ひとりごちるゆんず 2016年6月
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2016.6.1 水曜
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東京またですか

東京都知事のニュースが毎日のように出てるが。

猪瀬知事の辞める辞めないのときもそうだったが。

これ東京都のローカルネタなんで、全国ニュースに出し続ける判断ってどうなのかと。

都民なら都知事選の選挙権があるんで直接の話題になるけど、おいら青森県民なんで、関係ないんですわ。

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2016.6.2 木曜
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こわい話

体がこわくてたまらんす。

ってさ、なんでこういうのって「こわい」なのかと。

んでさっき唐突に思いついたというか。

「怖い」じゃなく「強い」なのかな。疲れで体が強張ってるのが「体がこわい」なのかな。

機械材料工学だと「引っ張り強(こわ)さ」「ねじり強(こわ)さ」とか、なんか耳で聞くとなんだかシュールな言葉があったりするわけで。現代日本語だと「強い(こわ)」っつう表現は死につつあるってことなのかな。昔はきっと「強(こわ)いはフツーの言葉だったのかも。

となるとさ、和語「こわい」の原義は「強(こわ)い(=固い)」だったのかもなーとか思ったり。そこから転じて、「恐怖で体が固まる」の意味も含むようになったとか?

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2016.6.3 金曜
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木魚的ノイズ

うちのお寺の和尚さん、お墓の前で御経を読む時、ポータブル型の小さな木魚を鳴らすんですわ。木魚というか拍子木というか。

これがさ、サイズが小さいもんだからすげー高音でさ。キン!キン!キン!キン! と響くこと響くこと。おいらとしては聞き続けるのがいささかツラい系。和尚さんはもう慣れてなんともないってことなんだろか。

けど拝みながら聞いてたら、もう一つ、別の周波数の音も混ざってることに気づいてさ。もっと低い音で、ジンジンというかガッガッというか、そういう感じの音。

あの音、木魚から本当に出てるのか、それとも人間の耳の都合で「聞こえる」ってだけなのか。

そんなギモンを持ったりして。しかしギモンの念はとどまるところを知らず。そこらへんどうにか論理的に判別する方法はないもんかと、法事があるごとに、うちの墓前で手を合わせつつ考えてたりして(それより真面目に拝めよ)

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2016.6.4 土曜
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風呂屋との相性

前にね、毎日のように特定の銭湯温泉に通ってた時期があったんですよ。

いつしかあまり行かなくなり。まー燃料費高騰で入場料が高くなったまんまってのもあって。最近また上がったし。

八戸にはそういう風呂屋が多くて、ほかの風呂屋にはちょくちょく行くんですわ。毎日ではないけど。けど、件の風呂屋には行かなくなって久しくて。

んでまぁ前は毎日のように通ってた風呂屋に、このまえ久しぶりに行ってみたんですよ。かつてと同じ時間帯に。

こないだ行ってみて、なんとなく足が向かなくなった理由を思い出したですよ。

ふんだばさん。

と、おいらが勝手に名付けた常連客。いたですよ。行かなくなったのはこの人のせいだったっけな。

とはいえ実害と言えるほどの害がある人じゃなく。

ただ、お仲間さんとの話し声がうるさいっつうだけ。

風呂場はタイル張りなもんだから、声が反響するじゃないですか。んで、大きめの声だとうるさい割に何を言ってるのかわかんないじゃないですか。盗み聞きする気はないけど、なんかその状況がストレスフルで。

お仲間さんの声は特に大きくは聞こえてこないんですよ。ていうかほとんど聞こえてこない。ふんだばさんの声ばかりガンガン響くんですわ。んでその人の喋りかたが、「ふんだば ふんだば」と言ってるように聞こえるってわけで。「ふんだば」と言ってると思ってしまうと、もう「ふんだば」と言ってるようにしか聞こえなくなっちまったりもして。

いやほんと、ふんだばさんも件の風呂屋も、何も悪くはないんですわ。ただ、おいらはその状況がなんだかなんとなくってやつで。些細なことでも、毎日我慢し続ける意味を感じなくなったというか。

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2016.6.5 日曜
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無反響風呂

風呂屋の中ってなりなりに騒々しいよな。喋り声だけじゃなく、水の音とか、洗面器や椅子が床に当たるカポーンとかもけっこう。壁や天井が吸音しないもんだから。そこで吸音するブツっつうと、湯船の水面と人体とタオルくらいなもんですかね。まぁカポーンが気分を盛り上げるってのもあるけどさ、そこをうるさく感じてしまう日もあったり。

露天風呂付きの風呂屋って人気なんだわな。湯船に浸かりながら、空を見上げたり、吹く風を感じたり、四季の風情も味わえたり(特に真冬の露天風呂はイイですなぁ)

そしてさらに、反響音がないっつう開放的なサウンドスケープにも、無意識に魅力を感じてるのかもな。

銘板
2016.6.6 月曜
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確認徹底でいいのか

X 線天文衛星 ひとみ 全損事故について、かなり短くわかりやすくまとめた解説を見つけたよ。記事の後半は会員登録制なんで、おいら読んでないけど。

天文衛星「ひとみ」失敗に未来世界の恐怖を見る コンピューター制御への依存は大惨事をもたらしうる - WEBRONZA

致命傷を与えたのは、セーフホールドモードのパラメタの値が間違ってたことだったよね。この記事だと「+」と「-」の誤植で、としてる。初めて知ったわ。

んで記事では、この手の「ありきたりのミス」を防ぐのが重要、とのこと。まったく納得。んでまぁプログラムの間違いを事前に見つけるには、コンピュータシミュレーションでの仮想の衛星でそのプログラムを走らせてみるのが必須なわけで。でもそれをやらなかったのが問題だったわけで。常識としてやるべきだったのに、制度化してなかったのが問題だったと。ここも記事の受け売り。

こういうのってさ、「確認行程を怠った」ってやつだわな。てことで、これで問題を発生させてしまった現場の人は上司に大目玉を食らうわけなんだけどさ、これって単に怠けたのかどうかは検証が必要だったりしてな。

昔の仕事で、おいらがいた課で業務上の事故が発生しまして。したらそのあとがいろいろグダグダで、なんか腹立たしくて。

とりあえず上司からは「すぐに原因究明・再発防止をしてください」と来た。んで「どうすべきか、皆さん全員宛メールで提出してください」と。

意識が高めの作業員が早速、「確認の徹底」を出したですよ。「こことこことこことこことこことここの確認を怠らないようにする」「最近は業務中のホウレンソウを省く人がいる(←実はおいらのことww)。これをきちんと毎回やるよう徹底して、他者がチェックしやすくする」

おいらはなんか引っかかるものがあった。隣の席のメンバーと、「これちょっと無理じゃね?」とかこっそり言い合ったりして。

てことでおいらが出したのはその正反対。「ラクチン化」。事故発生の状況や普段の業務の様子で、各作業員とも常に全開レッドゾーン状態だったんですわ。で、いくら気をつけてもたまに抜けが出る。ていうかいちいち全項目を確認なんてしてらんない。そんなこと律儀にやってたら締切が迫ってますます焦るし、集中力が終業時刻まで持たない。

おいらはその時点でラクチン化を進めてた。JavaScript で半自動化ツールを作って、人手の単純作業やルーチンを減らしてく方向で。そうすりゃ自動化した部分は間違いがなくなるし、機械に丸投げできたぶんは、時間的にも気力的にも余裕ができる。最重要なポイントに集中できる、てなわけで。けどおいらの自動化ツールは日陰者なアングラプロジェクトでさ。管理の人たちに疎まれてたんだわ。まー彼らは事故の再発防止策っつうと「作業員が気をつける」以外に認めたがらなくてな。何でもかんでも「気をつける」で片付けてきたもんだから、気をつける箇所が多くなりすぎて、いちいち全部に気が回らなくなった結果が事故発生っつう原理をまったく理解できてなくてな。

