ひとりごちるゆんず 2014年5月
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2014.5.1 木曜
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虚舟の逆輸入情報

英語版 Wikipedia「Utsuro-bune」(虚舟・うつろぶね)の和訳、微調整もかけてリリースだよー。

コチラからどーぞ

村の長老、イマジネーションたくましすぎるだろwww そして決断は「再び海に流す」っていやいやいや。と思ったら、ほかのサイト様も当たってみるとどうも村の長老、面倒ごとを嫌ったらしい。

当時の習慣として、地元では手に負えないことがあって役人に伝えると、出張った役人の現地滞在費は現地側が持つことになってたらしい。これは面倒だわ。てことで、長老はいわゆる事なかれ主義でその判断をしたらしい。事なかれ主義が悪いとかいう前に、この習慣は事なかれ主義を作り出しますわな。しょうがないかも。

子供の頃に読んだ UFO 本に、この虚舟が載ってたんだわ。今回翻訳したページに載せた絵も出てて、なんだか怖かったっけ。ただまぁ作り話の可能性が高いんでアレだけど、実際は伝承の最初から、その女性は西洋人の設定なんだよな。宇宙人じゃなく。

この女性の過去が長老の想像どおりだったのかはわからんが、この人の身になって考えるとさ、いろいろ同情したくなっちまって。

動力のない小さな舟で流されるがままって、水と食糧はあったらしいけどどんだけ心細かったろ。そして日本の浜辺にたどり着いた彼女、嬉しかったろうなぁ。けど現地の人々は訳の分からん話し合いをした結果、老人の鶴の一声にみんな従い、女性を舟に戻して海にまた流した。このときのこの女性の気持ちを考えると、ほんと胸が詰まるですよ。

そして謎の箱の中身は一体何だったんだろ。図解を見て、その雰囲気からして、大工道具?(なぜ)

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関係ないけど、マレーシアの旅客機の行方不明ってどうなったんだっけ? 韓国の沈没船の話題におもいっきしかき消されてる感じだが。断片さえまだ見つかってない状態でフェードアウトなのかい?

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2014.5.2 金曜
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四半世紀後の端境期 1

下に出した記事、技術的特異点の端境期の話だね。

2040年、人間の仕事はどう変わるだろう?世界はアンドロイドが溢れ、職を失った人々は生体インプラントを与儀なくされる可能性。 - カラパイア

労働者は機械に仕事を奪われ続け、対抗するために自らの体に機械を埋め込んで、寝る暇もなく働き続ける。

人間が自らサイボーグ化していく社会ってのは「攻殻機動隊」の世界ですな。あの作品ではそれで起きる犯罪と捜査の話だけど、その土壌になる一般社会では、サイボーグ化が普通になってるわけで。

てことで、「労働市場はアンドロイド(人間型ロボット)vs サイボーグ(機械化人間)の競争状態になる」、というのがこの記事での未来予測。『鉄腕アトム』ではロボットにも人権が与えられて、ロボットは擬似的に家族を構成したりして、人とロボットは一応平和に共存することになってたね。まーでもそれぞれの状態になったとしても、長くは続かないというのが技術的特異点のコンセプト。

共存でも競争でも、仮にこの状態になったとして、人の仕事を奪いまくるほど発達した機械って、自らの判断で自らを進化させ続けられるようになっていくわけで。特に人工知能が自分を進化させ続けると、その知能はいずれ人間を超える。そしてもっと進化し続ける。人間の知能なんて人工知能に比べればどうでもいいくらいにまでなり、人が考え得ることはすべて、人工知能がやすやすと先回りできるようになる。知能・知恵を使うことこそ人間ならではの生きる喜びなんだけど、仕事どころか存在価値まで機械に奪われる。

技術的特異点が来るかどうか自体おいらはよくわからんけど、来るのなら今のところ、2045年がその端境期だっつう説が強いらしい。記事の時代設定は2040年。今が2014年なんで、現時点からの予測だとだいたい同じくらいと見ていいんじゃないかと。

てなわけで「機械と競争するため、人類はサイボーグ化してパワーアップして対抗するのだ」ってのも、この状態に持ち込まれた時点でもう人類の英知の陥落は時間の問題なんじゃないかと。

あと四半世紀ですか。その頃、世の中はどうなってるんでしょうかねぇ。

そういや昔は明るく楽しい未来を夢いっぱいに描いた SF 作品って多かったけど、最近はあんましぱっとしたものがない気がする。あれって時代が20世紀後半だったってのはあったかもな。次なる21世紀と聞くと、なんかその当時の「今」よりずっと科学技術が進んで、それだけ便利で快適な環境で楽しいことが溢れてるっぽい気がしたもんだが。世紀の節目が窓枠効果になってたというか。

21世紀に入ってしまってもう14年目。次の22世紀まであと86年もある。窓枠効果が効くにはあまりにも遠くて、ハッキリしたことがわからん。そしてあと25年だか31年だかで、競争の挙げ句に機械が人類を追い越す時代が来るらしいとか。明るく楽しい22世紀ってなさそうだなぁ。

こないだ将棋の電王戦はコンピュータ側が勝ち越したしな。あれって人工知能と呼べるものなのかもしんないけど、技術的特異点と関係のある「強い人工知能」じゃなく、まだ「弱い人工知能」のほうじゃないかと。自力で進化するわけではなさそうなんで。単に推論を積み重ねるだけが得意の、認識方面の思考力は昆虫以下ってくらいじゃないかと。

とはいえその方面では、特定の分野に特化してるとはいえ、プロ棋士という人間の中でもめったに獲得できない能力を超えつつある。

つか人工知能ってほど大したものじゃなくても、「ソースコード100〜200行程度のプログラムで特定の作業をこなさせたら、人間の10万倍速でミスもゼロだった」とかもう普通にあるわけで。前の職でおいらそれ作ってたし。

強い人工知能が生まれたら、既に人類を超えまくってる単純情報処理作業から自分に取り込んで、恐ろしい勢いで進化が進むんだろうな。

それを危惧してるのがこの記事ってことか。

銘板
2014.5.3 土曜
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四半世紀後の端境期 2

この端境期の見方をちょっと変えてみる。昨日出した記事の時点じゃ、まだコンピュータと人類は労働の能力では拮抗してる。人類側が押されまくって不利な感じではあるけど。生身の体じゃもう無理って時点で、完全敗北は時間の問題な雰囲気。

けど機械はまだ自我を持ってない設定らしい。てことはこの未来の場合、機械はどなたかの所有物なわけで。こういう便利な機械を所有する人は、持ってるだけで稼げてウハウハなわけで。昭和時代、「1億円あれば利息だけで一生食っていける」とも言われとりましたな。そういう夢が、別の形で叶う時代ってわけで。つか今も、地代家賃収入だけとか株の配当だけとかで暮らしてる人たちはいるわけで。四半世紀後は、デキる機械を持ってれば遊んで暮らせる世の中になってる、という記事でもあるわけで。

物理的に何かをする機械なら、それを設計・製造・運用するノウハウが必要なんで、全自動で設計・製造・運用までこなすのはなかなか難しいと思う。けど情報処理ならコンピュータは得意中の得意なわけで。となると、ソフトウェアさえ組めばできる作業は自動化に適してるわけで。プログラミング能力の高い人はそういうナイスな位置にいる、ってことかもね。

おお、IT 長者ってこれですか。さすがに、プログラムを持ってるだけで何もしないでも暮らしていけてる人ってあんましいなさそうだけどさ。

そしたら記事が言うのは、今から四半世紀遅れでハードウェア関係の設計・製造・運用の自動化なり人工知能化なりが進んで、そのときから本格的に、人類の労働市場が機械に脅かされ始める、てな感じですかねぇ。

20年後に勝ち組になりたかったら、ハードウェアを制御する組み込み OS やアセンブリ言語の習得あたりが大事ってことになりましょうか。

まーそうなったとしても、「強い人工知能」が現れて順調に育ってしまえば全部オジャンだけどさw

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アセンブリ言語を書ける人って意外とそこらにいるみたいでな。去年、職安に通って求人を見てたら、八戸地方の求人でさえそこらを募集してる会社がいくつかあったよ。しかもあんましいい待遇ではなくww 八戸くんだりでもそういう技術者が本当にごろごろいるのかはわからんけど、求人するほうは少なくとも「いるかも」とは思ってるんだよな。けど基本給20万前後ってさ、どんだけ買い叩く気マンマンなんだとwww

そこ考えると、ハードウェアのドライバを書ける技術者って日本には、枡で計って荷車で運ぶほどいるわけで。

カラパイア記事が予測した未来が来るのなら、日本が真っ先に突入するのかもなぁ……。

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記事の元ネタは世界大手の人材職業サイトらしいけど、どうも発想が安直っぽいというか。

「人間は己の能力を上げるために脳内にプロセッサを埋め込む手術を受け、ロボットに対抗する必要が出てくるという。脳内だけじゃない。機械に負けない速さで手を動かすために手にも生体工学的なインプラント手術を行う」

ってさ……。

脳にプロセッサを埋め込むって発想はわからんでもないが、プロセッサには電源が必要なわけで。頭から電源コード出してるんかい。気持ち悪くて本人も周りの人も躊躇したりしないもんかね。そうか血液の成分を電源にできればいいのか。できるとして、変な化合物を出して脳がダメージを受けたりしないように気をつけなきゃな。

発熱はどうだろ。周りの脳細胞を煮たり焼いたりじゃ意味ないし。そこは熱管理してリミッターをかければいいか。てことはこのプロセッサは放熱の関係上、脳の各部に分散して仕込む形になるんだろうか。手術代、目的からして保険は効かなさそうだし、相当な覚悟が必要そうですなぁ。

あとプロセッサが血液を食い過ぎて、もとからある脳細胞に血が足りなくなったりとかもヤバそうかな。となるとこれもリミッターだな。せっかく手術しても、あんまし全開で動かせないんじゃないかと。

つか普通に iPS とかで自分の脳細胞を培養して、移植手術で能力強化すればいいんではないのかと。これは脳のドーピングより先に、認知症や知的障害や、事故での脳機能欠損の改善に使われるのかな。仕事ならプロセッサ埋め込みのほうが効率的なのかもだしな。

プロセッサ埋め込みの場合、例えば脳内に Excel と Excel 関数とマクロのやり方も仕込んで、目でデータを読みながら脳内でデータ処理してグラフを作れたりって感じかな。出力はどうするんだ。やっぱし外部とつなぐ電極を体から露出させなきゃなんないんだろうか。…… Bluetooth でいいか。血液から安全に電源を取れれば、意外といけそうな気もしてきたww

「機械に負けない速さで手を動かすために」ってのもなぁ。だったら脳内 Bluetooth で機械を通信で操作すればいいんじゃないかとか。わざわざ手のサイボーグ手術をしなくて済む。ていうかもうそこまで機械的な作業なら、全部機械任せにしたらいいんではないかとか。人間はその機械を所有なり管理なりする仕事で稼ぐとかさ。

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そういや今年公開されたリメイク版『ロボコップ』で、人間の脳だとどうしても機械より判断が遅れるっつう描写があったね。フィクションだけど、けっこうそうなりそうかもな。この作品内でのこの問題への対処は、戦闘時の実際の判断は機械がやって、主人公の脳はあたかも自分で判断したかのように、機械のほうからうまく騙すとゆー荒技だった。

人間様の顔を立てて、機械は内助の功に徹すると。

見方によっては、人類は自尊心という感情を持つ労働力で、機械はそれがない労働力なわけで。サイボーグならそういう組み合わせかたが最適なのかもな。

銘板
2014.5.4 日曜
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300万円で星を飛ばす話

JAXA 企画の、国際宇宙ステーション(ISS)から超小型衛星を放出するサービス、本格化しましたな。

超小型衛星 有料で打ち上げ新サービス - NHK

こうのとり の与圧モジュールに積んで ISS 内部までいったん運んで、飛行士に点検してもらってから、きぼう のエアロックから放出するんだよな。きぼう のエアロックっつうと、暴露部パレットに出し入れするところなんだろうなぁ。そして暴露部についてるロボットアームでポイッとやるんじゃないかな。

きぼう は実験のスケジュールがけっこう空いてるみたいでな。んで考えついた利用法らしい。10cm 角で300万円か。たぶん質量は 1kg 未満かな。それが一応の世界規格になってるんで。つかこの規格じゃなくてもいいみたいだね。もっと大きいのでも、エアロックから出せてロボットアームで扱えるサイズなら OK ってことかも。

記事にも少し出てるけど、H-IIA ロケットの打ち上げでも超小型衛星をついでに載せるサービスをやってて、こっちは運賃無料。ロケット上段に衛星を取り付けるアダプターは有料で、20万円台だと思った。H-IIA のほうがはるかに安いわけで。どっちもやってくってことは、軌道で選んだり、営利・非営利とかで振り分けるのかな。

ISS の軌道は傾斜角56°の低軌道なんで、その軌道で使えるものだけだね。けど料金が高いぶん競争率は低いかな。基本、日本から応募があったものは こうのとり で運ぶみたいだけど、よその補給機に回されることもあると思った。こうのとり と ヨーロッパの ATV の打ち上げ間隔は、それぞれ年1回のローカル線運用だもんな。そりゃそうなるわ。

H-IIA は今のところ1年に2〜4回で便利そうだけど、静止衛星打ち上げに便乗なら軌道傾斜角29°限定で、高度 200km 台の低い円軌道(長くても1年かそこらで大気圏に落ちる)か静止遷移軌道(近地点高度 200km 台、遠地点高度 35,800km)を選べる、と。

