ひとりごちるゆんず 2011年10月
銘板
2011.10.1 土曜
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20世紀 FOX 版 はやぶさ 映画『はやぶさ/HAYABUSA』 その1

ついに公開日ですよ。前売り券を握りしめて、早速行ってきましたですよ。予告編からしてめちゃめちゃ期待させてくれたからなぁ。

んでその結果。

最高でしたよー。いやいやいやこの作品すごくいいってば。なんかねぇやっぱし観る前は「全然分かってない人たちが『このネタは売れるから』ってだけでテキトーに作っちゃったんじゃないか」なんて懸念がほんのちょっとあって、なかなかそれを拭えなかったんだけど。万が一はやぶさ を冒涜する出来だったらどうしようとか思ってたんだけど。おいらがマニアックなファンなもんだから、そこまで突っ込むのは野暮なのかなぁ、商業娯楽映画は世間一般の受け最優先だから、おいらみたいな狭い客層は切り捨てられるんかなぁとか勝手にヤキモキしたりもして。

そんなの関係なかった。

素晴らしい出来でした。

映画としても、試写会レビューで時系列順なストーリー構成に不満を述べてた方がいらしたけど、気にするほどのことじゃないね。ただでさえ分野が専門的で分かりにくくなりがちな題材なんだもん、そのぶん映画の構成で分かりやすさを重視してるのはいいことだよ。

おかげでミネルバが完全にカットされちまったけど、まあいい。はやぶさマニアとしては残念だけど、映画マニアとしては正しい判断だったと思う。

竹内結子演じる主人公は、架空というか、いろいろいらした実在の人物たちの何名様かを総合した上で、創作を加えたキャラクターらしい。この主人公像って、世の中の誰にでも、ひいては観客一人一人に当てはめられるって点で、ナイスな工夫だと思う。

公式絵本『はやぶさ君の冒険日誌』自体もその作者さんも実在するしな。思えばあの絵本は、はやぶさ の旅路をリアルタイムで彩ってくれたなぁ。通信復旧後の時点で、そのときはまだまだこの先どうなるか分からなかったのに、『そして伝説へ』のサブタイトルで、すべてうまくいく未来を描いてくれたっけ。で、未来はすべてそのとおりになった(万感)。あの絵本自体が はやぶさ の伝説に不可欠なパーツになるとは、作者さん自身が考えてたかどうか……。

今出てる『はやぶさ君の冒険日誌』は帰還後に加筆訂正されたものだからいろいろ詳しくなってるけど、エピローグの『そして伝説へ』は、かなり早い時期にもう書かれてたよ。今読み返すとその証拠に、

はやぶさ君の冒険日誌

「これでぼくは任務を完了した。誇りと喜びを胸に、ぼくは気ままな旅に出る」とある。まだ はやぶさ の運命が地球の大気圏に再突入するものと決まる前、はやぶさ 本体はカプセル放出後に再び地球スイングバイして、次の星に向かう準備をするはずだった。そのとき書かれた文章はいまだ訂正を受けず、ここに残ってる。

はやぶさ 本体の運命が決まったのっていつ頃だったっけと調べたら、一般に公表されたのは2007年3月20日付の朝日新聞の↓この記事が初らしい。

朝日新聞

宇宙航空研究開発機構の探査機はやぶさ、消滅の運命?地球の大気圏に再突入の公算大

小惑星イトカワへ一昨年に着陸後、さらに飛行を続ける宇宙航空研究開発機構の探査機「はやぶさ」は、近く長距離航行用エンジンの運転を本格的に始め、地球への帰途に就く。だが、地球到着時には当初の計画と異なり、機体を大気圏に再突入させる可能性が高まっていることがわかった。地上へカプセルを正確に落とすには、ぎりぎりまで地球に近づく必要があるからだ。 宇宙機構によると、はやぶさは現在、イトカワとほぼ同じ軌道を飛んでおり、地球から約8000万キロ離れている。この時期に出発すれば、太陽の周りを回る地球とはやぶさが約3年後に同じ位置に来る。地球上空では、イトカワの試料が入った可能性のある直径40センチのカプセルを、オーストラリアの砂漠地帯へ向けて放出する予定だ。

これまでの計画ではカプセル投下後、はやぶさの機体は太陽を回る「人工惑星」となるはずだった。状態がよければ、さらに別の天体を探査することも想定されていた。しかし、はやぶさは燃料漏れなどの故障が相次ぎ、微妙な姿勢制御が難しい。運用チームには「カプセルの落下位置の誤差が大きいと街に落ちる恐れが出てくる」という心配の声もある。

そこで、カプセルを目標地点へ正確に落とすには、当初計画より地球に接近させる必要が出てきた。その場合、カプセル投下後にエンジンを噴射しても、はやぶさは地球の重力を振り切れない可能性が高い。宇宙機構の解析では、大気圏で燃え尽きるとみられている。はやぶさは、自らの機体と引き換えに、小惑星からの試料回収技術と、地球〜小惑星間の往復飛行の実証という目的の達成を目指すことになる。

宇宙機構は今週にも、はやぶさのエンジンを連続して噴射し始める予定だ。推進力は小さく、現在の軌道から本格的に動き出すのは、4月上旬になりそうだという。プロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授は「惑星間飛行は、日本が世界で初めて挑戦すること。可能性がある限り、はやぶさの飛行を全力で続ける努力をしたい」としている。

この記事ずっと探してたんだ。この日記に写してるはずと前々から思ってたのに今まで発見できなくて、今あらためて追跡してみたら、こんな感じ。記事の発行から8カ月も遅れて、しかも部分的にしか写してなかった。これじゃ見つけにくいわなー。

「はやぶさは、自らの機体と引き換えに、小惑星からの試料回収技術と、地球〜小惑星間の往復飛行の実証という目的の達成を目指すことになる」

(滂沱)

件の「はやぶさ君の冒険日誌」の記述は、その前に書かれてたことになる。2007年3月というと、カプセルのフタ閉めが終わって(1月17日)、地球に向けての巡航運転を始めた(1月25日)ちょっと後。プロジェクトマネージャーの川口先生をはじめ、チームの皆さんが はやぶさ を生かすためにいろいろ計算されたそうだけど、どうしても叶わなかったらしい。

『そして伝説へ』の項は、本体消滅の運命は言い当てられなかったけど、はやぶさ は本当に伝説の探査機になった。宇宙探査の学界・業界・マニア層だけの伝説ならまだしも、一般社会にここまで愛される存在に育ったのは伝説以外の何物でもない。アポロ13号でさえ劇場公開映画は1本だけなのに、はやぶさ は計4本だよ。

メジャー配給の3本は主人公がそれぞれ違ってますな。今回の FOX 版は公式絵本作者。2月公開の東映版はプロジェクトマネージャー。3月公開の松竹版はエンジニア。それぞれ題材は同じでも、視点が違えばドラマも違ってくるだろうなぁ。で、FOX 版の竹内結子の役は、一般人にグッと近づけた設定でしたな。キャラはちょっと変人ぽいけどw、自分が自分をどうしたいのかと悩みを抱える姿、これは普通の人の姿だよ。

実際の はやぶさ から多くの人が感じたものをそのまま受け継いで、希望を与える娯楽映画になってるんで、主人公はつまずくことはあるけど決して雰囲気は暗くならないんだね。で、悩みながらいろんな人にその疑問をぶつけてみる。人によってそれぞれの回答だけど、そこからヒントをもらっていくんですな。そしてついに自分の答えを出す、と。この明快な展開、やっぱハリウッド資本だからかねぇw けど無理やりな展開に感じさせないのは日本映画っぽいかな。彼女の疑問はこんな感じ。

「終わりの見えない仕事、最後まで見届けられない仕事なんてつらくないですか?」

「結果がはっきりしないことをするのって空しくないですか?」

それなんだよなほんと。だから尻込みしたり二の足を踏んだりするんだよな。対する登場人物たちそれぞれの答え、おいらも実生活で利用させていただますよ。

銘板
2011.10.2 日曜
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20世紀 FOX 版 はやぶさ 映画『はやぶさ/HAYABUSA』 その2

はやぶさ 本体の大気圏再突入については、昨日のログに出した経過があってのことだった。この記事が出た時点だとまだ「公算大」「可能性が高まっている」で生き残る含みはあった。このときは計算を全部やりきってなかったってことかも。けど現実の結果はこの記事のとおり。このあと、本体を生かすことを諦めて、小惑星の地球衝突シミュレーションの貴重な試験片として働くことになった。こうなると意識的に再突入させるってことでして。

読売新聞

「はやぶさ」が“最後のご奉公”、惑星衝突予測に活用へ

来年6月に帰還予定の小惑星探査機「はやぶさ」が、地球に衝突する恐れがある小惑星の軌道予測システムの開発に役立てられることになった。

ほぼ確実に地球を“直撃”するため予測精度を詳細にチェックできるからだ。はやぶさは数々のトラブルに見舞われながらも故郷を目指して飛行中で、9日には打ち上げから丸6年を迎える。システム開発に取り組む宇宙航空研究開発機構は「地球の安全に貢献するためにも無事帰還を」と、新たな役割に期待を込める。

地球に接近しそうな小惑星の観測は各国で行われているが、国内には観測データの解析設備はなかった。宇宙機構の吉川真准教授らは独自の装置開発に乗り出し、今年3月、衝突の軌道や時間、確率を計算するシステムを試作した。

アフリカ・スーダン上空に昨年10月に飛来した直径約3メートルの小惑星をモデルにシステムをテストし、大気圏への突入時刻・位置を誤差0・5秒、13キロで予測。今後、精度の検証と向上を図るため、順調に飛行すれば宇宙で唯一の「衝突確率100%」の物体になる、はやぶさ(太陽パネルを広げた長さ約5メートル)に着目した。

はやぶさは小惑星「イトカワ」の土を採取して持ち帰るため、2003年に打ち上げられた。20億キロ旅してイトカワに着陸したが、燃料漏れや姿勢制御装置の故障が相次ぎ、一時は帰還が絶望視された。その後、どうにか持ち直して地球へ向かう軌道を飛んでいる。来年6月、土が入っている可能性のある耐熱カプセルを放出し、本体は大気圏で燃える見込みだ。

吉川准教授は「元々はこんな活用法は想定していなかった。トラブルによる機体の損傷が激しいため心配だが、きっと戻ってきて最後まで役立ってくれるだろう」と話している。

(2009年5月5日13時08分 読売新聞)

この読売新聞の記事の半年後、帰還まであと7カ月の段階で「イオンエンジンが故障 → 帰還が絶望的 → 何度目かの『こんなこともあろうかと』炸裂で大逆転」の以後、世間で はやぶさ 人気に火が点いた。このとき本体再突入の運命は、ISAS の意思としても既に固まってたわけ。ただ、多くの人たちは はやぶさ のそれまでの輝かしい業績と波乱の現実と、地球に帰るという最大のミッションが今まさに継続中だということ、そして最後で最大のミッションの成就が はやぶさ の死を意味するっつうやるせない事情を、このとき初めて知った。

そこから「なんとか助けてあげて!」「スペースシャトルで回収できないのか!?」なんて騒ぎになったわけで。はやぶさ とスペースシャトルは速度差がマッハ12で、接触すれば双方とも大破してしまう。技術的に無理だったんだよ。しかもシャトルの打ち上げ費用は1回で400億円はする。はやぶさ は本体製造費と打ち上げ費用を合わせても210億円ほど。仮に技術的に可能だったとしても、予算的に無理な相談だったんだ。うん。

映画じゃこの展開がばっさり削られてて。そこがちょっとあっさり風味になってしまってたかなぁ。けど全体として情報量がコッテリ気味だからな。無駄な場面がないのに上映時間が140分だし。泣く泣く切ったのかもしれんな。

切られたといえばミネルバもだな。やっぱし映画化一番乗りの "HAYABUSA BACK TO THE EARTH" と同じように、ロボットの中からもうひとつ別なロボットが出てくるとお客が混乱してしまうかもって判断だったのかな。すんなり成功してればそれもまた織り込めもしたろうけど、ミネルバはミネルバででっかいドラマを作っちゃったからな。お客の注目どころが分散してしまう恐れがありそうだよなぁ。てなわけで、ミネルバはまだスクリーンデビューしてないってことで。ISAS 公式ビデオ『祈り』にはちゃんと出てたんだけどね。

切らずにほぼ全部出したのは、最後のクレジットタイトルで次々と出てくる、ISAS 謹製のロケットと科学観測衛星と探査機の面々。ロケットは最初期のペンシル・ベビーから。高層大気観測ロケットはまぁ端折ってるけど、衛星打ち上げロケットなると、紹介するごとに、そのロケットが打ち上げた衛星・探査機を年代順にひとつひとつ紹介してくれて。いっぱい打ち上げてきたんだなぁ。感無量ですよ。ただ、ISAS が部分関与だけした SFU が迷い込んでてw このプロジェクトの主体は通産業の新エネルギー・産業技術総合開発機構だったりして、実利用寄りなんだよね。んでその代わりか知らんけど、ISAS が NASA と組んで飛ばした GEOTAIL が入ってなかったりww GEOTAIL のミッションは ISAS 本来の宇宙科学研究なんだが、そこらはご愛嬌ってことで。

銘板
2011.10.3 月曜
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火種 その1

ギリシャ経済がヤバいと言われて久しいわけだ。

おかげでユーロ全体がヤバい、ひいては世界経済がヤバい、と。まぁ一緒にイタリアとスペインも危ないとかいわれてるけど、この2カ国の危険性は今のとこギリシャほどではない感じだね。

ほんとにこんなに血相変えるほどヤバいんだろうか。EU の中の人口割合でいうと、与えられる影響はそんなでもないような気がして。

ギリシャの人口は2008年の統計で11,161,000人。1千100万人ほどですな。対してヨーロッパ全体だと499,794,855人。約5億人。ギリシャの人口割合はそのわずか 2.2% くらいなもんなんですが。

EU の内部としては大騒ぎだろうけど、そりゃ EU でどうにか処理するんでしょ。その動きで次々とニュースが出てるし。なんか結局は騒いだだけで終わってくれそうな気がする。

ユーロが発足した時分には、さすがヨーロッパは未来志向だなーと感心したもんじゃったよ。ヨーロッパが世界の中心だったのは過去のことだと認めた上での英断だなーと。おいら今も経済を分かっとらんけど、そういう印象を持ったもんじゃったよ。日本各地の寂れゆく一方の中心商店街も参考にできないかなーなんても考えたり。して、イギリスはなんでまた参加しなかったんだろうなぁマジかよ時代に取り残されるんでねーの? 大丈夫かイギリス、とも。

今、イギリスは「ユーロに参加しなくてほんとよかったよ」と心から思ってるんだろうな。こうなるとあの時のイギリスの先見の明に頭が下がりますよ。おいらはほんとまったく分かってなかった。

前にトルコが EU 圏に入りたがって、文化が違いすぎるから(主に宗教のことだったんじゃないかと)とかなんとかで拒否されたこともあったな。今、トルコの人たちはどう思ってるんだろ。つーかもしかしてトルコが EU 入りを断られた公式の理由は、キプロスでギリシャと領有権で争ってるから、EU 内部に火種を抱え込みたくない、というのだったかも。分かんないけど(じゃあ言うなと)。

しかし経済先進7カ国のうち、ヨーロッパがこの状態のうえ、アメリカもデフォルトを寸前で回避したけどドルの格下げは避けられず、おかげで日本は超円高でますます釣り天井のうえ、円高が進む間に震災にもやられたってことで、だいたいどこもガタガタですなぁ。なんでまたこんなタイミングで雁首並べてこんなになっちまったんだか。

ここでギモン。なんでここしばらくどこの政府もスッカラカンなんだと。景気がいいのは経済新興国だけだしな(中国で「バブルがはじけそうだ」とか「もうはじけた」とか言われてるみたいだけど。韓国についても日本のマスコミは「韓国経済を見習え」とか言ってるけど、実情は全然そうじゃないらしい)。つーかそういう景気のいい新興国にあっためられたりはしないのかと。

また妄想になっちまうけどさ、安売り合戦の度が過ぎたんでね? とか思ってて。今日び大企業はみんな国際企業になったわけで、拠点を置くときはコストの安さを求めて、世界中を物色しとりますな。新興国はまだまだ土地も物価も人件費も安くてその点で有利。そうなると先進各国は、税制や特典でできるだけ優遇したくなりますわな。てことでそこらへんの国々の政府が入り乱れて、実質税率の安売り合戦して出血しまくって、みんなとこスッカラカンになったんじゃないかって気がして。

だとしたら間抜けだよなー。自分がよそより儲けたくてがんばった挙げ句がゼニ失いってわけで。「国際的な大企業の拠点を他国に取られると、国内の失業者が増えてしまう」という危機感と読みは正しかったはずなのに、先進国は失業率の高さに軒並み苦しんどりますな。効き目なかったね。

日本も90年代から、「日本の優良企業が円高で外国に逃げ出し始めた。産業の空洞化でヤバい」と言われてて、状況はあれから特に改善したわけでもなかったと思う。けどさ、東日本大震災の影響はすごかった。世界中のいろんな工業生産がストップしてしまってなぁ。日本から買ってる素材や部品が手に入らなくなったから。

世界の国々はどうか知らんけど、日本は無理に法人税を下げなくてもいいんでね? 無益なチキンレースに参加しなくていいんでね? 「日本国内でなければ開発・製造できないもの」ってザクザクあるみたいだから。「すごい商品を持ってその業界で世界支配をしたいなら、日本国内に開発・生産拠点を置いて、日本人を雇うことです」と世界をまたにかける大企業に言い切れると思うんだが。

リスク・コストとしては、でかい天災がよくあるし、通貨も土地代・家賃も人件費も法人税も高いけど、その損得勘定が得で成り立ってるからこそ、この国には世界の各工業分野で覇権を握れる企業や商品がたくさんあるわけで。それが大震災直後に世界中の工場が至る所で止まって、図らずも実証されちゃったわけで。