この「確認」「気をつける」法の落とし穴は、それを やる/やらない が並列に配置されてるってことでして。忙しかったり忘れてたり面倒だったりで、やらずに済ませられてしまうってわけで。「忙しかった」「忘れていた」「面倒だった」は事故発生の理由として体面が悪いんで、誰もそれを認めたがらないってのもあり。けどその真実を隠すってのもまた違うわけで。

で、この手の理由もまた納得できる理由として扱うと、ラクチン化が答え、となるわけで。

さて ひとみ の事故原因になったシミュレーションでの確認作業の漏れも、結局は やる/やらない が並列配置だったかと思われ。で、スケジュールがケツカッチンだったり担当者・担当チームの能力を超えてたとかでのやっつけ仕事。これが悪さをしてしまった、てな感じがする。

確認作業ってめんどくさくてな。本質的にアラ探しなんで、探してるものが何も見つけられなければオッケーってのも、なんてーか、人の自然な感覚の逆というか。しかもそれ、やってもやらなくても仕組み的には通ってしまうっつう罠。自分や仲間の作業結果を疑って見るのもツラいんで、思わず「問題なし」を期待して判断にバイアスがかかっちゃうってのもフツーにあるわけで。

あるいは逆に、使命に燃えてたはずがいつの間にか他人のアラ探しが楽しくなっちゃって、どうでもいいところまでとにかく何かひとつでもツッコまなきゃ気が済まなくなるっつう倒錯が発生したもして。これはこれで、ハラスメントっつう別な問題だったりもして。

てことでどうすればいいかっつうと、その確認作業をやれば担当者がラクできたり楽しかったりっつう状況を作ることですな。上に書いた半自動化 JavaScript ツールはけっこうそこらへん合致しててさ。件の仕事を辞めた後でも、例えば ほぼじゅびふぉ の製作・運用で役に立ってたりする。

ほぼじゅびふぉ は最初は全部 HTML 手書きでさ。新規ページを作るごとに手間がかかってかかって大変だったですよ。けど自動化するには仕様を決定しなきゃなんないわけで。あーでもないこーでもないっつう段階はほんとものすごく繰り返し作業が多くてな。しかも間違いが多くて。作ってる最中に気づいて直すのも多けりゃ、出してしまってしばらくしてから気づくのもまたいろいろあったり。これが仕様が決まるごとに自動化を進めてったら、1作品あたりの作業時間も手間も減っていくわけで。単純ミスがその度に減っていくわけで。作業途中での間違い発見 & 修正ループもガタ減りで、思った以上に捗るようになったりして。

手作業って常にいろんなミスが発生してるんだよな。その都度に気づいてすぐ修正するもんだから、作業結果に出てこないってことで見えないし。フツーによくあることなんで作業員もいちいち覚えてないし。意識されない系のロスなんですな。で、正常な作業にかかる労力・時間ってのは、その損失も込みになってしまってる。てことで一見しょーもない部分の自動化でも、場合によっては思った以上に時短効果やラクチン効果があったり。

宇宙開発の現場はそんなに簡単にはいかないだろうけど、とりあえずは根性確認教の信者をやめるとこからなんじゃないかと。なんか逆説的だけどさ、何でもかんでも確認の徹底で済ませれば、確認項目が多くなる一方なわけで。いつしか全項目の面倒を見切れなくなるわけで。てことで確認抜けが発生して、まったく想像もしてなかったところに問題が出ると。

それでもやっぱし確認が必要なわけで。したら、作業者がそれやるとむしろ ラクチンになる/楽しくなる っつうご褒美を設定する、となるわけで。

そううまい話なのかどうか。あるいは、それが本当に的を射たものなのかどうか。そこらがアレだけど。

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2016.6.7 火曜
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やっぱしこれじゃないのか

そういや H-IIA ロケットの製造・運用で、品質管理を導入した例があるそうな。もともとの導入目的は定時打ち上げ。予定の日時ぴったりに打ち上げるってやつ。先代の H-II だと遅れるのが普通だった。さらに先代の H-I だと、確か全機が遅れたんじゃなかったっけか。天候条件が理由で遅らすのは想定内としても(天候条件の制限を無視して打ち上げ強行 → 大惨事をやってしまったのが、スペースシャトル・チャレンジャー号)、そのほかに機材の不調で、というのがけっこうあった。

ロケットってのは飛んでる最中に不具合が出ると、腰が抜けるほど高価な衛星が、稼動前に全損する可能性が高い。全損じゃなくても、機能を発揮しきれなくされたり、寿命を縮められたりもする。それよりだったら大事を取って、ロケットの不具合は秒読みカウントゼロになる前になるだけ見つけ出すようにして、見つかったら打ち上げ中止・延期にする方がはるかにマシなわけで。

けどいつ運んでくれるかわからん運送屋ってのは、発注主にとってはあまり注文する気になれないわけで。

てことで H-IIA のメーカーの三菱重工、品質管理の手法で製造から打ち上げ運用まで見直してみた。狙い通り、定時打ち上げの成果が上がった。そしてほかに、製造サイドからは「作業が楽になった」との反応が来たそうな。

作業工程でうまくいってないところや捗らないところ、うんざりするほど手順が多くてミスが出やすいところ、運用段階で不具合発生の元になる要素が潜みやすいところ。そういうのを大なり小なり見つけ出しては潰していく、ってのが品質管理。不合理な箇所を合理的にしていくってことで。

ひとみ の事故再発防止に関して、JAXA/ISAS と メーカーの NEC は事の重大さと本質とをよく理解してる感じ。「以後気をつけます」「確認を徹底します」で済ませる気はないらしく。「気をつけます」法ってのは担当者に責任を負わて済ませるっつう、トカゲの尻尾切りと同じ方向性のやり方でして。解決・改善策として何の効き目もない代物で、ぶっちゃけごまかしなんですわ。

てことで主体者はそんなごまかしで終わらせる気はないらしく。組織全体の問題だったとして、組織体制の最適化を進めていくらしく。そこらへん、日本の宇宙開発は場数が少なくて経験不足気味ではあるけど、それゆえの失敗もけっこうあってな。その度に事故の経緯を解明しては事実をしゃぶり尽くして血肉にしてきたからな。今回もそれがうまく機能しますように。

問題は、JAXA 本体(旧 NASDA)と ISAS との確執。かつてまったく別々の宇宙機関として独立して発展してきたんで、物事の進め方や考え方が違うらしい。立場が上の旧 NASDA 側は ISAS を自分に同化させようと躍起だけど(NASDA の技術と組織運営の思想の母体は NASA)、ISAS 側は何もないところから自ら鍛えてきた独自文化の消滅とその弊害を恐れてるらしく。ここらへんがうまくいくかどうか。

イプシロンロケットの開発じゃもろに衝突してたしな。ISAS で開発するってのに、JAXA は NASDA 方式の開発手法を押し付けようとしてた。立場が下の ISAS としてはバランスを求められて、「開発の管理は NASDA 方式、現場は ISAS 方式」を落とし所にしてたっけな。

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2016.6.8 水曜
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右上、左下 1

英語でさ、「右 = right」「左 = left」じゃないですか。

「正しい方」「そうじゃない残りの方」って意味な気がする。左右どころか上下の関係ですかこれ。

インドだと「右手は正常なものを扱う手、左手は不浄なものを扱う手」だそうで。

イギリスもまた歴史的に、そういう発想を持ってたんかねぇ。

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昔、新聞か何かで読んだ受け売り。

日本だと名刺を渡すときは両手で、ってのが作法になってますわな。これ中東でやると嫌がられるらしい。どうもイスラム圏では左手については、インドと同じ考えらしい。イスラム圏とインドって仲が悪い気がしてたんで、意外だったというか。