H-IIA でよく飛ぶもうひとつの軌道は、傾斜角96°、高度 400〜600km の「太陽同期軌道」っつう円軌道。地球観測衛星なんかで人気の極軌道ですな。これに便乗すると、地球上のあらゆる地点の上空を飛べたりする(自在にではないが)。大気圏再突入までの期間は5〜10年ほど。ただし地上にいる担当チームと通信できるタイミングは明け方か夕方のみ。

そういやこの軌道で打つ H-IIA って、けっこうな割合で情報収集衛星の打ち上げだったりするんだよな。機密保持の関係で、この便は政府専用機につき便乗はご遠慮ください状態。案外この軌道は超小型衛星になかなかチャンスが来ないのかもな。まー外国では有料でサービスしてるんで、そっちに行く手もあるか。インドの打ち上げに便乗した日本の大学の超小型衛星ってあったな。ロシアもあった。

でも外国のサービスを使うのって、日本人にとっては面倒だよね。相手に日本語が通じないし、税関を通すのにいろいろ手続きもありそうだし、国内より確実に旅費がかかるし。

そんなわけで今回の新サービスは ISS 軌道限定だしおカネもそれなりにかかるけど、日本語で応募・発注できて、日本国内で受け渡しできて、日本円で支払える機会と選択肢がひとつ増えたってわけで。あとは超小型衛星が、これを機会にもっと盛り上がればいいですなぁ。

これ、特に国内の応募限定ではないと思う。衛星の製作や運用のノウハウを安く手に入れたい国・機関・会社は、世界中にいろいろあると思う。そこらへんにも訴求できそうじゃないですか。ISS 経由で宇宙に出るってのは、それだけでイメージ宣伝になりそうだし。

H-IIB ロケット + こうのとり のセット価格はだいたい300億円なんで、300万円だとちょうど1万分の1だね。微量すぎて全然穴埋めになんないけどさ、海外に日本の ISS 計画を宣伝するのにもイイ働きをしてくれそうな気がするよ。

銘板
2014.5.5 月曜
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兵士はもう死ななくていい

昔「兵力≒兵隊の数」。

今「兵力≒装備の充実ぶり」。

遠隔操縦やプログラム飛行の無人軍用機とか出てきたし。艦船の機能も自動化が進んで、例えば戦艦大和の乗組員の数は3,332名だったそうだけど、今の技術で戦艦大和を造ったら、必要数は500人も行かないんじゃないだろか。

軍の優劣は、兵隊の人数があんまし関係なくなってきたってことで。軍事衛星なんて軌道上は完全に無人だしな。地上での衛星運用班もデータ解析班も技術者が主体で、徴兵レベルの兵隊が何千人も必要なわけじゃないだろ。

「戦争反対=人が殺し合いをして悲惨で酷いから」

確かにそう。でも最近は前線に出る人数が減ってきて、その実際は「戦争反対」を叫ぶ人たちが思い描いては否定するイメージとは離れつつある気もする。

戦争での戦闘の本質的な目的って何なんだろ。建前では国家の防衛が目的だけど、敵地に出かけて叩くってのはそうではないわけで。この場合は敵の軍事/政治拠点の強制的な制圧かな。そして政治的に従わせると。そうなんだとして、その過程の戦闘は、目的のための手段なわけだ。人を傷つけずに目的を達成できれば、それにこしたことはないわけだ。

普通の国際政治上の問題は、外交なり諜報なりで比較的静かに片を付けるね。けど利害対立が激しくなって、誰にもどうにもならなくなれば戦争ってことで。戦争はあくまでも国益の対立から来るんだよね。自国の利益についての論理が、相手国の国益の論理を互いに否定し合うこと。これが原因なわけで。発端は単なる感情的ないがみ合いではないわけで。個人 vs 個人、あるいは、徒党 vs 徒党のケンカとはそこが違うわけで。けど戦争ってついつい、ケンカの延長や巨大版として捉えてしまいがちだったり。

太平洋戦争では、日米両国の政府はそれぞれの自国民に対して、敵国に対する憎悪を植え付けた。てことで両国民はまさにいがみ合いでケンカしてる気分だったろうと思う。けど両政府の意向はあくまでも、自国の利益のために相手に条件を呑ませることだった。

そうなると、戦争って暴力的手段ではあるけど、あくまで利益追求っつう、感情そのものよりむしろ理性主導の活動なわけで。戦闘で兵士が死ぬのは、戦闘行為の実行者として人間を使ってるんで、結果的にそうなるだけなわけで。

中東の反米武装勢力は、アメリカが仕掛けてくる無人兵器での攻撃に不満を持ってるそうな。自勢力のために前線で命を捧げてる自軍の兵士が、敵兵と相見えることなく機械に殺されていくのがことさら腹立たしいのはわかる。けどもう「神聖なる愛国心に溢れる兵士が、自らの命を賭けて敵と戦う」は時代遅れになりつつあるってことで。確かにいつの時代だって、その行為は気分的にはかっこいいんだけどさ。

映画『ラストサムライ』は、まさに時代の流れに呑まれて滅んでいく侍を美しく描いてたね。敵の大将さえ突き動かす侍の心意気には大いに共感したよ。けど自らの肉体と魂をそのまま敵にぶつける形の戦い方は、既に明治初期には兵器の進歩とともに廃れてきてたわけで。それを描いた作品でもあったり。となると、最近の無人兵器の登場はその延長でしかなかったり。

ぶっちゃけ、自分や自軍の兵士が死ななくていいなら、死なないほうが断然いいもんな。

ナチスドイツの V-1 と V-2 はその意味で画期的だったですな。V-1 のほうは日本でいう特攻機で、パイロットは自動機械。これでロンドンを攻撃した。機体は使い捨ての安普請なんで、航空機としてあまり性能が良くなかった。時代も時代だし、自動制御装置も複雑な航法はできない。てことで敵のイギリス軍は単純で有効な対策を立てて、V-1 の攻撃を無効化していった。

この発想が後に巡航ミサイルになった。敵のレーダー網をかいくぐるために複雑な航法ができるようになって、無人だから人体の限界を考える必要もなくて、利用価値の高い兵器として育っていった。

V-1 の発想は既存の航空機から来てたけど、ドイツ軍は「無人の利点」に焦点を当てて考え直したんだと思う。人が乗らなくてもいいんなら、機械にしか耐えられない過酷な運用条件でもいいわけで。だったら既存の航空機の形にこだわる必要はないわけで。んで生まれたのが、世界初の大陸間弾道ミサイル V-2。

フォン・ブラウンが、それまでに液体燃料ロケットをかなりのところまで自力開発済みだったからってのもあった。けどそれを無人爆撃兵器にする発想って、V-1 っつう段階を踏む必要があったんじゃないかな。

V-2 は兵器としてなりなりに成功したそうだけど、無人兵器としても ICBM としても最初期のものなんで、戦況を逆転するほどの威力はなかった。ただイギリスにとって V-2 は悩みの種ではあったらしい。ドイツ本国内に進攻した連合軍は、V-2 の製造工場を必死に探し出して制圧。これでようやく V-2 でのロンドン攻撃が止まったそうな。

そして米軍は、そこにいたフォン・ブラウンをはじめとする主要な技術者をちゃっかりゲット。数日遅れで駆けつけたソビエト軍は、残りの技術者を確保。東西の二手に分かたれたドイツのロケットエンジニアたちは、後の米ソ冷戦の宇宙開発競争でともに大活躍することになった、という余談。

翻って現代。無人兵器開発は技術力の差が出すぎるんで、国連では途上国の意見を重視して、規制をしようっつう流れらしい。気持ちはわかるけど、もし戦争の本質が上に書いたことなんなら、兵士が殺したり殺されたりは、戦争になきゃなくてもいい要素なわけで。だったら戦争の現場はロボット化・人工知能化をどんどん進めればいいような気もする。

ってことくらいはきっと途上国の首脳の方々もわかってるんだろうと思う。てことは反対理由は別にもあるはず。

……、

……、

……。

無人機械相手だとますます勝ち目が薄い、ということかな。人死にの数の格差じゃなく、まっとうな軍事力の格差を感じて、それで規制をかけたいっつうのかもな。

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まーあと戦争の目的に、単に「敵を滅ぼして勝ち誇りたい」ってのもあるっちゃあるわな。これはもろに感情ですな。ケンカや殺人と同じ。モンゴル帝国の昔ならいざ知らず、今どきこんなに程度の低い理由で戦争をする国ってあるんかいな。

って日本の近くに、日本に対してことさらそういう願望を持つ国があったっけな。今、向こうの国内がそれどころじゃないみたいだけど。

銘板
2014.5.6 火曜
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神様

そこらから拾ってきたジョークネタだけんど。面白かったんで。

神と悪魔が言い合いをしていた

悪魔「お前ホントに人望あんのかよ」

神「あるよ。見ててみ」

そういうと神はある人間の家族を皆殺しにして家と家畜を焼いた。

人間「おお神よ」

神「な?まだ俺に祈ってるべ」

悪魔「お前マジ鬼畜だな」

何かコメントしようかと思ったけど、なんか諸々のいろいろを鑑みて差し控えさせていただきますww

銘板
2014.5.7 水曜
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技術に敗れし能力

前にも書いた気がしたネタ。

数年前までの数年間(かなりアバウトな時間感覚だな)、ハリウッド映画では超能力ものが流行ってた。真顔で手をかざすと相手がドーンと吹っ飛ぶ系の。念力とかテレキネシスとかいうやつですな。

ここらへんはまだ超能力のひとつとして生き残ってるんだな。

ユリ・ゲラーが流行ってた頃の超能力っつうと、欠かせないジャンルにテレパシーってのがありまして。あれ20世紀末あたりから完全に廃れたよな。携帯電話が普及したからな。千里眼も、現場にメル友がいれば写メなり動画のメール添付なりできるしな。完全な現実になってしまうととたんに魅力がなくなって、忘れられてしまうもんなんですなぁ。その現象が夢かウツツかっつう揺れてる状態がウケるんだろうなぁ。

あと超能力ジャンルとして生き残ってるのだと、テレポーテーションがあるな。

量子テレポーテーションっつう物理現象は実在するらしいけど、目に見える物体を目の前で瞬間移動したり、自身が瞬間移動する超能力者(自称可)ってなかなか聞かないような(量子テレポーテーションも、物質が瞬間移動するわけではないらしい)。つか、能力者自身が宙に浮いてみせるのと同じくあまりにも非現実な大技で、ペテンでさえ難度が高すぎなのかな。

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昔、週刊少年ジャンプで10週で打ち切られた『少年エスパーねじめ』、最高に面白かったなー。また読みたいっす。

銘板
2014.5.8 木曜
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読まなくなって幾星霜

おいら漫画雑誌をいつから読まなくなったんだっけな。

覚えてるのは、2005年の5月までには、週刊少年マガジンをなんとなく読むのやめたこと。週刊少年サンデーだと、すげー好きだった『かってに改蔵』が変な形で終わってしまって、そこからしばらく読んでたけどなんか醒めてしまって。そして『からくりサーカス』が終わったら、最後まで面白かった満足感と達成感で読まなくなってしまった。

少年ジャンプはそこからもしばらくは読んでたな。あの当時、『ワンピース』が終わるまで読み続けようと思ってたんだけどさ、世界中で大人気になって、今も連載が続いてるみたいだしwww それでもなんとなく途切れ途切れになって、ついに読まなくなってしまった。

やっぱ少年誌っていつまでも読み続けられるもんじゃないんだな。だんだん合わなくなってきてさ。

その間、少年誌のほうも、いつの間にか上がってしまってた読者対象年齢を戻そうとしてたっけな。その路線の作品はおおかた不評だったりして、試行錯誤してたな。まーこっちは順調に歳を取っていくわけで、やっぱし乖離する運命だったと。なんかネバーランドを去ってしまった気分というかww

最近そういやマンキツにも行ってないや。最後に行ったのは去年だな。失業中。毎日時間あまりまくってたんでwww 3回くらいかな。それも2年ぶりくらいだったし。

漫画にすっかり縁遠くなっつまった。

ジャンプだとさ、せっかくめちゃめちゃ面白いギャグ漫画を見つけたと思っても、なにかとバトル編に入りたがるのがさ。『世紀末リーダー伝たけし!』がバトル編に入ると途端に読み飛ばすようになったりしてな。あの漫画はギャグのキレが好きだったからさ、ジャンプをぱーっとめくって、たけしがバトルモードの顔してるともう読まないとかw

たけしのバトル編は人気あったみたいだけどさ、ジャンプのバトルものっつったらジョジョがあったからさ、もうそれだけでおなかいっぱいでさ。だったら『スティール・ボール・ラン』が途中でウルトラジャンプに移った後は、少年ジャンプの他作品のバトル編を楽しめたかっつうとそうでもなく……。

あ、もしかして少年ジャンプからジョジョがなくなったから、おいら読むのやめたんだろうか。そこらいまひとつ不明だけど。いやでもウルトラジャンプに移ったの2005年みたいだな。時代が合わんぞなもし。

「あーもうこれダメだわ」とおいらがヘタレた作品のひとつを思い出したよ。それは『ダブルアーツ』。話と設定は嫌いじゃなかったけど、絵柄がどーも。いや、すげー綺麗な絵柄なんだけど、とんがった髪型とか。なんかあの頃は、キメキメで凝り凝りでやりすぎな髪型のキャラが多くてな。読者層がそれを求めてたってことなんだろうけど、おいらが乖離を自覚し始めたきっかけだったり。

『ダブルアーツ』ってそういやバトルものだよな。けど流行りだった超能力ものの色は薄くて、おいらはそこが好きだった。けどあんまし人気が出なくて、すぐに打ち切りになってしまったり。2ちゃんでは盛り上がってたらしいけど。おまいら感想ハガキ出せよ……ていうか自分はどうなんだと。

あーほんと200x年代のジャンプは超能力バトルものばっかでな。『ワンピース』がウケたからだろうか。いやいやそのはるか前に『ドラゴンボール』もそうだったしな。もうジャンプはその路線で稼ぐ意向だったのかな。んで、それに飽きてしまったのはあった。

ってジョジョはもろに超能力バトルじゃねーか。なんでおいらはいまだにジョジョ好きなんだ?

