ひとりごちるゆんず 2018年6月
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2018.6.1 金曜
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推定夢罪

夢で時々、犯罪者として追われてるような気がする。「ヤバい捕まる。捕まったらヤバイ」みたいな気持ちが、なんだか心の中に残ってるというか。内容は全く覚えてないけど。

これってもしかして、案外多くの人が経験してる夢なのかなと思ってさ。

『デスノート』がウケたのって、ここらへんに意識・無意識で共鳴した客層が厚かったからなのかなと。

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2018.6.2 土曜
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出世のコツ?

自分の上司への自己アピールは、自分の長所・持ち味の強調は逆効果で、上司から指摘された短所の改善のほうが効く、のかも。

自分の長所・持ち味の強調は、上司が「わかってない」ことを指摘するのと同じ。普通に考えて、ウザがられるわな。

一方、上司に指摘されてる短所を直せば、上司は「自分は正しかった」「受け入れられた」とご満悦になる。「気に入られる」ってやつで。

上司はどっちが気分がいいか、となる。てことは上司の主観が軸になってる。

上司は組織の一員ってことで、組織の目的が最優先でなきゃならない。その目的よりも主観を重視して人事を決めるってのは、原理的には NG のはず。

組織の原理よりも人間の習性を突いて出世の糸口にしてるわけで、その意味じゃくだらんコツだわな。

つか上司の立場として、部下に長所をアビールし続けられるのは、上に書いたみたいに「あんたわかってないね」と言われ続けるのと同じなわけで。そうなるとこの上司は、自分がわかってないらしいところはなおさら見ないようにして、わかってる範囲に固執することになる。つまり、その部下の短所がまだあれもこれもそれも直ってないんだが一体どうなっておるのか、となる。

部下はアピールしてもしても通じなくてイライラ。上司は自分が重視してるとこを下に置かれてイライラ。どっちも自分が無視されてる気がしてイライラ。溝は深まるばかり。

けど実際、この良からぬ状態を理解して、対策として自分を客観視できてる/客観視しようとしてる管理職っているのか?

この日記に時々ご登場いただいてる、昔の職場の元上司。この人の人事は完全に「自分が気に入ってるかどうか」だった。端からはアホ丸出しに見えたけど、自分自身のことと考えると、同じ罠にハマらん自信なんてなかったり。

ただこれ、商品・サービスの売り込みに置き換えると、くだらんどころかこれが本質な気もする。

気に入られること。可愛がられること。嫌われないこと。

スペックもコストも環境配慮も大事だけど、何のためのスペック・コスト・環境配慮なのかっつうと、商売なんだから売れるためですわな。売れるためには、お客さんや世の中全体から気に入られること、可愛がられること、嫌われないことですな。

お客さんや世の中全体は、特定の義務や使命のために存在・機能してるわけではなく。そこが組織の管理職と違うところ。てことで、気に入られることなら気兼ねなくどんどんやればいいってことになる。

けど、いざ「さあ気兼ねなくどんどんやんなさいよ」となると、なかなか思いついたことできなかったり。むしろ何にビビってんだかわかんないけど、ビビっちまってなんも思いつかなかったり。

「見るとやるとじゃ大違い」ってやつかなと。

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2018.6.3 日曜
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往路完走記念 1

はやぶさ2のイオンエンジン、往路分の行程を無事に終えたそうな。

イオンエンジン往路完走 - はやぶさ2プロジェクト

打ち上げは2014年12月14日。あれから3年半も経って、ようやくだね。けどまだこれから慣性飛行で小惑星リュウグウに近づいていくってとこらしく、リュウグウの姿がカメラで見えるほど近くってわけではないらしい。今月末頃に到着予定らしい。

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2018.6.4 月曜
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往路完走記念 2

初代 はやぶさ が小惑星イトカワに着いたのは、2005年7月だったっけな。もう13年も前なのか。しみじみ。

これからおいらは、はやぶさ2で何かやるごと、何かあるごとに、「初代じゃこのときはあーだったこーだった」と重ねて比べて見てしまうんだろうな。もしかしたらそれは、はやぶさ2プロジェクトの中の人や、はやぶさ2ファンの皆さんにとってはウザいだけかも。

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2018.6.5 火曜
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往路完走記念 3

けどどうしてもそうなってしまいそう。どうか平にご容赦願いたいっす。そのくらい初代は、初代は……あーもう言葉になんないよどうしよう。地球帰還から8年も経って、もういいかげん熱も冷めてきたと思ってたのに。

偉大な先達を持ってしまった はやぶさ2。おいらじゃなくても、8年前のファン OB たちはみんなして比べちゃうんだろうけど、2からファンの皆様はどうかそこらへんお気になさらず。

んで早速比べちゃってなんだけど、初代はゲートポジションにつく前に早速リアクションホイール1個がオシャカになってな。残り2個でどうにかできるけど、3個とも同じ仕様なんで不安だなーって感じだったですよ。

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2018.6.6 水曜
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往路完走記念 4

不安的中で、その後の上空からの探査の最中にもう1個やられてしまって、探査行程の最後に残した着陸・サンプル採取で大いに困ったことになったんだわな。

はやぶさ2はその経験をもとに、リアクションホイールは普通に使う3個に加えて、予備を1個装備してる。そして往路でイオンエンジンを使わなかった期間は太陽光圧での自動の姿勢制御を使って、リアクションホイール全体を温存っつうこともやってる。同時に姿勢制御用の推進剤も節約してたり。これ初代の復路行程で編み出した技なんだよな。そこらへん初代あってこそってわけで。

あのときは生き残った虎の子の Z 軸リアクションホイール温存目的もあったかもだけど、主目的は推進剤の節約だったんだよな。普通の姿勢制御用の推進剤がトラブルで全部抜けてしまって、イオンエンジンの推進剤のキセノンガスを生のまま吹いて姿勢制御するっつう荒技やるしかなくて。それだと燃費が悪すぎて、地球に帰る前に底をついてしまうからってことで、キセノンガス節約の手段として開発された技だった。

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2018.6.7 木曜
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往路完走記念 5

あと、たぶん、はやぶさ2のリアクションホイールは特注改造したものじゃなく、普通の既製品のままかと。初代は打ち上げロケットの都合で、リアクションホイールに特別な改造が必要だった。国内メーカーはその仕様を聞いて逃げたらしく、アメリカのメーカーのひとつだけが応じてくれたらしい。んでメーカー側は具体的な改造案を作って はやぶさチームに提出。はやぶさチームはその案を承諾。メーカーはきちんとその通りに作って納品した。

そしたらその改造が後で裏目に出て、大事な場面でリアクションホイール2個破損ってことになってしまった。

はやぶさ がブームになった頃、リアクションホイールのメーカーが叩かれてな。アメリカ製ってのもまた叩きの元になってしまって。「もうアメリカ製なんか使うな。日本製にしろ」とか。いやまぁ実は、メーカーさんを叩くのはお門違いだったってことで。

このトラブルが発生したのは2005年のこと。2010年打ち上げの金星探査機 あかつき の機体は初代 はやぶさ と共通な部分がけっこうあるんだけど、リアクションホイールのトラブルは出てない。過去に宇宙環境で稼働実績のある既製品を使ってるからな。

そこは はやぶさ での反省が活かされてると言うと聞こえがいいけど、それ以前に、打ち上げるロケットが M-V から H-IIAに代わって、既製品のリアクションホイールをそのまま使えるようになったからってのが大きいかと。特注改造品より既製品の方が安いしな。ただ、ロケットの値段は70億円から100億円に大幅値上げしてしまったけど。

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2018.6.8 金曜
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往路完走記念 6

はやぶさ2 も H-IIA で打ったんで、リアクションホイールは あかつき と同じく既製品のはず。アメリカ製かどうかはおいらわからんけど。

んで初代の反省から、リアクションホイールは予備1個追加の4個体制っつう念の入れよう。

ただこの配置がどうもおいらはピンと来てなくて。中の人たちの考えと決定の方がおいらよりずっと確かだから、それが正しいんだろうけど。

ピンとこないってのは、予備の1個を Z 軸に割り振ったってこと。初代の運用で、Z 軸のリアクションホイールが生きてれば、X 軸、Y 軸の制御は別の手段でどうにかできることがわかったから、なんだそうな。

初代で Z 軸のリアクションホイールが生き残ったのは、使用頻度が少なかったからだった、と「はやぶさ: 不死身の探査機と宇宙研の物語」(吉田武著)に書いてあった。じゃあ初代でわかったのは「Z 軸は一番安全」ってことだったかと。そこを補強するのはどうなのかと。

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2018.6.9 土曜
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往路完走記念 7

あとリアクションホイール4個体制の場合、全部をそれぞれの軸が直交するように斜め向きに設置することで、4個全部をまんべんなく使える、というやり方があるそうで(リアクションホイールは可動部品なんで、使えば使うほど確実に磨耗劣化していく)。せっかく4個なのに、なんでそうしなかったのかと。

ここらへんも、おいらが知ってるくらいだから、はやぶさ2チームの人たちはもっともっと深く理解してるはず。それで考え抜いた結果が「基本は初代と同じ配置。新設の予備は Z 軸に」なわけで。

