。ああそうか。ギア入れっぱなし。(^o^;) ギアをニュートラルにしてもういっぺん。お、重い! 何だこの抵抗感は。ぜんぜん振り子の振幅が増えない。砂利の路面に前タイヤを押し上げるなんて絶対無理だよこりゃ。

タイヤを見ながら何度か押してみた。周囲の泥がその都度に変形してる。横に盛り上がった部分がタイヤのショルダーと擦れてるし。こりゃ貴重な人力を食われまくるわけだわ。移植べら再出動。タイヤの横の泥の盛り上がりを削り取る。内側も忘れずに。特に内側はサスペンションが泥にひっかかるかもしれないから念入りに泥を掘り出して、と。ついでにタイヤ表面にこびりついた泥の固まりもこそげ落とす。さーて「人力振り子」再開。これで出てくれるといいんだけど。

失敗。それでもまだ重い。砂利路面にまで押し上げるにはあと1人必要だなこいつは。とは言っても朝っぱらからそんなことを頼める人も周りにいないし。えい、一か八かの「エンジン振り子 ラージヒル方式」じゃ。

また移植べらでタイヤの周囲の泥を取り払って、今度はタイヤの前も掘ってスロープを造って、と。いったん坂を上がるようにして前に出て、下り坂の勢いとエンジンパワーを足し合わせ、1発で登り切ってしまおうという大技だ(笑)。スリップさせちゃタイヤが泥を掘っちゃって元も子もないから、クラッチのつなぎ加減が大事な要素になるんだな。

そんでは1回目行きま〜す。そろそろと前向きに坂を登って、ブレーキ踏んで止めてギアをバックに入れて、ブレーキを放すと同時にエンジンふかして半クラッチで繋ぐ。下死点を通り越してさらに加速! どうじゃ!! うぬ〜、うぬぬ〜。エンスト。惜しい。

ブレーキ踏んでギアをローに入れて、逆向きに加速。おお、さっきよりスタート地点を高く稼げたぞ。

2回目行きま〜す。どうじゃ今度は! またエンスト。惜しいぃぃぃ。しかしだんだんこうやってスタート地点の高度を稼いで、4回目で脱出成功! うわは、うわは、うわーっはっはっはっはっはっ……。プリンセステンコー、三代目の座は頂きですよ(謎)

所要時間は15分ぐらいかな。走り出したらタイヤに付いた泥がはねて、職場に着いた頃にはボディの横が泥だらけになってしまってたよ。どうせ雨降りだから流れてしまうだろうけど。

今度から運転代行を頼むときは、クルマの置き場所を細かく指示しようっと。

銘板
2002.8.14 水曜
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「ひとりごちるゆんず」

1周年記念事業 9

2002年3月のぶん

すっかりテンション下がりまくりの「ひとりごちるゆんず」1周年記念事業(笑)。今日は3月のぶんの特集。今年の6月分まで予定してま〜す。いつ完結するやら。

1. LAN の日(2002.3.6

この月はよっぽどなんもなかったんだな。Mac 話がやたら多い。最近は Mac OS X にもだいぶ慣れて悩むこともなくなってきたけどね。ああこれは職場の Mac の LAN 環境か。まだこのときは職場の2台はどっちも Mac OS 9.1 だったっけ。んでも LAN 接続なんてろくにやったことがなかったから(1月の半ばまで、「ニセ無線 LAN」つまりフロッピーディスクでデータをやり取りをしていた)、接続設定でけっこう悩んだりしてね。

しかし LAN、いいわ実際。設定が決まるとあとは楽でさぁ〜。接続相手のパソコンにシステムのバックアップも取れるし、大きめの画像ファイルや住所録ファイルも簡単に流せるし。フロッピーなんかじゃできない芸当だよ。そういやこの前、取引先様に半年に一度提出していた手書き記入形式だった書類が電子化されちゃって、「プリントアウトされた紙ベース書類と、元データをメールかフロッピーのものも提出」になってしまって。いや〜書類作成に LAN が大活躍。

この3月6日に悩んだおかげで、今では恐がらずにバシバシ使えるようになったよ。設定をいくつか用意して用途に合わせて切り替えたりとか。OS X と OS 9 の接続にも双方向で成功して、Apple Discussion Boards でアドバイスしたらうまくいって、質問者に感謝されちゃった。うれち〜。実はアドバイスしてもうまくいかなかったときもあったんだけどさ。(^_^;)>

銘板左端銘板銘板右端

2. 発光(LED)ダイオードの話題(信号機:2002.3.15, 2002.3.16, 2002.03.18 ストップランプ:2002.3.21

そんなわけで、発光ダイオードの信号機を心待ちにしてるんだけど、まだなかなか見つからないねぇ。新しい交差点の信号機も電球形式がついてたりするし。まだ実証試験中なのかねぇ。あとで思いついたんだけど、有り余る深夜電力をバッテリーにためておいて、昼の電力需要ピーク時はそれで駆動するってのもありだと思う。LED 信号機ならバッテリー容量は電球型の5分の1で大丈夫だ。充分いけそうだと思うんだけどねぇ。青森県警さん、地球のためだと思っていっちょ開発してみない?

銘板左端銘板銘板右端

3. 美女トーク Vol. 3 マダムとの昼下がり(2002.3.30

ええ、まぁ、キャサリンおばさまのことです、ええ。どーも寒い間は何ごともやる気が出なくて。面白い話題ってのもなんか書く気が起きなくて。3月も末であったかくなってきて、久しぶりにノリまくって書いたやつだったりする(自爆)。

「若草物語っぽく」って言っても、読んだことないんだけどね。まぁそういう感じでってイメージで。すんません誤解に満ちてるかもしんないね。でもね、このキャサリンおばさま(仮名)ね、食後の薬を飲むときほんとにあれを言うんですよ(爆)

銘板左端銘板銘板右端

追伸:ここ数日、1日遅れだったけど、ようやく追い付いた。って、ああもう日付けが回って15日になってる……(汗)

銘板
2002.8.15 木曜
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再発 キーボードの病

2001.7.26 の「修復!」で話題にしたキーボードのトラブル、最近またよく出てきちゃって。下から2段目が効かなくなって、あとスペースキーとコマンドキーの左側も効かない。当時開発した「殴って直す」というジョジョの第4部みたいな方法も効かなくなっちゃって。今までもときどきこの症状が出てね、その過程で開発した技がまたあったりしてさ。

「キーボードを開けて掃除する」

効くんだよこれが。殴るよりは。でも全分解できないのよね。この当時の Mac の標準キーボード(Apple USB Keyboard)、裏蓋が外れると思うんだけど、いくらトライしても外し方がやっぱり分からないのだ。ビスで止まってるところと再上部の合わせ目のツメは難なく外れるけど、最下部の上部パーツと下部パーツを組み合わせてるツメところがあって、ここがどうにも外れそうにないのよ。見るからに外れなさそう。いじってみてもやっぱり外れない。いろいろずらしたりしてみてるんだけど、どうも理解できん。

しょうがないから、といつもそこまでいって諦めちゃう。でもそれだと収まりがつかないから、キーを外すんですな。あるキーを押し下げて、見えた隙間にマイナスドライバーを突っ込んでてこの原理で押し上げると、「キポン!」というかなり気持ちいい感覚とともに外れちゃうのだ。いや別に「ピコン!」でもいい。で、キーの底面(その下に回路部があるから、「2階の床」にあたるところ)を見るとこれがけっこう汚れてる。髪の毛やらクッキーのクズやら何やら。めまいしそう。(@o@;)

そいつらを掃き清めてキーを戻して半分外れた裏蓋を戻してネジを締め直して USB プラグを本体に差し込むとあら不思議、さっきまでの不調がウソみたいに直ってる。ついさっきそのトラブルが出てね。いま直したばっかりのとこ。快調快調。今度直らなかったら新しいキーボードを買い直そうかと思い悩んでたよ。

今の Apple Pro Keyoard って、キーの打ち心地はいいんだけど、パワースイッチがキーボード上にないってのは不便なんだねぇ。Windows 系では昔からそれが当たり前だろうけど、いっぺんこのキーボードのメインスイッチってのに慣れてしまうとなかなか手放せなくなっちゃうのよ。買い換えはサードパーティ製のキーボードでも構わないけど、なるべくパワースイッチがあるやつにしたいのだなぁ。

しかしなんで Apple はこんな便利な仕様をやめちゃったんだろうな。昔のベージュ色筐体の Mac は本体にスイッチはなくて、すべてキーボードのスイッチから起動してたっけ。キーボード・本体それぞれにスイッチが付き始めたのは…… iMac だ。1998年。そうかあのときからこうすることを狙ってたのか。パワースイッチなしキーボード(Apple Pro Keyboard)が出たのが2001年。3年もかけて周到に移行してきた理由は何だったんだ。かえって不便にしやがってからに。

また今回もおまじないみたいな修理が効いて使えることになったことだし、どうせまたいつか再発するんだろうけど、とりあえずこうやってだらだら付き合っていきましょうかねぇ。

銘板
2002.8.16 金曜
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早期復旧祈願

東北本線 盛岡ー八戸間の不通区間、早く復旧しますよーに (-人-)

盛土が豪雨で流れて線路が宙ぶらりん。あれって意外と早く修復できちゃうよね。かえって怖いけど、それでも早く復旧しますよーに。

今年の12月、この区間は新幹線が開通する。並行在来線の東北本線は第三セクターに払い下げられて、地元が運営することになる。ということで JR 東日本の東北本線のこの区間としては、今のお盆が最後の稼ぎ時になるはずだった。それがこんなことになっつまって……。

でも JR 所有のうちでよかったとも言えなくもないか。地元第三セクターに引き渡されるときは、長いことかけて傷んできた例の区間の盛土はほぼ新品同様だろうからね。

銘板
2002.8.17 土曜
前日に飛ぶ
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「菊地」いきま〜す

