ひとりごちるゆんず 2005年10月
銘板
2005.10.1 土曜
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固体燃料ロケットの

スロットリング法 1

すんませんけど10月3日ぶんまで、固体燃料ロケット萌えの人のためのネタです。ふと浮かんだアイディアが、我ながらなかなかような気がするんで、記録したくなったっす。ロケットに興味のない方および、ロケットが好きでも、液体燃料ロケットにしか興味がない方は、サクッと読み飛ばしちゃって下さい。

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固体燃料ロケットの最大の泣き所は、いったん火が点いたらもう誰の言うことも聞かない、ということ。でも、ある程度なら操作できるんじゃないか、しかもけっこう簡単な仕組みで。これが実現したら、今は開発が尻すぼみの傾向にある、日本がゼロから独自に開発してきた「全段固体燃料の衛星・探査機打ち上げロケット」(初期開発者の功績を重んじて、以下「糸川ロケット」と呼ぶことにする)の将来が、少しは開けそうな気がする。

全段固体ロケットの技術は、これからも発展していくであろう液体燃料ロケットに対してもうそろそろ限界という見方が出て来てる感じだけど、おいらとしてはまだ、関係者には糸川ロケットにこだわってほしい。

なぜか。それは糸川ロケットが世界で唯一、ナチスドイツの V-2 ミサイルの流れを汲んでいないからだ! というのはまぁ建前で、実は単においらが日本人で宇宙好きで、独創性の高い技術が好きだから。マツダにはロータリーエンジンにいつまでもこだわってほしいと思うのと同じ気持ち、と言えば、分かってくれる方々も多いかと。

液体ロケットが、仕組みが複雑なぶんエンジン出力をリアルタイムで繊細に操れるのと違い、固体ロケットの利点であるシンプルな原理と構造は、そのまま欠点の元にもなってる。すなわち、稼働中に出力調整が全くできない。いったん点火したら、あとは燃料が燃え尽きるまで全開で燃焼を続ける。自分で勝手に止まるまで、誰にも止められない。

飛んでる最中に、「このままだと予定より飛びすぎてしまうからパワーを落とそう」とか「エンジンを切ろう」とかの、液体ロケットじゃ普通に出来ることが、現在の固体ロケットにはできない。まぁ出力調整(スロットリング)ができない液体ロケットもあるけど、任意でエンジンを切ることなら、全ての液体ロケットでできる。

もちろん衛星や探査機をきちんと予定軌道に投入できるよう事前にセッティングして打ち上げに臨むんだけど、燃料装填時のちょっとしたさじ加減で、打ち上げ結果の軌道にはどうしても、液体ロケットより大きな誤差が出る傾向にある。そしてその誤差は、打ち上げられた宇宙機自身が、自前の貴重な推進剤(液体ロケットエンジンの場合、燃料と酸化剤を総称するときはこう呼ぶ)を使って修正することになる。だから、液体ロケットほど自在でなくても、糸川ロケットもある程度でも出力調整が出来れば、搭載した宇宙機をより正確な軌道に投入できて、宇宙機はそれだけ自分の推進剤に余裕を持つことが出来る。それは宇宙機の寿命を延ばすことでもあり(無人宇宙機の最も望ましい死因は、全ての機能が正常に作動し続けた末でのエネルギー切れ。人間で言えば老衰に当たる円満な死)、不測の事態への備えでもある。

その糸川ロケットのアバウトさが宇宙機の生死の分かれ目になった例を挙げてみる。

1997年7月4日に打ち上げられた M-V(ミュー・ファイヴ)3号機。このロケットが宇宙に運んだのは、火星探査機 のぞみ(以下、松浦晋也氏の『恐るべき旅路』からところどころ引用させていただきます)。火星に旅立つ前準備としてまずは地球を回る細長い楕円の衛星軌道に投入されたんだけど、最終段の4段目が思ったより頑張りすぎて、予定よりもっと細長い軌道に入ってしまった。

打ち上げた宇宙科学研究所(略称「ISAS」。現在は宇宙航空研究開発機構 [JAXA] に組み込まれて「宇宙科学研究本部」になったものの、略称は相変わらず「ISAS」)としては、この誤差は予想された公差の範囲内であり、のぞみ に搭載された燃料の余裕分を使って軌道を修正した。

ところがいざ地球の引力圏を脱出する際、酸化剤の逆流防止バルブの不具合がもとでエンジンが不調を起こして変な軌道に入ってしまった。これを修正するのに想定以上に燃料を無駄遣いしてしまい、火星に到達後に火星の衛星軌道に入るための燃料が足りなくなった(酸化剤の方は余っていたらしい)。それでも のぞみ チームは、知恵を絞って根性も出して頑張り抜いて、最善中の最善を尽くしたんだけど、彼らの必死の努力にも関わらず、のぞみ が火星周回軌道に入ることはとうとうかなわなかった。

もう少し具体的に言うと、トラブルの処理後に現存していた燃料で火星周回軌道に入るには時期的な条件が必要だということになって、そのために のぞみ は宇宙空間で4年間そのタイミングを待つことになったけど、その間に別の致命的トラブルが発生して、のぞみ による火星探査は、火星周回軌道に入る前に断念してしまった。

ここらへんは『恐るべき旅路』に詳細に書かれてるけど、この本でサラッと流していることがひとつ、どうも気になった。さっきも書いたけど、打ち上げ時にロケットの最終段が頑張りすぎたぶん、のぞみ は自らの燃料を使って正しい軌道に入り直した、というところ。このとき毎秒54mの速度調整がかけられたとのこと(271ページ)。

そして『恐るべき旅路』302ページより抜粋。その後、地球の引力圏を脱出したとき酸化剤の逆流防止バルブに問題が発生して、事が発覚してから応急処置的な軌道修正をした直後の計算によると、

地球脱出時のトラブルで毎秒 420m も余分の噴射を行わなければならなかったため(中略)毎秒 55m の差で、火星周回軌道に入れなくなってしまった。

全段固体燃料の M-V ロケットが出した誤差を埋めるのに消費したのが、毎秒54mぶんの推進剤。火星の周回軌道に入るのに足りなかったのは毎秒55m。

「なんだほとんど同じだけど結局ギリギリ足りないんじゃん」と言うなかれ。今説明するから。

同程度の速度調整をかける場合、乗り物の重量が重い時の方が推進剤の消費量は大きくなる。これは分かるよね。ロケットの誤差埋めの段階では のぞみ の推進剤は満タンだった。トラブル発生後は、推進剤を半分使い切った状態。のぞみ の推進剤重量は全備重量のほぼ半分だから、逆流防止バルブのトラブルとその処置の後は のぞみ の重量は大体4分の3になってたはず。つまり、打ち上げ直後のロケットの誤差埋めの毎秒 54m は、トラブル処置後に計算された毎秒 55m の場合よりかなり多くの推進剤を消費したはず。

以上から言えること。

  M-V 3号機がもっと正確に軌道投入を行っていれば、「のぞみ」は地球脱出時のトラブルにもめげず、ギリギリセーフで予定通りに火星周回軌道に入れたかもしれない。

打ち上げ時の予定通り1999年10月に のぞみ が火星周回軌道に入っていた場合、目的の科学観測をできた期間は、最後の致命的トラブル(搭載機器のどこかでショートが発生して保安用のブレーカーが作動。結果、発信電波がビーコンモードのまま、テレメトリ [データ送信] モードに切り替わらなくなった)が起きた2002年4月26日までの約2年半。

のぞみ の使命は火星の大気と磁場の関係を調べることだったんで、少なくとも1火星年の間稼働すれば、探査機として一人前の仕事を成し遂げたことになる(火星の自転軸も地球と同じく公転軸に対して傾いているので、火星の気象にも1火星年周期で四季の変動がある)。

火星の1年は687日(230ページ)。地球年で約1.88年。

  やっぱり、M-V ロケットがもっと精密に作動してさえいれば、のぞみ は火星探査機としての本懐を遂げられた可能性があった、

と言える。ちなみに、これは全てが終わった後だから言える結果論なんで、その時その時の のぞみ チームの判断や行動を責めるものじゃないっす。火星周回軌道に無事に入ったとしても、待ってましたとばかりに観測機器をフル稼働させた瞬間、「とどめのショート」が起きてたかもしんないし。

ということで、かの松浦氏でさえ見逃したと思われる新事実を、おいらは掘り当ててしまったぞよ(松浦さん、とっくにお見通しでしたらごめんなさい)。

なんか長くなったんで、本題の「固体ロケットの出力調整方法」は以降に持ち越し。

銘板
2005.10.2 日曜
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固体燃料ロケットの

スロットリング法 2

昨日の話から、ロケットの軌道投入精度を上げることの大事さが分かってもらえたかと思う。火星探査機 のぞみ は、糸川ロケットでの打ち上げが決められた時点で、推進剤をある程度ロスすることが確定してた。結果として、その余裕分のかなりの量の燃料がロケットの尻拭いに費やされて、そのあと のぞみ が不測の事態に遭遇してチームがそれを処理した時点で、推進剤が足りなくなってしまった。

ここで液体ロケット派の主張(けっこう憶測だけど)。「全段で燃料と酸化剤を混ぜて固めたものを内部で燃やす糸川ロケットは、出力調整(スロットリング)ができない。途中で止めることさえできない。これは原理上どうしようもない。だからもう糸川ロケットは潮時なんだ。これ以上開発する意味なんてないんだ」。

ちょっと待った。

確かに今使われてる糸川式の固体ロケットはそうだ。それに、その欠点をカバーすべく「固体燃料 + 液体酸化剤」という形式のロケットの研究も過去に行われてたけど(液体酸化剤の注入量で出力調整をするロケット)、いまだに実用化されていないところからすると、検討の結果、それ固有のデメリットの方が、出力調整のメリットより大きかったからなんだろう。それやるくらいなら従来型の固体ロケットのほうがまだまし、ということになったんだろう。

だったら、「固体燃料 + 液体酸化剤」よりももっと単純な機構で出力調整が出来ればいいわけだ。

思いついたよそれ。しかも2つ。ただし原理が単純なんで、出力調整できる範囲も限定的だけど。でも何もしないよりずっと軌道投入精度は上がるはず。糸川ロケットを見限る前に、これから説明するアイディアをお読み頂きたい。それでも不十分なんなら、おいらも糸川ロケットを諦める心の準備をするから。んじゃその説明。

基本的には、この細工は最終段に施す。第1段からの積もり積もった誤差をも吸収するためには、最終段でまとめて出力調整するのがいい。のぞみ 打ち上げに使われた M-V ロケット3号機で言うと第4段が対象。方針は、「ロケットが予定の速度に達してもまだ燃焼が終わっていない場合、出力を落とす」。その逆の「ロケットが予定速度に達する前に燃焼が終わってしまった場合」は諦めるしかない。固体に限らず液体ロケットでも、途中で燃料が切れてしまえばどうしようもないんで。

予定速度に達してから出力を落としても結局、燃焼は固体ロケットの宿命通り燃料切れまで続くわけで、そのぶんの誤差は発生してしまうけど、何もしないで燃焼終了をただ待つだけの現状よりはずっとましになるはず。では第1案。

  インターナル・アブレーション(Internal Ablation)

宇宙工学で「アブレーション」という技術がある。これ、大気圏再突入時の熱防護策のひとつ。宇宙機が大気圏に再突入する時に、機体表面が空気との摩擦でとんでもない高温になるということは、よく知られているかと思う。スペースシャトルのコロンビア号は、そのときの熱防護に失敗して空中分解したんだよね。

スペースシャトルを熱から守るのはカーボン複合材と耐熱タイルと耐熱ブランケットだけど、ロシアのソユーズ宇宙船や中国の神舟宇宙船、それに現在小惑星イトカワを探査中の日本の探査機 はやぶさ(小惑星から表土を少しかすめ取って、地球に戻ってくる予定)みたいな、使い捨てのカプセル型の宇宙機が地球に帰ってくるとき、この「アブレーション」という技術が使われる。

じゃあどんなもんかっつうと、その宇宙機の表面に、金属系物質を塗りたくる(ガラス繊維混入樹脂の場合もあるそうだ)。大気との摩擦熱で、この物質は融けて蒸発する。このとき、固体→液体→気体と物質の状態が変わるごとに、その物質は融解熱と気化熱を周囲から奪う。これが融点も沸点も高いんで、融解熱も気化熱も「氷→水→水蒸気」なんかより桁外れに大きい。

「周囲」ってのはつまり宇宙機の機体表面と、そこに接してる空気。この原理で宇宙機の表面を冷やす。またはその蒸気の流れで宇宙機表面に断熱層を作って熱から守る。宇宙機表面の空気の流速がマッハ2未満にまで落ちるとようやく、空気との摩擦は熱を発生しない状態に落ち着く。それまでこのアブレーションで持ちこたえる、というわけ。

このからくりを固体ロケット内部に応用しよう。ロケットエンジンの出力は、噴射される燃焼ガスの質量と噴射速度のかけ算で決まる。燃焼ガスの速度は、ガスの高温によって作られる。だから燃焼ガスが噴射される前に、ガスをアブレーションの原理で冷やそう。

固体ロケットがオーバーラン状態になった(予定速度になってもまだ燃焼が続いている)とき、固体ロケットの燃焼室内に、アブレーション物質を連続的に投入する(この物質ひとかたまりの大きさは諸条件から算出)。すると、燃焼ガスの高温でアブレーション物質は融けたり気化したりしながら、自身に触れているガスの温度を下げる。燃焼ガスの温度が下がれば燃焼室の内圧が下がり、噴射速度も下がる。噴射速度が下がればロケットエンジンとしての出力が落ちる。原理説明は以上。

そのアブレーション物質投入装置をどこに取り付けるか。それは最上部ですな。点火器のすぐ近くあたり。

固体燃料は大まかに言うと、ちくわの形にされて胴体内に収められる。はじめにその最上部で着火されると、ちくわの内面沿いに火が燃え広がり、内面全体から出た燃焼ガスは、唯一の出口である最後部を目指して突き進む。途中途中で燃焼ガスが加わるので内部圧力が上がり、下流に向けてガスの速度がどんどん上がっていく。

ちくわの厚みが燃焼で減っていく速さを保ったまま燃焼ガスだけを冷却すると、燃焼時間はいつもの全開状態と変わらないものの、その間中、パワーダウンが実現できる。ということで、アブレーション物質は盛んに燃えてる最中の固体燃料には触れず、ちくわの空洞のど真ん中を燃焼ガスと一緒に流れていく、というのが理想。ひとかたまりのアブレーション物質で出来るだけ長い時間冷却してほしいので、最上流部からの投入が望ましい、というわけ。

問題点は、燃焼室内部はかなりの高圧になってるので、それに逆らって物質を押し出すにはけっこう大掛かりなメカが必要になりそうだということ。対策としては、その高圧ガスを押し出しの背圧としてうまく利用すると、アブレーション物質投入に必要な押し出し力はわずかなもので済み、機構の小型軽量化に貢献できると思われ。特に、最終段の重量増加はそのままそのロケットが運べる最大積載量の減少を意味するので、できるだけ軽く作るのが肝要。

以上がインターナル・アブレーションの概要。

「インターナル・アブレーション」の命名の元ネタは、松浦晋也著の『H-II ロケット上昇』中のある章のタイトル『えくすたあなる・こんばっしょん』。

この章によると、H-II ロケットの第1段エンジンの開発中、試作エンジンが試運転中に爆発する事故が間々あったんだけど、あんまり「爆発事故、爆発事故」と言うとマスコミに要らなく面白がられるだけだ、という判断が宇宙開発事業団(当時)内部から出て、その判断以降は爆発事故のことをマスコミ発表向けには、「外部燃焼(external combussoin)」という胡散臭い造語で呼ぶようになったんだとさ。