つか開発に時間をかけられなかったんで、できるだけ初代の仕様・設計を流用するようにしたわけで。それでリアクションホイール斜め配置を見送ったのかもだけど。現物の設計もそうだけど、制御プログラムも、初代はやぶさと あかつき で実績あるものを流用したいとこだろうしな。という勝手な解釈したりして。できるだけ流用っつっても、新規開発項目も要改良項目もかなりあったしな。

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2018.6.10 日曜
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往路完走記念 8

はやぶさ2って工学実証機じゃなく、本来の目的が科学探査なわけで。だったらあまり野心的な新技術の投入は控えるべきなのに、そういやけっこう新機軸を乗っけてるよな。

つか同じく科学探査目的の あかつき で、高利得アンテナがアクティブアレイ型を採用ってので既に無茶気味だったのが、とりあえず問題なくて。アクティブアレイ型はそれまでのパラボラ型より断然いいんで早く投入したかったのはわかるけど、はやぶさ2だとそれが2枚だもんな。ひとつが今までと同じ X バンド。もうひとつは新規の Ka バンド。ちなみにこの2枚の質量を合わせても、初代のパラポラアンテナ1枚よりも軽いらしい。

んで新規の Ka バンドの高利得アンテナ、X バンドの数倍の通信速度を誇る一方で、実は日本に Ka バンドで深宇宙と通信する施設がまだないっつう問題があったりして。今建設中だけど、試験運用開始予定が来年の後半らしい。

PDF 資料の 深宇宙探査用地上局の開発計画について(平成28年1月7日)の9ページ目によると、新しい地上局の試験運用開始は早くて2019年8月。はやぶさ2が地球に向けて出発するのが同年12月。間に合うか間に合わんかってあたりだけど、現地探査期間のほとんどじゃ間に合わんことが確定と。

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2018.6.11 月曜
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往路完走記念 9

とはいえ。はやぶさ2に積んだ Ka バンドの通信装備は無駄だったわけではなく。はやぶさシリーズは NASA の深宇宙通信網(DSN)を使わせてもらうことになってるんで、探査期間中は DSN で Ka バンド通信するんだろうと。

とはいえ。同時期に NASA のほうでも、小惑星サンプルリターン機オシリス・レックスがまさに小惑星ベンヌを探査中のはず。なんだか NASA 御中に申し訳ないことになりそうというか。つか DSN の使用料をすごいふっかけられそうな気もする。

となると、はやぶさ2は探査中でも Ka バンドのアンテナはあまり使わないかもな。日本でもできる X バンドが主なのかもな。

X バンドだろうと Ka バンドだろうと、アクティブアレイアンテナの利点は軽いこと以外に、可動部なしである程度の首振りができるってのもあったり。初代は軽量化・単純化のため、高利得パラボラアンテナを機体に固定してた。指向性の強いこのアンテナで地球と通信するには、機体丸ごとでの精密な方向制御が必要だった。これがアクティブアレイだと、アンテナ自体で通信の方向を指せるわけで。機体は方向をある程度に決めたら、あとは姿勢をガッチリ固定して、自分の向いてる方向を精度良く把握するだけでいいわけで。

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2018.6.12 火曜
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往路完走記念 10

高利得アンテナに必要な精密な姿勢制御には、リアクションホイールが必須。初代はリアクションホイールの2個目の故障で、それができなくなった。現地探査の最中に、高利得アンテナを使えなくなった。以降は低利得・中利得アンテナを駆使したけど、低利得の通信速度は高利得の何百分の1しかなくてな。中利得は低利得の2倍程度でな。地球 → はやぶさ の通信はコマンドとプログラムだけだから大した容量じゃないけど、はやぶさ → 地球 は小惑星イトカワの現地で取得した膨大な各種データなわけで。高利得アンテナが使えないのはほんとツラかったろうな。

姿勢制御スラスタの作動の精度を上げる方法をぶっつけで開発できたけど、高利得アンテナでの通信に使えるまでは至らなかった(けどサンプル回収ミッションをやれるところまでは行けた)

2はリアクションホイールの故障対策をだいぶ盛った。そのうえアクティブアレイアンテナ装備で、機体の姿勢というか方向というかの制御を厳密にやらなくて済むようになった。

初代 はやぶさ がイトカワのゲートポジション(対象天体から 20km 離れた位置。これをもって「対象天体に到着」と定義することになってる)に着いたのは2005年7月。

はやぶさ2は今、リュウグウのゲートポジションに着く直前。

あれから13年。

もう13年も経ったか。

あの当時、ここまでの流れはまったく想像できんかったっけな。

今は JAXA/ISAS が総力を挙げて、情報のリアルタイム発信に努めとりますな。綺麗なサイトも用意してさ。その広報が国民というか納税者というかの共感を得て、このプロジェクトや後進のプロジェクトに追い風を与えることになる、ということを ISAS やファンたち初めて知ったのが、はやぶさ での積極的な情報公開で、だった。

はやぶさ2に比べるとだいぶ垢抜けないサイトでな。それでもおいらを含む はやぶさ ファンたちは、イトカワ現地探査の情報や はやぶさ の機体の状況をとにかく早く知りたくて、昼夜を問わず ISAS の はやぶさ サイトにアクセスしたっけな。もう13年も前のことなのか(しみじみ)

世の中での はやぶさ2の盛り上がりは、まー はやぶさ 帰還時の伝説的なアレには及ぶべくもない。初代が残してくれた数々の知見・教訓のおかげで、まだトラブル知らずってものあって。けどどうだろ。初代がイトカワに到着する直前あたりの世の中の反応に比べると、今の世の中の はやぶさ2への関心って、あの時よりも高い気がする。

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2018.6.13 水曜
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地球帰還8周年

初代はやぶさ が地球へ帰ってきて、今日で8周年。

あのときもサッカーのワールドカップの年だった。岡田監督率いる日本代表チームが、南アフリカで予想外のいい結果を残した、「岡ちゃんごめん」が流行語になった、あの大会。その真っ最中の地球帰還でな。

世の中みんなサッカーに気が向いてしまって、誰も はやぶさ のことなんか気にしないだろうな、と思ったのは、当初の帰還予定の2007年から、トラブルのため3年延ばして2010年6月に帰還する、との発表があったときのこと。

ところがどっこい。2009年11月の最後の致命的トラブル。そしてまたしてもの奇想天外な解決。そのだいぶ前のトラブル時から世の中にひっそり仕込まれてたキーワード「こんなこともあろうかと」が何度目かの炸裂でついにブレイク。2010年の6月中旬からしばらくは、日本中がサッカーと はやぶさ のダブル祝賀状態だったっけな。

その9カ月後に東日本大震災があった。なんてーか、そうなる前に国中みんなであんな楽しい時を過ごせたのが、今はなんだかありがたい気分で。

サッカーっつうと、なでしこジャパンのワールドカップ優勝は震災の年だったよな。前年の楽しかった思い出にも支えられたし、震災直後のあの栄冠にもほんと勇気付けられたですよ。

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2018.6.14 木曜
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しょうもない感心

初代 はやぶさ で小惑星イトカワの現地探査の折、妙に感心したことがあって。

着陸行程のテストをしてた頃のこと。

はやぶさ のサンプル回収のための自律航法システムは、そのままじゃ使い物にならなかった。それはしょうがない。イトカワの現地に行ったら、イトカワの表面状態がまったく予想外だったもんで。撮影したイトカワ表面の画像情報をもとに自分で自分の動きをコントロールするっつうプログラムが、うまく動作しなかった。

仮に無茶して突っ込んで壊れたら元も子もないんで、航法プログラムには、危険を感知したらすぐさま離脱する仕掛けが仕込まれてた。

で、そのエマージェンシー装備が毎回稼働してしまって、その度に はやぶさ はイトカワから逃げるように離脱した。

んでどうもこれが作動すると、はやぶさ は変な癖を発揮してしまって。

一時的に通信が不調になる、というもの。

1日後には通信が回復して、地上局が はやぶさ を発見できるんだけど、その間にイトカワから 100km も離れてたりして。

離脱の時のスピードは、人が歩くほど、と何かで読んだ。てことは時速 4km 程度。

人が歩いて1日で 100km も移動できるんかいな。数字がおかしくないか? とか思ってさ。けど、

4[km/h]×24[h]=96[km]

おもっきしその通りだったww

人が歩く場合、途中で休むからな。めし食ったり、普通によっこらせと休憩したり。寝ずに歩き詰めなんてないから、まー1日10時間も歩ければって感じかと。せいぜい 40km だわな。

時速 4km って案外あなどれんなーと思ったな。

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2018.6.15 金曜
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懐古回顧 1

しかし初代 はやぶさ はほんとあれは無茶な探検旅行だった。

どうしようもないことだけど、行ってみなきゃどんな星かわからんのに、そこに着陸して試料を持ち帰るってのがな。

しかも、それまでの日本の宇宙探査じゃ考えられないくらいの飛躍だったし。NASA の中の人が計画を聞いて本気で心配して、「そんなことしたら宇宙科学研究所みたいな小さな組織はすり潰されてしまいますよ」と忠告したっつうアレがあって。