銘板
2011.10.4 火曜
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火種 その2

日本の基幹産業とされる工業製品というか、自動車や家電ってさ、その最終製品って一般人が買いますな。

一般人って専門家じゃないから、スペックはそこそこでよかったりするんだよね。ある程度以上の品質はもう区別がつかない。てことで、細かいところより宣伝戦略によるブランドイメージが大事になるわけで。それって日本は特に得意なことじゃないと思う。十人並みというか。

で、得意なのは、一般消費者じゃ分からない、製品そのものの機能と性能。「お客に分からないんじゃ凝る意味ないだろ」と思ってしまいがちだけど、目利きに分かればそれでいい、一般受けのための高額なマーケティング戦略も要らない、そういう分野がある。素材・部品業界がそれ(「そんな製品が存在する」ことは広報しなきゃいかんけど)。

買う人は一般客じゃなく、より最終製品に近いものを開発する企業。そこに所属するバイヤーさんたちは目利きなわけですよ。そこで機能と性能がモノをいうわけですよ。で、高かろうとどうしてもその素材や部品じゃないと求める機能を実現できない、となると絶対的に強いと。

マーケティング理論が示す「まず安売り競争に勝って市場を独占しろ。それから値段を吊り上げろ」は、無数の一般客相手ではなかなか通用しないってのが発覚しつつある。けどプロ相手の素材・部品業界だと、売り手も買い手も数が少ないんで成り立っちゃう。んでどうも、日本の素材・部品業界は多くの企業がそれを実現済みらしくて。

仮にトヨタだのソニーだのが没落しても、日本経済にとっては大して影響がないような気がしてきたよ。

工業の最終製品って結局、日本から素材や部品を買って組み立てる、という感じみたいだし。今をときめいてるはずのヒュンダイやらサムスンやら。ここらへんはいいお客様らしくて。しかし韓国の大企業、ほんと日本にとっては助かる存在だよな。一般客相手のシェアはあちらさんにバンバン奪われてるけど、向こうが売れれば売れるほど、日本からの素材・部品の出荷が増えるというカラクリ。

そして日本製品が世界市場に行くには部品として韓国経由になって、おかげで表向きの各国の対日貿易赤字が縮小してるらしいからなw そして韓国だけが対日赤字を順調に積み上げてると。肩代わりご苦労ww

銘板
2011.10.5 水曜
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火種 その3

その韓国の経済が、実はギリシャどころではなく危ないことになってる、なんて話を聞いたのは9月も末頃になってから。2ちゃんのまとめとか、経済学好きの人のブログとかで。プロのコメントじゃないんで、単に嫌韓な人たちが盛り上がって騒いでるだけかなーと思ってたら、いろいろ出てくるデータやネタがなかなか信憑性あるように思えてさ。

そこらへんの人たちって頭いい人たち多いもんなぁ。本当にしろ釣りにしろただの祭りにしろ、おいらみたいな素人にはかなり説得力があったり。

それに最近、日本のマスコミって韓国にそういうのがあっても一切報道しないからね。新聞はちょっとは出すけど、テレビは韓国マネーが相当入ってるっぽくてな。これが中国で変なことがあると、待ってましたとばかりにけなし気味で伝えてくるのにな。前は中国の太鼓持ちもしてたはずなのに。たぶん中国からはマスコミにおカネが行かなくなったんじゃないかな。カネの切れ目が縁のホニャララってやつかな。

韓国経済の実情がどうなのか分からんが、崩壊論者によると、9月いっぱいが正念場だったらしい。対中国債務10兆円の償還期限が9月末日だったとかなんとか。とりあえず10月に入ったけど目立った動きはなさそうなんで、ガセだったのかもしれん。国内マスコミが相変わらず機能不全なんでよく分からんのだけど。

さて、ギリシャの人口は約1100万人で、日本から比較的遠いヨーロッパの経済圏内。韓国の人口は2008年時点で4800万人。ギリシャの4倍以上。しかも日本とはすぐ隣だから経済的な結びつきが大きいはず。もし爆発したら爆風モロ浴びなわけで。やっぱし気になる。

んでまぁどこらへんがヤバいのかっつうと、対外債務もそうかもだけど、今までやってきたウォン安政策の歯止めがかからなくなったとかで、9月中はウォンが派手に下落していったとか(ソースなし)。ここで、その条件で自分なりにちょっと整理してみる。

輸出は自国通貨が安いと有利だけど、日本や韓国みたいに資源が乏しい国の場合、原材料の輸入コストが同時に上がる。国内での加工度というか価値付けの度合いが高いと(材料や燃料を安ーく買って、加工して高ーく売る)、輸出入の差額が開くんでまぁ自国通貨が高かろうと安かろうと、とりあえず安定して黒字を出せると思う(黒字額に幅が出るだろうけど)。これが、加工度が低いと仕入れと販売価格の差額も小さいんで、うまみも小さい。韓国はその点で不利な気がする。

ましてや超ウォン安の状態で、多くの素材・部品をよりによって超円高の日本から買ってる。たぶん取引はドルベースだろうけど結局は同じことだし、安いウォンをドルに両替するだけでもキツいような気がする。んで世界じゃ「日本製より安い」でシェアを伸ばしてるから、国としての利幅は小さそう。大丈夫か韓国。

んじゃ加工度が高い日本はラクチンなのかっつうと、素材・部品業界はいいとして、国の財政収支としてはそうでもないような。部品は韓国が大量に買ってくれてるらしいけど、最終製品は重量あたりで一番単価が高そうだからね。そこを韓国に奪われて、部品という仕掛品の状態で輸出してるもんだから、輸入するエネルギーと材料から見ると、加工度はどうしても落ちるわけで。

まぁ一昔前には基礎的な素材から最終製品にするまで日本の国内で加工してたのが、行程の上流を日本が、下流を韓国が担当って形ですか。日本は下流を取られたぶん利幅が少ない、韓国は高い部品仕入れと安い販売単価で利幅が少ない、という双方にとってあんましよろしくないスパイラルに入ってしまってる感じがするが。

日本製の素材・部品のお客様は韓国だけじゃなく世界全体だってのは、東日本大震災で証明された。対して韓国は、素材・部品の輸入元として日本への依存度が高いような。超ウォン安+超円高での部品代の高騰に、これからも耐えられるのかねぇ。

もし万が一、韓国経済が破綻して韓国製品が信用を失って市場から撤退するとなると、日本にとっては素材・部品の売掛金を回収できないとかで一時的にダメージを受けそう。けど日本のメーカーを含む最終製品の各国のメーカーが、韓国企業の抜けたシェアを埋めるはず。その多くが日本製の素材・部品を必要とするのなら、日本企業の素材・部品の売り上げは大して変わらないはず。それどころか日本のメーカーに一般市場のシェアが一部返ってくるぶん日本製の最終製品がさばけるってことで、かえって有利なのかもな。

それ以外の要素を考えてないんで、もしそんなことになったらほかにどんな影響が日本に降りかかるのか、おいらじゃ分からんのだけどね。

銘板
2011.10.6 木曜
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火種 その4

韓国って今、もしかしてガソリン代がすごいことになってるんじゃね?

10年以上前の日本国内ってさ、ガソリンの値段はリッターあたりだいたい1ドルの相場と同じくらいだった。1ドル100円くらいならレギュラーガソリン1リッターも100円くらいって感じで。

それがリーマンショックのあたりに原油バブルが発生して、恐ろしく高くなったよね。あのあたりの円−ドルの為替レートは忘れたけど、90円台あたりだったような。そしてガソリン代は160〜170円。その頃には両者は乖離してたわけで。

んで、円高は進んだ。原油は急騰は収まったけど高止まり。どっちももう慣れっこになって、あんまし騒がれなくなった。特にガソリン単価はまったく騒がれないね。

んで今。ガソリン単価は140〜150円/リッター。為替は1ドル76円くらい。イーブンだったはずが、いつの間にかダブルスコアになってるんですが(汗)

円高だと輸入品が安くなるってことで、ガソリン単価の国内価格が140〜150円/リッターで収まってるとも言えるわけで。原油の国際価格、こりゃ相変わらず高止まりしてるみたいだね。しかも日本は原発の多くが止まったぶんを火力発電で補うべく、原油をがぶがぶ輸入し始めた。国際相場のさらなる釣り上げ要因になるわけで。

一方、韓国は超ウォン安。自国通貨が安いと、輸入品が割高になる。国際相場でただでさえ高止まりの原油ですよ。元売り企業が買い付けるならドル建てでいいけど、国内での小売りはウォン建てなわけで。国際為替市場でウォンが安くなってるぶんを販売単価に転嫁しなきゃ回収できないわけで。韓国国内でのガソリン価格、すごいことになってそうだなぁ。

ちなみにかの国では最近、CNG(圧縮天然ガス)自動車が売れてるそうで。天然ガスの相場は原油相場の影響を受けはするだろうけど、原油とは別な産地が多いんで、連動とまでは行かないと思う。韓国発のニュースとかでガソリン高の話題って見かけないような。日本のメディア内での箝口令もあるのかもだけど、そこらへんでうまく回避してるのかもな。おいら情報収集ができてないんで、まったくの憶測だけど。

銘板
2011.10.7 金曜
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火種 その5

ここまでまともなソースなしで憶測してきたけど、ついにソースをひとつ見つけたよ。富士通総研様より。全文はソース様でお確かめくださいませ。

なんかはじめの段落じゃ韓国経済を持ち上げて入るものの、そのあといろいろといろいろないろいろがいろいろだ(何だろこれw)。思ってたとおりもあり、そうじゃないところもあり。

グラフをかっぱらわせていただきましたすみませんです。日本、韓国、アメリカ、ドイツの「交易条件」の、この20年間の推移ですな(各国の2005年の成績を「1」として比較)。交易条件とは、「輸出価格を輸入価格で割ったもので、自国の輸出品の値段が高くなればこの数字は上昇し、貿易によって得られる利益も増大し、国民生活も豊かになる。逆に輸入品が値上がりし、自国の商品の輸出価格が下落すれば交易条件は悪化し、国民の所得水準も低下する」という指標。「利益率の増減の経年変化」みたいなもんですかね。

富士通総研_2011
【図1】日本、韓国、米国、ドイツの交易条件

アメリカとドイツがここ20年間ずーっとトントンを維持してるのに対して、日韓はひたすら落ちっぱなし。2005年を基準にした比較だから、マイナスだからって赤字の意味ではないんだけど、両国ともかつての勢いをひたすら失いつつあるのがよく分かるわけで。

日本は20世紀いっぱいまでは持ちこたえてたけど、2001年末からは、上から落ちてきた韓国とシンクロしながら共に落ちていってるね。そしてもう落ち癖がついてしまった感じ。

2008年のリーマンショックでみんなとこ派手に行っちゃったけど、次の年は特に日本の回復が目覚ましかったんだね。ただ、すぐにまた急降下してるけど。日本はこれから数年、震災と復興の影響で、このグラフがドーンと下がりっぱなしになるでしょうなぁ。そこは読めてるから不安ではないけど。

しかし2002年の FIFA ワールドカップ日韓共催以降、日韓経済のシンクロぶりは気持ち悪いくらいだよ。リーマンショック後の回復で一時的に差がついたけど、2011年にまた成績が接近するまでは変動がそっくり。これ何なんだろう。

エシェデ鉄道事故_ドイツ_1998_6

総じて堅調だったドイツ、最近になってちょっと元気なくなりかけてる感じ。ギリシャ危機のことが表立って言われ始めた頃とかぶってるね。たぶんその影響かと。

FIFA ワールドカップのドイツ大会があったのは2006年。景気の波及効果はこのグラフには出てない感じ(見にくいけど)。その前は準優勝だっただけに、地元での3位は不本意だったのかな?

ドイツの過去ニュースで衝撃だったのは、1998年6月3日の「エシェデ鉄道事故」。ドイツの新幹線 "ICE" が脱線事故を起こして、死者101人を数えた。あれは交易条件に影響したんだろか。ってグラフのドイツの折れ線は黄色で見にくいんで、拡大してみる(左の図。細い縦の赤線は1998年6月あたり)。

影響なしですな。むしろその時期を境に改善してさえいる。ほぼ同時期、1998 FIFA ワールドカップがお隣のフランスであったね。その景気波及効果かな。開催は6月10日だからエシェデ事故から1週間後。ドイツ代表チームはベスト8まで勝ち進んだ。交易条件の上昇理由としてワールドカップが影響してそうな気がするけど、さっき話に出たドイツ大会を考えると、影響の有無は不明。まぁエシェデ事故の影響がこのグラフで見られないのは確かだね。

アメリカも最近ちょろっと落ちてるように見えるけど、単なるゆらぎかもしんない。アメリカ全体で気付くことといえば、交易条件の悪化の始まりが1999年ってこと。同時多発テロより前だね。クリントン政権末期。なんか後任のブッシュ大統領のひどさばかり強調されてたけど、なんかその前の政権の頃に、もうそうなりつつあったってことか。具体的な主因は IT バブル崩壊ですかね。

2001年9月の同時多発テロや次の月に始まったアフガン侵攻はどんな悪影響を残したんだろ、と見ると、かえって好影響だったみたいだね。2001年初頭を底に、かなり盛り上がってる。

2003年3月からのイラク戦争開戦の時期から、じりじりと退潮し始めてるね。これって先立つアフガン侵攻で交易条件が改善したもんだから、調子に乗って柳の下のナントカをもう一匹狙ったら今度はコケた、という流れなんだろか。結果論なんて誰でも言えるけど、イラク戦争はやんない方がよかったと。大量破壊兵器をでっち上げてまでやったものの、国の収支は悪化するわ、泥沼化して国民の支持を得られなくなるわ、挙げ句に大義名分がでっち上げだとバレて政権から更迭者が続出。大義名分のデタラメさとアブグレイブ事件で国際的にひんしゅく買ったし。なんもいいことありませんでしたなぁ。

しかもその前の政権末期から始まった交易条件の悪化が顕在化して、それが引き金かどうか知らんけどリーマンショック発生。ブッシュ政権はさまざまに着せられた汚名の経済失政まで付け加えられたまま、オバマに選挙で負けて政権交代。んでまぁアメリカの国内経済の悪化を始めた政権に戻っただけなんで、勝手に期待されてたオバマ大統領は「期待外れ」の烙印を押されっぱなしと。

日本、ドイツ、アメリカをまとめると、世界の3極としての経済先進大国はどこも、ここしばらくいい目を見てないって感じですな。たぶんそのぶん BRICs やアジアの経済新興国に仕事を取られてきたってことじゃないかな。

新興国は先進国だの経済大国だのより通貨も物価も安くて経済規模も小さいところが多いから、奪取したのが国際市場のごく一部でしかも比較的安値の部分でも、国内に及ぼす景気効果はかなり大きいと思うんだ。ウハウハになると思うんだ。

中国ほどのもともとからしてでっかい国でそうなんだもん、韓国もそうなっていておかしくないはず。ほかの新興国より経済が成熟してるとしても、今はウォンがかなり安い。国内景気は上げ潮でおかしくないはず。

おいらが覚えてるのは15年前の相場。1996年の3月に1円=7ウォンくらいだったのが、5月あたりには1円=10ウォンまで一気に下がった。そのとき3月に韓国旅行したもんだからウォンを手元に持っててさ(帰りに空港で両替するの忘れた)、早く日本円に両替しないとなーと思いつつモタモタしてるうちに(青森銀行は円→ウォンの両替サービスはあったけど、逆はやってなかった)、あれよあれよという間に目減りしてビックリ。

んで今は1ドル=1180ウォンくらいか。1ドル=76円として、1円=15.52ウォン。日本円基準だと15年で半額ですよ。この影響があるんだとすると、考えられるのはやっぱり対日貿易赤字。輸出製品を作るため、日本製の高価な素材・部品をじゃんじゃん買ってて、世界中から外貨を稼ぐ先からどんどん日本に吸われていってるんじゃないかと。貿易してもしても、韓国国内にそのカネが回ってないんじゃないかと。

このグラフは日本の退潮の原因がはっきりしないけど、韓国の交易条件が、日本と小さな変動まできっちり歩調を合わせて一緒に沈んでるってことは、韓国経済は完全に日本のペースに従属してしまってるってことですな。

素材・部品で言うと韓国は日本のお客さんだから、韓国がトリガーになって日本が従属、という形で歩調が合う理由がない。ほかの理由で行くと、世界の最終製品市場で日本企業と韓国企業がいちいち競合してるから、というのが考えやすい。

……、

……、

……。

それか? それなのか?