明日、「菊地」を出すよ〜。「青空劇場」に出品したやつだよ〜。

タグの貼り付けがめんどくて、いままで HTML 化してなかったんだ。改行タグの <br> を足すだけなんだけどさ。いまその作業中。

銘板
2002.8.18 日曜
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「菊地」

「おう菊地ぃ!」
 街を歩いていたら、見知らぬ男に呼び止められた。
 私は菊地なんて名前じゃない。新手のキャッチセールスかもしれない。
「人違いですよ」
 あからさまに警戒しながら答えた。
 しかし相手は心得ているとばかりに、
「それよりともかくお前、菊地だろ? 分かってんだ。顔見てすぐ菊地って分かった。いやもちろんそう不思議がるのも無理はないけど、でもどう見たって菊地だ。顔だけじゃなくてその歩くときの肩の動き、足の運び、しゃべり方まで菊地そのものだ。なあ菊地、どうしたってあんた菊地なんだから、隠したい気持ちは分かるけど俺には分かんだよあんたが菊地だってさ」
「よっぽどその菊地さんて方は私に似てらっしゃるんでしょうね。でも残念ですけど私は別の名でね。それじゃどうも。菊地さんによろしく」
 相手があんまり馴れ馴れしく人違いし続けるので、私の方も嫌味っぽくなってしまった。
「それそれ! そうきつく言い返すとこなんかもろ菊地だ。じゃあ菊地、自分の名前、つーか自分で自分の名前だと思ってんの言ってみ」
「おっしゃる意味がよく分かりませんが!」
「まあまあお怒りなさんな菊地さん。とりあえず自分の名前言ってみ」
「しつっこいぞ。そんなに聞きたけりゃ教えてやる。……だからだな、それを聞いたらとっとと消えろ……今教えてやるから。教えてやるからな。そっそれを聞いたらだな……」
「それで名前は何だって菊地うじ。早く言いなよ。教えてくれよ菊地様ぁ」
「うっさい! あれ何だっけなええとあの……つまり俺は……佐藤……そう佐藤だ。どうだ菊地じゃない!」
 私の名は佐藤ではない。佐藤は今適当に浮かんだ名前だ。なぜかこいつに「菊地」と呼ばれ続けていたら、自分の名前をど忘れしてしまった。
 とにかく私は菊地でも佐藤でもない。……たぶん。
「ほらなやっぱり。佐藤なんて今思い付いたんだろ。そんなはずねーって。あんた菊地なんだからもう馬鹿なこと言うな」
「赤の他人から馬鹿呼ばわりされる筋合いなどない。からかうのもいい加減にしろ!」
「え? 赤の他人じゃないよ。俺の顔、見たことあるだろ菊地。俺の名前も知ってるはずじゃないか。思い出してみろ」
 この男にそう言われてみると、何となく見たことがあるような気がしないでもない。相手の顔をじっと見てみた。
 脳の中で、何かと何かが接続した。
「木村か?」
「ビンゴ! そうだよ木村だよ俺は。菊地やっぱ分かってんじゃん!」
 実はさっきから怒りながらも、ひょっとして私は菊地なんじゃないだろうかという気がしていた。その気持ちは少しずつ強く大きくなりつつあった。
「菊地さぁ、不安がることないって。自分の名前が菊地だからって別に不都合なんてないじゃないか。今さら自分の名前を疑ってどうすんだ」
 私は木村の顔を見つめ続けた。
 そうだ。確かにその通り、自分の名前なんて別に菊地だっていいではないか。思い出したところでどうせ私は菊地なのだ。なんだかそう思えてきた。
 そんなことより私の目の前に立っているこの男の顔、前にも見たことがあるような気がしてならない。そしてこいつは確かに木村なのだ。そう考えるとますますこの男は木村という、以前から知っている奴に他ならない。馴れ馴れしい口を聞きながら右手で鼻をこすり、左手でジーンズのポケットの中を意味なくごそごそするあたりなど、まさに私の知っている木村そのものではないか。
「なぁ木村、やっぱりお前、木村だよな」
 もう我慢できなかった。
「やっぱり木村だよお前。しかしお前とはいつどこで知り合ったっけな。かなり昔のことのようだが、つい最近のような気もする。うまく思い出せないんだ」
「そんなのどうでもいいって。現にこうしてお互い分かり合ったじゃん」
「それはそうなんだがどうも気になる。教えてくれ。頼む。俺とお前のクサい仲じゃないか」
「うん、そんなら……」
 木村はほんのちょっとためらいながら、一瞬私を試すような目つきになった。
「今だよ、今」
 木村はすぐに私の顔から目を逸らした。
「え、今って……? 本当のことを言えよ木村らしくもない。参ったなさっきから木村にやられっぱなしだよ。な、俺の負けだから早く教えてくれよ」
「だから本当に今なんだ。今さっき俺が菊地に『おう菊地ぃ!』って声をかけた時が初めてなんだよな」
「何言ってる。俺が『赤の他人だ』って言ったら木村、『違う』って言ったよな。お前のそういうくどいところなんかまさに木村の中の木村なのに、何がどうなりゃ初対面になるんだよ相変わらず馬鹿だねお前」
「だからさ、俺は決して菊地をからかってるわけじゃない。あんたのことを菊地だと思う強さは、さっき菊地を見かけた時から変わってない、てよりさっきよりも今の方が強烈なぐらいだよ。菊地は菊地以外の何者でもない。だけどそっから先があんたの理解を超えちまってんじゃ仕方ない。俺は菊地が本当の自分の名前を思い出す前の話通り、消えるとするよ。そんじゃ菊地、元気でな」
 木村はそんなようなことを言うだけ言って、戸惑う私に背を向けた。
 そしてそのまま去って行こうとしたがふいと振り返り、私を思いやるように、
「菊地もそのうち分かるようになるよ」
 と言い残し、雑踏の中へと混ざっていってしまった。
 
 あれからしばらく経つが、木村の奴を見かけない。連絡もない。だが何となく思うのだ。あれはあれでもういいのだ、と。
 そんなことより、最近ようやく木村が最後に言った言葉通りになってきた気がする。というのも、こんなことがあったからだ。
 数日前、あの時のように街を歩いていたら、はたとある男の姿に目を奪われた。その男の歩く時の癖、服装、耳の形、その他こまごまとした要素全てを合わせた雰囲気そのものに、強烈な親しみを覚えた。
 どうしても声をかけたくなった。その途端、まさにそいつにふさわしい名前が思い浮かんだ。いや、それはまさしく「思い出した」と言った方がいい。そう思える心地良い感覚を伴っていた。
 私はもうそいつに、
「ようロジャー、元気だったか!」
 と言いたくてうずうずしていたのだがどうにも思い切れなくて、溢れそうな気持ちを噛み殺し、黙って擦れ違うことしかできなかった。

終わり

銘板
2002.8.19 月曜
前日に飛ぶ
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「スターウォーズ 

エピソード 2

 クローンの攻撃」

の感想、というより

想起してしまった

もろもろの回想

観てきたよ「クローンの攻撃」。特にいいニオイをかぎつけてなかったからあまり期待してなかったけど、「観ないと話題に取り残されるから」「前作よりずっと面白いらしいと評判だから」という、それだけの理由で。

ストーリー等の内容については、まぁ人がうだうだ言うのを聞いてしまって偏った知識を身に付けてしまうより、自分でちゃんと観た方がいいからあんまり詳しく書かないよ。どの作品についてもそうだけど、初対面での印象って大事だよね。公開中だから下手なことを言って営業妨害するのも趣味じゃないし。そんなわけで SFX について語ろうかのぉ。えほえほ、むんっ!(ヨーダ口調)。

昔は、「スターウォーズと言えば SFX、SFX と言えばスターウォーズ」だった。SFX の品質が他作品より抜きんでていて、それだけでも客をドカスカ集めたもんだった。しかもただ質がいいだけでなく、使いこなしてもいたからね(「納得の行く出来に仕上げられないことはやらない」という賢明さもあった)。それが今じゃねぇ……ハリウッド中の SF が「スターウォーズに追いつけ追い越せ」でがんばってきて、特にスターウォーズが十何年も休んでる間に CG 表現が発達しちゃって、アナログ特撮をやるより安く完璧に、そして何でも表現できるようになっちゃった。

こうなるとですな、特撮のぼろがあっちに出てるかこっちに出てないかとか、特殊撮影方法をあれこれ推理するとか、そういう低い次元の楽しみがなくなってしまったんですわ。完璧なのはもう当たり前なんだから。では現在の CG 全盛の SFX は何が楽しいのか。それは「製作者がどれだけイマジネーションを膨らませたかを見ること」。想像力の問題になるわけで、これは SFX 表現がとうとう普通のアート表現と同じ地位にまで昇華したということにもなるわけですな。

ここがスターウォーズシリーズの存在意義に関わるとおいらは思っておる。いや、ストーリーとかテーマとかは別として。SFX 技術の最高峰としての存在意義。技術単独ではもうスターウォーズにアドバンテージはない。となると、どれだけ斬新な見せ方ができるか、にかかってくる。

「スターウォーズ エピソード4 新たなる希望」以前の SF 映画というと、代表はやっぱり「2001年宇宙の旅」だよね。キューブリック監督の。この時点でかなり完成された SFX を見せてる。1968年公開ということは、まだ人類は本物の宇宙のカラー映像をろくに見ていなかったことになる。それが今でもあの映画があんなにリアルに見えるってのは実はものすごいことだったりする。難を言えば、スピード感がほとんどなかったこと。映画がそういう方向性だったってのもあるし、実際の地球人類の宇宙活動ってのは安全第一で見た目ゆっくりしたものが普通だから、そんな意味でも正しいんだけどさ。

それから、「リアルな宇宙映像にはゴージャスなフルオーケストラ BGM が最高にハマる」という偉大な発見。スターウォーズはそういうところを引き継いだ。

「2001年……」の当時の対極は「フラッシュ・ゴードン」ですか。かわいそうに今ではすっかり陳腐化してしまって物笑いの種だけど、当時は熱狂的に受け入れられたらしいよ。アメフト選手が宇宙のヒーローになって大活躍という設定自体がいきなり凄まじいんだけど(昔のアメコミが原作だからなぁ)、最も許せなかったのは、主人公フラッシュ・ゴードンが自分の名前をプリントした T シャツをずっと着てるってとこ(失笑)。ここがどうにもアタマ悪そうに見えちゃってなぁ……。まぁでも「2001年宇宙の旅」にはないスピード感はあった。クイーンの起用までした音楽も斬新だったね。ウェディングマーチがまたこれがいい音出してて(笑)

そんないきさつで、ルーカスはそういう始祖鳥みたいな作品たちからいいとこ取りして、さらに自分流に鍛え上げたってわけだ。「エピソード4, 5, 6」でおいらが泣いて感激したのが、「2001年……」的にリアルな宇宙船デザインよりも「フラッシュ……」を先祖に持つスピード感だったりする。このスピード感という表現。これをどうやって「ものすごい表現」になるまで洗練するかってことで、ルーカス監督は相当悩んだんじゃないのかな。

その結果の、X ウイングでデススターの側溝に突っ込んでいく主観映像、すごかったよねぇ。ミレニアム・ファルコンで小惑星帯を駆け抜けるところ、思わず一緒に小惑星をよけたよねぇ。森の惑星エンドアでのスピーダーバイクのチェイス、圧倒されたよねぇ。メローイエローだかマウンテンデューだかの CM が真似してたっけ(笑)。

誰かが初めて編み出した表現をあとから真似するんならそんなに難しいことじゃない。「誰もそこまで考えも及ばなかったものすごい映像表現」を次々とやってのけたっつうことで、ジョージ・ルーカスは偉かった。そして時は下って1999年。「ファントム・メナス」公開。ワクワクして観に行ったよ。今度はどんな新ワザを見せてくれるのかと期待して。

何これ全然新しくないじゃん。ものすごい表現なんてないじゃん。他の映画に比べて何が売りなの? 話が単純なのはおいら好みでいいけど、ブツ切れであんまり面白くない。というか見せ場のためにストーリーの流れを延々とせき止めるのって、映画として質が低いやり方じゃないのか? 「エピソード6」で既にその兆候は出てたけどさ。