ちなみにこの人、はやぶさ の2005年の現地探査成功の時点で謝罪してくれたww

けど普通の探査計画じゃそこで大団円なのに、はやぶさ にとってその時点は旅の半分でしかなかった。そこから着陸して試料を取って地球へ帰るっつう「もう半分」を残した状態で。そしてまさに後半戦が苦難の連続でな。まぁ前半から苦難がキてはいたけど。

今までもう何回も書いたけど、小惑星イトカワに着いてみたら、予想を全く外した表面状態だったわけで。予想じゃ星全体が砂を被って、表面は全体的に滑らかってことだったのに、ゴツゴツの岩だらけ。上空から観測するだけの計画なら「おおー大発見だ!」で済むのに、「着陸すんのそんなとこかよ聞いてねーよ」ってなことで。

遠目にはのっぺりな砂地に見える場所も、1カ所(「ウーメラ砂漠」と名付けられた場所)は近づいてみたらとても着陸できそうじゃないゴツゴツ岩くれ状態。もう1カ所(「ミューゼスの海」と(略))はかろうじていけそう、てなことで。

そのミューゼスの海は、くの字に折れ曲がったイトカワの一番奥。周期12時間で自転するイトカワの動きに合わせて降下していかなきゃいかんかった。

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2018.6.16 土曜
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懐古回顧 2

その降下がまた。

リアクションホイールが既に2個オシャカになってて、姿勢制御は残った Z 軸リアクションホイールは駆使するとして、それだけじゃ足りない。足りないぶんは RCS(姿勢制御スラスタ)でどうにかしなきゃいかんかった。全12基の RCS の癖を掴んで、癖に合わせた制御をする方向で、プログラムの書き換えのみで精度10倍を達成。それでもまだまだだけど、着陸ミッションにはどうにか使えるところまで来た。

もうここらへんから、技術もさることながら根性の話になるわけで。

結局日本人はというか人間は、「技術でスマートな解決」よりも「根性でやり遂げた」が好きなわけで。実際は技術がないとどうにもならんことだけど、根性の部分で盛り上がるわけで。

つかもうそこらへんの一般の反応を見てのことなのか、はやぶさ プロジェクトマネージャーの川口淳一郎先生さえ講演会で「大事なのは技術じゃなく根性だ」と言い切ってしまったり。いやいやそれはあなたや部下さんたちが技術を持ってるからこそなわけで。そこらの一般人が根性だけで はやぶさ のトラブルを乗り越えられるのかっつうと、いやそれは……って感じでもあったり。

はやぶさ に仕込んであった着陸行程の自律制御プログラムは、イトカワの表面状態が想定外すぎて、そのままじゃ使い物にならなかった。とりあえずテストしてみたけどだめだった。プログラムを書き換えたけど、どうもそれだけじゃ不完全ってことで、どうしたか。

降下速度を当初予定よりおもっきし落としつつ、地上での判断も加味することにした。

ところが当時のイトカワと はやぶさ の位置は、ちょうど太陽ー地球のラグランジュ点 L5、つまり太陽を挟んでだいたい地球の反対側あたり。はやぶさ の構造上この位置関係が都合がいいんだけど、通信にとにかく時間がかかる。太陽ー地球で電波が飛ぶのに8分かかるのに、その倍。16分。往復の通信だとさらに倍で32分。

はやぶさ が自分の状況を発信して、16分後に地上の はやぶさ 運用チームに届く。判断して はやぶさ に指示を出すと、その指示が はやぶさ に届くのが16分後。

このどうしようもない時間差を薄めるには、着陸行程の降下速度をめっさ遅くするのが効果的だったと。

まーそれでもうまくいかないこともあってな。それはローバーのミネルバの放出。

ミネルバの放出は、地上チームが状況を読みつつコマンドを送ることになってた。

そして「今だ!」のタイミングで、ミネルバ放出のコマンドを送った。それが はやぶさ に届くのは16分後。無事に放出されたのが確認できるのはさらに16分後。地上管制室がジリジリとその吉報を待ってる間も、はやぶさ から16分遅れの報告が刻々と届く。

地上からの放出コマンド発信から16分も経たないうちに、はやぶさ から衝撃の報告が来た。

「進行方向に異物検知。退避のため上昇に切り替えた」

そして はやぶさ の上昇中、ミネルバ放出コマンドが はやぶさ に届いてしまった。

ミネルバは はやぶさ の胴体の側面に取り付けられてて、真横方向に微速で放出される。てことは、上昇のベクトルを受けたまま放出されてしまった。

イトカワには微小ながら重力があるんで、もしかしたらミネルバはあらためてイトカワへ落ちてくれるんじゃないか、との淡い期待もあったけど、計算したら脱出速度を獲得してしまってた。

ミネルバ放出失敗 orz

はやぶさ2には改良されたミネルバ3機のほかに、独仏共同開発の小型着陸機 "MASCOT" が搭載されてる(小型といってもミネルバよりも大きい)。これも初代ミネルバみたいに横方向に放出されるんだけど、ちょっとだけ斜め下方向に押し出す仕様になってる。たぶん初代ミネルバの失敗をもとに、より確実にリュウグウ表面に着けるように、という意味を込めた設計なんじゃないかと。

初代 はやぶさ のゆっくり降下もまたこれが、好きなだけゆっくりできるってわけではなく。速める方向での限定条件もあって。それが、イトカワの細長い形と、ミューゼスの海の位置(くの字の一番奥)

ラッコに例えられるイトカワの姿。ラッコの胸のあたりが、はやぶさ チームが着陸地点に選んだミューゼスの海。ラッコの足の裏が、はじめに着陸地点候補のひとつだったウーメラ砂漠。

てことで着陸降下の方向は、太陽から離れていく向きでなきゃいけない。さらに追加の条件。

長い棒が周期12時間でぶんぶん回ってる状態でして。

てことで、ゆっくり降下の はやぶさ の動きは、ウーメラ砂漠に向かって突っ込んでいく → イトカワの自転でウーメラ砂漠が横に逸れて、ミューゼスの海への門が開く → イトカワラッコの足と胴体を下からなぞるように低空飛行 → ミューゼスの海へ到達

となるけど、ミューゼスの海に近い上空でモタモタしてると、ラッコが容赦なく頭突きしてくる。

微速での着陸降下にしても、その微速ぶりには下限があった。まさに「虎穴に入らずんば」。つかほとんど風雲たけし城状態。

世界の宇宙探査史上初のミッションのハードルは、とんでもなく高かった。行ってみて初めてわかった対象天体固有の状態と、探査機に起きたトラブル。ここらへん絶妙にコラボして、難関の難度をさらに上げてた。

はやぶさ2はその点、初代で身につけた技術・知識・見解があるぶんラクできてる。

運もあるけど、初代じゃ地球スイングバイよりも前に大規模な太陽フレアに当たって太陽電池が一気に劣化してしまって、イオンエンジンをフル稼働できなくなってしまってな。当初予定じゃイトカワに6カ月滞在してじっくり観測するはずが、到着が3カ月遅れたせいで、滞在期間が半減の3カ月になってしまってな。

それまでの探査機じゃ現地探査しておしまいなんで、到着が3カ月遅れたんなら探査期間を3カ月延ばせばよかった。

それが はやぶさ だと復路もあるわけで。地球へ帰り着くための出発タイミングを考えると、予定を延ばすわけにもいかない。

ただでさえケツカチなのに、リアクションホイールの故障でデータ取得と送信に支障が出まくってな。

結局は帰り出発日程に間に合わなくて、次のタイミングが来るまで3年も待つことになったけど。着陸後の燃料漏れトラブルで姿勢喪失 → 通信途絶 → 通信復旧できたけど、機体の状態を調べたらもっとひどいことになってた。

もともと4年持てばいい設計なのが7年がかりの旅になってしまって、最後の方は搭載コンビュータが経年劣化でおかしくなってたのを、騙し騙し使ってたしな。

「こんなこともあろうかと」

って有名になった言葉だけど、それが効いたからこそ はやぶさ は任務完遂できたんだけど、やっぱし日本の探査機技術はまだまだ蓄積が足りんなーってことでもあったり。

初代 はやぶさ から はやぶさ2 までの日本の探査機は、月探査機 かぐや、金星探査機 あかつき、ソーラー電力セイル実証機 IKAROS と、はやぶさ2と同時打ち上げの PROCYON の4機。

それぞれの故障関係の成績は、かぐや はほぼ満点(多数ある観測機器の1つが不調になったくらい)。送られてきた膨大・高精度なデータは、今もときどき新発見をもたらしてくれてる。

あかつき は推進剤の配管系で致命的トラブル発生。配管系は火星探査機 のぞみ、初代 はやぶさ でも致命的なのがあった。それぞれとも原因が別々。日本の探査機開発で熟成が遅れてる部分なんだろうな。主力の観測機器がダウンしてしまったのもあったけど、金星周回軌道投入の再挑戦で5年も待たされたのが大きかったかと。

