ひとりごちるゆんず 2012年10月
銘板
2012.10.1 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121001
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ひっそりルート

日本から見た東アジア情勢ってさ、つい何年か前までは、北朝鮮がダントツでデンジャラスな感じだったですよ。

今は日本から見て、北朝鮮はめっきり影が薄くなってしまって、比較的大人しい国に見えてしまう……。

ここんとこ中韓の存在感がその意味でメキメキと増してるしなぁ。

3代目が世襲して以来、斜陽ぶりにますます磨きがかかった感じだしなぁ。鳴り物入りのテポドン3発目も、結果が出る前から日本じゃ緊張感が今までより薄かったし。つか北朝鮮って中国には味方として大事にされてるかと思いきや、特に3代目さんはこんな扱いだもんなぁ。

周りの国のキャラがすっかり立ってしまったんで、北さんは「皆に忘れられたままひっそりと消滅」のルートに乗ってしまった気がする。

銘板
2012.10.2 火曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121002
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

氷が溶けるように ICE の謎が解ける

2年ほど前、この日記で「軌道の帝王」ロバート・ファーカーが設計・実行した恐ろしいスイングバイ技を紹介した(コチラ)。あのときの衝撃と恐怖からようやく立ち直ったっつうほど大したもんじゃないけど、ようやくそのキョーレツなスイングバイ軌道が筋道だけ理解できてさ。けどやっぱすげえ。てことで、あのときはもう見るのもイヤになったあの2枚の図をもっぺん出してみる。ゆっくり見比べたら、ようやくその段取りが分かったわ。

ISEE3_ICE の軌道図 その1
ISEE3_ICE の軌道図 その2

たぶん上の方は寸法が正確かと。図中の "A" は遠地点の位置、"S" は月スイングバイのタイミングと位置だね。添字はその順番。下の方の図は段取りで色分けされてるんで、両方じっくり見るとよく分かりますな。

月スイングバイは計5回。んで1回ごとにどんどん加速したのかと思ってたら、減速→加速→減速→加速→加速 の順でしたわ。エネルギー的には加速1回だけと同じことですな。たぶん諸々のタイミングや条件を合わせる関係や、これ幸いと太陽風にたなびく地球磁気圏を観測するためにこうしたんじゃないかなと。

S2 から S3 までで5カ月かかってる。この間、地球磁気圏の尾を観測できたはず。それに近い軌道がもう1回ある。磁気圏の範囲から外れたときもあったけど、トータルでかなりじっくり観測できたかと。

地球−月のラグランジュ点 L2 にも訪れてるね。ここは太陽−地球のラグランジュ点よりも地球に近いんで、深宇宙との行き来で何かと使えそうな特別な場所。月の裏側に活動拠点ができたりすると、地球−月 L2 に中継衛星を置くと便利そうでもある。その空域のデータが取れたってのはすごく意味があったんじゃないかと。

ちなみに後年、日米共同の地球磁気圏尾部観測専門の衛星 "GEOTAIL" がこのあたりをより詳しく調査してる。たぶん ICE(当時の名前は "ISEE-3")がこのとき、相当興味深いデータを送ってきたからなんじゃないかな。

最後に2回続く加速スイングバイはまぎれもなく「2重月スイングバイ」ですな。日本だけがやりおおせた究極奥義のような気がしてたんだけど、先達がいらっしゃいましたわ。

あとさ、おいら ICE について誤解してたことがあったさ。つまり「ICE はスペースシャトル・チャレンジャー号で打ち上げられるはずだった探査機『スパルタン』の代替として、急遽ハレー艦隊入りが決まった」というやつ。それが誤解だったと、この図をしげしげと見てようやく分かったわ。このスイングバイ行程って1983年3月〜12月にやったんだね。スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故は1986年1月。

チャレンジャー号には確かに "SPARTAN-203" というハレー彗星観測用の器材が載ってた。ところが ICE がハレー彗星に向かうための鬼のスイングバイをやったのは、事故の2年以上前。ICE は最初からハレー彗星に飛ぶことに決まってたと。

しかも SPARTAN-203 の資料を見るに、スペースシャトルから放出されて地球低軌道を周回する衛星だったらしい。その軌道から加速して地球の重力を振り切るわけではなく。んでその低軌道上から±3分の角精度で、ハレー彗星のコマや尾を紫外線領域で観測することになってたそうな。それで O+ と OH- の生成比率が分かるはず、と。データは内蔵の磁気テープに記録。そのデータは後のスペースシャトルで衛星ごと回収する、というもの。ハレー彗星に接近して観測する類いのものではなかったですよ。おいらの感覚ではハレー艦隊のメンバーに入れるにはちょいと苦しい感じ。

まーとにかく、探査機 ICE についての理解がいろいろ進んだですよ。

銘板
2012.10.3 水曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121003
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

系統分離案 その1

金星探査機 あかつき は2010年12月8日の金星周回軌道投入マヌーバに失敗しましたな。その後の関係者の皆さんの努力の末、2015〜2016年に再挑戦する希望が見えてきた。2010年12月のログを今読み返してたんだわ。んで問題を起こした推進剤の配管図を見てて、ひとつ気づいて。

ヘリウムタンク1個を燃料側と酸化剤側で共用するのをやめて、それぞれ独立に装備したらいいんではないのかと。

軌道投入失敗の原因はメインエンジンの破損。

このエンジンへの推進剤の供給方式はガス押し式。高圧のエンジンに推進剤をぶち込むのに、燃料・推進剤それぞれのタンクにヘリウムガスで内圧をかけて、それでエンジン燃焼室に押し込んでる。この高圧ヘリウムガスはひとつの容器に入っていて、配管で燃料・推進剤それぞれのタンクにつながってる。

あかつき配管_1
あかつき配管_2

んで何が起きたかっつうと、このヘリウム配管内で燃料と酸化剤の蒸気が混合してしまった。燃料がヒドラジンで酸化剤が四酸化二窒素の組み合わせって触れ合うだけで発火するはずだけど、まぁおいらには分からん理由でこの場合は発火はしなかった。けど塩(えん)が生成してしまって、これがヘリウムタンク−燃料タンクの配管を一部塞いでしまったと思われる、のだそうだ。

燃料タンクの内圧が上がらず、エンジン内は燃料が若干不足。けど酸化剤供給は適量。あかつき のメインエンジンは、もともといくらかの燃料過多(酸化剤不足)で不完全燃焼するように設計されてる。燃焼に使われなかった燃料はエンジン内を冷却する仕組み。そのはずが、燃料供給が幾分か足りなくなって、不運なことに完全燃焼する配合になってしまった。

これでエンジンはオーバーヒート。世界初のセラミック製ロケットエンジンをもってしてもその高熱に耐えられず、根元から吹っ飛んでしまった、と理解されてるそうな(ノズルだけでなく燃焼室ごと失ったらしい)。現物が手元にないんで確定ではないけど、その後のテストでの挙動を分析するに、その結論に達したと。

んでその配管図を見ながらさ、思いついたわけ。この手の配管って逆流が怖いわけだ。燃料か酸化剤が液体のまま逆流して間違ってお互いのタンクに入ったり、配管内で出会ってしまうと爆発(かつて NASA の探査機 マーズ・オブザーバー がそれで死亡)。蒸気の形で出会うと塩(えん)が生成されて配管を塞ぐ。不完全な逆流防止弁を付けて、その誤作動で失敗したのが日本の火星探査機 のぞみ。

ここらへんの構造、鬼門になっとりますな。

銘板
2012.10.4 木曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121004
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

系統分離案 その2

このうち、燃料と酸化剤がエンジンの燃焼室以外で出会う可能性ってのは排除できるんじゃないかと思ってさ。燃料と酸化剤のタンクそれぞれは、押し出し用の高圧ヘリウムの配管でつながってる。

あかつき配管_3

このつながりを断てばこの手のトラブルは原理的に起き得ない。となると、今は1個を共用してるヘリウムタンクを2個にして、燃料押し出し専用と推進剤押し出し専用として独立させる、となる。

あかつき配管案1

このくらいなら本職の宇宙機エンジニアさんたちはとっくに考えてるはずだけど、なぜか採用されてない。てことはこの案に比べて、今の形式に何らかのメリットがあるってこと。小型化・簡素化・軽量化・低コスト化あたりはもちろんそうだろうけど、こういう深刻なトラブルの元凶になってるのを踏まえると、それだけじゃない何かもっと設計思想的な理由があるように思える。けどそれは、今のおいらには想像がつかない。

ヘリウムタンク2個案をもうちょっと進めると、配管の二重化かな。これで確実性を確保と。1つのヘリウムタンクの系統がポシャっても、もうひとつがバックアップに回れる形。双発航空機のエンジン系統の発想で。

あかつき配管案2

ってその配管は結局は改良前の形になるってことで、二重化でリスクも2倍になるってことか。

完全独立の形に戻してと。エンジン燃焼室で適切な混合比にもっていくには、両者の加圧のバランスが必要ですな。圧力源が1個だと話がラクなわけで。独立ヘリウムタンクが採用されないのはこれかなー。この調整が難しいのかなー。

もう少し考えて、折衷案とか。

あかつき配管案3

この図では相当すっきりしたけど、あかつきの本物の配管図と見比べると、ヘリウム配管の分岐前の部分のバルブやフィルタが倍に増えてしまうことが分かる。

そうかーバルブは可動部品だから本質的に危ないものなんだよね。現行の考え方ではたぶん、今の形が最もバルブの数が少なくて済む→バルブ由来のトラブルが少なくて済む、ということなのかも。それでなるだけ重複化・二重化をしたくないのかも。

次の探査機じゃどんな対策をするんだろ。このまま行くってことはないはず。次は……水星探査機ベピ・コロンボだけど、もう設計は固まってるはず。周回軌道投入の逆噴射はパートナーの ESA が担当するはずだし、この対処は関係なさそう。

まだ詳細設計前でごっついエンジンを積む予定っつうと、かぐや2か火星探査の MELOS 計画かな。

銘板左端銘板銘板右端

つかもっと単純に、酸化剤なしで全部ヒドラジン燃料だけにするって手もあるんじゃないかと。あるいは IKAROS で実証に成功した気液平衡スラスタとか。どっちも1液式なんで、構造は相当単純になる。あかつきのメインエンジンは2液式だったけど、姿勢制御スラスタは1液式。メインエンジンが逝ってしまったんで酸化剤はデッドウエイトになってしまった。今度の軌道投入は姿勢制御スラスタのみでやることに決まったんで、あかつき は酸化剤を全部捨てましたな。これで1割以上の軽量化に成功。

はやぶさ の姿勢制御スラスタで2液式を採用したのは、着陸ミッションで瞬発力と正確性が必要だったかららしい。ヒドラジン1液式は触媒で気化させるから、そこらへんの応答が鈍いんだそうな(たぶん触媒が暖まるまでのタイムラグのことかと)。結果的に はやぶさ のスラスタはリアクションホイールの代役も務めることになったんで、瞬発力と正確性はかなり役に立ったんじゃないかな。

あと2液式は燃費がいいからな。気化膨張だけじゃなく燃焼のエネルギーも使うんで。比推力(燃費の良さ的な数値)はヒドラジン&四酸化二窒素は300秒くらい、1液式は260秒ほどらしい(自信なし)。この情報が正確なら、差は 15% ほど。って思ったより差は少ないというか。だったら酸化剤用のタンクも配管も取っ払って、そのぶんを燃料の増量に当てるのも手かなと。思わぬところで燃料と酸化剤が混合しての爆発や配管の目詰まりもなくなるし。

あかつき は半分がその仕様なわけで、となるとメインエンジンに使えるほどの大出力は1液式では難しいって判断なのかな。とはいえ結局 あかつき は姿勢制御用の1液式スラスタをメインエンジン代わりに使っちゃうんだけどさ。2010年12月の軌道投入時よりは今度の方が、軌道変換量が少なくて済むからどうにかなるって面もあるかも。

銘板左端銘板銘板右端

2013.6.22 補足: ヒドラジン1液式スラスタの比推力は200秒ほどらしい。イプシロンロケットの最上段、小型液体ステージ(オプション)がヒドラジン1液式で、その比推力は202秒だそうで(資料 [PDF])

銘板
2012.10.5 金曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121005
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

意外とおいしそうな宇宙機

埋めネタ。

イカロス君 Twitter に比べて IKAROS-blog の読者さんはあんまし多くないかもしんないけど、前になかなかナイスなネタを見つけてさ(コチラ)。打ち上げ成功から1週間後、打ち上げ時にお世話になったホテルからの頂き物だそうで。画像もがめさせていただいた。

イカロース様
イカロース様wwwww

まあ今も IKAROS は全国津々浦々の皆々様方に知れ渡ってる存在じゃないと思うけど、このときはセイルの展開もまだでなおさら注目度も低かったんで、このくらいはアリってことでww

なんだかおいしそうな名前だすな。あと関係ないけど、「トロイカ」っておいしそうだよね。

銘板
2012.10.6 土曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121006
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