メソポタミア文明は、滅びてから考古学者に発掘されるまで、長いこと忘れられてたそうな。バビロンっつう都市は、バベルの塔の話で旧約聖書に出てくるね。けど発掘で実在が確かめられるまでは、架空の都市かも、と思われてたらしい。んでそのメソポタミア文明の文化、ユーラシア大陸の西半分にいろいろ影響を与えたそうな。

ヨーロッパにはフェニキア経由で、その名残が伝わったとか。

インダス文明との交流もあったみたいで。

つかノアの方舟の話って、オリジナルというか、今のとこ最古の出典はメソポタミア神話らしい。昔は著作権とかなかったろうから、「継承」で問題ないかと。けどメソポタミアの出典が発見されるまでは、オリジナルは旧約聖書ってことになってたはずで。真実が明るみに出て、アブラハムの宗教 の信者は相当戸惑ったろうな。

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2016.6.9 木曜
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右上、左下 2

西洋のお辞儀で、右手を胸か胃のあたりに当てて、左手は腰の後ろに当てるスタイルのがあるじゃないですか。

あれってもしかして「右手で誠意を表して、不浄な左手は相手から隠す」なのかなと思って。

そういやえーと、映画『モンゴル』(2008)だったっけかな。浅野忠信がチンギスハンを演じたやつ。その映画だったか自信ないけど、チョイ役の人が似たようなお辞儀をしたんだわ。このときは右手は西洋スタイルと同じで、左腕は横にまっすぐ伸ばして、手のひらを後ろに向けてた。主人公たちに料理を出したときの「どうぞお召し上がりください」のポーズだった気がする。

「不浄な手は自分から遠ざける」なのかなーっつう感想。あれはモンゴルでのお辞儀スタイルなんだろうか。

仮にそうだとして。

「右手は清浄な手、左手は不浄な手」っつう文化はインド・イスラムだけでなく、ユーラシア大陸内のもっと広い範囲で共通のものなのかねぇ。

日本は右手・左手でそういう区別は特にないよね。中国も特になさそう。この文化の東側は中央アジアまでなのかもな。

銘板
2016.6.10 金曜
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見せ技

浅野忠信の『モンゴル』は素晴らしい作品だったけど、妙なとこを一箇所だけ覚えてしまってて。

モンゴル軍の精鋭部隊というか殺し専門部隊というかの活躍ぶりの演出が、なんだかマンガチックだったなーと。

ひたすらかっこいいんだけど、ビジュアル技特化というか。『必殺仕事人』シリーズを飽きるまで見てきた身にとっては、そういうのは嘘くさくしか見えなんだ。

個人的にはそこがちょびっとだけがっかりだったというか。

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アントニオ・バンデラスの『デスペラード』(1995)は、もうあれでいいんだ。うん。ガンアクションの元ネタがジョン・ウーだってのが見てすぐわかるし。さらに見せ技度を上げてたし。その時点でもうリアルさなんてどうでもいいんだってのわかるし。西部劇だけど歴史ものじゃないってのは、ストーリーのもっと前の方でわかってるし。そして「そういう作品」だってのを補強する、仲間2人のあのおバカ武装wwww

手に提げたギターケースがマシンガンって、見るからに全然当たらなさそうww 撃った反動と排熱はどこ行ってるんだとwww 突っ立ったままって敵に狙われ放題だろとwwww

もう一人はさらにイッてたな。ギターケースをバズーカみたいに肩に担いで、かっこよく姿勢を低くして、ミサイル発射wwww おいらもうね、声あげて笑っちまっただよwwwww

楽しかったからいいんだ。あの映画はあれでいいんだ。

銘板
2016.6.11 土曜
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しずらないでほしい件

20年くらい前、「シズル感」って言葉が妙に流行ったっけな。言葉の大元は英語の "sizzle" という単語。

Mac 付属の辞典で見てみると、国語辞典では

シズル sizzle
1. (ステーキなどの肉や揚げたての食べ物が)ジュージューと音をたてていること。
2. 転じて,食欲や購買意欲を刺激するもの。

となってる。まー「シズル感」っつう言葉が広まったのは、2. の転じた意味だった。

同じく英和辞典で "sizzle" を見ると、

sizzle
[自動詞]
1. <油の中の物などが> ジュージューいう.
2. (くだけて)燃えるように熱い; 焼けるように暑い; かんかんになって怒る.
[自動詞]
1. [C] (単数形で)ジュージューいう音.
2. [U] 激しい熱さ [暑さ, 興奮].

とある。「食欲をそそる」意味も場合によってはあると思うけど、その現象を中立的に表現したものっぽいね。「かんかんになって怒る」ってのは面白いなぁ。

広めたのは CM でお茶漬けか何かを豪快にすする場面か何かの、媒体外の解説みたいなやつからだったと思う。たぶん新聞・週刊誌なんかでその CM を取り上げたヤラセ記事だったかと。てことはスポンサーと広告代理店が仕掛けたと。

なんかこう、和製英語的な勝手流用のニオイがする。こういう意図的に意味をズラしたものって、英語圏の人と話すときズレを知らずに使うと「はぁ?」って顔されてバツが悪くなるからさ、やらないでいただきたいんだが。

銘板左端銘板銘板右端

ていうかお茶漬けをすする音って、そもそも肉を焼く音じゃないだろ。「2. 転じて」なんだろうけど、転じすぎじゃないかと。

銘板
2016.6.12 日曜
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通報した件

別にオチとかない話だけんど。

眠いんでもうただの記録って感じで。

夜中、クルマで家に帰る途中のこと。

路上で人が寝てたさ。

あーびっくりした。

泥酔状態のジイさん。

放置すると他の人がクルマで踏んづけちゃうかもしれなくて放っとくわけにもいかず、おいらはけっこう無遠慮なくらい思っきしライトが当たる状態でクルマを止めた。ジイさんの脇にしゃがんで声かけ。

ジイさん、家で寝てるつもりだったですよ。んで「あんた誰? なんでここいるの?」ってそりゃこっちのセリフだ。

ようやく現状を理解してもらったけど、酔いすぎて立てないんすよ。手助けしてもやっぱし立てない。

ってよく見たら、眉毛のあたりがすげータンコブ。そのうえ少し流血してた。ライトが当たってる反対側なもんで気づかんかった。

で、おいらの自力だけじゃ放置するよりほかなくて、それじゃあからさまに危なくて、救急車を呼んだわ。

いや救急車を呼ぶほどの事態かどうかも見当つかなかったけど、それしか思いつかんくて。

電話の向こうの救急隊員さんから、「かかりつけの病院があるか訊いてくれませんか」とのこと。訊いたら、かなり大きな病院で、かなり大きな持病を診てもらってるとのこと。うわわわ。

救急車は5分ほどで駆けつけてくれて、ジイさんを乗せてってくれたですよ。

今回のこと単体だと救急車を呼ぶべきケースか微妙だと思うけど、持病がある人だからな。合わせ技でオッケーだった、と強制納得したですよ。

あーほんとびっくりした。

銘板
2016.6.13 月曜
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娯楽王 はやぶさ その1

小惑星探査機 はやぶさ の地球帰還6周年ですな。

あれからそんなに経っちまったか。今や はやぶさ2が小惑星リュウグウに向かっとりますがな。6年前の今日の時点だと、まだ はやぶさ2は話だけの存在でな。そこから作り始めても、打ち上げのタイミングに間に合うのかどうかってのがヤバかったような。