もーなんかそこらへん思い出して真実を得ようとしたら、矛盾ばっか出てきたよwwwww

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そういや前の職でさ、ちょっと面白いことがあったですよ。

全員が交代で受けることになった研修があってさ。ビジネスマナーとかハラスメント対策とかそういうやつ。前半で先生が一通り講義して、後半は席が近い者同士でグループワークと。

おいらが入ったグループは男ばかりで4人の構成。全員別の部署から来た者同士で、全然知らない仲。

んで先生から、「これはどう思う?」的なモノが1〜3行ずつ計10個ほど書かれたプリントが全員に配られた。これひとつひとつについて意見を出し合ってくれ、と。

そこにあったパワハラ関係のケースが1個、ふと目に入りまして。「プライバシーについて根掘り葉掘り聞いてくる」とか書いてあって。

「根掘りはわかるけどよォ、葉っぱ掘ったら穴があくじゃねえかイラつくぜぇー」(あんまし正確な再現ではない)

気づいたらおいら、そう口走ってた。

したらグループの全員がジョジョラーだったことが判明wwwwww 直後、思わず4人で「スタンド使いは引かれ合う」とハモってしまったよwwww

グループワークも、全員で随時ジョジョネタを挟みながら大盛り上がりで進みましたとさwwww

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ジャンプを読まなくなってからも、『ワンピース』は単行本でけっこう読んでた。けど能力関係の比重が大きくなってきたら、なんだか醒めてしまって。ルフィたちがまったく歯が立たなかった黄猿とかバーソロミューくまとか、あのあたり読者としておいらは潮時だったかな。ロギア系とかゾオン系とかの能力がウンタラとか設定がめんどくさくなってきてな。「担当さんと相談して能力の設定を整備したんだろうなー。ここでは後で出てくるバトルのルールを説明してるんだなー」とか思ったら「もういいや」と。実際のスポーツとかの TV 観戦でも、おいら細かいルールの話になると途端に逃げ出す人なんでw

上にも書いたけど、200x年代のジャンプ漫画って能力(超能力のこと)ものが多くなっちまって。あと何かとバトル展開。そのルール設定の違いでお互いに微妙に差別化してた感じ。「どれも似たようなもんじゃん」と思ってしまった瞬間から食傷しちまった。

別な流れで学園コメディもしっかりあったな。『SKET☆ダンス』が好きだったけど、あれって人物構成が『ノルマンディーひみつ倶楽部』となんだか似てたな。

つか学園コメディで超能力があってバトルもあって、とゆー最強漫画もあったな。「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」wwww 今でも大好きだよwww 必殺魔球「そしてとし子は今」「とし子宇宙へ!」wwww 「ホムーランボール」wwww 「セクシーコ マンドー部」wwwwwww 「にわとりーーーーーー!!」wwwwwwwww 「どすこい喫茶ジュテーム」wwwwwwwwww 「噂のフォークデュオ チメイド」はまさかのリアルデビューwwwwwww やべえ思い出し笑いやべえよボスケテwwwww 

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2014.5.9 金曜
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禁断症状

みかん食いてえよみかんだよみかんみかん。

スーパーに行ってもオレンジとかデコポンとか食い慣れてないのしかない。あああみかんじゃなきゃだめなんだ。あんなうまいものがなんで季節商品なんだ。今食いたいのになんで売ってないんだ。

愛媛でも和歌山でも静岡でもそれ以外でもいい。あああみかんくいてえーーー!

りんごは食い飽きた。いや、りんごも食えばやっぱしうまい。でもりんごはみかんじゃねーんだよぉぉぉぉ!

みかん食いてえよみかんだよみかんみかん。

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なお、夏頃はりんご禁断症状が出る模様。

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2014.5.10 土曜
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マズルブレーキ

戦車や野戦砲の砲身の先についてる横向きの筒ってさ、いったい何の意味があるんだろうと思ってさ。見た目あんましかっこいい感じでもないし。

噴煙を横方向に逃がすためのものらしい。その噴煙の出方も、あんましかっこよくないような。

格好はともかく、何のためにわざわざ付けられているのかと。「噴煙を横に逃がす」となると、ロケットの射点の「煙道」が似てるな。あれは噴煙がどうのというより、噴射口から噴煙と一緒に出る衝撃波の対策なんだよな。何も対策しないと衝撃波が地面で反射して、ロケットや搭載してる衛星を激しく揺さぶる。故障の元なんで、噴射口の下に U 字型のトンネルを掘って衝撃波を逃がすんですな。

砲身の先についてるアレも衝撃波対策なのか?

射出されたばかりの砲弾に衝撃波をぶつけないようにするってことなのか? それに何の意味があるんだ? 信管ってそこまで敏感なもんなのか?

2枚目の画像では、噴煙が派手に横向きに出てますな。まー射撃直後で、砲弾のケツが砲身の先をフタする瞬間がありますな。そのとき件の横向きの筒に噴煙が逃げるわけで。そこでその作用をして、衝撃波を押さえて何がいいことあるのかさっぱりわからん。兵士の鼓膜を守るってわけでもなさそうだし。

んでちょいと調べたら、マズルブレーキというものだった。

「本部品を装着することで、発射時の銃の反動・砲の後座距離を減少させる働きがある」

おおーそういうことだったのか。砲の反動って、砲弾があんなにでかくて長距離を飛ばすんだもん、かなりキツいはずだもんな。幕末あたりだと砲自体の慣性で吸収してた感じだけど、重いと持ち運びが不便だしな。大容量化・高性能化で上がっていく砲の反動を、すべて慣性だけで処理するのは非合理なわけで。

てことで、射出すると砲の底側が後ろに飛び出る形になっていったわな。バネがついてるらしく、そのあと底は自動で元の位置に戻るんだよな。だったら戻ったときにガキーンとまたとんでもない衝撃を発生させそうだけど、そこらへんの映像を見るに、流体ダンパーがついてる感じ(たぶん片効き)。安全にヌルっと戻ってるように見える。しかし砲の底ってこれだと巨大ハンマーになるわけで、人が砲の真後ろに立つのは危ない感じですなぁ。

んでこの反動吸収機構だって、できれば小型化・簡略化・軽量化したいわけで。きっとそれで生まれたアイデアがマズルブレーキなんじゃないかと。

Wikipedia 記事によると、大型拳銃の跳ね上がり防止で、上方向に排気するマズルブレーキってあるんだね。いいアイデアですな。と思ったら、跳ね上がりで吸収するぶんの反動がもろに後ろに来て、射手がかえって危ないってことで、結局は普通のマズルブレーキで反動自体を殺す方向になったりとか。意外といろいろなコンセプトで使えるというか。

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銃砲の反動吸収ですげぇアイデアだなと思うもの。それは機関銃・機関砲。反動のエネルギーの有効利用ですな。これで、撃鉄を引っ張って古い薬莢を排出して次の弾を送るとこまで自動でやっちゃうんだもんな。引き金は引きっぱなしなんで、撃針はそのまま新しい薬莢のケツ叩き込まれ、連続でダダダダダダと撃てるわけで。この特許を取った人か企業、ものすげー儲かったろうなぁ。

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2014.5.11 日曜
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砲の祖先

大砲の前身は投石機だね。日本史ではあんまし登場しないっぽいけど(応仁の乱で使われたとかいうヨタ情報ならゲットしたが)、ヨーロッパや中国での昔の戦争ではよく使われたらしい。海外が舞台の歴史映画にときどき登場したり。

『敦煌』(1988)では西夏 vs ウイグル戦で登場してたよ。数人で移動できそうな小型のやつで、50m も飛ばないっぽい感じ。ああいう大規模な白兵戦の前線で本当に役に立ったのかは不明。ていうか映画では平地で使ってたけど、実際は城壁の上から、城攻めで押し寄せる敵軍に石を投げたのかもな。それならあの仕様で説明がつくような。

『ジャンヌ・ダルク』(1999)に出てきた投石機はかなり大型。出番は攻城戦。敵の固定施設を破壊する目的ですな。大型で『敦煌』のやつより小回りが利かないけど、陣の後ろのほうから射てば問題ない感じ。弓矢に比べて射程距離も破壊力もはるかに有利っぽい。

『グラディエーター』(2000)にも大型のが出てたね。ローマ時代に既に完成の域に達してたってことかな。つかここらへんの映画はフィクションなんで、演出でウソついてる可能性もあるけど(「リアリティにこだわる」と言われた黒澤時代劇も「このほうが見映えがいい」という理由でけっこうウソついてたし)。なんていろいろ調べてたら、こんな動画ありますた。

最後の『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)は視聴者の皆さんの、イスラム vs 欧州の歴史コメントが面白いなぁ。

この時期のイスラームはマジでこんなだから困る
文明レベルではイスラーム側がリードしてたんだよな
イスラム最盛期だからヤバい
イスラムは中世では世界最高水準の文明だったからな。なんでルネサンス以降没落したのか不思議なくらい
確かこの時代って西洋よりイスラム世界のほうが技術的にも上だったはず
イスラームがカッコいい
十字軍で欧州がイスラムから略奪、以後逆転
モンゴルがバグダッドをはじめとしたイスラームのあちこちで略奪したから
イスラム原理主義の反政府活動をキリスト&ユダヤが支援して、教育水準が下がったからな

投石機だけが歴史を作ったってわけでもないだろうけど、あちらの歴史ではこんだけの大掛かりな兵器が投入され続けたってことは、それだけの効果があったってことで。投石機自体の移動・据え付けだけでも大変だったろうに、そこに砲弾(最大 88kg ほどの石)を多数運び込む必要もあったわけで。そして射出エネルギーの出どころも基本は人力だったはず。相当な労力が必要だったろうなぁ。

投石機ってサイズや機能で呼び名が変わるらしく、上の動画に出てくる級の大型のものは「トレビュシェット」というそうな。んで Wikipedia 記事によると、投げたのは石だけではなく。

「伝染病が当該地域に蔓延することを狙って、人や牛の死骸を目標に投下することもあった」

うえええええええーーーーー!!

つか伝染病以前に、単に気持ち悪くて戦意を失うわ。

そしたら生きた人間を投げたこともあったんじゃないかと。例えば生け捕りにした敵兵を、敵の城壁めがけてとか。そりゃもうプチャッと……うえええええええええええ!(妄想吐き気)

あーなんだか拙著『通勤砲』を思い出したり(グロ要素あんましなし)。2001年て13年も前かよ。なんでこんな続いてるんだこの日記。

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もうちょっと調べたら、今のウクライナの内戦で投石機が現役だった。

動力はゴムだね。ペイロードは手榴弾かな。そして今も木製なんだな。

現代兵器だと同じ役割は投擲機がやるわけで。投擲機のほうは小型軽量なわけで。けど手製なら木材のほうが使い勝手がいいわけで。そんで投石機ってことかな。燃料要らずだし。「いまだに投石機」というより、「投石機が投擲機になろうが、いまだに同じ原理の兵器が有用」っつう事実に衝撃を受けたり。まぁそれで言えば銃も弓矢の延長だけどさ。

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そういや米軍がついにレールガンの実用化に踏み切るとかいうニュースがあったな。おいらが映画で観たのは、シュワちゃん主演の『イレイザー』(1996)で。映画では個人が携帯できるサイズだった(当時は二丁拳銃が流行ってたんで、シュワちゃんも両肩に2丁ぶら下げて戦った)。米軍のリアルなやつは艦載級の大きなものなのかな(詳細知らない)。

レールガンって射出速度が火薬の限界を超えるのもさることながら、「薬莢っつう消耗品が不要で装備を軽くできる」「火薬っつう危険物を手元に置かなくて済む」「火薬入り薬莢っつう専用のエネルギー源が不要で、バッテリーや発電機とかの汎用電力で駆動できる」のも大きいと思う。

かつては汎用エネルギー源(人力)を使っていたのが、威力を求めて専用エネルギー源(火薬)の時代に移り、さらに威力を求めた結果、汎用エネルギー源(今度は電力)に戻りつつある、ともいえるか。

そして、やっぱし投石機や弓矢の子孫なんだよな。

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2014.5.12 月曜
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ポシャり技術を拾う神

自衛隊が、戦闘機に吊るす形の無人ジェット機を開発中とは聞いとったが、5年も前に自動着陸できてたんだな。そりゃそうだわなーと今さら。

自動着陸の技術は日本では JAXA だけが持ってる気がしててさ。ていうか JAXA の前身の宇宙開発事業団(NASDA)の実験機2機で開発済みだったんさ。当時は日本版スペースシャトル "HOPE" を開発してて、そのための要素技術だったんさ。HOPE 計画がポシャったんで、せっかく手に入れたこの技術はお蔵入りかと思っとったら、拾う神は自衛隊でござったか。

それとも自衛隊は自力開発したとか? ってもう国内にある技術を流用するのがいちばん効率いいよな。どっちも税金で運営してる機関だし。

アメリカの無人機よりずっと小型だし、自力で離陸できない気もするけど、独自開発路線ってイイんじゃないですかね。こんな小さいのにジェットエンジンってのもなかなか。スピードどのくらい出るんだろ。

ていうか用途はなんなんだろ。無難に偵察かなぁ。

アメリカの軍用ジェット無人機といえばグローバルホーク。あと、イランだったかが鹵獲した、B-2 爆撃機の縮小模型みたいなやつ。どっちも速度はあんまし狙ってない感じだね。そこらに比べると、日本のやつはずっと速く飛べそうなような。いやまぁ用途によるが。