三枝先生の頃と今

KAROS であまり知られてなさそうなことというと、署名を募集したんですわ。ISAS 探査機でおなじみの『一緒に宇宙に行こう!』なキャンペーン。はやぶさ のは一番有名かな。応募者の88万人分の名前はターゲットマーカーの内側に刻まれて、今も小惑星イトカワの表面にあるはず。火星探査機 のぞみ で始めて、月探査機 かぐや でもやったし、金星探査機 あかつき では初音ミクの絵が載ったのが話題になった。

あかイカでの募集の頃は折しも はやぶさ が盛り上がってて、あかつき ではミク絵を載せようとニコニコで運動が起きた。けどそっちの盛り上がりの煽りか、IKAROS の署名募集は事前の盛り上がりが薄くてな。ほとんど話題にならなかったと思う。おいらは応募したけど、何人ぶんくらい集まったろう。

当時の募集サイトを探したらば、ありましたですよ(コチラ)。そうそう、米国惑星協会の "Light Sail-1" との共同キャンペーンだったわ。して応募総数は、JSPEC サイトから 63,248名、米惑星協会から約89,000名だったそうで。合わせて約15.2万人。あまり宣伝しなかった割にはよくやった方だよ。

ってみんなからのメッセージを見たらば、若田さんは分かるけどさ、劇団ひとりやロンブー田村がメッセージ出してたとは。つか「作曲家の三枝成彰先生よりIKAROSの歌を作って頂きました!」とのことで超大物が来てますた。

今その曲を拝聴いたしましたですよ。IKAROS の正式名 "Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun" から譜面を起こしたようで。打ち上げ後のイカロス君 Twitter があんなハジケることになるとはこのとき誰も知らず、曲調は孤高の物悲しさを秘めつつ格調高いですなぁ。イカロス君にはもったいない気さえしてきたw

ちなみに今年3月14日に発表された公式ソングはコチラ↓

イカロス君 Twitter がすべてを変えてしまったwwww そういえばイカロス君のキャラ絵が公表されたのは、打ち上げ寸前だったよ。既に公表されてた あかつきくん(あかつき公式 Twitter でのキャラ)、驚愕してたっけww

そんなノリもそれでいいんじゃないですかww IKAROS は「航法実証機」で、イカロスくんは「広報実証機」らしいからwww

銘板左端銘板銘板右端

そういえば同時に あかつき の署名募集にも応募したんだわ。したら乗車証をもらったんですよ。

あかつき乗車券

IKAROS では特にそういうのはなし。そこらへん「おまけミッション」だからな。それでもおいらは名前を載せていただいた。して、あかつき ともども その証明書(メール)は今年4月のハードディスククラッシュで消失 orz きっついわーほんときっついわー。

銘板
2012.10.7 日曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121007
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ブラックイカロス様

不覚。今まで知らんかった。ブラックイカロス様の存在を。すまんかった。

イカロス君のうた

この左下に出てる怪しげなイカロス君ってなんだべーと思ってたんだが、その正体をついに知ってしまったですよ。ブラック様ぁ〜。

なんか相模原キャンパス一般公開のときなんかに、立ち入り禁止の看板でスゴんでたりするらしいww

そしてその 公式 Twitter。初登場は2010年6月13日。「俺様はブラックイカロス様.普段はかわいい振りをしている『イカロスくん』のウラの顔さ!」。

はやぶさ 帰還の朝に何やってんだwwww して次のつぶやきは「一次展開,二次展開を経て,とうとう俺様は完全体に進化した.」やべえおもしろすぐる。そのあともふるってるなぁ。くっそー今までこんな面白いものを知らないでいたとはww

銘板左端銘板銘板右端

IKAROS は将来の木星圏探査機の技術実証機なんですな。これ今は基礎設計中らしくて、図柄を見るたびにいろいろ違うんですわ。最近の図柄だと、セイルは IKAROS のをそのまま巨大化させた感じの正方形。けどね、銀色に輝く IKAROS のセイルと違って、こっちは全面が薄膜太陽電池でして。ソーラーセイルなのに黒いんですわ。将来はブラック様の天下かもなーw

銘板
2012.10.8 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121008
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

iPS 細胞への栄誉

山中先生、おめでとうございます!

何年か前から来るんじゃないかと話題になってたけど、とうとうやりましたなぁノーベル賞ですよ。

なんか21世紀になってから、日本人がノーベル賞をいただくタイミングがものすごく詰まってきたですよ。おととしいただいたばっかりだしさ。ていうか2000年〜2002年て毎年受賞してたんだね。そこから5年間は1人もいなくて、2008年に一気に4人(現在アメリカ国籍の南部先生を含めて)。2010年に2人。

今日始まったばかりで、今週いっぱいで毎日1ジャンルの受賞者発表があるね。明日は物理学賞かな。今年も複数人いただけると嬉しいなぁ。どうなりますかねぇ。

銘板
2012.10.9 火曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121009
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

世界が続くよう奉納する彼

なんかイチローさん毎日のように大活躍ですが。ヤンキースに移ってからというものますます磨きがかかってるというか。つかあのホームイン何なんだよww すごすぎってレベルじゃねーぞwww

んでまぁこうも彼の活躍が日常になっちゃうとさ、イチローが打てないと世界が滅びる気がするとかもうそんな気さえしてきますですよ。ほら中南米の古代文明で、太陽の神に毎日生け贄を捧げないと世界が滅びるっつう信仰が各地で共通して流行ってしまって……てあったでしょ、なんかそんなノリでww

そういや今年の12月22日だか23日だかにマヤの予言で世界破滅がウンタラってあったけど、もう騒がないのかな。今から半年くらい前までミヤネ屋が煽りまくってたな。ああそういやおいらそのあたりで予想してたっけ。お盆過ぎたあたりからまたやるんじゃねーのかと。やんないねぇ。外れましたわww 単に飽きられただけなのかな。

このウワサが廃れたのって、このタイミングでマヤの新しい遺跡が発掘されたとかいうニュースがあったような。その遺跡の暦だと、今から3000年後くらいまで日付が刻んであったとかなんとか。もしかしてそんなたった一発で火消しされてしまったのかよ。オカルト派はもっと根性見せろよ。

あーでも11月頃に MMR 的な新事実を主張する輩が出たりして、また来るかもなぁ。このままじゃ終われんでしょ。

マヤの予言の話はそういえば、一時期話題になったグラハム・ハンコック著の『神々の指紋』が最初なのかな。それによると12月の来る X デイでは、南極の氷の下に存在する遺跡(まだ誰も確認できてない)がいろいろとなんだか絡んでくるようなアレらしい。何でもいいが、やっぱしもうひと盛り上がり欲しいところですなぁ。少し前に『2012』っつう世界破滅映画も売れたことだしさ。ノストラダムスも2000年問題も空振りだったことだしさ。今度こそ根性みせろと。

しかし12月っつうと、状況から見て不気味な予測ができたりするわけですよ。何ってさ、その時期は野球やってないじゃん。イチローさんが神様にヒットなりファインプレーなり奉納できないんじゃんw

銘板
2012.10.10 水曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121010
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

物理学賞は量子力学で

昨日発表のノーベル物理学賞は日本人じゃなかったかー。そんなわけで国内ではあまりニュースになってないけど、どこの国が受賞しようとその研究の価値は同じなわけで。おいら全然分かってないけど、これを機会に少しは学べるといいかなと。毎日.jp 様から

ノーベル賞:物理学賞に米仏2氏 量子の測定で画期的手法開発

毎日新聞 2012年10月10日 東京朝刊

スウェーデン王立科学アカデミーは9日、12年のノーベル物理学賞を仏コレージュ・ド・フランスのセルジュ・アロシュ博士(68)と、米国立標準技術研究所のデービッド・ワインランド博士(68)の2氏に授与すると発表した。授賞理由は「個々の量子(りょうし)系の測定や操作を可能にする画期的な手法の開発」。極めて正確な「光時計」の開発や、飛躍的に処理能力が伸びると期待される量子コンピューターの開発に貢献したことが高く評価された。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、2氏に賞金計800万スウェーデン・クローナ(約9800万円)が贈られる。

量子とは光や電子、原子などの総称だ。2氏は、これらの量子に電磁波や光を当てて一つずつ操る手法を別々に開発。この技術で、標準時決定に使われているセシウム原子時計の100倍正確な「光時計」が実現した。宇宙が始まったとされる「ビッグバン」から140億年が経過してもわずか5秒しか狂わない正確さだという。

量子の一種「光子(こうし)」の持つ情報を別の光子に転送する「量子テレポーテーション(遠隔移動)」の実験を世界で初めて成功させた古澤明・東京大教授(量子光学)は「日本でも知名度が低いこの分野に光が当たり、とてもうれしい」と話す。

量子とは光や電子、原子などの総称で、量子に電磁波を当てて探る? おいらの半可通な知識だと、電子にはその手は使えないはずだったと思ったが。間接的にはできるってことなのかな。ほかにも光子や原子も含むみたいだから、電子限定の話ではないのは分かるが。

おいら通俗本での知識しかないけど、電子ってのは厄介な代物だそうで。観測すると粒子にしか見えないのに、どうも観測してないときは波動として振る舞ってるらしいとか。電子1個を飛ばして回折スリットを通すと、1個しかないはずなのに、スクリーンには両方のスリットを通ったことを示すシマシマ模様が現れるそうな。シマシマができたときにはもう電子がスリットを通り抜けた後。電子が波動としてどんなふうに振る舞ったかは、そこから計算で出すしかないらしくて、スリットを通ってる最中の電子の波動の状態ってのはリアルタイムでは観測不能らしい。そこからしてよく分からん。

あと、電子はどこにあるのか正確に分からないとか。常にテレポーテーションしてるらしい(記事中の「テレポーテーション」とはたぶん別の話)。んで、その存在し得る範囲を確率論でボヤッと特定するのがせいぜいとか。

電子はサイズも質量もあまりにも小さいんで、直接観測しようと光なり電波なりの電磁波でも当てようものなら簡単に吹き飛んでしまって、直接観測がやたら難しいとかも聞いたことあるなぁ。てことでそこらも計算で間接的に求めるしかなさそう。

今回ノーベル賞を取ったこの研究が電子のそういう面倒を完全解決したのかどうかは分からんけど、光時計や量子コンピュータの開発に貢献した、という実用・応用面での功績があるんだね。まったくそこら知らんかったですよ。

古澤先生という方のコメントもいいね。このジャンルの知名度、低そうだもんなぁ。量子は一般人が理解するには謎な面が多いからな。説明しにくいからあんまし啓蒙が進んでないって実態もあるんじゃないかと。おいらはいくら通俗本の解説を読んでもチンプンカンプンのカンプラチンキですわ。専門書ならなおさら理解できなさそうだしさ。けど量子力学ってコンピュータ工学に既に応用されてるものだしな。もしかして理解を進めるといろいろ便利なことが分かっちゃったりできるかもなぁと、その度に野望を燃やしつつ何もせずに今まで来てしまった orz

銘板左端銘板銘板右端

楔形文字ワープロ くりごはんのバグひとつ取ったー。「っ」で終わる入力は最後に "undefined" 表示が出てしまってたんさ。これ直した。意外とすぐに直ってよかったわ。つか発見から1カ月半も放置してた(汗)

もひとつ、この日記の台紙ページを作る名無しの JavaScript にも前バージョンにバグが見つかりまして。今使ってるバージョン5は全部最初から書き直したんで、そのトラブルはないっぽいけど。

バージョン3では毎月10日ぶんの「この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。」の URL が微妙におかしなことになってて。日記ページ1枚ずつ開いて1個ずつ直しましたですよ。

バージョン3を使ってたのは4年間。50枚ほどやりましたよええ。自動化は便利でいいけど、間違ってるとかえってめんどくさいことになりますなぁ。それでもいちいち手でやるよりずっとラクだし正確だけど。

さて「やんなきゃなー」がちょっと減ったってことで、しばらく中断してた Art of Illusion のチュートリアル翻訳、ぼちぼち再開しましょうかねぇ。これやんないと、AoI マニュアル勝手翻訳サイトのトップページが作れないんだったわ。マニュアル本体の勝手翻訳は終わってウェブ上に出してはいるけど、トップページを作れてないんで、Google 様にクロール依頼を出せないっつう状況で。んでもろに「やんなきゃなー」なんだけど、「やんなきゃなー」と強く思うほどにやれなくなるってのが人情ww

銘板
2012.10.11 木曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121011
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

マクロ経済に関する素人うだうだぐだぐだ

日韓通貨スワップ拡大、円満に終わりそうだね。この1年間の700億ドルから、もとの130億ドルに戻るそうで。

おいらがまず分かってないこと。先月いっぱいだったのか今月いっぱいなのか。あんまし変わらんけど。あとさ、1年間の期限付きだったんだね。おいらってば次に変更の取り決めがあるまでずっとそのまんまかと思うとったですよ。

んで韓国側から延長の申し出がなかったから、契約どおり1年で終了ってことらしい。こっちの政府が最近明かしたには、去年の突然のスワップ拡大開始は向こうからのお願いだったとか。なんでまた隠してたんだろ。おいらは、そしてたぶん世の中全体も、日本から韓国に申し出たもんだとばっかり。それで「今の政権ってほんと、なんだかなぁ」……という流れだったと思う。