IKAROS は満点。ヤバい事態は何一つなかった。もともと半年間の短期ミッションだったのに、機体が健全なまま推進剤がなくなるまで運用して、なくなっても運用して、専任チームはもう円満解散したけど、まだ断続的な運用が続いてる。

PROCYON は搭載してたイオンエンジンが故障で全損、観測対象の小惑星行きを断念。その半年後に通信が途絶。復旧を頑張ったけど叶わず、運用終了。故障関係の成績はあまり優秀じゃなかったけど、超小型探査機という新ジャンルを創設して、現物が現場でどんな経験をするか教えてくれた。技術試験機なんで、これが本来の目的とも言える。言い訳じゃなく、最初に設定したノミナルミッションは全部こなせたんで、計画としては成功ってこと。一方で運用中にかなりでっかい科学的成果をあげて、探査機としてもきちんと役に立てた。

はやぶさ2 は初代の経験をそのまま・あるいは改良して使えるし、それまでの探査機の開発・運用で得たものも反映してるしで(初代の改良はもちろん、あかつき で起きた配管系トラブルの対策も盛り込まれてる)順調に進んでる。けど往路の節目節目の記者会見では中の人たちは、「今のところは順調」と全然気を緩めてなかったり。トータルでの経験不足をよく理解してるんだろうな。

しかし今までの日本の宇宙探査は、1回ごとに探査対象を取り替えてた。ハレー彗星、火星、月、小惑星、金星。水星探査機は完成して打ち上げを待つばかりだし、将来は木星も狙ってる。

予算や人員に対して、興味ある観測対象が多いってことで。それだけ日本の惑星科学者は、本業の腕前もモチベーションも高いわけで。

んで技術面はというと、いろいろ幅広く技術的な経験を積めるだろうけど、深くはないわけで。改良策を作ったとしても、同じ条件でチェックできなかったわけで。

はやぶさ2で、それがようやく成る。

初代は便宜上「小惑星探査機」と呼ばれてたけど、本当は技術試験機だった。はやぶさ2は正真正銘の小惑星探査機。それまでは、行き先が毎回初挑戦なせいで、初挑戦な技術を多く積んだ探査機で探査するしかなかった。けど はやぶさ2の設計は、かなり固めた状態。そのうえでインパクタなんつう新技術を盛り込んでる。

中の人たちは、初代の経験から気を抜かないでいるみたいだけど、機体はいい結果を出してくれてるね。それでも中の人たちに習えば「今のところは」ってやつか。

銘板
2018.6.17 日曜
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遠景竜宮城 1

小惑星リュウグウの自転の動画キターーーー!

約700kmの距離から見たリュウグウの自転のようす - JAXA はやぶさ2プロジェクト

地球の自転とは逆回転に見えるが。てことは小惑星イトカワと同じ? ってこの動画、ちゃんと北を上にしてるんだろうか。

おお、下の説明文に「逆行です」と書いてあった。

大まかな形も、「角張った球形」なのがこの動画で確定ですな。現時点だとコンペイ糖に見えなくもないというか。下が若干痩せて尖ってるのは、宇宙要塞ア・バオア・クーにも少し似てるような。

地上からの観測で、リュウグウの大まかな形は予想されてた。そこは予測できてたってことで。

ただ、自転の状態に関しては謎が多かったんだよな。自転周期だいたい7時間半ってのはわかってたけど、どっち向きなのかも、自転軸の傾斜角もよくわかってなかった。

この動画では「真上が真北です」とははっきり言ってないんでアレだけど、説明文を読むと、自転軸の傾きはあんましないみたいだね。

いやさ、はやぶさ2の打ち上げ前には、この小惑星の自転軸はどうも、天王星みたいに横倒しらしいとされてて。そして横倒しのはずの自転軸がどこを向いてるのかは不明とされてて。

とりあえず横倒し説は外れてた。

横倒しで軸の向きが不明だと、はやぶさ2が着いた時にもし軸が太陽を向いてると、何カ月の間、夜側を充分に観測できない事態になるとこだった。その可能性も含めて探査計画の予定が組まれてたろうけど、自転軸は黄道面に対して縦なのが正解だったってことで、現地探査はかなりの余裕を確保できることになったんじゃないかと。

自転軸パラメータ抽選結果のご報告 - JAXA はやぶさ2プロジェクト

のページでも、「探査をするときには、βが90°か-90°に近い(つまり自転軸が黄道面に垂直に近い)と都合がよい」と出てる。都合のいい状態が正解だったと。

ただ、リュウグウの自転周期が約7時間半ってのは最初からわかってたとはいえ、イトカワが12時間で、それよりもだいぶ速いな。ほぼ倍速。リュウグウの直径は 800m くらいで、イトカワの長径 550m よりも一回り大きい。はやぶさシリーズはその構造上、対象天体の赤道あたりに着陸することになってる(太陽ー探査機ー小惑星 の順で、真っすぐな位置関係を保ちつつ着陸する)

リュウグウの形を球だと近似して、赤道での自転速度を計算したら、秒速 1.5m と出た。

これけっこう速くないですか? はやぶさ2のサンプル回収ミッションでは、あくまで太陽とリュウグウ全体との間に挟まる位置で降下していく。してその表面が秒速 1.5m でどんどこ移動してるとこに着陸って、けっこうキツいような。降下しながら横移動も加えていって速度差をキャンセルするんだろうけど、ただ真っすぐに降りればいいわけじゃないってことで。

銘板
2018.6.18 月曜
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遠景竜宮城 2

とりあえず、大阪北部の大地震、死者が出てしまったね。犠牲者の方々、ご遺族の方々にご冥福をお祈りいたします。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

これについて何か書こうべきか迷ったけど、遠隔地の出来事ってことで自分が野次馬感覚になってしまいそうで怖いんで、このくらいで。

銘板左端銘板銘板右端

初代の着陸場所は、棒状のイトカワの中心近くだった。自転周期もそんな大きくなく、着陸地点の自転速度も、その位置から、そんなでもなかった。ただし棒状と言っても「く」の字に折れ曲がってて、その折れ曲りの一番奥だったんで、それはそれでの難しさがあった。そしてリュウグウへの着陸はまた別種の難しさがあるような。

しかもサンプル回収ミッションの大トリは、発破で表面にクレーターを作って、その中からサンプル回収。予測ではそのクレーターの直径は数メートル。そんな狭い範囲内にピンポイントで、探査機本体下部のサンプラーホーンを押し当てなきゃいかん。これはかなりな難事に思えるが。

星の大まかな形と大きさと自転周期は前々から地上観測でわかってたんで、ちゃんとそこらを織り込んで計画してあるんだろうけど。

さて、あと不明なのは、リュウグウのお肌の状態がどうなってるか。地上観測からの予測では、イトカワみたいにゴツゴツした岩主体、となってる。

これはたぶん当たりなんじゃないかな。岩主体と砂主体とじゃ、自転で、ある地点に日が当たったり、逆に日が当たらなくなったりで、温度の上がり方/下がり方に違いが出るそうな。地上からの赤外線観測でリュウグウの傾向を掴んだ結果が、「岩主体」だそうで。

この温度変化のパラメタを決定できたのは、初代によるイトカワの現地探査があったかららしい。さらに赤外線天文衛星 あかり が生きてた頃、イトカワを赤外線で観測して、それぞれのデータの合わせ技で決定できたと。

そういう知見がなかった初代 はやぶさ、現地に到着してから大慌てだったもんな。それまで NASA が撮影した小惑星の近接画像って、どれも全体的に砂(レゴリス)が厚く被さった状態でな。なもんだからイトカワもそうだろう、と、はやぶさ の着陸用の航法プログラムもその想定で作られた。

大外れ。イトカワは砂なしで岩だらけの星だった。

はやぶさチームの科学者側は前例なしの一大発見で大いに湧いた。工学者側は着陸がヤバくなって頭を抱えた。

リュウグウの表面状態はまだ見えてないんで、もしかしたらハズレの可能性も。けど既にイトカワの実例を知った後だし。その前からレゴリスコーティングの小惑星は幾つか見てるし。その両方や中間かも、なんて予測はできてるんじゃないかと。

その線から全く外れた状態ってのもまだあり得るかもね。

下の画像は、JAXA が想定したリュウグウの仮想の形状。ほかにもいっぱいあるらしい。

「探査機運用の訓練のために設定したものです。実際のリュウグウがこのような姿をしている保証はないですし、プロジェクトのメンバーがこのようなリュウグウを期待しているわけでもありません。クレーターや岩(ボルダー)や地形などいろいろ想定したもので、訓練のための天体です」とのことだけど、「リュウゴイド」とは「リュウグウのようなもの」だそうで。

訓練用だからこそ既知のリュウグウのデータをできるだけ反映してるはずなんで、「今 JAXA が予想してるリュウグウの形」と言っても差し支えないかと。ただ、他にいっぱいあるそうだけど。

上に出したリュウゴイド、お肌の状態はイトカワをモチーフにしてるね。イトカワと同じゴツゴツブツブツの岩主体だとしても、お肌の見た目がイトカワっぽいかどうかもまた注目ですな。

外れてても別にって感じではあるな。だってイトカワなんか……。

下の画像、上の方は本当の姿を知る前の想像図。下の方は本当の姿(初代 はやぶさ が3原色を分けて送ってきた画像を、自力でカラー合成したですよ。劇場公開映画で出てきた、なぜか白塗りのイトカワとは印象けっこう違うですよ)

ほんと全然違ってたww

銘板
2018.6.19 火曜
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遠景竜宮城 3

小惑星リュウグウ、もっと詳細な画像キターーーーー!