はやぶさ が成功した影響で、日本の宇宙科学はサンプルリターン探査に舵を切りましたな。はやぶさ2の次は、2020年代に火星の衛星フォボスからのサンプルを取ってくるっつう、かなり難度の高い計画が動き出してるし。

んでそれの次はどこだろ。ていうか月じゃやんないのかねぇ。とはいえ月はもう米ソがやってるし、たぶん今から頑張っても、中国に先を越されるだろうな。日本が始めたとなれば、中国は必死に先を越そうとするだろうし。てことで、そんな近場でお手付きの星からわざわざサンプルを取るよりも、もっと遠くの、まだ誰も行ってない星の方が価値があるって感じなんだろか。

宇宙科学研究所の初の探査機の行き先は月じゃなく、ハレー彗星だったからな。いきなり地球の引力圏を振り切ったww しかも全段固体燃料ロケットでの第2宇宙速度突破は世界初の快挙だったりwww かなり無茶というか。

じゃあその後から今まで、月なんて余裕で探査してるのかと思いきや。

最初に月に向かった探査機 ひてん は、スイングバイ航法を習得するための実験機。月で用があったのは、その重力の利用だけだった。てことで月探査機とは呼ばれてない。最後に月面に衝突したときの発光を地上の望遠鏡で捉えて、飛び散った物質の成分を分析するっつう科学的な観測もあったけど。

ひてん の成果を利用して月スイングバイしまくったのが GEOTAIL。これ地球磁気圏の夜側が、月の軌道を越えてひょろ長くたなびいてるってことで、その中に滞在して磁気圏内部を調べるのが目的だった。これも月の引力を利用するだけで、月探査はしなかった。

その次がようやく初の月探査計画 LUNAR-A。槍状の観測機器(ペネトレータ、貫入機)複数を月面にブッ刺して、月の内部構造を探るっつう野心的なものだった。けど貫入機の開発に手こずりすぎて計画中止。

そして有名な かぐや。周回軌道からの超高精度リモートセンシングで大成功でしたな。けどこれ、もともとは軌道周回機と着陸機のセットだったんだよな。予算の都合と、打ち上げ機材の H-II や H-IIA が初期トラブルでゴタゴタした影響で計画が二転三転して、その間に着陸機はなくなってしまった。

んで、おととし発表された月探査計画 SLIM で、ようやく悲願の月面軟着陸ですわ。打ち上げ予定は2019年とのこと。探査っつうより技術試験機なんで、ノリは ひてん に近かったりする。主な目的は、高精度な着陸技術の実地検証。ついでにというか、様々な形式の小型ローバーを持ち込んで、これも現地で技術実証するそうな。開発費わずか190億円でイプシロンロケットで飛ばすってことで、ナリはかなり小型。てことで、この期に及んでもサンプルリターンはナシよと。

新聞は6年前あたりは「サンプルリターンは日本のお家芸」みたいに囃し立てたけど、そう表現するにはもっとこう、実績数が必要な様な気がする。6年経っても、実際に稼働してるのは はやぶさ2だけ。フォボスの方の計画は動いてはいるけど、まだ探査機の仕様が決まってないと思われ。計画名もまだなさそうだしな。

銘板
2016.6.14 火曜
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娯楽王 はやぶさ その2

はやぶさ が地球を発って13年と1カ月。帰ってきて6年。6年前、時の人となった はやぶさ プロジェクトマネージャーの川口先生がテレビで何度も言ってた「宇宙大航海時代」。まー今は惑星間空間で はやぶさ2と金星探査機 あかつき と断続運用中の IKAROS の3機が稼働してるとはいえ、その言葉のイメージ通りって感じにはまだなってないような。

はやぶさ での、トラブル発生 → 解決の連続サスペンス劇は大いに盛り上がったけど、探査成果そのものも、国民が楽しむ娯楽としてかなりいけてると思う。

けど安倍政権は宇宙科学にはあんまし興味ないみたいでな。ああでもそれはどの人が首相になっても同じかな。年間50億円でも盛ってくれれば、ものすごく捗りそうなもんだが。ってまたこれが、宇宙科学研究所(ISAS)は JAXA の内部組織だからな。予算配分については JAXA 内での合意っつうこれまためんどくさいのが必要だったりして。はやぶさ の打ち上げがあった時点では、ISAS はまだ文科省直属の組織だったから、自分の裁量でいろいろ決められたのにな。

はやぶさ でわかったのは、一般人でも楽しめるのって、やっぱし軌道周回だけじゃなく、着陸が大事なんだなってこと。その道では、対象天体の軌道周回に達したり、対象天体とランデブーできれば「到達」なんだけどさ。ていうかすぐ近くを通り過ぎるだけでも「到達」の定義に当てはまるな。アメリカの冥王星探査機ニューホライズンズがそうだった。

だけど実感しやすいのは着陸ですよ。はやぶさ ではできなかったけど、着陸した場所での風景撮影なんかウケそうだわな(はやぶさ とミネルバの両方でやるつもりではあった)。観光旅行のノリですよ。

んでサンプルリターンとなると、さらに観光土産付き。また盛り上がるわけで。

はやぶさ 1回だけじゃまだまだ足りないのかな。はやぶさ2 とフォボスの計画、そこらへんまで行けば、この面白さは世の中にもっと広まるのかな。そうなってほしいですな。

地球外天体の探査の目的ってさ、名目は科学の発展のためですな。てことで科学者の方々がそこを進めておられるけど、一般納税者としてはわかりやすく楽しみたいわけで。「国民に宇宙観光・宇宙探検の楽しみを提供」ってのをはっきりと目的のひとつにしちゃって、もっと人気集めしてもバチが当たらんと思うが。

銘板
2016.6.15 水曜
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娯楽王 はやぶさ その3

とりあえずは2年後にリュウグウに到着予定の はやぶさ2に期待ですな。現地では、まずは上空からのリモートセンシングで、星全体の詳細情報をゲット。これだけでも楽しいけど、まだ軌道周回探査機のノリ。そしてここまでは初代とだいたい同じ。でもより長く滞在するんで、小惑星イトカワよりも詳しい情報が得られそうなのが嬉しかったり。

そして後半戦の着陸・サンプルゲット行程が盛り盛りでな。ローバーが充実してるうえ、自己鍛造弾で人工クレーターを作るっつうイベントもある。このとき はやぶさ2本体は、リュウグウ上空で自己鍛造弾砲を分離。同時に砲の時限発火装置を起動。刻限になる前に、リュウグウの反対側の空域に避難する。で、避難途中の経路上の空中に小型の監視カメラを置いてくんですな。このカメラからの画像、もしかしたら爆発の瞬間の動画や連続写真を撮ってくれるかも。そこがまた楽しみだったり。

元になった IKAROS の分離カメラも連続写真だったけど、撮影間隔がけっこう長くてな。画像データは探査機本体で中継して地球に転送するわけで。IKAROS は転送に低利得アンテナを使ったんで、あれが限度だったのかも(高利得アンテナは搭載ナシ。中利得アンテナはその時は向きが合わないタイミングで、使えなかった)

けど はやぶさ2には自慢の高速大容量な通信機能があるからな。あとはカメラ性能がどうにかなってれば、動画や「動画」と呼べるくらいの密な連続写真を届けてくれそうな気がする。

あと、3年後の月着陸の SLIM も。お土産はないけど、かぐや の成果がいささかマニアックだったのと違って、今度は着陸 & ローバー走行っつう、かなり俗な面白さが入ってきてるんで。