今は、というか特に8月以降、日本国内で露骨にあの国の肩を持つのはちょっと勇気が要る状況ですな。そんな具合になってから政府に「スワップ延長すんのか」という疑問・質問が相当寄せられたんだと思う。んで竹島問題とも絡めて検討課題ってことにしてたけど、その過程で確か、「実は去年のは向こうから……」となったんでしたわな。

して、こっちで特に悩むこともなく、向こうから延長の申請がなかったってことで、手続きに従ってスワップ拡大の停止で、700億ドル→130億ドルに戻ったと(締め切りを過ぎたのかどうかは分からん)。

これ韓国国内でも議論の対象になってるみたいだけど、どうも日本が悪いことになってるらしくてw 政府内では知らんけど、民間・マスコミレベルでは「韓国が頭を下げなければスワップを縮小するぞ」と日本が圧力をかけてるとか経済制裁を仕掛けてるかとそういう話になってるらしい。

そういう話ではないわけで。

頼まれてもいないのにこういうことを勝手にやったら内政干渉でしょうが。このスワップ拡大協定は日本には特にメリットがないんで、こっちからお願いする類いの話でもないし。ていうかスワップ拡大を要る/要らないについて、日本政府は韓国政府の言ってることに完全に従ってきてるわけで、何が不服なのかまったく分かん。

そういう向こうさんの勘違いもまた含めて、結果的にはこっちの世論がケンケンガクガクしなくて済んでるってのはありがたい。契約に沿って自動的に答えが出る。どの答えでもこっちは何も影響ないし。

この1年間続いたこのスワップ拡大、韓国にとっても何かいいことあったろうか。一応、韓国経済を日本が裏書き保証しますよ的な効果があったかと思う。んで去年それを向こうさんから申し入れてきたってことは、向こうさんにとっては去年、それが必要な状況だったんじゃないかと思う。

考えられるのは、韓国経済10月危機説。風説がかなり流布してたっけな。韓国が返済しなきゃなんない借金が期限を迎えるとかなんとか。借り換えはなかなか進んでないとか。んで中国が保証人的立場だったけど、ちょうどそのとき期限切れになって、次の保証人が必要だけどどこもなりたくないとか。

それがどうなったかはおいら知らん。ただまぁあの国の経済がそのせいで破綻しましたってことにはなってないみたいだから、あの風説はかなりデマや誇張が入ってたのかも。

けどちょうどそのとき、日韓スワップ拡大が突然決まったわけです。いやーあれは10月危機説が的中かと思いましたですよ。なんかあれでウォン安に歯止めがかかったとかいう話があるけど、ここらもチェックしてないからよく分からん。今ちょっと見てみよっと。

Yahoo! Finance のUSD/KRW で見ると、去年の9月半ばのちょうど10月危機説が話題のあたりから一気にウォンが安くなってるね(1080W/$ → 1180W/$)。そこから今に至るまで、それ以前と比べてウォン安基調のまま。年末年始と7月前後に安値の山が来てたけど、そこからはじりじりと値を戻してるな。今は 1110W/$ くらい。

今回のスワップ拡大停止の話はもうウォンの投資家の間に知れ渡ってるはずなのに、それに呼応してるっぽい急な変動は特にない感じ。スワップ拡大のあるなしって、為替には特に影響ないみたいだな。

去年の10月の急落は、危機説がある程度本当だったか、あるいは風説がよく広まったかだと思う。風説だけのデマだったならすぐに収束するだろうけど、その変動の影響が今も残ってるってことは、ある程度は当たってたのかもね。んで「スワップ拡大をやったからこの程度で済んだ」とも「スワップ拡大の効果は特になかった」とも取れそう。そこを元に戻しての、これからの1年間で分かるかも。

つか5年ちょいのスパンで見たら、そこにはリーマンショックから全然抜け出せてない韓国があった。

USD_KRW20121009

YAHOO! ファイナンスでこのグラフのスパンをこれ以上広げると、なぜかグラフが見にくくなってしまう。んでもその下の細長いグラフで、2004年からの動きも分かるね。

8年前(2004年)は今とだいたい同じ水準だった。そこから年ごとに着々とウォンの信用が(対米ドルで)上がってきてたのに、2008年後半のリーマンショックで大かぶり(ショックの震源のアメリカの通貨に対して暴落したのは謎)。2011年までですごいゆっくりと値を戻してきたけど、2011年10月の危機説以降でその動きも止まり、それまでの流れよりちょっと安めで丸1年間そのままここまで来てると。

つかリーマンショック以前に、李明博政権になったとたん(2008年2月末)にウォン安基調になっとりますな。盧武鉉大統領のときは徐々にウォン高になっていったのに。現政権は輸出重視でウォン安政策を推してると言われてるね。その裏付けになるかも。けどどうも制御しきれてないような感じ。つか為替を制御できてないのは日本もそうだな。

けどさ、韓国経済の場合は貿易依存度が高い上に、頼みの綱の技術製品の部品・素材の多くが通貨高の日本からの輸入らしいんだわ。そしたらウォン安政策をいくらやっても、国内のインフレやスタグフレを招くばかりであんましメリットがないような気がする。

日本の場合は逆に異常な通貨高が続いてるんで、輸入品が安くなってデフレ気味なわけで。モノが安くなるのはいいけど国内産業が輸入品なり逆輸入品なりに取って代わられてるわけで、物価安以上に購買力が落ちてしまって、景況感が悪くなって困ってると。日本国内じゃ給与水準が下がり続けてワーキングプアが増えて困ってる状態だけど、円建ての金額を海外の現地通貨に換算すると目減り分が相殺されるわけで。海外の人たちから見ると、日本人は相変わらず高給取りな人々に見られてると。

安物でいいよという客の望みに適う安物を大量に提供してきた中国との付き合い方が今後変わっていくだろうから、それがどうなるかですなぁ。韓国から日本への輸入品はもともと少ないんで本題にちょっと関係ない話だけど、そのいくぶんかの製造仕事が日本に戻ってくれば、その製品を海外にいくぶんかでも売れれば、日本国内の購買力はそれだけ上がるはず。それにはもっと円安だよね。100円/$ くらいならかなりいけると思うんだが。130円/$ ならなおよし。

銘板
2012.10.12 金曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121012
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ウンチク君に学ばせていただいたり

居酒屋でちょいと典型的にアレな人に出会いまして。今回はからまれたわけじゃないけど、勉強になりましたと。

そこはカウンターしかない小さな居酒屋でさ、有線放送なんて気の効いたものなくて、CD ラジカセで BGM を流してるんだわ。ラジオのときもあるけど、そのときは店主の好みの懐メロ集。80年代ポップス。

件のオジサン(おいらより何歳か年上)はさ、まぁ小綺麗な身なりなんだけどちょっとなんてーかバブリーっつうかまぁそういう悪趣味と言っちゃ言い過ぎなんだけど、そんな感じ。けどまぁちっさい居酒屋(失礼!)に1人で来てる時点で、そんなハイソなご身分ってわけでもなさそう。

場では店主も一緒になって、その曲の思い出とか語ったりして。盛り上がったのはカセットテープの扱い方。他の客も巻き込んで、いやーそんな技があったとはなーってのが目白押し。今となってはまったく役に立たないわけで。皆様から伺った数々の必殺技、家に帰った頃には全部忘れてしまったw おいらもちょいとは提供したけど、きっともう覚えてる人いないと思うww

んで、曲のイントロ当てとかにもなるわけですよ。件の人はけっこう当ててた。おいらは昔から音楽あんましいっぱい聴かない人なんで、あまりにも有名な曲以外は苦手。んでもサビだけ覚えてたとかで話についていけたですよ。

して件君、なんかいちいちウンチク語りをするわけですよ。そりゃもう鼻につくくらい。なかには普通においらでも知ってるネタを「これ知られてないかも」なんて得々と語ったりもあってさ。ちょっとどうにかなんねーかなと。

そうゆーのって基本どうでもいいネタなんだからさ、そこでその場の優位を必死に確保する必要ってどうなんだと。

んで件君の設定では、おいらは下人らしかった(なんでかいっつもそうなるなぁ。ていうか件君の場合は自分以外はみんな自分の下の設定だったわ)。80年代かどうか忘れたけど、今井美樹の『プライド』がかかってさ、思わずおいら感想を述べたわけですよ。「本業が女優で歌手としても大成するってほんとすごいよなーこの人」と。

「そうかなー」

来た。

立場逆転の芽を押さえ込もうとする彼。こっちは別に何も狙っちゃいないけど、どうもその線あたりで何か抑えておく必要を感じたらしい。そしてウンチク攻撃ですわ。

「彼女は女優やる前はモデルでねウンヌン」

さいですか。ていうかそれ知ってるってことだけ言いたかったらしい。言われてみればもともとはモデルさんでしたな。んでそこから後の話はただ長いだけで、覚える価値さえ感じんかったわ。

その後も、他の人が何か言うごとに突っかかってはいちいち訂正かけたり持論を展開したり。うぜー。

あーでもちょっと彼が返しに困った顔したのあったわ。

中森明菜の『難破船』がかかったとき。加藤登紀子が作った曲なんだよねーとかそこらは大体みんな分かるくらいにして。全体的に楽しく話が弾んだ。加藤登紀子はさー東大なんだよねーけどあれ? 卒業したんだっけ? 学生運動やってたんだよねー。獄中結婚だったんだよねーとか。おいらよく分かってないから、皆の話に素直に「へぇーへえー」と聞いて楽しんでたんだわ。実際この話題は面白かったし。

しておもむろに、また彼が退屈ウンチクモードに入りまして。一応行儀よく聞いてたけど、話が途切れた瞬間、おいらも話すネタをひとつ思い出してさ。何も考えずに出しちゃった。

「オレこの曲の広東語版の CD 持ってるわー」

その場全部がすげーウケてた。

したら件君はまさに「困った顔」しちゃってた。返しに使えるウンチクをすぐに思いつかなかったんじゃないかと。いや素直に笑ってくれよ。以降、件君はちょっと大人しくなったわ。

まー不愉快になるってほどでもなかったけどさ、ああいう場で自分だけアドバンテージを確保しようってのはさ、そういう人けっこういるけどさ、あんましよろしくないなーと。酔っぱらいながらも気をつけようと思いましたですよ。

つか飲んでて知らん人と盛り上がるのはさ、やっぱしヨイショですよ。知らない人だとむしろヨイショしやすいしさ。されりゃくすぐったくもあるだろうけど、気分は確実によくなるから楽しく盛り上がれると。てことで「そうかなー」とかそういうのはナシで、これからもおいらはヨイショ酒でいこうべえ。

ただ件君みたいなのだとさ、ヨイショすると余計こっちを下に見たりするからな。始末悪いですな。おいらスナックのおねーちゃんじゃないからさ、ヨイショしてカネ貰うわけでもご馳走されるわけでもないからさ、そこらは気分なんですな。ヨイショしにくい人材だなーって気がすれば、そりゃあんましやらんわな。そこらへん、なかなか難しいですなぁ。

おいらも普段、仕事あんだけやってんのに会社にまったく無視されてるのが不満だったりするんだけど(同僚は評価してくれてる)、そこらへんの心理的な力学の結果でそうなってんのかもな。仕事でイエスマンになるのってなんか違う気がしてるんだけどさ、下衆上司にそう振る舞うのってかなり抵抗あるんだけどさ、そこらから考え直してみようかな。それが「大人になる」ということなのかもな。

ちなみにスペースシャトルの STS-51-L ミッションの折、打ち上げ前にブースターの製造元が、気象条件が設計想定外だったから NASA に打ち上げ中止を進言したそうな。そしたら NASA の幹部に「大人になるんだな」の一言で却下されたそうな。製造元の懸念はズバリ的中。それがチャレンジャー号の最後の飛行になったわけだけども。

銘板
2012.10.13 土曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121013
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

バチカン御中、落ち着きなさいな

映画『プロメテウス』をバチカンが批判しとるそうな(記事

今までもいくつかの映画を槍玉に挙げとるそうな。ふーん。

しかしバチカンほどの権威がこんな下々の民の営みにさえ口を挟むのは、なんかどうかなと。外野が言うのもなんだけどさ。

おいら「プロメテウス」を観たとき、キリスト教臭いなぁと思ったが。「地球生命の中で人間だけは別」という設定が。その設定をもとに「地球人は異星から来た」ってのが話の筋なわけで、この設定はこの映画の中だけの話。外には影響しないと思うが。けどバチカンさんはそこが目について、「人間は異星から来たのではなく神が創りたもうたのだ」てことでの激怒ってことかな。

つかバチカン御中に於かれましては、「生物進化の果てに現世人類が発生した」とゆー生物学の定説についてはどんな解釈をされてるんだろ。明らかに商業目的で誰かが作り上げたフィクション話に目くじら立てる前に、そっちのほうを先にどうにかした方がいいと思うが。

銘板左端銘板銘板右端

まぁ『アバター』についての「VFXは素晴らしいが内容は単純でばか」には完全合意だけどw

銘板
2012.10.14 日曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121014
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