……、

……、

……。

そしたら日本と韓国それぞれの経済が幸せになる道、特に韓国経済がマシになる道が見えてきた気がする。

韓国メーカーの工業製品の部品の発注先、日本偏重じゃなく欧米その他の同等品の割合を増やせばいいんじゃね? とりあえず超高価な日本製よりは安く買えるよ。となると、クルマで言うとパーツの性能や性格が変わってくるから、クルマの出来も変わってくる。ここらへんの選びようを絶妙にすると、日本車の劣化コピーじゃなく、独自色をアピールできる「韓国車」を確立できるわけで。あとはそれでできた本当の韓国車ブランドを世界市場で盛り上げれば、目の上のタンコブの日本車といちいちバッティングしなくて済む。市場内に独自のジャンルを築ける。尊敬も集められる(←ここ特に重要)。

これだと日本にとっては素材・部品の対韓輸出が減ってしまうけど、韓国車は独自の魅力で売り始めるってことで、日本のメーカーは日本車本来の魅力そのままで稼げる。日本車の人気にあやかった便乗が減るってこと。そのぶんの売り上げを、日韓のメーカーともに確保できる、と。

にっくき日本の得意分野を奪い取って鼻をあかしたい気持ちがあったりするんだろうけど、現状のままじゃ日本が倒れる前に韓国のほうが倒れそうな勢いなんだよな。韓国企業の皆様、ここはひとつ発想を変えてみてはいかがでしょうかねぇ。

銘板
2011.10.8 土曜
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火種 番外

日本車は世界で韓国車にシェアを食われつつあるらしいけど、海外のカーマニアに愛されてもいるんだよな。ここが韓国車と質的に違うところかと思う。

映画『ワイルド・スピード』シリーズ、一貫して日本車への愛が溢れてるよね(世界の名車・ヴィンテージ車たちと対等に扱われてるというか)。今公開中の "MEGA MAX" でリオデジャネイロに来た主人公たちが乗ってたクルマ、『おっ右ハンドル』と期待したらあんたハコスカだったですよ。40年も前のモデルなのに新車同様にピッカピカ。そこには愛以外の何があるのかと(感涙)。

このシリーズはスカイラインが特にお気に入りらしくて、クライマックスは R34(こっちは左ハンドル)が2台そろい踏み。そんでもってアクション映画史に残るほど派手に大暴れしてくれてるし。正直なとこ『アイアンマン2』のモナコのレース場面よりよかった。上映中、痛快すぎて笑いが止まんなかったよ。

"X3 TOKYO DRIFT" はシリーズ中で一番ふにゃけた出来だったけどw(やっぱしヴィン・ディーゼルが主役やんないとな) きっとカーマニア憧れの国ジャパンを舞台にできて舞い上がっちゃったんだろww

こんな最強のカーアクション映画シリーズにいつも日本車をかっこよく登場させてくれて、ほんとありがとう!!(と言いつつおいらが乗ってるのはローバーミニだったり (^_^;)

銘板
2011.10.9 日曜
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予測可能性に関するウンタラ

実はマクロな動向って、ミクロなそれより扱いやすいんじゃないのかと、ふと思って。予測可能性の意味で。

例えば、人数が増えていくと統制が取りにくいってイメージがあるよね。あれってレンジの小さな経験に基づく直感でしかないんじゃないかなと。直感は正しいときもあれば正しくないときもあるわけで、「人数が増えていくと統制が取りにくくなる」「扱い規模が大きくなると予測しにくくなる」の直感って、常に正しいってわけじゃない気がして。

「レンジの小さな経験に基づく」ってのは、例えば何か行動するとき、1人ならラクなわけで。これが2人になると、連絡を取り合って誤解を防いでタイミングも合わせて、相手の今日の機嫌も読んで……とやることが途端に増えて面倒になる。人数が増えれば増えるほど、そんな作業に食われてカオスになっていく。

てことで大人数で大仕事をするには、全体のリーダーを決めて命令系統を作って、なんて組織づくりが必要になる。その組織を回すためだけの人材も必要になって、総務だとか各部署の管理職も必要になる。彼らはその組織の目的そのものの仕事はしないから一見無駄みたいだけど、その役職がなけりゃすかさずカオス発生。かえって無駄を出すことになる。

それは分かるんだけど、一方で、組織化されてない大群衆の挙動はけっこう読めるってのもある。例えば商業広告業界。その予測に当たり外れはあるにしろ、大衆の挙動予測で成り立ってる。一般大衆全体や想定のターゲット層に向けて CM を打つと、大抵は CM にコストをかけたぶんやそれ以上の見返りが得られる。

大人数での仕事のために組織化が必要、というのは、最大でも数万人規模ですな。一方でテレビ CM の場合、地域単位だと10万人オーダー、県単位だと100万人オーダー。日本全体なら数千万〜1億人オーダーですな。日本全体の場合は商業広告というより、比例代表選挙とか政権の政策案の受けとか、政治の範疇になるかな。

参議院選・衆議院選って、民主と自民のどっちが勝つかくらいなら、投票前でも、しかも素人のおいらでも、おおよそ分かる。翻って、自分の地元の選挙区で、泡沫候補を除いてどっちの党の候補者が勝つかとなると、予想が格段に難しくなる(うちの選挙区は特に接戦だしな)。大規模なほうが動向を予測しやすいわけで。

大まかに、市民・国民のうち有権者が8割、投票率が 50% とすると、その区域の人口の4割が対象ですな。日本全体だと4千800万人。うちの地元の衆議院小選挙区は八戸市(236,446人)と三戸郡(72,556人)なんで、合計約30万とび9000人ほど。日本全体との規模の比較は 100:1 レベルですな。もともとの数が統計効果が出まくりの状態で、その規模がさらに100倍ともなると、格段に予測しやすくなると。

あと大衆の物理的な運動の予測だと(暴動やパニックなんかの集団ヒステリー状態ですな)、なんでも流体力学の法則がけっこう当てはまるらしくて。ソースは不明だけどさ。

そういやずっと前に夜中のロードショー番組で、若い頃のシルヴェスター・スタローン主演の『勝利への脱出』 (1980) を観たんですわ。最後はサッカー場の大観衆が一斉にピッチになだれ込んで、選手用の出口に向かって走り出すんですわ。んでその経路には、サッカー場なもんだからゴールがありまして。当然みんなそれをよけて走るんだけど、その形がもう完全に可視化流体で。「あれはこのことを言ってたんだな」と変なところで感心してしまったよ。

映画撮影のために集められたエキストラだから、本当の意味での大衆ではないんだけど、なにしろ万人単位だったからな。もしこのエキストラの皆さんに演技指導してたんだとしても、天然と同じ動きにしかならなかったんじゃないかと。それがこの場面の演出上、自然でもあるし。

数万人オーダーって、管理職を配置して統制を取る限界の規模な気がする。ここらへんはカオスの支配の影響が無視できなくなってくるような。けど能動的な管理を放棄して、あるがままを利用するとなると、まったくのカオスではなく別な行動原理が現れてくるってことで、別なやり方で管理・予測・追従できるというか。そこから先はまた別な方法で、となるけど、あまりにも大きくなると、誰でも予測できちゃうくらい単純な挙動しかしなくなるわけで。

今度は人間界を離れて、超マクロな対象、宇宙でも考えてみよう。

物体を運動させるのには物理的な「力」が必要なわけで、物理学では万有引力、電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用の4つの力が定義されてる。んで宇宙の現象ってあまりにも規模が大きいもんだから、このうちで天体の運動に有意に働くのは重力のみ。これだけで話が簡単になる。そして宇宙環境はほぼ真空で、天体は巨大で質量がでかいってことで、天体の運動では流体抵抗も無視できる。

てなわけで、惑星の軌道は数億年先まで予測可能(さすがに誤差がたまってくるとは思うけど)。楕円の解析はいろいろ面倒だけど、銀河の移動運動となると等速直線運動で近似できたり。ここでも大きいほど挙動が単純ですな。

んで惑星間空間の視点から、地球の大気圏内に戻ってみる。ちなみに地球の軌道を20インチモニタの縦の長さ一杯とすると、地球の大きさは 0.01mm だよ。画面解像度を 96px/inch(3.78px/mm)とすると、1ピクセルは 0.026mm。地球の大きさは20インチモニタの0.4個ぶんでしかない。

惑星の軌道は数億年先まで予測できた。そしてその視点を20インチモニタに出すととても表現できないほど小さな地球。その大気圏内に入ると、半年後に偏西風が蛇行するかどうかがろくに読めない。もっと小さく各地域で見ると、ほんの24時間後に雨が降るかどうかは、何十% 台のアバウトな確率でしか予想できない。

やっぱし視点が大きいほど予測しやすくなってる。

それが分かったからって何がどうなるわけでもないんだけどさ、常識や思い込みって直感だけが頼りじゃ危ういなーってことくらいは理解できたわ。

銘板左端銘板銘板右端

てことは、多数の人を一気に相手にするのってさ、目の前の一人の人に対するよりずっとラクでもあるってことにもなるね。なんかそれはそれで分かる気がするw

おいらは今日まで漠然と「中間管理職って大変な仕事だよなー」と直感に基づいて同情してきたけど、部下を群衆と捉えるなら、集団の規模が大きければ大きいほど挙動の予測がついてラクでもあるんじゃないかなと。

うちの職場の偉い中間管理職が、現場をまったく見回らない理由が分かった気がする。けど人数の規模は、マクロ単純化の効果が出るよりはるかに少ないと思うんだけどなぁ。マクロで捉えきれてる「つもり」ってやつかな。

銘板
2011.10.10 月曜
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ジョブズ

5日も前だけど、スティーブ・ジョブズ氏が逝去しましたな。享年53歳って若すぎだろ。

いろいろな人たちがいろいろと彼との思い出について語ってるね。おいらはただの Mac ユーザなんで、ジョブズの人となりまでは存じ上げてない。受け売りでそこらを書いても、メディアで語ってる方々のお話の劣化コピーにしかならない。とりあえずここじゃ、彼に関する出版物や彼が作った製品からの、おいら的な回顧でもしようかなと。出版物は、主にジム・カールトン著『アップル − 世界を変えた天才たちの20年』から。製品については、自分で触ってきた普及グレードの Mac についてって感じで。

製品としては、いったん Apple を去ったのが1985年だそうだから、おいらが Macintosh LC 575 を手にしたのはその10年後だわ。ジョブズなしの状態がそんなに長く続いてたのに、Mac に関する話には必ずジョブズの名が出てきてた。なもんだからしばらくの間、これもジョブズ作なのかと思ってたわ。

彼が Apple に戻ってきたのは1997年だそうな。Mac 雑誌上での連載漫画が狂喜してたっけな。おいらはまぁ「よくわかんない」というやつでw ただこの時期、Mac は Windows との正面対決でモロ負けが決定したあたりで、ともかく負け犬くさくて。Mac ユーザなのがちょっと恥ずかしい的な感じだったわ。けど噂の Windows 95 だの 98 だのの画面を見ると、気持ち悪くてとても移行する気になれなかったり。おいらは 1998年の夏、Macintosh Performa 6410 を買ったよ。展示処分品で比較的安かったんで。Windows 機にする発想はまったくなかったw

そしてそこで発揮されてしまったおいらの情弱ぶり。初代 iMac の発表って同じ年の5月だったんだな。なんでおいらはその3カ月後に Performa を買っちまったんだろ orz つーか確か5月の時点で、発売がいつかはっきりしてなかったと思った。んで、Performa を買ったすぐ後に iMac が発売になったんだったような……。Apple 特約のパソコン専門店で iMac が売れに売れてたっけなぁ。あと当時、普通の家電量販店で Mac の販売をしなくなったってのもあった。Performa を買った店も家電量販店でさ、お店の人は、展示品を処分したらあとは Mac を扱えないって言ってたわ。

ここらへんの指揮を執ったのがジョブズ。自らが開発に携わった iMac(最初からではないらしい)は強気の定価販売で行く気マンマンだったらしく、そのためには家電量販店という販路を切る必要があったらしい(家電に限らず、量販店って製品内容の良し悪しに関係なく、仕入れも小売りも問答無用で値引きを強要・強行するらしい)。んで Apple 特約店のみで販売、としたわけで。当時 Mac のシェアがどうしようもないところまで落ちてたから、利益確保のためとはいえ、販路縮小はよっぽどの決断だったと思うよ。

ジョブズがほかに持っていった方向性としては、Mac OS 他社互換機路線の廃止もあるね。日本の音響機器メーカーのパイオニアは Mac 陣営としてパソコン事業に参入したのに、このせいで大損こいたはず。バンダイも Apple と共同で ピピン@アットマーク というゲーム機を発売したけど、これもハシゴを外された形(それ以前に売れなかったみたいだから、バンダイにとっては OS のライセンス切れなんてどうでもよかったのかも)。

おいらは結果論でしか判断できないけど、これがすべて正しい選択だったわけで。Apple の累積赤字は凄まじかったらしくて、ジョブス復帰前はソニーとかに身売り交渉を持ちかけては断られてたらしいし。そのくらい経営的に実績も魅力もない会社になり果ててた。赤字を上積みしながら無理に市場シェアを獲得するよりも、とにかく利益を上げることが急務になってた。

マーケティング理論では、市場シェアの独占が奨励される。そのためには体力勝負でライバル社を潰しに潰しなさい、もしくはライバル社を乗っ取ってそのぶんのシェアを占領しなさい、と。こんな戦闘的な行為で天下を統一したあと、好きなだけ値を吊り上げて利益を楽しみなさい、と。ただこれ、シェア争奪戦に負けたときの巻き返し方は言ってないんだよね(原典では言ってるかもしれんが、広まってはいないと思う)。一発勝負にすべてを賭けるって意味じゃ示現流剣術にも似てなくもないけど、剣術はそこで負けたら死ぬから後腐れないとして、商売はそのあとも続けるオプションがあるからね。シェア競争で敗れたからってそう簡単に店を畳むこともないわけで。

マイクロソフトはその戦国作法で天下を取った。当時 Apple は国盗りならぬシェア取り合戦に敗れた上で、これからどうするかってところで。

シェア競争にいったんハマってしまうと、赤字でもなんだかその路線から撤退しにくくなるもの。特にリーダーにとっては、自分の采配で負けや損が確定してしまうのをどうにも受け入れたくない、というのもあって。その点ジョブズはラクだったかも。Apple が負けを重ねてきたのが、自分がいないときだったもんだから。とはいえここからは教科書にない道を自分で切り開く局面。ジョブズは自分の判断に基づいて、矢継ぎ早に大胆な方針を実行していったわけですな。そうできたのも、iMac という切り札を持ってたからかと思う。とはいえこの時点じゃまだ市場に出してないんで、売れるかどうかは売ってみなきゃ分からない。そうなると、その前代未聞の製品に絶対の自信を持ってたってことになる。そうじゃなきゃ販路も OS を載せてくれる他社も捨てるなんて恐ろしい選択、とてもできんような。

ちょいと話の視点を変えてみる。

「顧客第一主義」ってあたかも商売上の絶対正義であるかのようにされてるけど、ウソなんですよ。顧客から出た意向に合わせてしまうと、つまりマーケティング調査を製品開発の最重要基準にしてしまうと、消費者はその製品にすぐに飽きてしまう。確かに便利だけど、前々から「こうすればいいのに」と思ってたことが実現しただけだから、読めてしまって。ヒネリが足りないというか。業務用機器に限ってはコストパフォーマンス第一だから、これで通じる。でも一般消費者が趣味で買うものとなると、何にも増してイメージが大事。

「そんなことはない。一般客相手でも性能は大事だ」なんて反論はあるだろうけど、一般客が求める高性能って目的が違うんですよ。高性能マシンを所有する満足感というイメージ、ここが大事で。本当に高性能かどうか、その高性能を自分の腕でフルに活用して利益を得られるかどうか、は別に重要じゃなかったりする(明らかな低性能は論外)。フェラーリがなんぼ高性能だからって、その性能を出し切って満喫してる客はほとんどいないはず。けどその「高性能なイメージ=カッコイイ」を手に入れたくて、客は市販車としてはぼったくりに近い金額を喜んで支払うわけで。

顧客第一主義は結局、作り手側の意思が「儲けたかった」「他社に勝ちたかった」以外に見られない、何でもついてるけどまとまりがない、ゴテゴテな製品を作り上げてしまう。「いいモノを作りたかった」「お客に喜んでほしかった」は二の次だったりして。言葉と矛盾してるけど、どうしてもこうなってしまうんですよ。

この言葉を掲げるってことは、やり方としてはまず顧客の意向を汲むってこと。入念な市場調査をするわけですよ。それを最重要テーマとして製品を開発するわけですよ。正しいやり方に見えるけど、落とし穴がある。

市場調査が厳密・正確であればあるほど、当然どこの会社が調査しても同じ結果が出るんですな。その結果を絶対正義として製品を開発すれば、この正義に忠実であればあるほど、誰が作ろうと似たようなものができるに決まってる。市場でモロにバッティングするに決まってる。こうなったらテコ入れでやれることは、宣伝でのイメージ戦略合戦と値引き合戦くらいしかない。最初の市場調査の段階でいきなりコストかけて、販売予測に基づいて利益を計算したあとにこれはきつい。実際の利益は予測を確実に下回る。

そして客の評価は「どの製品も同じだから安いやつでいいや」。泣きっ面に蜂。顧客に愛されたくての顧客第一主義のはずだったのに、ケシツブほどの愛情もご贔屓も得られない。

顧客第一主義は実は、自社製品の絶対性や特徴を否定する思想なんですよ。確かに市場調査で自社の悪い特徴を掴んだなら改善に有効だけど、製品の売りの部分に顧客の無責任な意見を積極的に反映するのは、自分の首を絞めることになるわけで。けど「市場がそう言ってるからそうしました」は、企画会議や経営会議で責任を取らなくていい口実としてとっても便利だったりして。んで多くの企業がその落とし穴にハマって、経済が発達してる先進国ほど経済がおかしくなってるんだと思う。世の中の会社がみんなしてその方向に行ってるのを知って、モンスター化する客も出てきてるしな。

パソコンで言えば、1995年からしばらく、インターネットと Windows で市場規模は爆発的に拡大し続けた。Apple はシェアで敗退しっぱなしだったけど、市場の急拡大に助けられて売上は伸びてたらしい。ところが1998年あたりに需要が一巡。依然として市場は拡大してても、もう爆発的じゃなくなった。Apple としては完全にヤバい状況。ていうか Window 対応のほかのメーカーもシェア争いが激化して(同じ OS と同じ CPU だもん、そりゃそうなるわな)、パソコン事業で儲けを出してるところは大してなくなってきた。

この頃、IBM が「顧客第一主義」を大々的に掲げてたな。ほかも追随して、「安いよ安いよ」以外にどうしようもない、どれでも同じな製品が溢れることになった。のちに IBM は無益なシェア競争に疲れて、パソコン部門をレノボに売り渡すことになる。

このとき OS 部門で早々と不動の寡占シェアに達してたのはマイクロソフト。余裕のビル・ゲイツはこんなことを言ったらしい。「ユーザーフレンドリーな製品を作る方法? 『ユーザーフレンドリー』と書いたステッカーを製品の箱に貼ればいいのさ」。イラッとくる言葉wだけど、顧客第一主義の正体をとっくに見抜いてたんだな。