ただ、かぐや にはハイビジョンカメラがあったね。これで見事に一般受けできた。SLIM はガタイに余裕がなさそうなんで、フルハイビジョンの動画をリアルタイムで送信ってのは厳しいかも。大型探査機の かぐや でさえ、その画質での動画リアルタイム配信はできなかった(1秒ぶんの動画データを地球に送るのに2秒かかったそうな)。まー解像度は NTSC テレビ並みでいいか。コマ速度も、そうだなー10フレーム/秒くらいなら、けっこう満足がいくんじゃないかと。

銘板
2016.6.16 木曜
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効率を考えるのはどっちか

仕事でも遊びでも、上級者からのアドバイスで「これはあんまりだよなー」ってのがひとつ。

「もっと効率的に」「もっと効率を考えて」。

いろいろ慣れない・わからない状態で精一杯効率的にやってる結果が、現状の効率悪すぎの無様なものだってのな。

誰だって何だって、そりゃ効率的にやりたいに決まってるでしょっての。

この手のアドバイスで致命的なのは、全然具体的じゃないってこと。あと、自分が初心者だったときのことを完全に忘れてること。

それよりだったら、とにかく今の状態でのベストを尽くしてることを認めてやったり、うまかろうが下手だろうが、できてる部分は「できてるね」と伝えてやったほうが、ずっと早く伸びると思うが。

つまり「もっと効率的に」「もっと効率を考えて」は、指導方法として効率が悪いってことwww

銘板
2016.6.17 金曜
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半分完了

ほぼじゅびふぉ の楽曲データベースの改修が終わった。見た目も機能も、今は何も変わってないが。

ってまだ作業あるんだよな。楽曲データベース自動作成 JavaScript が未対応だわ。こっちも改造しないことには、新曲入荷ができないわけで。

そっちは date 関数を使うんだよな。date 関数めんどくせえんだよな。

銘板
2016.6.18 土曜
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ホォォンダァァァ ハレハレハレハレ

この日記の過去ログを検索するのに、よく Google を使うんですわ。

検索ワードは前まで「ひとりごちるゆんず」にしてたけど、もっと簡単に "htrgtr" でやってみたんですわ。URL の文字列ってことで。

したら、外国のお笑い動画が拾えてしまったwwww

く だ ら ね えwwwwwwww 最高だろこれwwwwwwwww

ていうかボイパ芸(?)リアルすぐるwwwwww

銘板
2016.6.19 日曜
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左寄り

少し前まで、なんか新聞じゃ妙に、若者の政治活動のことを特集してたことがあった。

参政権が18歳まで引き下げられたことに絡んでのことってのはわかるけどさ、それで紹介してた、政治活動してる若者ってのが、軒並み左翼系っつうか、アンチ自民系ばかりってのがさ、いやあの、それって公平な報道なのかと。

もしかしたら右翼系もいるかもしんないじゃないですか。中道派も。

てか、もしかしたら熱心に政治活動してる若者ってみんなアンチ自民なのかもだけどさ、なんかどうも、報道は露骨に片方に寄ってる気がして。

銘板
2016.6.20 月曜
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最小狙い 1

あれ? ISAS(宇宙科学研究所)がにわかに面白い動きをしてるぞなもし。

世界最小!超小型衛星打ち上げロケット、JAXAが突然発表 - sorae.JP

ついに来たか(万感)。観測ロケットの SS-520 に3段目を追加すると衛星軌道に乗れる、という話。

前々からこの構想があるとは聞いてたけど、来るときは突然だな。事前にじっくりゆるゆると検討しつつ……と思ってたら。そうかもともと予算規模が小さいロケットだもんな。案外軽い決定で話が通っちゃったんだな。

3段目キックモータと実証用の小型衛星の開発も含めて、打ち上げ費用はたぶん10億円かそこらなんだろ。んで、観測ロケットでの普通の実験の範疇で収めるってことで OK が出たってことなんじゃないかと。

たった2.6トンのロケット(キックモータを除いた、2段仕様の場合の数値)で衛星軌道に達するって、なんかこう、かなり宇宙が身近になった感じがするよ。

仮に、打ち上げ費用10億円のペイロード質量が 20kg だとして、より大型のイプシロンや H-IIA に比べるとかなりコスト効率が悪いんだけど、小型衛星って今はその手の「打ち上げ能力は低軌道○トン」に相乗りの形しかないわけで。メインの衛星の都合に左右されるわけで。団体さん用の大型バスの空席に、おまけで便乗させていただく個人客な感じなわけで。

それもまた低コストの魅力ではあるけど、今までは選択肢がそれしかなかった。

それが、タクシーを使えるようになるというか。小口でもチャーターでいけるようになるというか。

ロケットのコストダウンは進んではいるけど、いまだにべらぼうに高価なわけで。団体バスの原理で、まとめて一度で運べば割り勘が安くなるから、と、ロケットは大型化を指向してるわけで。その一方でロケットの顧客である衛星は、打ち上げ時の重さ案分の割り勘料を安く上げるため、小型軽量化が進んでるわけで。

宇宙開発はカネがかかる。だからこそロケット・衛星の双方ともにコストダウンを目指してたら、互いに逆方向に進化してしまった。衛星の小型化の流れはそのままでいいとして、ロケットの方はその需要に合うものが必要になってきてた。

ロケットとして「中の小」サイズのイプシロンでもまだ1桁以上大きいっつうくらいの超小型衛星。この顧客層の需要が無視できなくなってきてるってことですな。

つか、この構想が取り沙汰されるたびに言われてたのが、「史上最小の衛星打ち上げロケット」の記録更新になるってこと。そして今のタイトルホルダーが、これまた ISAS の L-4S ロケットだったりするwwww SS-520 での打ち上げが成れば、史上最小記録は質量で3分の1以下に塗り替えるられるとな。これは愉快。早いとこ実現してくださいっすよ。

銘板
2016.6.21 火曜
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最小狙い 2

(おいらの中で)すこぶる話題の、 SS-520 4号機のミッション概要書類を入手してみた。

SS-520-4号機のミッション概要

とりあえず打ち上げ能力は「LEO4kg以上」なのか。20kg でも少ない方かと思ったのに、そんな程度なのか。

打ち上げ費用は、大貫剛氏の Twitter によると、「以前に聞いた話では、SS-520は2億円ぐらいなので、SSS-520は3億円ぐらいでいけるかなというぐらいの金額見当だった」。おお、こっちは意外と安かった。「SSS-520」ってのは、三段仕様にして衛星打ち上げできるようにした SS-520 の俗称。

昨日テキトーに見立てたのと比べて、能力は2割で費用は3割。うむうむそんな感じか。

16ページ目のシーケンスオブイベントを見るに、なんてーか、けっこう独特な飛び方ですな。高度はほとんど1段目だけで稼いじゃうんだね。高度 26km で1段目燃焼終了。そのまま慣性だけで、2分強かけて 174km まで昇る。その間に上段は姿勢を水平にして、2段目点火。燃焼終了までの加速量は 2.5 km/s で、トータルの速度は 3.6km/s ですな。第一宇宙速度の半分も出てない。んで3段目で一気に加速して 8.1km/s で衛星分離と。

衛星打ち上げ用ロケットだと、1段目の燃焼が終わってから・2段目の点火までの間隔はあまり空けないんだよな。重力損失を減らす観点で。そして連続的に加速しつつ、姿勢を次第に傾けていくんですな。垂直加速から水平加速へ、スムーズに移行させると。

SS-520 だとガバッと空けちゃうんだな。たぶん観測ロケットの弾道飛行シーケンスがベースなんじゃないかな。てことで1段目は主に高度だけ稼いで、水平速度は上段で、と。これが重力ターン方式ってやつですか。