つか NASA でごっつい小型無人機を開発中だった気がする。X-43 というやつ。2004年にマッハ9.68を記録した、世界最速の航空機だそうな。うーん、ほんと何に使うんだろww まーこの手の実験機は、何に使えるかよりは、この環境でのデータ取りが目的だったり。

しかし X-43、飛行機とされてはいるものの、離陸は有人機に吊られてだし、分離されてからいったんは無人ブースターで加速して、さらに切り離してようやく単独飛行だったり。日本の無人機も有人機からの吊り下げ式だけどさ、あんまし航空機っぽくないというか。

しかも「エンジンカット後は滑空しながらデータを収集し、廃棄される。つまり機体は使い捨てである」って着陸さえしない。ミサイルと何が違うのかとww

このくらいの速度の飛翔体っつうと、多段式だし ICBM に近いものがあるな。ようやく航空機と宇宙機の接点になるものが現れたってことかな。

過去にはスペースシャトルが、航空技術と宇宙技術の間の子状態だった。けど両者のギャップが大きくて、設計をまとめ上げるのがかなり難しかったらしい。HOPE の開発でも同じ難関にぶつかった。シャトルは現物が完成したけど、その結果は開発目標に対してだいたい運用頻度が10分の1でコストが10倍。安全性にも問題があった。HOPE のほうは開発途中でギブアップ。

工学のジャンル分けでは「航空宇宙」とひとくくりにされちゃってるけど、実は両者の間にはなかなか越えられない壁があったと。

それでも、宇宙工学側は航空工学側に寄っていかなきゃなんない理由がある。それはコスト削減のため。使い捨てのロケットはがんばって安くしていっても、使い捨てなもんだからどうしても1回で何十億円もかかる。大幅コストダウンを狙うには、機体を再利用する必要があるって考え方で。シャトルと HOPE は果敢にそれに挑戦したけどうまくいかなかった。

んで、開発者たちは航空工学と宇宙工学の間を埋める必要性を痛感してたと。X-43 の目的はどうもそこな気がする。

対して日本はどうもはっきりした動きがない状態で。自衛隊の無人機は HOPE 研究のスピンアウトって感じだしな。そこから再利用型の宇宙往還機にはつながらなさそう。

JAXA はまだ無人往還機構想を完全には捨ててなくて、"LIFLEX" なる実験計画が細々とだけど進んでるらしい。あんまし予算がついてなさそうなんで、時間をかけてじっくり研究する形なのかな。まーその間に、NASDA 時代に開発した要素技術が風化しちゃいかんよな。その意味では、自衛隊の無人機で自動着陸を使ってくれてるのは、いい中継ぎなのかもね。

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NASDA 時代に開発された無人技術のもうひとつ、全自動ランデブー・ドッキング技術のほうは、国際宇宙ステーション(ISS)補給機 こうのとり に採用されて役立ってたりする。

ただし使われてるのはランデブー技術のみ。ドッキング技術は使われてなかったり。これ、ISS 側で後で決まった仕様のせいもあるけど、ほんとは HOPE が ISS に全自動ドッキングするためのものだったんだよな。日本の無人シャトルが ISS につながってる勇姿を一目見たかったなぁ。

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2014.5.13 火曜
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ロックな人生

昭和の自虐時代の日本人はよく「……するのは日本人くらいなもの」と言っとった。まー日本人のみっともなさを語り合っては自嘲しとったわけで。けど内容はけっこういいかげんだったですな。海外に行く日本人の数が限られてたもんだから、根も葉もないようなヨタ話が一気に広がった形で。ネットもなかったんで、ソースの確認っつう意識も薄くてな。

「食事中に水を飲むのは日本人だけ」とかさ。続く言葉は、「フランスではワインが水より安い。アメリカはコーラだし」。いやいや普通によその国でも食事どきにコップの水を飲むらしいし。ていうかよくよく考えたら、レストランや喫茶店で確かにお冷やは出るけど、食いながら是非とも水を飲まなきゃって日本人は今も昔もそんなに多くない気もしてきた。けどそんな話がまことしやかに信じられてしまうくらい、当時「……するのは日本人くらいなもの」は威力があった。

「ワインが水より安い」ってのは、なんかおかしいと思ってはいたよ。つか当時の日本は水道水以外の水にカネを払うっつう概念がほとんどなくて、この話自体、意味がわからなかったよ。言う人が鼻高々に言うもんだから、雰囲気に呑まれてしまったというか。言ってた人もきっとあんまし意味わかってなかったと思う。

アメリカのコーラは……食事によっては合うとは限らんだろ。まぁピザとハンバーガーには合うけどさ。今じゃすっかりこの話、アメリカ人の味オンチぶりをからかうネタになってたりww

今さらだけどそのノリの話とか。そういうネタをひとつ見つけてしまったもんで。

もしかしてさ、ロックミュージックに人生観を見出してしまうのって日本人だけなんじゃないかと。「ロックな生き様」とかまーたまに聞くわけで。

「あの人の人生はロックそのものだった」とでも言うと、「端から見ると破れかぶれな人だったけど、自分の決めた道に妥協を許さなかった」的な感じになりましょうかね。

なんてーか、「ロックンロール」って言葉自体がもう古臭くてネタ化してる気もするしさ。「ロケンロー」とかもう笑いを取るための決め言葉な感じがしてさ。もともと人生なんつう重そうなものを語るためのものではないような。観客にとってはひとときの息抜き程度の重みというか。演奏する側も、そんな深刻な重さでやったらもうロック&ロールのノリではないんじゃないかと。

長渕剛ってそれかな。自曲で「じんしぇえ〜うぉほ〜じんしぇえ〜」「しんじちゅ〜うぉほ〜しんじちゅ〜」と歌ってた頃あったしな。ってあの人のジャンルはフォークロックだよな。本道のロックそのものってわけではないわな。

アメリカやらイギリスやらってロック系音楽の発祥や中心の地なわけで。そこらはどうなのか。

勝手な印象だけど、向こうのロックのこだわりって、歌の内容がpgrなウケ狙いってことじゃないかとww AC/DC も ZZ TOP もそんな感じ。ストーンズは意味深な歌詞が多いけど、やっぱし軽さ主体だよな。詩の意味的にはあくまで軽いノリで、サウンドを邪魔しないと。今夜はオレらの音をナマの大音量で楽しんでってくれよ的な。人生とか哲学とかは、別な時に別な場で好きに語らってくれよ。今ここじゃそんなもん忘れて大騒ぎしようぜ的な。

これ書きながら今聴いてるのは、Dan Penn の "You Left The Water Running"。まーこれもロック音楽の本道ってわけではないけど(リズム&ブルースというくくりらしい)。あ、終わった。

この曲の歌詞はカントリーの王道風。「お前はオレを置いてほかの男んとこに逃げちまったー 水道を閉め忘れて行きやがったおかげで 目から水が止まんないんですがー スイッチの消し忘れもなー オレの恋心のスイッチ誰か消してくれー オレの心のブラインドをしっかり下ろして電話も解約しやがって でもオレの涙は蛇口を開けたり閉めたりなんて風にはいかないぞー」てな内容ww これをなぜか陽気でワクワク感たっぷりに歌うのが、たぶんアメリカンポップの土着な流儀www

つかこの曲を調べたら、1966年に Otis Redding という歌手が歌って大ヒットした曲らしい。共作者のうちの一人が Dan Penn だった。もうちょっと調べたら、Dan Penn はソングライターとして数々のヒット曲を手がけてきたそうな。あまりの名曲の数々にカバーも続出状態。けど自身で歌ったリリースはめったに出さなかったらしい。1960年代から活躍してたのに、おいらが持ってる "Do Right Man" は1994年発売のセカンドアルバムだった。

おおお "Memphis Women And Chicken" はじまた。これ好きだわー。エイトビートが腰にクるよ。歌詞の意味はイマイチ掴めてないけど、大意は「メンフィスに来たけど、ブルースとビールとこの土地の女とフライドチキンうめぇー最高ぉー」かなwwww

"I'm Your Puppet"。サビは「僕は君の操り人形 歩いてお話して 生きてて 人を愛したり 糸にぶら下がって 何でもするよ 君を抱きしめてキスして愛するよ さぁ僕を立たせて 座らせて……」ってこれ60絡みのじーさんが、その年齢並の渋い声で歌ってるんだぜwww しかもうまいことハマってるwwww なんでだww

おいらはこういうノリが好きなもんで、ロック音楽に人生なんつう深刻で壮大な意味を持たせるのには微妙に違和感というか。

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ロックな人生といえば内田裕也もいたな。あの人はもうあれでいいんじゃないですかね。いやいや、余生そのものがケレンになってるっつう視点だと、もしかしてそれはそれで本物の「ロックな人生」なのかもなぁ。

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英語圏の人たちが「ロックンロール!」と叫ぶ状況ってさ、2ちゃんねるやニコニコ動画の「祭り状態」とほぼ同じなような気がしてきたwww

おいらは「祭りじゃー!」とコメを入れるのは別に何の抵抗もなくやれそうだけど、そんなときに「ロックンロール!」と叫ぶのはこっ恥ずかしくってとってもできねえっす。

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2014.5.14 水曜
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グルーヴな重さ

Wikipedia「グルーヴ」より。

曲調や演奏時のノリによってスネアドラムの2、4拍目のアクセントが数学的なその位置よりも微かに前や後に置かれる事がある。どの程度先走るか、遅らせるかは楽曲により、ジャンルにより、ミュージシャンにより、またその場の状況によって違ってくる。遅れ方が大きいほど、ミュージシャンの間では「重い」などと表現する。

この微妙な「遅れ」がイイんですよ。この記事からだったかは忘れたけど、何かで読んで知って初めて「ああーそうだったんだー」と腑に落ちた記憶があるよ。

そういやビートルズの曲で『涙の乗車券』てのがありまして。収録アルバム『4人はアイドル』のライナーノーツではこの曲について、ジョン・レノンが「ヘヴィ・メタル・レコードとしては、最も早いもののひとつ」とコメントしてた。涙の乗車券 - 解説にもそのまま載ってる。

この曲のどこがヘビメタなんだろと思っとったけど、グルーヴの意味で「重い」んだなぁと今ならわかる。つかミュージシャンのいう「重い」は、現代の定義での「ヘヴィメタル」っつう言葉とはあんまし関係なかったんだな。

昨日書いた Dan Penn の曲も、グルーヴ的に重いんだよなぁもぉたまんないなぁ。ネッチリ感がね、まだるっこしさがね、イイんですよ。そこで言うと CCR もまたこれがね、ええ。てことで CCR も久しぶりに聞き込んでたり。

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2014.5.15 木曜
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呪術ファミリー

ソフトバンクの TVCM の最後、「家族でのろう」と字で出るじゃないですか。

もちろん「乗ろう」の意味なんだけど、パッと見どうしても「家族で呪う」に読めてしまう……。

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2014.5.16 金曜
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晴嵐から伊四〇〇

旧日本海軍の水上機で「晴嵐」というのがあった。見た目シュッとして、双フロートがよく似合う美しい機体だった。おいらがこの機を知ったのは、往年の RC 雑誌『ラジコン技術』のカラー特集で。「作ってみたよ」という人の、自作 RC スケール作品ですな。その RC モデルではないけど、参考用にタミヤの72分の1モデルの箱絵でも。

その前に、二式水上戦闘機は知ってた。ぶっちゃけゼロ戦にフロートを付けたやつで、こっちもかっこよかった。二式水戦のほうは単フロート。左右の主翼の下に小さな補助フロートがぶら下がってる。飛行艇と同じ形ですな。一方、晴嵐の双フロートは「下駄履き」ですな。デザインは好みが別れるところかも。

久しぶりに晴嵐を思い出して画像検索をかけたら、まったく知らんかったこと続出。水冷エンジンだったんだな。シュッとした印象はここから来てたんだなぁ。このエンジンの出力は1400馬力だったそうで。米軍戦闘機の2000馬力には及ばなかったものの、1000馬力の枷に縛られてたゼロ戦をもとにした二式水戦より、パイロットはかなり余裕があったんじゃないかな。

晴嵐は戦闘機じゃなかった。攻撃機だった。見た目が戦闘機っぽかったんでそうだと思い込んどったが。確かに、よく見ると機首にも主翼前縁にも機銃がついてない。

機体はものすごくちっさく折り畳める仕様になってた。折り畳み時はフロートは外すらしい。コチラのブログ様で、その様子がよくわかりますです。主翼は根元からひねって後ろ向きに、水平尾翼は真ん中あたりから下向きに、垂直尾翼さえ高さ7割程度で右向きに畳めてしまう。ちっさいわぁ〜これちっさいわぁ〜。つかアニメの変形ロボって、ここらへんのメカに魅力を感じた人たちが作ったのかもなぁ。

水上機ってのは滑走路が要らんわけで、空母搭載はあまり考えられてないわけで。なんでまたこんなにまでちっさく畳むことになったのか。というのが、なんと潜水空母・伊四〇〇型に搭載するための専用機だった。まったく知らんかった。おいら伊四〇〇の存在さえ最近知った程度なんで。

伊四〇〇型は1隻につき晴嵐を3機格納できて、無給油で地球を1周半できた。てことで、伊四〇〇で米本土沿岸数百 km まで迫り、晴嵐で爆撃とゆー壮大なセットメニューのためのものだった。

当初の攻撃対象はパナマ運河だったらしい。米軍は太平洋と欧州の2正面作戦を行ってたんで、ここを潰されると米軍の行動はかなり制限されますな。けど晴嵐&伊四〇〇の開発と配備が遅れるうちに戦況が変わり、パナマ運河攻撃はあまり意味がなくなってしまったと(アメリカの艦隊がもうほとんど太平洋側に出てきてしまってたってことかな)。