銘板左端銘板銘板右端

あらら、もう午前2時だよ。寝ないと明日に差し支えるんで、もうひとつの案はまた後日ってことで。第2案はもっと単純だよ(笑)

銘板
2005.10.3 月曜
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固体燃料ロケットの

スロットリング法 3

ということで、今日は『固体燃料ロケットのスロットリング法』の第2案。早いとこ寝たいからサクサク行くよ〜。

  分離式ノズルスカート

ロケットの噴射口(ノズルスカート)って釣り鐘の形してるよね。全段固体燃料の糸川ロケットの最終段が、予定の速度に達してもまだ燃焼が終わらない場合、この釣り鐘を取っ外す。これでエンジンの出力は大幅ダウン。単純。

仕組みを説明。

まず昨日のおさらい。ロケットエンジンの出力は、噴射ガスの質量と速度のかけ算で決まる。で、ここからが今日の話。噴射ガスの質量は燃料と酸化剤を選んだ時点で決まってしまうんで、設計の腕のふるいどころは、どれだけ噴射速度を稼ぐかにかかる。その工夫の最大のものが、あの釣り鐘型の噴射口。

液体ロケットだろうが固体ロケットだろうが、例の釣り鐘型噴射口の断面図を見ると、ガスの排気経路は釣り鐘の付け根のあたりで内径が一番細くなってて、そこからあの独特の末広がりで排気経路の断面積が増えていくようになってる。燃焼室内のガスは自分の圧力で噴射口に向けて流れていくんだけど、まだ音速未満の速度しか持ってない。ガスの流れは音速未満だと、流路の断面積が小さくなればなるほど速くなる。だから、ノズルスカートの付け根は細くくびれてる。で、一番くびれたところでちょうど音速に達するように設計されてる。

音速以上の速度のガスは性格が一変して、流路断面積が増えるほど速度が上がる。そして一番効率よく超音速ガスのスピードを上げる形が、あの釣り鐘型。音速の数倍にまで加速されたガスがロケット後方に噴き出され、その反動をノズルスカートが受け止めて、ロケットは加速される。

つうことは、ノズルスカートがなけりゃ大幅にパワーダウンするわけだ。そしたら「飛びすぎ」の場合に意図的にノズルスカートを使い物にならなくさせる、というのがこの方法。どうせもうすぐ燃焼も終わる頃合いだし、ていうかもう燃焼が終わって用済みになってるべき頃合いだしってことで、ぶっ壊そうが取り外そうが別に問題ないでしょ。

ということで、固体ロケットの最終段がオーバーラン状態になった時に、釣り鐘のくびれ部分かそれより上流の部分でノズルスカートを切り離すと、燃焼室内じゃ相変わらず残りの固体燃料が派手に燃えてるにもかかわらず、噴射ガスのスピードは音速以下にしかならない。まともな状態の数分の1の噴射速度なんで、出力も数分の1。現状のようにオーバーランしてても手も足も出せないでただ燃料が尽きるのを待つより、軌道投入誤差はずっと減る、というわけ。原理や機構のシンプルさじゃ昨日のインターナル・アブレーションより勝ってる。

問題点。

固体ロケットのノズルスカートは推力の大部分を受け止めなきゃいけない上に、液体ロケットと違って冷却装備がないんで、熱的かつ強度的にかなり厳しい環境に置かれる。そんなデリケートな部分に分離用の爆薬を仕込んでも大丈夫なのか不安。ノズルはかなりの高温になるんで、通常運転中に爆薬が勝手に誘爆しちゃうんじゃないかとか。

それに、破断断面が横から見てスパッときれいに切れていてくれないと、噴射ガスが真っすぐ後ろに出てくれないかも。そうなるとロケットを思わぬ方向に曲げる力が発生して、ロケットと衛星を予期せぬ変なところに持っていってしまうんじゃないかとか。本末転倒ですな。

ということで、綺麗に分離させるためには、はじめから爆薬沿いに筋彫りをしておくことになりそうで、それやると推進力や熱ひずみ由来の応力がそこに集中するわけで、通常運転中にそこが壊れちゃ M-V 4号機と同じ轍を踏むことになっちゃうわけで。

心配しても、一般人のおいらじゃ検証のしようがない。だったらいっそ開き直って「あとは関係者の方々、よろしくお願いいたします」とかなおさら無責任なこと言ってみるテスト。

銘板左端銘板銘板右端

こんな感じで、糸川ロケットも、この程度でも出力調整が出来れば軌道投入精度がよくなって便利になる→これからも開発を続ける価値がある、と思うんだけど。

2案とも原理が独立してるんで、両方いっぺんに採用するってのもアリ。

当然だけど ISAS の中の人たちはプロの専門家集団なんで、昨日・今日で書いたおいらの渾身の2案とも、とっくに発案・検討・評価済みで既にポシャってるっぽい気がするけどさ。

あれ? M-V ロケットって、今、官民共同で開発されてる LNG 燃料ロケットの GX に取って代わられるのが決まっちゃってるのかな? もう将来がないこと、確定?(汗)

でも、うん、まぁいいんだ。ここまで自力で考えつけただけでもよしとするのだ(強制納得)

銘板左端銘板銘板右端

あう〜めっさ眠い。只今午前0時40分。夜更かしが連日続いとります。

それじゃ3夜連続で言いたいこと言ってすっきりしたんで寝ます。おやすみなさいませ。

銘板
2005.10.4 火曜
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とんちといれ

仕事で外回りしてる最中、便意を催したわけよ。

通りかかったスーパーのトイレを借りたわけよ。まあよくある話さ。

そこはお客様第一主義が徹底されてるところだからさ、トイレもすげぇきれいなのよ。ウォシュレットなんてフツーに装備。さらにせせらぎの音とかハーブの香りとかまで自動で出るようになってて、これでもかってほどお客様に気を配ってるのがよぉ〜く分かった。

そんな素晴らしい環境で無事に事が済んで人心地がついたところで、目の前の壁の貼り紙が目に入った。ははぁなるほどねぇ。

そりゃ納得できる。

直後、その貼り紙のすぐ下の、

もう1枚の貼り紙に瞠目!

……とんちですかこれ。

だとしたらもう降参です。このトイレでケータイとか落としちゃったら、マジでどうしたらいいんだろ。がんばっていろいろ考えたけど、どうしてもお客様に辱めを与えるような情景しか思いつかないっす。

どなたか答えを教えてください m(_ _)m

銘板
2005.10.5 水曜
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はやぶさ、危うし(か?)

小惑星探査機 はやぶさ がピンチらしい。ほんとは昨日書こうかと思ったんだけど、あまりにもナイスなネタを拾ってきちゃったんで、そっちを優先させちった (^^;)

朝日新聞にベタ記事で載ってたよね。「姿勢制御に不具合」って。実はその前に、10月4日付の JAXA のメルマガでその情報が出てた。そっちの方が詳しいんで転載してみる。

■ JAXA プレスリリース配信サービス

「はやぶさ」の姿勢制御装置(リアクションホイール)の不具合について

 第20号科学衛星「はやぶさ」は、平成17年9月12日に、目標とする小惑星イトカワの手前約20kmの距離に静止後、イトカワの科学観測を行いつつ、徐々にイトカワに接近し、現在約7kmの地点に達しています。

 「はやぶさ」は、既にお知らせしておりますように、本年7月31日に、リアクションホイール(姿勢制御装置)3基の内1基に不具合が生じ、2基による姿勢維持機能に切り替えて順調に運用を行っておりましたが、10月3日8:30ごろ、もう1基のリアクションホイールにも不具合が確認されました。 異常発見後、ただちに復旧作業を試みましたが、現状、回復に至っておりません。

 現在、「はやぶさ」は、残りの1基のリアクションホイールと姿勢制御用の化学エンジンを併用して引き続き、適正な姿勢を維持し運用されていますが、今後のミッション計画については、まず、探査機の状態を十分に把握した上で、詳細な検討を実施します。

 今後の予定につきましては、明確になり次第、速やかにお知らせ致します。

発表日:平成17年10月4日 発表:宇宙航空研究開発機構

「リアクションホイール」ってのは、たぶんハッブル宇宙望遠鏡に使われてる「モーメンタムホイール」と同じものだと思うんで、その線で解説しよう。ていうかすんませんさせてください。なんか今これ書きたくてしょうがないんす。

さて、どんな乗り物にも、向きを変える機能ってのが付いてる。電車にはアクセルとブレーキしか付いてないけど、線路や切り替えポイントも電車のシステムの一部と考えれば、やっぱし向きを変える機能が付いてることになるよね。

宇宙機の場合、向きを変えるには2つの方法がある。

  1. 姿勢制御エンジン
  2. リアクションホイール(モーメンタムホイール)

1. は機体の端々に、いろんな方向に向けて付けられた小型ロケットエンジンでこれをプシュップシュッと噴かすことで機体を回転させたり、回転を止めたりする。このまえ野口さんが乗ったスペースシャトルが、国際宇宙ステーション(ISS)の真下で宙返りをしたよね。機体底部に損傷がないかどうかを ISS から見てもらうために。あの運動をさせたのがこの「姿勢制御エンジン」。シャトルの機首と尾部についた姿勢制御エンジンを、それぞれ上下逆の方向に噴かすと、機体はあんなふうに縦に回転する。

他に、左右逆向きに噴かすと、右か左に回転。機体の右寄り・左寄りの姿勢制御エンジンを組み合わせて上下方向に逆向きに噴かすと、横転する。この3つの回転軸が制御できれば、宇宙機の方向制御は完全にできる。これは装備する数はそれぞれだけど、全ての宇宙機が装備してる、絶対に必要な機能。

それを補佐する機能として、2. のリアクションホイールがというのがある。日本語で言うと「反動はずみ車」って感じかな。この装置はオプションなんで、必要ない場合もあり。例えば日本が今まで打ち上げた惑星探査機3機(ハレー彗星探査機 さきがけ、すいせい、火星探査機 のぞみ)はいずれも自分自身が回転して、コマの原理で姿勢を安定させる方式(スピン安定方式)だったんで、リアクションホイールは不要だった。

でも はやぶさ みたいに自分が回転しない(三軸安定方式)で、しかも何年も飛び続ける宇宙機の場合、リアクションホイールは絶大な威力を発揮する。具体的には、姿勢制御エンジンの燃料消費を大幅に節約できる。

その原理は意外と簡単。

宇宙に浮かぶ宇宙機を考えてみよう。エンジンを噴かさないで、ただそこに浮いてるとする。その重心のあたりにモーターが固定されてる。モーターの回転軸には、はずみ車が付いてる。はじめは宇宙機の回転もモーターの回転も止まってるとする。その状態で、モーターではずみ車を右向きに回転させると、その反作用で宇宙機自身は左向きに回転しはじめる。

はずみ車が回ってる間じゅう、宇宙機は回り続ける。はずみ車にブレーキをかけて回転を止めると、宇宙機の回転も止まる。この単純なメカを、前後軸・左右軸・上下軸の3方向に対してそれぞれ1個ずつ取り付けると、姿勢制御エンジンなしで、宇宙機の向きを好きなように変えられる。モーターの動力源は電力なんで、太陽電池を使えば、無尽蔵の太陽エネルギーだけで方向制御ができちゃう。

ただし長いこと宇宙を飛んでると、太陽風の影響で機体が少しずつ回転し始めたりとか、モーターの軸受けのわずかな摩擦力がつくる、作用・反作用のアンバランスが溜ってきたりする。はずみ車を常に回し続けていないと宇宙機の回転を止めていられない、ということになる。そのときようやく姿勢制御エンジンの出番。はずみ車をわざと止めて宇宙機が回転し始めたところで逆向きに噴射して、宇宙機の回転を止める。リアクションホイールの初期化ですな。

宇宙機の方向制御ごときに貴重な燃料を費やすのはそんな時くらい。仕組みは単純だけど、かなり使えるやつなんですなぁリアクションホイール。

リアクションホイール3個セットはこんなにお便利なんだけど、はやぶさ のやつは1個が7月中に既に止まってしまってて、今まで残る2個でどうにかやってきた。1個が壊れても、あとの2個が生きてれば三軸ともを制御できる。それがリアクションホイールのまたいいところ。

ところがここへきて、もう少しでクライマックスの小惑星イトカワへの着陸という大事なこの場面で、2個目がいかれてしまった(復旧すればいいけど、朝日新聞の記事によると、JAXA としては「(復旧は)難しそうだ」だそうで)。こうなるともう、生きてるリアクションホイールが担当する回転軸以外の方向制御は、1. の姿勢制御エンジンに頼るしかない。

単純なメカのはずなのに、なんでこうも相次いで故障するのか。日本は3軸制御式の宇宙機の開発経験が浅いということがあるかと。もっと本質的には、リアクションホイールは可動部品だから。可動部品ということは、軸受けという摩擦部分があるということ。

宇宙機の鉄則。それは、可動部をできだけ少なくすること。これは普通の地上の機械でも言えるよね。アナログ時計よりデジタル時計の方が壊れにくいのが好例。ただでさえ可動部は故障のリスクがあるってのに、これがまた真空環境だと、摩擦部分が正常に稼働するための条件が、地上環境とは段違いで厳しくなる。摩擦面同士の固着が起きやすくなるんですな。

憶測だけど、モーターの軸受けの摩耗が予想以上に速くて、潤滑素材なり潤滑コーティングなりが機能を失って固着が起きてしまったんじゃないかと。恐らく はやぶさ チームもその線を一番疑ってるかと思われ。

リアクションホイールは宇宙機の回転の制御しかしないけど、姿勢制御エンジンの方は、もう一つ大事な役割を担ってる。機体の端っこ同士の姿勢制御エンジンを逆向きに噴かせば、リアクションホイールと同じ動作になるけど、同じ方向に噴かせば、機体の方向を保ったまま移動させることができる。小惑星イトカワの表土を取る(サンプル採取)ための、イトカワへの接近と着陸地探し、それと着陸と離陸で、この操作が行われる。予定ではサンプル採取は2回やることになってる。これでけっこう燃料を使い込むかと。

さらに、はやぶさ はそのサンプルを持って地球に帰って来る。地球と小惑星間の移動には、燃料(正確には「推進剤」)が全く別のメインエンジンを使うんだけど、こっちはイオンエンジンという、姿勢制御用のガスジェットエンジンよりずっと非力なやつ(ただしめちゃめちゃ燃費がいい)。小惑星表土のサンプルが入ったカプセルは、2年後にオーストラリアのウーメラ砂漠に落とすことが決まってる。そこまでピンポイントで軌道を決定するには、非力なイオンエンジンだけじゃおぼつかず、最後の最後にどうしても姿勢制御エンジンを使わなきゃいかん(と思う。未確認だけど)。

さらに、今までの経緯から察するに、もっと悪い事態が起こる可能性が高い。つまり、最後に1個残ったリアクションホイールも、この調子じゃ早晩故障するだろう、ということ。リアクションホイール機構はたぶん3個とも同じブツが使われてるかと思う。そのうち2個がこれまで2年間の宇宙飛行で相次いで故障だもん、最後の生き残りも、地球に帰るまでのあと2年は持たないと思う。そうなったらますます姿勢制御燃料の余裕がなくなるわけ。