あとジャージャービンクスとかいう見てるだけでムカツク「がんばりすぎキャラ」も出てたし。ナタリー・ポートマンはジャン・レノと共演した頃のオーラが消えて、ただのお人形さんな美人女優になってたし。オチは見飽きた「敵の反応炉を壊したらやつらが全滅したよバンザーイ」だったし。唯一の救いは、だっこしてなでなでしたくなるぐらいアナキン坊やがかわいかったってことか(笑)

「エピソード1」がお好きな方々へ。 私ことゆんずはあなたの意見や感覚を侵害する意図はありません。私の感性とあなたの感性が等価であることは心得ているつもりです。どうかご容赦下さい。

その1年後にクリント・イーストウッドが「スペース・カウボーイ」っつう SF ものを出してるよね。この SFX がすごくてさ。担当アーティストが恐いぐらいノリまくってるんだよ。衛星に逆噴射をかけると、周囲に浮かんでるおびただしい量の部品や破片が前方にドドーッと流れていく映像、特撮のことしか知らない特撮屋には絶対に表現できないよきっと。SFX スタッフ総括者の知性を感じさせる逸品カットだ。

それと大気圏突入時の、エンジニアリング学の香りさえ感じられる映像。今までの映画だと、ちゃんと見せないでごまかしてたんだよね。宇宙船が大気圏再突入する様子を、すぐそばからつぶさに見た人なんていないから。それを真っ向から表現しきったところが素晴らしい。それまでは恐らく、「機動戦士ガンダム」での描写が最も克明だったんじゃないのかねぇ。それでも不満だったけど。特に東 → 西の向きで突入するという無謀さが。

おいらは「スペース・カウボーイ」の SFX 表現の「ものすごさ度」は、「エピソード1」の次元を超越してると思う。イーストウッドのジョークセンスも、ルーカスのディズニーレベル(「キャラに寄せる客の好意頼み」の意)なギャグよりずっと上だし(笑)。

そんなこんなで、おいら内ではもうスターウォーズは SFX の単独トップランナーじゃなくなってるんだわ。「エピソード1」の3カ月前に公開された「ガメラ1999 邪神(イリス)覚醒」でも「ものすごい」カットがあったしさ。敵怪獣イリスがでっかい満月を背景にこっちに飛んでくるとこ。感激した。かっこよくて。

「カネがないから才能もないし想像力もない。だから魅力もない。だから客もない。だからカネがない」

と自他共に認めてきた日本映画でさえ、年々コストが下がって日本映画界でも手が届くようになってきた CG 表現をものにしてここまでできるようになったってのに、製作費を「ガメラ1999」の10倍ぐらいぶち込んだ「エピソード1」には、これさえ超えるカットやシークエンスがひとつもなかった。ひとつもだ(注:主観で言ってますよ)。

悲しかったよ「エピソード1」の気抜けさ加減は。そのせいでこの3年間、もう劇場ではシリーズものは「釣りバカ日誌」しか見まいと心に誓ってきたんだが、やっぱり気になって様子を見に行ってしまいました「エピソード2」。見た人たちが「前作よりずっと面白かった」って言ってたし。以上を踏まえた上で(踏まえないかもしれないけど)、「スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」本編の感想はあとで書くよ(と言ってもまた重箱の隅な SFX 講評に終始する予定)。

銘板
2002.8.20 火曜
前日に飛ぶ
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「スターウォーズ 

エピソード 2

 クローンの攻撃」

の感想、というより

全般的 重箱の隅

注:「エピソード2」をまだ見てない人は読まない方がいいかも。

さて今日は SFX について。と思ったけど、さわりだけのつもりで全般について書き始めたらそれだけでけっこうな量になっちゃったんで、今日は全般について(アバウトだなぁ)。

上映時間

長いよ2時間22分は。さすがに去年の「パール・ハーバー」より1時間も短いし話の流れも良かったから、時計を見たくなるほど飽きはしなかったけど(「パール……」では1時間半で時計を見た。上映中さらに3回見た)。恋物語の部分、トータルで10分ぐらい削れない? あとジェダイたちが話するところとか元老院がうんたらかんたらとか、そういうあたりも。

要するにセリフを減らせと。それで2時間ちょうどぐらいにしろと。そうすりゃ派手にドンパチやってるところが相対的に多くなって楽しかったと思うんだが。冒頭のエアカーのチェイスも、もう少し刈り込んでも支障なかったと思うぞ。サビ頭(最近の娯楽映画のトレンドで、出だしに見せ場を作って観客をノセる手法。「豪華版ツカミ」と言ってもいい)なのは分かるが。

ワイプ編集

スターウォーズシリーズで定番の編集技法が「ワイプ」。ワイプとは何か。ドナルド・リチー著「黒澤明の映画(三木宮彦訳)」の用語解説によると、

ワイプ 一本の線が画面の中を移動することによりシーンを転換する技巧。後からの映像で前の映像をふき去る(ワイプ)ような印象を与え、ワイプの前に描かれた事件とその後に描かれる事件が並行して進んでゆくという感覚を生む。

語り口で言えば、「ところで、……」「一方、……」「その頃、……」と同じかな。昔の映画はカット同士のつなぎ目に本当に一本の線が出て、それが移動して画面を拭き取ってたんだけど、年代が下ると線をぼかすようになった。白黒時代の黒澤明が好んでた手法で、「七人の侍('54)」では線が見えてたけど、「用心棒('61)」では既に線にぼかしが入ってたと思ったな。

「スターウォーズのアイディアのもととなったのは、黒澤の『隠し砦の三悪人('58)』」

とルーカスが公言してるのは有名。そのせいかどうか知らないけど、スターウォーズでは「エピソード4」からずっとワイプが多用されてる。これは事実。なぜかこのシリーズは妙に凝ったワイプが多くて、マニヤックな観客としてそれも楽しみだったりして(笑)。

左右ワイプは当たり前。上下とか、時計の針の回転みたいなワイプとか、窓を雑巾で拭くようなワイプとかを「昭和三部作(←「旧三部作」とか書くとややこしくなるんで、この呼び方を考えてみた。現行のは「平成三部作」ね。ダサい呼び方けど)」でよくやってたのを覚えてる。でも一般にここ20年ぐらい、ワイプ技法自体が廃れててね。この他にも「フェードアウト」「フェードイン」「ディゾルブ(クロスフェード)」って繋ぎ方もまた同時に廃れてる。ワイプが一番の廃れガシラだけど。

最近流行りなのはオーソドックスな「カットつなぎ」。あるカットの最後のコマのあとにいきなり次のカットの最初のコマをつなげるという、一番シンプルで基本的なやつ。新しい作品だと全部カットつなぎだけってのも珍しくない。黒澤が「乱('85)」を、最初から最後まですべてカットつなぎで作ってしまったことで、もうカットつなぎ以外の退潮は世界的な合意になってしまったんじゃないだろうか。だってカットつなぎ 100% の作品群を見慣れてしまうと、他のつなぎ方をうるさく感じちゃうもん。

ワイプは特にねぇ……最近の感覚でこれを見ると、なんとなくコメディタッチなように感じられちゃうんだよね。誤解なんだけど、コメディではいまだにワイプがよく使われるから。かなり似合ってるし。木琴のグリッサンドと合わせたりして。

昭和三部作が作られた頃は、ワイプ技法はすでに退潮気味だったけどどっこい現役で生きてた。当時としても多用してる部類だったろうけど、あんまり客に違和感を与えなかったんじゃないかな。その観点で注目の「エピソード1」、やっぱりというか、ここぞというところによく使ってたねぇワイプ。でも不評だったんだと思う。「エピソード2」でもやってたけど、シンプルなものばっかりだったよ。左右ワイプと上下ワイプのみ。まぁ上下もやったってところに職人的こだわりを感じるけど、

「伝統だから今回もやったけど、時代遅れだからなるべく目立たないようにしてみました」

という心情がありありとうかがえる。「エピソード1」のワイプ多用を見て「平成三部作が映像編集界に与える影響」ってのをちょいと期待してたんだけど、ルーカスは編集トレンドの発信者ではなく受け手だったか。世界の編集トレンドでワイプが復活する兆しもなさげだし、ちょっと残念。ちょっとだけね f(-o・)

ここまで来たら、「エピソード3」でワイプをやらないわけにはいかないだろうなぁ。というかワイプ天国の「エピソード4」との整合上、時流に反していようが何だろうが、次作では今作よりも凝りに凝ったワイプをガンガンやらざるを得ないんじゃないだろうか。

ジャージャービンクス

前作でがんばりすぎたジャージャー、今回は出番が大幅に減らされた上、思った以上におとなしい。あまりの急激な変わりように、自白剤でも射たれたかと思った(笑)。動きも緩慢だし映りも逆光気味が多くて影がちで、歩く後ろ姿に哀れっぽさまで漂ってる。不人気だったショックか?

予言。「エピソード3」でジャージャーは死ぬんじゃないの?

彼が死ねば、同情した観客は「エピソード1」での彼のはしゃぎっぷりを許せる気分になるだろう、とルーカスは読む、とおいらは読む。暗殺や討ち死にはないだろう。客が嫌な気分になるだけ。だったら「天寿を全う」だな。「実はあの種族の寿命は短い」という設定で。今回の作品で急に落ち着きが出たのも、「寿命が短い = 老いた or 心の成長が速い」で辻褄が合う。ご主人のパドメ・アミダラに看取られながら、

「ただひとつアニー(アナキン・スカイウォーカー)のことが気がかりだけど、若い頃にクワイガン・ジン様に出会え、こうして今までパドメ様にお仕えできてミーは幸せでした。パドメ様、お腹のお子さま共々どうかお長生きを…スッ(合掌)」

てな感じで。

暴力と死の表現

死といえば、ジャンゴ・フェットの死に様はショッキングだったなぁ。「あ゛!」と叫びそうになったよ。そのあとの、彼の息子、ボバ・フェットのやるせな気なたたずまいが印象的。

「エピソード1」は子供客を意識してか暴力表現を控えに控えてたよね。ライトセイバーで斬られたのはドロイド軍団だけだったし、最後の地上戦ではジャージャーの部族に相当の死傷者が出たはずだけどその様子をほとんど見せてなかったし。今回はそこらへんの描写で元のスターウォーズ節が戻ってる。昭和三部作の頃は映画観客の年齢制限やその基準が甘かったからな。今回もエグくならないように配慮されてるけど、久しぶりに腕が切り落とされてたし。虐殺・惨殺場面もあるし。

コロシアムでの乱闘場面で、バルコニーに乗り込んだジェダイの一人が敵にやられて転落死してた。すごい衝撃っすよあれ。ジェダイの騎士があんな死に方するなんてさ。落ちる様子を真俯瞰で見下ろしたアングルがまたこれが冷たくて。大抵はこのアングル、悪役が落ちるときに使うんだよね。

米本国での年齢規制、"R" かな。いや、あまり血を見せてないから "PG-12" ぐらいか。「エピソード1」はたぶん "No Rated" か "PG" かな。(今日 [8月23日] 知ったところによると、「エピソード2」は "PG" だそうです)

悪役は間抜け

それからええと、あいつバカだよ。今回の悪役。ヨーダに隙を作らせるため、動けないオビワンとアナキンを狙うまではいい。なかなかの策士だ。でもそれでヨーダがおもいっきし隙だらけで叩き放題になることまでなぜ読めんのだ。一石三鳥のチャンスだったぞ。

まぁそこでそんなことになったら話が続かなくなっちゃうけどさ (^_^;)

銘板左端銘板銘板右端

追伸:日本語版を見たんだけど、アナキン担当の声優、言い方が一本調子。80年代のゴクミみたいな喋り。同じイントネーションを延々繰り返すから聞いててイライラした。でも他は声優さんに満足。特に、惑星タトゥイーンの奴隷オーナー。話しながら羽ばたいてホバリングするやつ。声質も話しぶりも、オリジナルとよく似てるんじゃない?