パソコンメーカー各社が熾烈なドングリの背比べしてたそんな時代に(どんなの出しても売れてたバブル状態を引きずってた。リコーでさえ自社ブランド OEM をやってた)、ジョブズは、市場調査結果より自らの感性に従って作った初代 iMac をリリース。「みんな本当はこんなのが欲しかったんだろ?」とばかりに。

ボンダイ iMac

iMac がすべてを変えた。

この製品の開発プロジェクトは、ジョブズが復帰した頃にはもう動き出してたみたいだけど、ジョブズは独自の味付けを始めた。USB の導入は便利そうだったけど(たぶん各社とも「どっか先に人柱になってくんねーかなー」と二の足を踏んでたんだと思う)、フロッピードライブの廃止は衝撃だったよ。Apple 社内でも、周囲の反対をジョブズが強引に押し切ったらしい。

確かにこの時点で、容量 1.4MB かそこらのフロッピーは陳腐化しつつあった。けどまぎれもなく外部記憶媒体の主力だった。そんな時代に「データのやり取りは LAN やインターネットですればいい」という発想はすごかった。今、実際にそうなってるし。Apple 製品で今も続く "i" ネーミングの最初が iMac。その "i" は「インターネット」を意味してた。

しかしあの頃はまだ ADSL なんてないに等しかった。各家庭に光ファイバってのもなかなか考えにくかった。「56Kbps のモデムでデータのやり取りしろってか(爆)」って感じだったよ。まーでも、けっこうすぐにブロードバンドの時代が来ましたな。

世の中、フロッピーがこの先あまり長くないことは分かってたはず。だから、それに替わる大容量でもっと便利なメディアが現れるところまでは予想できてた思う。そしてそれは漠然と、ディスクやメモリの形で実体を持つ媒体、と少なくともおいらは思ってた。

このあとフロッピーに替わるパソコン用外部大容量メディアが本当に乱立した。でもハードディスク、CD、DVD、USB メモリ以外は見事に消え去った。生き残った実体付きメディアもネットワークでのやり取りを補完する立場で、主体はあくまでもネットになった。

つーかまさか通信回線そのものがフロッピーに取って代わるとは。ジョブズはそこまで先が見えてたんだなぁ。Mac OS X 最新の 10.7 はついに実体がなくなって、Apple ストアからダウンロードで買う形になったよ(USB メモリの形での販売も一応あるにはあるらしい)。

iMac のデータのやり取り系の装備はあまりに進みすぎて物議を醸したけど(あとでみんな標準になってしまったが)、デザインのステキさは世の中に全体に衝撃を与えましたなぁ。なんでもかんでもスケルトンが流行ったりして。パソコンの筐体の色はアイボリーかライトグレイか黒、と決まってた時代に、あれは本当に強烈だった。そういう暗黒時代にも Mac は Mac なりにデザイン性を追求してきてたから、その延長と言えばそれまでだけど、それを考えても大胆な飛躍かと。

普通はここまでぶっ飛んだ企画をひねり出せたとしても、会議の段階で、できない理由だのリスクだのなんやかんや言われて潰されるわ。そういえばホンダのシティもソニーのウォークマンも、その圧力に抗って世に出たんだったね。日本のそこらの企業はもう及び腰になってしまったけど、Apple はジョブズのアイデアを実現させるための企業になったんで、iMac 以外でも進撃が続くことになる。

んでまた iMac のみの話題を続けさせてくださいませ(iPod とかはカラキシなんで。持ってないしw)。当時まだ液晶パネルは高価な割に性能がイマイチだった。ブラウン管モニタはとっくに平面型が主流になってたけど、iMac は敢えてコストの安い球面型を積極採用。その形を利用して全体をデザインしたわけで。そんな奇跡のデザインなもんだから、なかなかフルモデルチェンジできなくてなw あとで平面型ブラウン管で作った eMac(下の画像)のデザインはちょっと微妙だったし。

eMac

てなことで iMac はスペック的にはどんどん陳腐化していったけど(進化はしてたけど、Windows PC についていけてなかった)、外形デザインが大好評だったせいで、そこは色を変える程度で引っ張り続けなきゃいけなかった。5色のキャンディカラーまでは誰でも予想できたし単純にキレイでもあった。で、みんな喜んだもんだから、以降のマイナーチェンジはその路線からますます外れられなくなってしまって。iMac G3 の中盤以降はそんなわけで狙いすぎになってしまって、新色デザインがかなり迷走してたわ。

iMac G3 は、冷却ファンがないのも特徴だった。マザーボードの直上に位置したブラウン管。ここで熱せられた空気が筐体上部の穴から自然対流で抜けるぶん、下から冷たい空気が上がってきて CPU を冷やす、という形。この風量だけで充分に冷却できたのは、PowerPC G3 が低排熱だったから。だからあのデザインを保つには、ブラウン管も PowerPC G3 も外せない要素だった。となると、より高性能で排熱量も多い PowerPC G4 を組み込むには、どうしてもフルモデルチェンジが必要で。あと球面ブラウン管もさすがにもう使ってられなくなってきた。性能アップには、大ヒットの理由のあのデザインを完全に捨てる必要がどうしてもあった。

iMac G4 はほんとに全部変えたね。G3 時代の面影を天晴なまでにみんな捨て去って、まったく新しい形を提案。さらに、人気とその後の混乱の元になったカラーバリエーションも廃止。白一色にした。それでも好評だったのがニクい。そして G5 化で「これ以上の単純化は無理」なところまで持っていって、Intel 仕様になった今もほぼそのまま(外装の色と材質は替わったが)。最近のモデルチェンジじゃ基本デザインはそのままで、筐体の存在感をさらに薄める方向(アゴの部分が小さくなった)。

もうデビュー時みたいなインパクトを客から期待されない定番製品なわけで。遊びを入れない形に収束させたのは、ロングセラーのための戦略なんじゃないかと。Mac で "i" がついてるのは始祖の iMac だけになってしまったけど、それでも生き残ってる。ここらへん、ジョブズがただの目立ちたがり屋じゃなかった証拠かと。売れ行きも、無敵の "iPx" シリーズにつられて好調を保ってるらしい。

"iPx" って今勝手に作った言葉だけど、iPod, iPhone, iPad の流れって、Mac の周辺機器から始まって、だんだん高機能化・大型化して Mac に近づいていってるのが面白いなーと思ってて。iPad 2 なんか MacBook Air の下位グレードに近いノリだしな。最近の Mac のラインナップじゃノート型の普及機は Air だけになって、小型化・簡素化を追求。こっちはこっちで iPx に近づいてる。

天才ジョブズ亡き Apple は、先の動向を外部から読みやすくなってしまうかも。てことは今見えてる方向性をそのまま延長すると、MacBook Air と iPad との融合になるかな。今は Mac と iPx とは OS が異なる。Mac OS X も iOS も根幹は同じだそうだけど、違うところは厳然と違うらしい。一番違うのは、iOS だとアプリの配布は App Store を通さないといけないことみたいですな(詳しくは知らない)。パソコン風の、「ネット上の自分のサーバ領域に投げとけば、欲しい人が勝手に拾っていく」という旧来のやり方は無理っぽい。

OS の区別をなくすとしたら、ここらへんどうなるんだろうね。パソコンは何でもありなのが特徴だけど、モバイル端末はある程度の規制や制限がないと危険みたいだし。

ジョブズはその解決策まで考えてたかも。ある程度は Apple に伝えてたのかも。あるいは、またしてもおいらごときの予想をはるかに超えたものを、もうひねり出してたかも(その可能性が一番高い)。どれが正解だとしても、彼はそういうものに魂を吹き込むためのエッセンスを秘密にしたまま、天に召されてしまった。

これからももっともっといろいろ作り出してほしかったけど、もう叶わない話になってしまったか。今はジョブス氏の安らかな眠りを祈るばかりです。

この文章、今 iMac で書いています。このサイト、ほとんど Mac のみで12年間運用しています。

銘板左端銘板銘板右端

一時期ちょっと危ないくらいの Apple 信者だったおいら、Apple や Mac に関する本や雑誌をけっこう買い漁って読んでたんだわ。んでまあ Apple 社の生い立ちや経営の紆余曲折なり、おいらなんかよりはるかにイッてしまった狂信者たちの動向なりを見てさ、ほんといろいろ学んだわ。

その中でスティーブ・ジョブズにまつわるあれこれと彼の製品から学んだのは、「世の中に既にある常識の多くは表層的で、それらは特に根拠がなく、特に合理的でもない。物事の本質を自分で探せば、旧来の常識を創造的に破壊できる」なんて感じかな。別に彼が言った言葉ではないけど、そんなメッセージを勝手に感じてるよ。

おいらは天才離れした人材wなんで、ろくにやれてはいないけど。

銘板
2011.10.11 火曜
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CB2

日本のヒト型ロボット技術、また変なの(失礼!)生み出してたんだなぁ。2007年にもう出てたそうだけど、おいらは今知った。

ヒト型ロボの研究は、「人間の真似をしました」「人間と共同作業するためにヒト型」という段階を終えたみたいですな。その方向もそのまま進んでるんだろうけど、それを利用して別な研究に役立てる、という方向も出てきたみたいで。

CB2 の目的は、人の成長過程の再現らしい。子供の精神の発達具合ってのはデータ化しにくいわけで、それを、データでしか動けないロボットで再現することで探っていく研究、そのために開発されたらしい。

しかし CB2、動きが妙にリアルだよなぁ。最初に動画を見たとき、中に人が入ってるのかと思った。空気圧での制御で実現したそうな。だよなぁ、サーボモーターじゃ無理そうだよなぁ。

Wikipedia 「人工筋肉」には「利用される素材が柔らかいことや、動作が柔軟で外部からの力にも対応することなどから、ソフトアクチュエータともいわれている」とある。おいらは前まで、人工筋肉は「生体の筋肉の作動原理を人工的に模倣したもの」だと思ってた。けど実際の定義は作動原理ウンヌンはどうでもよくて、挙動が筋肉に近いものなんだね。てことで CB2 の空気圧駆動はそれを実現してるんで、人工筋肉と言えるんじゃないかなと。

ヒト型ロボットはリアルになるにつれ、「不気味の谷」に近づいていく(この説には反論があるそうだけど、感覚的に理解できると思う)。CB2 はただでさえ動きがリアルなんで、不気味の谷を避けるべく、肌の色は敢えて肌色じゃなくしてるんだそうで。これ黒や白、あといかなる彩色でも、その人間のある状態を連想させる固定したメッセージを発してしまう恐れがあるんで、グレイはいい選択だったんじゃないかと思う。まーパッと見はアレだけどw

リアルに動作できるにしても、まだ立ったり歩いたりはしないんだね。発声も「エ」だけみたいだし。開発目的を充分に果たせるだろうからこれでいいんだろうけど、この自然な動きができるってのは、ここから新たな方向を見いだせそうにも思えるよ。ASIMO は外見がロボだからロボ的な動きで何も問題ないけど、産総研のリアル指向ロボはほんと気持ち悪いもんなぁ。その片棒を担いでるのが、あのいかにも硬い動作なんじゃないかと思って。衝撃を受け流すこともないしな。

人工筋肉は電動アクチュエータと違って、力の入れ具合によっては外力に負けたりするわけで、それって外から見ても雰囲気的に違いが分かるもんですなぁ。「触っても大丈夫。壊れたりしないから」という感じがしますな。

ロボ的なロボは硬そうなぶん逆に、変に触って倒したりするとドガシャーンと行って、あるいは無理に動きを抑えると煙が出て、「ハイ請求書3000万円也」とかなりそうで怖いんだよな。動くだけでハラハラしちゃうというか。CB2 はそういう心配が少なさそう。実際の壊れやすさは同じかもだけど、感覚的に。つーか乱暴な扱いを前提で考えてる自分を発見w

ヒト型の空気力制御ロボの元祖は學天則だと思う。元祖から伝来の方式、まだまだ行けますなぁ。學天則も CB2 も大阪生まれらしい。縁を感じさせるなぁ。

どうでもいいが、せんとくんに似てるな。

銘板
2011.10.12 水曜
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そして眠るロータリーエンジン

ロータリーエンジンの灯がついに消えちまうのか。これまたニュースから5日遅れになっちまった。

結局、ほかのメーカーが乗ってこなかったからかな。エンジンの開発には膨大な資金がかかるそうな。だから車体のモデルチェンジは4〜5年に1回でも、エンジンのほうはいったん開発すると10年は使い続けるみたいで。てことで各社の競争状態であろうと、トータルでの開発リソースは普及してる形式のほうが大きいわけで。

レシプロエンジンは原理的にロスが出る。高速で往復するピストンとコンロッドは、上死点と下死点でいちいち止まる。そのぶん、それまで加速したエネルギーが無駄になる。

ロータリーエンジンはその無駄がないのが売りだった。けど結局、燃費競争でレシプロに勝つことはなかった。がんばったんだけどな。

部品点数が少ないから壊れにくくてローコスト、パワーあたりの重量と容積も少ないっつう利点もあったのに。普及して生産台数を稼げてれば、恐らくこれでエンジンのコストが有意に安く上がってたはず。けど燃費が常にネックになって、良さを生かせるジャンルは、台数をさばけないスポーツカー部門のみだった。小型高出力で部品点数の少ないエンジンは、台数をさばいてこそ利点を示せたはずなのに。

レシプロエンジンだって最初から燃費がよかったわけじゃなく、各社が競った結果そうなったわけで。けど原理的なロスはどうしようもないわけで。ロータリーはライバルに付け入るところが目の前に見えてたのに、マツダという比較的規模の小さな1社のみだったんで、開発スピードが遅かったのが祟ったんじゃないかな。レシプロ並みの開発リソースをぶち込めてれば、もっと行けたんじゃないかな。マツダもレシプロエンジンを開発しがてらだったしな。

ル・マン24時間レースから追い出されたのも痛かったかも。あれで毎年のように上位に入ってれば、ほかのメーカーの興味を引いてたかも。日本じゃメーカーがエンジンも自作するのが当たり前だけど、世界じゃエンジンは他社から調達するケースがけっこうあるし。けどそれは普及車の話。スポーツカーはメーカーの技術的なメンツを見せつけるジャンルで、しかもエンジンが最重要。ここが他社製じゃメーカーとしてのメンツを保てないわけで。スポーツカー専門になってしまったロータリーは、やっぱその道での他社への販路開拓も無理だったかなぁ。

銘板左端銘板銘板右端

マツダは前々から水素エンジンの研究をしてる。どうもロータリーと愛称がいいらしい。で、水素燃料とセットの形で、ロータリーの復活を狙ってるとかいう噂。水素燃料でのエンジン開発といえば、確か BMW がそうだったような(こっちはレシプロ)。あと水素を自動車燃料としてインフラ整備する動きってのは、昔からけっこうあったりする。燃料電池の燃料でもあるんで。まーあんまし具体化してないんで、供給・保存の形式も一本化されてない状態らしい(BMW は液体水素。ホンダの燃料電池車は圧縮ガス水素。マツダは水素吸蔵合金)。

おいらは水素燃料の自動車への普及は疑問視してる。本質的に面倒すぎる燃料なんで、一般人には手に余る代物と思ってて。けどおいらの浅知恵なんか簡単に乗り越えちゃうかもしんないわけで、未来は分かんないわけよ。

その分かんない未来に、水素だろうがなんだろうが構わん、固体燃料ロケット、TRON に並ぶ、日本の誇るガラパゴス技術の象徴ロータリーエンジン、是非復活してくれー!