330~240kmの距離から見たリュウグウ - JAXA はやぶさ2プロジェクト

外形が四角いっつうかダイヤ型っつうか。

渡邊誠一郎プロジェクトサイエンティストと吉川真ミッションマネージャのお話だと、既知の小型の小惑星で、こういう形のはいくつか見つかってるとのこと。ただ、長期滞在して長期間の近接観測するってのは今回が初めてだろうから、いろいろな発見が期待できそうですな。

とりあえず、なんで外形がダイヤ型なのか、これは円錐を上下に二つ合わせた形なのか、それとも正8面体みたいなカクカクした形なのか、イトカワと違って赤道や北極に大きなクレーターが見て取れるけど、この違いはどこから来てるのか。

ってまだこんなぼやぼやな画像の段階なのに、興味が湧いてきちまって止まんないっす。

銘板
2018.6.20 水曜
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遠景竜宮城 4

そういやずっと前に、イトカワの自転での遠心力は重力よりも強いんじゃないのかっつう疑問が湧いてさ。計算したらけっこうかろうじて重力の方が強かったっつう結果が出たような。

イトカワでかろうじてだった。

リュウグウはイトカワよりも最大直径が多少大きい。細長いイトカワに比べると、リュウグウの形は球に近い。質量は何倍もあるはず。そのぶん表面での重力はより強いはず。

けどリュウグウの赤道での自転の角速度は、イトカワの1.8倍もある。そのあたりの重力(本来の重力と時点の遠心力との差し引き)はめっさ弱いだろうなぁ。星がその形を保ってるってことは、重力の方が遠心力より強いはずとはいえ。

この状態だと、赤道近くの表面に隕石が軽く当たっただけで、砕けた破片が派手に飛び散っては脱出速度を獲得してしまって、そのたびにリュウグウは質量を失ってそうな気がする。

イトカワはそれが確定してる。落ちてきた隕石の質量よりも、砕けて飛び散って脱出速度を獲得した破片の質量のほうが多くなるそうで。10億年もすれば、すり減って星自体がなくなる勢いらしい。

リュウグウはイトカワよりもサイズが大きいとはいえ、その自転速度の速さゆえに磨耗も早いんじゃないかって気がする。

銘板
2018.6.21 木曜
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遠景竜宮城 5

リュウグウ画像のもっとアップキターーーーー!

220~100kmの距離から見たリュウグウ - JAXA はやぶさ2プロジェクト

とりあえず、公開されてる中で一番新しくて画像が大きいいやつ。

まだボヤボヤだけど、表面の起伏やブツブツがもう見えてきてる。この画像でリュウグウまで 100km くらい。ホームポジションは 20km なんで、「リュウグウ到着」でさらに5倍の解像度が期待できるってことで。本格的な探査に入るとさらにリュウグウのあんな姿やこんな姿がもっともっと……。あー楽しみ。

全体の形は、数日前に撮った画像から判明してたとおり、菱形なんだね。起伏の状態でいえば、クレーターが何個か見えてるのと、上の端がなんだか割れて、中が光ってるように見える。

表面のブツブツは岩くれ。瓦礫。小惑星科学の用語じゃ「ボルダー」というらしい。

小惑星イトカワで学んだことを思い出してみると、まず、はっきりしたクレーターがあるってのが意外。イトカワよりリュウグウの方が直径が倍近く大きくて太ってるけど、両方ともサイズの桁は同じくらい。小惑星の中でも小さな方。

イトカワ以前に NASA が探査済みの、直径が km オーダーの小惑星の場合、表面は砂で覆われてて、見た目がツルツルパフパフ。そこに目立つクレーターがいくつもある感じだった。

イトカワもそんな感じだろうと予想しつつ初代 はやぶさ を送り込んでみたら、あにはからんや岩だらけのゴツゴツ。そしてパッと見でわかるクレーターはナシ。世界の小惑星科学の人たちびっくり仰天だったわけで。

リュウグウも岩が露出してるね。ここはもう驚きじゃない。初代 はやぶさ が取った現地データと、赤外線天文衛星 あかり がイトカワを観測したデータとの合わせ技を使ってリュウグウを地球から観測したら、「おそらくリュウグウの表面もゴツゴツ」という予測が立ったそうで。直径 100m オーダーの小惑星って岩がちなんだなーってことで。

ただ、イトカワみたいにほぼ全部が岩石荒野なのか、それともゴツゴツ(岩)とジャラジャラ(イトカワのミューゼスの海みたいな砂利)とパフパフ(砂)とが地域ごとに混在してるのか、それはもっと近づいてみないとわからんかも。

イトカワで学んだのは、このオーダーの小惑星ははっきりしたクレーターができにくそうってこと。イトカワにも大きなクレーターがあるけど、見てすぐわかるようなもんじゃなくてな。けどリュウグウには目立つクレーターが何個かある。この違いはどこから来てるんだろ。

星を構成する材料が違うから?

イトカワは S 型小惑星。ケイ素。岩石。

リュウグウは C 型小惑星。炭素。有機物。

しかし S 型の岩石はわかるとして、C 型の炭素ってのは、星まるごと炭素主体でできてるってことなんだろうか。それとも基本はケイ素で、炭素が微量に混じってるってことだろうか。

初代 はやぶさ が持ち帰ったイトカワのサンプルを分析したら、炭素も有機物もまったくなかったらしい。S 型だから予測できたことだけど、ほかの C 型小惑星から飛んできた隕石の破片が降り積もってたり、を期待してたけどそうじゃなかったってのもわかったわけで。

あとリュウグウの上の端が割れてて、中が光ってるように見えるってのは何なんだ。

これまたイトカワで学んだことをもとにすると、比較的最近、天体衝突でえぐられた跡なのかもな。

小惑星の表面は、日焼けしてだんだん黒ずんでくる(「宇宙風化」と呼ばれる現象)。だからえぐられて中身が露出すると、そこは周囲よりも明るい色になる。

C 型小惑星は炭素があるってことで、地黒でもある。黒いってことはそりゃ太陽光をいっぱい吸収して、宇宙風化も S 型よりも進みが早いんじゃないかと。

その黒っぽい表面に露出を合わせて、はやぶさ2 は写真を撮ってるわけで。まだあんまし黒ずみが進んでないところは、かなり明るく写ってしまう、てことかもな。

そこらへんの謎の数々、これからはやぶさ2とチームの方々がきっと解き明かしてくれるはず。

ってまとめてしまいそうになったけど、今日の本題がまだだった。

いやさ、ずっと前に ステレオ立体イトカワ を作ったわけですよ。イトカワの自転での角度ズレを視差にして。あの要領でステレオ立体リュウグウも作れるんじゃないかと思い立ってさ。早速作ったですよ。今日公開の画像の最後の3枚で2組作った。

これが立体リュウグウだ!

視差角ありすぎで、視線方向にやたら長くなっちまったwww 自転周期7時間半で時間差30分前後って待ちすぎなんだな。たぶん15分くらいがちょうどいいかと。

とりあえずそこらへんを考慮しつつ見てみると……、

てっぺんの光、見えてる中で一番奥なんだな。

てっぺんの割れ目って赤道近くまで溝が続いてる。赤道の左側のクレーターらしきものの直前で途切れてる。

赤道近辺のクレーターらしきもの、凹み具合から、やっぱしクレーターなんだろうな。

極から出てる溝は、もとは赤道まで繋がってたんだろうか。たまたま赤道のその場所に後から隕石が落ちてクレーターになって、クレーターのふちが盛り上がっちゃったんで溝が途切れたんだろうか。それともクレーターと溝は同時にできたんだろうか。位置的には同時にできた感じだけど。

赤道より下側よりも上側のほうが、赤道から極にかけてのふくらみというか丸みがあるんだね。反対側がどうなってるかわからんけど、これで見る限りはそういう非対称性が見られると。

赤道より下にいくつか見えてるボルダー、立体視すると位置関係がよくわかるよ。

そういやこの手のイビツな星って、画像をひっくり返して見るとまた違うものに見えたりするんだよな。やってみるべ。

さかさまにしたやつ

あんまし変わらんかったww

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)がフライバイ観測した小惑星シュテインス。4年前にこの元画像でステレオ写真組を作って、何を思ったかさらにひっくり返してみたら、『スター・ウォーズ』の帝国軍宇宙戦艦スターデストロイヤーに似てたってのがあって、それを狙ったんだが。その時のログ