しかしこの開発計画が実戦投入されたとしても、戦闘機の護衛が付かなかったってのはかなりリスキーだったんじゃないかなと。奇襲専門ですなぁ。そのための潜水艦なんだけども、攻撃が無事に終わった場合でも、当然のごとく米軍は戦闘機を出して、晴嵐を追いかけますわな。その場合、晴嵐はフロートを捨てて身軽になって逃げる。それでも最高速度は 500km 台なんで、振り切るところまではいけなさそう。

フロートを捨てた晴嵐は着水できないんで、機体は伊四〇〇近辺で乗り捨てる。乗員のみ落下傘で脱出して、伊四〇〇に回収される、という段取り。晴嵐は複座なんで。乗員は3機で6人。乗員の回収には数十分はかかったろうなぁ(機体ごと無事に帰っても、収容に1機あたり10分かかったらしい)。伊四〇〇に対空武装はあったとはいえ戦艦みたいなハリネズミ状態でもなく、そうそう簡単に当たるもんでもなかったろうし、米軍は伊四〇〇が晴嵐の乗員を回収する様子の一部始終を観察できたろうなぁ。だったら対策されたろうなぁ。そしたら、この攻撃は1回やったらもう次はなかったんじゃないかと。

つか真珠湾攻撃だけで、日本はアメリカからあんだけの恨みを買ったわけで(米政府が自国民を反日で煽りまくるネタにされてしまった形だけど)。伊四〇〇艦隊&晴嵐でパナマ運河なり米国本土なりをモロに攻撃してたら、戦後の日米同盟なんてなかったかもな。つか日本の焦土化は報復込みになって、現実に起きた以上になってたかもな。

銘板
2014.5.17 土曜
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伊四〇〇から冷戦兵器

Wikipedia からの受け売りだけんど、大型潜水艦に攻撃機を載せる「潜水空母」っつうアイデアは画期的だったらしい。この形式そのものは、以後はどこも採用しなかったみたいだけど、ICBM 搭載の「戦略ミサイル潜水艦」っつう新たな兵器ジャンルの元になったってことで。確かに第二次大戦中まで、潜水艦の役割っつうと対艦攻撃限定で、地上攻撃用飛翔兵器のための移動基地ってのは発想になかったのかもな。

第二次大戦後は米ソ冷戦の時代でしたな。それぞれが戦略ミサイル原潜を配備して、核ミサイルを世界のどこからどこへ射つかわからんという恐怖と緊張の時代でしたな。冷戦は第二次大戦の勝ち組同士での決勝戦って感じだったけど、その状態を現実のものにした軍事技術って、核爆弾・ICBM・戦略ミサイル潜水艦の3点セットだったわけで。

核爆弾は大戦中にいくつかの国が研究開発を進めてて、戦時中にモノにできたのはアメリカのみ。いざ現物が完成して実戦投入までやってのけたら、実現に懐疑的だったほかの戦勝国が我も我もと開発に成功。

残りの2つはどこから来たか。

ICBM の始祖はナチスドイツの V2 ですな。弾頭が通常爆弾だったし命中精度もその時代並みで、戦略的にはあまり機能しなかったそうだけど、標的にされたロンドンの市民を恐怖で震え上がらせたとか。超音速で落ちてくるんで、飛来しても着弾予定地ではその音が聞こえない(着弾後に音が届く)。飛んでくるのをたまたま見かけると、大気の断熱圧縮で熱くなった機体が赤く光っていたそうな。んで「赤い目玉」と呼ばれて恐れられたらしい。

この攻撃からの確実な防御方法はといえば、V2 の生産拠点や発射基地を叩くしかないわけで。それが成功して、ロンドン市民はようやく胸を撫で下ろしたそうな。日本の自衛隊は他国から攻撃を受けないと戦闘できないことになってるけど、例外として、ICBM 攻撃を受けそうな場合、発射前にその拠点を先制攻撃できることになってるらしい。今は迎撃ミサイルがあるけど、確実ってわけではないからな。対 V2 での理屈、今も通用してるんだな。

して3番目。核弾頭付きの ICBM を積んで、地球の表面の7割を占める海洋のどこかに身を潜めて、神出鬼没で地上攻撃を行う潜水艦。この発想のもとが日本の伊四〇〇だったわけで。

冷戦時代の主力軍事技術を構成する3要素のうち2つが、敗戦国の新兵器から来てたとは。日独すげーな。

残るひとつの枢軸国イタリアは……イタリアは……潜水艦の名前が「伊」ってところかww

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2014.5.18 日曜
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対処不能天然

「イイ人だけどウザい」

なるべくおいらはそうならんようにっつうのがここ10年ほどの目標だったり。以前確実にそうだったんでw

んでまぁときどき、その思いを新たにすることがありまして。実際にそんな人と接したとき。

んでまぁそういう場合、相手にどうやってその思いを伝えるかってのが問題でして。これ今のとこ全然答えわからん。ほっとくままで、されるがまま。

「イヤなやつでしかもウザい」なら対処方法がわかってきたけど。相手が一息ついた頃合いに、押しまくって押しまくって押しまくって寄り切り。これでいける。相手はこっちを下に見てナメてるから、安心してイヤな態度を取るわけで。反撃されたこと自体で相手は泡を食うわけで。で、落ち着いて考える暇を与えずに決着まで持ち込むと。ウクライナを巡って欧米がロシアを挑発してたら、あれよあれよという間にロシアがクリミア半島をぶん取ったのとちょっと似てるなww

「いい人だけどウザい」「悪気なくウザい」はそうはいかなくてな。天然なんで。んでこの日記に何度か登場させてしまってるウザい人のことが、このまえ初対面の人との間でちょっと話題に出まして。本人そこにいなかったもんでw 件の人とは古い知り合いらしい。で、あんましその話で盛り上がるのも行儀悪いんで、二、三言でその話題は済ませてしまった。その二、三言とは。

「あの人アタマがイッちゃってるからねww」

「ほんとほんとwwww ていうか話が面白きゃ何も問題ないんだけどね」

「ほんとほんとwww」

件の人と話をしてると、ともかく会話の主導権を強引にもぎり取る。もぎり取ったが最後、会話の主導権を手放さない。その人しか興味のない、ほかの人にとってはただつまんないだけの話を延々と聞かされる。しかも一人で盛り上がって大声を張り上げるんで、別の人との会話もままならない。

そういやイグノーベル賞の受賞作品でスピーチジャマーってあったな。あれ欲しいわ。あーでもこれ使うと、誰が使おうと、いくらこっそり使おうと、その場のみんなが「こいつスピーチジャマーされたな」と感づくわけで。スピーチジャマーを知らん人でも「何か対策されたな」とわかるわけで。ジャマーされた本人の体面的に、これはちょっとキツい気もする。そこまでの懲罰を与えずに、もっとマイルドな方法でわかってもらうことってできんかなぁ。

けどアタマがイッちゃってる相手じゃなぁ。あの人、仕事はかなり責任ある立場で、ちゃんとやれてるんだよなぁ。一体どうやってるんだろ。むしろそこが不思議だったり。

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会話の主導権を奪って放さない系の人で、また別ケースでけっこうな人物に遭遇してしまって。アタマはイッてないと思う。

ある話の輪で、その人が会話の主導権を強引に奪ったんですわ。ねじり込んで持っていく感じで。そこまではいいとして(あんましよくないけど)。イラッときたんで、苦笑いしつつ「今オレが話してんだけど」と一言。狙いどおり、おいらの会話相手の方々にウケたww 件の人もこのセリフを聞いて、動きを止めた。1秒ほど。して周囲の笑いが収まるより先に自分の話を再開。

てことで「やめねーしww」と言ったら場はまたウケたwwww 件の人はさすがにこれ以上おいらを無視するわけにいかなくて、何やらよくわからん言い訳を始めた。その人としては、言い訳を言えばみそぎは済んだってことらしく、間髪入れずに自分語り続行。呆気にとられるよりほかなかったす。

銘板
2014.5.19 月曜
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プロトンェ

げげげ、プロトンロケットまた墜ちたのかよ。

ロシア、衛星打ち上げ失敗=中国に残骸?落下 - 時事通信

はっきりわからん映像なら出てるな。

んー、記事だと「打ち上げから約9分後にロケット3段目の切り離しに失敗」とあるね。映像のほうは打ち上げから2分4秒まで。てことは異常発生したところは映ってないな。最後のほうで映像に動きがあるのは、タイミングからいって1段目の分離と2段目の点火かな。

プロトンは H-IIB クラスの大型ロケットなんで、1段目が2分しか燃焼しないってのもなんだか意外な気がするが。ブースターがないとそんなもんなのかな。Wikipedia 記事で写真を確認したら、1段目は意外と短かったですよ。こりゃ2分台ですわな。代わりに2段目が大きい。

なるほどねー。1段目は複雑な形なんで重量ありそうだもんな。さっさと軽くするぶんを軽くする設計でしたか。1段目は燃焼時間が短めなんで、エンジンへの負荷を極力軽くするのも狙いだったのかな。6基クラスタだと信頼性重視ってことで、エンジン設計は単純第一になりそうだしな。

んで今回の衛星は何だったんだろ。通信衛星と書いてあるが。外国から受注した商用打ち上げだったんだろうか。だとしたらビジネス的にけっこうヤバい気がする。そして墜ちた先が中国とな。

こりゃ中国、残骸を全部かき集めてリバースエンジニアリングしまくりだろ。あああロシアのロケット技術とどっかの衛星技術が、中国に丸裸にされちまうぞ。

そのうえ国際ルールで、他国にロケットの残骸等が落ちて被害が発生したら、打ち上げ国が(企業がではなく国家が)全額賠償することになってる。たぶん被害国の言い値を呑まされる形かと。中国、ここぞとばかりにロシアに吹っかけるだろうなぁ。

ロシアの打ち上げ環境ってそこらへんが弱いんだよなーと、この事故でようやく悟った次第。日米欧の場合、軌道投入されるまでほとんど公海上を飛ぶことになる。失敗しても、自国の領土にも他国の領土にも落ちる確率が低いってことで。

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一方、日本の H-IIA ロケットは。

H-IIAロケット、スカパーJSATの衛星打ち上げを受注 - sorae.jp

うほほほ商用チャーターをまた受注ぞなもしー! しかも初の国内企業。これ円安が効いてるよなー。1ドル80円とかじゃやっぱし無理だって。

しかし H-IIA って打ち上げ主体が JAXA から三菱重工に移ったら、値下がりどころか値上がりしたんだよな。90億円だったのが100億越えが普通になったぐらいにして。それでも商用で受注できてるのって、きっと官需打ち上げのときは高めに取って、商用打ち上げのときはそのぶん安く入札してるのかもな。商用のときは落札価格が非公開なんで、そんな妄想してみたり。

とりあえず来年のカナダの通信衛星の打ち上げ完了まで、どうかトラブルに見舞われませんように。

つか今月24日に だいち2号の打ち上げがあるんだけどさ、2014年度ってあと4回も打ち上げ予定が並んでるんですけど(予定表)。

ひまわり8号、はやぶさ2、情報収集衛星光学5号機、情報収集衛星レーダー予備機。年5回なんてこなしきれるんかいな。とはいえ2015年度は2回しかないんで(ASTRO-H、テルスター 12V)、今年度に打ち上げきれなかったのは来年度に回せそうね。

しかし続く2016、2017年度は連続ラッシュ。年に5回ずつで計10回。さらにスカパーが乱入。こんなに詰め込んでほんとに大丈夫か? まぁかつて1カ月以内に2発の早撃ちしたことあったけどな(2006年1月24日〜2月18日)。そしてその間に内之浦でも弾道ロケットと M-V を1機ずつ打って、合計で月4回の打ち上げラッシュだったっけな。

ていうか H-IIA って年間4機以上じゃないと生産ラインを保てないと聞いたことある。このくらいのペースでようやく三菱重工もやる気が出るってことか。少なくとも2016年までは H-IIB の打ち上げも年1回あるね。ここしばらくは生産ラインの稼働率をかなり高くもっていけそうですな。

ただ、現時点での H-IIA の打ち上げ予定、2018年度が0回、2019年度が1回のみって……別な意味で大丈夫か? H-IIA で打つくらいのサイズの衛星の開発って5年はかかるから、今そういう衛星開発の計画が動いてないとすると、2018年度と2019年度はほんとにスカスカってことになるが。まさか、その頃は商用打ち上げのみで年4発以上の皮算用をしてるってわけでもないだろうに。

そのあたりは H-III ロケット(仮称)開発の最終段階なんで、そっちに専念するってことなのかな。VAB と射点が改造・新築工事に入るから打ち上げできないとか?