原点に帰る動きというか。ISAS の衛星打ち上げロケットは観測ロケットを進化させたもの。かつての流れだと、観測ロケットのカッパー(ギリシャ文字の K)の次世代のラムダ(同 L)の最終形で日本初の衛星打ち上げ、その次のミュー(同 M)からは衛星打ち上げに特化したロケット、となってた。M の間に大型化が進んだけど、最後の M-V でいったん終了。後継のイプシロン(同 I)ではいくらか小さめにして、技術進化はコストダウンの方に振った。そしてイプシロンはもはや ISAS のものじゃなくなって、打ち上げ計画は JAXA が直接管理してるっぽい。

んで ISAS は再び、自分の管轄内だけでできる衛星打ち上げ手段を作ろうとしてるって感じですか。以前と同じ手法をなぞって。

低軌道で何 kg の衛星でできることはかなり限られるけど、ISAS の中の人たちって、そういう限定条件はむしろ発想力の元にしてしまう恐ろしい子だからな。

とりあえずは性能アップが必要になりそうなわけで。SS-520 をより高性能化させるなり、もっと大きい規格のロケットを作るなり、かな。

新系列のロケットを作るってのは JAXA 内での承認が必要そうで、けっこうめんどそう。じゃあ現行の改良が現実的かな。とりあえず1段目の胴体の材料がクロムモリブデン鋼なのを、2段目と同じ CFRP にするとか。H-II → H-IIA では固体燃料ブースターをこの方向で改良して、コストダウンと性能アップを同時に果たしたっけな。条件がまったく同じではないけど、なりなりにいけそうな気がするが。

現状のプランだと衛星軌道の近地点高度が低すぎてあまり実用的じゃないけど、1段目を高性能化するとそこを改善できるぞなもし。

銘板
2016.6.22 水曜
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最小狙い 3

SS-520 4号機で打ち上げる衛星の方はどうか。

投入される軌道もまたよくわからん感じで。打ち上げる衛星 TRICOM-1 の用途自体がよくわからんのだけど、1回目だから性能試験機なのかな。予定では近地点高度 180km、遠地点高度 1500km となってる。

近地点高度が 200km を切ってるってことは、衛星の寿命はかなり短いものになるわけで。仮にこの高度で円軌道だと、3日も持たないんじゃないかと。TRICOM-1 は遠地点高度をかなり稼ぐことになってるけど、衛星軌道にいられるのは何カ月かってとこかな。

超小型衛星は、姿勢制御機能も軌道変換機能も持たないものが多い。てことで、軌道投入の後はなるがまま。近地点高度が低いと大気の抵抗を受けるんで、近地点を通るごとに遠地点高度が削られていく形で高度が下がっていく。近地点ドンピシャだけでなく、その前後でも抵抗を受けるんで、近地点高度自体も微妙に下がっていく。より濃密な大気の抵抗を受けるようになっていく。てなことでこの近地点設定、超小型衛星にあまり適したものではない気がする。

この計画の目的は、衛星の都合に合わせることを捨ててでも、とにかく SS-520 で衛星を打ち上げることっぽいな。性能的にギリギリ成り立つかどうかのとこだもんな。

てか、前に読んだ政府の計画で、いわゆる「使い捨て衛星」のコンセプトが出てきてた。用途は主に国防関係で、ロケットと衛星のセットを地上に常備しといて、必要なときにすぐに打ち上げて稼働させるってやつ。これがかなりの低軌道で、使い終わって放っておくと、けっこうすぐに大気圏突入して消滅する、と。規格外に低い軌道ってことは、偵察用途かな。すぐに消滅して都合がいいってのは、まぁ軍事・国防はそうだわな。

んー、SS-520 と TRICOM-1 でこのテストが全部できるかっつうと、とりあえず無理そう。

日本にとってのそういう観察対象っつうと北朝鮮と中国あたりになりそう。鹿児島県から真東に打ってようやく衛星軌道に届く、というのだと、鹿児島より緯度が高い観察対象の上空は飛べない。てことで「使い捨て衛星」は、もっと大きな衛星をイプシロンで打つ想定と思われ。

それでも TRICOM-1 で超低軌道衛星の稼働データは取れるわけで。TRICOM-1 の仕事は、その基礎になるデータと知見を安く取得することなのかな。

まー、単に現状でロケットに合わせると軌道がそうなってしまうってだけなのかもだけどさ。

銘板
2016.6.23 木曜
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そういうことなのか?

そこらへんで読んだやつで、ちょっと面白い説というか。

「通りゃんせ」の「行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも……」の「こわい」って、「怖い」じゃなく「体がこわい」の「こわい」なのか?

それって、行きは下り坂で、帰りは上り坂ってことなんだろか。急坂だと行きも行きでまた「怖い」になっちまうな。ゆるくて長い坂道なのかな。

銘板
2016.6.24 金曜
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15周年

この日記、15周年wwww まだやってたのかとwwwww

ここまでくると特に感慨もないなぁ。

ここまでくる前も特に感慨なかったけども。

銘板
2016.6.25 土曜
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離脱決定とか

イギリス、すごいことになりましたな。EU からの離脱決定ですか。

日本の世間じゃ「株価がー」「為替がー」で大騒ぎな感じですな。英首相は辞任を決意とか。まー自国と EU と世界に混乱をもたらしてしまったからってことらしいが。もっとも首相自身が EU 残留派だったわけで。辞任は、政治家として負けた責任を取ることが主なんじゃないかと。

国民投票のデータから、若年層は残留、老年層が離脱っつう構図みたいだね。んでまぁ老い先短い人たちが、若者の未来を潰してしまった、という怨嗟の声が上がってるらしい。

しかし日本からすると、立場が日本と同じ普通の独立国になるってわけで、別に悲劇な感じがしないような。EU に所属することでの恩恵もあったろうけど、不利益もあったはずなわけで。だからあちらさんでは長年、国を二分する論議になってたわけで。だから投票結果も大接戦だったわけで。

イギリスは日本と同じく、大陸からちょっと離れた島国ですな。てことで対岸の大陸文化に同化し切ることなく、いろいろ独自に育ってきたわけで。大陸から海の幅のぶんだけの距離をずーっと置いてきてる日本の感覚からすると、イギリスは正常な独立状態に戻るってだけじゃね? って気がするが。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」っていうじゃないですか。経済規模からすると、ニワトリにしてはずいぶん巨大だし。EU を構成する国々はそれとして考えを尊重するけど、自分のことを自分だけで決められるってのは、これもまたこれで立派だと思うよ。

結局、混乱ってのは状態がそうだからってよりも、急に状態が変化したからって気がする。とすると、なんでまた「急に」になったのかっつうと、イギリス内外の世の中の多くが勝手に「残留」と読んでたせいじゃないのかと。読みを間違えたことの責任は、読みを間違えた人の元にあるわけで。「イギリスのせいでウンヌン」ってのは、責任逃れの逃げ口上なんじゃないのかと。

銘板
2016.6.26 日曜
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揺り戻しとか

スコットランドがまた独立を問う住民投票の動きとか。独立の暁には EU に戻るとか。独立しなくても特例で EU に入る方法を探るとか。

金融街としての価値を保つため、ロンドンがイギリスから独立して EU に入る動きとか。

ていうか国民投票やり直す動きとか。離脱派の結構な数は EU への抗議のための離脱票のつもりで、まさか本当に離脱になるとは思ってなかったから後悔してるとか、国民投票またやりたいとか。

舛添都知事の件は、おいらは東京都知事戦の選挙権がないってんでシカトを決め込んでたけどさ、イギリスの国民投票もまた、おいらは投票権のない部外者なんだけどさ、でもイギリスの方は面白すぎてさ、とてもシカトしてらんない心理www

一方、怒髪天を突く EU 側は「イギリスとっとと出てけバーロー 泣いて伏し拝んだってもう入れてやんねえ」状態wwww 他の加盟国が真似して EU からトンズラするのを防ぐべく、イギリスさんにはきっちりと落とし前をつけてもらうことになりそうですな。