神様とマンガ その1

日本のマンガやアニメってもう世界的なものになってしまったわけで。んで昨日のつながりで、日本のマンガの神様の扱いってバチカンはどうお思いなのだろうと。異教徒の国のサブカルだから、いちいち目くじらを立てないってだけかもしんないけどさ。けど最近、偏狭なキリスト教徒が作った、イスラムの預言者ムハンマド(マホメット)をコケにする映像作品が問題になったよな。アメリカの大使館が焼き討ちされたよな。その作品をどっかのサイトで見たけど、下手な芝居に粗末な映像で、おいらはその意味で見るに耐えなかったすw

んで今回のテーマで思いついたマンガ3本はなぜかどれも週刊少年ジャンプのやつ。なんでかは不明。とりあえずそこらへん見てみますか。

ONE PIECE

空島(そらじま)の神・エネルという悪役キャラがいたね。バチカンに目をつけられる度は限りなくゼロかな。「神」とは空島で使われる単なる称号で、最高権力者の意味だった。「王」と同義ですな。これは問題なさそう。お次はたぶん完全アウトw

こち亀

もろに姿を現してたぞ。しかも仏像そのもののルックスだった気がする。概要はコチラ。両さんにヅラをばらされてしまったのか……。「ギャグマンガなんで洒落ですよ洒落」なんてエクスキューズが通じてほしいところですなぁ。ていうかどうかバチカンが見逃したままでありますように。見つけてても目をつぶってくれてる状態でありますように。

ドラゴンボール

これはちょっと複雑かも。地球の神様ってのは空島みたいに、単なる称号だった。生物のくくりを超越した存在ではなく、地球の神様はナメック星人だった。てことはあれかい、映画『プロメテウス』に近い定義なわけですが。そういやその前に、天下一武道会に神様が出場してたな。さえないおっさんの格好だったが。Wikipedia「天下一武道会」にちょっと書いてある。ふむふむ一般人に乗り移ってたのか。んでこの両者はどういうつながりだったんだともう少し調べたら、同一人物だとの裏が取れたですよ。Wikipedia 情報だけど、ここらはいい加減な記述ではないだろうと思う。

さらに複雑なのが、地球の神様より上の存在があるってことですな。界王神が一番偉いんだっけ? Wikipedia「界王」にいろいろ書いてある。北の界王は思い出せるが、その上の界王神となるともうおいら記憶がほとんどないわ。画像検索してキャラの見映えをようやく確認したぐらいにして。見覚えはあるけどどんな役回りだったかやっぱし分からん。この界王神が宇宙全部を統べる存在らしい。キリスト教の言う「神」と同格なわけだ。偶像禁止どころからおもっきし姿を晒しとりますがな。マンガなもんだから。

地球の神様が人間の姿を借りて登場したあたりまでは、そこらへんまったく問題なかったんだが。

んで世の中を見て驚きなのは、世界に届いた『ドラゴンボール』、それでも特に問題なさそうってとこ。バチカンの反応はよく分からん。けどキリスト教圏の人たちが、「神の偶像を表した」とかで特に抗議運動したとか聞いたことないし。日本大使館だって、たぶんそれを理由に攻撃されたことなんてないでしょ。

バチカンがハリウッド映画にときどき難癖付けるのは、キリスト教圏の同胞とゆー考えなのかもなぁ。日本は信教の自由が保障されてるわけで、日本人にもキリスト教徒がいらっしゃるんだけど(八戸にもカトリックの教会があるよ)、日本人の集合としての国や文化はキリスト教圏ではないからな。口出ししたくても節度上できんのかもな。

バチカンがもし本当に了見が狭いんなら、今はキリスト教の支配下にある北欧やギリシャ、ローマの古代神話さえ悪く言うだろうしな。

てことでバチカンがハリウッドには難癖付けるのに日本のマンガには手出し口出ししないことについて、なんかよく分からんけどそんな勝手な解釈をしてみたですよ。「身内とよそ様」の意識ですかねぇ。

銘板
2012.10.15 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121015
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

神様とマンガ その2

しかしこれ、相手がイスラム教だったらそうはいかないだろうなぁ。日本のマンガで、イスラム教の神様や預言者ムハンマドを描写したものとか特にないだろ。「聖おにいさん」もそこは扱ってないしさ。日本人は国際感覚オンチだと自嘲したりする人たちもいるけど、意外とうまく相手の空気を読んでるのかもw

銘板
2012.10.16 火曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121016
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

「焼き畑」を知った日

この前まで、経済学についてちょいと誤解してたことがあったですよ。

「安売りの体力勝負でライバルを潰して独占・寡占状態を勝ち取った後、好きなだけ値上げして元を取る」

というやり方ってさ、アメリカのマーケティング学発祥の発想だと思っとったですよ。けど昔からある普通のやり方だったらしい。

「焼き畑戦術」とかいうそうな。

円高で安売り体制が落ちた日本企業は、クルマも家電も国際市場で次々とこの挑戦を受けて、それで今の体たらくに陥った、ということみたいで。

焼き畑を仕掛けてきたのは韓国企業。ヒュンダイとかサムスンとかだね。んで実際にここらへんが市場を焼き畑して、シェア獲得に成功したぶんだけ日本製品が締め出されたってことらしいが。

おいらはこれを見て、「そんなに『日本ブランドがー』とか言うならもう普及品の価格勝負なんかしとらんで、ほんとにブランド品メインに移れよ」と思っとった。

しかしどうなんだろね。ヒュンダイもサムスンも、前途洋々って感じじゃなさそうだが。80年代の日本製品は世界で人気で売れてたとともに、日本企業を敵視する人たちがけっこういた。自分の国の市場を外国に荒らされちゃそうなるわな。けどもうそれが普通になったのが今。んでいったん世界を制覇した日本製品を追ん出しながら、韓国製品が世界を席巻しつつあるってことらしい。

1980年代当時、なんで日本製品が人気だったかっつうと、安いってわけじゃなく品質と性能が良かったから(実際にそのうえちょっと安かったりもしたらしいけど)。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でデロリアンが初めてタイムスリップするとき、主人公マーティが手に持ってたビデオカメラは確かビクター製だった。初タイムスリップはドクの飼い犬だけを乗せてて、ラジコンで操縦してた。そのときドクがデロリアンを遠隔操縦したプロポはフタバ製。

マーティが1955年にタイムスリップして、その時代のドクにデロリアンを見せる。

ドク「故障の原因が分かった。この部品は日本製だ」

マーティ「何言ってるんだドク。日本製は最高だぜ」

少なくともアメリカでは、日本製品は「安かろうまずかろう」ではなく、信頼を勝ち取って人気があったってことらしい。

今の韓国製品ってそうはなってない感じ。安かろうまずかろうな感じがする。日本の国内に住んで日本製品に囲まれて暮らしてる身だから、そう思っちゃうだけかもしんないけど。

日本製品がこれから復権するかどうかはわからん。けど韓国製品って近い将来どうなんだろ、世界に定着というか、安定のブランドとして確立するんだろうか。なんかそうはならないような気がしないでもない。

「その国が嫌われてるから」というのはあまり関係ないかと。80年代の日本は嫌われまくってたからな。世界経済であまりにも一人勝ちで、やっかみというより恐怖を感じさせてしまったらしくて。それから20年もしたら、いつの間にか日本の文化が世界に浸透してて(家電やクルマより、マンガ・アニメ・ゲームの覇権を握ってしまったかららしい。あと忍者)、親日な外国人が世界中にドンドコ現れるという愉快な展開になったりもして。

最近は日本の食い物や伝統文化や素の部分にハマる層まで現れたり。スピルバーグ監督の "A. I."(2001年)でさ、未来世界の主人公の一家が日本の昭和30年代風のインテリアの家に住んで、箸と茶碗で食事してた。日本人として嬉しいっつうよりむしろ衝撃だったわ。

ハイテク製品はちょいと下火になったけど、変な形で取り返してるというかw 人種や民族や宗教なんかを問わないってのが素晴らしすぎたりもしてww

韓国でそういう未来って、んー、未来なんて分かるもんじゃないけど、今のところあんまし想像できない気がして。

70〜80年代の日本の例だと、表向きは高性能なクルマや家電が世界を席巻したわけで、それと同時に70年代から、日本のアニメが世界中で放送されたと。放映権料が安かったのと、面白かったのが勝因らしい。んでそれ見て育った世代が今は大人になって、日本を好きでいてくれてると。

放映権料が安いといえば、フジテレビに言わせると韓流ドラマがそうなんだそうで。けどとりあえず日本での人気を見ると、爆死と言っていいレベルらしいね。去年一年しつこく放送したら、視聴者の反応は結局「いい加減にしろ」という感じのようで。つか日本のテレビも焼き畑の舞台にしたってことでいいのかな。

あとさ、中国のレアアースも焼き畑だったわな。それでおととしの時点で、世界一のレアアース消費国・日本の中国産依存度は 90% とゆーヤバいレベルだったと。なんでそこまで中国が供給を寡占できてたかっつうと、安売り。これで他国の品物を市場から閉め出し済みだったと。んで当時の中国は「今こそ値上げのとき」と踏んだのかな。急に出荷制限かけて相場を吊り上げた。

あれって日本に対する嫌がらせなタイミングではあったけど、どうもそれだけじゃないような話も流れて、なんだかよく分からんかったな。対ヨーロッパのレアアース取引にも影響があったみたいだし。なんとなく、尖閣問題は口実で、その前から値上げのタイミングを読んでたんじゃないかって気がする。

んで今年も尖閣問題があったわけで、中国はまたしても日本を困らせるべくレアアースを輸出を制限したわけですな。ところがこの2年で状況がすっかり変わってたと。日本のレアアース消費量は、新技術開発で半減かそれ以下。しかもおととしよりレアアース相場が上がったもんで、かつて中国に潰されて閉山してた世界中のレアアース鉱山が復活。そこらへんの国や企業が状況を読んで、揉み手しながら日本にすり寄ってくる始末。そのうえ太平洋の公海やら日本の排他的経済水域やらの海底を探査したら、巨大なレアアース鉱床が次々と発見され……。

中国が仕掛けた焼き畑作戦、ブーメランだったですなぁ。

「焼き畑」という表現を知る前においらが知ってた事例は、藤田田(ふじた・でん)社長時代の日本マクドナルド。派手に焼き畑しましたなぁ。んで企業の体力の限界になっても、モスだのロッテリアだののライバルはほとんど潰れない(バーガーキングとかのアメリカから来たのだけが、なぜかやられて撤退してった)。たまらず値段を元に戻したら、ライバルたちは息を吹き返した。そして、「安いから」というだけの質の悪い客ばかりになってたマクドナルドから、上客が離れた。

今の原田社長は単価アップに腐心してるけど、「マック=安い」のイメージをどうしても払拭できなくて、あんましうまく行ってないっぽいね。つかそういう企画商品を実際にいくつか食ってみたけど、値段ほどうまくないよ。そこが問題だと思うが。原価が安い具でカサを増やしてるのバレバレだし。

銘板
2012.10.17 水曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121017
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ひとさまのことより

海外でもボーカロイド人気が広まってきたようで。主にオタクやネット住民の人たちの間で、て感じらしい。そこらは日本とだいたい同じですな。

んでもなんか日本のボカロというか、ミクばっかり人気みたいでさ。

英語ボカロだっていろいろあるだろうに。古の LOLA, LEON, MIRIAM はもちろん、Sweet Ann と Big Al、Prima に ソニカと来たもんだと。最近はもっと増えてるかも。とりあえず英語圏の人々は何をしておるのかと。DTM ソフトも英語版はちゃんとあるでしょ。FL STUDIO とか。

日本が発信元になってるのは日本人として鼻が高いけどさ、どうなんだろ、彼らはそんな受動的な盛り上がりで満足しちゃってるんだろうか。

そうなったら自分も何かしてみようとかこう、熱い意気込みをほとばしらせたりとかしないもんなんだろうか。

……、

……、

……。

っておいらもめちゃめちゃ受動的なボカロミュージックファンなんだけどさ。

……、

……、

……。

いや、派生作品なら作ったぞ。それが楔形文字ワープロ くりごはんなのですよ。

ムーブメントから完全に孤立してやがるぜちきしょう orz

銘板
2012.10.18 木曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121018
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

イプシロン的加速度

イプシロンロケットのスペックやら計画やらが、もう具体的に出てきてたんだね。そりゃそうだ。来年度打ち上げ予定だからな。1号機はかなりのところまでできてるはず。

んでさ、前に考えてたのは、イプシロンの1段目と3段目の間に M-V の2段目を挟むと、M-V が大復活なんじゃないかと。

けどだめでしたわ。イプシロンの1段目は H-IIA ロケットの固体燃料ブースター(SRB-A)なわけで、これ最大出力でも M-V の1段目(M-14)の半分強程度なんだわ。SAB-A はモーターケースがカーボンなんで、M-14 の倍の内圧には耐えられる。けどどうもノズルスカートの設計上、出力がこの程度に抑えられちゃうんじゃないかと。その点 M-14 のノズルスカートはでっかかったもんな。