それと、新聞に出てた映画の時刻表がデタラメで参った。字幕版の開始時刻が 20:00 と書いてあったのに、いざ映画館に行ったら字幕版は 20:50 からで、日本語版が 20:00 だった。ちなみに新聞では日本語版は 20:10 から。全然違うだろが!(怒)

銘板
2002.8.21 水曜
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「スターウォーズ 

エピソード 2

 クローンの攻撃」

の感想、というより

SFX 的 重箱の隅

A long time ago,
the Galaxy far, far away...

黒バックに青緑色でおなじみの文句を出されると、「ああ、始まるなぁ」と心躍っちゃうよね。でもどうせならそのあとに続くタイトルと、それまでの粗筋の文章も青緑色にしてほしいといつも思っちゃう。「黄色はないだろ」と。

今回は日本語版を観たから、

遠い昔、
銀河系のはるか彼方で……

だったっけかそういえば。

で、ジャーン! パカラッパッパッ……とカッチョイイ主題曲が始まって、オリジナル通りのタイトルがぴゅーっと飛んでいって、日本語で粗筋がぞろぞろ流れ出した。やっぱり黄色かった。「黒に黄色」って、踏切みたい……。

お名前は忘れたけど、この映画音楽家のルーカス・スピルバーグ系代表作って、「インディ・ジョーンズ」「バックトゥザフューチャー」「ジュラシック・パーク」と、どいつもこいつもアレンジがマーチ調だな。"E. T."という例外はあるにせよ、ここらへんが人気の秘訣なのかな。

銘板左端銘板銘板右端

今日は SFX にツッコミ入れる日。それにしても観てから3日も経つとかなり忘れてるね。「忘却曲線」てやつか。それでも無理に思い出しながら、いっちょツッコんでみますか。

エアカーチェイス

「サビ頭」ですはい。エアカー自体は「エピソード4」ですでに登場してたね。惑星タトゥイーンでルークが C-3PO を乗せて走ってるのを目撃した。よぉ〜く見ると、人形を乗せたミニチュア撮影だってことがわかる(笑)。で、今回はそのエアカーでチェイスしよう、という発想。普通のカーチェイスそのものが使い古されたアイデアなので、何か新しい要素を組み合わせないと面白くない。

はい今そこで、

「カーブで派手にケツ流してガツンとカウンター当てて、フロントタイヤの角度がよく見えるようにナナメ正面からローアングルで撮りましょうや」

と発言したあなた。見込みないです。今すぐ荷物まとめて田舎に帰んなさい。なんで日本のアクション界はいまだにこの撮り方をやめられないのかねぇ。30年も同じものを見させられて、観客はもうとっくに飽きてるのに。カースタント御用達の高橋レーシングにもっと新しい仕事与えてあげなよ。考えつくのは企画側の仕事なんだから。どうしてもケツ流してカウンター当てなきゃ気が済まないんなら、コーナリングを真俯瞰の望遠で撮るぐらいの発想、出ないの? クレーンに乗るか建物の屋上からでもさぁ。そっちの方が絶対コーフンするって。いや、あんた(作り手)がじゃなく客がだよ。自分よりお客に楽しんでもらおうとか考えたことないの?(苛)

話を戻してエアカー。これでチェイスとなると3次元だ。これは面白くなりそう。追い方、追われ方の2台に、空中ハイウェイを行き交う多数のクルマが絡みそう。CG で作り上げるんだからアングルもなんもかんも自由自在だ。出るか!? ルーカス必殺のスピード感!

……、

……、

……。

ま、悪くはないんだけどね。スピード感の他に浮揚感と、高度感もあって。でもなんでかあんまりときめかないんだなぁ。そんなに新鮮に感じない。なんでだ? ああ、あれだ。「フィフス・エレメント('97)」。あれでとっくにやってたわ。これにそっくりなチェイス。アイディア一番乗りでないことを意識したのか、「エピソード2」ではけっこうこってりと見せてくれるんだけど、結果的に長ったらしくなっちゃってる。同じ時間を消費するなら、想像を絶するような追加アイディアを、どんなのでもいいからもう一品つけあわせてほしかった。エアカーだけなら「ブレードランナー('82)」でもやってるし、さらにたどれば手塚治虫の「火の鳥」にも出てる。空中ハイウェイの発想も「バックトゥザフューチャー2('89)」でとっくに出てたっけな。

しかし、いくら空を飛ぶからって、タイヤがないのはいかがかと思うんだが。どう考えたっていちいち浮き上がるより舗装道路をタイヤを転がして走った方が、エネルギー消費が少ない。乗り物で移動するってだけなら無理に空を飛ぶ必要があるのか? 急ぐ必要がなければ地上をタイヤで走るオプションもあった方がいいんじゃないだろうか。"A. I." の未来世界ではクルマはちゃんとタイヤがついてて道路を走ってたな。ああでも、「エピソード4」のエアカーが既にタイヤがなかったから、それに合わせたのかも。

とりあえず SF 娯楽超大作のツカミとしてはこんなもんかってとこだな。

炎の表現

未来都市といえば、油田のように噴き上げる炎。なんでか知らないけどなんでかよく似合う。「ブレードランナー」が最初の提唱者だと思う。ところが「ブレード……」の炎、妙に薄っぺらい。なんでかというと、その特殊撮影方法に問題があると思うんだ。「思うんだ」なのは、その方法はおいらの推測のみで未検証だからということで。まぁでもその方法で正しいと信じておるんだが。その方法とは、

  1. 黒い背景を前に炎を撮影・現像する。
  2. 黒を透明化する。
  3. 撮影済みの背景のちょうどいい位置に炎が来るようにフィルムを重ねて、合成撮影。

という段取り。問題は 2. の透明化。アナログなフィルム加工作業だと、どうしても被写体(炎)の透明度もつられて上がってしまう。厚みも何もない。背景が透けすぎて、実際には存在し得ないような薄っぺらな炎になってしまう。これはどうすればいいかっつうと、ゆんず案では、2. 透明化過程の後と 3. の合成過程との間にデジタル処理を施す。

炎の画像を構成する各ピクセルについて、明るさに応じて透明度を下げる。こうすれば被写体に厚みが出ると思われる。このプログラム自体はそんなに難しいもんじゃないと思うんだけどねぇ。まぁ「ブレード……」はこのアイディアのパイオニアだし、CG 処理もまだない時代だったからしょうがないやね。でも90年代以降だったらねぇ……。例えば「ターミネーター2」('91)の液体金属 CG の1000分の1程度の資金でできると思うんだけど。でも「T2」より後でさえこの「薄っぺら炎」ってのは生き残ってたんですな。

「ジャッジ・ドレッド('95)」。この作品の未来都市も、ご多分に漏れず炎を噴き出してる。城壁から横向きに、というのがひと味違うところだけど。でも相変わらず薄っぺら。こんなんじゃだみだよ。まったくなっとらん。ちなみに映画の内容は完全に忘れた。でもちっとも気にならん。

それがスタローンマジック(笑)

さてそういうわけで、いっぺん気がつくと気になってしょうがない明らかな特撮ボロなのに、映画製作者たちは客の眼力をなめてたのか、それともほんとに気付かなかったのかどうかは分からないけど、ともかくこの「薄っぺら炎」は永らく放置されてきた。さてどうだ2002年夏最大の話題作、「エピソード2」では!!

おおっ、炎が燃えておる。エアカーチェイスの真っ最中だ。チェイスはまぁどうでもいいや。どれどれ炎は? やった! 厚い!! \(T▽T)/ どうだこの画像だと体感温度も高いだろうが! あああ熱い暑い厚い熱い暑い厚い熱い暑い厚い……。よくやったルーカス君! 君のおかげでわしゃぁ鼻が高いぞ。チェイスそっちのけでよく見ると、炎の上に陽炎が出てる。これはさすがのわしも思いつかなんだぞ。君はとうとう師であるわしを超えおった!(←すんません少しひたらせて下さい)

そうか分かったぞルーカス君、君はあれをいたく悔やんだんじゃないのかね。「エピソード6」のクライマックスの場面。ハン・ソロのミレニアム・ファルコンで、新型デススター中心部の反応炉を破壊した直後。そりゃ全力で逃げるわなぁ火の手が追ってくるから。脅威の映像技術・演出・編集で、それはそれはすごい迫力だった。でも……と来るわけだここで。そのミレニアム・ファルコンに後ろから襲いかかる巨大な炎、薄い!

ルーカスはあれをずっと悔いていたんだと思うよ。この映像問題がかようにしてはっきりと映画人に認識され、解決が実現してしまった以上、以後公開の映画ではもう薄っぺらな炎なんて恥ずかしくて誰も出せないね。

あ、そうだみんな知ってた? 日本語版のみの特別サービスがあるんだよ。「エピソード5」で、飛んでくる隕石群の中にひとつだけジャガイモを混ぜた話ってあったよね。スターウォーズ持ち前の遊び心ってやつ。まさにあれ。今回のはすごいよ。炎が街の上に一定間隔で並んで噴き上げてるんだけど、後ろの方に小さく見える炎のひとつで、TIM が「炎」やってるんだ。

……、

……、

……。

うそですよ! 信じないでね! (^人^)

銘板左端銘板銘板右端

嗚呼、ライトセイバーのこともくどくどねちねち書こうと思ったのに、もう体力尽きた……。

銘板
2002.8.22 木曜
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「スターウォーズ 

エピソード 2

 クローンの攻撃」

の感想、というか

ライトセイバーにツッコミ

クライマックスはいつも通り超こってり。というかいつもの倍こってり。主な戦いの場は3つもある。コロシアム(処刑場)と荒野と首謀者のアジト。普通はここまでしつこくやられると変に疲れちゃうんだけど、つながりがいいうえノンストップだからずっと興奮してたよ。

これに対する過去の悪い例は「ロストワールド('97)」だな。「ジュラシック・パーク('93)」の続編の。2つのクライマックスの間があいちゃったし、つながりが弱いからどうも気分が乗り切れなんだ。「脚本書いてて、はじめの見せ場の盛り上がりがいまひとつ(「ジュラシック……」より落ちるということ)だったからもうひとつ付けときました」のような印象。2番目の見せ場はなんかゴジラシリーズのパクりみたな感じ。街に巨大モンスターが襲来して好き放題やらかすという発想が。

「エピソード2」では、処刑されそうになった主人公たちを助けに仲間たちが来て大乱闘(コロシアムの場面)。敵軍は負けじと大量増援するが、ジェダイたちも援軍を繰り出して反撃に出る(荒野の場面)。主人公たちはついに首謀者をアジトに追いつめ、決戦が始まる。以上がクライマックスの流れ。まぁ戦うヒーロー映画そのものなんだけど、やっぱりうまいんだ。どこがどううまいかはよく分からないけどね。夢中で観ちゃったもんだから。

コロシアムと荒野のところまでは勢いでガンガンいくけど、アジトではさすがに落ち着いた流れになるから、多少ゆったり観察できたよ。戦いは主にライトセイバーね。

色のバリエーション

なんでライトセイバーの色はの3原色のみなんだろう。アジトでの戦いは4人が出場するんだが、3原色以外は出てこなかった。1色足りんぞ。他にピンクとか黄色とかあってもいいようなもんだけど(←その色使いはガンダム)。

それに、色が性能と特に関係ないってことは、あの光は「好みで選べるただの飾り」ってことになっちゃうんだが、それでも3原色にこだわるのはなぜなんだ。その3原色がピカピカと戦ってるところを観てて、そんな疑問を感じたよ。でも白だと蛍光灯を振り回してるみたいだよなぁ…… (^_^;)

↑と、いったん書いてしまってから、ジョージ・ルーカスとプロデューサーのリック・マッカラムの来日記者会見のサイトを読んだら、

Q:ライト・セーバーの色の違いに意味はありますか?
 