まー、対策としては、これからじっくりやる予定だった現地での科学観測のメニューをいくつか捨てて早めに切り上げるとか、サンプル採取も1回やってみて成功したら2回目はキャンセルするとか、そこらへんで対処するんじゃないでしょうかねぇ。10月1日に書いた けど火星探査機 のぞみ は途中で燃料が足りなくなってしまったからな。はやぶさ チームとしては同じ轍を踏みたくないだろうから、できる限り姿勢制御燃料を温存したままイトカワを後にしたいはず。

はやぶさ は便宜上「小惑星探査機」と呼ばれてるけど、その正体は「工学実験機」なんで、科学観測で成果を上げるよりも、サンプルリターン型惑星探査機の実証試験を完遂して経験を積むことが主目的なんだよね。ぶっちゃけ、将来もっと本格的なサンプルリターンをやるときに備えての叩き台なわけ。

ということは、はやぶさ チームの最優先事項は、どんなに微量でもとにかく小惑星の表土のサンプルを取って、ていうか最悪サンプル採取に失敗して全然取れなくても、何が何でも はやぶさ を地球に戻って来させて、中身が空っぽでもいいからとにかく試料カプセルをオーストラリアに安全に落とさせて、それを回収することなんじゃないかと。そのためには姿勢制御燃料はどうしても十分に確保したい。

何はともあれ、チームの皆さんの踏ん張りどころですなぁ。科学観測は一番の目的じゃないとはいえ、せっかく3億キロのかなたの小惑星くんだりまで来たんだもん、観測もできる限りしたいわなぁ。今頃は、姿勢制御燃料の残量の余裕をどれだけ持たすかで、チーム内で激論が展開されてる真っ最中かと。

銘板
2005.10.6 木曜
前日に飛ぶ
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無人宇宙機のお医者さん

なんか最近宇宙機ネタが続いてるけど、今日も勘弁してちょ。今のおいらはそっちのチャネルが開いちゃってるんで。

つうことで、今日は将来の無人宇宙機に載ってほしいお医者さんロボの話。

ブッシュ君と NASA は、スペースシャトルと国際宇宙ステーションが竜頭蛇尾の見込み外れだったことを見越して、今度は人間を月や火星に送る話をぶち上げて、米国内で肥大化してしまった宇宙産業を食わせていくための景気付けに余念がないけど(日本で言えば公共土木工事だな)、宇宙探査は無人探査機が主役の時代がしばらく続くと思う。

ていうか、無人探査技術は日進月歩だし、人間みたいな倫理的にも技術的にも取り扱いが厄介なお荷物が載らないぶんだけ、無人探査機はより安くより大胆なミッション用に作れるわけで、これからもずっと全盛を誇り続けるかと。

ただ、人が乗ってないってことで問題もある。故障が発生した時なんかに細やかな対応がしにくい。融通が効かないんですな。修理はおろか、搭載センサーからの限定的なデータしか手がかりがないせいで、故障の原因究明さえ至難の業。

「人が乗ってないんだから、故障の修理ができないんなら捨てればいい。損失は金銭的なものだけで済む」っつう理屈も成り立つわけで、実際、できる限り手を尽くしたけどどうにもならなくて捨てられた無人宇宙機は数知れず。

これを別な言い方で表すと、「その場で故障箇所の修理ができたなら、捨てなくて済んだ」。

宇宙機のコンピュータ内のプログラムを、飛行中に修正する、というのならけっこう前例がある。中でも「不具合発生後の状況に合わせてプログラムを作り直して探査機に送信して、何万キロ、何億キロのかなたでいったん探査機の電源を落として再起動させる」なんて荒技をやってのけた例なら、日本でもアメリカでもあるらしい。

プログラムの変更や改造なら現時点でもけっこう大胆にやれるけど、ハードウェアの修理はどうもお手上げに近い。故障情報に関しては各種センサーが拾ったデータで原因を推定するだけだから、問診専門の医者が乗ってるって感じではあるな。プログラムの書き換えをお医者さんに例えれば、内科医とか精神科医あたりですかね。でもハードウェアを修理するとなると、手術ができる外科医が欲しくなる。

スペースシャトルの当初計画じゃ「不具合のある衛星を軌道上で修理する」って利用法があった。実際、ハッブル宇宙望遠鏡がそれでようやく本来の性能を発揮できるようになったりもした。ハッブルは外科手術を受けたわけだ。

でもシャトルは荷物を空っぽにして打ち上げても、高度 1000km にさえ届かない。高度 35,800km の静止衛星とかもっと遠いところを飛ぶ惑星探査機の場合、シャトルでの修理なんて絶対無理。それにシャトルが届く低軌道の衛星だって、ハッブル級の超高額衛星でもない限り、シャトルでの修理なんてカネがかかりすぎて全然割に合わないし、現状だと NASA にシャトルでの修理を依頼したとしても、いつやってくれるのかなんて当の NASA でさえ分からない。結局、衛星を新たに作り直して打ち上げ直した方がよっぽど安くて確実だったりする。

そこでですな、将来の無人宇宙機って、中に小さなロボットが乗ることになると思うわけよ。点検・修理用の。

ロボットってまぁ、無人宇宙機自体がいわゆるひとつのロボットなんだけど、その中にまたロボット。ヒト型である必要はなし。つうか形で言えば、遠隔操作または自律作動型の内視鏡と言った方が早い。内視鏡の技術は地上世界じゃ医療用を中心にかなり成熟してるんで、けっこう宇宙用に技術転用できるところが多いと思うんだな。

これが探査機の内部や外部に何本か生えてるって形になるかと。触手がぐねぐね動いて、先端のレンズで目的の場所を撮影する、と。内視鏡だから、触手の中は基本的に光ファイバーと、ぐねぐね状態や先端の「手」を操るひもだけ。カメラや光源や駆動部は付け根のところについてるんで、触手も先端も細く済んで、細かいところにも潜り込める。これで、問題の患部がどうなってるかの状況をある程度把握できる。

医療用の内視鏡ってのは小さな手がついてる。それで患部を切ったり腫瘍を摘出したりできる。宇宙機用にもこういうのがあるといいなぁ。簡単な修理くらいできたりして。さらに温度センサーやテスター端子がついてたりすると、トラブルの状況をかなり詳細に調査できるなぁ。

平たく言えば、無人探査機に内視鏡外科医を乗っけるわけ。でもお医者さんは探査機の主目的である宇宙探査には役に立たないんで、なるべく影が薄い方がいい。つまり軽くてシンプルで電気もあんまし食わない、と。しかも絶対に壊れちゃいけない。お医者さんが病気になっちゃ話にならんすから。

ということで、実戦投入の前に十分にテストを重ねないといかんのだね。宇宙の環境は地上じゃなかなか完全に再現できないから、テスト用の衛星を作って打ち上げなきゃいかん。カネがかかりそう。

でも今は便利な仕組みがあるんですのよ奥さん。「ピギーバック」。普通の衛星を打ち上げるとき、そのロケットの余力に便乗できるんですよ。何十kg程度の重さの小さな衛星なら、案外安く宇宙に行けるんですのよ。

この内視鏡ロボはもともと「影が薄い」機械として作られるんだから、テスト衛星だっておのずと小さく軽くなるはず。それに地球や他の天体を観測するわけじゃないから、軌道は別にどうだっていい。これ以上ピギーバックに最適な衛星ってあるんだろうか。日本の打ち上げに限らず、世界中のロケットに便乗しては少しずつ改良を重ねていけば、きっといいものができると思うんだけど。

まずは触手の先にライトとカメラだけ付けたやつを開発&商品化。無人宇宙機のトラブルで歯がゆいのは、現場を目視できないってのが大きいっぽい。とりあえず静止画像での目視だけでもできれば、事故原因を詰めていったり、うまくすれば特定までできる。ライトとカメラだけじゃ修理できないんで、その宇宙機のそのトラブル箇所は見殺しってことになるけど、事故原因の特定ができれば、次以降の宇宙機の開発時に確実にフィードバックできる。

この初期型モデルを実戦投入して経験を積みつつ、ピギーバック実験の方じゃ、温度センサーや可動するテスター端子を取り付けたりして、事故原因の究明をもっと能動的に行えるようにする。それができるようになったら実戦投入してまた経験を積みつつ、ピギーバック実験じゃ触手の先にアームや工具を取り付けたりして、ハードウェアの簡単な修理や加工ができるようにバージョンアップしたりする。

またそのモデルを実戦で使いつつ、今度のピギーバック実験じゃ工具の取り替えとかできるようにして、高度化・多機能化を進める。何度も実験するうちに、機械的な部分も小型軽量・省電力化させていく。こうして、多少のハードウェアトラブルならその場で修理できるようになったやつが最終形。

この技術が完成すれば、それが世界標準になるかもしんない。規格品として他国の衛星にも搭載されるようになれば、量産でますます信頼性は上がるわコストは下がるわでいいことずくめ。もちろん無人探査計画の失敗も、トラブルによる静止衛星の途中放棄も大幅に減って、投資効率が上がる、と。お医者さんがすぐそこで見守ってるんで新型部品を大胆に投入できたりもして、無人宇宙機は加速度的に進化していくのであった。めでたしめでたし。

つうことで JAXA さん、無人宇宙機のお医者さん育成計画、いかが?

最近じゃ、昨日書いた小惑星探査機 はやぶさ のリアクションホイールの故障の他にも、X線天文衛星 すざく のセンサー冷却用の液体ヘリウムがセンサー初稼働の準備中にみんな蒸発しちゃったり、運輸多目的衛星 ひまわり6号の信号送信回路が飛んで慌てて予備の回路に切り替えたり(ひまわり6号のバックアップ衛星を早く打ち上げてくれ〜)と、けっこうトラブルが頻発してる。いずれも原因特定がまだできてないみたいだし。それを考えると、内視鏡ロボってけっこう使えると思うんだけどな。

銘板
2005.10.7 金曜
前日に飛ぶ
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「ハミッスル」(仮称)

前にね、思いついちゃったのよ。新しい音楽の形態というか、人間による芸術の新たな地平を切り拓くかもしんないけどまぁそこまで大げさでもない気もする発想を。それが「ハミッスル」(仮称)。

なんと人間は、楽器がなくてもひとりでハモれるのだ!

その分野の先達で、モンゴルの「ホーミー」があるけど、あれってけっこう限定条件が多いんだよね。共鳴を利用してるから基本周波数が低くないとできない、ということで女性や子供はほとんど無理らしい。それと、2音階を独立して操作できない。だが聞け人類諸君。我輩はついにその壁を越えたぞ!(理論上は)

人間が生身でメロディを奏でる手段は2つ。発声と口笛(Canna のデフォルト辞書には「口笛」さえ入ってないのか……)。そこで我輩は気付いたのだよ。発声と口笛は、音階の操作をする部位が違うということに。発声は喉で、口笛は口の中の形で音階を操作する。ならば、それぞれを独立に操作しつつ両方いっぺんに音を出すと、

一人でハモれる!!

と。歌詞を歌うのは無理。口の動きは口笛に取られてしまうんで、発声はハミングだけ。まぁそれでも一人で楽器なしでハモれるってのはなかなかの発見じゃあないか。そう思って早速選んだ練習曲は『エーデルワイス』。下のパートだけ歌うとやたら不気味なあの『エーデルワイス』。

……、

……、

……。

難しい! 難しすぎるっすよこれ!!

とりあえずおいらの場合は口笛の腕前を磨かんとダメだなこりゃ。それと、1つの脳で2つの異なる楽器を同時演奏するようなもんだもんなぁ。マジで頭おかしくなりそうだよやってると。

でもさ、何が一番辛いって、この練習を一人で部屋でやってる自分の姿を想像すると、かなりイタすぎ。

そんなわけで、芸術の未来を開拓する「ハミッスル」(仮称)プロジェクトは、発案者の恥の意識により停滞しとります。誰か口笛が得意な人、やってみない? ヨーロッパは日本より独創性を重んじる気質があるそうだから、こっそりマスターしてから彼の地で大道芸としてでも始めると、大ウケしそうな気がする。

しばらく諦めてたけど、口笛の練習と一緒にまた始めてみよっかな。イタイけど。

銘板左端銘板銘板右端

ついでに、「ハミッスル」っうネーミングもあからさまにイタイんで、どなたかもっとかっちょいい名前を考えて下さいまし。

銘板
2005.10.8 土曜
前日に飛ぶ
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出土品は融通効かず

むか〜し根性出して作った書類が出て来た。8年くらい前に Macintosh LC575 を駆使して作ったやつ。

紙ヒコーキ。5機。型紙から切り抜いてノリで貼って作るやつ。自分で言うのもなんだけど、意外と飛ぶ。

で、Web でこっそり無料配布でもしようかと思い立ってさ。でも、むか〜しのやつだから、クラリスワークス 4.0 なんつうまたレガシィなソフトのドロー機能で作ってあってさ。その後継の AppleWorks 6.2.9 で開いたら、仕様が微妙に違ってるせいでどうもうまくなくて、AppleWorks 対応させるのにまる1晩かかっただよ。部屋に差し込む朝日に、充実と空しさを同時に覚えたさ。

そこまで来たはいいものの、AppleWorks 使ってる人ってほぼ Mac ユーザだけなわけで(Windows 用もあるかもしんないけど、あるとしても全然売れてないと思われ)、全ての人に対応するためには画像化が必須。ところが AppleWorks のドロー書類を直接ラスタライズ(画像化)しようとすると、どうしても 72dpi の書類にしかなんない。せめて 288dpi 程度は行ってくれないと話になんない。PDF にもなんないしなぁ(2005.10.11補足:Mac OS 10.3 のプリント機能に「PDF として保存」というのがあった。やってみたら PDF 書類にはなったものの、AppleWorks ドローの極細線が消滅してた。やっぱし使えん)。

これはつまり、いったんプリントアウトしてそいつをスキャンってことですかね。めんどくせ〜。うちのヒコーキくんたちは型紙だけじゃないのよ。作り方とセッティングの秘法を記した取扱説明書もセットなのよ。正直、取り説のほうに力がこもってたりもする(笑)

いや、飛行実験はやんなるくらい繰り返してかなり最適化してるんで、飛ぶよマジで。そういやそのむか〜し、取り説を読まないでいい加減に作っといて「飛ばなかったぞ。子供の前で恥かいたぞ」とおいらにブーたれたバカがいたけどね。おいらはそいつにヒコーキをあげた覚えはなくて、そいつが勝手に持ってって勝手にやらかしたんだけどね。今思い出したらまたムカッ腹立って来(略)

ヒコーキ1機につき、絵付き取り説3枚。計4枚。しかもご丁寧に英語版なんてのも作っちゃった。計8枚。かけることの5機。プリント&スキャン40枚かよ〜。マジめんどくせ〜。

AppleWorks がもっと気が利いてくれればこんなことにはならなかったんだけど、まぁ安ソフトだからな。あとは労力で補えってやつですな。

そんなわけで、画像化の予定は未定っす。

銘板左端銘板銘板右端

日本のロケット技術開発の初期、ペンシルロケットっつうおもちゃみたいなのをたくさん打って技術を蓄積していったみたいに、この紙ヒコーキ製作プロジェクトは、おいらに航空力学のツボどころをいろいろ教えてくれたよ。

先尾翼機の垂直尾翼はなんであんなところについてるのかとか、先尾翼の具体的役割とか、主翼と水平尾翼はなんで段違いについてるのかとか、主翼と尾翼のサイズ・形状・位置のバランスとか、翼端失速の実体験とその対策の有用性の確認とか、その他言葉じゃなかなか説明しにくい飛行術の極意の一端を、身をもって理解できたよ。

銘板
2005.10.9 日曜
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おデート

やった! o(T□To)

デートっすよデート。明日。ついに約束を取り付けたぜ〜!