イプシロンから M-V を復活させるんなら、SRB-A 由来のノズルスカートを専用のブツに換装する必要があると。となると TVC(エンジンの首振り機構)の出力も SRB-A の電動仕様じゃ耐えられなくなるわけで、ここも M-14 の機械式に替える必要が出てくるはず。コスト的に、大物パーツをほかのロケットから流用する意味が薄らいでいきますなぁ。

ただ、Wikipeia「イプシロンロケット」を読むに、「SRB-AはM-34とKM-V2を持ち上げるために最適化されたM-Vロケットの第2段のM-25に比べて推力が大きいため、イプシロンロケットではSRB-Aの能力を最大限使える高圧型モータではなく、打ち上げ能力は低下するが積荷の衛星に優しい長秒時型モータが使用される」とのこと。まーそうもなりますか。

その数値はどのくらいかっつうと、SRB-A 最強版(真空中 2,500kN)のわずか 63% の同 1,580kN らしい。

これちょっと控えめすぎなんじゃないかな。大気中での出力が1割減とすると 1,422kN≒145tf。以前作った、離床直後の実効加速度の比較表に埋め込んでみる。

機種名 仕様 質量 推力 質量推力比 実効
加速度
備考
M-V 1号機 -- 139.8t 387t 2.77 1.77G --
M-V 5号機 -- 143.8t 345.31t 2.40 1.40G 4号機の失敗を受けて
パワーを落とした機体
H-IIA 9号機 2024 354.3t 790.07t 2.23 1.23G SSB 点火後
H-IIA 11号機 204 450.8t 931.96t 2.07 1.07G --
H-IIB 1号機 -- 541.5t 1048.41t 1.94 0.94G --
H-IIA 4号機 202 292.8t 516.40t 1.76 0.76G --
アリアン V V-188 782.2t 1311.43t 1.68 0.68G --
テポドン2号 -- 75t 120t 1.60 0.60G 改良型
2009年4月打ち上げ
イプシロン E-X 92.3t 145t 1.57 0.57G --
H-IIA 9号機 2024 354.3t 516.40t 1.46 0.46G SSB 点火前
羅老1号 -- 140t 170t 1.21 0.21G --

まさかのテポドンクラス……。しかも固体燃料オンリーでこの数字とは(テポドンは液体燃料オンリーなんで、加速度が低いのはしょうがないかなと。羅老も液体オンリーだけど、いくらなんでも低すぎ)。もしかしたら推力をこれ以上上げると、1段目燃焼末期の加速度がヤバくなるのかな。

SRB-A の主要諸元一覧を見ると、1,580kN って数字は SRB-A のどのバージョンよりも低い。ていうか先代の SRB より低い。ほんとなんでこんなに大人しいんだろ。これがもし SRB-A のフルパワー版を使うとすると、真空中で 2,500kN なんで 大気圧中は 2,250kN ってことで質量推力比は 2.49、実効加速度は 1.49G ですな。M-V 5号機よりちょいと上の数字になる。行けると思うが。けどペイロードにとってキツいってのはあるかも。

あるいは、1,580kN は真空中じゃなく大気圧中なのかな。Wikipedia の諸元にはどっちか書いてなくて。これが大気圧中だとすると、真空中推力は 1,738kN になる。SRB(1,760kN)にようやく追いついた感じの数値ですな。この場合は質量推力比 1.74、実効加速度 0.74G で、H-IIA 202型(0.76G)と同じくらい。なんかこれが適正な気がする。実際はどうなんだろ。

銘板左端銘板銘板右端

H-IIA は1段目メインエンジン1基+ブースター2基で離床時の実効加速度 0.76G ですな。途中でブースターを捨てた後は、推力は5分の1になる。イプシロンはブースターなし。離床時の実効加速度が 0.74G だとすると、1段目の燃焼末期の加速度は H-IIA より確実にキツいってことになるな。結局 0.57G にせよ 0.74G にせよ 、「後半の伸びでキリキリ稼ぐから離床時の加速度は低めでいい」ってことにもなるのかな。1段目燃焼前半は大気抵抗との戦いもあるわけで、はじめチョロチョロのほうが都合がいい面もあるし。

だが羅老、てめーは低すぎだ。

銘板
2012.10.19 金曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121019
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ノリトニカワ

膠(にかわ)って現物を見たことないけど、昔から使われてる接着剤の一種だよね。「膠着状態」なんて言葉があるから、それ経由でようやく理解できてるというか。まーなんですか、アロンアルファでくっついちゃってにっちもさっちもいかないイメージで。

けど瞬間接着剤って強力だけど、長持ちしないよね。ビシッと平らな面同士じゃないとくっつかないし。やっぱ最強はエポキシだよなぁ。目減りしないし、それ自身がプラスチックになっちまうんだから。けどモノによって超臭いのがアレだなw 昔、模型塗料メーカーの方のグンゼが出してたマスキングゾルはもっとすごかったけど。あとは木工用とか金属用とか合成ゴム系とかタミヤのプラモデル用とか(あれってプラスチックを溶かして、揮発物質が乾くと融着したまんま固まるっつう、けっこうおもしろい仕組みなんだよな)。それに紙用の普通の糊も、固形スティックもあれば鼻水みたいなのもあれば、フエキのり(米が原料なのかな)とかもあるわな。

てなわけで、現代はもう米の糊でさえ出番が限られてるわけで、これより強力なはずの膠は合成系に完全に取って代わられてしまった気がする。

てことでおいらは膠の現物を知らんのだけど、このまえふと気づいたことがあって。言葉面だけの話だけど、これ和語だよな。音読みが「こう」で、訓読み(和語)が「にかわ」。

……、

……、

……。

「煮皮」の意味だったんじゃないかと今さらながらに気づいてさ。動物の皮を煮て、その上澄みか沈殿物かが「にかわ」なのかねと。

てえことで Mac 標準の辞書で調べてみた。

国語辞典

に - かわ【膠】- かは

獣や魚の皮・骨などを水で煮沸し、その溶液からコラーゲンやゼラチンなどを抽出し、濃縮・冷却し凝固させたもの。接着剤・写真乳剤・染色などに用いる。

和英辞典

にかわ【膠】

glue

にかわで2枚の皮をくっつける|glue two pieces of leather together

でござんした。やっぱしそうだった。しかし獣だけじゃなく、魚の皮もアリなんだね。しかしおいらはけっこう魚は皮も食うんだが(鮭の皮最高っす。さすがに身の方が好きだけどさ)、昔の人はことさら食べ物を無駄にしなかったそうだが、魚の皮なら獣の皮より抵抗が少なかったんじゃないかとも思うが、やっぱしけっこう泣く泣く膠を取るべく食いたいのを我慢したんだろうかw

んでさらに、和英辞典でまた納得。そうだよなー皮から取ったものだもん、皮をくっつけるには最適だよな。

んで英語では "glue" なわけで、これ日本語だとよく「糊」と訳されてますわな。膠の方だったのか。つかどっちも一緒くたかな。西洋は米はあんまし食わんしな。

おお、さらに英和辞典で "glue" を引いたら、ラテン語起源の古フランス語から来てるらしい。んでそのラテン語の原義では、まさに膠の意味らしい。んでそのラテン語は "glûtem" だそうで。おおお、「グルテン」に近い感じだぞ。

ってグルテンって何だっけ!? なんかお米かなんかの成分だったような……。そしてまた辞書。

グルテン【(ドイツ)Gluten・(英)gluten】 小麦粉に水を加えて練った生地を水中で洗い流していくと得られる粘性物質。主成分はたんぱく質で、グルタミン酸を多く含む。麩(ふ)の原料。麩素(ふそ)。

ほうほう小麦か。粘性物質ですか。やっぱし "glue" と語源が同じっぽいですなぁ。日本語で「麩素」っていうのかーまったく知らなんだ。「麩の素」だからって、なんかすごく分かりやすいww

さらに調べたら、英語版 Wikipedia "Gluten" に記述あり。

Gluten (from Latin gluten, "glue") is...

キターーーーーーーー!!

てことで、英語の glue の由来は膠だけど、植物由来の「糊」も含むんだね。日本語では、膠と糊ってなんかかなり別物な感じがすると思うんだが。

とまぁ別にそれを知ったからってどうにもなんない雑学を拾ったわけで。でもなりなりに満足だったりw

銘板
2012.10.20 土曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121020
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

断続探査機 IKAROS

IKAROS 復活の記念動画が出てたよ。プロジェクトマネージャーの森治先生へのインタビューですな。

ちょうど1時間のあたりでビーコン運用の話が出てる。1ビット通信の進化形が使われてるとゆーアレ。やっぱしテレメトリモードより遅いそうだけど、今までの1ビット通信よりはるかに便利なはず。これも、火星探査機 のぞみ と小惑星探査機 はやぶさ の極限の運用がなきゃここまでにはなれなかったはずで。歴史と由緒を感じる装備ですなぁ。

今回 IKAROS が無事に見つかったわけだけど、もうスピン回転数の制御はしないみたいだね。風車効果でブン回るに任せると。いずれまた太陽電池が太陽を向かなくなって通信途絶することになるわけで、また何カ月か待ってれば復活するわけで、そんな繰り返しの運用になるらしい。

しかし IKAROS の光子推進って超微弱(出力の弱さで有名な はやぶさ のイオンエンジン1基の7分の1)なのに、それで IKAROS が動き回ってしまって、探すときは大変なんだね。その予測計算がうまくいったことが今回の復旧で証明されたわけで、また通信途絶してもかなり不安は減りますわな。

あと知らなかったのが、IKAROS の回転軸はもともと自動で太陽追尾する設計になってるんだね。方式は違うけど、はやぶさ のノウハウが生かされてるなぁ。スピンが速いとコマの原理のほうがその効果に勝ってしまうけど、その仕組みがないよりずいぶん助かってるんじゃないかと。

IKAROS を布石にした木星圏探査機の話も出てる。IKAROS はもともとこのための要素実験機なわけで、その成果を受けて、外形がかなり変わったね。その画像でも。まずは2010年に公表された絵柄。

昔の木星圏ソーラー電力セイル

これをこの日記に載せた当時、(実写版ヤマトの)「ガミラス艦」と評してしまったw セイルのハサミクローバー型のとんがりがなんかこう邪悪な感じがしてww(クローバー型が研究されてきたのは、性能面はもちろんだけど、一般受けも視野に入ってたそうだけど……。)

して今回発表された版の外見はこんな感じ↓

現状の木星圏ソーラー電力セイル

ブ、ブラックイカロス様!?wwwww 形状は IKAROS そのまんまの単純な正方形。もっとでっかいけど。IKAROS の設計と運用の成果を余さず使おうってことかと。して帆が全部黒いのは、IKAROS の帆では部分的に貼り付けてた薄膜太陽電池を全面に使うってこと。木星での太陽光の強さは地球での 4% しかないからな。あのあたりでイオンエンジンを噴かしつつ通信の電力も、となると、きっとこうなってしまうんだろうなぁ。

けどソーラーセイルの効率って帆の表面の反射率の高さに影響される。銀色が一番効率よくて、黒は一番悪い。けど全面が太陽電池なんで、太陽電池の効率としては光をできるだけ吸収して反射しないことが肝心なわけ。ソーラーセイルの帆としては矛盾してしまう。

けど完全な黒でも太陽光推進力はゼロなわけじゃなく、完全反射する理想的な銀色の半分の出力が出る。IKAROS の帆は反射率 100% ではないわけで、木星圏探査機の帆の反射率も 0% でもないんで、単位面積あたりで光量が同じなら IKAROS の6割くらいは稼げるんじゃないかと。

とはいえこの図を見るに、この探査機の帆はソーラーセイルというより軽量大面積な太陽電池パネルの性格が強い感じですな。機体質量だって、薄膜とはいえ太陽電池をこんだけ貼ったぶん重たくなるだろうし。

してもうひとつの推進装置のイオンエンジンはどうなるのかと。イオンエンジンとスピン型ソーラーセイルとは構造的に相性が悪いはずで、そのあたりをどう解決するのかがおいらには謎だった。その回答になってるような映像も出てたよ。

銘板
2012.10.21 日曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121021
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

謎の木星圏探査機 その1

イオンエンジンのオフセット。やっぱりそう来たかって感じではあるけど、とりあえず↓こんな見映え。

木星探査機のイオンエンジン

胴体の下の方にあるのがイオンエンジンですな。この CG の版では はやぶさ のユニットをそのまま使ってる(エンジン A が止まってるとこまで再現せんでもw)。

イオンエンジン、斜めを向いとりますな。取り付け位置も機体の真後ろではなく斜め。たぶん推力ベクトルは機体の重心を貫いてるんだろうけど、スピン安定型だからある程度までならズレてても影響ないかも。

んで動画じゃよく分からんかったけど、なんかイオンエンジンユニットが載ってる台座そのものが、中華料理の回転テーブルみたいにくるくる回るような気がする。機体のスピンとは逆方向に。で、この回転テーブルは相対的には止まってるっつう形になるような気がする。それだとイオンエンジンは常に同じ方向を向いてられる。