L:ルールは特にないのですが、全般的に緑や青は善玉、赤は悪玉という感じになっています。サミュエル・L・ジャクソンだけが紫色です。
 
M:彼(サミュエル・L・ジャクソン)がどうしても紫がいいっていうから(笑)。「パルプ・フィクション」に出た役者には従わなきゃならないからね(笑)。

だってさ。そうか紫が1振りだけ出てたか。それにしてもジェダイマスター・ウィンドゥー、権力すごすぎ (^_^;;)

形のバリエーション

「エピソード1」では、悪役・ダースモールが披露した両刃型ライトセイバーがすごくかっこよかった。操る動きも少林寺の達人ぽくて、観てて飽きなかった。『今回はどんなのが出るのかなぁ』と期待してたんだけど、ノーマル型のみ。日本刀みたいに反りが入ったバリエーションぐらい出ても良さそうなのに。次回は『バガボンド』の影響でクサリガマ型とか出てきたりして……。

あの事件 再来!?

アナキンが首謀者と戦う前、なんでかライトセイバーの先っぽで床を這ってる電源コードを切ってしまう。わざと切る理由もなさそうだから、たまたま切ったということなのかな。そこらへんがはっきりしなくてちょっと×。それになんでそんなところに1本だけ電源コードがわざとらしく配置してあったのか分からないのも×。まぁとにかくそのせいで場面の見栄えが暗くなる。

わざわざそういうところを見せたということは、演出意図で暗くしたということだ。『ライトセイバーによる華麗なる光の舞いを見せたい』くらいしか思いつかないんだけど。ライトセイバーの色は赤と青。暗闇の中で2色が激しく交錯し、ぶつかりあう。おいおい、あの字幕を出さなきゃまずくないか?

お部屋を明るくして、画面から離れてごらんになって下さい。

ポケモンショックを知らんのかルーカスよ! 隣で見てた小学生、白目むいて口から泡を吹いてたぞ(←それはうそ)。この殺陣は延々とは続かないから、あの再来にはならないと思うけどね。それにしても「黒地に赤と青」って、気持ち悪い色使いだと思うよ。

照り返し

ずっと前から思ってたんだけど、ライトセイバーの光の照り返しがない、あるいは全然足りないのが不満。今回は特に暗いところで戦うんだから、戦う人たちの姿がその光で浮かび上がらなきゃウソだと思うぞ。でもほとんどの光は「アジトの出入り口から入る自然光や、非常灯の明かりの設定」なんだよね。いかんなぁ。実現は厳しそうだけど。

撮影中は、ライトセイバーがほんとに光ってるわけじゃないからね。一応蛍光塗料を塗って光を反射するようにはなってるらしい(その程度の照り返しは見える)けど、「自分で光ってる」とするにはほど遠い光量だろうなぁ。CG 処理でさえ役者の姿を照り返らせるのは相当難しそうだけど、この問題をどうにかブレイクスルーしてほしかった。確かに「エピソード4」の頃よりはずっとましにはなったけどね。というか、その時の反省が生きてるということかもしれないけど。

「エピソード4」ではすごかった。オビワンがライトセイバーを正面に構えてるカットがあってね、そこでなんとライトセイバーの影(!)が彼の体に落ちてるのを見つけてしまった。あれにはほんとがっかりだったなぁ。撮影時、自分で光ってないライトセイバーに、正面から点光源ライトを当てるからこうなる。撮影監督さん、パネル型のライトやレフ板でごまかすことぐらい思いつけよな〜。ていうかカメリハでそれに気づけよな〜。ていうか今なら CG で影を消せるかと。

ルーカスは今、平成3部作に続けて昭和三部作を見た人にあまり違和感を与えないため、昭和三部作の SFX 手直し版をまた作り直してるらしいから、これを機会にぜひこの点を改善してほしい。頼んだぞ! とりあえずこの問題に気づいてくれ! と、部外者は祈るばかり。祈りの言葉はこれですな。

フォースと共に在らんことを。

映画表現の本質的危険速度

ライトセイバーの動きを強調して見せようとした演出意図は分かる。わざわざ周囲を暗くしたのも、恐らくそういうことだろう。でさ、よく見せたいからアップが多いんだ。でもこれはちょっとまずい。見てると、ライトセイバーの軌跡がとぎれとぎれになってる。「光る剣が円弧を描いて動いている」というより「扇形の光が順次点滅してるだけ」にも見える。暗い中で明るい物体が激しく動くのって、映画が本質的に苦手とする表現なのだよ。映画の撮影/上映システムが「24p 方式」である以上、ほぼどうしようもないことなんだな。「24」は「フィルムの送り速度が秒速24コマ」、「p」は「プログレッシブ方式」の意味。

まず秒速24コマについて。この速度を決定したのはたぶんエジソン。もしくはフランスのリュミエール兄弟。

「連続した絵をあるコマ速度以上で見ると、あたかも絵が動いているかのように見える」

ということは昔からパラパラマンガなんかで知られていたけど、その現象と従来の写真術を組み合わせて、実際に被写体の動きを記録・再生しよう、と考えついたのがこの発明のキモ。その「ある速度」とはどのぐらいなのかを研究した発明者(どっちか分からないけど)は、秒速24コマ以上で自然な動きに見える、と結論した。

24て数字は便利なんだよね。1と24以外の約数がかなり多い。2, 3, 4, 6, 8, 12 の6個だ。つまり、コマを切りつめたクイックモーションなんかをやるときの自由度が高い。さらに、分と秒の区切りは60進数だから、ともに6や12の倍数なんで扱いやすい(そういえばアメリカ人って「1ダース」とかの12進法をやたら使いたがるよなぁ。12インチで1フットだしさ)。でも実際、映像って秒速24コマだと足りないんだ。状況によっては、人間の目はそれ以上の時間分解能を発揮する。

この速度で影響がないのは、画面上の動きがあまり速くなくて、背景(動かないもの)と被写体(動いているもの)のコントラスト差が比較的小さい場合のみ。ボロが出ちゃうのは、この条件を満たしてないとき。カクカク、パラパラ、チラチラした不自然な動きに見えちゃうわけだ。それでも24コマに決まってしまったのは恐らく、映画術の創世期はフィルムの性能が低くてコントラスト差が出にくかったのと、どうしても激しい動きを滑らかに撮りたかったらフィルム速度を上げて撮影して、その速度で上映すればいい、と考えたからだと思う。

ところが商業映画では世界中の映写機で上映できないんじゃ意味がないし、映画ごとにフィルム速度が違ってたんじゃ、設定を間違えて作品を台なしにしてしまう心配もあったから、秒速24コマが自然とデファクトスタンダードとして定着してしまった、んだと思う。

ちなみにビデオは秒速30コマだから、かなり自然な動きに見える。でもあまりにも自然すぎて、「鑑賞してる」って気分にはならないんだな。美しい見映えの映画というのは、そこらへんの制限も「映画の特性」として織り込み済みで作ってあるんだと思う。秒速8コマぐらいの安物のアニメを見慣れると、動いているというより紙芝居みたいに絵が順次入れ替わっているだけに見えてくるけど、今回の暗闇ライトセイバーみたいに悪い条件が揃ってしまうと、24コマのフルモーション画像でさえこう見えてしまうのだった。

次はプログレッシブ方式について。これは、感光器(普通の映画の場合はフィルムのコマ)の一面全てに一度に情報を取り込み、次に情報を一定時間遮断して(シャッターを閉じて)、それからまた感光器の一面全てに一度に情報を取り込み……という方式。「コマの全ての場所が全く同じ時間の情報を記録するので、コマの場所による時間差が発生しない→被写体の動きブレ(軌跡)の映りが均一」というメリットの反面、「(フィルムを動かす間などの)シャッターを閉じているときの情報が全く記録されない」というデメリットがある。

普通の撮影でのシャッター速度は 1/60 秒なんだそうで、ここからいくと、1秒間のうち、 24コマ×1/60 秒 = 0.4秒ぶんしかフィルムは記録していないことになる。あとの0.6秒は、カメラは目をつぶっていて何も見ていない。目をつぶっている時間の方が長いことに注目。目立つものが速い動きをしていると、どうしてもとぎれとぎれに見えてしまうのが分かってもらえると思う。

これとさっき言った遅いコマ速度の問題と合わさると、素早くて滑らかに見せたいはずの動きが、とぎれとぎれにチラチラと点滅して見えてしまうんだ。なんでもこの映画はフィルムは一切使わず、映画専用のビデオカメラで全て撮影されたそうだけど、24p システムだそうだから、上に書いた事柄はぴったり当てはまってると思う。

問題の原因に基づいて、解決法を考えてみた。ILM (Industrial Light and Magic: ジョージ・ルーカスが主催する特殊視覚効果映像の製作会社) は将来「エピソード2」をビデオ・DVD 化するときまでに、以下に述べる方法を研究してみてくれ給え。まず、撮影時には蛍光塗料のみでろくに光っていないライトセイバーを明るく輝かせる SFX は、こういう工程で作られるんだと思う。

  1. 特定の色のピクセルをターゲットとして探し出し、そこに指定色を上書きするプログラムを開発する。
  2. コンピュータに画像を取り込み、プログラム実行。角度によって明るさが違うから、ターゲット設定はある程度幅を持たせる。これでライトセイバー本体の光の表現は一応完了。
  3. 処理に失敗した部分(背景などで偶然ターゲット色になってしまい、処理されたところ)を修正する。
  4. ライトセイバーの周りにハレーション(明るさを表現するための、周辺部への色のにじみ)を描き込む。これもプログラムを組んで自動でできるはず。

以上のことしかしなかったんじゃないのかね。これだとライトセイバーの軌跡がとぎれとぎれに、または点滅しているように映っちゃう。秒速24コマの高コントラストだから、その現象は観客に認識されてしまう。よって、それを補正するため以下の工程に改めるべし!