銘板
2016.6.27 月曜
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後から出てくる火種とか

イギリスと EU がこうなった背景ってので、今頃になって EU って実はそんなにいいもんじゃないってのが報道されつつあるな。ていうかけっこうむちゃくちゃやってたりするらしくて。それぞれの国に、それで不満を持つ人たちが実はかなりいるらしいとか。

域内人口5億人だから、不満な人の数もそりゃかなりだろうけど、割合でも無視できるほどじゃないらしく。EU からの離脱を唱える政党が一定の支持を集めてる国々もあるとか。

EU ってノーベル平和賞を取ったことあるのにな。そういやウクライナでのキナ臭い綱引きの片方が EU だったわな。あれはノーベル平和賞受賞の後だったような。

銘板
2016.6.28 火曜
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PROCYON は未来へ飛ぶ 1

超小型低予算の探査機というか工学実証機というかの最近の PROCYON、イオンエンジンの故障で小惑星フライバイ探査計画を断念したとの報は聞いたけど、あれからどうなったっけかなと。

宇宙科学研究所(ISAS)で、半年前にお知らせが出てたですよ。

超小型深宇宙探査機「PROCYON(プロキオン)」の状況について

PROCYON の Wikipedia 記事は 英語版 のが詳しい。

2015年12月3日に地球スイングバイしたけど、もはや制御下での軌道変換はできなかったそうな。ISAS の日本語記事では、同じ日に通信不能になったんだね。続報が出てないってことは、通信は今も回復しないままってことだろうか。

予算ほんの5億円の、はやぶさ2打ち上げの余裕分に合わせた計画なわけで。はやぶさ2自体がたったの3年で大急ぎで作られたってことで、PROCYON もまた研究・試験にあまり充分な時間と労力を避けなかったんだろうなと。ダメモトだったというか。

似たようなのだと、金星探査機 あかつき の打ち上げに便乗した ソーラーセイル実験機 IKAROS。こっちは大成功だった。そういや あかつきは長い時間をかけて作られたけど、IKAROS は PROCYON みたいに、急いでバタバタと進めんだよな。

時間をかけられないってのは、それはそれでリスクがあるってことなんだろな。

IKAROS の予算は20億円くらいだったらしい。しかも過去に製作はされたけど飛ぶ機会がなかった月探査機 LUNAR-A の部品を流用したりしてる(再検査が大変で、あまりコストダウンにならなかったそうだけど。ISAS 内の不良在庫の消化には役立ったかと)

PROCYON の質量は IKAROS の5分の1程度、予算は4分の1程度でしかない。惑星間空間を飛ぶ宇宙機で、かつ推進・姿勢制御機能と探査機能とを持ち合わせたものとしては、規格外に安くて小さい(IKAROS も6年前は規格外に安かったけど、PROCYON が大幅更新した形)。この小規模ぶりが深宇宙で通用するかしないか、しないなら何が足りないのか、そこを洗い出すのが PROCYON の目的とも言えるわけで。それで言えば、1年間の運用で充分な成果を上げたと思う。

まー全部うまくいけば、地球近傍小惑星をフライバイ探査できたわけで。将来的には、高額で本格的な探査機を飛ばす前に、露払いとして対象天体の大まかな情報を得る、という想定があるらしい。

初代 はやぶさ は現地にいきなり赴いた。対象天体の小惑星イトカワは、地上からの観測だと小さすぎて、表面の状態がほとんど何もわからない状態だった。そして、イトカワほど小さな天体の近接観測の前例もなかった。科学者たちはそれまでの NASA の小惑星探査のデータからイトカワの表面状態を推定。はやぶさ の着陸・サンプル回収の構造はそれを元に設計された。それでも「行ってみるまでわからない」という考えもあって、仕様にはできる限りの幅を持たせた。はずだった。

いざ現地で見たイトカワは、まったく想定外の姿をしてた。幅を持たせたはずの仕様の限度を超えるほど。てなことで、大発見に沸く科学者チームの横で、はやぶさ をイトカワに着陸させなきゃいけない航法チームは途方に暮れたと(そのうえ姿勢制御系統に致命的な故障が出て、着陸ミッションの難度さらにアップ)

てなことで、対象天体の本格探査の前に PROCYON くらいに安価な探査機を事前に飛ばせれば、フライバイ1回きりの大雑把な観測でも、地上観測よりもはるかに正確・豊富に情報が得られるわけで。ぶっつけ本番のヤバさを緩和できるわけで。

小惑星は数が多いんで、たくさんの数を大まかに調べて統計学的に研究するってのもアリかと思う。そうなると、いちいち1個ずつに高価な探査機を飛ばして丹念に調べていくよりも、安いやつをたくさん飛ばしてザーッと調べる、ってのもアリかと思う。

例えば、PROCYON を10機作れば50億円。それでも はやぶさ シリーズ1機の3分の1程度でしかない。10機合わせた質量は 650kg。あかつき + IKAROS よりも軽い。てことは H-IIA ロケット1機でまとめて打ち上げると、地球ー火星の遷移軌道くらいには直行できそう。で、火星行きの途中で10機それぞれが軌道制御して、それぞれが火星で加速スイングバイ。それぞれがメインベルト小惑星の1個ずつをフライバイ観測、なんてこともできるんじゃないかと。ものによっては複数の小惑星に出会えるかも。

そんな可能性を秘めた超小型探査機。原型の PROCYON は基礎的なデータ取りに成功したものの、たぶんチームの中の人たちは納得してないんじゃないかと。このままこの路線を放棄するのは惜しいですな。今回見つかった問題点を改良した新型で、さらに洗練していただきたいところ。

4年後にデビュー予定の H3 ロケットだと、打ち上げ費用も50億円(目標値)。ロケット1機と PROCYON 型探査機10機の合計で100億円。これは安いだろ。

銘板
2016.6.29 水曜
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PROCYON は未来へ飛ぶ 2

妄想はさらに膨らむwww

昨日書いた10機同時運用をやるとして、地上の通信局が全然足りなくなるわけで。現状どおり、足りないぶんは NASA の DSN を貸してもらうのもいいけど、向こうもアメリカ国民の血税で運用してるんで、タダで外国に貸すわけにはいかなくてな。しかも当然アメリカの探査機との通信が優先なわけで。アメリカの探査機がひとたび緊急事態に陥ろうものなら、外国からの利用依頼なんざ予約を入れてようが、一方的に反故にされても文句を言えない。

DSN みたいに多数の探査機を24時間追尾するのは無理としても、せめて日本からの可視時間中に10機全部と通信したいわけで。けど今のとこ ISAS が持ってる、それ用のパラボラアンテナのお皿は3枚しかない。長野県の臼田に直径 64m のが1枚。鹿児島県の旧内之浦町に同 34m と同 20m が1枚ずつ。他の探査機の運用も考えると、ほんと全然足りない。

10機の探査機って、当面はそれぞれあまり遠くに離れてないわけで。

だったら、そのうち1機が他の9機からのデータを短距離通信で受け付けて、その1機が代表で10機ぶんを地球に送る形にすればいいんじゃないかと。どの機の代表通信機能が故障しても、通信代表機を自在に交代できるようにすれば、リスク補償にもなるし。

データ量が膨大になりそうだけど、10機は同じ仕様なんで、10機ぶんを串刺しにすればデータ圧縮もできるでしょうと。

火星スイングバイまではこれでいいかと。けどその後は、それぞれの目指す小惑星に向かうわけで。それぞれの方向にばらけてしまうわけで。こうなると探査機同士の短距離通信ができなくなるわけで。