もしそうじゃないとしたら、イオンエンジンは本体と一緒にスピンしながら斜め方向に噴射することになる。横方向の推力がかなり相殺されるわけで、あまり効率のいい方法ではなくなってしまう。例えばオフセット角が45°だとしたら、実効推力は 70% になる。イオンエンジンは普通の化学エンジンの10倍もの効率を誇るのが売りなのに、7倍に落ちてしまう。もったいない。太陽帆の全面を太陽電池にして、ソーラーセイルとしての性能を下げてまでイオンエンジンを重視してるってのもあるんで、その選択はないかと。

本体スピン+一部は逆スピンで静止とゆーのは、衛星では昔から一般的。気象衛星 ひまわり も5号まではこの形だった(6号以降は3軸安定型)。探査機の実績では、ISAS 自身のハレー彗星探査機 さきがけ と すいせい で80年代に実証済み。可動部が増えるのがちょっと怖いけど、まー実績ある技術だから大丈夫でしょう。

木星に行く道筋は、おいらはてっきり H-IIA ロケットに第3段キックモーターを付けて、木星に直接飛ばすもんだと思ってた。けど はやぶさ で使った EDVEGA をまたやるんだね。しかしこの探査機も質量が 1トンに満たなそうなのに EDVEGA なんですかい。H-IIA は素の状態のままで、あかつき と IKAROS とその間仕切りの、合計1トンほどを金星遷移軌道に直接投入したんだよね。適切なキックモーターを付ければ木星に直行できそうに思うが。

おいらは EDVEGA はあまり好きじゃなくて(川口淳一郎先生考案ではあるけど)。目的地に行くまでに時間をかけていろいろ回るというのは、今までの実績的にもアレだしな。精度は折り紙付きだけど、段取りの複雑化と旅程の長期化は予想外のトラブルのもとでもあるんで。

のぞみ は二重月スイングバイ+地球パワースイングバイの予定で火星に向かった。予定の前半は完璧だったけど、地球パワースイングバイのときにエンジンがトラブった。

はやぶさ の EDVEGA 自体は問題なかったけど、その段階で巨大太陽フレアに当たってしまって太陽電池の発電量が低下。それで小惑星イトカワへの到着が遅れて、あのトラブル連鎖の端緒になった。もし地球からイトカワに直行できてれば、打ち上げは1年遅らせられた。そして はやぶさ の太陽電池は地上にあって、地球の磁場と大気が太陽フレアの攻撃から守っくれてたはず。

どっちも、目的地に直接行けてればあんなにツライ目に遭わずに済んだわけで。

巨大太陽フレアは数年に1回の割合で発生するらしい。のぞみ のときも、火星到達を延長してる間にそれに当たって追い討ちになったしな。

木星探査のいいところは、太陽から遠いってこと。電力確保が大変にはなるけど、太陽フレアの影響は小さくて済む。それが EDVEGA をやるとなると、1年もの間、地球近傍をウロウロしてなきゃいかん。そのためだけに探査機を強化する必要も出そう。

外惑星に行くのに内惑星でスイングバイするのは、NASA のお家芸。木星探査機ガリレオと土星探査機カッシーニですな。あと今飛行中の木星探査機ジュノーは、EDVEGA と少し似てるスイングバイを予定してる。向こうさんは経験豊富だし重装備化もいとわんからいいとして、ISAS の木星探査機はイオンエンジンとソーラーセイルなもんで、最初から極限の軽量化が求められるわけで。太陽フレアの防御対策は極力軽くしたいとこなんじゃないのかと思うが。

2004年、ISAS は対放射線性能が高い LSI の開発に成功した。てことで制御システムはそれを太陽フレア対策にできると思うけど、薄膜太陽電池、大丈夫かなぁ。

あと、件の図を見てちょっと「あれれー」と思ったのが、パラボラアンテナを積んでるってこと。アクティブアレイアンテナじゃないんかい。金星探査機 あかつき で効果は実証されてるはず。その成果を受けて、はやぶさ2じゃ2枚載せることにもなったのに。なんでここで先祖帰りするんだろ。

おととし、はやぶさ が地球に帰ってくる1週間前、おいら相模原の ISAS に詣でたんだわ。そのとき一般展示の片隅に、木星探査機の模型を見つけたんだわ。アンテナがパラボラだったんだわ。そのときも「あれれー」と思ったんだわ。もしかしたらこの模型を作った時点での構想では、アクティブアレイはまだ水物だったのかもな、と納得してたんだが。その模型の写真を撮ったんだけど、今年4月にハードディスククラッシュで失ってしまったですよ…… orz で、設計が更新されてもパラボラが維持されてるのはなんでだろ。

しかし NASA のジュノーもいまどきパラボラなんだよな。

ジュノー

木星探査の場合、パラボラの方が有利な理由があるんだろうか。つかジュノーの絵と比べると、ISAS 木星圏探査機のパラボラは口径が明らかに小さいですな。宇宙機の通信速度は電波強度に比例するらしい。お椀の口径が小さければ発信器の出力を上げて対処する形になるんだが、そんなに電力に余裕があるんか? ほんとにこれで足りるのかな。まぁ詳細設計がまだで、今はここらへんとりあえず CG 上で取って付けただけなのかもね。画像じゃイオンエンジンがユニットごと はやぶさ そのまんまだしさ。

あとスピン型でしかもイオンエンジンも積んでるってことは、方向制御の範囲が狭いってこと。巨大な帆をぐるぐる回してもいるから、機体の方向制御をすること自体が難儀なはず。そこに、指向性が超強いパラボラアンテナってのもよく分からん組み合わせな気もする。んー、高精度なジンバルに載ってればいいってことか。宇宙機向けジンバル自体は はやぶさ のイオンエンジンで実績があるな。あとは精度か。

アンテナと太陽帆の向きの違いも、ジンバルでどうにかなりそうだね。どうせ高利得アンテナの出番は木星に近づいてからなわけで、そこから見ると太陽と地球はいつも大体同じ方向にあるわけで、ジンバルの可動範囲は木星から見た太陽−地球の最大離角に合わせればよしと。片側で asin(1/5)≒0.20Rad≒11.5°か。おいらが思ってたより大きいけど、「無理」というほどでもないかも。

銘板
2012.10.22 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121022
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

謎の木星圏探査機 その2

地球の公転軌道より外側を飛ぶ探査機から見て、太陽と地球が重なったときの通信って問題ないんだろうか。今まで考えたことなかったよ。

探査機からの発信は地球の夜の側にあるアンテナで捉えればいいだけの話だけど、地球→探査機の方向だと、探査機から見て地球の背景からは太陽からの電磁波が出てるはずで、アンテナはそのノイズも同時に拾う。日本では のぞみ と はやぶさ がその場面に遭遇したはず。ただこの2機は地球に比較的近かった。探査機から見た太陽−地球の離角も大抵はけっこう大きかった。地球と探査機との軌道傾斜角の違いもあったんで、もしかして地球と太陽がビシッと重なってしまうことはなかったのかも。

その代わり、はやぶさ の運用では地球から見て探査機が太陽の向こうに隠れてしまうことがあった。んでその離角、NASA では5°以下なら太陽のノイズに邪魔されるから通信しないことになってるそうだけど、はやぶさ の実運用で2°くらいまでは通信できることが分かったらしい。

木星から見ると最大離角が11.5°だからな。通信不能の範囲によっては、ミッション遂行がかなり制限されることになる。

あーでも地球→探査機の方向は大丈夫かな。地上じゃ大電力+大口径のアンテナで出力が稼げるから、太陽のノイズにかき消されないほどの大声で通話できるのかも。先達の NASA の見解を知りたいところですな。

銘板
2012.10.23 火曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121023
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

どうでもいい謎の言葉

物心ついた頃からのしょーもない日本語的ギモン。

「やってきた」の「やって」って、何をやってきたんだろ。例えば、

♪ハットリ君がーやってきたー

ハットリ君、何をやってから、あるいは何をやりながら来たんだろ。

いまだに謎。

銘板
2012.10.24 水曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121024
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

3度目のナントカか

さて3回目の挑戦ですな。韓国の羅老ロケット。打ち上げ予定期間はあさってから今月いっぱいあたりまでだそうで。

さすがに今回こそは成功するんじゃないかと思うが。1段目その他担当のロシア企業クルニチェフもこのままじゃ終われないだろうし。2回目(2010年)のときはクルニチェフ側の担当分がトラブった可能性(1段目燃焼中に爆発)が大いにあったけど、失敗原因は結局ウヤムヤのままだったんで。クルニチェフの見解は「1段目燃焼中に2段目(韓国担当分)が点火したのが原因」としてたけど、そうは言っても証拠が挙がってないんで、クルニチェフ側の問題だった疑惑が晴れたわけでもなし。

ロシアといえば原潜クルスクの沈没のとき、合同演習中のアメリカのせいにしようとしたことあったな。アメリカ側はすぐさまデータを公表して「うちじゃありませんから」と華麗に回避してみせたっけ。これのおかげで、おいらにはロシアはそういうことをし得る印象がありまして。

けど韓国側も2010年当時は衛星軌道挑戦まだ2回目ってことで、ロシア様に「こうなんだ」と言われるとはっきり否定できないっつうのもあったりして。

羅老計画、打ち上げ管制などなどほとんど全部ロシアがやってるってウワサは本当かもしんないなと。いやだってさ、2回目の打ち上げ失敗で、韓国側はテレメトリデータを取れてなかったっぽいんで。2段目の3軸の加速度とジャイロ信号のテレメトリがリアルタイムで取れてれば、何が起きたかは予想がつきそうなもんだが。そこらへん全部クルニチェフのみがデータを持ってて、韓国側は大したデータを取得してないようなニオイのような……。

韓国のマスコミは、日本の衛星初打ち上げが1970年に成功するまで4回失敗したことを引き合いに出して、自らを鼓舞したりするらしい。けどそのときの日本の打ち上げチームはフル国内体制だった(全段固体燃料衛星打ち上げロケットの開発は日本でのみだったんで、外国は一切絡まなかった)。テレメトリデータも全部自力で取ってて、トラブル時に何が起きたかはその都度正確に把握してた。

日本はこれとは別系統のロケットで外国の技術を導入して、今の韓国と似た立場になってたことがある。

上に書いた、日本初の衛星「おおすみ」を打ち上げたのは宇宙科学研究所(ISAS)。こっちのロケットの技術は全部自力で開発してきた。もう1つの系列の宇宙科学事業団(NASDA。のちの JAXA 本体)は、アメリカからの技術導入でロケット開発をしてた。ISAS が何もない状態から始めた全段固体燃料ロケットは、最初は高層大気を観測する弾道ロケットだった。のちのち小型の科学衛星の打ち上げに使えそうな見通しが立った時点で、ソビエト、アメリカの宇宙開発陣たちははすでにハイレベルな競争してた。フランスも衛星打ち上げに成功した。対して ISAS ロケットはいつになったら中型・大型の実用衛星を打ち上げられる水準に届くのか、見当がつかない状態。

それで ISAS ロケットとは別に、海外で実績のある中・大型液体燃料ロケットを開発して、実用衛星がよく使う静止軌道に行ける手段を手っ取り早く確保しようという狙いで NASDA が誕生。

んでアメリカのロケットを基本に開発を続けてた折、静止衛星の軌道投入に失敗したときがあって(1980年、N-1 ロケット6号機での打ち上げ自体は成功。衛星本体搭載のアポジモーターに不具合が発生)、このときアメリカ側は日本の衛星のトラブルだと言い張ったけど、テレメトリデータを持ってた日本側はそれを解析。断定までは行けなかったけど「最も怪しいのはアメリカ製の固体燃料キックモーター」との結論に達して、とぼける NASA に証拠としてデータを突きつけてやったそうな(五代富文氏 談)。

さらにその疑惑のキックモーターの履歴を調査したら、消費期限が切れた不良在庫を掴まされてたことが発覚。でも立場的にアメリカ様に逆らえなくて、泣き寝入りするしかなかった。んでそれを機に、NASDA は純国産大型ロケットの独自開発を急ぐことになった。

テレメトリデータを持ってると、いろいろと不明な点を明らかにできるわけで。ていうかロケットってトラブルが出ても超高空から墜落して原形をとどめてない場合が多いし、ロシア・中国以外の国では海に落ちるんで、回収自体が至難の業。そんなわけで事故原因を探るには実質、テレメトリデータを当たるしかない。

てことでロケット開発って、特に何が起きるか分からん試験機段階ではテレメトリをどんだけ多く取るかが命かと思う。けどそこらへん韓国は今まで2回も打ち上げといて、ろくなの持ってなさそうってのがな。

今度の羅老の3回目の打ち上げでは、とりあえずクルニチェフの1段目はきっちり仕事してくるとは思う(最近ロシア国内で打ち上げ失敗が多くて、危機感が強くなってるらしいし)。さて韓国担当分がどれだけきちんと働くか、ここにかかってる気がする。