  1. CG 着色前のナマ画像を用意する。
  2. もしもカメラが目をつぶらずにいれば本来うつっていたであろうライトセイバーの軌跡を推定する。これは前後のコマにうつっている軌跡を見れば推測可能。
  3. 推測した軌跡をコマの画像に描き込んで、画像にもともとうつっている軌跡と整合させる。
  4. 今までどおりの「光らせ工程」に入る。これが済めば完成。

画面で唯一明るく光っているライトセイバーの動きのみだから、背景とあまりコントラスト差がない人物の動きについては軌跡推定をする必要はない。あ、もしかしたら人物と背景はすべて、別々に撮影されて合成されたのかもしれないな。だとしたら話はもっと簡単だ。人物はブルーバックかグリーンバックで撮影されているはずだから、推測した軌跡の描き込みは背景込みより楽だろうし、ターゲット色の抽出もプログラムまかせでもかなりいいとこ行けるはずだ。

これでカクカク・チラチラ感は大幅に緩和されるはずだ。このアイディアを ILM に持ち込むと、おこづかいがもらえそうな気がなんとなくする(笑)。そういえば "AKIRA" ('88) 冒頭のバイクチェイス場面で、バイクのテールランプが長い残像を引っ張ってるのがかっこよかったけど、これとかなり近い発想と技術なんじゃないのかねぇ。

とまぁそんなわけで、この映画シリーズの売り物の「ライトセイバーの戦い」、まだまだ改善の余地ありというのがおいら的結論だ。とまぁそんなわけでルーカス殿、こづかいくれ(爆)

おまけ:最強のヨーダ

あの強さは反則だよ(爆)。「笑っちゃうぐらい強い」とは聞いてたけど、ほんと笑っちゃいそうなのを必死でこらえたよ。普段愛用の杖は、世を欺くためのフェイクかい。この「緑色のネズミ花火」め(笑)。カメラの視点もロングで固定。パンさえしない。あれじゃ観客を笑わせたがってると受け止められてもしょうがないと思うぞ。

あんな妖怪に取り憑かれたら嫌だろうなぁ。>ォィ

銘板左端銘板銘板右端

2006.8.4追記:「映画表現の本質的危険速度」の対策だけど、そう簡単じゃないらしい。映画撮影は単純に24コマ/秒なだけでなく、シャッター速度は48回/秒なんだそうで。つまりフィルム1コマに2回露光してる。やっぱり単なる24コマ/秒で撮影するとパラパラ感が目立ってしまうんだけど、こうすることでより自然な動きに見えるんだそうで。

仮においらが提案した技術を用いると、せっかく作り出した「24コマ/秒でも自然に見える」技術が死んでしまって、かえってパラパラした動きに見えてしまう、ということですはい。だったら、1コマに3回とか4回露光すればいいんだろうか。んー、難しいですなぁ。

銘板
2002.8.23 金曜
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戦後

当初は月曜の1日だけでささっと済ませるつもりだった「スターウォーズ エピソード2特集」、4日間にわたりこってりやらしていただきました。いや、ほんと些末なことばっかりだけど。どのオタク領域からも微妙にずれたこんな内容、読んで楽しい人が他にいらっしゃるのか、今になって疑問。

とりあえず書いてて楽しかったけど。

このページ、昨日の時点で9月まであと9日ぶんも残しながら、100KB の大台に乗っちゃったよ。最近は大型化が進んでしまってるなぁ。1日2時間ぐらいかかってるんだ長モノのネタは。いったんアップしてから見直して修正する時間を入れるとその倍ぐらいかかってたりする。

なかなかないぞこんなに巨大な日記サイト。そんなもの誇ったってどうにもならんけど。というか日記なのかという根本的な問題もあるし。一番上で「日記ってほどでもないし」って逃げ道作ってるからいいのか。許す。自分を。他が許さなくても。ハム屋の幹部のように(笑)。

ていうか長いのを書き上げた方が安心するようになってきた。おいらの現実逃避っぷりを示す貴重な資料だなぁ(笑)

そうそう、「現実逃避」って言葉、ちょっと変だよね。「現実に向かって逃避する」みたいじゃん。あああ、こんなのこねまわすからべろべろ長くなっちゃうんだよ。今月ぶんの残りは短めでいこう。うん。

銘板
2002.8.24 土曜
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Mac OS X v10.2 発売

今日は OS 10.2 発売日。動作速度面でまた改善があったらしい。特においらの使ってる機種では、マグネットコーティングでも施したかのように速くなるらしい。これで最近は順位が停滞気味の SETI@home をガンガンぶん回せば……ぬふふふふふ。

一応 Apple の発表では OS 10.2 は OS 10.1 の2倍で動作することになってるそうだ。おお、さらに Quartz Extreme とかいう描画機能まで最適条件で有効(おもきしギリギリだけど)だから、「3倍」ということになる。発表によれば。

でも現状から3倍ってのは話がうますぎる。Apple のことだから、なんかウラとかオチがある気がする。まぁとりあえず実質2倍ってとこでしょ。主催者発表は多少の誇張が含まれるのが世の常さ。それにしても2倍ってのはまだ景気が良すぎる気がする。

うむむむむむ、分かったこれだろ。OS 10.1.0 に比べてってことだろきっと。あれは遅かった。「10.0.x よりずっと速くなった」ということで賞賛されたらしいけど、おいらが OS X を買ったのは 10.1 が初めて。そのときには既にアップデータが 10.1.3 まで出てて、すぐさまそこまでバージョンを上げた。でもやっぱり「遅いなぁ」と思った。10.1.4 に上げてもあんまり変わらなくてもう期待してなかったんだけど、10.1.5 を入れたら急に速くなっちゃってびっくりしたさ。

SETI@home、1ユニットあたり22〜24時間かかってたのが、いきなり15〜16時間だもんな。5割ぐらいスピードアップしてんの。ちなみに OS 9.x の頃は平均14時間ちょい。いかに OS X が遅いかが分かる。つうことはあれだ。ほんとに 10.1.0 から2倍速になってるとしたら、S@h の解析時間は12時間ぐらいになるっつうことだ。

こんなとこじゃないかな。そうだとしても OS 9.x の頃より速くなるわけだし。S@h がメインなパソコン用途と化してる Mac ユーザとしては、是非装備したい OS ってことだな。人柱様たちのご報告を鑑みて、トラブルと解決法がひと通り出揃ったら買おうかなっと。

Apple の Discussion Boards を見たら案の定「インストールできない」だのなんだのまぁいろいろと出てて、まだ買う気になれないわ。システムのアップデータが2個ぐらい出たらにしようかな。OS X になってから、昔の Mac OS の小数点第一位アップデートとは比べ物にならないぐらいいろいろ変更してそうだから、トラブル報告、これからも陸続と出てくるんじゃないかねぇ。

銘板
2002.8.25 日曜
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Olympus C-3040ZOOM

と 緊急出動

買っちゃったよデジカメ。Olympus C-3040ZOOM。八戸じゅうの電器店を一日中、ビクセンのフィールドスコープと Mac の両方に対応してる機種を捜しまわってとまれよあそべあそべよとまれ。こういうスタイルって詩にあるよね。「倒置反復」とでもいうのかな。

♪花を召しませ〜 召しませ花を〜

それはいいとして、買ってからうちに帰って取り説に従ってセットアップしてたら、「日時を合わせる」ってのがあってさ、最近は腕時計してないから、携帯を出してさ。時刻を見ようと思って。そしたら連絡が入ってるの留守電に。ありゃりゃ気付かなんだ。

呼び出し。飲みに。出動。おいらいいやつだなぁほんと。ほんとはデジカメをいじりたかったんだけど。でも飲みながらいいネタ仕入れた。

クール ガイ

まぁそんな飲み会っす。デジカメはちょっとね。説明書も使い方自体も難解で、けっこう理解に苦しんでるっす。オートフォーカスも初めてだし。でもまぁぼちぼちやっていきますか。

銘板
2002.8.26 月曜
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道路工事の不思議

最近の道路工事で、ものすごく腑に落ちないことがあるんだけど。4車線道路なんかでね、左側車線が工事中だったりすると、右側車線は通れるけど徐行すべきだよね。それを促すには、工事区間の始まりあたりに「徐行」とでっかく書いた看板を出してさえいればいいと思うんだ。あるいは条例とか交通法とかで徐行を義務付けたりとか。罰則付きで。

なんか今年は夏になってから妙に道路工事が増えててね。八戸市内。年末・年度末の書き入れ時にやられるよりずっとマシだからその点はいいんだけどね。で、このなかには4車線区間の左側だけ工事中ってのもいくつかあるんだ。なんかさ、そういう工事区間始まりのところにいる、メットかぶって何かを持ってる人がね、こっち(ドライバー)に笑顔でアイコンタクトを送ってくるわけだ。「見てくれ〜」って感じで。

「何かな、従うべき重要情報かな」と思ってこっちからも彼にアイコンタクトを送るわけだ。彼はドライバーからの視線を確認するとさらに無邪気に大きく微笑み、手に持った旗をパッと出すわけだ。こっちを見つめたまま。「おおっ、何だ!?」とその旗を見ると、

「徐行」

とだけデカデカと書いてある。人をばかにするのもいい加減にしろよ。そこまでして言われなくたって、看板で見せてくれればするよ徐行ぐらい。そこで1車線ふさいで工事してる最中だってのはその前からもう見て分かってるんだし。5枚ぐらい並べて出しててくれれば粋がったドライバーでも渋々と徐行するって。ていうかよくよく見ると、そのミスター徐行フラッグの隣に、看板で「徐行」って出てる。

言っちゃなんだけどこの仕事、

存在価値あるの? ねぇ!