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準天頂衛星の追加3機、H-IIA で1機ずつ打つんだな。おいらは、そのうち2機を H-IIB でまとめて打てばおトクなんじゃないかと思っとったが。軌道面の向きがそれぞれだからなぁ。2機同時打ち上げは難しいのかな。

銘板
2014.5.20 火曜
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それ地球のものだから

勘弁してくださいよ海外の人。

はやぶさ着陸した「イトカワ」に前哨基地が出現?何者かが球体施設を建造したと話題に

記事の写真を見てみたですよ。

……、

……、

……。

それターゲットマーカーだぞ。

はやぶさ 本体の着陸の目印にするために、小惑星イトカワに向けて はやぶさ 自身が投げたボールだぞ。投げた直後に写真を撮ったもんだから、遠くのイトカワに対して近くのターゲットマーカーってことで、イトカワ表面にでっかい何かがあるかのように見えるってだけだぞ。騒いでるやつら遠近法を知らんのか。

重力がほとんどない小惑星表面でバウンドすると、宇宙空間に戻ってしまって小惑星表面に居着かないかもしれないってことで、お手玉を参考に、バウンドしない衝撃吸収構造にしてあったりする。20世紀 FOX 製作の映画『はやぶさ HAYABUSA』でそこらへんが描かれてたりもする。

陰謀説とかそういうのって、こんな感じで簡単に生まれてしまうんだなぁ。くだらねぇ。

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2014.5.21 水曜
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「誰のせい」は潮目か

韓国の大統領、沈没船の件で謝罪してから国内での立場がますます悪くなってるような。

人間誰でも、よからぬことが起きれば「誰のせいか」で考えてしまうよね。明らかな自然災害なら、現代なら誰のせいでもないってなるわな。けどまぁ対策の不備やら対応のまずさやらで、責任者が叩かれたりとかあるね。

大昔は、国王なり皇帝なり大首領様なりが、自然災害にまで責任を持ってたそうな。神とつながった神聖な存在、あるいは神そのものっつう建前で、まぁ皆の上に立って指図してかしずかれて、庶民よりいいもの食って贅沢な暮らしをしてたわけで。その代償というか。

てなわけで旱魃や飢饉や天変地異が続いたりすると、王への信頼が落ちて反乱や内紛が起きて、王朝がひっくり返ったりもしたらしい。まー世界の至るところの文化で、昔はこんな感じだったらしい。中国とか。マヤとか。たぶんメソポタミアも。

大昔の日本の船乗りの例とか。遣唐使とかの船には、何もしなくていい馬鹿を一人乗せることになってたそうな。こいつ、船旅の間ただただ飯を食って遊んでるだけのやつ。船員はいつも仕事で忙しいもんだけど、そんな船員の仕事にこいつがイタズラしたり邪魔したりしても、決して怒られることがない。無駄飯食らいの穀潰しもいいとこ。

んで、ひとたび嵐に遭ってヤバいとなると、船長は海の神の怒りを鎮めるために儀式を執り行う。その段取りとして、件の馬鹿を生け贄として海に投げ込んだんだそうな。「こいつ一人に穢れなり業なりを全部おっかぶせれば、事態は好転する」っつう考え方。

ばかばかしい迷信に思えるけど、今の世の中でもあんまし変わらん考え方がまだ生きてて、けっこうやってたりする。今話題のとある科学研究所が、自分で論文を書けない程度の道化を雇って、お神輿にして担ぎ上げて注目を浴びたまではよかった。けどいろいろバレて状況がヤバくなったら、途端に道化一人に全部かぶせて露骨にトカゲの尻尾切りを始めた。「あいつが全部悪い」ですな。「スケープゴート」とも言いますな。

軍用機のチャフ弾にも似てるな。敵のミサイルの追尾を目くらましでごまかすやつ。トカゲの尻尾ともろに同じで、囮で追っ手をまいてるうちに本体はまんまと逃げ切ると。

「誰が悪い」「誰のせい」の発想ってさ、これでスケープゴートが決まると、もうそれで真相の追究は終わりになっちゃうんだよな。本体はそこから何も変わらなくていいわけで、欠点の改良なんつうツラそうでめんどそうな義務から逃げられるわけで。ラクなわけで。

てことで、追及から逃げたい側は、意図的に「誰のせい」に持っていきたがるもんなんじゃないかと。あるいは追及する側も、マスコミなんかだと犯人探し・責任者探しっつう「誰のせい」で対象を追い詰めがちだわな。そのほうが読者ウケがいいんで。

これだと、よからぬことが起きた仕組みや構造はそのまま保たれる。てことで責任者を吊るし上げたり失脚させたり、首をすげ替えたりしても、あとでその問題は再発する。けど追及するほうもされるほうも「誰のせい」発想なわけで、本当に必要な改善や再発防止の取り組みには他人事でな。「徹底した原因究明と再発防止が求められる」なんてぼんやりしたコメントだけ出して終わりとか。

誰か他の人がやってくれるだろうってことで、他人事だとラクですなぁ。そして誰もやんなくて再発するわけで。マスコミにとっては他人のトラブルは自分のメシの種なんで、もしかしてわざとそうしてるのかな。

場合にもよるだろうけど、何でもかんでも「誰のせい」だけで考えると、何も改善されないっつうオチになるわけで。問題は再発しまくりなわけで。そのたびに「こいつの首でどうかひとつお許しを」と、神様なり怒れる人々なりに生け贄が捧げられる堂々巡りなわけで。

自然災害の発生防止はさすがに現代でも無理なのが多いけど、もっと小規模な「よからぬ事象」については、原因を探り当てて、再発しないようにできるのもあるわけで。「誰のせい」発想は、そういうときでさえ生け贄を捧げて、事が済んだことにするっつう安直な考えなわけで。

たぶんこれ、動物としての人類の習性や本能なんだろうな。だからこれを基本に世の中が成り立ってきたわけで。「疫病や飢饉や天変地異が起きるのは、為政者の行いが悪いせい」とかさ。為政者もその習性をわかってて利用して、平時にはいい暮らしを享受してきたと。

会社とかの組織って、トーナメント表みたいな組織図で表現されますわな。あれって責任体制を表してるわけで。平時は命令の伝達系統やら特定の事業のリーダーの決め方を意味するよね。あと、組織内でのそのポジションの偉さ。けどひとたび悪しきことが起きたら、その発生場所を見て、誰のせいなのかを見える化してるものでもあったり。

原因究明・再発防止にまともに取り組む場合、「誰のせい」発想は邪魔でしかない。けど人的組織ってのは、「誰のせい」発想を接着剤にして組み立てるのが前提なわけで。昔ながらの「誰のせい」発想オンリーで、無理があろうが何だろうが全部それだけで片付けてた頃は、世の中全員が人類の習性に自ら騙されてたから、まだよかったといえばよかった。

でもそういう時代じゃなくなった。

リスクマネジメントなり品質管理なりの、合理的な考え方ややり方が発生・発達してしまってるわけで。事象の論理的実態と人間の習性的感性とは、場合によっては乖離することがわかってきたわけで。

そりゃそうなるわ。論理や因果関係ってのは、少なくとも宇宙ができたときから出来上がってた。少なくともビッグバン以降の約137億年間、その仕組みは一縷たりとも変わらず(ブラックホールの中は例外らしい)。一方、人類の祖先の脳がそれなりの論理思考力を得たのはせいぜい500万年くらい前。もっと甘く見積もっても1000万年は行かないくらいかと。論理や因果関係はそのはるか昔、人類の脳の癖や都合とはまったく関係なく成立したし、人類の脳の癖や都合に合わせて修正がかかったこともない。

そして人類が「英知の人」を自称する現代でも、脳内で理性が論理を組み立てる傍ら、永らくただの動物の1種族として暮らして染み付いた習性が、理性的思考を邪魔する。「誰のせいか」は常に「何が原因か」とすり替わるチャンスを伺ってる。

てなわけで、いまだに人的組織は組織図なるものを掲げ、なにはなくとも「誰のせい」で組織を作って運営する。自組織が論理よりも感情を優先することを高らかに宣言し続けてるってこと。問題が発生したら生け贄を捧げて解決したことにして、あわよくば原因究明も再発防止もしないで済ませる、と言い切ってるってこと。

感情は人間に不可欠だし、組織が誰かの感情を満たすために動くのは当然と思う。あらゆる組織は目的遂行のために組まれる。その目的とは、誰かにとって「良い状態」を実現するためのもの。そして、良い/悪いっつう価値判断自体が主観・感情ベースだったり。

ただ、感情を満たすっつう目的の遂行のためには、場合によっては組織で行動したほうが実現性や到達度が高まるわけで。高度で高効率な組織運営には論理が必要なわけで。てことでその論理パートの高度化の過程で、マネジメントなるものが生まれて育てられて鍛えられてきたわけで。その中の特化部門として、よからぬ事象の原因究明・再発防止のためにリスクマネジメントや品質管理ができて発展してきたってわけで。ここを鍛えれば鍛えるほど、「誰のせい」っつう人類の習性が邪魔になっていくと。

だからって「組織図に替わるもの/組織図を超えるものを教えろよ」と言われると、おいらは途端に困ってしまうんですがねww

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2014.5.22 木曜
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もうあるワイヤレス

はい?

韓国の無線高速鉄道、世界で初めて走行に成功 - 中央日報

電車への非接触式の給電実験が成功したそうで。カナダのボンバルディア車が2010年に軽鉄道車両で成功したそうだけど、今回は高速鉄道車両で成功したのが世界初だそうで。まーこの実験では時速3〜4km だったみたいなんで、単に車両の大型化に成功しただけのような気がする。高速鉄道で、というより高速鉄道用の車両で、だよな。スピードからして。

ていうか、日本のリニアモーターカーは昔から無線(非接触)給電なわけだが。山梨の線路で、まさに高速鉄道車両が時速 550km でフツーに実験走行してるんだが。1970年代の宮崎の無人実験線からそうだったしな。

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つか「無線」の鉄道なんて言うから、線路のない鉄道ってどんな新概念だよとおもっきし期待してしまった……。

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2014.5.23 金曜
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デブリ化もう1説

H-IIA ロケットの2段目高度化で、静止遷移軌道の軌道傾斜角を減らすっつう技がありまして。これで商用打ち上げが受注できるようになった。けどこれちょっと問題があって(おいらが問題に思ってるだけだけど)。

これやると静止遷移軌道の近地点高度が 2,000km まで上がってしまうんですな。遠地点高度は静止軌道高度と同じ 35,800km。衛星はそこから静止軌道に移るんだけど、H-IIA の2段目の燃え殻はその静止遷移軌道にとどまる。近地点が高いんで、半永久的に地球に落ちてこない。スペースデブリとして軌道上にずーっと存在し続ける。

もう既定の方針なんでどうにもなんないんだけどさ、なんで近地点高度がそんなに上がってしまうんだろーというのを、2013.1.28 のログで考えてみた。

静止遷移軌道上で効率よく軌道傾斜角を変えるには、速度が最も落ちる点でやればいい。てことで遠地点でエンジンを噴かすといいわけだ。H-IIA の2段目でこれをやると、推進剤が切れるまでにできるだけ軌道傾斜角をゼロに近づけられるはず。けど遠地点って、分離後の衛星がエンジンを稼動させて、静止軌道に乗るための唯一の場所だったりするんですわ。

てことでそのスイートスポットは衛星に譲って、ロケットの2段目はその前に軌道変換を済ませる必要がある。遠地点より手前の半端な位置なわけで、そこでの加速は近地点高度にも影響する。それでこうなってしまうんじゃないか、と考えた。

けどもうひとつありそうでさ。さっき考えたんだけど。んでこの2つの合わせ技で、近地点高度があんなにも上がってしまうんじゃないかと。以下がもうひとつの説。

2段目エンジンの2回目の噴射が終わると、ロケット上段と衛星は静止遷移軌道に入る。近地点から遠地点に向かうルートに乗る。で、今までの段取りだと、この時点でロケットの任務はおしまい。あとは自動でさっさと衛星を切り離して、衛星に追突しないよう自動で微妙に速度をいじって、必要なデータ取りを終えたらロケットを停波させて、ロケット班は拍手とともにホッと胸を撫で下ろす。

これが高度化以後だと、静止遷移軌道の遠地点の近くで2段目をもう一回噴かすことになる。3回目の噴射ですな。遠地点に着くまで5時間かかる。その間ずっと、2段目と衛星はくっついたまま。そして3回目の着火まで、2段目はアイドルモード運転をずっとやってるんじゃないかと。これ、エンジンをかなり弱くチロチロと稼働させ続ける操作でして。これでタンク内の推進剤をタンクの底(一番後ろ)にへばりつかせる。これで、次の着火時にエンジンに推進剤を安定供給させられる。種火を点けとく意味もあって。

つまり遠地点に着くまでの5時間、2段目と衛星は微妙に加速し続けてるわけで。これで近地点高度が上がってしまうんじゃないかなって気もしてきてさ。これと、スイートスポットを外した最後の全力噴射と。

遠地点で加減速すると近地点高度が変わる。近地点で加減速すると遠地点高度が変わる。遠地点と近地点の間の半端な位置で加減速すると、遠地点高度・近地点高度の両方に、その位置により案分された影響を与える。

アイドルモード運転で遠地点高度が上がるのはいいんだ。アイドルモードでの加算分を考えて、2回目の噴射を短めに調整すればいいんで。そうすりゃ最後に帳尻が合う。けど近地点高度はなぁ。アイドルモードでどうしても上がってしまうわな。2段目の1回目の燃焼が終わった時点で、いったん地球周回の低軌道に入りますな。そこから2回目燃焼で踏ん張って静止遷移軌道に入る。この時点で、静止遷移軌道の近地点はどうしたって地球周回低軌道の高度になる。それ以下にはならない。

そしてこの時点で、2段目と衛星の位置はまだ近地点を少し過ぎたあたり。そのまま遠地点近くまでアイドルモード運転でちょっとずつずっと加速を続けると。やっぱし近地点高度は上がる方向にしかなんないと思う。

H-IIA が静止衛星を打つごとに、質量3トンもの永遠不滅のデブリが1個ずつ増えていくっての、どうにかなんないもんですかねぇ。

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H-IIA の今までどおりの静止衛星打ち上げだと、静止遷移軌道の近地点高度は 200km 台。ここを通ると、宇宙にしてはけっこうな空気抵抗を受ける。近地点での軌道制御は遠地点に影響を与えるってことで、H-IIA の2段目の燃え殻がここを通るたび、遠地点高度がちょっとずつ下がっていく。そして軌道の周期も短くなっていって、回れば回るほど、より頻繁に近地点で減速することになる。遠地点高度は加速度的に下がっていく。その間、近地点高度はほとんど変わらず。待ってるとついに高度 200km 台のほぼ円軌道になり、あとは音楽レコードの溝みたいな渦巻き状の軌道を描きつつ、地球大気に落ちていく。そして燃焼・消滅。