銘板左端銘板銘板右端

「日本の衛星初打ち上げが成功するまで4回失敗した」はね、上にも書いたけど全部日本のオリジナル設計で、外国のロケットとまったく技術互換性がなかったのが原因(さらに ICBM 開発かと海外に疑われないよう、普通は必須のはずの誘導装置もなかった)。4回の失敗のうち2回は、仕事を終えて切り離した3段目が、これから仕事しようとタイミングを待ってた4段目に追突したのが原因だった。

固体燃料ロケットって燃え終わっても、中の断熱材がしばらくまだくすぶってるんだそうな。その排気で切り離し後もトロトロと加速して、先を行ってる4段目に追いついてしまった。これ固体燃料だからこそのトラブル原因ですな。それまで世界の誰も挑戦しなかった方法だったんで、自分でやってみて初めて分かったと。そこも含めて改良を続けて、ようやく5回目で成功したと。半完成のロケットを外国から技術者付きで買ってくるのとはわけが違うわけで。

つか半完成のロケットを外国から買う方針でいえば、日本だと ISAS じゃなく NASDA ですな。アメリカのデルタロケットをベースにした N-1(7機)、N-II(8機), H-I(9機)全24機とも衛星軌道に達したわけだが(うち N-I 5号機は「一部失敗」の扱い。静止遷移軌道投入には成功したものの、固体燃料の3段目が例の理由で衛星に追突してしまった。その事例は既に知られてた頃合いなんで、たぶん防止策がうまく働かなかったんじゃないかと)。

銘板
2012.10.25 木曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121025
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ティーダ乗り

おう、久しぶりだな。俺だよ。ゆんずのローバーミニのハイマウントストップランプだよ。

とうとうおいらも暇を出されちまったよ。

クルマの本体がサビサビのボロボロになっちまって、今年の10月25日(つまり今日だな)の車検前に廃車にすることになったってことだな。

俺はその前に取り外されて、本体もろともの廃物扱いは免れたわけだが、まーこれからの余生をどうすっかだよな。

しかしバックフォグとしてイギリスで生を受けて("MADE IN ENGLAND" と書いてあるぜ)、ろくすっぽ使われないままステイがさびてもげ落ちて、そこを拾われてハイマウントストップランプとして復活して今まで働いてきたわけでよ、また出番があるかどうかもよく分からんが、ゆんずの部屋のインテリアくらいにはなるかもな。

んで新しいクルマはどうなったかっつうと、先週金曜に中古の日産ティーダが来てよ、今度は7年ものだそうだ。ミニの方は今年で17歳だったから、10歳若返ったわけだな。

ゆんずに言わせると、日本車は安定感や信頼感が違うんだそうだ。15万km をとっくに超えてるこれまたロートル車体だってのに、全然カチッとしてるんだそうだ。あと e-4WD だから冬場が楽しみだとか抜かしてやがる。四駆なのに前後をつなぐプロペラシャフトがないから、コーナリングの抵抗感もなくて、二駆モードだと普通の FF 車と同じ感覚ってのもいいらしい。

ただ、もの足りないんだそうな。「いいコとかわいいコは違う」んだそうな。

銘板
2012.10.26 金曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121026
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

普通のこと

羅老ロケットの打ち上げは不具合発生で延期ですなー。早く直るといいね。

成功を祈ってる人たちにとっても野次馬的にワクワクしてる人たちにとってもヤキモキする状況だけどさ、ロケットの打ち上げ直前に不具合発生で延期って普通だから。特に試験機ならなおさら。発射してしまってからトラブルが発生しましたじゃもう全損ほぼ決定なわけで、出るべきトラブルが飛ぶ前に出たのは幸運のうち。

飛行中にトラブルが出ても強引に成功に持ち込めたケースも稀にあるけど。向井さんが2回目に乗ったスペースシャトル、メインエンジンの1基が終盤にイカれて自動停止したらしい。残りの2基を長めに回して持ちこたえたとか。シャトルは人が乗るものだから、そこらへんの危機回避策は何重にもめぐらしてありそうだけど、無人ロケットはコストとの折り合いでそこまではやってない。1カ所コケればできるだけがんばるけど全部オジャンの確率が高いっつう設計が普通だったりするわけで。

宇宙科学研究所(ISAS)の M-V ロケット4号機の1段目は、点火直後に噴射ノズルが破損した。飛行中に「こんなこともあろうかと」発動でベストを尽くしたけど、それでもフォローしきれなくて失敗に終わってしまった。それまでに衛星・探査機を、失敗2回も含めて25機も打ってきた、その経験が詰まった状態でそれだったわけで。打ち上げ3回目の羅老はそこらへん期待できなさそうなんで(特に韓国担当部分)、なおさら飛ぶ前にトラブルが見つかってよかったと。

まーここは待つしかないでしょうな。ここまできて「打ち上げやめました」はなおさらないし。

銘板左端銘板銘板右端

しかしまた、成功したら韓国国産の技術の勝利で、万が一失敗したらロシアのせいになるんだろうなぁ。1回目の打ち上げのときは明らかに韓国担当部分のトラブルだったのに、何が何でもロシア側のせいにしようとしてたし。

あのときは大統領が「半分成功」という解釈を出したっけな。衛星が軌道に乗らなきゃ普通は「失敗」ですが。それでも「成功」とするなら、そうねぇ、ロシア企業が担当した1段目だけが成功だったな。

銘板
2012.10.27 土曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121027
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

生化学的ロケット批評

けっこう前にさ、H-II ロケットを批判的に書いたムック本を読んだことあるんだわ(H-II が現役だった頃)。書いたのは医療・生物学ジャーナリストの人でさ、なんてーか、すげー的外れで。

H-II って「ペイロード比」という切り口で見ると究極だったんだわ(いまだに世界のロケットの歴代最高)。んでそこにツッコミ入れたくなったらしく、「ゼロ戦型モノ作り」とか言って噛み付いてたな。「日本はついにゼロ戦を超える戦闘機を開発し得なかった」という見方を流用して。

とりあえずゼロ戦越えの国産戦闘機はそのあといくつもあったろ。戦局の要請でそれぞれ用途に特化していったから、八方美人型のゼロ戦ほどツブシが効かなかったってだけで。

んでその人に言わせると、ゼロ戦は奇跡的なバランスで生まれたもので、H-II もそうだから、これ以上のものは日本には作れないとかそんな感じ。結果論だけど、ペイロード比じゃ H-II より若干落ちるものの、設計を1からやり直した H-IIA も、H-IIA から派生した H-IIB も、そこ以外は H-II を超えるいいロケットに仕上がりましたなぁ。つかそのペイロード比の世界歴代ランキングも、1位 H-II、2位 H-IIB、3位 H-IIA だったりする。

もうひとつ、この著者がおかしなことを言ってて。打ち上げ直前に不具合発生で延期なんてあり得ないことだそうで。医療の現場じゃ緊急手術のとき、「機械が壊れたので手術できません」なんて許されないことだからだそうで。だから H-II ロケットはダメなんだそうで。

おかしいですなぁ。H-II ロケットはいつから医療機器になったんでしょ。H-II が打ち上げを延期したら人が死ぬのかと。ていうかそれなら世界中のロケットは全部ダメなロケットになるだろと。打ち上げ前に不具合が見つかるのはどこのロケットでもけっこうある。そして、飛んでしまってからじゃ墜落あるのみでもう取り返しがつかない。ウン百億円が海の藻屑。でも打ち上げ前に不具合が見つかれば取り返しがつく。「全損 → 全部作り直してやり直し」よりもはるかに少額の追加費用で仕切り直せる。それの何がどうダメなのか、いまだにさっぱりわからん。

この医療ジャーナリストさんって生化学の学者と組んで、アカデミックな意味で野心的な本を出し続けてる人でさ。おいらが初めてその人の本を読んだのは20年くらい前。魅力を感じましたですよ。進化論に興味を持ったのは間違いなくこの人の本のおかげ。そして今も現役で、その路線で魅力的な著書を出しておられる。ただ H-IIA トンチンカン批判の一件で、この人についてのおいらの脳内ステイタスはずいぶん落ちたですなぁ。土地勘のない分野にうかつにクチバシ突っ込むのはいかんってことを、これで学ばせて頂きましたですよ。

銘板
2012.10.28 日曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121028
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ロケット的技術進歩

昨日の関係で、あんましよく知らんまんまだった N-1, N-II ロケットを Wikipedia でちょっと調べたんですわ。

小惑星探査機を打ち上げた M-V ロケットのスペック、実は N-I を軽く凌駕。N-II に匹敵してたんですな。M-V は「固体燃料として世界最大級」が売りだったけど、固体だから液体燃料ロケットにしてみれば小型だとばっかり思っとった。M-V のデビューは1994年だから N-I の19年遅れ。アメリカの技術を借りて作ったロケットに、原構想段階から純国産で開発してきた固体燃料ロケットが性能で追いついてたんですなぁ(感慨)。

N-1 の1回あたりの打ち上げ費用はは不明だけど、N-II では46〜50億円。N-1 も同じくらいと仮定してみる。M-V は70〜75億円ほど。M-V のが高いけど時代が19年ズレてるんで、その時期の物価上昇分を考えるとトントンくらいかな。固体はそこまで来てたんかー(再び感慨)。

来年打ち上げ予定の新型固体ロケット「イプシロン」の低軌道打ち上げ能力は1.2トン。M-V より小型になってしまったけど、これが N-I と同じスペックだったりする。イプシロンのお値段は試験機で38億円、それ以降で30億円以下が目標らしい。38年間もの物価上昇があったのに。隔世の感ってこのことですか。

今現役の H-IIA がイプシロンの能力の8倍で値段が3倍なんで、イプシロンは割高な感じがしないでもない。でもこれはスケールメリットのなせる技。N-I と比べるとかなりいい線行っとりますなー。日本の実質 GDP で見ると、2011年の 506,833.3(×10億円)に対して1975年は 234,458.7(同)で、38年で倍以上になってる。

実質 GDP は名目 GDP にインフレ/デフレの調整をかけたものだそうだから、やっぱし実質的に日本の経済規模は倍増したわけで。それでいて同じ性能のロケットの値段が恐らく据え置きかそれ以下って、かなりすごいことなんじゃないかって気がしてきた。

技術の進歩の方向性は、おいらが知る限りでは2つある。ひとつは、今までできなかったことができるようになること(質的変化)。もうひとつは、その産業の規模の縮小(量的変化)。

前者をロケットで言うと、ロケットがなかった頃には衛星もなかったわけで、例えば衛星通信や衛星での気象観測、GPS、探査機で天体を近接探査、有人宇宙飛行と宇宙ステーションなんてのはその前にはできなかった。そして今はできる。その質的違い。

後者は例えば、それまで印刷屋に頼んでたものが今は自宅のパソコンでできるようになって、あるいはネットと画面で済ませて紙媒体が減ったりで、印刷業界全体の経済規模が縮小してしまったりとか。デジカメの普及で現像工程がほとんど要らなくなって、しかもカメラが数ある家電の1ジャンルに落ちて、カメラはさらにケータイに組み込まれるまで小型・簡略化してしまって、写真・カメラ専門店がドンドコ消えていったりとか。そういう量的な違い。

ロケットを後者に当てはめると、情報産業ではなく現物製品産業なんでそこまでキョーレツな変化はないけど、それでも順調に経済規模の縮小に向かっとりますなぁ。イプシロンのコストダウンには IT がかなり貢献してはいるけど、設計や製造工程の単純化も相当効いてそう。見た目からしてブースターなしでスッキリしてるし。最終製品のそんな単純化こそが技術進歩の果実ですな。

銘板左端銘板銘板右端

そしたらイプシロンが N-I にさらに追いつくには、実用衛星の特等席、静止軌道への打ち上げなんじゃないかと。日本の固体燃料ロケットは実用衛星の打ち上げ目的からは外されて、科学観測・探査の専用ロケットとして発展してきた。その方向に限れば静止軌道には用はない。けどイプシロンの開発元は同じ宇宙科学研究所(ISAS)とはいえ、今の ISAS は JAXA の一部になった。実用もイケることを証明すれば、意外にお客を集められるかもとか妄想したりもして。

となると、ちょっと無理があるけど、イプシロンの1段目(H-IIB のブースター: SRB-A)と2段目(M-V の3段目の改良版: M-34c)との間に M-V の2段目(M-25)を挟めば新生 M-V 大復活となるわけで(そういう構想はあるらしい)、そしたら今度は N-II 超えや、あわよくば H-I 超えを狙えるかなと。ただ1段目の SRB-A の出力が M-V の1段目の M-14 の半分程度なんで、ここをどうにかせんとな。SRB-A のドンガラ自体の引張り強度は M-14 の倍なうえに質量も半分程度なもんで、固体燃料の配合とノズルスカート・TVC 周りを M-14 以上に強化する方向で、かなりいい1段目に仕上がるかも。

そういや M-V の低軌道打ち上げ能力は改良後の公称で1.85トンになってたけど、実は2段目の高性能化が効いて2.3トンに達してたらしい(ソースは松浦晋也氏)。大人の事情で、公称性能は控えめな数字にせざるを得なかったらしい。これが本当だとすると、M-V の能力は既に H-I をわずかに上回ってたことになる。