銘板左端銘板銘板右端

ロータリーエンジン車がル・マンで走れなくなった理由として、マツダが優勝したからレギュレーションを変えられたという話もあるけど、順番はそうじゃなかったらしい。別な目的でレギュレーション変えが決まってて、ロータリーが走れる最後の年に、マツダが見事にロータリーで優勝した、てことらしい。

銘板
2011.10.13 木曜
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ゼロサム

震災直前あたり、こう思ってた。

「今の円高のうちにドルを買っといて、あとで円安になったときに円に両替すれば、小遣い稼ぎになるんじゃね?」

当時の読みとしては、「こんな円高はいつまでも続かない。何かをきっかけに円安に振れるだろう」てな感じ。

全然ハズレ。1000年に1度の大震災で国内外の流通がマヒしようが、原発がまさかの大爆発で放射能汚染をしようが、政府の無策が震災と原発事故の傷口をさらに広げようが、大型台風が大被害をもたらそうが、円高はびくともしなかった。むしろ最近また高くなってる。

実際は思っただけで、まったく行動を起こさなくてさ。ヒマなときに思いつきはするものの、昼間に仕事してると完全に忘れてるし。思い出してもやっぱしリスクが怖いし。

相場は素人が浅知恵でやっていいもんじゃないね。ヤケドしないで済んでよかったわー。

両替は手数料を取られる。円→ドル、ドル→円で2回も賭場代がかかるわけで。そのぶんを払ってもまだ黒字を残すってのは、やっぱし至難の業なんじゃないかと。

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2011.10.14 金曜
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インディカー

アメリカの CART シリーズ、2008年で終わってたのか!? そんなぁインディ500どうすんだよ!! って今年もインディやってた気がするが……。知ったかぶるとすぐにぼろが出てしまうほどまったく詳しくないけど、以前、毎年5月の楽しみにしてたもんで。なんでおいらは最近は観ないのかっつうと、あの生放送って日本時間だと、日曜の 25:00 頃スタートなんだわ。800マイルを走り切るのに3時間かかって、よーし寝るべーと思うともう夜が明けかかって、月曜がきつくてきつくて。

そうかそうか。前からインディ500自体のオーガナイザーって CART に反発してたんだよな。そうかそうか。それで分裂して、CART のほうが消滅したんだ。なるほどなるほど。プロレスの興行団体みたいだな。まあインディのほうが健在なんならいいや。

ふーん、日本に来てたのは CART のほうなんだ(ほんと全然詳しくない)。

アメリカって独自のものとヨーロッパ的なのものの両方があると、独自のもののほうに人気が出て、ヨーロッパものはあんまし盛り上がらないって傾向がある気がする。「サッカーよりアメフト」とかさ。インディカーは今も大盛り上がりらしいけど、F-1 のアメリカ GP は昔からあんまし人気ないもんなぁ。

そういう気質があってか、インディカーってアメリカで独自進化したモータースポーツだよね。つーかアメリカのモータースポーツってあのアメリカ臭さが災いしてなのか、世界じゃあんましウケないよねw まーそれでもあの国は土地も人口も経済も巨大だから、カネ食い虫なカーレースでも、1カ国だけでシリーズ戦を派手にやれちゃうわけで。

F-1 って究極で最高峰なわけで、そこがカッコイイんだけど、何かとシリアスな感じでな。特に最近は電子絡みなテクノロジーの導入が暴走気味で、規制でがんじがらめって感じもあるような気がして(ここらへん80年代にホンダからやり始めた道なわけだが)。ちゃんと観てないからもろに印象で語ってるけどさ。モナコとかの市街地レースはドライバーのテクニックの見せどころだけど、追い抜くポイントがほとんどないから、素人には面白さが分かりにくかったりもして。けどモナコは F-1 じゃ聖地だったりもして、あんたそこが分からなきゃまだまだ素人だね、と言われてるような感じで。そのぶん敷居が高く感じられるというか。

インディカーだってシリアスだけど、なんか単純に楽しい印象なんだよね。より娯楽っぽいというか。シリーズ戦にはオーバルコースがけっこうあって、これがまた分かりやすくて。つーかおいらよく考えたら、インディカーはインディ500しか中継を見たことないわ。

ああでも1度だけ分裂前に、ナザレスに観に行ったよ。ナマでカーレース観るの初めてで、いろんな色のマシンが目の前のコーナーをひたすら駆け抜けていったって程度の印象しかない (^^;) そのときはチーム名もドライバー名も忘れきってたし。一眼レフで流し撮りに挑戦して、見事に全部ブレまくり orz まーでも会場じゃビールをガンガン飲みまくって、近くの観客と盛り上がったよ。

ビール飲むからトイレにも行くわけで、ブンブン走ってるサーキット上と違って、こっちは大渋滞。向こうのトイレ文化を学びましたですよ。便器は大小兼用のだけ並んでて、いちいち流さず、交代で次々と用を足すんですわ。見た目はちょっと汚い感じだけど、まーそのぶん水の節約になるだろうし、回転も上がるでしょ。

インディカーの車体はほとんどワンメイクだから、F-1 みたいにチームごとの個性があるわけではないけど、スポンサー広告がなんとなく明るい感じがしてさ。今はどうなんだろ、まだバドワイザーが派手にサポートしてるのかな。あれはなかなかよかった。クルマに酒ってちょっとアレな組み合わせではあるけど (^_^;) でも会場の客はビール飲みまくりだからいいか。

あとカメラワークや編集に、インディカーのチームやドライバーに対する愛と敬意が感じられますなぁ。オリンピック中継に相通じるものがあるというか。

おいらがテレビで年に一度のインディ500を楽しんでたのは、80年代前半あたりから。TBS だったよ。んで1987年から F-1 中継が始まったんだわ。日本人初のフルタイム参戦ドライバー・中嶋悟のデビューに合わせて。こっちはフジ系列。うちの地元にフジテレビの局はなかったけど、それでも日テレ系が放送してくれた。おいらは F-1 も追いつつ、インディも、と二股を決め込んだ。

日本人にとってはどうしても F-1 のほうが新しい感じがするもんだから(古いレースカテゴリではあるけど)、インディカーが古臭く思えてしまうもんで。それでもインディを捨てずにいたら、にわかな F-1 マニアさんにちょっとバカにされてしまっただよ。曰く「インディのオーバルコースなんて腕がなくてもできる」「だから50歳でも現役で走れるほど簡単」「そこへいくと F-1 は(以下略)」。ムッとしてしまったのを覚えてる。けどホンダと中嶋悟を擁する F-1 というコンテンツの進撃はすさまじくて、それから何年もインディを忘れてたわ。

F-1 のほうはヤマハもエンジンサプライヤーとして参戦したし、鈴木亜久里は鈴鹿で3位に入ったし、日本のアパレル企業がイギリスのチームを買い取ったりもあったりしてな。アドリアン・ニューウィー設計のレイトンハウス・マーチのかっこよさは常軌を逸してたよ。ロリー・バーン設計のベネトンも、ハーヴェイ・ポスルズウェイト設計のティレルも。この3者はハイノーズの有効性をそれぞれ独立に見いだしたんだよな。おいらは勝手に空力御三家と呼んでるよw

そしてブラバムのフロントウィングいっぱいを使った住友海上のロゴ。あれはちょっとあんまりな感じだったww

日本のテレビ局同士のインディ vs F-1 の争いでいうと、あれは1990年かな、ちょっと汚いことがあって。人気と知名度で劣勢に立たされてたインディカーの TBS、やっちゃいけないことをやらかしやがった。この日はインディカー伝統のインディ500マイルレースと、F-1 伝統のモナコ GP が完全にバッティングしてて。

F-1 は世界を転戦するから、生中継だと放送時間が一定しない。フジは深夜帯に放送枠を確保してて、その日のレースを録画で出してた。放送時間が合ったり、日本グランプリみたいな視聴率を稼げるときは生放送で、と現実的なやり方を採ってた。モナコと日本の時差は(たぶん)8時間。日本時間の夜10時台にはモナコ現地でのレースは終わってたけど、フジは深夜1時台の放送を予定してた。

TBS はインディ500の生中継番組を深夜12時台から放送開始。インディはスタートからゴールまで3時間かかる。フジのモナコ GP ともろかぶり。そのインディ中継の冒頭で、現地入りのアナウンサーが速報。「F-1 のモナコグランプリは終わりましたか。優勝はセナですか。そうですか」。ちょ、てめ! しかも「こっちは生放送ですからねぇ」とか。

たぶんフジテレビが後でクレーム入れたろうけど、一般視聴者からも TBS にかなり苦情が行ったらしい。おいらも抗議電話しようかと思ったもん。確かにレース結果は報道になり得るんで、ニュースを早く公表するのはマスコミ的には問題ない行為ではあるけど、営業妨害の意図があまりにもミエミエでな。なんかこう、楽しみにしてたインディ観戦さえ台無しにされた気分だったよ。まーそれでも両方をザッピングしながら観たよ。

そういやあれ以来、テレビでインディ500まったく観てないわ。F-1 は中嶋悟の引退まで観てたけど。TBS の大チョンボのせいで、おいらのほかにもインディ500に見切りを付けてしまった人ってけっこういたんだったりして。

のちに CART が日本でもレースやるとなって前宣伝が始まったんだけど、おいら的には今さら感を覚えてしまったよ。アメリカ色の強さが売りなのに、なんでまたわざわざ日本くんだりに来るのかって気もしたし。今思うと、きっと当時の CART が描いた世界化戦略だったんだろうね。F-1 に真っ向から対抗するつもりだったんだろうね。んで最後は消滅、と。そしてそこから分裂して、アメリカ国内にこだわったインディシリーズは今も続いてる、と。

日本の今の F-1 人気はバブルの頃と比べるべくもないけど、インディカーよりまだメジャーだよね。けど、やっぱインディカー独特のノリは魅力だと思うなぁ(特にオーバルコース)。ここらへん「F-1 のニセモノ」的な印象をどうにか拭ってですね、両方とも相乗で盛り上がっていけないかなぁ。日本は野球もサッカーも人気を獲得して、それぞれの本場に認められてる国なんだしさ。

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つーか日本でとなると「まずフォーミュラニッポンを盛り上げるのが先決だろ」ってなるか。「失われた20年」でレース興行はどこも苦しそうだけど、どうにかなんないかねぇ。注目度が上がればマスコミが多く取り上げる、そうすると広告媒体としての価値が上がる、そうすると主催団体、各チーム、ドライバーとも金銭的な苦しさから少しは解放される、そうなるとレース全体がますます活性化される、なわけで。

こういう正のフィードバックな性格は商業や世の中の流行のほとんどすべてに当てはまると思うけど、レース興行はこのフィードバック係数がことさらに高いような気がする。だから、落ち込むときは余計に派手に落ち込んでしまうわけで。今がそうなんじゃないかなぁ。

どのカテゴリからテコ入れするかってのはいろいろ考えがあるだろうし(ラリーも2輪もあるしね)、今もきっと各団体は人気獲得に一生懸命だと思う。しかしまぁもっとどうにかしてさ、全体が盛り上がってくるようになんないかなぁ。インディカーも一緒くたにする形で、カーレースに対する世間の関心がもっと盛り上がらないかなぁ。

むしろおいらがなんとなくカーレースから興味が離れっぱなしになってしまってるわけで。世の中ウンヌンより、ここをどうにかせんとな。

銘板
2011.10.15 土曜
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クルマ 女の子向け・男の子向け

カーレースやレーシングカーを露出させる役割で、最大なのは自動車メーカーですな。レースで勝ったり、とにかく参加してガンガンやり込んでる様子を、テレビのスポンサー番組なり CM なりで誇らしげに見せつければ、自社宣伝になると同時にそのレースの宣伝にもなる。

んでその自動車メーカー各社は今どういう戦略かっつうと、エコカーなんですなぁこれが。燃費命。

レーシングカーってのは基本的に燃費が悪い印象なわけで。高速走行時の安定性だのエンジンの最大出力だのって、エコに関係ない感じだしね。技術的には最速マシンの作成と低燃費の実現はベースが同じなんだけど、メーカーが今ターゲットにしてる客層にとっては、興味ない部分でつながってるってことで。

けど「このまま二酸化炭素(CO2)を出し続けると、数十年後に世界の大都市はほぼ全部水没」はウソだってのが、クライメイトゲート事件でバレたしさ。実は地球大気への CO2 排出量の積算で単純に温暖化を考えるのがあまり意味がないってのは、20年も前には分かってたのに誰も言わないしさ(おいらも今の今まで忘れてた。海水の CO2 吸収過程と吸収量が未知・不確定なんですよ)。世界の原発業界がそれでも自分たちへの利益誘導のために、バレたウソでまたぞろ地球温暖化危機を持ち上げ出した途端、東日本大震災で自爆したしさ。原発事故のほうが温暖化よりよっぽどヤバいことが世界中にバレたよね。てことで自動車販売の方針として、今さら低燃費だけを押すのもどうなのかって感じになってきたような(ただし原油高なんで、その意味で低燃費の価値はある)。

エコにうるさい客層ってのは、主に女性客と家族需要の客じゃないかな。レーシングカーやスポーツカーってもともと男の子向けだから、今はレースの戦果を媒体で誇るのは相容れないのかもな。マツダがロータリーエンジンの開発を止めるのは、レシプロエンジンの低燃費技術の開発に集中するためだったよな。むしろマツダは思い切ってレシプロエンジンは OEM にして、自社エンジン開発はロータリーに集中とかなんないもんかな(2013.8.2 補足: 当時おいらはスカイアクティブの凄さをまったく知らんかった)。

ここをどうにか矛盾しない形で折り合わせられかなぁ。スポロガムのオマケだって箱の外に「男の子向け」「女の子向け」と書いてうまくやってたしさ。

おいらスカイラインやランエボを見かけると「カッコエエ!!」と胸がときめくけど、プリウスだのインサイトだの流行りのワンボックスだの RV だの見たって全然ときめかんのよね。

もしかして「今はクルマが売れない」のは不況だからとか所得が落ちてるからじゃなく、オスガキ向けのジャンルを切り捨ててしまって、潜在需要を満たせてないってのがけっこう大きいんじゃないかって気もしてきた。オスガキは本気で「このクルマ欲しい!」となったら、10年ローン組んででも買う執念あるからな(おいらは子供の頃からローバーミニに乗りたかった。今、2台目に乗ってる。安くて助かったよ。

「スポーツカーじゃないじゃん」と言うなかれ。モンテカルロ・ラリーで複数回優勝しとります)。

ハイパワーを誇るクルマもあるにはあるけど、そういうのはセレブ向けという皮をかぶった、無駄にでかいオヤジグルマだしな。大事なのはパワーじゃなくパワーウエイトレシオなんだから、いくらハイパワーなエンジン積んでも、車体が軽量じゃなきゃパワーの意味ないだろ。ていうか物理の定義じゃなく世俗的な意味での「パワー」を感じたいなら、回転数に左右される馬力やキロワット数よりトルクを重視しろよ。

なんてーか、世の中のクルマを買う顧客層って、大部分がクルマに興味ない人なんだろうなぁ。だからメーカーはそういう素人客に合わせたクルマを作って、それに合わせた販売戦略をやってるんだろうけど、同時にマニア層を「絶対数が少ないから」と切ってしまった感じだね。これがどうも失敗してるんじゃないかって気がする。

とはいえそれは、おいらが面白くないってだけの話だな。RX-8 があんまし売れなかったのは事実だし。んーしかし、おいら的には今の自動車業界はつまんなくて。CR-Z はカッコイイにはカッコイイけど、「無理してでも欲しい」とは思えんしなぁ。

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つーか最近、80年代の国産車の中古が欲しくて。ホンダならシティ(初代。ターボじゃないやつ)か CR-X(初代)。トヨタなら MR-2(初代)。三菱ならスタリオン。マツダならサバンナ RX-7。日産なら R31 の2ドア(自動チンスポイラー付きで)。スズキならアルトワークスww

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2011.10.16 日曜
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諭吉監禁アジトは何処

ユーロ危機の仕組みっていまだによく分かってなくて恥ずかしいんだけど、ヤバいってのはこんな流れでいいのかな。

もしギリシャがデフォルトすると
ギリシャ国債が不良債権化
→ギリシャ国債をいっぱい抱えてるヨーロッパ各国の銀行が潰れる
→金融不安が起きて、世界中のトレーダーが国債市場から逃げ出す
→各国が国債を発行しても売れない
→各国が借金できなくなる
→各国の財政が悪化
→大手銀行も資産の目減りで事業規模を大幅縮小
→貸し渋り・貸し剥がしの横行
→経営に行き詰まる企業が続出
→世界恐慌

こんな感じかな(自信なし)。

対策として、ユーロ圏内でギリシャの対外債務を何割か棒引きにする方向が検討中みたいだけど、それやったってやっぱし不良債権化なわけで。棒引きに何のメリットがあるのかよく分からん。

ギリシャがデフォルトすると、ユーロ全体の信用が落ちるのがまずいのかな。棒引きにすればユーロ圏内で処理できるってことで、対外信用の下落は防げるってことなのかな。どっちにしろギリシャ国債を多く持ってしまってる銀行ほど危険な状態にあることに変わりないけど。

日本はどう影響を受けるのかと。

なんでも日本政府発行の国債って、ほとんど日本国内で買われてるらしい。外国でギリシャ国債を掴んでしまって潰れる運命の銀行も、幾分かは日本国債を持ってるかもしんないけど、国際市場の影響は受けにくそう。まぁ日本国債単体で考えると、てことで。ただ、日本国債の受け皿になってる国内の銀行、ここらへんがギリシャ国債も大量に持ってると財務基盤がおかしくなるわけで、そうなると現金確保なり損失補填の目的で、その銀行が持ってる日本国債が国際市場に売りに出される(ほんと自信なし)。日本国債の価値はそのぶん下がりますな。

おいらが考えつくのはこの程度。もしもこれが影響割合のほとんどなんなら、日本は大した波をかぶらなくて済むんじゃないかって気がする。

それはいいとして、そうなると日本経済の信用がますます上がって、さらに円高が進むんじゃないのかねぇ。今の時点でもう過去最高になってるんですけど円高。3月の震災後の円安予測が見事に裏切られたのは、どうも日本は債権国という要素が強く買われてしまってて、東日本大震災+原発事故なんて程度のマイナス要因じゃ日本円の信用に傷さえつかなかったってことらしいね。政府も「日本だけの単独介入では効果が限定的」みたいな弱音を吐いてるし。確かにアメリカもヨーロッパも自分とこのボヤを消すのに手一杯で、頼りにできない状態だし。この前の大規模な市場介入の効果は一瞬でしかなかったしな。

けどその一瞬を逃さず、一儲けしたり一息ついたりした投機家や企業って多いんだろうなぁ。

そんな早業が繰り出されたんだとすると、そのオペレーションは、円安に振れた瞬間に円を買い込んで、その影響で円高に揺り戻した途端に円を売るわけですな。しかし円高に振れたのは単に元に戻ったわけで、そこからトレーダーが利益確定で円を売ったら、円の価値はなりなりに下がると思うんだが。しかもその前に日本政府と日銀の介入で、市場に円が既に出回ってるわけでもあるし。それでもまた元に戻ってしまった仕組みが理解できてないおいらさ。

そこらへんを帳消しにするほど円が激しく買われてるってことですかねぇ。大量の諭吉先生、どこのアジトに拉致監禁されてるんですかねぇ。てことは今の真の円相場(需要と供給の割合から来るもの)って額面(発表されてる数字)よりずっと高いわけ?