給料払って人員を配置して、するのはたったそれだけのことってのは、人道的にもどうかと思うぞ。「『動いているものに対して思わず目が行ってしまう』という人間の修正を利用しておる」のだったら、電光掲示板を配置しておけばいいだけの話だし。工事屋さんなら常備してるでしょそれぐらい。「ドライバーが来るのを察知してメッセージを出した方が、ドライバーにより効果的に伝わる」のだったら、センサー付きの電光掲示板にしたらいいだけの話だし。そういうことする必要があるんだったら製品であるでしょたぶん。

あと、どうしても人型にこだわるなら光る棒を振る人形、ああいうのにやらせるわけにはいかないのかい。今は夏場だから過酷シーズンの特別手当てがつくと思うんだ。けっこう高いと思うんだ。完全に機械化できる仕事なのに。ていうかほんと、看板一枚作って立てておけば済む仕事だと思うんだが。無駄遣いそのものって気がするんだが。労働力も。カネも。もしかしたら条例とかで決まったんだろうか。「その要員として少なくとも一人配置するように」とか。

あ、でも同じような工事区間でもその役を配置してないところもあるなぁ。法や条例じゃないらしい。そんな、おいらから見て限りなく無意味に近い単純労働に就かされてる人がまたなんであんなに楽しそうな表情してるのかも理解できなくて、正直言ってめちゃくちゃ気持ち悪い。

誰かこの件について、納得のいく説明をしてくれろ〜。

銘板
2002.8.27 火曜
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どんぶり大将

八戸らーめん、レシピ製作が完了したのは前にお知らせした(2002.6.20)けど、10月1日デビューに向けての企画の方も進んでおりますですよ。

今日は「(仮称)八戸らーめん会」設立準備会議。開発に関わった数人や商工会議所の担当者たちの他、賛同するラーメン屋さん、製麺屋さん、原材料屋さんたちも一堂に集まり、(仮称)八戸らーめん会の組織の構築やら材料の安定調達ルートやら原価の見積もりやら値段の設定やら専用どんぶりやらのぼりのデザインやらをシビアに検討。いろいろな意見が出てきてけっこう凄まじかったよ。それぞれがお店の大将だから、一筋縄ではいかない方々が多くて (T▽T;) アハハ

どんぶりのデザインを商工会議所から2種類提案されたときのこと。これは既製の白いどんぶりに、デザイン屋が紙に印刷した絵柄を両面テープで貼付けただけのものだったんだけど、なんとなく納得いかなくて、みんな「うーん」と悩んでしまった。コストを下げるには、同サイズ・同デザインのプリントを多用したり、プリントの数を減らしたりすればいいそうだ。みんな決めかねての「うーん」だったんだけど、商工会議所としては早く発注したいもんだから(特注デザインのどんぶりは発注から受け取りまで時間がかかるそうで)、この場で決定したいところ。

そんで、「じゃあこっちのデザインでいいですか?」と会議所に押し切られそうになったとき、思わずおいら一言。

「あのぉ〜、どんぶりひっくり返したとこの底面のロゴマーク、削ったら? そんなとこ誰も見ないよ」

これが論争の火蓋を切って落とした(笑)。とりあえずその案は賛成多数につき即刻可決。よっしゃ! そのあと意見が出るわ出るわ。

「そのロゴ、どんぶりの周りのやつ。そうそう。それ8つも貼ったらうるさいよ。3個でよくない?」「それいいねぇ」「とりあえず3個だけ貼ってみて」「ああ、やっはり3個がちょうどいいよ」「それからあそこの煮干しマークをこっちに持ってきて貼って……そうそう」「いやいやそれじゃなくそっち」「あれ? だったらこっちの方がよくないか?」「この柄とその柄だったらどっちがいいと思います?皆さん」「ははあそれじゃあこっちにしましょう。君、そこ貼り替えて」「いやいやそうじゃなくこっち、こっちだよ(言う人みんなの意見がまとまってるけど、貼り替える人が分かっていない)」「そうじゃなくも少し右。右」「イヤもっと下!」「そうそう」「あ、行き過ぎ!」

……スイカ割り状態 (^_^:) どんぶりのデザインはこれにて決定。我が意見も入ってオイラ満足。

あと、のぼりのデザインはお盆前に決定してたから、会議終了後、そのことについて商工会議所に訊ねてみた。個人のホームページ(ここのこと)で紹介してもいいか、と。まだだめだってさ。そのデザインの取り扱いについてまだ何も決まりができてないから、万一トラブルが出たときに対応できないからなんだってさ。なるほど納得。で、ここに出すのはそれを紹介するのはルールが決まってから、ということで。

あ、でも8月6日に、地元の新聞(デーリー東北)に出たんだよね。記事と一緒に。そこに出た写真なら公開済みということで紹介してもいいかと思う。写真は白黒だけど、実際はカラーだよ。朱色の背景に「○」は黒、「八戸らーめん」の文字は白ヌキ。

これだ!

いや、紹介してほんとに問題ないのかどうか自信ないけど(汗)。とまぁこんな感じで着々と進んでおりますよ「八戸らーめん」プロジェクトは。

デビューは10月1日だよぉ〜

銘板
2002.8.28 水曜
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H-IIA 3号機 来月打ち上げ

「デジカメと冷奴」「道路工事」「ラーメン」と来たら、その次に来る話題はやっぱり「ロケット」ですな(なぜ?)。

宇宙開発事業団が来月の11〜30日までの間に、H-IIA ロケット3号機で衛星を打ち上げるよ。前回は2月だったかな(過去ログ検索中)。2月4日だったね。このときは2号機。昨日かおとといの読売新聞に記事が出てた。「正念場」だそうで。でも H-II と H-IIA、正念場といえば毎回正念場なんすけどね(笑)

打ち上げ期間のインターバルが長すぎるのが「毎回正念場」の原因の一つ。諸外国(米・露・欧・中)だと年間10回ぐらいは打ち上げてるから、そのうちの1回か2回が失敗してもあまりショックはでかくないけど、日本はここ5年で、事業団の H-II と H-IIA と、宇宙科学研究所の M-V ロケットの打ち上げを合わせて6回実施。うち3回失敗。かなりイタイ。成功続きで一番景気が良かったときでさえ年3回程度だったりしたけど。失敗すれば原因究明と対策で時間を食ったりしてさらにインターバルが長くなって、ますます失敗の重みが大きくなる。悪循環ですな。

マスコミの冷たさもまたこれがね(嘆)。読売、記事を読むと前回の打ち上げをいまだに成功とは認めてないようだなぁ。成功なのに。分かってないくせに独りよがりだなまったく(怒)。

今回のは、衛星2個の同時打ち上げ。"USERS" というへんてこな名前の無人実験室衛星がひとつ。民間からの打ち上げ受託だそうだけど、その「民間」てのが財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)という、かなりお役所臭いお名前のところだったりする。どっかの省庁が音頭をとって作った天下り団体じゃないだろか(笑)。

大気圏再突入モジュールを装備していて(ジオン軍宇宙戦艦ムサイについてるコムサイみたいなもんだね)、無重力環境下で試験した試料を回収する予定らしい。この衛星の高度は 500km だそうだから、打ち上げ技術的にはそんなに難しいことはなさそう。

問題はもうひとつの静止衛星、"DRTS"。これは高度 36,000km の静止軌道(軌道傾斜角0゜で公転周期がちょうど24時間になる円軌道。地上の決まった場所から見ると、空の一点に常にその衛星が静止しているように見える)を回る。USERS のような低軌道衛星と地上とのデータ中継を受け持つためのもので、低軌道衛星と地上局との直接交信は1公転(1時間半〜2時間)で10分台なのが、DRTS を中継すると30分台にまで伸びる。低軌道衛星をそれだけこき使えるという、便利な助っ人になる予定。現在は低軌道衛星との長時間の交信が必要なときは、アメリカのこの手の衛星にかなり高い使用料を支払って行ってるそうだが、このたびやっと自前の中継施設を持てるというわけ。

98年にH-II 5号機で打ち上げた "COMETS(愛称:かけはし)" が実はこの機能を持っていたんだが、とにかく地球を回る人工衛星にはなったものの、静止軌道手前の静止遷移軌道への投入に失敗(ロケットのトラブルによるものだったので、公式に「打ち上げ失敗」として認定されてる)して、かけはしはその役目を果たせずじまいに寿命を終えた。今回が雪辱戦というわけ。

思えば H-II ロケット時代、静止軌道は遠かった。2号機は「技術試験衛星VI型ETS-VI(愛称:きく6号)の静止遷移軌道への投入は成功(つまり打ち上げは成功)したものの、衛星に搭載されたエンジンの不具合で静止軌道への投入に失敗した。ロケット、衛星ともに宇宙開発事業団が開発・運用主体だったために、素人の癖に知ったかぶりだけは一人前な一流マスコミの四流ジャーナリストさんたちは事態の分別がまったくつかず、「打ち上げ失敗」と明らかな誤報が横行した。正しくは「打ち上げ成功・軌道投入失敗」。

ちなみにこのときの科学技術庁長官は田中真紀子氏。氏はこの事象の発生直後にジョークのつもりか「派手な打ち上げ花火だったでしょ?」と最低な発言をしたことで、関係者からも一般人からもひんしゅくを買った上に混乱に拍車をかけた。この静止軌道投入失敗がケチの付き始め。

H-II 3号機で静止衛星ひまわり5号の打ち上げ・軌道投入に完全成功したものの、これは衛星の自重がせいぜい 500kg 台のもので、H-II が謳い文句にしていた「2トン級静止衛星を打ち上げる能力」を実証するには、H-II 5号機による COMETS(かけはし)の打ち上げを待たねばならなかった。それが前述のように、今度は間違いなく打ち上げ失敗。続けて99年の H-II 8号機(それぞれの計画の進捗状況や変更など諸々の都合により、打ち上げ順とロケットの号機の順は一致しない)による "MTSAT-1" の打ち上げ失敗と続いた。

最近の宇宙開発事業団にとっては、かようなわけで静止軌道は鬼門だったりする。ただし今回は H-II 以降で唯一成功した H-II 3号機と大体同じ段取りだけど、それでも実に7年半ぶりの静止軌道到達を狙う。それにしても、ロケット打ち上げはいつもいつも正念場だってのに、今回も新機軸の技術試験が予定されてるんですな。そういうチャレンジングなところがなんともステキ(笑)。「第2段エンジン再々着火」がそれ。飛行中に2段目のエンジンの起動・停止プロセスを合計3回セット行うということ。

H-IIA 2号機で予備的にいっぺんやって成功してるけど、今回は初めて実用的にやってみせるらしい。この技術をものにすれば、H-IIA は静止衛星打ち上げビジネスで最大のセールスポイントを得ることになる。

95年のきく6号の軌道投入失敗の原因は、衛星搭載のメインエンジンの故障。打ち上げ担当のロケットが再々着火技術を装備していれば、静止衛星は静止軌道投入のためのメインエンジンが不要となり、あのときと同じ失敗は絶対に起きなくなる。つまり打ち上げから軌道投入までのリスク要素が確実に減る。同時に衛星の開発コストも下がる。また衛星の質量が軽くなり、軌道修正用の燃料が長持ちし、衛星の寿命が延びる(大往生を遂げた衛星の死因ダントツ1位が「燃料切れ」)。といいことずくめ。それが「最大のセールスポイント」の理由(ただし、打ち上げられる荷物の最大重量は減ってしまうけど)。

毎回ハラハラの打ち上げ、今回も成功してくれよぉ〜。

あと、今年の暮れに、宇宙科学研究所が小惑星探査機 "MUSES-C" を、発想からジャパンオリジナルなロケット、M-V(ミュー・ファイブ)で打ち上げるらしいよ。こっちも前回の打ち上げに失敗してるから注目だ!