しかし立体リュウグウ元画像と逆さま画像の両方ともしげしげ眺めると、元画像でいうとリュウグウの右側面が、上下ともかなりベッコリと凹んでる感じ。今は横から見て「菱形だなー」となってるけど、もしかして上や下から見ても菱形なんだったりしてな。

シュテインスも菱形なんだな。

あと、イトカワ、リュウグウとも自転の向きが地球と逆なんだけど、これ、地球近傍小惑星じゃ普通なのかな。

映画『スーパーマン』(1978)じゃ地球の自転を逆回転させたら時間が巻き戻ったっつうキョーレツな展開があったけど、イトカワじゃ時間は無事に普通に流れてたなw

銘板
2018.6.22 金曜
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遠景竜宮城 6 バンモンソロソロ

ソロモン? ガンダムの宇宙要塞ソロモン? に似てる? ああそういやあ・バオア・クーよりこいつはソロモンだわな。

ソロバン? ああそういえばソロバンの玉にも似あるわ。むしろ言われればすげー似てるわww

リュウグウのカラー画像も見たいな。はやぶさ2に積んでる観測用のカメラは、白黒+7色フィルターの形なんで、カラー撮影するには、赤・緑・青のフィルターで3回撮影しなきゃなんない。やる人にとってはめんどいわけで。

けどサンプラーホーンの確認用カメラってカラーだよな。

これだと1回撮ればいきなりカラーだよな。その用途からして広角レンズだろうな。したらリュウグウによっぽど近づかないとって感じか。だったら本来の用途の、着陸工程のときにたくさん撮ってくれることを期待したりして。リュウグウ表面のドアップはもちろん見たいけど、リュウグウの全体像、着陸予定地域の全体像も、このカラーカメラで見たいなー。

このカメラって、一般からの寄付で取り付けたんだよな。だったらファンサービスでどんどん使って欲しいところ。もちろんそうする余裕があればの話だけど。

初代 はやぶさ は現地探査中にリアクションホイールの2個目が壊れてしまって、おいら確認取ってないけど、たぶんそこから先は高利得アンテナを使えなくなってしまったんじゃないかと。小惑星イトカワの高解像度画像があまり多く発表されてないのは、そのせいじゃないのかと。

だとしたら、リュウグウの高解像度画像ってのはもう、イトカワとは比べものにならんくらい膨大に送られてくるんじゃないかと。

これはワクワクしますわなぁ。

銘板
2018.6.23 土曜
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彗星微生物

なんだってぇ! チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に微生物がいるかもだってぇ!?

チュリュモフ彗星で新たな有機物、生命起源説を後押し - NIKKEI STYLE

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星#地球外生命の可能性 - Wikipedia

はやぶさ2・リュウグウ関係の情報に飢える毎日。しょうがないから過去の小惑星・彗星探査の情報を漁ってたりしてて。んでそういやチュリゲラのことあんましよく知らんなーと。つか はやぶさ・イトカワ 以外をほとんど知らん状態だったりもして。そして丸3年も前の、衝撃の記事を見つけたと。

チュリゲラ探査をしてたロゼッタ・フィラエ探査機コンビはもう活動してない。新たに探査機を送り込む計画も、今のとこはない。たぶんロゼッタ・フィラエには微生物探しに特化した機器は載ってなかったと思う。行ってみて初めて、生命がいるかもな複雑な有機物が見つかったって感じだしな。

サンプルリターンすれば……ってこの星、片道で10年かかったんだよな。いや微生物が本当にいるにしても、生息の条件・環境がよくわからん状態でサンプルリターンしても、地球上のごっつい機材で調べ始めた頃にはみんな死骸になってる可能性が高いわけで。死骸でも価値あるけど、なんだかなーって感じ。

つかチュリゲラに微生物がいるかいないかは不明のままだけど、意外な感じで。生命が発生・維持できる条件が揃ってる星って、ある程度のサイズが必要だと思っとった。彗星くらいの細かい天体でも範疇内のがあるんだな。

今までの太陽系内の生命がいるかもな候補天体って、どれも球形で結構なサイズの惑星・衛星でな。んで、大気があるなり、内部に巨大な海があるなり、なんて感じで、雰囲気からして「もしかして」って感じではあった。それが、彗星核の中って……。そんなチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のお姿は以下。

球形どころか、いやもう何て言っていいのやら。抽象的というか哲学的というか。とりあえず、お風呂に浮かべるアヒルのオモチャに似てるってことになってるが。Wikipedia「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」によると、サイズはアヒルの頭の方が 2.5 x 2.5 x 2.0 m、胴体の方が 4.1 x 3.2 x 1.3km で、小惑星イトカワ(最大 535m)やリュウグウ(直径 900m くらい。詳細はこれから明らかに)よりもだいぶ大きい。とはいえ数 km オーダーって、生き物がいるかもな星としては桁違いに小さいような。

それにしても表面の独特の荒れようも、ほんとどう捉えていいのやら。イトカワみたいなゴツゴツでもリュウグウみたいなブツブツでもなく、粘土をヘラでならした感じというか。たぶん内部の水の氷が溶けて気化して星の外にだんだん抜け出て、土壌だけ残っていく、てなプロセスが、こんな感じの表面状態を作っていくんではないかと。

天文学者はよく彗星を「汚れた雪玉」と表現しますわな。水の氷と岩石その他が混ざった状態らしく。んで「その他」の部分に、けっこうな量の有機物が含まれてるらしい。んで、条件によっては、星の内部で水が液体でいられる時があるのかも。そのとき豊富な有機物の中から生命が芽生えるのかも。あるいは、他の星からの隕石の形でチュリゲラにアミノ酸とかが打ち込まれて、条件が揃った時に周囲の有機物と水を利用する形で生命が生まれた、とかもあるかも。

地球の生命はチュリゲラ微生物から始まった、っつうストーリーはどうなのか。

ってどうも同じ水でも、チュリゲラの水は地球の水とは他人らしく。重水 の含有割合が違うそうで。地球に大量の水が見たらされたのは、原始地球に彗星がどんどこ落ちてきて運ばれてきたんじゃないかって説が有力らしい。けどチュリゲラと同じ場所で同期で生まれた彗星たちの水の素性はチュリゲラと同じはずなんで、地球に降り注いだ彗星軍団は別のグループ由来ってことになる。となると、地球の微生物の由来がチュリゲラ一族ってのは考えにくいかと。

まーでも、ある彗星軍団が地球に水をもたらした後、たまたま通りすがったチュリゲラ一族の1個か2個がポトッと落ちてきて大繁殖、ってのは考えられなくもないか。

ってすっかり パンスペルミア説 に乗っちまってるな。

銘板
2018.6.24 日曜
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縄文ライフ妄想 1

こないだ 是川縄文館 に行ってきたんすよ。横浜在住の叔父が、墓参りに帰ってきてて。ついでに見ていきたい、とリクエストがあって。んでまあうちの母親と叔父をクルマに乗せて、行ってきたんすよ。

おいらは3回くらい来たことある。んでまぁまたまったりと展示物を眺めようかと思ってたら、入り口近くでご老人に声かけられて。いや別に縄文人の霊とかじゃなくw 案内ボランティアの方で、「案内いかがですか?」と。んでこの人、叔父と歳が近くて、それじゃあお願いしますよという流れで。

結論。

是川縄文館に行ったら案内の人をお願いしたほうがええですよ。展示物の横の説明書きだけじゃ知り得ないことを、いろいろいっぱい教えてくれたですよ。

そんな中で一番「おおーそうだったのかー」と感心したもの。

北枕の習慣って縄文人から来てたらしい。世の中的には、「お釈迦様が入滅したとき北枕だった」てのから、死んだ人は北枕で、生きてる人がやると縁起が悪い、みたいな感じだわな。インドか中国から来たもんだと思ってたこの習慣、まさか縄文が起源だったとは。

てか、ほかの仏教国はどうなんだろ。北枕に関して何か言われがあったりするんだろうか。あったとしたなら、偶然の一致ですな。

縄文人の北枕ってのは、死者の埋葬のときの習慣だったそうで。んで、頭をちょっと高くする形にして、朝から夕方までの太陽の動きを見られるように、だそうで。縄文は文字のない文化だったんで、状況からの推測なんだろうと思う。けどなんかこう、現代の「北枕」に対する暗い感覚とはちょいと違うセンスですなぁ。

銘板
2018.6.25 月曜
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縄文ライフ妄想 2

って、縄文時代は屈葬なんじゃないかって気がしたが。いや弥生時代? んで調べたら、やっぱし縄文時代らしい。けど八戸の是川遺跡だけなのか知らんけど、集落のミニチュア再現模型で示されてた埋葬の様子は伸展葬だった。お風呂に浸かるみたいにゆったりしたポーズだった。

屈葬かどうかは地域によるのかもな。あるいは、是川遺跡だけでも時代によって場所が点々と移ってるわけで。これって十和田の山の噴火で壊滅して、また是川の別地区に集落ができて、というのが繰り返されたらしく。その度に時代はもちろん文化様式も違うらしく。そこらへんの影響もあるのかもね。

