ひとりごちるゆんず 2009年10月
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2009.10.1 木曜
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言ってること≠やってること

またですよ。先月の日記ファイル、8月ぶんを微妙に抜いてまた2位を更新。

歴代ファイル容量2009年10月

これじゃあ日記が遅れるわけだわ。9月中に実際の日付にとうとう追いつくという悲願を達成したのに、ええとこのログの日付が10月1日で? 今日何日だっけ?

……10月15日 orz

元の木阿弥 OTZ

最近はロケット関係のネタが多くて、ついついアツくそしてダラダラと語ってしまってるなぁ。

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2009.10.2 金曜
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喪失のフラグシップメニュー

最近の定番のスペシャルごちそうメニューって何だろ。

みんながその名前を知ってるけど、高くてめったに食えなくて、庶民レベルじゃ食べたことない人がけっこういて、あやふやな脳内イメージを膨らまして「きっとうまいんだろうなぁ」と妄想するだけでよだれが出てくる的な。

とりあえず寿司は高級だけど、スーパーで売ってるしな。うなぎもスーパーで買える。てことはそこまで値崩れしたってこと。フランス料理も昔から高級料理の定番だけど、あまりにも縁がなさすぎて具体的にどんな料理なのか想像もつかなかったりして。とりあえずおいらはそうだな。いやもうワインとフランスパンしか思い浮かばん。全然高級っぽくないや。

もしかして今の日本人からは、そういう「コレときたらアレ」な、断トツにありがたい高級料理ってなくなってしまったんじゃないのかな、と思って。そーだフカヒレスープがあった。けどこれって正道な高級ものであるのと同時に、「ここから先は修羅のグルメ道」(ゲテモノ的な意味で)の境目の標識みたいな感じがするけど、皆さんはどうなんでしょ。

「今の日本人」と書いたのは、かつての日本人にはそういうツーカーな憧れの高級メニューがはっきりとあったからなんですよ。80年代半ばあたりまでは、食の唯一絶対かつ全能の神とでも言わんばかりの圧倒的な威光を放ってた。

それは「ビーフステーキ」。

略して「ビフテキ」。

ビフテキ

もうなんてーの、単純さゆえの強力な説得力と言うか。肉だよ肉。肉の中で断然高級だった牛の肉を、ベロッと切ってそのまんま焼くんだよ。それを自分でナイフで切って、フォークで突き刺して食うんだよ。この分かりやすさと野趣。そして容赦なく値も張った……らしい(いくらくらいか覚えてない。マジで縁がなかったんで)。バブルで富貴の味を知る前の、各方面で何かとストイックだった当時の日本の庶民生活じゃ、まさに贅沢の代名詞みたいなもんじゃったよ。

それがさ、そのあたりにアメリカから政治圧力がかかってさ。牛肉とオレンジの輸入自由化。なんでまたその2品目なのかよく分からんかったけどともかくごり押しされて(他にもハイテク製品関係でいろいろ押し付けられた)。冷戦の状況下、アメリカの核の傘の下で繁栄してた日本だもんで、親方には逆らえなくて条件を呑みますわな。てことで、安い外国産の肉がドバドバ輸入されてきた。我らが憧れのビフテキはあっという間に値崩れ。けど実はこれで一番得したのはアメリカじゃなく、オーストラリアの牛肉屋さんだったらしいw

うちでも一度、母親がスーパーで買ってきて焼いてくれたことがあった。おいらの生涯においての初ビフテキだったんだけど、いや、意外と大してうまいってわけじゃなくてがっかりだったよ。その後もブランド牛の本場でステーキを食えたことも何回かあったんだけど、感激するほどでもなくてなぁ。

この輸入自由化で日本人は、国内産と外国産の牛肉を初めて食べ比べられることになった。このあたり、「外国の安い牛肉が来たら国内の酪農業は壊滅だ」と関係者の方々は戦々恐々だったけど、その食べ比べで日本の牛肉の方がはるかにうまいことが判明。ブランド化にうまく成功した地域は、逆に味と高価さを武器に、直後に到来したバブル景気を謳歌、さらに世界に打って出るまでになった。まぁその波に乗れなくて廃業した地域もあったけど、トータルとして日本の牛肉は高級化路線で生き残った。

