視点ウインドウ上では、点光源はこのように表示されます。 |
点光源ダイアログボックスを、右の図で示します。 色 ボックスをクリックすると、光の色を変えられます。これでダイアログが表示され、光の色を決める 色相/再度/強度 (HSV)、赤/緑/青 (RGB)、 色相/明度/彩度 (HLS) の値を設定できます。 光の 強度(I0)は単純に、どれだけ明るいかです。デフォルトでは1に設定されています。空間内の任意の位置でのこの光源の強度 I(r) は、この値、減衰率 d、光源からの距離 r の関数となります。以下に示します。 I(r)= I0/(1+dr+(dr)2) 光源に近い場合 (r<<1/d)、強度は近似的に一定になります。光源から遠い (r>>1/d) 場合、以下に示す減衰率の範囲のグラフのように、強度は逆二乗の法則(減衰は 1/r^2)に従います。 |
光源の 強度 はマイナスの値にもできます。この場合、光源は「暗さ」の源となります。物理的にリアルではありませんが、便利な効果を発揮します。 減衰率 で、光源からの単位あたりの距離に応じて、明るさの強度の減り具合を設定できます。高い数値では、光は光源の近くのみでとても明るくなります。小さい数値では、減衰はほんの少しです。0にすると、光はどこでも同じ明るさになります。 半径 で、光源の物理的なサイズを設定します。これは レイトレーサー レンダリングで「ソフトな影」が ON のときにのみ効果があります。半径の値を増やしていくと、影のふちがソフトになっていきます。 |
平行光は、遠くにある光源を再現するのに便利です。最も分かりやすい例は太陽光です。太陽からの光は、たとえ地球全体の直径に対してでも広がりの角度が充分に小さいので、実質的に平行光として扱えます。光の強度も、地球の直径程度の距離差であっても、光が通ってきた距離に比べて充分に小さく、認識できるほどの減衰はありません。 平行光を作るには、光源アイコンをクリックしてから視点ポート上でその場所をクリック、ドラッグで向きを設定します(ドラッグしないのであれば、点光源になります)。または オブジェクト → 基本形状 → 平行光 を選択、ダイアログで位置と向きを設定します。 |
平行光固有の簡素さから、編集ダイアログボックスで設定できるパラメータは2つだけです。編集ダイアログボックスは、オブジェクトリストでこの光源をダブルクリックするか、編集 メニュー経由で表示できます。 色 - HSV/RGB/HLS バーを使って、光の色を設定できます。 強度 - 明るさを設定できます。この値は位置とは独立の関係です。 角半径 光源の物理的な大きさを設定します。これは レイトレーサー レンダリングで「ソフトな影」が ON のときにのみ効果があります。角半径の値を増やしていくと、影のふちがソフトになっていきます。
タイプ 先に点光源で説明したのと同じ内容です。 |
スポットライトは視点ウインドウ上で、このように表示されます。 光線の様子を分かりやすく表現しています。 |
作成したスポットライトを編集するには、オブジェクトリストでそのスポットライトをダブルクリックするか、そのスポットライトを選択して オブジェクト → 編集... をクリックします。これで右の図のようなダイアログボックスが表示されます。 スポットライトの角度 光線の広がりの範囲です。小さな値では細い光線になります。 減衰率(Falloff Rate) 光線の中心軸から半径方向への、距離による光量の減少割合を設定します。0にすると減衰せず、光量はその ふち を越えて0になるまで、範囲内すべてで一定となります。 半径 光源の物理的なサイズで、「ソフトな影」(レンダー で詳述)が ON のとき有効になります。 色、強度、減衰率(Decay Rate)、タイプ は 点光源 で説明したものと同じです。 |
手続き照明を作るには、オブジェクト → 基本形状 → 点光源(手続き) か オブジェクト → 基本形状 → 平行光(手続き)を選択します。この2つの違いは、光線が通る方向です。点光源では、光線は光源の場所から外に向かいます。平行光では、どの光線も互いに平行となります。
作成した光源を編集するには、オブジェクトリストでダブルクリックするか、その光源を選択して オブジェクト → 編集... をクリックします。これで、以下の図のようなウインドウが表示されます。
これは手続き編集機能といい、右側にある "Color (色)" と"Intensity (強度)" のボックスは空間上のある点での、光の色と強度についてのプロパティです。これらのプロパティを、計算で正確に決めることができます。 プロバティ... ボタンをクリックすると、光源のほかのプロバティ、半径(点光源)、角半径(平行光)とタイプを編集できます。点光源と平行光の通常のプロパティと同じ意味になっています。
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通常の平行光はどこでも同じ光を当てるので、シーン内のどこに光源を置くかは重要ではありません。しかし手続き平行光ではそうではないときがあります。位置によって異なる色と強度の手続きを作れるからです。この場合、光源を置く場所は重要になります。
「手続きスポットライト」はありません。手続き点光源を使い、角度で明るさを変える手続きを作ればその役を果たします。
手続き光源は、現実の光ではできない「非物理的な」照明効果を作るとき、特に便利です。もちろんリアルではありませんが、芸術的効果にとても有効です。
フォトンマッピング(コチラ で詳述)と合わせて手続き照明を使うときは、ご注意ください。フォトンマッピングは、物理的に明らかな照明モデルを想定しています。非現実的な手続き照明でフォトンマッピングを使うと結果は予測不能で、大抵は期待しないものとなります。
3.5 照明効果
3.5.1 リアルな光源
ほとんどの 3D グラフィックソフトと同じように、Art of Illusion では光源は見ることができません。カメラを光源に向けても、光源の位置には明るい領域はありません。光は光源のまわりにあるオブジェクトと相互作用でのみ見えます。ほとんどの場合、現実世界とは違い、光源はシーン内のどこに置いてもカメラに写り込む心配がないので便利です。
しかし現実世界を再現する場合は、そうでないほうがいいことがあります。現実的な光源を再現するには、要求されるものが2つあります。(i) オブジェクトは、周囲との相互作用で現実的に光を発することが必要。(ii) オブジェクトには「輝き」が必要。
現実世界では、これらの特性は同じ物理的特性の現れですが、3D グラフィックではとても異なります。
まずは光源を表現したいオブジェクトを作成します。右の画像は「電球」の例です。曲線に回転体ツールを適用して作りました。レンダーした画像は、電球が「消えている」状態です。 |
これを光源にするには、中に光源を仕込みます。点光源が、この目的で最もふさわしいタイプです。光源を電球の中に置いたら、電球を透明化します。これで光は外に出られ、周囲に相互作用を及ぼします。このためには、テクスチャ の透明度を変えます。 光源がオブジェクト内から輝くようになりましたが、オブジェクト自体は「輝いて」いないので、リアルな感じではありません。この効果を出すには、このオブジェクトに発光色を追加します。求める効果が得られるまで、また光源からのすべての色が一致しているのを確かめるまで、拡散反射色と発光色を変化させます。右側の画像は、それらの変更を行った結果です。 「ソフトな影」を ON にすることに気をつけましょう。これをしないでオブジェクト内に光源を仕込むと、見映えが人工的になってしまいます。 |
右に「リアルな」照明を行った別な例を示します。「光源」は点光源を内部に仕込んだ円筒です。 |
「クッキー」シーン構成の、遠近法での見取り図。左側のスクリーンには透明マッピングで作ったクッキー画像があります。 クッキー画像は、カメラが向いている右側のスクリーンに投影されます。 |
2D グラフィックプログラムで作成したバイナリイメージマップ。 |