いつ以来だろ。んんと……おととし10月の『観光名所査察隊』をむりやり勘定に入れれば、まる2年ぶりのデートっすよ(あのとき一緒に行った査察仲間は一応独身の女性だったんで。実は『ドキモエメドゥーサ』のレイコなんだけど、おいら的には、そして間違いなくあいつ的にも、別段デートとは捉えてはいないかと (^^;) ああでもレイコと2人でっつったら、去年の夏に近場の海岸に行った気がするけどあんましよく覚えてない……てな具合で、そういうアレだとは思ってなかったりする)

それ以前つったら、今は亡き盛岡の松竹で花巻のコと『バトルロワイアル』観た時以来だから5年ぶりかよ(しみじみ。ていうかデートで観る映画かそれ)。

明日、すっぽかされたらされたで、その旨ご報告いたしますです(既に _| ̄|○)

銘板
2005.10.10 月曜
前日に飛ぶ
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十和田湖おデート

いやは〜行って来ましたですョおデートに (^〜^ ) ニヒニヒ すっぽかされなかったっすよ〜。

また十和田湖だったんだけど、紅葉にはまだ早かったよ。もちろんボート漕ぎですなお目当ては。みずーみでラヴリィなおにゃのことふたりっきりでボート、最高じゃないですか〜。

でも、今日は敢えて乗らなかった。

2年前はボート漕いでたら遊覧船に邪慳にされてムカついた わけだけど、今回はリッチにいってみました遊覧船乗船。

節操なしとでも何とでもおっしゃいなさい。手漕ぎ足漕ぎのしみったれどもはどけどけオルァ!! 遊覧船様のお通りじゃあ!!

他にも乗客がいたけど、いやもう既にそこはふたりの世界。世界のシヤワセふたり占めですよカカカカカカカカ ウワァッハッハッハ!

……、

……、

……。

いや、分かってるんだ。分かってるんだけどね現実は。うん。

……、

……、

……。

だめ。自分からは言い出せない。

師匠、我が師 ZZ TOP 御中、おいらの心の隅にわだかまってるあの事実を今こそ歌って下さい。

She don't love me

She love my automobile

パッパラ〜パッパラ〜

ああこの世にはなんておあつらえ向きの歌があるんだ。師匠ありがとうございました。

そうさ今回のおデートはクルマで釣ったのさ。カワイイあのコはローバーミニに首ったけなのさ。

十和田湖に行きがてら、いつもお世話になってるミニの専門店に寄ってったらあのコすげぇ喜んでくれたよ。うん。いいんだいいんだ。あのコの笑顔が見られるんなら、大人なおいらはそれでいいのさ。

いいのさ。

いいんだって。

ほんとだってば。

ほんとそれでいいんだってば。

……、

……、

……。

湖のバッキャロォー!! (T/O\T)

でもおててつないで渓流と湖畔を歩いちった〜。そこにいたおっさんに冷やかされちった〜。もうおいらそれだけで、それだけで……、

洒落じゃなく嬉しかったよっ(感涙)

これがいわゆるひとつの「複雑な心境」というやつでしょうか。けっこうまだら模様な心の色なんですが。

秋だからな。うん。それでもとりあえず近年稀に見る「充実の秋」になったことは確実。「実りの秋」にまでなる可能性は低いっぽいけど。いいんだ。淡きひと秋のオモヒデさ〜。

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ま〜いろんなオトナな諸々をご期待されてた方なんていらっしゃらないとは思うけど、一応言っとくと、夕方6時解散の健全なお子ちゃまデートだったですよ。

銘板
2005.10.11 火曜
前日に飛ぶ
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ゆんず vs NASA

タイミング良すぎ。10月6日の『無人宇宙機のお医者さん』つまり宇宙機用の内視鏡型ロボット、NASA で実際に開発中らしいぞ。

さっきたまたま見た CNET の今日付けのニュースに出てた。CNET はめったに見ないから、見つけたのはもろに偶然。アイディアの発表は5日の差で NASA に勝ったのだった (-_^;)Jwl グワッシ

NASA はいろんな宇宙用ロボを開発中で、内視鏡ロボ(記事から抜粋:「狭い空間に入り込んで写真撮影が可能な直径1センチメートルのロボットケーブル『Tendril』」)はそのうちのひとつらしいけど、この一連のロボットシリーズは「宇宙飛行士の支援」という位置付けみたいだから、そこはおいらの発想と違うとこだな。ただ、真空環境対応だとしたら、おいらが提唱した無人宇宙機でのハードウェア故障時の内視鏡手術ロボにそのままノウハウ転用できるわけ。

んー、NASA さんもどうしてどうしてなかなやりますなーなんて。ていうかおいらはこれで自信を付けてしまったぞ。日本の JAXA さんはそこらへんの研究開発はどうなのよ。

JAXA にメールの1通でも出してこのページを自己紹介してみるかねぇ。今月は宇宙機・ロケット関連バリバリいっちゃってるもんなぁ。でも間に挟まってるネタがちょっとアレだな (^▽^;)

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昨日のおデート中に JAXA から舞い込んだメールマガジンによると、小型超音速実験機 (SST) 飛行実験が成功したそうな。前回同じ実験に無惨に失敗して、何のデータも取れずに機体を全損したのはいつだったっけ。日記に書いたはずだったよな。んとんと、2002.7.15 だ。

とりあえず実験成功はめでたい! 3年遅れたけど、あとはデータ解析をすればこっちのもん。「コンピュータシミュレーションによる航空機設計の最適化」という従来にない飛行機設計の新手法を世界に先駆けてものにしたことだけでも十分に価値があるぞよ。この技術、世界中の飛行機メーカーから引っ張りだこになるかと(飛行機の開発コストが大幅に削減できるんで)。

このプロジェクトの延長上にある「日本主導による新型超音速旅客機の開発・実用化」には成功しなくともまぁよい。実際ほんとにそこまでやれるなんておいらは期待してないから。とにかく、再挑戦までの3年のブランクの間に、他の研究機関に先を越されなかったのも幸運だったね。とにかくよかったよかった。

ただひとつだけ残念だったことは、X 線天文衛星 すざく の打ち上げ成功の時と同じく、またしても新聞休刊日の前日に成功したってことだな。明日の新聞での扱い、どっちになるかな〜。ベタ記事かな〜シカトかな〜 (-▽-;) アハハ

銘板
2005.10.12 水曜
前日に飛ぶ
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仮病につき……

いやいや、なんかこう、活きのいいロケットネタをまた思いついたんで書こうかとも思ったんだけどさ、そうゆー気分じゃなくて。

あのおデートからはや2日。はぁ〜(溜息)

別に「お医者様でも草津の湯でも」ってわけでもなくて、ひとときのシヤワセな余韻が過ぎるとほら、来るものがあるよね次に。つまり

ダメ出しモード。

なんかこう、「あのときもうちょっと気を遣ってればな〜」とか「なんであんな態度取っちゃったかな〜」とか「あれは調子に乗り過ぎだったよ絶対」とか、けっこう頭ん中グルグルなんさ。「確かにおいらはすげぇ楽しく過ごせてよかったけど、あのコはそこまで楽しんでくれたんだろうか」とかさ。

ま〜そんな具合ってことで今日は、仮病につき病欠(なんか身も蓋もない言い方だな (^^;))

銘板左端銘板銘板右端

小型超音速実験機 (SST) 飛行実験成功の報、読売新聞、朝日新聞、デーリー東北(青森県南の地方紙)の3紙ともシカトだったよ (T□T;) ガーン

それどころか明日の1面は恐らく、中国の有人宇宙船、神舟6号打ち上げ成功の報が載るかと。

有人宇宙飛行っつうと、日本の有人宇宙政策、もうアメリカべったり主義をやめたらどうかねぇ。あの国の国際宇宙計画、日本からカネばっかりむしり取ってちっとも約束を守らないんだもん。日和見で不誠実なアメリカの有人宇宙政策なんかとはそろそろ、やんわりとしかしきっぱりと手を切って、ヨーロッパ・ロシアとの連携をもっと密にした方がいいんじゃないかねぇ。日本が既に持ってる技術で、彼らに持ち寄ると歓迎されるものもけっこうあるだろうし。

有人技術に限ってはロシアはダントツ世界一で日本なんてその足元にも及ばないけど、彼らの泣きどころは資金難。そこで日本の有人宇宙計画のパートナーをアメリカからロシアに鞍替えするだけで、大得意様としてすごい大事にしてくれる気がする。ロシアのソユーズ宇宙船&ロケットはアメリカのスペースシャトルより安くて安全で期日が確実なんで、日本にとってもいい話だと思うぞ。

ぶっちゃけ「宇宙クラブ」からメリケンさんをはじき出したらどうかと。ヨーロッパとロシアの宇宙分野は既にかなり緊密になってるんで、実はあとは、日本が欧ロ陣営に乗り換えるだけでこの「メリケン村八体制」は完成しちゃう。その腹を決めた暁には NASA に言ってやろう。

「火星に人を送るんだか何だか知らないけど、やりたきゃ勝手に一人でやんなさい。成功したら祝電ぐらい打ってやるけど、迷惑だからこれ以上うちら(日・ロ・欧連合)を巻き込まんでくれ」と。

「国際宇宙ステーション (ISS) を完成させる約束ぐらいは早く果たしなさい。資材運びにシャトルが使えないってんならロシアにカネと資材を渡して代行してもらえばいい。それと、ISS をもうやりたくないなら完成と同時に手を引いていいよ。あとはうちらだけで運営するから。その方がきっとうまくいくよ。一番我がままなやつがいなくなるからね」と。

とどめは踏み絵。「仲間に入れてほしかったら、せめて使用単位をメートル・グラム・摂氏に統一して誠意を見せなさい。そしたら考え直してやらんでもない」と。

ここまで辛く当たれば、メリケンさんにもまともな協調意識が生まれるかもしんない。それでもだだっ子が直らなきゃ本当にハブればいいだけの話。

実際、ISS 完成後は日・欧・ロだけでやっていけると思う。乗員の輸送はロシアのソユーズ宇宙船と、現在開発中の新型船(ソユーズのバージョンアップ版なんで安全性は高そう)で対応。ISS 内での乗員の生命維持と居住環境は、ロシアが宇宙ステーション・ミールで培った技術で完璧。物資の輸送は、開発中を含めると3者がそれぞれ手段を持ってる。ことにヨーロッパが開発中の輸送船はかなりいいらしい(日本が開発中の輸送船はアメリカ規格なんで要設計変更)。肝心要の実験施設もそれぞれが用意してるけど、日本のやつが一番充実してる。こいつは既に完成済みで打ち上げ待ち状態。なんだメリケンさんいなくても全然オッケーじゃん。

中国との連携は、今はまだちょっとね。あの国の有人宇宙計画は見事に進んでるけど、軍がかなり絡んでるみたいだし、それに今は国威発揚と国内の社会不満のガス抜きのための道化と化してる状態だから、まだ他国と手を取り合える状況じゃなさそう。でも意外と「宇宙クラブ」からハブられたメリケンさんが中国と組もうと画策するかも。万が一そうなったとしても、中国にも言われそうだな。「人命と国運を賭けた技術開発でメートル法じゃないやつなんかと組めるか」なんて(笑)

銘板左端銘板銘板右端

病欠と言いつつけっこう書きましたな (-▽-;)

銘板
2005.10.13 木曜
前日に飛ぶ
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ケミカルキュートネス

〜 ナノぬいぐるみ 〜

細かいいきさつは抜きにして、昔、めちゃめちゃカワイイ画像をスキャンしたんだけどさ、

どうよこれ。

ちなみに以前、友達の何人かにこの画像をメールで送ったら、どっち派かで意見がまっぷたつに割れたよ(笑)

おいらはどっちも萌え〜。

銘板
2005.10.14 金曜
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クリーペルに搭乗せよ!

またタイミング良すぎ。今日のデーリー東北(青森県南の地方紙)の1面下隅に出てた記事の見出し。

  宇宙船共同開発を打診

  新型機でロシアが日本に

ロシアがソユーズに替わる6人乗りの新型有人宇宙船を開発中なのは何日か前の朝日新聞で読んで知ってて、10月12日の話はそれを元ネタの1つにしたんだけどさ、今日の記事によると、

ロシアが日本の宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)に対し、現在同国が単独で進めている新型有人宇宙船「クリーペル」開発への参加を打診してきたことが、十三日分かった。

(中略)

  同宇宙船の開発には、既に欧州宇宙機関が参加の方向で検討している。仮に日本が参加すれば、二〇一〇年までにスペースシャトルを引退させて宇宙開発の目標を月や火星にシフトする米国に頼らず、日、ロ、欧の三極だけで国際宇宙ステーションを運用する、技術的な道が開けることになる。

(後略)

だそうで、国際宇宙ステーション(ISS)のこれからは、ロシアとヨーロッパの間じゃ「アメリカ抜きで」が視野に入ってて、今までアメリカべったりだった日本が欧ロ連合寄りに鞍替えするかどうかが鍵になってるらしい。おいらの読み通りさ(ちょっと威張ってみる。えへん)。

アメリカ抜きでの ISS 運用の基盤の1つである乗員の輸送システム開発に日本にも声をかけてきたってことは、日本になにがしかの期待をかけてるってことでもある。まぁこの申し出、「おう日の本さんよ、そろそろ俺達(欧ロ)の側に付かねぇか? それともこれからもヒモのメリケン野郎の面倒見る気かい?」という踏み絵の意味もこもってるかもしれんけど。

恐らく日本に一番期待してるのはカネなんだろうけど、カネ目当てだろうが何だろうが、彼らから一応の信頼を得るまで日本の宇宙開発は認められてきてるってことかと。ロシアにとっては開発資金が欲しいからだろうけど、ヨーロッパはヨーロッパで、約束したことはいつも必ず守る(例えうまくいかなくても、誓った約束をできるだけ守ろうとしてベストどころか死力まで尽くす)日本の宇宙開発の誠実さに対して信用感を持ってるらしいしな。

日本の誠実本意主義がきちんと認められた証が、ヨーロッパとの水星共同探査計画(ベピ・コロンボ計画)。それが悪く出た証が、建造費3100億円ぶち込んで約束通り完成させて納期もきっちり守ったのに、いまだに NASA の倉庫に放置されてる ISS 日本棟きぼう(スペースシャトルで打ち上げる予定だけど、いつ打ち上げられるか全く未定のままただひたすら待たされてる。まぁ NASA の調子のいい口車にまんまと乗せられたわけだ)。

実はヨーロッパのココロは、あちらさんもアメリカのワガママぶりに辟易してるってこともあったりするけど。何が何でもリーダー役をやりたがるくせに方針コロコロ変えやがるからなぁメリケンの旦那。「朝令暮改」という言葉を教えてやりたい。

日本の側もロシアからのこの申し出には前向きらしい。ただ、ロシアって国は合意書にサインするまで一瞬たりとも気を抜けない国らしいから、細心の注意が必要ですな。すごい交渉上手らしいし。日本の宇宙開発は今まで NASA の手下として辛酸を嘗めてきたからね。二の舞にならないよう気をつけるべし。