とりあえずミニチュア模型で再現された集落の墓場は、そんなリラックスどっこいしょ状態。お日様の動きを毎日眺め続ける死後暮らし、なかなかオツじゃないですか。

案内人さんの説明だと「太陽の動きを見るため」だったけど、夜は月や星の動きも見れますなぁ。毎日変わるお月さんの姿を、メシの心配も病気の心配もなく楽しめますな。そして季節ごとに違う星座の動きですよ。縄文時代はギリシャ神話の星座図じゃなかったろうけど、季節ごとに違う星の配置が現れて、時間ごとに月や太陽みたいに移動していくってのはさすがに知ってたろ。

死者はそれをいつまでも見続けられるようにってことかな。縄文流の、死者を慰める考え方なんだと思う。

弥生文化というか大和文化というかが想像する死後の世界って黄泉の国だよね。地下深くにあるという異世界。中国の影響かな。仏教の影響かな。

♪地下王国アガルタの 須弥山(しゅみせん)の麓にあるという

は「護法少女ソワカちゃん」の歌の一節。けど日本に仏教が伝来したのは飛鳥時代のはず。その前から古事記の元ネタができてたんだとすると、黄泉の国が地下っつう発想はどこから来たのか。って普通に「埋葬するからには地面の下だろ」ってことかな。

銘板
2018.6.26 火曜
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縄文ライフ妄想 3

で、大和文化では、死者は地下深くにどんどん入っていくイメージ。一方、縄文文化だと、死者はこっちも土の中だけど、イメージではずーっと地表近くにいるままで、覆ってる土を通して天体の動きを眺めてる。死後観・宗教観の違いですな。

んでそのコンセプトは素敵だなーと思ったものの、いやあの、縄文人って、埋葬してから一定期間経ったら掘り起こして改葬してたらしく。いや、ほっといてくれないのかい? 縄文の死者になったつもりで、日夜空を眺めてくつろいでるつもりでいたところにそのお話で。そこにはちょいと抵抗を感じるおいらさ。どうも骨だけになったあたりで、骨に漆を塗って、また埋めたらしく。漆に何らかの霊的なパワーを感じてたんだろうなぁというのはわかった。

ヒスイの首飾りや漆塗りの櫛なんかも副葬品として埋めてたらしい。こういうのって貴重品のはずで、埋めるよりだったら子や孫が形見として受け継ぐのが自然な気がするが。現代人の考え方だとそれが普通かと。縄文時代の親族の遺品は、形見になった例もあったろうけど、そういう品物は「あくまでその人の所有物」という意識も強かったんじゃないかな。それで一緒に埋めたんじゃないかな。おいらからすると、貴重品をまぁ惜しげもなく、な感じだけど。

工芸品は間違いなく貴重品だったろうけど、ある程度安定して生産・供給・入手できる状況にあったとも言える。ってそれは豊かさを意味するわけで。豊かってのは余裕があるってことで。「生きるために食べ、食べるために生きる」なんつう野生動物と同じ暮らしじゃ、アクセサリーを自作するなりゲットするなりで着飾るなんて思い至りさえできないはずなわけで。死後の世界観を醸成・共有して、その流儀で冥福を祈るなんて思いつかなそうなわけで。

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2018.6.27 水曜
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縄文ライフ妄想 4

p>縄文人って食料や必需品の調達なんかけっこうヨユーでこなせてて、日頃は時間も体力も有り余ってたんだろうな。

あと、近代人みたいに集落を作って定住してたものの、縄文集落同士でけっこう遠距離な交易もしてたらしく。特産品を持って、歩いてとか船に乗ってとかで、だろうなぁ。お金を使った形跡はないそうだから、特産品同士で物々交換かな。もしかしたら対価として嫁をもらって帰ったとか、行った先の集落に定住しちゃったなんてのもあったかもな。

青森県内は八戸市の是川遺跡とか、青森市の三内丸山遺跡とか、つがる市の亀ヶ岡遺跡とか、縄文時代は全国的にもけっこうな文化の中心地・先進地だったらしい。のちに気候が寒冷化したのと、完全な農耕文化の弥生人が西から台頭してきたので衰退してしまったけど、大昔はそうだったらしい。

てことは交易もそれだけ盛んだったんじゃないかと。定住生活しながら、日々いろんな土地の人が訪れたり、いろんな土地に出かけたり。

「文明」ではない暮らしっつうと、ひたすら食べ物を求めて一生ずっと必死だとか、あるいは孤立したテリトリーの外の世界を知らないままただ生きてただ死んで、なんて、そんなつまらんイメージとは全然違うような。

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2018.6.28 木曜
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歩みを止めた

ホンダの ASIMO、開発やめてたんだな。開発チームももう解散済みとか。

ホンダ アシモの開発をとりやめ 研究開発チームも解散 - NHK NEWS WEB

平成12年に発表された1号機から、一般人から見て目立ったバージョンアップなかったもんな。内部的にはいろいろ改良があったろうけど、変わり映えしなくて飽きられてきたのかも。

結局は見世物に終始してしまって、ろくな実用先を見つけられなくて。それでどん詰まりになったんじゃないかと勝手に予測。

人型ロポットっつったって、姿形と動作が人間っぽいってだけで。もうひとつ求められる人間っぽさ、つまり知性が昆虫にも劣る程度だったからな。

今何かと世間を騒がしてる人工知能。これがまだまだ、特定の狭い用途以外じゃ使い物にならん程度でな。その特定の用途も、事前に人間がかなりお膳立てしてやらないと実力を発揮できないくらいでな。

人間サイズの人型ロボットを開発するとなれば、自ずと設定される目標は、

「人間に違和感を持たれない人型の体と、人間のいる空間で自然に振る舞えるほどの知能を持つ。ただ居るだけでなく、積極的・自律的に判断・行動することで役に立つ。この利点が認められることで、人の労働の代理としての需要を作り出す」

おそらくそんな感じだったかと思う。けどいつまでもそれが実現できず、ここ10年程度じゃ実現できない見通しが立ってしまった、ってことかと。

問題になったのはたぶん、頭と手かな。人の代用になり得るものを開発できなかった、のではないかと。

工場労働で今も人手でやってる作業って、まさに頭と手が人間のものならではだからな。しかも人手は潰しがきく。あの作業やったら今度はこの作業、それやったら別のあの作業。一人の人が、脈絡のない様々な作業を担当できる。

機械の労働力は、今のとこそれぞれ1つの作業に特化する形になってる。その専門だと人手が及ばないスピードと効率でこなすけど、他の作業はまったくできない。電子レンジじゃ洗濯できないってわけで。

てことで、人の労働力みたいに潰しが効く機械労働力。それが、人型ロボットが作り出す需要のはずだった。家事でいうと、コンロと鍋で人型ロボットが米をおいしく炊く、となれば炊飯器は要らなくなる。食器洗いができれば食器洗浄機も要らなくなる。ホウキとチリトリとハタキで人型ロボットが部屋掃除をうまくできれば、掃除機も要らなくなる。洗濯板があればロボットが……。

人型ロボットの狙いのひとつは、白物家電市場を食うことのはずだった。

パソコンが AV 機器市場を、携帯電話がカメラ関連市場を食ってしまった。そんな前例もあったことだし。

「ロボットが人間の雇用を奪う」と昔から言われてるけど、むしろロボットが奪うのは専用機械の仕事だったりする。用途ごとに専用機械をいちいち買わなくてよくなるぶん、人は出費を抑えられる。

けど、それには身体機能が人間並みかそれ以上になる必要があった。ASIMO は足の機能の実現から開発を始めた。人のように歩くこと。1990年代前半までロボットが成せなかったことで。ホンダの人型ロボットシリーズはこの実現に一応成功した。

けど「直立する」ということは「倒れたときどうするか」に対応しなきゃなんない。「歩く」ということは「転んだときどうするか」に対応しなきゃなんない。ASIMO はここまでは掘り下げられなかった。ランダムな荒れ地の歩行もできなかったっぽいしな。

そしてさらに開発が遅れたのが、頭と手の機能。

1990年代後半の時点で、頭というか人工知能というかコンピュータによる認識が人間に追いつくのはまだまだ先の話。手は見た目それなりのものができてたけど、性能・コスト・耐久性とも、今に至るまで実用の要求を満たすほどじゃない感じ。

つか手の機能や動作は手の単体だとあまり意味がない。手の複雑な機能を使いこなす高度な知能や認識能力とセットでようやく意味が出てくる。つまり手の機能を実現するには頭脳が必要。その頭脳の開発が遅れてる。