期間は、打ち上げから10〜20年らしい。そのくらいの時間がかかってしまうけど、最終的には全部キレイに消してしまえるわけで。

高度化2段目でも、ちょっとでもその方向に持っていってくれないもんかと。前にも書いたかもだけど、具体的には、3回目の噴射を終えて衛星を分離したら、姿勢制御エンジンの残りの推進剤全部を使って逆噴射してはどうかと(メインエンジンはもう再着火できんので)。遠地点により近い場所なんで、近地点操作の感度はかなりいいはず。

やったとしても、それでどんだけ近地点高度が落ちるかわからんけどね。

高度 2,000〜35,800km って案外安全なのかもな。広さの割には衛星軌道の需要があんましなくて、今のとこスカスカっぽいし。少しくらいデブリを増やしても大勢に変わりないのかも。ケスラーシンドローム(デブリが過密に存在する空域で、デブリ同士が衝突しては新たなデブリをまき散らして、衛星の運用や有人活動にとって危険な空域になってく現象)が起きそうなのは、これからしばらくは高度 1,000km 以下の低軌道だもんな。

銘板
2014.5.24 土曜
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ライバルたちを横目で見る成功日

H-IIA ロケット24号機での だいち2号の打ち上げ、成功しましたですなー。打ち上げ成功率は H-IIA 単独で 95.83%、H-IIB と合わせると 96.43% ですよ。6号機での唯一の打ち上げ失敗がだいぶ薄まってきた。慢心はいかんことだけど、ここまで安定するともうハラハラドキドキもなくなってきたですよ。ただし、もう1回失敗しても成功率 95% 以上を保つには、39号機まで連続成功しないといけないっつうハードさ。今までの連続成功回数が18回で、これからも連続成功15回が必達条件ですか……。

とりあえず H-IIA 単独だとその数字になる。好調の H-IIB も合わせると連続成功回数22回で、あと11回続けて成功すればいいことになる。

ライバルのアリアン V ロケット(H-IIA 側が勝手にライバル設定してるけど、現状では坂の上の雲な存在)はどうか。Wikipedia「アリアン5 - 打ち上げ履歴」に成績が出てる。

現行型の "ECA" と "ECS" を合わせると、今年3月時点の成績で、48回打ち上げの47回成功で、成功率 97.92% だったりする。むしろ安定しすぎて怖いw 退役した古い型 "G", "G+", "GS" の合計だと、打ち上げ総数は25回。失敗1回に一部失敗が2回。一部失敗を成功0.5、失敗0.5と案分すると、成功率 92% と出ますた。まったく新型のロケットの初期型としてはかなりいい成績かと。

古い型での失敗で凄まじかったのは初号機。

アリアン V 初号機の爆発映像↓

派手に逝きましたなぁ。原因は、姿勢制御プログラムのバグだったらしい。

トータルでは、打ち上げ73回で70回成功。成功率は 95.89% ですな。H-IIA/B 合わた成功率だと、アリアン 5 の通算には勝ってる。けど向こうさん、今のとこ59回連続成功っつうとんでもない偉業を成してるなぁ。なんだこの数字ww

ちなみに H-IIA の先代の H-II ロケットは成績があまり良くなかった。打ち上げ総数7回で失敗2回。成功率 71.43%。アリアン 5 を通算で見るなら、H-II シリーズも通算にしないとフェアじゃないな。てことで H-II シリーズの通算成功率は、総数35回の失敗3回で 91.43% となりましたよ。こんなもんか。失敗3回ってなかなか薄まらんなぁ。

ライバルはもうひとつ。ロシアのプロトン M ロケット。こっちのデータはロシア語版 Wikipedia 記事から。打ち上げ総数82回(今月の失敗含む)。うち失敗8回、一部失敗1回(成功・失敗0.5ずつで計算)として、成功率は 89.63% ですなー。このまえの失敗でついに9割から陥落した模様。こりゃ打ち上げ保険料が高くなりそう。1機あたりの値段も100億円に近いらしく、H-IIA とあんまし変わらんのよね。

プロトン M の前のプロトン K のデビューはかなり古くて(1967年。H-II 初号機の27年前かつ H-IIA 初号機の34年前)、初期に失敗を積み上げてしまったんで、アリアン V や H-II シリーズと同等にプロトンシリーズで計算するのはかえって正確じゃないような。てことで成功率の計算はプロトン M のみで。プロトン M のデビューは2001年で、H-IIA と同じだし。

H-IIA はアリアン V に追いつくのはキツそうだけど、プロトン M を買うはずのお客を引っ張ってくるチャンス到来中かも。

銘板左端銘板銘板右端

そういや韓国の羅老ロケット初号機はもろに打ち上げ失敗だったけど、当時のイミョンバク大統領は「半分成功」という謎のコメントを発したっけな。んー確かに打ち上げ行程は前半だけ成功したけど、そこはロシアの担当部分だった。

一方、北朝鮮の衛星打ち上げでは。こっちも初号機が失敗。けどかの国の政府は「成功した」と言い張った。4回目の挑戦で本当に初成功したけど、建前では1号機と2号機で成功したことになってて(3号機では、かの国の政府は潔く失敗を認めた)、なんか政府見解の整合がいろいろめんどくさいことになってそうな気がする。

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2014.5.25 日曜
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結局分離のヘリウムタンク

はやぶさ2、今年12月打ち上げですなぁ。あと7カ月。待ち遠しいですなぁ。

今回は前回の反省を活かして、各部を強化しとるそうな。んで、前回最もヤバいダメージを演出してしまった姿勢制御用推進剤の配管 も強化されてる。ていうか4年前、金星探査機 あかつき も推進剤の配管でトラブってしまって、その対策も盛り込まれてる。

推進剤を加圧するヘリウムガスのタンク、燃料側と酸化剤側で独立させることになったそうな。コチラの資料(PDF)の8ページ目。

これさ、もろに 2012.10.4 のログで考えてたうちのひとつだったよ。下に再掲。

当時は「このくらいなら本職の宇宙機エンジニアさんたちはとっくに考えてるはずだけど、なぜか採用されてない。てことはこの案に比べて、今の形式に何らかのメリットがあるってこと。小型化・簡素化・軽量化・低コスト化あたりはもちろんそうだろうけど、こういう深刻なトラブルの元凶になってるのを踏まえると、それだけじゃない何かもっと設計思想的な理由があるように思える。けどそれは、今のおいらには想像がつかない」と、余計な深読みしてボツにしてしまったwwww

あかつき にあのトラブルが起きる前までで、はやぶさ2の設計はかなり進んでたと思うんだ。んで打ち上げまで4年を切ってた段階で、件の対策を仕込むことになったと。これ、かなりの設計変更になったろうなぁ。

銘板
2014.5.26 月曜
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パーキンソンの法則

パーキンソンの法則というモノを知ってしまったww まー理論というわけではなく皮肉の類いなんだけど、あまりにも当たってるというか。おいら仕事でも個人的な部分でも、パーキンソンの法則に完全支配されてるわwwww

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2014.5.27 火曜
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恐怖の太陽

太陽プロミネンスの巨大さがまず怖い。

んでこのプロミネンス、火山の溶岩みたいにぷっしゃーっと放物線を描いて飛んでるもんだと思ってたら、この形のまんま浮遊してるらしい。なおさら怖い……。

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2014.5.28 水曜
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映画のほうの『東京オリンピック』

東京で再びオリンピックが開かれるまで、あと6年ですなぁ。待ち遠しいですなぁ。てことで微妙に関連ネタ。

数年前、フォーラム八戸で映画『東京オリンピック』(作品の公開は1965年。オリンピック自体の開催は1964年)を観たんですわ。ネタ帳には「44年前の……」と書いてあるんで、6年も前だったか。北京オリンピックの年ですな。ネタ帳に書いた時点での計算が合ってればそうなるな。なんかおととしのロンドンオリンピックのあたりに観た気もするが。とにかく、そのときがおいらにとって初見でしたわ。

まぁタイムスリップ感覚なわけで。今とはだいぶ違ってたのが印象的で。オリンピックの様式も、世の中の様子も。

オリンピックの様式でいえば、当時は商業オリンピックになる前(商業化したのは確か1984年のロサンジェルスから)。マラソンがなかなか面白かったですな。故国では歯医者だとかなんとか、違う生業を持ってるアマチュアスポーツマンの祭典だった。「参加することに意義がある」がまだ生きてた時代だったらしく、選手のけっこうな数が、給水所で立ち止まって(たぶん無料の)オレンジジュースをがぶ飲みしてたw

あと、今はたぶん標識の文字表記はオリンピック公式言語を使うことになってるんだろうけど、当時は開催国の現地語だけでよかったらしい。マラソンの折り返し点は「折返点」とモロに日本語。スタート直前のかけ声は「ヨーイ」。まー意味わかるだろうしな。あと国立競技場だったか選手村だったかのトイレの入口には「便所」。漢字圏以外じゃ読めないよなぁww これも雰囲気でわかってもらえる類いだったかも。今は同じ日本でも、「便所」と表記する例ってあんましない気もする。

「便所」って言葉が「トイレ」よりどことなく汚い感じがするのは、濁点が2つもあるからなんじゃないかなとか。「トイレ」の元の "toilet" も、お膝元の英語圏じゃまさに「便所」の意味でして、普通はもっと上品な "lavatory" や "bath room" を使うもんだがw まーそれでも日本人感覚じゃ「便所」より語感がマシで、「おトイレ」なんて呼んでるというのもなんだかなーって気もする。別に「かわや」「はばかり」でもいいような。

ちなみにデパートの売り子さんの間では、便所なりトイレなりを連想させる単語自体をお客様にお聞かせしたくないとの配慮があるそうで。売り場で自分がトイレに行くことをお仲間に伝えるとき、「9番に行きます」「遠方です」なんて隠語を使ったりするそうな。昔、物産展の売り子をやってたとき、マネキンさんに教えてもらったですよ。「何もそこまで」と思う人もいるだろうけど、「いい発想ですなー」と感じる人もいると思う。

当時のオリンピックは非商業主義ってことで、どこの競技会場にも宣伝看板がなくてな。素っ気ないといえば素っ気ないけど、観客も選手も競技に集中できる環境でもあったと思うよ。

映画に写ってるその頃の世の中がまた、平成20年代の今の感覚からするといささか衝撃的だったよ。

開会式に詰めかけた観客が、オッサンとおばさんが多かったってのがちょっと衝撃。つかあの時代は今とは逆に、老けて見られるのがステイタスというかナメられないたしなみというかだったらしいんで、実年齢は見た目よりかなり若かったのかも。

開会式は昼間。今は演出の都合で夜やるけど、そういや1984年のロサンジェルスと1988年のソウルは昼間だったな。もしかしたら冬のリレハンメル(1994)開会式が初の夜開催だったのかな。

映画『ALWAYS 三丁目の夕日 '64』(2012)で、ブルーインパルスの伝説の曲技飛行を再現してたね。あれやるには昼間じゃないとな。しかし東京オリンピックの開会式、快晴でほんとよかったですなぁ。

リレハンメルの後の長野オリンピック(1998)の開会式も昼間だったな。もしかして最後の昼開催なのかな。「夜のほうがよかったのに」っつう意見も出てきてたからな。しかし冬期の夜だと寒さ対策がなぁ。まーあのときも天気よかったし。ブルーインパルスも再登場したし。

長野のときはシンプルな技ひとつで飛び去ったけど、小沢征爾指揮の第九の屋外フルオーケストラ生演奏の〆に絶妙なタイミングで飛来。音も込みの合体技っつうすさまじい演出だったですよ(ジェットの轟音が地上に届くまでのタイムラグも含めて、全部事前に精密計算して段取ったらしい)。この手の演出はやっぱし昼間の屋外じゃないと無理ですな。

話は戻って1964年の東京風景。自転車のロードレースのコースは、郊外というか農村も含んでた。んで、沿道の観客の姿も捕らえてる。なんてーか、申し訳ない言い方になってしまうけど、(おいらの脳内イメージで)いかにもお百姓さんなお顔立ちの男性が写ってて。正直、衝撃を受けてしまったですよ。『七人の侍』(1954)で左卜全が演じた農民に近いけど、左卜全のは、本物に比べると作り物なんだよな。演技なんだよな。ああいうお顔立ちの人って、今はもうどこにもいらっしゃらないんじゃないかな。

日本人の遺伝子自体はあの当時から今までそうそう変わってるわけじゃないと思うけど、なんなんだろうこの彼我の違いは。

1980年代にはまだ、そういうお顔立ちの方はいらしたな。それが面白がられてバラエティ番組に準レギュラー出演してたよ。『オレたちひょうきん族』の、吉田君のお父さん(吉田君は、お父さんが引き連れてる牛の名前)。関係ないけど、故・横澤彪プロデューサーによると、彼を途中で出さなくしたのは理由があったそうな。どうも彼は人気が出てくるにつれて、ほかの出演者の人気に嫉妬するそぶりだったか、自分の人気を鼻にかけるそぶりだったかが見られたそうで。それで、面倒なことが起きる前に降板していただいたとか。横澤氏のコラムか何かで読んだですよ。結論として、テレビ番組に一般人を起用する難しさみたいなことを語ってたっけな。

話それまくり(汗) あと当時を物語る人物風景として、乳飲み子をおんぶしてる小学生の男の子とか。もう見ないよなぁ。『ドラえもん』の原作漫画のかなり古い回にはそういう子がちょい役で出てた気もするけど、おいらが子供の自分には、八戸でさえもうそんな子は見かけなかった。