でだ、調印までの交渉はかなり難航するとしてだ、その間ずっとロシア側に主導権を握られたままってのはまずい。ハッタリでいいから「有人宇宙船開発の相手は他にもいるよ。アメリカとはまだ切れてないし、中国の下についてもいいし」とか言って、少しでもこっち側に有利になるように強気で進めないといかんよ。少なくとも向こうはそういう気構えで、少しでも自分に有利にすべく交渉に臨んで来るはずだし。

なんで強気じゃないとだめかっつうと、ロシアとの宇宙船の共同開発つったら、日本が宇宙船製造を優秀な先生から学び取る千載一遇のチャンスだからなんですな。だから「カネだけ出すことになりました」なんて情けない交渉結果なんかわしゃ認めんぞ。

今の日本の宇宙関連の技術者には、ロケット屋も衛星屋も探査機屋もいる。でも有人宇宙船屋がいない。スペースシャトルの利用じゃただのお客様だったから、有人宇宙船の製造・運営技術に関しては全くと言っていいほどアメリカからノウハウを持ち帰ってないと思う。

つうことで、ロシアは手強い交渉相手だけどひたすらがんばって、強引だろうが何だろうが日本の技術者を1人でも多く開発現場の鉄火場にねじ込んで、少しでも多くの部分に関わらせないといかん。そんで最終的には、送り込まれた彼らは、新型宇宙船クリーペルの管理・運営までもある程度任されるくらいにまで成長してなきゃいかん。

それがうまくいった暁には、ISS 運用の末期あたりには、日本も本当に自前で有人宇宙船を作れる実力と自信を身に付けてるだろう、というシナリオだ。

余談だけど、ロシアやトルコや中東の国々みたいなタフネゴシエイターな人たちを相手に交渉する場合、遠慮は一切無用だよ。「図々しいと思われるんじゃないか」なんて日本的譲り合いの心を彼らとの交渉の場で見せると、「あいつ腰が引けてる。こりゃもっと押せるぞ」と思われるだけ。交渉に強ければ強いほど、その力を認められて一目置かれてますます有利な地位を向こうから譲ってくれたりする。反対に、交渉でいいようにやられるようじゃ「頼りないやつ」と鼻も引っかけられない。

記事の他のところを見るに、クリーペルは ISS への往復だけでなく、単独での宇宙実験請負や宇宙観光旅行にも使う予定らしい。開発に成功すれば、自分の食い扶持くらいは稼げる計画だってのはおいしい。まぁ昔、スペースシャトルも同じ触れ込みで開発が始まったんだけど、それまでの技術蓄積をほとんど捨てて新規の技術的冒険をやり過ぎたたせいで、出来上がったらあの有様なんだよね。その点クリーペル開発は、成功してる既存技術「ソユーズ」の延長だしスペースシャトル開発・運用の失敗も脇から見てるんで、多国間開発の難しさやリスクを鑑みても、賭けるだけの価値はあるかと。

記事の最後は

ロシアは「一千億円で開発できる」と説明しているという。担当の樋口清司理事は「宇宙で安定的に活動するなら、輸送システムはひとつに頼るのではなく、他の手段でもやりくりできるのが望ましいのではないか」と参加に積極的な姿勢を示した。

とのこと。「一千億円で開発」はセールストークだと思った方がいい。過去の宇宙開発の常識から考えて、倍の2千億は見込んどいたほうがいいかと。日・ロ・欧で3等分として667億。安くはないけど、仮に日本が今から単独で1からクリーペル並み(6人乗りで5日間飛行可能)の有人宇宙船を作るとしたら、H-II ロケット開発費用の倍くらいの5千億は軽くかかるんじゃないかねぇ。開発途上で乗組員も何人か死ぬだろうし。

「『輸送システムはひとつに頼るのではなく、他の手段でもやりくりできるのが望ましい』と参加に積極的な姿勢」はどう取ればいいんだろ。クリーペル開発参加に積極的なのはおいらも賛成だけど、「メインはあくまでもアメリカのスペースシャトルと CEV」ってことだとしたらちとヤバいかも。

シャトルは「カネかかる・危ない・いつ飛ぶか分からない」の嫌な三拍子が揃ってるし、アポロ宇宙船の様式に立ち返るという CEV は、NASA はその手の宇宙船の開発ブランクが長過ぎるからなぁ。最新技術と30年も前に断絶した技術のすり合せだけでかなり手間取りそうな気がする。それにアメリカの長期計画は途中だろうが何だろうがネコの目みたいに方針がコロコロ変わるし。やっぱし当てになんないと思う。

一応メリケンさんにもしばらくはいい顔を見せるだけ見せといて、それをロシアとの交渉のカードとして存分に使って、交渉成立後は CEV 共同開発の方はとっとと見限るのが一番かと。アメリカはそうなったら日米同盟なんかを盾にブースカ言い出すかもしんないけど、そんときゃ「知っての通り日本の宇宙開発は軍事抜きっすから。それはそれ。これはこれ」とでも言ってサクッと袖にして、メリケンさんにはブロークンハートを抱いたまま泣いて帰ってもらいましょ。

よくよく考えると、今、日本の宇宙開発は米ロ両方から「ねえねえあたしと付き合ってよぉ〜」と両の腕を引っ張られてるわけだ。なかなかいい気分ですなぁ。困っちゃ〜う〜な〜 (^▽^) って感じ?

つうことで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)さんの正しい決断と交渉の健闘を祈ってるぞマジで。

銘板左端銘板銘板右端

「ダメ出しモード」解除したよ。うん。あのコとケータイメールしてさ、うん。取り越し苦労だったみたい。オリジナル顔文字のマネキネコとハニワと土偶をあげたらウケたよ〜(薄涙)。ってなんでこんなことでおいらは喜んでるんだべ。

最近なんつーか、『8時だョ』の桜田淳子っぽい。「あたしってダメな男ね」「ゆんず、シアワセ!」。やばいよなぁ。秋の気配にほだされて、元に戻れないとこまで気分が行っちまわんように気ィ付けるべ。

なんかここんとこやたら宇宙開発ネタが多いのは、けっこう必死で煩悩を振り払ってるってことなんじゃないかとか自分で勘繰ってみたり。

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2005.10.15 土曜
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超感応式信号

仕事の外回りで、クルマで感応式(押しボタン式)信号のある交差点に近づいたわけよ。もちろん信号は赤なわけよ。

センサーの下に来て、押しボタンの表示が自動で変わると一安心だわな。「お、分かってくれたな」なんて。信号がすぐに切り替わるか、しばらく待たなきゃいかんかはその時によるけど。

といつもの気分で減速しながらセンサー直下に近づいて行ったら、センサー下に入る前にいきなり青信号になりやがった。あーびっくり。

最近の感応式信号ってサービス良くなったんだな〜 (違うと思うけど)。

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2005.10.16 日曜
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『地球を守れ!』

みんな、とにかく何でもいいから韓国映画の『地球を守れ!』を観てください。

今、八戸フォーラム で開催中の『韓流シネマフェスティバル』の中の1作として公開中だけど、2003年の作品なんで、ビデオ屋にもうあるかもしんない。とにかく何でもいいから観ときなさいな。すごい面白いから。

韓流シネフェスで『地球を守れ!』を観てきたですよ昨日。タイトルといい設定(主人公は思い込みが激しいトンデモ系の青年で、化学工業会社の社長を、地球を侵略するためにアンドロメダからやってきたエイリアンだと信じ切って拉致監禁する)といい、こりゃ絶対おバカ映画だ! (^m^ ) ププッ と確信してウキウキしながら観に行ったよ。

あのさ〜おいら韓国映画ってそんなに得意じゃないのよね。日本に来てるのって文芸ものとか恋愛ものが主じゃん。女性客がターゲットの。アクションも確かにある。『シュリ』と『オールド・ボーイ』は気に入ってるし『アラハン』も期待してるけど、そっち系はあんましタマ数が多くないよね(現地じゃけっこう作られてるかもしれんけど、あくまでも日本で全国公開されるものでは、という意味で)。

シネフェスの上映リストもそんな感じで、おいらが観たいと思えるようなのがそれほどない中で、ひとつだけ光って見えたもんな『地球を守れ!』。

映画が始まったら予想通りノリがいいオープニングで、くすぐり程度の笑える場面がちょこちょこ出てきたりして。この調子で最後まで行くのかなーとか思ってたら意外や意外、話はマジモードのアクションサスペンスへと振れていくんですな。それがまたすごい面白い。先を予測できない見事なストーリーと展開で、ぐいぐい引き込まれていっちゃうよ。中盤からずーっとクライマックス。

で、ハイテンションを最後まで保ち切ったこの話が無事に収束したかと思いきや、

……、

……、

言いたいけど言えない。

……、

……、

まぁ出血大サービスでこれだけは言わして頂きましょう。

超ド級衝撃のフィニッシュ!

たまたまシネサロン仲間と鉢合わせて一緒に観たんだけど(彼も「おバカ映画」を期待)、2人ともキョーレツなカタルシスに酔いしれて、思わずそのまま飲みに行っちゃったよ。

すげぇよ。マジですげぇ映画だったよ。

娯楽映画の中の娯楽映画。

それが『地球を守れ!』。

八戸フォーラム(公開は今週の金曜まで)かビデオ屋に今すぐ走れ!

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2005.10.17 月曜
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となりの羅生門

黒澤明の名を世界に知らしめた不朽の名作、その名は『羅生門』。原作は芥川龍之介の同名小説だけど、話の内容のほとんどは同じく芥川の『薮の中』から取られてる。

だから、黒澤の『羅生門』は知らないけど芥川の『薮の中』なら読んだぜ、という方は、『薮の中』の方を思い出して下さいまし。

おいら10年くらい前に、黒澤ファンとしちゃ外せないよなぁ、と『羅生門』を観たとき、その中のセリフ通り「分からねぇ。何が何だかさっぱり分からねぇ」だったよ。ちなみに黒澤ファンになる前に『薮の中』も読んでたけど、そっちもさっぱり。

しかし歳月は人を鍛える。子供の頃に観たファーストガンダムのララァ絶命の場面が全くチンプンカンプンだったのが20年経ったら手に取るように分かってしまったように、このまえ10年ぶりに『羅生門』を観たら、なんだかすんなり飲み込めちゃった。

異論もあろうかと思うけど、とりあえずおいらの解釈では、「人から伝わる "真実" は、伝える人の体面が無意識に装飾しねじ曲げたものなので、伝聞による真実はあり得ない。または、真実はそれを見る人によって違う姿を見せるので、絶対的な真実を複数の人間と完全に共有することはできない」。

まぁ上の解釈の後半部分は、かのアインシュタインも相対性理論の観点から同じようなことを言ってたわけだが。

定義として言うと小難しい感じになっちゃうけど、そういうことを映画芸術として初めて表現し切ったという理由で、黒澤は世界に認められたんじゃないかと思う。

で、別に今日は黒澤マンセー企画じゃなくて、おいらなりにこの『羅生門』を見切って数カ月。なんかおいらの身に羅生門的な事態が発生してたということに気付いてさ。いや、映画『羅生門』や小説『薮の中』みたいな凄惨な事件じゃないよ (^^;)

あのさ、伝え聞いたのさ。ある女性がおいらについて、なんだかおいらにとっては不可解な妄想世界を構築してるということを。

彼女の脳内では、おいらは何年か前、激しく彼女に言い寄って来たことになってるらしい。ところがいろいろまぁアレだったりコレだったりの事情により、彼女の方からおいらを袖にした、ということになってるらしい。

一方おいらの脳内ではこうだ。

何年か前、なんとなく気が合うような気がして、彼女とたまにドライブとか飲みに行ったりとかしてた。そして悟った。この女はダメだ、と。付き合ったら何もかも身ぐるみはがされてしまう、求めるばかりで与えたり分かち合ったりすることを知らない底なし女だ、と。「酒も飯も男がおごって当然。なぜならあたしは最高の女だから。おごってくれた礼なんて最後に申し訳程度に一言言ってやれば十分。なぜならあたしは最高の女だから」って感じかな。でも自分でも少しは勘づいてはいるらしい。自分で思う自分の高貴さと現実の世間の自分のあしらいとの落差を。その不満がますます彼女をゴーツク女にしてる。

おいらはそんな女にカモにされたってわけ。それに気付いたからには、おごるおごらないのカネの話は別にしても、もうこっちから願い下げ。

おいらはその女から自ら離脱した。いくら彼女がねだってもドライブに行かない。飲みの誘いにも乗らない。どうしようもない時(つまりこの女に捕まった時)以外は飯も酒もおごらない。距離を取ったのだよ。自分から。それでも事態は収まらない。

問題は、彼女が、おいらに関する彼女自身の解釈を、実名入りで言い触らしてるってことなんだわ。女としてのステイタスを上げてるつもりらしい。「こんな男もいたわ」と。彼女の脳内の華麗なる妄想遍歴に殿堂入りしてしまっただよ。迷惑なんですが。

でもさ、『羅生門』から学んでしまったおいらとしては、「あいつの言ってることは全部デタラメだ!!」とは言い切れないわけよ。おいらの脳内解釈だって、どんだけ自分の体面で飾り付けて真実をねじ曲げてるんだか自分じゃ分からんからな。でも言っとくけど、その女とはチューとかそれ以上とかは全くないよ。事実として。これは事実!!