円なんてドルよりもユーロよりも流通規模が小さい通貨なのに、そこまで期待されてもなーって気がするんだよな。

もしこの筋道でだいたい正しいのなら、日本の世論がユーロ危機に対して、どことなく他人事な感じなのも分からんでもないような。自分にはあんまし関係ないよってことで。日本とは別の通貨だから直接どうにかできるわけじゃないし、どうにかする責任もないし。週刊誌はこれをネタに危機を煽ってるけど、そこらはセンセーショナリズムが売りだから、「大恐慌が来るぞ! 日本はもう終わりだぞ!」で押したい部分もあるだろうし。ええ。AERA が世間の反感を買った「放射能が来る!」のノリで。

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2011.10.17 月曜
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TPP はブーメランになるか

んで TPP とかいうものもまた熱い話題になっとりますな。なんでもアメリカその他数カ国とこの合意を結んで関税がゼロになると、国内の農業が壊滅するとかなんとか。それでも結んだほうがいいんだとか、やっぱしやめたほうがいいんだとか、こっちもよく分からん。

今の超円高、なんかもうここ何年もこの状態が続く気がする。それで関税障壁をなくしてしまうと、外国の安い品物が日本にドドーッとなだれ込んできそうですなぁ。アメリカの作物に日本の農業が潰されてしまうという主張、たぶんこのことかなと。それでも日本にとってメリットがあるはずで、だから政府はいろいろ検討してるはずで。んでそのメリットが何なのかがよく分からんくてな。輸出企業にとってはコストダウンになるから、とりあえずこれ理由のひとつだとは思う。

てことは、自国の強い分野はより有利に、弱い分野はより不利になるってことかな。てことは国別で分野の専業化が進む、となると加盟国間で相互依存が強くなる、強い分野をたくさん持ってる国が有利、と。大丈夫かよ。かえって域内の不安定要因になるんじゃね?

あとこれってさ、為替の固定相場制とセットじゃないとダメなんじゃね? 今さら1ドル=360円に戻せなんて言わんけど、例えば1ドル=150円で固定なら、日本は輸出振興と輸入制限の両面でメリットがあるような気がする。

固定相場で思ったけど、ユーロ圏内の国々って固定相場だわな。圏内ならどこの国でも1ユーロ=1ユーロってことで。

それはそれで話が簡単になって便利そうではあるけど、ユーロは今あの有様。近隣の複数の国で単一の通貨ってのはものすごく強そうに思えたんだけど、実はかえって脆弱になる面もあったと。

日本円はハードカレンシーの中ではローカル色がまだ強いほうだと思うけど、それでもある程度の規模は確保できてると思う。世界中の金融取り引き所が持ち回りする形で24時間体制で取り引きされてるし。規模は英国ポンドに並ぶくらいなのかな(当てずっぽ)。

んで今回の TPP は変動相場制のままではあるけど、それでもアメリカ経済への従属性が強くなりそうな気がする。円高ドル安はそれで是正されるかもしんないけどさ、ユーロという先例を見るに、複数国で経済の連動を高めると、どこか1カ国がよろめくと域内がみんなおかしくなる、最も強い国が域内を支配する、てのが分かるわけで。TPP に参加すると、日本経済は安定性を失い、アメリカ経済に支配されるってことじゃないのかね、と。そこがアメリカの狙いなのかな。

あとアメリカが TPP を日本にパワープッシュしてくる理由ってさ、円高ドル安に加えて日本の関税障壁を取り払って、日本国内にアメリカ製品を溢れさせようって目論見がある気がする。

まーカリフォルニア米が日本のブランド米くらいうまいなら、向こうはだいぶ安いわけで、コメはアメリカの目論見どおりになっちゃうかもしんない。牛肉もかな。

んでもさ、アメリカ製品がもっと安くなりゃ日本でバンバン売れると考えてるんなら、ちょっと考え直したほうがいいと思う。80年代にアメリカが牛肉・オレンジ輸入自由化を日本にゴリ押ししてどうなったかっつうと、安い牛肉はオーストラリア産が押さえて、高級牛肉は逆に、和牛がアメリカに打って出るほどまでになってしまった。アメリカの酪農業界にとっては、当てが外れたんじゃないかと。まあ吉野家がアメリカ牛専門だから、そのぶんは対日輸出できてるはずだけど。

オレンジの対日輸出のほうは完全に失敗だったと思う。日本でオレンジなんていまだにあんまし見かけないもんな。アメリカのオレンジも確かにうまいんだけど、安くてすげーうまい国産ミカンの牙城は揺るがなかった。強いていえば、濃縮還元ジュース用の、比較的どうでもいいオレンジとしての需要はあるのかも。けどコタツや鏡餅に欠かせない果物といえば、いまだにカリフォルニアだかバレンシアだかのオレンジはしっくりこない感じ。

アメリカの各業界はここらへんの先例から学んでないんじゃないかと。「貿易関税さえなくなれば、日本人はうちの商品に飛びつく」と思い込んでるんじゃないかと。今は終戦直後じゃないし、日本はバナナ共和国(「アメリカにバナナを輸出するしか能のない国」の意味。「開発途上国」の侮蔑的な表現。アメリカ国内の雰囲気は、「自国の周辺はバナナ共和国だらけ」)でもない。そこらへんの甘い予想は禁物じゃないですかね。日本じゃ「アメリカで大流行」「全米が泣いた」「○○の本場アメリカ」が宣伝文句として有効だった時代はとっくに終わってるんだが、メリケンさんはそう思ってなさそう。

不況気分を満喫中の日本人は安さに目がないとはいえ、それだけじゃ買わないんだわ。買いやすくないと。あと性能とイメージもライバル品より良くないと。

アメ車を今もあんまし日本で見かけないのは、そこらの誤解・無理解が原因じゃないのかね。けど日本市場でアメリカ製品が超強い分野ってのもしっかりあるわけで(コーラ、ハンバーガー、映画、ディズニー、パソコンやサーバの OS と CPU)。ここらへんの失敗事例と成功事例をちゃんと学んで攻略法を開発しないとさ、わざわざ政治力で TPP を日本に押し付けたって、失敗事例を追加するだけなんじゃないかと余計な心配したりもして。

けどアメリカは正確な情報に基づく戦略立てと即断即実行が得意だから、日本としてはそれやられるとひとたまりもなかったりもして。どうかメリケンの旦那様には末永く日本の実力をお侮り・お読み違いいただき、日本攻略にいつまでも本気を出さないでいただきたい。

銘板左端銘板銘板右端

つか日米を含めて、マスコミ情報だと今どこの国の政府も財政が苦しそうだよね。とりあえずそこを信じるとして、この現状で関税撤廃っておかしくない? 輸入から取れてた税収をお互いになくしましょうってあんた、普通に考えて国家財政がますます苦しくなるように思えるが。自国財政のギリシャ化を推し進めてしまう方策に思えるが。

とすると、TPP は各国の政府や関係省庁の本意ではない、となるわけで。けどやるってことは、どこかから突っつかれて動いてる、となるわけで。これで得するのは誰か。そりゃ輸出企業ですな。日本だと経団連関係かな。ここらへんって政治への発言力が強いからな。それなのかなぁ。自社のためなら母国の他産業と経済を潰して、挙げ句に世界恐慌になっても別にいいやってことなのかな。サムスン・ヒュンダイの言いなりになってきた韓国経済が、現実にそんな状況に陥り始めてるみたいだし。

もし世界恐慌になったら自社の製品も当然売れなくなるわけで、それだと矛盾になるよね。でも個々の企業は世界恐慌の責任までは負わなくていいだろうから、気にならないといえば気にならないのかも。むしろ、まだましな今のうちに売り抜けて利益を確保しとこうとばかりに、その流れを加速する方向だろうが構わずやっちゃってるのかも。

銘板
2011.10.18 火曜
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凋落候補は除外

昨日の補足。

日本市場でアメリカ製品が超強い品目に、iPod と iPhone を入れようかと思ったけど、ジョブズ亡き Apple は凋落の一途をたどるかもしんないんでやめといたわ。

マイクロソフトはもう、ビル・ゲイツがいなくても平常運転を続けられそうですなぁ。

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2011.10.19 水曜
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忘れられた「未来」

おとといのログに関連。

最近の新聞記事はこんな感じで、国際経済を伝える記事が増えてる感じだね。人類は政治と経済の動物だからそれが正常といえばそうなんだけど、つい今年の3月10日まで盛んだった地球環境保全の話題って「そんなことより」的にもう完全に忘れ去られとりますなぁ。世の中みんなエコがエコが言ってたのに、結局その程度の軽さだったってことで。

今思うとツッコミどころだらけだな。

アフガン情勢よりイラク情勢が、チュニジア情勢よりリビア情勢が注目されてきてるのは、きっと石油利権が絡んでるからなんだろな。各国家が脱石油なんてまったく考えてないことがひしひしと伝わりますなぁ。エコブームってただの傍流でしかなかったんかねぇ。

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2011.10.20 木曜
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逆転宇宙機

IKAROS またしてもやってくれました。

世界初のソーラーセイル宇宙機はスピン安定型。慣性で常にくるくる回って、コマの原理で機体の姿勢を安定させると同時に、その遠心力でセイルを張る。スピン型は姿勢制御装置が単純で済む。そのうえセイルを張るためのマストが要らないんで、質量制限が厳しいソーラーセイルにうってつけな構造なわけで。

で、今度は何をやってくれたのかっつうと、スピンの逆回転。

wwwww

スピン型宇宙機で初の快挙かも。普通のも、やる気になればやれるとは思う。けど逆回転なんてただの推進剤の無駄で、やる意味がないからやんないわけで。でも IKAROS では残り少ない推進剤をガッツリ使ってでもやる意味があるからこそやったわけで。ちなみに IKAROS は推進とスピン回転軸を曲げる向きの姿勢制御には推進剤要らずだけど(太陽光の圧力のみでやってのける)、スピン回転数の制御にだけは推進剤が必要。

んでその日の IKAROS blog はこんな塩梅。逆回転運用の理由付き。

10/1710:45:30: 小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施について

IKAROSでは,2010年12月の定常運用終了以降,後期運用を継続しています.後期運用 での研究テーマの一つに「膜面挙動・膜面形状の変化を積極的に引き出して展張状態の 力学モデルを構築する」ことを掲げていますが,そのための一実験として,IKAROSの スピンを逆方向にする「逆スピン運用」を以下のスケジュールで実施する予定です.

実施スケジュール: 10月18日(火)〜10月22日(土)

バックアップスケジュール: 10月25日(火)〜10月30日(日)

このスケジュールは,以下2点のIKAROSの状況を踏まえて設定しました.これらの限られた状況の中で,今回「逆スピン運用」にチャレンジすることが,現状の運用を継続してデータの価値を高めることと比較して,最も価値があり有用な知見,成果が得られると考えています.

・通信状況

IKAROSは地球から遠ざかっており,以下の実績のように通信状況が悪化しています.10月下旬からは,姿勢を調整してもテレメトリの取得が非常に厳しくなる見通しです.

5〜8月:テレメトリ運用(8〜16bps)

9〜10月:テレメトリ運用(8bps),または,ビーコン運用

・残推進薬量

IKAROSは打上げ時に推進薬を20kg搭載していましたが,9月3日時点の残推進薬量は約3.4kgと推測しています.IKAROSでは,膜面に太陽光が当たるとスピンレートが変化する「風車効果」が発生しているため,スピンレートの制御を適宜実施しています.このため,現在の運用を基本として続けた場合でも11月〜1月には推進薬が枯渇する見通しです.

<逆スピン運用の概要>

IKAROSは,スピンの遠心力によって膜面を展張し,姿勢を安定させていますが,逆スピンに移行するときに,一時的にスピンレートがゼロになる瞬間が発生するため,逆スピン運用はこれまでの運用に比べリスクが大きくなります.

逆スピン運用の前段階として,すでに低スピン運用を実施しました.これまで1rpm(1分間に1回転)以上を維持してきたスピンレートを最小0.055rpm(1分間に0.055回転)まで低下させました.一般にスピンレートが小さくなると膜面が大きくたわむと予想されますが,モニタカメラで膜面の状態を観測したところ,予想とは一致しない状態(たわみが殆ど無い状態)も見られ,力学モデルの構築のための貴重なデータが得られました.逆スピン運用を実施することで,膜面挙動・形状についてさらに理解を深めるためのデータを取得する予定です.

ということだそうで。逆回転に入るってことは、行程の途中で回転数がゼロになる瞬間があるわけで。そのときセイルがめくれてしまって、とんでもないことになるリスクがあるんですな。本体にかぶって引っかかったりでもしたら、発電できなくて大変ですよ。IKAROS チームはそれを「ギョーザ状態」「シュウマイ状態」とか呼んでるらしい(別の日のログで見かけた)。

これまで超低速回転を続けてて、そのデータを解析した上で逆回転 GO! となったみたいだけど、やってみたら予想以上にあっさりできてしまったらしい。というか事前のシミュレーションよりも、セイルの変形がずっと少なかったらしい。結果的に何の問題もなくできたわけだけど結果オーライってわけでもなく。こうなるとセイルの挙動シミュレーションの精度に問題ありってことになるわけで。それが分かったことが大きな収穫ですな。

実地でやってみないと分からんもんなんだねぇ。つーか世界初だから、いちいち自力でやって確かめて開拓していかなきゃなんないわけで。パイオニアの苦労と栄誉ですなぁ。てなわけで IKAROS はスピン安定型ソーラーセイル実証機として、当初の期待をはるかに超える大活躍をしてくれてる、と。この運用で得た貴重なデータと経験はそのまま、2018年打ち上げを目指してる木星圏探査機(ソーラーセイル+イオンエンジン)にそのまま応用できますな。

逆回転に入る前の段階で、推進剤の残量は 20% を切ってたんだね。今回の逆回転モード入りでどのくらい使ってしまったんだろ。11〜1月で推進剤が枯渇の予定なのか。いよいよかなぁ。一応、2012年度一杯までの運用が認められてるみたいではあるけど。逆回転は上に書いたかなりヤバいリスクがあるんで、ほかにやれることをみんなやったあと、ほとんど最後のミッションとして取っといたやつだったみたいだね。その段階にたどり着くまで、ほかに特に致命的なこともなく、推進剤も多く使うこともなく、つつがなく運用できたってのもすごいやね。

この逆回転をやってみる必要があったのは、回転数ゼロ付近でのセイルの挙動を調べるほかに、風車効果の影響を調べる目的もあるそうな。

ソーラーセイルは理想状態だと、セイルのすべての場所が対称的に太陽光を反射して、真っすぐな推力が得られるはず。けど製造精度やらセイルの折り目やらから来る不均一さで(地上での展開実験で破れたところは、つぎはぎして打ち上げたそうだし)、そう理想的な状態にはなんないわけ。んでセイルの場所による推力の大きさや方向のばらつきで、回転がだんだん速くなっていったり遅くなっていったり、ということが起こり得る。その可能性は事前に分かってて、「風車効果」と呼ばれてた。んで実地でその現象が確認された。

その風車効果が認められる状態でスピン回転数を変えてみたり(遠心力での張力が変わるんで、セイル表面のシワの具合も変わると思われ)、逆回転させてみると、それが具体的にどういう形で発生してるのかのヒントになる、というわけで。1機の実証機で完全にしゃぶり尽くしですなぁ。

惑星間空間宇宙機として破格の安さではあるけど(安さでも有名な はやぶさ・あかつき の10分の1程度)、他国のソーラーセイル計画に比べると、格段に巨大で重装備な IKAROS。世界初だからこそやんなきゃなんないことが多いけど、当たり前だけどそのすべてが世界初の快挙なんだもんな。そんでソーラーセイルとして充実の装備と、「若手に経験を積ませる」という割には見事なほどの運用計画と実行で、これからしばらくは世界のどこもソーラーセイル実証試験をやんなくていいところまでやってのけてると思うよ。惑星間空間っつう、太陽光圧の微弱な影響を精度よく測れる「静かな」環境を手に入れられたのも大きいし。SMAP は「ナンバーワンよりオンリーワン」と歌ったけど、オンリーワンはダントツナンバーワンでもあるわけで。

てなことで今日の結論。

1位は気分いいもんだけど、ダントツ1位はなおさら気分ええのぉ!

銘板
2011.10.21 金曜
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世田谷とミクロマンはアレつながり

東京・世田谷の高放射線源、空き家の床下にあった放射性ラジウム入りの瓶だったね。原因が判明したのはほっとしたけど、なんでまたそんなもんが瓶入りでそんなとこに放置されてたんだか。今まで普通の街なかの放射線量を測るなんてなかったもんなぁ。そりゃ気付かんわ。ていうかそこに何十年も住んでらした方が、放射線障害の形跡なくピンピンしてらっしゃるってのもまた衝撃で。ご本人の方がいろいろ衝撃だったろうけど。

件の放射性ラジウム、かつて何に使われてたかっつうと、信頼できる人づてに聞いたヨタ話では(オイ)、夜光塗料として広く使われてたそうな。腕時計の文字盤とか。文字盤に使われる量なんてたかが知れてるから、時計を買った人への影響は気にしなくていい程度だったらしいけど、時計職人はその塗料をかたわらに置いて毎日作業してたわけで、彼らがその後どうなったかが気になったりする。

今の無害な蓄光塗料どころじゃない光量と持ちだったらしいんで、使用制限が決まったときは時計製造業界はガッカリだったかもな。

んでその使用制限、すげー前だと思ってたのよ。1950年代あたりまでなんじゃないかなぁと。ところが意外とそうでもなくて。

この前たまたま、ミクロマンのファンサイト様を見つけたのよ。いやーもう懐かしくて懐かしくて、当時のいろんな記憶が甦ったりもして、ニヤニヤしながら目汁をちょちょぎらしたですよ。いやマジで。

タワー基地は文句なくかっこよかった。うん。司令基地も移動基地も素晴らしかった。ロボットマンを持ってるやつはことさらうらやましかった。アクロイヤーのは悪役のくせに、デザインは善玉に劣らず男の子ゴコロをくすぐる魅力に溢れてた。ミクロマンシリーズはプラメッキのピカピカキラキラがたまんなくてな。アクロイヤーの背中についてるホバーパイルダーみたいなファン。あのクロームグリーンが狂おしいほどにお美しくて。いやマジで(コチラ。お写真の物件は、さすがに経年で多少色あせてるっぽいけど)。

とファンサイト様にドハマリしつつ、とある記述を見つけてしまいましたですよ(コチラのページ)。

さらに腹部の発光ダイガードは、当時は夜光塗料が含まれ暗い場所できれいに発光した。現在、この夜光塗料に含まれる有害物質には規制があり、商品には使用できない。浪曼堂およびタカラの復刻版では蓄光塗料に代えられている。

「夜光塗料に含まれる有害物質」、放射性ラジウムじゃね?