結局は地上局を整備していくしかないですかねぇ。

いっそ地球側の通信局は静止軌道上にってのはどうですかねぇ。6年前に そういうアイデア を出してはみたものの。ってこれ可視時間を多く確保できるものの、パラボラアンテナを使う以上、指向性がピーキーなんですな。10機の探査機と会話をするのに、1機ごとに微妙に巨大なパラボラアンテナの向きを変えるってのはどうなんだろ。しかもけっこう頻繁に。アンテナのお皿が巨大にってことは、中継衛星の機体丸ごとで姿勢制御するってことでして。難しそうな気がしてきたですよ。

じゃあ DSSR(仮)のアンテナは、ISAS 探査機でトレンドのアクティブアレイ方式にしてはどうかと。

探査機側だと、はやぶさ2の高利得アンテナはアクティブアレイ。初採用例の金星探査機 あかつき での結果が良好だったってことで。従来どおりの X バンドのほかに Ka バンドも追加で、アンテナのお皿が2枚になったのに、初号機のパラボラアンテナ1枚よりも軽く仕上がったそうで。PROCYON でも X バンドのアクティブアレイアンテナが採用されてる。可動部なしで指向方向を変えられるんで、パラボラアンテナよりずっと使い勝手がいいわけで。

初代 はやぶさ の場合、パラボラアンテナは正確に地球に向けないといかんけど、可動部があればそこが故障の元になるってことで、パラボラアンテナは本体に固定で、アンテナを地球に向けるには本体そのものの向きを調整する仕様に割り切った。

これがけっこう厄介で。着陸ミッションのときは低利得アンテナしか使えなくてな。「だったらそのときはビーコンモードで探査機の挙動を精密に把握しよう。テレメトリデータは機体内に溜め込んで、後でまとめて地上局に送らせよう」ってなったんだが。

ビーコンモードでの探査機の挙動把握は、地球から見て奥行き方向の速度しか検出できないわけで(ドップラー効果の検出なので)。その速度の積分で、奥行き方向の位置もわかるけどさ。んで初めてイトカワに着陸した折には、その方法で想定外の異常なデータを検出。現場で何が起きてるのか、むしろわけがわからなくなってしまった。

「はやぶさ はイトカワ表面に達したはずなのに、データ上では降下が止まらない。イトカワの地中に潜り込み続けている???」と解釈できるデータだったそうで。そりゃわけわかんないわ。実はそのとき はやぶさ はイトカワ表面に着陸・静止してたんだけど、イトカワの自転のせいで、地球から見て探査機がジリジリと遠ざかってたのが原因だった。

アクティブアレイアンテナを積んでる はやぶさ2の着陸・サンプル取得ミッションは、たぶん高利得アンテナのテレメモードで地上局とリンクしたまま行うと思う。初代でのビーコンモードと違って、客観的な(そして地球から見て奥行き方向のみの)挙動把握はできない。けどそれよりも、小惑星リュウグウ上に置いといたターゲットマーカーと機体との三次元的な相対距離・相対速度を把握できるほうがいいはずなんで。

てことで、妄想上の DSSR(仮)の高利得アンテナはアクティブアレイにするっつうさらなる妄想でひとつ。

んでまぁ火星スイングバイ後の PROCYON 型探査機10機との通信は、DSSR(仮)のアクティブアレイアンテナが次々に角度を切り替えて、とゆー形にでどうですかね。

となると火星スイングバイまでしか使えない代表通信機能ってのは、あんまし意味ないかもな。

あーでも、探査機同士の距離が近すぎて、地球側で別個に通信できない場合ってのもあるかも。あと、遠距離通信が不調になった機体のバックアップもあるか。

火星スイングバイ後でも、一番近い同僚と通信できればオッケーっつう形にすれば、リスク補償になるかと。

あとは、その仕組みが安く小さく軽く作れるかですな。

銘板
2016.6.30 木曜
前日に飛ぶ
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極大期を過ぎて

そういや NASA の土星探査機 カッシーニ の触れ込みは、「最後の大型探査機」だったっけな。

無人技術の小型化・簡素化はとどまるところを知らず。「故障できない→過去の実績重視」で時代遅れな部品を選びがちな宇宙機でも、地上の世間に遅れつつも、この流れを受け入れてきた。同じ性能の観測機器でも、より小さく、より軽く、より単純に、より省電力に、っつう流れですな。

カッシーニの質量は5.8トン。もうすぐ木星にたどり着く ジュノー は3.6トン。去年、冥王星をフライバイ観測した ニューホライズンズ は 465kg。触れ込みどおり、カッシーニほどの巨大な探査機はもうないかもね。

あーでもロシアの フォボス・グルント は13.5トンだったな。ロシアの探査機はでっかいのが多い気がする。しかもフォボス・グルントは火星の衛星のサンプルリターン探査機だったからな。火星周回軌道に入って、衛星フォボスとランデブーして着陸して、サンプルを取ったら離陸して、火星の引力圏から脱出して、地球へのホーマン軌道に乗る、ってのをやろうとした。そりゃ大量の推進剤が必要だわ。もともとロシアの探査機は大きめなのに、推進剤込みで相当に膨れ上がったと思われ。

すごいのは、それでも地球からの打ち上げ容量に余裕があって、中国の火星探査機 蛍火1号も一緒に乗せてたってことwww 打ち上げたロケットの ゼニット2 の性能は H-IIA の202型と204型の間くらいだけど、キックモーターのフレガートがかなり大容量でな。ゼニット2 はフォボス・グルントと蛍火1号とフレガートをまとめたやつを、地球の低軌道に打ち上げで役目を終えた。んでフレガートで一気に加速して火星に向かうはずだった。のが、フレガートの不調で地球の引力圏を脱出できず。

フォボス・グルント本体の模型写真を見るに、13.5トンもあるように見えない。

蛍火1号の質量は 110kg でしかない。13.5トンっつうデータ、たぶんフレガート込みだなこりゃ。てなことで フレガート の Wikipedia 記事を見るに、推進剤込みの質量は6.5トン。……フォボス・グルント本体、7トンもあるんか?

別な画像も見てみる。

外部タンク(External tank)が怪しいですな。なんかここでかなり重たくなってる気がする。フォボス・グルント本体って、蛍火1号と比べても、圧倒的に大きいわけではないね。本体は1〜2トンってとこなんじゃないかと。ていうか蛍火1号を入れるトラスもかなり質量を食ってそう。打ち上げ時、フォボス・グルントの質量×加速度の力が、このトラスにガッツリかかるわけで。トラスの中の蛍火1号に、その影響を与えちゃいかんわけで。トラスはかなり頑丈に作らなきゃなんないわけで。

で、カッシーニ後の巨大探査機な気がしてたフォボス・グルントも、よくよく調べたら本体はそんな巨大ではなかったと。

探査機はでっかけりゃいいってもんじゃないわけで。探査機の製造・打ち上げ・運用ってのは国家予算から捻出されるわけで。そして科学探査は直接的にはスポンサー(納税者と国)に利益をもたらさないわけで。てことは、安い方がいいわけで。

予算の何割かを食われてしまう打ち上げ費用。ここを安くするには、できるだけ小さなロケットの、できるだけ小さな仕様で、となる。探査機の方をできるだけ小さく軽く作るのが大事になる。なんて考えは昔から自明だったわけで、探査機はその路線で作られ続けてきた。でも必要な装備ってのがあるから、好き放題に小さくできるわけではなく。

探査機の存在意義である観測機器も、探査の機会が少ないからこそ、1機にできるだけ多く持たせたいしな。これは質量が増える方向の要素だね。

そこらへんの機材・装置は、技術開発が進むとともに順調に小型化してきたわけで。

カッシーニが計画されたあたりは、きっとその極大値な時期だったんだろうな。

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