マラソンは東京の都心部で行ってた。スタートすると、カメラは選手の群れと並走するんですよ。当然、背景も写るんですよ。個人商店、多い多い。びっくりするくらい多い。

時代の移り変わりですよほんと。看板も白地に黒ペンキで墨字風に手書きしたのが主流。そういや「折返点」も「便所」もそうだった。今はどんな表示もデザインに凝るのが普通だけど、あの時代はあのスタイルが標準だったんだね。

映画『東京オリンピック』はその作為性で、ドキュメンタリー作品としていいのかみたいな大論争を巻き起こしたみたいだけど、少なくとも被写体の奥に写る風景は、時代の真実を見事に記録しとりましたですよ。

あの時代を覚えてる人は、現代に劇映画で再現した「当時」はあまりリアリティを感じてないかもなぁ。「当時」を知らない人にも気に入ってもらえるビジュアルを創る必要があるんで。そこへいくと、本物はあくまでも本物そのものだったってことで。

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あとバレーボール日本代表は「東洋の魔女」と呼ばれるほどの大活躍をしたそうだけどさ、当時はあの「ニッポンチャチャチャ」はなかったんだな。この映画を観て初めてわかったですよ。

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長いことネタ帳の肥やしにしてたネタのひとつ、ようやく消化したーww

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2014.5.29 木曜
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新探査機に模様替え

宇宙科学研究所(ISAS)には一般展示スペースがあって、一般人が無料で入場できるんですわ。4年前、小惑星探査機 はやぶさ 地球帰還のちょうど1週間前(日曜)に訪れたら、意外とすいてたww その1週間後からかなり大盛況な状態らしい。

4年前は展示スペースの中央に、はやぶさ の実物大模型がドーンと据えられてた。今もそうなんだろうなーと思いきや、ブログ スープかガソリンがなくなり次第閉店 様によると、はやぶさ2 の実物大模型になっとった。ページの真ん中よりちょっと下あたりに写真が出てるよ。確かに、機体上面の高利得アンテナが2枚の平面型になっとりますなー(初代はお椀型1枚)。

たぶんこれ、初代の模型を改造して作ったんだろなぁw 最小限の労力と資金で、最新の探査機を PR って感じで。

実物大模型や実物の展示をナマで見るのって、媒体を通すと漉し取られてしまう魅力や迫力をそのまま楽しめるよね。ISAS のロケットは M-3SII と M-V の本物が展示してある。4年前はもーとにかくいろんなとこ眺めまくりでしたよ。衛星・探査のほうも、主なものだけでいいから、実物大模型をもっと展示していただきたいもんだが。

歴代の X 線天文衛星や太陽観測衛星がずらーっと並んでて、その脇に機能と成果の進化の様子が図解されてるとか、すげー壮観な気がするw

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2014.5.30 金曜
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エイトハカセと播磨サクラ

今から3年半ほど前。小惑星イトカワの微粒子の研究に SPring-8 が投入された、と聞いた。

小惑星の物質の分析で、なぜ探査機 はやぶさ はサンプルリターンというリスクの大きい道を選んだのか。はやぶさ にサンプル分析機器を積んで、現地で分析すればよかったのでないのか。それなら行程は片道で済み、帰路での苦難は避けられたのではないのか。その答えはプロジェクトマネージャーの川口先生が、出演番組で語っておられた。

そしてその狙いは実現された。イトカワのサンプルはまずは日本国内各地の様々なごっつい分析機器で調査を受けた。そして非破壊検査を受けたサンプルや余分にとっておいたサンプルは、一部は長期保存に回され、残りは海外の研究機関にお裾分けされた。

特にアメリカとオーストラリアには はやぶさ の運用でものすごくお世話になったんで、特別待遇だったそうな(アメリカ様、DSN のご提供、ありがとうございました。オーストラリア様、帰還時の着陸場所のご提供とカプセル回収での様々なご配慮、ありがとうございました)。

んで、国内での分析の時点で、おいらびっくらこいたですよ。日本ってそういう機器や設備が恐ろしくなるほど充実しまくりでして。日本で分析データを取っちまったら、あとはサンプルを外国に配ったって、もうやることないんじゃないのかってほど。

そのひとつが SPring-8 だったと。てなわけで当時、おいら SPring-8 のサイトにお邪魔してみたんですわ。そこで発見したもの。それは……。

漫画『エイトハカセ』wwww

なんとなく読んでみたらば、けっこうというかかなり面白くてさ。現場で活躍中の先生自らが描いておられるらしい。

内容は SPring-8 の目的や機能、性能とかの解説なんだけど、マンガってすごいよなぁ。真面目な解説文書を読むよりずっとラクというか。実際はかなり端折ってるんだろうけど、一般人にとってこういう機器は難解だからな。基本的なところだけでもラクに押さえられれば、世の中での理解も進むわけで。内容をもっと理解したい人の知識の下地にもなるだろうし、このマンガをきっかけに、もっと理解したい人の数も増えそうだし。

つか、素でおもしろいんですが。おいらいろいろツボったですよ。そう来るかってのもあったりwwwww

SPring-8 ってカタいサイエンスだけじゃなく、考古学でも需要があるんだね。あと Wikipedia 記事によると、

国内の各大学および理研や原研による学術利用だけでなく、製薬会社、製鉄会社など、30社以上の産業利用や海外の研究機関の利用もあり、専用のビームラインが設けられている場合もある。2008年度には、今まで他社と共同でビームラインを利用していたトヨタ自動車が、単独企業としては初めて専用のビームライン (BL33XU) の新設に着手する。

企業がビームラインを直接占有したりするんだね。何にどう使うのかおいらはわからんけど、実用でも行ける施設ってことですな。こういう施設ってよく「税金の無駄」と叩かれたりするけど、これは行けるっぽいなぁ。ていうか民主党政権時代、仕分けでここも注文つけられてたな。基本的に無料ってところが。

まー学術用途ならタダみたいな利用料を保ってほしいけど、企業が使うんなら、ちょっとくらいボッタクリ気味な料金を取ってもいいんではないかって気がする。世界にそうある施設ではなさそうだし。海外の企業や研究所にも、ビームラインの有料占有を宣伝してはどうですかねぇ。

とか考えつつ、昨日久しぶりにエイトハカセを読破したらさ、その間に新設された、X 線自由電子レーザー設備(SACLA)のことも出てたんさ。なんかまたごっつい装備らしい。世界最強の性能を誇るらしい。ほんといいですなぁ「世界最強」って(それが何なのかよくわかってないけど)。

そしてエイトハカセを読み進んだら、今のところの最後のページで、『未来光子 播磨サクラ』とかいうアニメ番組っぽいなにがしかの宣伝が出てた。エイトハカセをもとにした、エイトドクターズが出演してるらしい。そのページに公式サイトへのリンクがあるんで、興味ある方はクリックどんぞー。

まー動画としては SF アニメのオープニング風のものだけで、番組コンテンツはないっぽいww そのオープニング風アニメ、90年代テイストを狙ってる感じですなぁ。タイトル画像の色合いがわざわざフィルムっぽかったりw つか、めちゃめちゃかっこええんですがwww

コンテンツが特にないとはいえ、設定くらいはあるだろと探しまわって見つけましたですよ。それが播磨サクラ 誕生秘話

主人公のドクターユーって、エイトハカセじゃ SACLA 担当のコアラのハカセだねー。とか思いつつ。

しかしエイトハカセでも播磨サクラでも、新型施設 SACLA がどう世界最強なのか、それで何ができるのか、「1位にしか見えない世界があるんですッ」ってそれがどんな世界なのか、あんまし具体的に説明してくれてない気がする……。待ってますから楽しく教えてくださいよーww

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エイトハカセに、X 線放射光の利用施設の成り立ちが出てる。もともとが実用寄りの応用技術なんだね。理学研究用の粒子衝突加速器を作って運用したら、ビームを曲げるときに出る放射光っつう副産物がいろいろ便利に使えることが分かって、そこからだそうな。

当初は理学研究用の加速器を使わせてもらってたんで、放射光目的での使用は衝突実験の都合に左右されてた。てことで、放射光利用専用の加速器を作るといいんではないか、てのが始まりだったそうで。

そういや SPring-8 がその名を馳せたのは、和歌山毒物カレー事件での毒物検出だったっけなー。

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こんなごっつい分析メカが、これだけじゃなくほかにもいろいろ揃ってるってのでも、粒子加速器が実用目的込みで運用されてるってのでも、日本ってすげー国だな。

あと、その広報用にマンガやアニメを作ってしまうってのも、別な意味ですげー国だなwww それおかしいだろww どんどんやれwwwww

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2014.5.31 土曜
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ロータリー復活のニッチ

マツダのデミオにロータリー……だと?

記事の見出しをパッと見た感じ、なんかいろいろな矛盾を感じてしまった。てことで記事をちゃんと読んでみた。

おおお、マツダついに EV に参入なのか。そしてその形式は直列ハイブリッド。その発電用エンジンとして、ロータリーが投入された、ということ。

おいらの個人的な定義だけど、プリウスやインサイトみたいな並列ハイブリッドはハイブリッド車。今回の EV デミオみたいな直列ハイブリッドは電気自動車、と分類しとりますです。シャシー構造の違いに注目するとそうなるってことで。

電気自動車の代表格はバッテリー式ですな。リーフとか i-Miev とか。燃料電池車や発電機を搭載した直列ハイブリッド車は、バッテリー車とはそれぞれ別々の方式として扱われたりするよね。けど電源が違うってだけで、電源より下流の構造は電気自動車そのものなんですな。そこが独自分類の根拠。並列ハイブリッド車もときどきモーターだけで走るから、完全に分類できるわけではないけど。

電源ってさ、バッテリー車陣営の日産と三菱が給電スタンドの普及をがんばってるけど、まだまだ充分ではない感じ。1回の充電での航続距離が短いのが、給電スタンド不足に拍車をかけてる感じもあったり。

燃料電池車の電源といえばそれ用の燃料で、今のとこ水素ガスが主流らしい。この供給インフラはまったくめどが立ってない状態。液体水素は低温すぎて扱いがヤバげなうえに、低温を保つためだけにエネルギー消費をしなきゃなんない。そのせいで、クルマのタンク内での保存性が悪い。充填したらなるだけすぐに使い切らないといかん感じで、ものすごい不便が予想されるわけで。

クルマへの搭載でより現実的なのは、常温での圧縮水素ガスかな。ただ、超高圧に詰めないと効率が悪いわけで、そのぶんタンクが肉厚になるわけで、めっさ重たいタンクってことになるわけで。しかも気体だから、がんばって圧縮しても液体燃料ほどの密度になんない。そしてタンクに加圧充填する行程で、やっぱしエネルギー消費が発生してしまう。あんましラクな燃料ではないわけで。

あと、水素脆性で配管の金属が脆くなっていくとか、水素分子は宇宙で最も小さい分子なんで、ほんの少しの隙間からどんどん漏れていくとかあるな。漏れた水素ガスがその場の空気に適量に混ざると、福島第一原発みたいな爆発を起こしてしまうとか、なにをどうやっても扱いが面倒なものだったりする。

タンクにはメタノールかエタノールの形で保存して、改質器を通して水素を取り出して燃料電池へ、って形が一番無難かも。この場合は改質器の触媒に白金(プラチナ)が必要で、これがまた高価らしいが。

てことで現状で、電気自動車用でエネルギー調達が一番ラクな電源ってさ、ガソリンエンジンの発電機なんだわ。リーフや i-Miev って航続距離の問題があって、値段の割には不便なわけで。「だったら発電機を載せて、直列ハイブリッドにすればいいのに」と前々から思っとった。

でもこのアイデアも、発電機は搭載空間をかなり食うってことで避けられてきたらしい。リーフも i-Miev も小型車だからな。スペースには余裕ないもんな。

てことでマツダが出した回答が、ロータリーエンジン発電機。ロータリーはもともと、同じ出力のレシプロエンジンより小型軽量だからな。発電機は駆動系とは軸でつながってないから、スロットル回路やバッテリーと配線でつながれる場所なら、車内のどこに置いてもいい。小さければそれだけ自由度も上がる。そんなわけで EV デミオの場合、トランクルームの一部にちっさく収まってるそうな。それにロータリーは騒音・振動が少ないんで、その意味でも搭載場所の自由度が大きいわな。

ロータリーの問題は燃費ですな。EV ってことは、顧客は反射的にエコカーだと思いますな。けどそこがネックになってしまってる。発電用エンジン自体、ロータリーとしても小型の部類なんで効率低下してそうだし(熱機関は一般に、サイズが大きいほど高効率)。

まー直列ハイブリッドのエンジンは発電機に徹してるわけで、最高効率を出す条件下でのみ稼動っつう環境なわけで。そこが救いではあるな。

このデミオを買った場合の使い方ってのが出てくるな。同じ距離を走るのに、電気のほうがガソリンより何倍も安いらしい。てことで、基本的にガソリンは満タンで入れっぱなし(どうせ9リットルしか入らないし)。普段は家で充電した電力だけで走る。たまの遠出のときは、発電機の補助でかなり遠くまで一気に走れる。遠出の際の補給は基本、給電スタンドの急速充電で。あとガソリンもできるだけ補給しとく。てな感じですか。

補給は給電スタンドでもガソリンスタンドでもいいってのは、電気専用車やガソリン専用車よりもむしろ便利ってことに今気づいた。となると給電設備付きのガソスタが普及すれば、さらに便利ですなー。

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リーフにこの発電ユニットを取り付けてはどうかと。ガソリンタンクを倍の18リットルにすれば、航続距離が 200km くらい伸びるかもよ。

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冷却の処理はどうなってるんだろ。この小ささでクルマ1台を駆動するパワーをひねり出すわけで、発熱量はかなりになるだろ。それとも、そこまでのパワーはないんかな。例えばバッテリー残量が半分に減ったら稼動し始めて、バッテリー残量の減りかたを抑える方向なのかな。

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