1980年代までは複雑でデリケートな液体燃料ロケットでしかできなかったことが、今は単純で頑丈な固体燃料ロケットでやれるところまで来てる。技術の進歩ですなぁ。

これはイプシロン → 新生 M-V、やる必要性を感じさせますですなぁ。

銘板
2012.10.29 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121029
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

夢のインプレッサ

最近、シリーズで見てる夢があるんさ。夢って将来の夢じゃなく、寝てるときの夢。

それでなんかおいら、スバルのインプレッサを買ったらしいのよ。現実世界じゃ特段に好きな車でもないんだけど、夢の中では惚れ込んで買ったらしい。んで月極駐車場に停めてるんだけど、隣の車のオーナーさんが羨ましげにおいらのインプレッサを凝視してたりするんですわ。どうもその世界ではインプレッサが超人気で、スーパーカーと同格の扱いらしい。んで「何見てんだよこのタコ」な目で見返してやったり。イヤな野郎ですww

そしてガキども。

小学生の男の子が何人か、おいらのインプレッサにまとわりついててですね、おいらがドアを開けると勝手に乗り込んだりするんですわ。しょうがねえなあそんな好きなら乗っけてドライブしてやろうかなとか、いやいやそれじゃ世の中から誘拐と誤解されるヤバいヤバい、やっぱお前ら降りろよ早く、とか。あーだったら走らなきゃいいか、よしあと5分だけ乗ってていいけど中のもの壊すんじゃねーぞ、とか。

うるさいギャラリーがひととおり引けた後、おいらは愛車インプレッサにいよいよ搭乗して、エンジンに火を入れた。

あれれなんか音がおかしいんですが。すげー調子悪そうなんですが。変なニオイも漂ってきてますが。

走ってれば直るかなと、ちょいと車を出してはみたもののやっぱしヤバげ。すぐに月極駐車場に戻ってエンジン止めて、しばらく半泣き。どうすべ。

ボンネット開けたって分からんだろうけど、一応開けてみるかと。

分かった。

このまえ洗濯したシャツを干すのにエンジンにかぶせたまんまだったんだわー。忘れてたーテヘッ。という意味不明なオチでして。夢なんで。

んでその「このまえ」が前回夢を見たときのやつだなーと理解して、ああこれも夢なんだとまた理解。うむぅ。そしてその理解の途端に眠りの魔法が解けて、目が覚めちゃった。あああああーーーおいらのインプレッサが消えるーーーー orz

銘板
2012.10.30 火曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121030
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

宇宙開発的ウソ

なんかまた NASA 界隈が微妙なウソ言って予算獲得狙ってるっぽいなあ。CNN 様より。

米空軍、宇宙ゴミを追跡する「フェンス」の増強を計画

2012.10.30 Tue posted at 15:51 JST

(CNN) 宇宙空間を漂う危険なゴミが人工衛星と衝突する事故などを防ぐため、米空軍は地球周辺の宇宙ゴミを監視する「宇宙フェンス」の増強を計画している。

空軍は1960年代初めごろから地球周辺にレーダー信号を張り巡らし、宇宙空間を高速移動するロケットや衛星の破片といった「宇宙ゴミ」を監視。「宇宙フェンス」はその役割を担うシステムとして設置された。

現在監視している宇宙ゴミの数は約2万ほど。しかし実際の規模はこの10倍にもなるといわれ、破片の大きさはソフトボール大からバスほどの大きさのものまで多岐にわたる。

こうした破片は大小を問わず、国際宇宙ステーション(ISS)などの有人施設にとっても、地球軌道を周回する多数の人工衛星にとっても危険な存在だ。

宇宙船や衛星に宇宙ゴミが衝突する恐れがある場合、空軍から米航空宇宙局(NASA)や民間の運営会社に通報する。

米防衛企業レイセオンの宇宙フェンス計画担当者は「衝突すれば破片がさらに増える。時が経過するほど事態は悪化の一途をたどり、改善に向かうことはない」と言う。

しかしこのフェンスが老朽化し、修復しなければ危険を見過ごしかねない状況になっている。空軍は約35億ドル(約2800億円)をかけ、民間に委託してシステムを増強する計画で、レイセオンとロッキード・マーティンの2社が、小さな破片も含めてさらに多くの宇宙ごみを監視できるシステムを提案中。年内にも発表がある見通し。

空軍の計画では2基のレーダーシステム設置を予定しており、うち1基は南太平洋のマーシャル諸島に設置する。新システムを現在のシステムと連携させて、監視態勢の強化を図る。建設は2013年末をめどに着工し、17年の運用開始を目指す。

日本の国家予算とは関係ないから、やりたきゃ勝手にやればいいけど、これを口実に「日本も資金協力を」とか来たらヤだなあ。

スペースデブリが増え続けてるとか、臨界値を超えるとケスラーシンドロームでヤバいとかまあそれ自体の懸念はウソではないんだけど、煽るほどのことかというと、今のところほんとにそうなのかと。

この記事内での明らかなウソは「時が経過するほど事態は悪化の一途をたどり、改善に向かうことはない」の部分。米防衛企業レイセオンの宇宙フェンス計画担当者のコメントですか。これウソ混じり。実際はその高度による。この人、本当は広報担当者じゃね? 危険を煽って自分の商売を有利に持ってこうとしてるんじゃね?

近地点高度 500km 以下の低軌道のデブリは、何十年かほっときゃ勝手に大気圏に再突入するよ。そこらまでの高度だと、薄いけど大気がある。遠地点が下がる形でだんだん軌道が小さくなっていく。遠地点が静止軌道(高度 35,800km)くらい遠くても、近地点高度が 200km 台だとかなりはかどる。周回ごとにどんどん高度が落ちていく。周期も減っていくから、近地点を通過する頻度も上がっていって、軌道が小さくなっていく。ついに近地点と同じ高度の円軌道になると、あとはもうレコードの溝をたどるみたいに螺旋状に軌道が落ちていく。そのまま高度 200km を切ると、消滅まであと数周。周期は1時間半。残り半日くらいで決着がついてしまう。

てなわけで、日本のロケットが静止衛星を打ち上げると、2段目の近地点高度をわざと 200km 台にしとく。デブリ化防止対策ですわ。この場合は衛星軌道にとどまってられる寿命が20年くらいらしいんで、そうねえ、H-I ロケット時代の3段目はとっくに落ちてしまったんじゃないかな。その後継の H-II だと、初号機でいきなり静止遷移軌道に2段目を投入してる。それが1994年。まだ飛んでるかも。それでも遠地点高度はかなり落ちてきてるはず。

地球観測衛星や情報収集衛星でよく使う高度 600km くらいの極軌道も、軌道制御をやめると数年で再突入らしい。

地球資源衛星 ふよう1号 は1992年2月打ち上げの、運用終了が1998年10月。そして消滅は2001年12月。太陽同期準回帰軌道ってことで、高度は 580km ほど。ほぼ円軌道。この軌道は運用終了から3年なのか。ふむふむ。

アメリカ初の宇宙ステーションの高度は ISS よりちょっと高くて 440 kmほど。打ち上げは1973年5月。再突入したのは1979年7月。こっちは ふよう1号より低いけど6年持った。ふよう1号は運用中からかなり高度が落ちてたのかもね。あるいはスカイラブは無人状態になってからもしばらく軌道制御をして持ちこたえてたか。ともかく、このあたりの軌道の衛星やデブリは、放置しときゃ数年で落ちると。

日本初の人工衛星 おおすみ。打ち上げから再突入まで23年。近地点高度350km、遠地点高度5,140km。これも参考になるね。

だから低軌道のデブリって、ほっときゃいいんですよ。勝手に消えてなくなってくれる。まあ大物は地表に届いてしまうけどさ、今までそれで実害が出たことはないし(原子力電池を積んだソビエトの衛星が、どっかの国の無人地帯に落ちて騒ぎになったことはあるけど)。あとは新たなデブリを生み出さないように、ロケットや衛星の設計で配慮すると。

ついでに、今年は太陽活動の極大期が来てる。11年周期だけど今回は1年遅れた。けど来た。こうなると、地球の大気圏がいくらか膨張するんだそうで(たぶん単に気温が高くなって空気が膨張するのが主だと思うけど、今のところメカニズムは完全解明はされてないらしい)。デブリからすると今までより空気抵抗が若干増えるわけで、危険視されてる低軌道デブリの皆様がたの高度は絶賛低下中ってことになる。この1年で、心配しなくても低軌道はずいぶん綺麗になったんじゃないかと。

問題は近地点高度が 1,000km 以上の衛星。これだと100年かそこら程度じゃ再突入してくれない。高度1,000km〜静止軌道(35,800km)の間ってどうなんだろ。近地点高度が 5,000km を超すと100万年くらいは軽く飛んでいそうなような。けど ここらの軌道高度って今のとこそんなには需要がない気がする。この空域はスカスカな気がする。ケスラーシンドロームが発生するにはまだまだ余裕があるんじゃないかと。「余裕があるうちに対策を取らねば」ってことですかねぇ。記事ではそこまで言ってないからよく分からんが。

静止衛星なんか高度 35,800km の円軌道だからな。永遠に落ちてこない。けどここらへんになると、まぁ空間が広いわけですよ。軌道半径は地球の半径を足して 42,166km なんで、その軌道周長は 265,000km。地球の周長が 40,000km だから、高度何百キロの低軌道に比べて6倍以上の広さ感覚ってわけ。なんだかんだ言っていまだにスカスカですな。

静止衛星は赤道上空で経度0.5°間隔で配置されてるそうな。最大720個を配置できると。隣り合う静止衛星同士の距離の間隔は 368km もある。役目を終えたものは「墓場軌道」という、より高い軌道に移動することになってる(運用中にトラブって、その静止軌道の位置を占拠してしまう例もあるそうだけど)。となると墓場軌道そのものがこのあたりのデブリ軌道になるわけで、まーそこにそういうのがあると分かってれば、そんなに危ないものじゃないのかもなと。

静止軌道より遠い打ち上げミッションっつうと、今のとこ月・惑星探査くらいしかないしな。日本の場合は軌道傾斜角30°くらいで打ち上げるから、赤道上空の墓場軌道からは、大抵は少し外れたコースを通り抜けることになる。アメリカ・ロシア・中国も同じ。ヨーロッパとインドは打ち上げ基地が赤道近くなんで、この考え方だとヤバげのはず。けど特にそれを気にしてる様子もない。墓場軌道もまだまだスカスカなんだろうな。

となると、今のとこデブリってあんまし危ないものではない感じで。ISS も低軌道を普通に飛んでて、でっかいデブリに当たりそうなときだけ回避マヌーバしてるしな。

デブリは大きく分けて低軌道のと高軌道のがあるわけで、危険度や特性はそれぞれ違うと。低軌道デブリは危険だけど、放っておけば大半は勝手に消える。高軌道デブリは消えはしないものの、当面の危険性は少ない。

んで米防衛企業レイセオンはそこらを無知か意図かで、ごっちゃにしてると。そして両者のヤバげな部分だけを組み合わせて、(恐らく)架空の危機を提唱、その対策の必要性を説いてると。2600億円必要だから出してくれと。デブリ探知レーダーの更新については米空軍が保有してるものが対象だそうで、国防と宇宙ってことは NASA も一枚噛んでそうだね(NASA は政府からの予算と同額の予算を国防省から受け取ってるそうな)。

こりゃ NASA がまた自己保身を狙ってハッタリかましてるニオイがぷんぷんしますですな。おいらはアメリカの納税者じゃないから向こうの政策決定には何も言えんけど、「日本も応分の負担を」とか言ってきませんようにと祈るばかりですたい。JAXA の技術者ならこのあたり見抜いてくれるとは思うけど、決定する立場の偉い人たちはどうなんだかなー。

銘板
2012.10.31 水曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr1210.html#LOG20121031
 この記事へリンクを貼る時は↑の URL をコピペしてね。

ふと思い出したグロ民話

河童ってさ、人間の「尻子玉」を抜くって言うよね。あれ子供の頃、『まんが日本昔ばなし』でやってたんだわ。

河童が人間の知りに手を伸ばすカット→その人間が「あっ!」と叫んだ横顔のカット だけだったと思ったけどさ、いつもどおりのかわいい絵柄だったけどさ、なんだかグロくて。

実際には尻の穴の中には特にそんな玉はないだろうしなあ。魂を抜く意味だったのかもなぁ。んでも子供心には、人の臓物を尻の穴から抜き取るっつうエグさがほんとグロくて怖くて。ていうかそうされた人のその後の描写がまったくなかったのがまた恐ろしかったりして。

「雷様にヘソを取られる」も子供にはなかなか怖そうだけど、河童の方がもっと怖いわ。

そういや何年か前に腸検査したとき、良性だけどポリープがありますねーとか言われたことあったな。そういうのだったらどんどん抜いてくれればいいんじゃないかと。胆石やひざにたまった水とかも。

いや待て。河童ってもともとそれをやり続けてて、医療が未熟だった昔は理解されなかったけど、実は人の健康を守るいいやつだったとか?w

銘板
銘板