なんでまたこんなことにこだわるのかっつうと、なんかもうそれがタメイキ出るようなタイミングで発動しちゃったからさ。

その羅生門つながりな彼女が言い触らした内容、いつ誰から聞いたと思うよ。それがあんた、十和田湖おデート 相手のラヴリィなおにゃのこから、おデートの最中に聞いたんだよ! 運転中にもう取り乱したの取り乱さなかったのって。危なかったってば。

おにゃのこは完全にあの女の方を信じてたよ。いくらおいらがおいらの言い分を言ってもだめ。そのくらい真に迫る描写を、あの女に先にされたらしい。あんまし反論するとラヴリィおにゃのこの気分を害しそうだったし、自分でもなんだか陰口言ってるみたいで気が引けてきたしで、結局押されっぱなしでその話題を終えてしまったよ。

妄想は勝手にすればいい。でも人の楽しみの邪魔だけはしないでくれよ。

ていうかもう色々と手遅れな気がする...orz

事態の行方は、誰も知らない。

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2005.10.18 火曜
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脳科学異説

鈴虫やコオロギやキリギリスの季節となり申したな。風情ですな。

ところがあの鳴き声に風情を覚えるのは日本人特有の感性らしく、中国人とかの場合は知らないけど、西洋じゃただの雑音に聞こえるんだそうで。

日本じゃ虫かごに入れてその音色を楽しみますな。ところが西洋人はあの鳴き声を聞くと「やかましい」とばかりに新聞紙を丸めて叩き潰したりするんだそうな。ゴキブリと同等扱いですな。

これについて、まことしやかな学説が流布してる。なんでも日本人と西洋人じゃ秋の虫の音をとらえる脳の位置が違うんだそうで。どっちが右脳で聞いて、どっちが左脳で聞いてるんだか忘れたけど、とにかく逆なんだそうで。原因は母語の違いで、生まれた時から受け入れ続けた母語によって、脳がそれぞれ別な育ち方をするからなんだそうで。

今日はこれに異論を申し上げたい。そんな大げさなことじゃないんじゃないかと。おいらの説明はかなり単純だけど、けっこうご納得頂けるものと自信を持って申し上げる所存にござる。ほんじゃま三段論法で。

  1. まず、西洋には南の一部地域を除いて、セミがいないそうだ。
  2. でもコオロギ・キリギリスあたりはいるんだそうだ。
  3. 日本人が秋の虫の音を愛でるのは、夏場、あまりにもセミがやかましいからじゃないのか。

多くの西洋人にとって、昆虫の出す一番大きな音ってのは、日本で言えば秋の虫の声なわけ。でも日本人にとっては秋の虫が鳴き出す前に、ただでさえヨーロッパより蒸しクソあちい夏場の昼間のさなかに、神経をますます逆撫でするかのように、大音響でこれでもかこれでもかと暴力的に鳴き続けるセミという強敵がいる。ダブルパンチなわけ。

夏場の暑さが峠を越すと、セミもまたその短い成虫期間を終えてみんな死んで静かになる。ダブルパンチに耐えに耐えてようやく過ごしやすくなると、季節は秋。何かと気分を攻撃的にさせる日本の夏のバカヤローとのあの落差で、「秋の気配」なんてしっとりした言葉そのままに、日本の人々の心は落ち着きそして柔和にそして人恋しくなる。

そんな秋の夜長に、セミなんかよりもっと控え目でか細い鳴き声がどこからともなく聞こえてきたら、そりゃいとおしくも感じられようってもんじゃないのかね。

つうことで、文化的感性の違いを何でも短絡的に言語と脳の違いのせいにする前に、学者さんがたからはまず、こういう常識的な線にそぐった考察・実験結果をお聞きしとうござんす。かしこ。

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2005.10.19 水曜
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ダイエットの副作用 1

夏の間はサボってたけど、最近ジョギングをまたやり出してる。

でさでさ、しばらくぶりに思い出したんだけど、ジョギングを何日か続けると、便秘になるよね。別に腹が苦しくなるわけでもないから問題ないんだけど、出るもんが出ない、これはこれで気になる。

でさでさ、走った後ってワクワクしながら体重計に乗るわけ。今日はなんぼ痩せたかな〜ってさ。これが全然減ってない。ていうか増えてたりする。

便秘がその元凶かと思われる。あと、最近ずっと1回で 10km 走ってるから、夏に衰えた筋肉がまた付いてきたって線もあるかも。そういや太腿パッツンパッツンだし。ふくらはぎは優美にして頑強なガンダムラインを誇ってるし。

とりあえず明日あたり、ちょっと無理矢理ヒリ出してから体重計に乗ってみるか。別に我慢してるわけでも苦しいわけでもないんだけどさ。

ひまし油って薬屋に行けば普通に売ってくれるもんなのかねぇ。あれ、すげぇ効くからなぁ。頑張って出なかったらその方向も考えてみるか。

買うとしたら、やっは味と匂い付きがいいね。そのまんまじゃまずそうだしさ。前に飲んだ時 は柑橘バニラ味だったっけ。あのあとトイレ中が柑橘バニラの香りでいっぱいになったことを思い出すに、かなりの量の香料が添加されてたかと。やっぱそのままじゃ飲みにくいんだきっと。

とりあえず明日、ひまし油なしで踏ん張ってみますわ。

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2005.10.20 木曜
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ダイエットの副作用 2

昼、踏ん張って3日分くらいひり出した。

夜、踏ん張ってまた 10km 走り切った。

風呂に入ってから計量ターイム。

……、

……、

……。

また増えてる……。

何をどう間違えてるんでしょうか。もう何が何だか分かりません。

何のために走ってるのかという根源的なところからもう…… orz

アッタマ来てカップ焼きそば食ってやったよっ。

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2005.10.21 金曜
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峠攻めの日に燃え立つもの

すんません日曜に書いてます。金曜のことを思い出して書くっす。

10月25日放送ぶんの『八戸フォーラム シネサロン』の収録前(土曜18時予定)でソワソワなのに準備は大して進んでないし(相変わらず凝り凝りに作り込んだカンペを用意しないと喋れないのだ。でも草稿を木曜のうちに夜なべしてまで作っといて良かった。ていうか草稿上げたの金曜午前3時だっだけど)。仕事の合間に日記も原稿も少しでも書きたかったけどめちゃめちゃ忙しくてさ。明日は休みだし。

外回り外回り外回り。3回まわってワン。しかも遠いとこばっかし。

職場の担当車アベニールっち、コーナーでタイヤ鳴りまくり。もともと峠系ドラテク磨きにはあんまし興味ないから「ベストなラインでドリフト決めて超高速コーナリング」なんてできっこない。それでも時間に追われてひたすらタイヤ鳴らし。まぁ微かに「クォォォォォォ」と鳴る程度だったけど、やってる本人心臓バクバク。それでも過去に RC カーの地元レースでちょっとはいい線行ってたプライドとセンスくらいはある。ちょっとだけど。そのちょっとを頼りにひたすら峠攻め。

しかしなかなかやりたいようにはできんのよね。アベニールには商品積んでるもんだから「ヘアピン手前でドッカンブレーキ」なんてできないし(やると商品が後ろからおいらに飛びかかって来る)、まかり間違えてスピンやクラッシュしちゃったらやっぱし商品がやばいし。ていうかクルマもおいらもやばい。いやあの、『頭文字 D』で豆腐の配達しながら腕を磨いただなんて絶対ウソだよあれ。ああ、拓海くんはヘアピンに減速なしで突っ込むんだっけ。実際、物理的にできるかどうか知らんけどおいらには無理。

意外な発見。我がアベニールってディーゼルのバカ重いエンジンを前に積んだ FF のくせに、コーナー後半でオーバーステアっ気が出てくる。少なくともおいらの速度領域じゃ。あ、後ろのオーバーハングに 100kg の荷物を積んでたせいかも。

で、なんかこう、自分の限界までクルマで攻めてしまうと、今までずっと安全運転派だったおいらは認めたくないけど、やっぱ心の内に燃え上がってくるものがありますな。「もっとうまくなりたい」と。「コーナーをもっとキレイに駆け抜けたい」と。

やばいやばい。そんな危険を犯すわけにはいかんのよ。どうしてもやりたくなっちゃったら RC カー界にでも復帰することにするべ。命や健康を賭けずに同じコーフンを味わえるわい。そう、

「僕には……帰るところがあるんだ。ララァとはいつでも遊べるから……」

の精神にて、実車じゃ安全運転に徹することにするべ(ララァに該当する人物はいないが)。

銘板左端銘板銘板右端

アベニールならまだしも、旧型ミニでテールスライドこくとスゲェ恐いぞマジで。

いっぺん濡れ路面でのコーナリング中にケツが滑っちゃってさ。ホイールベース短い上にオーバーハングほとんどないから、前触れなしにいきなりズロッ! と来るんだこれが。反射的にカウンター当てたらうまく立ち直ってくれたっつうヒヤリハット。ほぼまぐれ。毎冬の雪道・アイスバーン走行の経験がたまたま活きたかと(思い出しガクブル)

銘板
2005.10.22 土曜
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最強宣言

10月25日放送の『八戸フォーラム シネサロン』、すげぇ面白い番組になるかと。笑い系ネタ満載。かな〜りキョーレツなゲスト呼んだしね。あとは編集次第。収録時間、かなり超過しちゃったっぽいんで。

毎回、月末〜月始めあたりにメンバー間でいつの放送回で喋るかを決めるんだけど(その週末公開の作品が主な基準になって、先着制で決まっていく)、おいらメンバーの中で一番の新人だからね。ちょいと遠慮気味。

先月末、10月分の予定を決める時もそんな感じで予定が埋まっていくのをホゲーっと傍観してたら、25日が余ってしまった。で、公開作品の予定表を見たらなんと『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム II 恋人たち』の公開週じゃござんせんか。いやもうおいらのために空けてくれたとしか思えなくて、迷わず立候補しただよ。先月も月末だったんでちょうど1カ月あくわけで、気分的にも余裕を持てるし。

ていうか先月末はマニアルームのネタに困って『ZZ TOP 大特集』なんつうおもっきし無理矢理な企画をした上に、頼みの綱の、BeFM 収蔵の『バック・トゥ・ザ・フューチャー III』のサントラに実は主題曲が入っていなかったという衝撃の新事実が収録当日に発覚したりして(2005.9.25)、かなり大慌てだったんだわな。

でも今回は違った。10月25日を取った瞬間、マニアルームのネタは決まっていたのだよ。ああもうこれ 9月29日に書いたっけね。

で、今回もサントラが大きな鍵を握ることになったわけで、この音源は手元にも BeFM にもない(と思う)。ガンダムの昔の映画のサントラだもんなぁ。

半月くらいかけてマニアルームで話すネタと構成をひねりつつ、前半の新作映画紹介はどうやろうかとか悩んでたけど、ある放送回での別なメンバーのトークで思い出したナイスなスゴネタを思い出したんで、その話で前半のそのまた前半あたりを半分潰してしまおうかとか。新作紹介コーナーはガンダムだけでいいし(番組の最後に、フォーラムの職員さんがその週末公開の作品を改めて全部紹介してくれるんで)。

問題のサントラの調達元は、もちろんオタクからでなければならない。オタクしか持ってなさそうだし。ということで、あのオタケン君(『ドキドキモエチュー メドゥーサ紀行』で「魂の旅」を共にしたあのオタケン)に貸し出しを依頼してみた。

ところがその音源は CD でもカセットテープでも持っていないと言う。映画は DVD で持ってるとのことなんで、そこからテープか MD に落としてくれ、と頼もうとしたら、彼の方でもそれを考えてたらしかった。

「その線でチェックしたら、セリフとか効果音とか重なってるぞ」

マジすか (-_-;)

そうなっちゃってるのは曲の始めの方だけみたいなんで、そこらはトークを被せてごまかす手で行こうか、と諦めた。なんかサントラで泣かされっぱなしだなぁ。

翌日オタケンから連絡あり。心当たりを当たってみるとのこと。お、彼のオタクマインドに火が点いたっぽい。がんばれオタケン、「綺麗な音源」を是が非でも探し出してくれ!!

と連絡を取り合ってるうちに、どうやらブツは調達できそうだということになった。さすがオタク。こういうことに投入するエネルギー量が半端じゃない。まさに不可能を可能にしてくれたよ(けっこう畏怖の念)

同時に、彼から見返りの要求が来た。おお、出来ることなら何でもかなえて差し上げようぞ。なになにふむふむ、番組収録を見学させろとな。ダイジョブダイジョブ。なんたって前回、収録直前に女子高生に「スタジオに入って見学してかない?」と声かけたくらいだし (^^;)  一応ディレクターさんにその旨お願いしたら、「全然構いません。むしろ大歓迎です。(^^)」とのこと。よしゃよしゃ。

そこで思いついた。

そもそも新作紹介コーナーで『Zガンダム』やろうとしてたんだから、ここはひとつ新作紹介はオタケンにやって頂こうじゃないの。オタクになり切れず、さりとて非オタク系真人間とも言い切れないという、そんな中途半端な状態のまま成人してしまったおいらがやるよりずっといいじゃんそれ。

その案を伝えたらオタケン、戸惑いつつもめちゃめちゃ乗り気!!

なんと収録前日の金曜、仕事を半ドンで切り上げて『機動戦士Zガンダム II 恋人たち』の情報収集 & 分析作業に突入したってんだから、その意気込みたるや常人の域をはるかに超えとるわ。ボランティアだってのに(一方おいらはその頃、山道でアベニールのタイヤを必死こいて鳴らしてた)。ちなみに彼の出番はわずか3分くらいなんだが、それを伝えるタイミングは逸してしまった(すまぬ)。

読み、ドンピシャ!!

やつは「きれいな音源」を見事調達してくれたのみならず、ガンダムトークでも予想通り、てか予想以上に大爆烈! いや〜あのまま飛ばしに飛ばして、第二宇宙速度で地球引力圏から脱出しちまうかと思った。オタクすごすぎ!!

ただ、一般人にしてみれば、アニメオタクがアツく激しくそして延々と語る時ってのは、その内容はほぼ確実に意味不明またはどうでもいい話なわけで。そこでまぁひとつ、不特定多数のリスナーさんが退屈されたりお腹立ちにならないよう、おいらの方でちょいと工夫して、笑えるネタに加工しときました。どうやったかは番組を聴いてのお楽しみ (^〜^) ニヒヒ

ていうかそこら全部切られたりして(笑)

他にもおいらの喋りの部分でもアホネタを過去最高密度でブチ込んであるんで、今までおいらが担当したシネサロン中、最強の逸品になったよ(断言)

放送は10月25日午後7時30分から。

ステーションは 76.5MHz の BeFM だよ。

銘板左端銘板銘板右端

今頃ディレクターさん、時間超過した素材のどこをどう切ったもんか、編集で泣いてるかもなぁ。

銘板
2005.10.23 日曜
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『アラハン』『セブン・ソード』

韓国アクション最新作『アラハン』観てきただよ。香港の『阿羅漢』(1986)は観てないから、リメイクかどうかは知らないっす。

なんかこう、観てる最中はかなり楽しんだ(コミカルな場面多し)し、クライマックスの肉弾アクションもコーフンしたけど、どうも印象がいまひとつ薄いなぁ。

同系列のライバルとしては『カンフーハッスル』(2004)が近いと思う。超絶トンデモクンフーにギャグ。でもそうなっちゃうと『カンフー……』の勝ち。アクションはタメだけど、ギャグで『アラハン』は押され気味。それにあっちにはもっと夢と感動があった。チャウ・シンチーってやっぱし志が高い人だと思うなぁ。しみじみ。

何だろ。確かにカネ払った以上に楽しんだのに、なんでここまで印象に残らないのだ? 剣劇も良かったのになぁ。剣劇といえば、ツイ・ハーク監督の『セブン・ソード』を先週観たな。しかし日本の配給屋、文法間違ってるぞ。7つの剣なんだから「ソーズ」だろ。わざわざ英語をタイトルに据えるんなら、こういう恥ずかしい間違いはいいかげんやめてほしい。「その方が意味が通じるから」なんてのだったら余計なお世話だよ。客をバカにしないで頂きたい。ていうか学校で英語を学習中の子供たちに悪い影響を与えてるぞ。ていうか、なんだか「『七人の侍』の中国版」っぽかったし、監督のインタビューによると『七人の侍』を相当意識したみたいだから、素直に「七本の剣」あるいは原題通り「七剣」で良かったのでは?