おいら持ってたですよミクロマンコマンド。モアイに入ってたから「エルダ」かな。太ももから生えた羽根がかっこよくてさ、羽根といえば普通は背中から生えてるか腕の代わりかなのに、この発想は斬新ですよ。あと押し入れに籠って見てみると、脇腹が緑色にポワーッと光ってまたこれがステキで……。

……、

……、

……。

被曝! 被曝!>自分

おいらとしては量的にも時間的にも大したことなかったろうから問題なかったんだろうけど(持ってたミクロマン、全部すげーかっこよかったのに、みんないつの間にかどっか行ってしまった。トイ・ストーリーですなぁ)、製造現場や在庫の倉庫にいらした方々は大丈夫だったろうか。

ミクロマンコマンドって発売開始が1977年ですぜ。うむー、おいら的には意外と近い年代というか。世の中は山口百恵とかピンクレディーとかそのあたりかな。ミクロマンで使われてた夜光塗料がほんとに放射性ラジウムだったんだとして、核アレルギーだったはずの日本人、こういうのを人知れずバンバン使ってたんだな。既成事実には感度が鈍くなるのが普通だしな。放射能もミクロマンも関係ないけど、冬場のスパイクタイヤも粉塵公害がどうのこうの言われながら、「スノータイヤより効くから」と誰も疑問に思わず使ってたしな。

てことで、放射性ラジウムはかつて、どうでもいいや級の管理体制で大々的に使われてたっぽいな。世田谷で瓶詰めの形で見つかったけど、ほかにもこういう事例がボロボロ出てきそうな気がするよ(2011.11.7 追記: 同じく世田谷のスーパーの駐車場の地中から、瓶入りラジウムが大量に出たね)。

銘板
2011.10.22 土曜
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まだ続くぞ あかりの進撃

今年5月に観測活動を終えた赤外線天文衛星 あかり。その使命は、赤外線での全天観測と指向観測。2006年の打ち上げ以来5年以上にわたって、膨大で高精度で広範囲なデータを人類にもたらした。

残してくれた観測データ量があまりにも多くて、あかりは もう止まったのに解析がまだまだ追いついてない。

てことで、またまた出ましたよ最新の研究成果が。読売新聞から

あかり20111022

134億年前…宇宙最初の星の光、世界初観測

137億年前の宇宙誕生から3億年後、宇宙で最初に誕生した星から放たれたと見られる光を観測することに、宇宙航空研究開発機構などの研究チームが世界で初めて成功した。

宇宙初期における星の誕生や宇宙の大規模構造の解明につながる成果で、11月1日の米科学誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に掲載される。

研究チームは赤外線天文衛星「あかり」を使い、近赤外光で空の明るさを詳しく観測した。その結果、これまでに知られている銀河や星の影響をすべて取り除いても、宇宙の背景の明るさに大きな「むら」が残ることが判明。これは宇宙で最初に生まれた第1世代の星の集団が存在していることを示しているという。

現在の宇宙には銀河が多く存在する場所と、あまり存在しない場所があり、「宇宙の大規模構造」と呼ばれている。研究を率いた松本敏雄・宇宙機構名誉教授は「最初の星が生まれたときにはすでに宇宙の大規模構造が出来ていたことがわかった」と話している。

(2011年10月22日16時19分 読売新聞)

なるほど。「最初の星が生まれたときにはすでに宇宙の大規模構造が出来ていたことがわかった」のかー(ただのおうむ返し)。

宇宙の大規模構造って、今は星で構成されてるわけで。もうちょっと正確には、星の集まりの銀河が銀河団を形成して、それが細胞壁みたいな感じのものを構成してる、と。「細胞壁」はあまりいい例えじゃないな。あたかも中に何かが詰まってるみたいなんで。天文学者は「泡構造」と呼んでるらしい。泡の集まりの膜面が銀河団、という感じで。泡だって中には空気が入ってるけど、そこは無視して、銀河の泡構造の中はほとんどカラッポのスカスカ状態ってことらしい。

んでこの構造が、最初の星が生まれる前からできてたってことですな。星が生まれる前ってことは、水素の分子かプラズマが漂ってたってことだと思う。その密度のムラムラが水素自身の重力で強調されて、場所によっては水素が凝縮されて恒星が生まれる。恒星ってのは重力源なわけで、恒星が寄り集まって銀河を作る。よくわからないダークマターを除くと、銀河が宇宙の主な重力源ってことになる。

重力は宇宙の支配的な力なのは分かるけど、そのメインプレイヤーが生まれる前から大規模構造がとっくにできあがってた、というのはおいらは意外だよ。

確かに、水素がばらけてようが集まってようが、「泡の壁」で捉えられるくらいの広域的な視点だと、質量は同じではあるけどさ。ていうか恒星の質量の一部は核融合反応でエネルギーに変わってしまうから、星ができてからだと質量は減る一方ですな。いやいや、なんかいろいろ間違えて覚えてたわ。その間違いが今日ようやく解除になったわ。なるほどなるほど。

あかり、ありがとうな。これからも自慢のデータでいろいろ教えてくんろ。

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2011.10.23 日曜
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仕込み疑惑の国士

超今さらネタだけど、元・海上保安庁職員のハンドルネーム "sengoku38" って実在するんか?

本当は創作された人物なんじゃないのか?

特定の人物が実在するんだとしても、その人は実はその役を演じてるんじゃないのか?

仕込みなんじゃないのか?

あのビデオの存在は公に認知されてた。閣僚だけがそれを見た。それなのになんだかはっきりしない政府公式発表。中国船の船長の、日本側のなんだかはっきりしない処遇と釈放。そんな流れに日本の世論は、「ビデオがあるんならきちんと公表しろ」という感じになってた。

政府内のジレンマと計略を勝手に想像:

こう考えると、すごくすっきりまとまる気がするんだが。流出のタイミングも、今思うと不自然なほどキマッてたしな。真相はどうかなんて今さらどうでもいい。どうせ立証不可なんだから。これに思い至ってしまった以上、sengoku38 さんがいくら自分で勝手にやった証拠とか証言を出しても、もうマユツバでしか受け止められんし。まぁ彼はもうマスコミに出てこなさそうだけど。

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2011.10.24 月曜
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ゼットだぜー

ZZ TOP ファンだってのに、この CM を今まで全然見たことなかった。

ゼットだぜ!

走ってるぜ!

光ってるぜ!

うっはーむしろビリー・ギボンスのギターの音が光ってるぜ。ZZ TOP のギターは違うよ。ピガーンってのがもう、ええ。単にファンだから違って聞こえるだけなのかもしんないけど、とりあえずおいらはたまんない。

あと埋め込みできない設定の動画で、こっちのバージョンは衣装が違うね。CM、2テイク撮ったんだなぁ。そしてあのアクションも見せてくれてるですよ。あれは1985年のアルバム "AFTERBURNER" からの曲の PV で出たんだよな。シンガー兼振り付け師ポーラ・アブドゥルによるものとかいう噂だけどよく分からん。来日してベストヒット USA にゲスト出演したとき、小林克也が腕を回すやつを教えてもらってたさ。「いいよ。基本料金だ」と。んでやったあと、「この由来は何なんだい?」「それは追加料金だ」「じゃ遠慮しとくよ」とww

あれから四半世紀とちょっと(しみじみ)。当時は特にファンじゃなかったけど、これで名前を覚えたっけ。その4年後、レンタル CD 屋をぶらぶらしてたら件のアルバムを見つけてしまって。「このジャケットの絵、なつかしーなー」と何の気なしにレンタルして、聴いておいら一発轟沈。

ZZ TOP、最近めっきり聴かなくなってしまったけど、今も変わらず愛してるぜっとだぜ。

銘板左端銘板銘板右端

けど肝心の CM で押してるホンダの Z のほうは、特にかっこいいと思わんかったりしてw

銘板
2011.10.25 火曜
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"Doubleback"

うっは! ZZ TOP の "Doubleback" PV 出てきたよ。これも初めて見た。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』の主題歌だったんですよ。西部劇のアレ。映画の中に ZZ TOP の3人が入り込んで、なんかいろいろ遊んじゃってるよww

この曲がまたかっこよくてなぁ。収録アルバム "RECYCLER" にはこんなガキーンとしたサウンドの曲がギッチリさ。

このアルバム、1985年の "AFTERBURNER" から6年ぶりくらいに出したやつで、初の CD リリースだったな(それまではレコード)。けど当時は CD に最適化されたサウンドエンジニアリングが確立されてなくて、このアルバムのときはレコード的に中音重視の音でな。けど元のサウンド自体がそのセッティングに合わせてあったんだと思う。とにかくシビレるわ。

その次に出したアルバムは "Antenna"。ワーナーから RCA に移籍した第一弾でさ、ここらへんからマニアックなサウンドを追うようになってきたりして。"Antenna" まではおいらはギリギリついて行けたけど。んで1993年発売の "Antenna" はさすがに CD のセッティングで音を作ってて、シャープにはなったけど軽くなっちまったかなーって気がしたな。なんとなくボーカルを強調したみたいなサウンドになってる気もして。このバンドのボーカルの重要度って、インストの各楽器パートと同じで最適なのになとか思ったり。

んでまぁレコードのセッティングで作った最後のアルバム "RECYCLER" らしいサウンドの "Doubleback"、ええですなーええですなー。

PV のほうは、1983年のアルバム "ELIMINATOR" からずっと続く路線ですな。ZZ TOP の面々はエンジェルというか妖精というかの役で、コメディタッチなストーリーを見守ったり、登場人物に茶々入れたりとw 映画本来の登場人物、マーティ、ドク、マッドドッグ・タネンと見事にシンクロww

ああーもうあの映画シリーズもほんと楽しかったなぁ。当時の八戸の古い映画館で ZZ TOP を聴けてこれまた嬉しかったし。ちなみにメンバーの3人、パーティバンドの役で特別出演もしてるよ。登場人物たちのダンス場面でかかる曲が "Doubleback" のカントリーアレンジだったりする。

銘板左端銘板銘板右端

そういや『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』でマーティが行った「30年後の世界」って、基点が1985年なもんだから、2015年なんだよね。あとたったの4年なんだよね。クルマは空を飛びそうにないなぁ。あの頃は、そんな先の未来ならほんとに飛んでるかもなとか、かなり信じてたのにな。

んで2011年時点での(アメリカは知らんけどとりあえず日本での)クルマ事情といえば、格好良さより低燃費だもん。息が詰まるよ。見た目の個性もなくなって、どのクルマも同じに見えるしな。そんで「売れない売れない」言ってるんだもん。だったらカッコイイ低燃費にすりゃいいだろっての。

メーカーさんは過去からもちゃんと学べよな。70〜90年代はいろんな見栄えのクルマがあって面白かったぞ。あの時代を振り返って、ていうかもっともっと前のクラシックカーの時代まで振り返って、クルマの何がどうかっこいいのかもっぺんおさらいしてみてはいかがでしょう、と。まさに ♪Doubleback again ですな。仕方なく買うようなどうでもいいクルマじゃなく、「欲しい!」と思わせるクルマにするヒントがたくさん見つかるはずだよ。

むしろ今のクルマのルックスより、旧東ドイツのトラバントのほうが魅力的だわ。

トラバント1
トラバント2

いかにも「じどうしゃ」って感じがカワイイw

銘板
2011.10.26 水曜
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1年プロジェクト

今年の正月休みから始めた極秘(というわけでもない)プロジェクト、一区切りついた。

それは、3D モデリング・レンダリングのフリーソフト "Art of Illusion" のオンライン説明書の野良和訳(本家に許可取ってない)。すげー長かった。いったんサボると何カ月も放置しちまうもんなんだよなぁ。それでも(ときどき)根性出して、ようやく1周できた。

でもまだ未公開。ラフの段階なんで。はーこれからは校正ですなぁ。あからさまな誤訳やスッ飛ばしがいろいろ出てきそう。眠くてモーローとしながら進めたりしてたもんで。

目標は今年中のリリースだけど、あまりにも膨大でこれが。もともとは2月一杯あたりまでとか思ってたのに。

んで早速先頭ページから校正に入ってるけど、んー、画像内の英語も日本語に直したくなってきた。ここまで直さんと和訳の意味がないもんな。

銘板
2011.10.27 木曜
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Script-FU 難

やっとだ。やっとできた。GIMP でのドロップシャドウ。

すぐできると思ったのに、できるように設定するまでイバラの道でしたですよ。忘れる前に書いとこう。

  1. まずやり方をググりますわな。コチラのブログ様がご説明くださった。
  2. しかし「Script-FU → 影 → 影付け」なるものは、おいらの環境に存在しない。
  3. さらにググる。どうやらスクリプトを拾ってインストールしなきゃなんないらしい。
  4. こちらのサイト様で、Mac でのやり方を教えていただいた。
  5. しかしその「配布サイト」なるものがどこか分からない。できれば日本語サイトからいただきたい。
  6. こちらがそれっぽい。ダウンロードしてインストールしてみた。
  7. そこにファイルを置く。スクリプトをリフレッシュさせたけどどうも気持ち悪いんで、GIMP を再起動。
  8. Script-FU にたくさんいろいろなものが入った。けどドロップシャドウがない。探し直し。
  9. GIMP 公式サイト(英語)の GIMP Plugin Registry でついに発見。
  10. ダウンロードしてさっきのやり方どおりにインストールしたけど、メニューに出ない。
  11. 悩むことしばし。
  12. .scm 書類の置き場所がもうひとつあることに思い当たった。
  13. ままよとそこにファイルを置く。スクリプトをリフレッシュさせたけどどうも気持ち悪いんで、GIMP を再起動。
  14. やっと出てきた。"Script-FU → Layer Effects → Drop Shadow..."。キターーーー!!
GIMP ドロップシャドウ設定
  1. 早速やってみると、エラー表示。
  2. エラーログでググって放浪。それっぽい質問とよく分からない回答を最後までしげしげと熟読すること40分。
  3. 5個めくらいで、何を言ってるのかようやくおぼろげに見えてきた。
  4. ubuntu の Q&A が決め手。どうもレイヤーの名前は半角英数じゃないといけないらしい。
  5. 祈るような気持ちで、というよりモロに祈りながら実行。
  6. やっとキターーーーーーーーーー!!
GIMP ドロップシャドウ結果

長かった。たったこれだけやるのに丸々3時間かかった orz

Script-FU は初めていじったわー。何からどう手を付けていいか分からんくて、ずっと触ったことさえなくて。今日の道すがら、自作 Script-Fu の道場を見つけたよ。公式サイトの翻訳らしい。なんか言語が今まで見たことない感じで、いきなり尻込み中。スクリプトが完成したら、テキストファイルのまま拡張子 ".scm" をつけて所定のフォルダに突っ込んどくだけみたいだから、周辺の取り回しはラクそうだけどなぁ。

銘板
2011.10.28 金曜
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マスコミの恨みは恐ろしい その1

なんか、映画『はやぶさ/HAYABUSA』の中傷記事が出とるな。ゲンダイネット記事を excite が掲載

大気圏の彼方に吹き飛んだ映画「はやぶさ」

2011年10月28日 10時00分

小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還を描いた竹内結子主演の映画「はやぶさ」が大コケしている。10月1日に公開され、興行ランキングでは5位スタート。その後も7位、9位と下降の一途である。

「もはや打ち切りも時間の問題。宣伝費などを考えれば最低でも10億円に届かないと赤字ですが、興収は5、6億円の見込みです」(映画関係者)

はやぶさ帰還は日本中が熱狂した一大イベントだった。なぜ映画はコケてしまったのか。映画批評家の前田有一氏はこういう。

「『プロジェクトX』のような重厚な人間ドラマを期待していましたが、まったくの期待外れ。突貫工事で映画を作ったため、全体的に作りが粗いのです。そもそも竹内の役柄は架空のオリジナルキャラで、はやぶさ帰還とは関係がない。いてもいなくてもいい存在という設定だからガックリです。しかも、無理にコミカルに演じようとして失敗している。もう一つ、唖然としたのは、CGのはやぶさがアニメ声で“僕は今ここにいるよ”“なんだか力が出なくなっちゃった。みんなの声が聞きたいよ”なんてふうにしゃべり出したこと。せっかくの美談が漫画チックな駄作になってしまいました」

トンデモ映画の仲間入りは避けられそうもないが、はやぶさ関連の作品は今後も控えている。第2弾は渡辺謙主演で来年2月に公開の映画「小惑星探査機はやぶさ−遥かなる帰還−」(仮題)、第3弾は藤原竜也主演で来年3月に公開の3D映画「おかえり、はやぶさ」だ。こちらは期待できるか。

どこからどうツッコんでほしいんだ?