銘板
2002.8.29 木曜
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MUSES-C へのお祈り

MUSES-C ってのはあれだ、文部科学省宇宙科学研究所(ISAS)が長年研究開発してきた小惑星探査機のこと。 とりあえず、

MUSES-C のサイトはこちら。

今までの探査機は片道通行で、打ち上げられたが最後、死ぬまでデータを地球に送り続けて、果ては宇宙の藻くずと化したり、死んでから大気圏突入して消滅したりがほとんど(とりあえず日本の科学探査機・科学衛星は今まですべてそれ)だった。どうせ無人だから帰ってくる必要もないし、無理して帰ってきたって宇宙を飛び交う放射線や塵に当たりまくってぼろぼろの状態じゃ再利用なんて到底できないしで、無人探査機の地球帰還は、コストの割にはめぼしいメリットがない。ところがそんな常識を覆して、MUSES-C は地球に帰ってくる。無人探査機のくせに。なんでか。

おみやげをゲットしてくるから。小惑星に着陸して現地でデータを取って送ってくるのみならず、表面の物質を少し取り込んで、そいつを地球に持って帰って直接その成分等を調べようという、世界中の惑星科学者が注目してるミッションなのだ。

それが何になるのかっつうと、太陽系の生い立ちのことがより詳しくわかるらしい。いまだに生い立ちストーリーの説がいろいろあって、「どれもそれっぽいけど決め手に欠ける」という状態みたい。その論争、この調査結果如何によっては諸説の選別の助けになりそう。あわよくば論争にケリが付くかも。それとも今までの常識では考えられない新事実が出てくるか……というのが注目されてる理由。

行き先は "1998SF36" というえっらい覚えにくい名前(MUSES-C のサイトからコピー&ペーストした(笑))の小惑星。サイトによるとスケジュールは、今年の暮れに地球を飛び立ち、2005年10月に現地到着。3か月ぐらい滞在してデータやサンプルを取って、小惑星から飛び立って地球に向かう。まる2年かかって地球に舞い戻り、大気圏突入して地上に着いたらビーコンを発信して、そのビーコンを頼りに宇宙科学研究所の人たちが探し出して拾う、という段取り。

帰って来るの、2007年の夏なんだってさ。4年半だよミッションの実行期間は。この小惑星はとりわけ地球に近い軌道を回ってるってのに、こんだけ長い旅になっちゃうんだなぁ。マルコ・ポーロの中国旅行みたいだね。スターウォーズやスタートレックではワープ航法を駆使して銀河じゅうを一瞬で走り回るけど、まだまだ現状では夢物語だねぇ。で、おいらはもちろんこの計画の成功を祈ってるわけなんだけど、どうも不安材料ってのがあるんすよ。なんだか新技術が多くて。というか、現場というかナマの使用環境でまだしっかりと実証試験してない技術がいくつもあって。

  1. イオンエンジン
  2. 大気圏への高速再突入
  3. 洋上回収(←間違っています。この日の文章の末尾に書いた訂正情報をお読み下さい)

どれも日本の宇宙技術では、実際のミッションで完遂したことがないものばっかり。これらの技術は、地上試験では満足のいく結果がすべて得られてるそうだから、まぁ台本渡された次の日にいきなり舞台に立つわけじゃなく、きちんと納得がいくまでリハーサルを繰り返してきた、ということなんだけどね。「でも初舞台は初舞台」なところがなんだか恐い……。不安を引き起こす失敗例の詳細をご紹介。

まずは 1. イオンエンジン。昨日も書いたけど、95年、宇宙開発事業団が打ち上げた「きく6号」は、静止衛星となって何年も活動する予定だった。「静止軌道」とは言ってもずっと何もしなくても正確にその場にいられるわけではなく、だんだんと位置がずれてくる。そんなわけで定期的に姿勢制御をしなきゃいけない。そこでこの衛星の姿勢制御用エンジンとして搭載されたのが、MUSES-C のメインエンジンと同じ原理の「イオンエンジン」。これは太陽電池で作った電力を利用するから、燃料代をほとんど太陽に負担してもらってるようなもので、すごく燃費がいい。でも技術的に、今までの化学燃料ロケットエンジンよりかなり難しい。

で、きく6号で長期間の稼働実績を上げたかったところだったんだが、こいつのメインエンジン(これはイオンではなく化学燃料のもの)が故障したせいで、なんだか中途半端な楕円軌道を回ることになってしまった。地球を取り巻く高度3,000〜20,000km あたりには、「バン・アレン帯」つう放射線がめちゃめちゃ強い領域がある(バン・アレンは発見者の名前)。はじめからそこを通る軌道用に設計された衛星ならいざ知らず、打ち上げから静止軌道投入までに何回か通過する以外は、バン・アレン帯知らずで一生を終えるべく設計された静止衛星には、そのための対策なんかろくにしてない。

で、当初は静止軌道上で5年は生かしておくはずだったきく6号、電子機器や太陽電池がバン・アレン帯の放射線でどんどんいかれて、2年ぐらいで死んでしまった。きく6号に搭載された日本製イオンエンジンは確かにその間ぶんの稼働実績は残したけど、今回の MUSES-C 計画に匹敵するだけの長期間の実績を作ることはできなかった。MUSES-C 開発チームは結局、地上の実験室での数年に及ぶ長時間燃焼のみで実証試験をし、それでよしとせざるを得なかった。

お次は 2. 大気圏への高速再突入。MUSES-C は地球に帰るときにもちろん大気圏突入するんだが(それ用に装甲されたカプセルのみ)、突入前に減速しない。スペースシャトルとかの、地球の軌道を回る機体の大気圏突入に比べるとはるかに高速のまま、宇宙の彼方から地球にそのまま落ちてくる。システムの単純化・軽量化のためなんだそうだ。

低い衛星軌道上からとそれに近い状態の再突入実験なら、宇宙開発事業団が1回ずつ実験してる。「りゅうせい (OREX)」('94) と「HYFLEX」('96)という2機の無人実験機で降下中の良好なデータを既に得てる。

MUSES-C にフィードバックすべき高速再突入の実証試験は恐らく、H-IIA 2号機で打ち上げられた「高速再突入実験機 "DASH" (2002.2.1, 2002.2.4, 2002.2.5)」で行われるはずだった。

ところが H-IIA の開発は難航して、1号機は予定より2年ほど遅れて2001年に打ち上げられた。そうなると DASH を搭載した2号機も2年遅れ。これでもうDASH のデータは MUSES-C へのフィードバックに間に合わないことがはっきりした。しかも今年2月に打ち上げられた DASH はロケットからの分離に失敗。高速再突入に関するデータを全く取れないまま、放棄されてしまった。

この打ち上げの2週間前、MUSES-C の高速再突入カプセルの研究開発が終了した。MUSES-C スタッフはもう DASH を当てにしていなかったことがわかる。イオンエンジンと同じく、地上の実験室で満足できるデータが取れたからもういいんだってさ。ていうかこれももう、そうするより他になかったんだと思う。

最後は 3. 洋上回収。(注:この日の文章の末尾に書いた訂正情報をお読み下さい)宇宙開発事業団は何年か前まで、TR-1 シリーズという小型弾道ロケット(衛星を軌道に乗せるほどの能力がなく、弧を描いて飛んで、地上に落ちて来るロケット)をよく打ち上げてた。もともとは H-II 開発途中に予備実験用として作られたものなんだけど、これが意外と使い勝手が良かったらしく、改良版の TR-1A が何機も製造され、弾道飛行する間に発生する数分間の微小重力状態を利用して、様々なテーマの研究に使われてた。小さな無人実験室を搭載しているから、実験内容によっては、海にパラシュートで着水したあと、船でそこに行って回収したりしてた。そういうノウハウをよく積んでいたから、96年の HYFLEX(ハイフレックス)打ち上げのときも、おいらは全く心配してなかった。

HYFLEX は、日本製のスペースシャトル計画の一部で、大気圏再突入データを取るための無人実験機。96年、宇宙開発事業団の J-1 ロケット1号機で、TR-1 よりはるかに高い弾道を描くよう打ち上げられた。再突入のデータを取ってからは空力姿勢制御の試験をして、最後はパラシュートで小笠原諸島の沖合に着水し、バルーンで海面に浮かんでいるところを船で回収される段取りになってた。それで表面に貼りつめられた耐熱タイルの劣化の様子も観察しようというものだった。

しかし実際には、飛行中のデータ取りは順調だったものの、着水後、機体とバルーンをつなぐ綱は、波に揺られる機体の翼で切断されてしまった。回収船の乗組員が発見したのは綱が切れたバルーンのみ。肝心の機体は、誰の手も届かない深海へと消えていった。

その後も TR-1A での洋上回収は成功してるみたいだけど、それ以上の状況では HYFLEX 以降はまだ一度も試していないので、一度も成功例がない。ということで、MUSES-C 計画には少なくとも上記の3つの急所が存在するわけ。確かに小惑星のかけらを採取する機構なんかも前例なしの初もの技術だけど、本来ならきっちりデータ取りや経験積みが完了していたはずのものまでこうしてほとんど初ものとして採用しなきゃいけなかったことを思うと、やっぱりちょっと不安がよぎる。

とにかく成功を祈るばかりですたい。(-人-) なむなむ

打ち上げは今年の暮れね。

銘板左端銘板銘板右端

訂正と補足(記・2003.8.6):

この日(2002.8.29)の記述に間違いがあったのを1か所見つけました。その点についての訂正と解説をします。

×「3. 洋上回収」
○「3. 地上回収」

です。宇宙科学研究所の小惑星探査機 "MUSES-C(打ち上げ後に愛称を「はやぶさ」と命名された)" の回収カプセルは、オーストラリアのウーメラ砂漠に着陸する予定です。従って「洋上回収」ではなく「地上回収」になり、この当時書いた回収に関する話は、意味のないものであったことが判明しました。思い込みによる誤情報を出してしまい、すみません。

銘板
2002.8.30 金曜
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寝不足

あああ眠くて今日はずっと具合が悪かった。あああ。クルマを運転しててもぼーっとしてたけど、無事故でよかったよ。23日に、

今月ぶんの残りは短めでいこう。うん。

とか言っておきながら、またよなべしてべろべろだらだら長いの書いちゃったりして寝不足だったりする。よし、今日はここまでにしとこう。あああ具合悪い。おやすみなさい。

銘板
2002.8.31 土曜
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おあずけ 10.2

ぐっすり寝たら快調っす(笑)。

Mac OS X version 10.2 が欲しいんだが、やっぱりまだ手を出さんでおこう。どうもインストーラがよくないらしくて、トラブル続出っぽい雰囲気。HDD をゼロクリアしなきゃダメとかゼロクリアしてもやっぱりダメでしたとか、ディスクの修復かけたらようやくうまくいったとか、そう言われてやってみたけどいくら修復かけても修復されないとか、けっこう混沌としてるみたい。

インストーラがおかしいんじゃ元も子もないよね。アップデータをあとで出されてもどうしようもないし。いや、自分で OS 10.2 パッケージを買って試したわけじゃないから、インストーラ原因説は受け売りなんだけどさ。もしかしたらおいらの環境では問題なくインストールできるのかもしれないけど、でも「やってみなきゃわからない」というのが恐い。

データはバックアップ取るつもりだからいいとしても、もしうまくいかなかったら HDD のゼロクリアしたりとかなんとか……。めんどすぎる! 考えただけでもうイヤ! ということは、 10.2.x (x>=1) がパッケージ版で出るまでお預けだな。きっとそこらへん改良されてることだろう。

10.1 の時は確か 10.1.3 のアップデータが出てしばらくしてから、パッケージ版も 10.1.3 になったんだよな。それまでパッケージ版は 10.1.0 のまま。相当待たされそうだなこりゃ。今年中は無理かもなぁ……。

銘板
銘板