ていうか退屈で途中で寝てしまっただよ。ツイ・ハークの演出ってどうもなぁ。クサいというか驚きがないというかいちいち先が見えるというか。唯一の驚きは、主人公たちの衣装がリアルっぽいのに、敵方だけはファンタジー系コスプレでキメキメってのがなんてーか、何考えてんだお前って感じでまぁそういう驚きはあったな。よくやるよ、って意味で。

武器もなんだかフリスビーカッターっつうか超電磁ヨーヨーみたいな、実際に存在したならどう考えても役に立たなそうなダメダメなやつが猛威を振るってたし。なんか邦題も内容も中途半端だったな『セブン・ソード』。まぁ寝てしまってきちんと観たわけじゃないから、言い切るにはちょっとアレかも知んないけど。

そこらへん『アラハン』は割り切って観られたってところは買いだな。でも新しさに欠けるのはいかんともしがたいねぇ。久しぶりに観た肉弾アクションが良かったからまぁ良しとするか。なんか残尿感っぽい感想で申し訳ないけど。

あ、分かった。『アラハン』観る前にあれ観たからかも。『頭文字 D THE MOVIE』。2回目だけどやっぱし高橋レーシングのドリフトいいわぁ。さすがに2回目だと、たまにコーナー出口でヨレてたりしたのが分かっちゃったりもしたけどまぁそれでもいいのだ。あの映画は「こういうのが観たかったんだよ〜」ってのを実現してくれたからな。監督がカメラマン出身なだけあって、カメラワークの静と動の組み合わせ方がうまくてなぁ。いろんなとこが新鮮なんだよなぁこの映画。

ガオン!とマシンがカメラの目の前を豪快に横切ると、カメラはふわーっとパンして、おーいどこ見てんだ〜と思うと、視界のはるか先で、そのマシンのヘッドライトの明かりが高速移動しながら木々の間から漏れてたり。カメラからマシンが消えてる間も、エンジン音やスキール音がこだましながらずっと続いてくあの感触。いい余韻なのだよね。

あれ観ちゃってから『アラハン』。ちょっと不利だったかも。

ていうか、封切り間もないってのに『アラハン』、片手で数えられるほどしか客がいなかったんですけど。来週末までで上映が終わる『頭文字 D』にボロ負けしてたぞ(『頭文字 D』は好評につき上映延長して、ここまで来た)。大丈夫か? これは製作者のせいじゃなく、配給会社が宣伝に失敗したからかと。配給はどこかといえば、それは UIP。

やっぱしあの会社どっかおかしいんじゃねぇの? 自社製作作品がなんだか様子がおかしいのは『フォーガットン』『宇宙戦争』を観て感じ取ってたけど、買い入れ作品までこんな扱いしかできないんじゃなぁ。

かつて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを世に出した名門も、今は見る影もないって趣きですなぁ。合掌(まだ死んでないってば。死に体っぽいけど)

銘板
2005.10.24 月曜
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社会現象実感の日

今日は月に1度の『八戸フォーラム作戦会議』の日。

おいらみたいなボランティアスタッフや従業員さんたちが集まって、今後のイベントのこととかを話し合う会議なのだ。

まぁ会議っつうより趣味の要素が強い自由参加型の会合だな。従業員さんたちは趣味半分仕事半分だからちょいとキンチョー気味だけど、趣味だけのボランティア軍団は気楽なもん。冗談を交えつつ、作戦会議は楽しく進む。

ということでその場で、明日放送予定の『八戸フォーラム シネサロン』の宣伝してきました〜。「明日のはめちゃめちゃ面白いっすよ〜」と。売りはもちろん、

「本物のオタクをスタジオに入れて、Zガンダムをアツく語らせましたぁ」

「なんじゃそりゃ〜!(爆)」という野郎ウケを狙ったつもりが意外や意外、食いついてきたのは若手の女性陣。

「ホントですか? 絶対聴きますっ!」

オタク、いつの間にそこまでの市民権を? (゜O ゜;) ポカーン

いわゆる……、

これが……、

「電車男効果」……ですかね。

銘板
2005.10.25 火曜
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ダメ出しモード 再び

シネサロン聴いたよぉ〜。そして悟ったよぉ〜。

「面白い」と「面白がる」は全く違う

と。

芸の道は厳しいのぉ……orz

銘板左端銘板銘板右端

やっぱ収録は大幅な時間超過だったらしく、容赦なくバッサバサ切られてただよ。マニアルーム、半分くらいになってたもんな。まぁ最大の聴きどころの「オタケン大炸裂オタクトーク」が見事に採用になってたんで、その点はよしとしよう。

それに新作紹介の前に無理矢理ねじ込んだおいらのアホ雑談コーナーも、ほとんどノーカットで使ってもらえたしな (^〜^) ニヒヒ(だから時間超過するんだってば)

……って、正規のコーナーであるマニアルームの内容よりアホ雑談の方が重視されたってのは一体……。深く考えないようにするべ。うん。

銘板
2005.10.26 水曜
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ブンケリケ

最近、人の性格なんかを判断するのに「文系・理系」を基準にするって場合が多い。今日はそのことに関する疑問でも。

おいらは時々、文系卒の人から「へぇ〜理系なんだ〜」と、時には尊敬の念が、時にはひがみの念がこもった言葉を浴びせられる。で、

いつから理系卒は文系卒より偉くなったんだ?

それと、今おいらがしてる仕事は文系でも理系でもない。ということは過去の学歴ごときで尊敬されたりひがまれたりって感じになる。職能に生かしてない限り、文系理系の区別はあまり意味がないと思うが。そういうふうに扱われると居心地悪いんだよな。

あまり自分の過去を話すのもなんだけど、高校の頃、先生方の間では、「ゆんずは文系」ということになってたらしい。テストが全部ひどかったんだけど、その中で現代文だけは人並みだったからな。数学じゃ0点とか、三角ひとつで4点とか、とんでもない点数取ってたし(「取ってた」という単語が当てはまるかどうか不明)。

でもエンジニアやりたかったし、「お前は文系なんだから」と他の人間に勝手に決めつけられたことが気に入らなかったしで、高3で文系クラスか理系クラスかを選ぶとき、迷わず理系にしたよ。そんなおいらの場合は、文系ですか。理系ですか。やっぱし「どっちでもない」が正解かと。どうでもいいことだけど。

どっちでもないといえば、例えば普通高校を出てから大学や専門学校に行かずに就職した人や中卒の人なんかだと、これまた文系理系の区別は意味がない。そういう人たちは世の中に無視できないくらいけっこういたりする。料理人は? 植木職人は? 塗装工は? SF 作家は? CG アーティストは? お笑い芸人は? どっちなんだ? 結局意味ないんだよな。なのでおいらはこの分類は、正直言って、するのもされるのも好きじゃない。

てなわけで、世の中でけっこう多くの人が「文系・理系」にこだわるのがよく理解できん。なんとなくだけど、文系学部卒の人が特にこだわってるような気がする。そういう人たちは「文系は理系の一段下」と勝手に思い込んで劣等感を持ってる気がする。人のそれぞれの興味や適性なんて、別に上も下もないのにね。価値判断基準が共通じゃないんだから比べようがない。「ナマコとキュウリ、英語が得意なのはどっちだ」と比べるくらい不可能にして無意味。

「自分には理系の才能がないから」という自称文系人間の言葉も聞いたことがある。でもそれ言い訳でしかないと思うぞ。そんなに理系の能力が羨ましいんなら独学すればいい。理系の素養は独学の方が身に付くと思う。おいら、高校物理は独学したよ。数学も独学に近い。才能なくても、やってみればできるもんだよ。押しつけられて習っただけなら受験が終わるとともにどんどん忘れて行くけど、自分で学んだものには愛着も執着もあるから、けっこう知識や技術が長持ちしたりもする。

学歴なんかへのこだわりをなくせば、文系の大学を卒業した後だろうが中卒だろうが、独学したらいいってだけのこと。そうなるとやる気の問題。才能のあるなしなんてまやかしだよ。確かにすらすらと勉強がはかどる人とそうじゃない人がいる。で、おいらは後者だったけど、ぶっちゃけ根性で補ったよ。

物理の教科書で最初に出て来る公式 F = ma が何を言わんとしてるのか、どこからそれが出てきたのか、ていうかその教科書がこれから読者にその公式で何をさせようとしてるかを理解するべく、そのページだけで1週間潰したっけ(結局理解できないままとりあえず先に進んで、しばらく独学を進めてようやく理解した)。

だから、文系か理系かなんてそんなくだらないことどうでもいいじゃん。それに、人間には同じ系列の人たちだけで固まりたがる習性があるけど、全然違う感性や素性を持った人たちとも区別なく付き合った方が、得るものが多いよマジで。念願だったプロのエンジニアにはなれなかったけど、仕事も性格もどっちつかずのコウモリ君なおいらは、そういう意味じゃけっこうな恩恵を被ってることになるかも。

銘板左端銘板銘板右端

今日こんなネタを書いた理由は2つ。1つは、仕事でもプライベートでも、文系・理系のどっちにも属さない人たちとの付き合いがけっこう多いことに気付いたから。もう1つは、以前あるヘンテコな本の広告を読んで憤りを覚えたから。

ちょっと前の話だけど、新聞の書籍広告に出てたんだわ。

『超文系 vs 超理系』

が主題の本。正確なタイトルは忘れた。文系代表として「超文系」な教授を、理系代表として「超理系」な教授を(たぶん出版社が)選んで対談だか対決だかをさせるという趣旨らしかった。で、その広告には、とんでもないことが書いてあった。

  超文系:哲学教授 超理系:建築工学教授

噴飯ものとはこのことですな。専門、全く外しまくりじゃん。

理系の根幹は科学。科学の根幹は論理学。論理学の別の顔が哲学。論理学も哲学も同じもの。そしてそれは全ての学問の根源であって、これなくして学問は成り立たない。だから哲学そのものには文系や理系の区別は存在しない。その哲学者が文系代表とはこれいかに。

文系代表に対する理系代表の建築工学ってのもどう考えても変だ。建築工学は名前の通り、数ある工学ジャンルのうちのひとつ。とりあえず工学自体が、数学・科学が未知の領域を開拓して得た果実を実用分野に応用するという、ぶっちゃけ俗な学問なんですが(コストや市場の需要動向が常に念頭にあるんで、経済学・経営学も絡んでくるしな)。さらに建築の場合は、工学のセンスの他に芸術的センスも必要。さらに建築物のデザインや様式はその土地や世界の歴史とつながってるんで、歴史や地理なんかの素養も大事。ここらへんは文系寄りだよね。どこが「超理系」なのか理解に苦しむ。

さらに言えば、建築工学は、電子分野じゃ工学に使われるようになってきた量子力学を全く扱わない。流行りの遺伝子工学なんて蚊帳の外。原子力施設以外の一般の建築物設計じゃ原子核反応も扱わない。熱力学や動力学、電磁気学の応用も限定的。流体力学は低速域(建物周りの風の研究)のみで亜音速以上とは無縁。ていうか建築設計で想定する自然の風は最大でせいぜい風速 100m 程度なんで、空気は非圧縮性流体と見なすことができて、かなり序の口レベルの流体モデルしか考えなくていい。

理系代表どころか、工学系としても限定された領域でしかないんですが。ていうか工学分野ってのはあまりにも多岐にわたってるんで、1人の人間が短い一生で工学のほとんどを網羅するなんてどだい無理な話。

理系の代表として本当の「超理系」を選ぶなら、より根源的な基礎科学や純粋数学あたりから選ばないといかんと思うが。と、工学という海に流れ込む科学という川をさかのぼっていけばそこらに行き着くんだけど、もう少し行くと論理学という源泉にたどり着く。それはすなわち哲学。学問の本質。そこじゃ理系か文系かの区別なんてない。

英語で「博士号」というのは「Ph. D」という。「D」は「Doctor」。「博士」だな。その前についてる「Ph.」は「Philosopher(哲学者)」の意味。工学だろうが文学だろう経済学だろうが、博士にまでなれば自動的に哲学の習得者の称号を与えられるわけ。

この本の企画者がいかに何も分かっちゃいないかがよく分かる。その企画に乗った教授お2人も、両方とも哲学者のくせしてそんなことも分からないのかと。まぁ収入欲しさで企画に飛びついたのかもしれんけど。つかこの本の企画自体、流行に乗っただけなのかもな。

「文系」「理系」ってのは結局、単なる便宜上の分類でしかないんだわ。それで人格や社会的地位が決定されるほどのご大層なもんじゃないんだわ。

だから、「自分は文系だから」「あの人は理系だから」なんつう区別や差別なんて、煽ってる本人たちがこんなデタラメなんだから、タネがバレたところでいい加減もうやめようよ。

銘板
2005.10.27 木曜
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CAMUI ロケット 1

〜 北海道の決断 〜

北海道独自の産学協同の宇宙開発がすごいことになってる。

昨日の朝日新聞の

福岡の国際宇宙フェア

アイデアと工夫で名乗り

独自の小型ロケット 北大・NPO

ひも使った衛星・九大・地元企業

を読んで衝撃を受けただよ。とりあえず九州大学の面白い衛星はまたの機会に紹介することにして、今日は北海道の独自開発ロケットをご紹介しようかと。現段階では単段式で最高高度 60km の弾道飛行が目標らしいけど、10年以内に、3段式で 10kg 以下の超小型衛星を低軌道に打ち上げらるつもりらしい。

記事には名前が載ってなかったけど、写真で見ると、胴体に "CAMUI" と書いてあった。「カムイ」か。北海道らしくてしかもかっこいいネーミングだなぁ。日本のロケットの名前は H-IIA とか M-V とか J-1 とか GX とか、素っ気ないのばっかしだからなぁ。

国際宇宙フェアに出品された CAMUI は全長3メートルだけど、侮っちゃいかん。ついに地球再帰還型小惑星探査機を打ち上げるまでに成長したいわゆる糸川ロケット M-V(ミュー・ファイヴ)の始祖であるペンシルロケットは全長23センチだった。

できあがってるのは設計と模型だけでなく、実機がもう飛んでる(MPEG)。この映像の機体は翼を付けた状態のもの(着陸直前に雪面に映ってる影で分かる)。こういう使い方もできるんだね。

来年3月の打ち上げ候補地は北海道か鹿児島。鹿児島はまぁ分かる。大隅半島の内之浦と種子島に打ち上げ施設が既にあるからな。どっちが候補なのかは知らんけど、でも衛星を打ち上げる段階になってからでもいいから、是非北海道から打ち上げてほしい。構想・設計・製造・販売その他全てをオール北海道でまかなってきたんだから、衛星打ち上げもやっぱし北海道でやってほしい。

それが可能かどうか、おいらができる範囲で考察してみる。様々なタイプのロケットを打ち上げられるということで、ライバルを種子島宇宙センター(宇宙航空研究開発機構 [JAXA] )と仮定してみる。

人工衛星の打ち上げは一般に、なるべく赤道に近い方が条件がいい。理由は単純。地球の自転速度を有効利用できるから。北海道で打ち上げる場合、大まかに北緯 43°だとして、赤道直下から打ち上げる場合の 73% くらいしか地球自転速度を利用できない。鹿児島県の種子島宇宙センターはだいたい北緯 29°で、自転による貢献率は赤道直下の 87% くらい。

北海道と種子島でどのくらい影響の違いがあるか考えてみる。

赤道での自転速度は、地球を完全球体とすると、赤道の長さが4万kmで、24時間で1周するんで、40,000÷24≒時速1666.7km。宇宙機を扱う場合「秒速何km」という単位が普通なんで、その単位に換算すると、0.463 [km/秒]。

種子島で 0.463×cos29°≒0.463×0.875≒0.405 [km/秒]

北海道で 0.463×cos43°≒0.463×0.731≒0.338 [km/秒]

種子島と北海道でそれぞれ衛星を打ち上げる場合の、地球自転の貢献率の差は 0.405−0.338=0.066 [km/秒] となる。

低軌道(高度200〜500km)の人工衛星の周回速度は大体 7.8[km/秒] なので、これを母数にして貢献率の差を割ると、0.066÷7.8=0.007948...≒0.85 [%]。

違いは 1% にも満たない。最終的にペイロード(荷物)の最大積載量で比べると差がもう少し開いてしまうだろうけど、それでも北海道での打ち上げ、十分に行けるような気がする。ていうかロシアのバイコヌール基地なんか北緯 51.4°らしいし(それに合わせて国際宇宙ステーションの軌道傾斜角が決定された)。

鹿児島県に集中してる打ち上げ施設の分散という意味でも、宇宙3機関統合後もなんだかパッとしない JAXA に対する当て馬という意味でも、オール北海道体制の衛星打ち上げには意義があると思うぞ(JAXA がパッとしないのは花形の大型ロケットがあんましうまく行ってないからなんで、CAMUI とは実はそんなにかぶってないけど)。

銘板
2005.10.28 金曜
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CAMUI ロケット 2

〜 官抜き第3勢力 〜

そしたら今回は、打ち上げ施設の北海道内ロケハンから始めますか。

地球の自転を最大限利用するには、なるべく赤道に近い土地で真東に打ち上げるのが鉄則。そして飛行コースの直下や近辺には誰も住んでないのが理想。ということで、種子島でも内之浦でも、射点は東向きの海岸にあって、衛星軌道に入るまで、太平洋上空を飛ぶことになる。スペースシャトルが打ち上げられるケネディ宇宙センター(北緯28°)も同じようなもんで、フロリダ半島の東海岸から大西洋に向かって打ち上げる。

この条件で北海道の地図を見ると、襟裳岬から釧路に至る、南東向きの海岸線が適地だな。その中でもできるだけ襟裳岬に近い方が、より南だし、釧路の都市圏から離れることになって、万一を考えると都合がいい。

まぁ日本の場合はどこに発射場を新設する場合でもそうなるけど、地元漁協との交渉が難関のひとつになるだろうな。それでも「北海道のために」とか「北海道が日本や世界に一泡吹かせる」なんて地元志向な大義名分を持ち出せば、「日本のため」や「世界のため」より効き目がありそう。だってその方が面白いもん。

運営主体は NPO 法人(北海道宇宙科学技術創成センター: HASTIC)なんで国家レベルの組織より小回りが利くし、政府や官僚の意向や外圧で計画遂行がふらついたり停滞したりというリスクも少ない(様々な規制を振りかざされて意地悪される可能性はあるが)。

おお、既に去年からロケットを販売してるぞ!