まず、映画の興行的成功と作品的成功は別物。ここは混同しちゃいかんだろ。興行的成功は、カネかけた前宣伝がどれだけ効果を上げるかにかかってる。映画の興行期間は限られてる。成績が伸びなきゃ縮められもする。てことで、出だしで稼ぐ必要がある。出だしってことは、世の中の多くの人たちがまだ作品を観てない状態ってこと。作品そのものの売りや魅力がまだ知られてないからこそ知らせるわけで、順番的に、作品自体の評判を期待できないってこと(試写の評判は使えるが)。しかも次の週末には別な映画が派手に売り込みをかけるから、興行的成功には最初の1週間が勝負ってこと。

公開前に観賞といえば試写会があるね。これは2種類ある。ひとつは、ある企業が自社宣伝の媒体に使う、というもの。その試写会に自社の名前を冠したりして葉書とかで参加者を公募。企業は上映コストを負担する代わり、応募してくれた人たち、試写会に来てくれた人たちに自社の宣伝をする。参加者募集の CM を流すことでも宣伝になるし。その映画に出資した会社がやるのが一般的らしい。

もうひとつは配給会社自らが行う試写会。これは明らかに映画の宣伝目的。有名人を招待して鑑賞してもらって、彼らとは別に呼んだ取材陣にその感想を語ってもらう。招待された人たちの言う感想は恐らく、映画の広報担当が作った台本を読んでるだけだと思う。最近は話題集めの芸能イベントの色合いが強くなって、その席で芸能人や芸人にいろいろさせたりってのも多い。

ここらへんはすべて、興行的成功のための宣伝ですな。

ゲンダイネットの記事が正しいんだとしたら、この映画は興行的にあんましよろしくなかったってことらしい。

おいらが観たのは公開初日と10日後(月曜・体育の日)の2回。初日の大入りは当たり前として、まー確かに2回めの客入りはあんましよろしくなかった。けっこう正しいかも。と思いきや、10日に東京在住の友だちが観に行ったら、ほぼ満員でいい席が取れなかったそうな。

とりあえず人口が少ない地方じゃ、その作品を観たい客が一巡するのが早い。人気作の客入りが引けるのが早い。東京はその真逆。という違いはあるね。どっちがより実情に即してるのかは分からんが、10日の時点での八戸での客入りは席数の2割くらいで、危険なほど少ないってわけじゃなかった。つーかおいらの感触だと10億いけそうかどうかは分からんけど、5,6億ってことはなさそうに思うが。

そんなわけで、興行が振るわないとしても作品内容がクズだからとは限らない。

今度は作品的成功について。この作品、内容は成功してるだろ。すげーよかったよ。だからおいら2回観た。

2回観ると、ドラマ部分が沁みてきたさ。主人公は、プロ集団の はやぶさ 運用チーム内じゃ技術や運用の中核メンバーってわけじゃないけど、無視されてるわけでもなく、皆にかわいがられてる。実在の公式絵本『はやぶさ君の大冒険』の筆者として貢献もしてる。決して「はやぶさ帰還とは関係がない。いてもいなくてもいい存在」ではない。批評家さんのコメントは完全な言いがかりですな。

つーか彼女の専門は惑星物理学。はやぶさ チームは工学の人たちの集まりとして描かれてるから、映画では理学畑は丸ごと脇役の扱い。その中で彼女だけ特別に、話の中心に据えられてると。んで最後に自分の専門で、はやぶさ の成果で、観客の期待どおりの結末を見せてくれる。理学の専門が絡むから はやぶさ プロジェクトに加わるようになった設定とはいえ、宇宙探査の現場をよく分かってない一般人代表、つまり観客の視点の位置づけでもある。題材自体が相当にマニアックなんで、「橋渡し役」のキャラ作りは妥当だと思うよ。それでもその方針を好むかどうかは客によるわけで、おいらは個人的にそれを気に入った、批評家さんはきっと個人的に気に食わなかったんだろ、ということでひとつ。

そもそも「『プロジェクトX』のような重厚な人間ドラマを期待していましたが、まったくの期待外れ」ってその時点で既に個人の勝手。競合の各作品の公式サイトや予告編を見るに、その方向で期待できそうなのは東映の『はやぶさ 遥かなる帰還』ですな。批評家さんの単純な勘違いですな。

「無理にコミカルに演じようとして失敗」も本当にそうだろうか。おいらが観た2回とも、コミカルな場面でおいらはクスクス笑ってしまったが。ほかの席からもクスクス、プフッと笑い声が聞こえてきたが。この批評家さんはよっぽど凄まじいギャグじゃないと笑ってくんないような、気難しい人なのかもねぇ。つか、西田敏行演じる的場先生が漁協で説明する場面、オチでおいらも居合わせた他の観客も爆笑したぞ。

この批評家の致命的誤解は続く。「もう一つ、唖然としたのは、CGのはやぶさが(中略)しゃべり出したこと」

……、

……、

……。

実在の公式絵本『はやぶさ君の冒険日誌』を描いてる主人公が「はやぶさ君」の声を代弁する、という演出なんだが。しかもアニメ声ではなく、主演の竹内結子の声なんだが。作品は正直なとこ、その事実をまったく知らない観客にとってはそこをあまり読みやすい造りではなかった。けどまったく読めない造りでもない。そしてこの批評家はまったく読み取れなかったというだけ。自らの職務能力の致命的欠陥を、自分でバラしたというだけ。

実際の公式絵本では、「僕は今ここにいるよ」「みんなの声が聞きたいよ」という記述はないみたいだけど、確か はやぶさ 公式 Twitter ではそういうつぶやきがあったと思う。膨大なログがあって、しかもまだ更新が続いてる公式 Twitter から探し出すのは至難の業だけど、予告編にも出てる「みんな、ただいま!!」は ちゃんと実在するぞ。ここらへんリアルで はやぶさ の広報担当者がやってたわけ。んで映画の主人公はまさに はやぶさ の広報担当者なわけだが。

批評家さんも記者さんも、仕事が粗末だけど大丈夫か?

自称批評家のいいかげんな発言を根拠に、記事はこの映画を「トンデモ映画」と断じてるわけだが、むしろトンデモ記事ですな。『はやぶさ/HAYABUSA』の関係者はくだらぬやっかみを華麗にスルーしていただき、作品に自信と誇りを持っていただきたい。

おっと書き忘れるところだった。おいらが2回目に鑑賞したとき、観客席から拍手が沸き起こったよ(おいらの自演ではなく)。東北の最奥部の青森県八戸市にはシャイな人が多いんで、めったにお目にかかれない光景で。おいらも望むところだったんで、一緒にスクリーンに向かって拍手したよ。

てことで、今回の一見意味不明な記事から導かれる推測。

記事としてどうしようもないレベルのものをこうして現実に垂れ流せるのは、上に書いたカラクリが作用してのことかと思う。この場において、日刊ゲンダイこそ「はやぶさ映画とは関係がない。いてもいなくてもいい存在」。外野で一人相撲の様相を呈しとりますな。はやぶさ に対する、そして映画に対する愛もないくせに、下手に知ったかぶるからこんな惨めなことになる。

こんなことしてると週刊誌やマスコミ全体、それに映画批評も信頼を失うと思うんだが、大丈夫なのか?

ということで、日刊ゲンダイ御中に平にお願い申し上げます。私はボランティアでですが、地元で映画のレビューを書いています。全国に影響を及ぼすプロにこのような異常な仕事をされると、こちらの仕事の信用まで影響を受ける恐れがあり非常に迷惑です。今回の件について私への謝罪も賠償も不要ですが、以下の言葉「映画業界、作品、観客を無駄に傷つける軽率な行為は厳に慎めバーロー!」を正面からお受け止めください。それだけで結構でございます。

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ていうか YAHOO! 映画に寄せられた一般観客の感想、投稿数がかなりあるし、評判もけっこういいみたいだね。『はやぶさ/HAYABUSA』は不人気で出来も悪いというゲンダイネットの記事、やっぱり最初から最後まで全部ウソだろ。

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おいらとしてあの映画へのツッコミといえば、はやぶさ ファンの子供(蛭子能収の役柄の孫)がタイムスパン7年間以上でまったく成長しないってことくらいかなw 実は黒澤明の『影武者』も同じことやらかしてるww

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2011.10.29 土曜
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マスコミの恨みは恐ろしい その2

昨日は日刊ゲンダイの中傷記事を「外野で一人相撲」と断じたけど、実はそれで済んでないんだよね。これを鵜呑みにする人たちが確実に出てきてて。2ちゃんねるのまとめサイト『痛いニュース』の該当記事「竹内結子主演の映画「はやぶさ」大コケ はやぶさが喋りだす演出に観客呆然」でもどうぞ。

まーそんな惨状で。惨状ってのは、ウソ記事に釣られまくりの人続出的な意味で。

やっぱ有名な媒体が言ってることって、基本、信じちゃうもんなぁ。そのトピックにもともと詳しくないとなおさら。詳しくないからこそ記事に頼るわけで、マスコミの説得力ってかなり危険なんだね。これが実例ってことで。もっとメジャーな媒体だと、流行ってもいない韓流アイドルを「流行ってる」と持ち上げたりとか実際にやってるしな。デビュー前から大人気って明らかに不自然なのにな。

おいらも新聞記事なんか鵜呑み前提で読んでたりする。気をつけんとなぁ。具体的にどう気をつけるのか不明だけど。

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映画『七人の侍』も封切り当時、あまりの大人気にやっかんだのか、はたまたライバル映画会社からの刺客だったのか、なんとかケチ付けようと無駄にがんばった批評家がいたらしい。んで「『バカ』『クソ』などの聞き苦しいセリフがあった」とかいう本当にどうでもいいところを必死にあげつらってたらしい。

リアル指向の時代劇にケチつけるなら、おいらはひとつツッコミどころがあるけど。「現代語で喋ってる」と。まー当時の日本語で語られてもわかんないから、ニュアンスまで伝わる現代語で全然いいんだけど。

ちなみに黒澤時代劇はリアル指向だと思われがちだけど、実はそういうわけではなかったりする。見栄えをそれっぽくこだわるのは定評だけど、その時代になかったものとかを入れたりして、けっこうウソついてたりする。学術的な再現ドキュメンタリー映像じゃなく商業フィクション映画だからな。それっぽい見栄えでの説得力でそのあたりのウソを観客に信じさせる、という流れで。そのうちのいくつかは、宮崎駿との対談「何が映画か」で自分でバラしてるよ。

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2011.10.30 日曜
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レーザーディスクは何者だ

もう完全に過ぎ去った技術について、ちょっとギモンに思ったことがあって。

レーザーディスク(LD)の両面記録形式の処理のことで。

LD って CD から派生した技術だと思うけど、発想としては音楽レコードの影響を受けてたと思われ。直径 30cm のサイズと両面に記録の形式で。

LD は DVD より画質が劣る(=データ量が少ない)とはいえ、データ圧縮なしだったんで、1本の映画をあのサイズで片面で収めるのは無理だった。それで両面記録形式になった。これって映画好きにはあまり評判が良くなかったんだわ。映画って基本、最初から最後までぶっ続けで見るものだからさ、真ん中でブッツリ切られるのってイヤでな。マニア度が高くなればなるほどその不満は大きくなりそう。

プレイヤーは大抵モニターのすぐ近くに置くから、いきなり映像が途切れると、そこまで歩いていって LD を取り出して、ひっくり返して入れ直さなきゃなくなかった。これで、VHS ビデオに対しての画質・音質面でのアドバンテージが台無しになってたと思う。

おいら自分じゃ LD もプレイヤーも持ってなかったから、その不便さは実感したことなかったけど、何かの折にその場に遭遇したことがあったよ。んで「やっぱしそうなんだ。思ったとおり不便だなー」と直感の正しさを実感したですよ。

そこらはメーカーもよく心得てた。初期や廉価モデルはそんな不便をかこってたけど、たぶん「意外と問題とされないかも」と見切り発車したんだと思う。けど案の定そこをツッコまれたんで、あとからそこを対策した製品が出てきた。読み取り部分(ピックアップ)のレールが LD を挟むような U 字型になってて、A 面の最後まで行くと、B 面の頭まで自動で移動するという形で。

この使い心地はおいら知らんし、評判も聞いたことがない。けどちょっと面倒な仕組みなんで、耐用年数的に厳しかったんじゃないかなと思って。レールが曲がってるってのにどうも無理を感じて。しかもけっこうアールが小さいし。あとやっぱしちょっとだけ、つなぎ替えのタイムラグがあったんじゃないかな。映画マニアの感覚だと、それもちょっと許せる範囲ではないな。マニアってほどでなけりゃ、手間が大幅に減るから「買い」かもしんなかったけど。

今の発想なら、ピックアップは先読みしてメモリに情報を溜めとくことにすればシームレスでつなげられるけど、この製品が出てたのはバブル崩壊直後あたり。メモリは小容量のうえにめちゃめちゃ高かったはず。映像情報の保持は難しかったんじゃないかな。ポータブル CD プレイヤーの音飛び防止対策としては使われてたと思うけど、音だけなら映像より情報量が小さいから行けたんじゃないかと。映像って実際は動画像+音声だから、情報量が膨大になるわけで。

LD が次世代の映像ディスクメディア(DVD でしたな)を待てずに VHS ビデオに負けてしまったのは、このあたりの処理に失敗した面もあったんじゃないかと。まあビデオテープとは別ものだから、競合と考えるのはちょっと違うかもしんないけど、映画鑑賞については完全に負けた感じだね。録画できないし、戦略としてレンタルを禁止にしたのも裏目に出たろうし。頭出しが速いことと巻き戻しが要らないことをもっと売り込めばよかったのに。

でさ、ほんと今さらだけど、ひとつ思いついて。

ピックアップを2つにすればよかったんじゃね? A 面専用と B 面専用で。

もし CD 用のピックアップと共通だったなら、数がさばけてて相当安くなってたはず。LD のピックアップが LD 専用だったとしても、製品1台につきピックアップ1個+専用 U 型レールドライブ1本よりも、ピックアップ2個+直線レールドライブ2本のほうがまとめ買い効果で安く上がったような気もするが。そしてつなぎ替えのタイムラグも、メモリなしでもゼロを達成できたんじゃないかと。

……、

……、

……。

もしかして、それでもゼロ秒つなぎ替えは無理だったかな? ディスクを逆回転させなきゃなんなかった? そこらどうなのか分からんけど、そこにレコードの影響があるなら、どうしてもそうなりますな。LD って確か、両面ってことで CD より厚みがあったと思った。そしてあの直径。回転慣性がかなりあるわけで、いきなりガキーンと止めてガキーンと逆回転って難しいような。

1方向に回しっぱなしでいいならそんな心配も要らんけど、LD の規格ができたあたりだと、まだそこまで考えてなかったような感じもある。だったら最初の製品からシームレスつなぎ替えができていいはずだし。

LD ってどうも、考えるといろいろと煮詰めが足りない規格だった気がする。映画の二次利用需要(一次利用は劇場公開)で VHS に負けてしまったあとは、オタク系(画質へのこだわりが LD を必要としたんじゃないかと)とカラオケ(曲の頭出しが速かったのと人気曲ヘビロテでの耐久性が買われたと思う)というニッチに見いだしたけど、市場が小さいうえ、どっちも LD がそう長く使われそうでもなかったしな。どこをどうしても中途半端な感じになっちゃうな。とりあえず利用者はそれでその時代に恩恵を受けたはずなんで、無駄ではなかったはずだけど。

光ディスク映像媒体は LD の自然消滅でいったん途絶えたけど、はるかに便利で高画質な DVD が出てきてくれたのはよかった。CD により似てるから、PC の外部メディアにもなったし。LD もそうなればよかったけど、

  1. 情報革命が始まる時代まで生き残れなかった
  2. 直径 30cm はでかすぎ
  3. 3. 両面記録形式は再生が面倒

の三重苦じゃなぁ……。DVD も規格策定段階で両面形式を推すメーカー陣営があったけど、ボツになったみたいで何より。つか DVD のサイズで両面っつうと、ディスク上にタイトルや作品情報を視覚的に表記する場所がほとんどなくなるよな。DVD-R とかで、マジックで無造作にでっかく書き込むっつう技もできなくなるとこだったw

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LD が唯一勝てた規格競争で、VHD というライバルがあった。あれはほんと出た瞬間から勝負ありな感じだったよ。VHD の「接触式」という旧時代的なデメリットを、LD 陣営はとにかく叩いた。そして、それに対して VHD が提示できたメリットは「3D 映画を再生できる」。

これは勝負にならんわ。一応その時期、映画『ジョーズ 3D』が VHD でソフト化されたけど、3D 映画の新作は以降、2009年になるまでほとんど登場しなかった。

西暦で末尾にゼロが付く年の前後は 3D ブームが来るとされてるらしい。約10年周期ですな。確かに1992年頃に 3D ブームが来たけど、ステレオ写真とコンピュータで作ったドット絵を見るやつだけで、動画像ではブームは見事に空振りだったよ。そして VHD はその頃既に、ほとんど死に絶えてた。

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そこらへんの時代の徒花的規格じゃ、オーディオ分野で DAT もあったな。あれはどういう道を辿って消滅したんだろ。LD みたいに小さく短くとも、自らの幸せな楽園を築けたろうか。

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2011.10.31 月曜
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再開のカーゴ便

ロシアの宇宙貨物機プログレス、今度は打ち上げに成功したみたいだね (^▽^;) ホッ アストロアーツの記事から。

宇宙ステーション補給機「プログレス」、無事再開

【2011年10月31日 JAXA/NASA】

30日、ロシアの宇宙ステーション補給機「プログレス」45号機がカザフスタンより打ち上げられた。8月に打ち上げに失敗していたが、無事の再開となった。

10月30日午後4時11分(現地時間。日本時間同日午後7時11分)、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を補給するロシアのプログレス(45P)が、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。数分後には正常に軌道に乗り、11月2日のISSとのドッキングに向け飛行中だ。

今回の打ち上げは、8月24日の同補給機(44P)の打ち上げ失敗以来初となる。プログレスを打ち上げるソユーズロケットは、ISS滞在員が乗る宇宙船を打ち上げるものとは違う型とはいえ、不具合が特定された部分が共通設計ということもあり、ISS滞在計画への影響が懸念されていた。だが今回の45Pの打ち上げ成功で、有人船再開への条件が整ったといえそうだ。

ソユーズ宇宙船の打ち上げ再開は11月13日に予定されている。今年6月10日からISSに滞在中の古川聡宇宙飛行士は、この再開便で到着するクルーと入れ替わりに同船に乗りこみ、11月22日に地上に帰還する予定となっている。

意外に早い復帰でよかったよ。2カ月ちょいしか経ってないけど、ロシアのロケットはいつもこのくらいのペースで回復しちゃうんだろうか。日本やアメリカだと2年はかかるぞ。それとも長年使ってる枯れたロケットだから、原因特定と修復が早いんだろうか。

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