人型ロボットが足よりも実現できてない「頭と手」の問題は、結局「頭」の問題だった。

ASIMO は足の機能の実現に注力したロボットなわけで。見た目と簡単な動作ならそれなりにこなせる手もついてるけど、手を使いこなすのに必要な頭が足りないと。

例えばパワーショベルのバケット部分。その構造は「手だ」なんてとても呼べないほど単純。動かせるのはたった1自由度の手首部分だけ。

けど上手い人が操作すれば、アームの2自由度とボディ旋回の1自由度、合計4自由度だけで、巨大な手がモリモリ仕事してるようにしか見えんってわけで。

ロボットの手指が機能的に粗末でも、自由度が少なくても、頭が良ければかなり使えるはずで。となるとロボットの手の開発方針は当面、単純・頑丈の路線でいいってことになる。昔の漫画のロボットみたいな、輪っかが切れてる形の、あんなもんでここしばらくは間に合うってこと。無理に人間の真似して複雑・繊細な手を作ったって、頭が悪くて使いこなせないんだもんな。後々に頭が良くなったなら良くなったで、そんな粗末な手の機能を充分に使いこなしていけばいいでしょと。人間と同じ高級な機能の手が必要になるのは、ロボットの頭がもっともっと良くなってからでいいわけで。てことで、ロボ手は今からわざわざ人間の再現じゃなくていいってわけで。

そういや10本の指がハサミの人造人間の映画ってあったな。結末は悲しくて悲しくて、涙止まんないお話でしたな。てなことで唐突に ほぼじゅびふぉ から

Scissorhands / Miku-tan

スウィンギーなジャズナンバー、いつ聴いてもたまんねっす。

銘板左端銘板銘板右端

ASIMO の応用に向けての研究で、非侵襲 BMI で、人が体を動かさずに ASIMO を自分の体のように操作するっつうのがあったが。脊髄損傷での身体障害者の助けになりたい、という狙いがあったはずだけど、実用化の発表が出てないような。

この方向性だと、手を動かす頭脳は人間のもの。てことで ASIMO が標準装備してる、人間を模倣した手がそのまま役に立てる。けど、そうなると足というか総合の運動機能というか。転んだら誰が起こしてやるのかと。脊髄を損傷した人じゃ無理だろ。

ASIMO は背筋の関節がないんだよな。胴体が上から下まで1個の剛体。非人間的なまでに体が固すぎるってわけで。だからいったん転ぶと、必要以上に面倒なことになるわけで。

実用化までに越えるべきハードルが雑多にありすぎて、とうとうさじを投げたのかもな。しかもどの方面で実用できるのかがついに具体化できなかったのかもな。外野の分際で勝手なこと言いたい放題で申し訳ないけど、そんな印象。

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2018.6.29 金曜
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降りる場所はあるのか

小惑星リュウグウのさらに詳細な画像キターーーー! 6月26日撮影だそう。

デススターに似てるっつう ISAS 内部コメントもわからんでもないww

みんな初めて見るものだから、何に似てるかってのはそれぞれ思うところがあるんだろうな。しかしまた目立つクレーターが赤道にクリーンヒットですな。これから詳細に測量して緯度・経度を設定するんだろうけど、赤道山脈上でやたら目立つこのクレーターが経度の起点になるのかもな。

外形は小惑星イトカワとは似ても似つかない。リュウグウにははっきりしたクレーターがあるし。けど、お肌の具合はイトカワとやや似てますな。ブツブツのザリザリのゴツゴツ。

初代 はやぶさ がイトカワに近づいて写真を撮ったその時まで、人類は小惑星の表面ってのは、小惑星はどれも表面に砂が厚く積もって、見た目ツルツルヌメヌメなもんだと思っとった。そうじゃないかもしれないけど、今までそうだったんだからきっとイトカワもそんな感じでしょうと思っとった。

イトカワはそれまで探査済みの小惑星に比べて格段に小さかった。直径が長手方向でも 550m しかなかった。イトカワ以前に近接探査で姿が知られてた小惑星はどれも、直径 10km 以上だった。小惑星の長さのオーダーが2桁小さくなると表面状態がまったく違うってのが、イトカワで初めて判明した。

ただ、その実例がイトカワだけなんで、それが傾向なんだと判断するにはまだまだ弱かった。イトカワだけの特例なのかもってわけで。

そこへきてリュウグウですよ。イトカワより大きいとはいえ、長さのオーダーは同じくらい。んで、表面がブツブツのザリザリのゴツゴツ。

イトカワはケイ素の岩石でできてる S 小惑星。リュウグウは炭素を多く含む C 型小惑星。

長さのオーダーが同類だけど組成が違う。んで表面状態が共通。これだけで論文を数本書けるくらいのテーマかと。

ブツブツのザリザリのゴツゴツが共通とはいえ、はやぶさ2にとってあんまし都合がよろしくなさそうな違いもあるね。平らな場所がまったくなさそうってこと。

イトカワには玉砂利程度の石で埋め尽くされた、のっぺりと平らな地域も少しあった。初代 はやぶさ はそこに着陸して試料を採取した。

リュウグウは見た感じ、全部ブツブツですよ全部ザリザリですよ全部ゴツゴツですよ。地面の基本は平らな感じだけど、でっかい岩が一様に散らばって配置されてるっつう状態。のっぺり地域が見当たらない。写真で見えてる面の反対側も、たぶん同じ質感なんじゃないかと。

どこに着陸するんだろ(汗)

カッシーニ・ホイヘンス組とかロゼッタ・フィラエ組みたいな、本体+着陸機のムサイ・コムサイ方式ならまぁ多少の無茶を承知で着陸行程を組めそうだけど(片道探査だし。フィラエはけっこうそれでエイヤッと行った感じだし)、はやぶさシリーズの小惑星着陸は本体まるごとのホワイトベース方式だからな。試料を地球へ持ち帰る関係上そうなってしまう(ちなみに地球帰還時はムサイ・コムサイ方式)

貴重な本体自らが着陸するってことで、安全そうな場所を慎重に選んでから実行したいところ。これ事前によっぽど近づいて調べないといかん感じですな。

幸か不幸か、はやぶさ2の機体構造の制約上、着陸場所はリュウグウの赤道近くに限定されるらしく。その狭い領域から着陸候補地を探せばいい。条件から外れるところに平地があってもサックリ諦められると。まーリュウグウの形を知ってしまった以上、はやぶさ2付きの科学者さんたちは本音じゃ赤道だけじゃなく、中緯度や極のサンプルも欲しいだろうけど。

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2018.6.30 土曜
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降りる手段はあるのか

そういや宇宙科学研究所(ISAS)で研究中の木星圏小惑星サンプルリターン計画は、IKAROS を元にした探査機を考えてるわけで。だったら はやぶさシリーズとはいろいろ違う方式になるんじゃないかと。

ホワイトベース方式はたぶん無理。巨大なソーラー電力セイルが着陸の邪魔になるんで。だったらムサイ・コムサイ方式になるだろうな。したら着陸機が試料を取って小惑星表面から離陸、本体にドッキングしてサンプルコンテナを再突入カプセルに渡して、本体ごと地球へ帰ってカプセルを放出、てな段取りかと。

アポロ計画が月でそれをやったとはいえ、最小でも4天文単位も離れた場所で全自動でそれやるってのはまた、どうなんだろ。しかも IKAROS ベースなら本体はスピン安定型だから、常に自転してるわけで。ドッキングできるんか?

映画『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションとスペースシャトルのランデブー・ドッキングみたいな感じか? とりあえず現実世界での前例がないわけで。いったん技術試験機でやっとかないと危ないんじゃないかな。

いやいやドッキング機構その他は逆スピンで静止させるとか? 木星圏探査ソーラー電力セイルのかなり古い映像で、イオンエンジンのユニットが逆スピンやってた。そこにドッキングポートをつけると、着陸機側は三軸安定でドッキングできるな。

これスピン安定型の宇宙機でパラボラアンテナを一定方向を向けるのに昔からある技術だわな。1980年代の彗星探査機 さきがけ すいせい がそれやってたな。たぶん磁気圏尾部観測衛星 GEOTAIL も。あと気象衛星ひまわり1〜5号。最新だと日本の水星探査機 MMO もそれ。MMO のはもはやパラボラじゃなくアクティブアレイだけど。

これって本体から中央のターンテーブルへの電力供給と通信は、たぶん スリップリング を使うんじゃないかな。アンテナだけならまだ規模が小さくて済むけど、あんまし何でもかんでもターンテーブルに載せられないんじゃないかと。ドッキングポート、再突入カプセル、サンプルコンテナをカプセルに送り込むメカ。そこらへん載せなきゃいかんかと。

しかも往復で30年くらいかかるらしいし。スリップリングってそんなに持つものなのか? とはいえ GEOTAIL は26年選手でいまだに稼働中だったりする。スリップリングを本当に搭載してるのかも、今でも使えてるのかもわからんが。

つか着陸機の電源は太陽エネルギーを当てにできないから(木星のあたりの太陽光の強さは地球の 4% しかない)、主にバッテリーで稼働するんだと思う。サッと降りてサッとサンプル回収してサッと戻ってくる形かな。それとは別に放ったローバーで、比較的じっくりと表面を接写観測。ローバーもバッテリー駆動だから、あんまし長くは活動できんだろ。

てことはローバーは着陸機に積んだ状態で、着陸したら分離してそこから稼働っつうとバッテリーを長く使えるかな。けどそうなったら本体は大変だな。ローバーから命を削りながらの貴重な探査データがずーっと届いてる中、サッと戻ってくる着陸機とドッキングしなきゃなんない。搭載コンピュータ、処理しきれるんかいな。やっぱし着陸機とローバーは別行動かな。

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