朝日新聞に載ってた、HASTIC の伊藤献一副理事長のコメントも心強い。引用。

「宇宙は国のものではない。宇宙を我々の手に取り戻したい」

正論! しかも「取り戻したい」と来ましたですよ。言われてみれはその通り。もともと宇宙は誰のものでもないし、日本の宇宙観測ロケットもはじめは東大工学部の1学科(生産工学科)が打ち上げてた。それが人工衛星を打ち上げるようになったりして計画が巨大化するにつれて、国家の力がないと行けない場所になっていったのだった(これにより旧文部省宇宙科学研究所が生まれた)。挙げ句に東大から生まれた糸川ロケットじゃ役不足とばかりにアメリカから技術輸入した大型ロケット路線(旧科学技術庁宇宙開発事業団)が別に作られて、結局両方とも、国家と役人の主導で日本の宇宙開発は進められてきた。

一方、日本で育つ技術は一般に小型軽量化を目指す傾向がある。大型ロケットの H-IIA でさえ、同クラスの他国のロケットよりダントツに軽い。挙げ句の果てに、衛星まで超小型のものが出回り始めた。

今はこういう衛星は大型・中型ロケットの余剰能力に便乗する形で打ち上げられてるけど、あくまでオマケ扱いなんで、メインの衛星の都合で打ち上げ日程や投入軌道が左右される。できることなら、つまり安く済むんなら、便乗じゃなく自分専用の小さなロケットで気軽に打ち上げたいはず。そんなわけで、現時点でコストもかなり安いとされてる CAMUI ロケットには、既に時代の風が吹いてきてる気がする。

次回は CAMUI のオリジナルな技術でも取り上げようかと。

銘板左端銘板銘板右端

関係ないけど、鹿児島県の形って青森県の形とそっくりだよね。ちょうどひっくり返したみたいな。2つの半島の形まで似てる……。真似すんな! と向こうの人も思うちょるかもしれんでごわす。

銘板
2005.10.29 土曜
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CAMUI ロケット 3

〜 初の実用ハイブリッド機(か?) 〜

今日は CAMUI ロケットの技術について。

CAMUI は大学が開発してる点が糸川ロケットに似てるけど、糸川ロケットの単なる後追いじゃない。ていうか共通がひとつあって、それは「業界の常識とは一線を画した独創性」だったりする。

2005.10.2

「固体燃料 + 液体酸化剤」という形式のロケットの研究も過去に行われてたけど(液体酸化剤の注入量で出力調整をするロケット)、いまだに実用化されていないところからすると、検討の結果、それ固有のデメリットの方が、出力調整のメリットより大きかったからなんだろう。

なんて書いちゃったけど、CAMUI がそれを成し遂げてた。燃料がアクリル系プラスチックで、酸化剤が液体酸素(水曜の朝日新聞の記事とITmedia ライフスタイルの記事より)。燃料としてのアクリルの性能はどの程度か知らんけど、値段は安く上がりそう。酸化剤の方は、性能は酸素がダントツだわな。

ITmedia ライフスタイルの記事に機体の断面図が載ってる。ほほう、こういう「固体燃料+液体酸化剤」の組み合わせは「ハイブリッド型」と呼ぶのか。なるほどなるほど。去年の記事だから最新バージョンとはいろいろ違うかもしれんけど、第一印象としては、「思ったより推進剤が少ないな〜」ってとこ。代わりに目立つのが 1. のパラシュートと 4. のヘリウムタンク。

パラシュートがこんなに大きいのは、機体全部を回収・再利用する思想からだと思う。ロケットを使い捨てる場合はこの部分はまるごと取っ払える、と。ヘリウムタンクは酸化剤の液体酸素(液酸)の押し出し用かと思われ。これ、タンクの肉厚を増やすなり材質を工夫するなりしてヘリウムの圧力を上げてやれば小型化できて、ペイロード(ロケットが運ぶ荷物。図では「2. 計測機器」のこと)をいくぶんかでも増やせると思うんだが。ヘリウムタンクのこのサイズの根拠は、コストや信頼性との兼ね合いってあたりですかね。

H-II ロケットだとヘリウムタンクは液体水素タンクの中にドブ漬けにされて、液体水素で冷やされたぶんだけ体積を抑えられてたりした。H-IIA だとタンクの加圧はタンク内の液体の蒸気そのもので行うことになったんで、加圧用ヘリウムもヘリウムタンクも不要になった。

CAMUI の推進剤まわりを見ると、アクリル固体燃料が入った燃焼室を液酸タンクが包むような形になってる。こんな配置、見たことない。まぁハイブリッド推進剤ロケット自体見たことないんだけどさ。これだとヘリウムタンクのドブ漬けは無理だわな。酸素の蒸気で加圧するのは、技術的にちょっと面倒なんだろうなぁ。ヘリウムは不活性だから性格が素直だもんね。それで技術的確実性を求めて、わざわざこんな大きなヘリウムタンクが載ってるんだと推測。H-II で一旦積んだヘリウムタンクを H-IIA で撤廃したところから見ても、タンク内の液体そのものの蒸気でタンクを加圧する方式は、やっぱし技術的な熟成が必要なんだろうなぁ。

で、謎は液酸タンクの形状。なんで二重パイプ型なんつうややこしい形を採ったのか。憶測。

  1. 液酸タンクに、燃焼室圧力を受け止める補強材も兼ねさせるため。
  2. 燃焼室内に一様に液酸を噴射するため。
  3. 推進系統の一体化・小型化のため。

まぁおいらにはこんな程度しか思い浮かばなんだ。2. は憶測度がかなり高いっす。朝日新聞の記事で「燃料のブロックのすき間を空けて並べ、燃焼の仕方を工夫することで推力を高めることに成功」とあった。ITmedia ライフスタイルの記事の断面図を見ると、燃料ブロックは3個あるように見える。この燃料ブロックの隙間から酸素を出すんじゃないかと思ったんで。

しかしまぁ自分で思いついてしまうと、憶測度が高かろうが何だろうが、「そうなんじゃないか」という思いは増すばかりですなぁ。ということで、その線でどんどん考えが回っていってしまうおいらであった。

2. だとするとですよ、ハイブリッド型の特徴である(べき)「容易なスロットリング(出力調整)」が難しくなるわけですよ。一般的に「固体燃料+液体酸化剤」のロケットのメリットとして、液体酸化剤の供給量を調整するだけで出力調整が簡単にできるわけ。エンジンを切るにしても、酸化剤のバルブを閉じれば完了。2つの液体の供給量を同時に操作しなきゃいけない液体燃料ロケットの出力調整よりも簡単なわけ。

それが、CAMUI でおいらが予測する、「燃焼室に一様に酸素を噴出」形式だと、たくさんある酸素噴出口ひとつひとつにバルブを取り付けないとエンジン停止ができない。液体ヘリウムを止めるだけじゃ、液酸がどんどん気化して酸素噴出口から勝手に酸素が漏れ出てしまう。それじゃ酸素か燃料が尽きるまで燃焼が終わらない。出力調整も、酸素が勝手に気化するぶんを正確に見込んで補正をかけないと、思い通りには調整されてくれないかと思う。

現段階の CAMUI はまだまだ弾道飛行専用の超小型ロケットなんで、衛星を正確に軌道投入させるためのリアルタイムのエンジン出力調整・停止はまだ構想段階だと思うけど。

あ、そうか。飛行途中に任意に出力停止させるには、液体酸化剤を機体外部に捨てちゃうって手が使えそうだな。ううむ、なかなか融通が利くというか。何日か前まではだめだと思い込んでたハイブリッド推進剤ロケット、こうしてできあがった現物を見せられるともう認めないわけにはいかんですなぁ。カタルシスですなぁ。というより、CAMUI ロケットにいやが上にも将来性を感じてきましたですよ。

糸川ロケットに続き、またしても日本発のロケットは独創性が溢れておるのだね。軍需にも国威にも頼る必要がない日本の宇宙開発は、カネこそないものの発想の自由さに満ちてますなぁ。CAMUI の性能アップの段階は糸川ロケットと同じ路線で行くと思うけど、向こうは自組織の用途に限った開発だったのに対し(当時はそれしか需要がなかった)、CAMUI はどんな客でも引き受けるスタンスらしいんで、これからどんどん増え続けると思われる超小型衛星需要を掴んで、大いに羽ばたいていただきたいですなぁ。

ただ、衛星打ち上げの目標が「重さ10キロ以下」(朝日新聞)というのは控え目すぎるんじゃないのかと思ったりして。朝日新聞の記事に一緒に載ってた九州大の衛星は 20kg とのことだったし。これ、「当面の目標」ってことで理解しとくことにするよ。基本性能の素性は、酸化剤の違いのぶんだけ ISAS(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部)の糸川ロケットより上を狙えるものがあるんで。

銘板左端銘板銘板右端

全然関係ないけど、1005円で今月をしのがなきゃいかん orz

銘板
2005.10.30 日曜
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祝! はやぶさ危機脱出!!

現在、小惑星イトカワで科学探査中の小惑星探査機 はやぶさ は、リアクションホイールの想定外の故障で運用継続が危ぶまれてた(2005.10.5)けど、JAXA(宇宙航空研究開発機構)メールで吉報が来た。同じ文が載ってるページはこちら。メールは27日に来てたんだけど、その少し前に CAMUI ロケットの連載を組んじゃったもんだから、3日遅れだけどおめでと〜!

またしてもやってくれました ISAS マジック(ISAS: 宇宙科学研究本部。宇宙航空研究開発機構 [JAXA] の内部機関)。あの人たちほんと根性あるよな〜。火星探査機 のぞみ でも何度このマジックで危機を乗り越えてきたことか。ていうかあの辛かった経験が今まさに活かされたんだと信じとるよ。

宇宙に出てしまった宇宙機の仕様を、現状に合わせて組み替えるには限界がある。手が届かないところにいるもんだから。それでも知恵と勇気と根性で乗り切るのが ISAS の美しき伝統なのだね。うんうん(涙)。

ヨロコビの抜粋。

(前略)

帰還までの運用を完遂するためには、姿勢維持に必要な燃料消費量を削減することが必要です。このほど、新規に導入した制御策により、微小なジェットの噴射を精度よく管理して加える方法にめどがつき、帰還までに必要な量を確保できることが確認できました。本機能については、すでに軌道上の試験にて確認を終えています。

(中略)

本年11月に予定していたリハーサル降下、およびそれに続く2回の着陸と試料の採取は、計画どおり実施する予定です。実施予定日は、

  1. 11月 4日 リハーサル降下
  2. 11月12日 第1回着陸・試料採取
  3. 11月25日 第2回着陸・試料採取

です。

(中略)

具体的なスケジュールについては、改めて連絡いたします。

JAXA、前回のリアクションホイール2基目故障の報告のときの約束をちゃんと守って、方針が決まったらすぐ報告してきたな〜。して、今回のフライトの中盤のクライマックスであるサンプル採取、当初計画通りきっちり2回やるんだな〜。すげぇよマジで。

10月5日に「サンプル採取も1回やってみて成功したら2回目はキャンセルするとか、そこらへんで対処するんじゃないでしょうかねぇ」なんて書いちまったが、ISAS 御中及び、はやぶさ 計画のプロジェクトマネージャーであり、おいらが尊敬する "軌道計算の魔術師" 川口淳一郎教授(軌道力学)、おみそれいたしました! m(_ _)m

で、それを実現したのが「新規に導入した制御策」で、「すでに軌道上の試験にて確認を終えて」るんだもんな〜。どんな魔法を使ったのかまだ具体的には不明だけど、まぁいずれ松浦晋也氏が彼の著書にて詳しく解説してくれることでしょう。

あ〜11月一杯を使ったサンプル採取、楽しみ楽しみ〜 (^^)

銘板左端銘板銘板右端

今月はなんだかそういうニュースが多かったせいもあって、ロケット・宇宙機のマニアックネタまみれなんだけど、アクセス数はけっこう順調なんだよね。みんなもやっぱし好きなんだろロケットだの宇宙機だの。なぁ!?

……、

……、

……。

ていうかやっぱ気になりますですかおデート関連の詳細とか (-▽-;)

そこらはおにゃのこからストップかかってるんで言えないんだけど、ま、言うほどのもんでもなかったというか、ほんとに「淡きひと秋のオモヒデ」でおしまいですわ。うん。だからそれで満足のはずだったのに……なんかもうウニャ〜!って感じで、実情は正気を保つために一心不乱に宇宙機ネタを書きに書いてたりするわけだったり。

正直やばいんすよこのままじゃ。吸い込まれちゃいそうで。吸い込まれると面倒なことになってあのコに迷惑かけちゃうんすよ。あのおにゃのこの魅惑のラヴリィ引力圏からの脱出速度を獲得すべく必死に精進する今日この頃ですわ。

CAMUI の話を書いてる間にだいぶ楽になった気がする ε=(-o-;) フゥ

で、これ書きながら今かかってる曲は、THE CARS の名曲 "You Might Think"。

You might think I'm foolish
Or maybe it's untrue
You might think I'm crazy
But all I want is you

……アップテンポで痛ぇとこエグってきやがる orz

銘板左端銘板銘板右端

今日は1円も使わんかった。今月の残り予算1005円、まるまる温存成功(複雑な涙)。

銘板
2005.10.31 月曜
前日に飛ぶ
http://yunzu.qee.jp/threedstudio/copages/htrgtr/htrgtr0510.html#LOG20051031
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八戸市長選挙速報!

昨日、八戸市長選があったんだけどさ、

柄本明が当選した。

……、

……、

……喋り方まで似てる(訛ってるけど)。

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部屋を漁ったら商品券1000円分が出てきたんで、妹に換金してもらった。できればあさっていっぱいまで、このカネで頑張ろうと思う(さらに複雑な涙)。

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