オレンジの方も、はじめのうちはバレンシアだとかが出回りはしたものの、結局国内産のミカンにあっさり撃退されちまって。輸入オレンジは濃縮還元ジュースの原料くらいにしか活路を見出せなかったんじゃないかな。あの自由化要求、アメリカにとってはちょいとほろ苦い結末になってしまったんじゃないかと。

オートバイはちょうど逆だね。アメリカの国内市場はすっかり日本製に占拠されてしまって、尻に火がついたハーレーダビッドソンは思い切って高級化を断行。「ハーレーでなければ」という客層を掴んでブランドを確立して、不動の地位を得るのに成功したよね。

ビフテキってそういえば、かなり長いこと日本人の憧れメニューだったっぽい。1954年公開の『七人の侍』について、監督黒澤明は「日本映画はお茶漬けサラサラでしょ。この映画ではビフテキにウナギを乗せてバターを塗ったようなものにしたかった」なんてことを語ってたそうな。牛肉とウナギとバターが合うかどうかは別として (^^;)、80年代半ばまでビフテキの威光は輝き続けたんで、その君臨の歴史は30年は下らないってとこでしょか。

しかしまぁ長きにわたって日本人の憧れを引き寄せ続けた魅惑の料理も、ほとんど一瞬で人気が失墜してしまいましたな。輸入自由化の値崩れで高級感が消えた上に、皆がその本当の味を「こんなもんか」と知ってしまって。しかもバブル以来のグルメ人気で、世の中にはもっと素晴らしい美食がいくらでもあることが知れ渡ってしまって。

その頃を思うと意外なのが、それで日本料理が再発見されたってことなんじゃないかと。日本文化の価値は常に外国人に先に発見されるっつう法則があるけど、これに限っては日本人自身での再評価の方が早かったと思う。そんで今やフランス料理と並ぶ、世界の高級料理だし。あ、もしかしてその原動力になったのって『美味しんぼ』なんじゃないかって気がしてきた。バブルのあたりにアニメ化されて大人気だったからなぁ。おいらあの課長のモノマネ得意だよ。「やーまーおーかーくーん!」

そんなこんなで、日本の舌は憧れのフラグシップを失ってしまった。かつての王様は実は裸の王様で、しかも幸せの青い鳥は自分の家にいたってことで。自分が欲しいものを得るためにオズの魔法使いに会ってみたら、そいつはとんだ一杯食わせ者で、気がついたら欲しいものはもう自分の中にあったってことで。

なんだハッピーエンドじゃないですか。めでたしめでたしじゃないですか。

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2009.10.3 土曜
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とりあえず写真で間を持たす 1 - 妖精がいそうな水たまり

ま、手抜きっちゃ手抜きです。日記が遅れてるんで、撮りためた風景写真でお茶を濁そうかな、と。

妙にキレイな水たまり

こういう風景に遭遇できるんなら、梅雨もいいやね。けどこの日はちょいと歩いただけで汗ダクダク。運動不足だしさ。

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2009.10.4 日曜
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とりあえず写真で間を持たす 2 - エスカレーターはエスカレーション

あとさ、JR 上野駅のエスカレーターがなんだかひどいことになってて。

エスカレーター手すり@上野駅

ぶれちゃったけど、手すりに「手すりにおつかまりください」と大書。80年代のアメリカの後を追って、企業や売り手に対してイチャモン訴訟で一儲けしようって社会、あるいは嫌なことがあったらとりあえず他のやつのせいにして、責任者をでっち上げてでも特定して血祭りに上げようって社会になりつつある我が国。

そしてそんなゴネ得が通ると消費者にばれてしまったんで、悪用しようとするやつらがうじゃうじゃ出てきましたですな。それを受けて、消費者重視という名目での企業による暴走的自己防衛は今日も止まらない。で、この野暮な大書が現実になってしまった。もうどっちかが音を上げるまで止まれない、まさにチキンレースの様相を呈してきましたですな。

今どきエスカレーターの手すりを手すりだと分からんやつなんかいるんだろか。手すりにつかまらなきゃ、もしものときに怪我しちゃう可能性を想像できんやつなんているんだろか。そんな状況でもし明らかに自分の間抜けで怪我したとして、そのことで JR 東日本やエレベーターのメーカーにクレームを付けるのがどんだけみっともないことなのか、考えないもんなんだろか。

そういう人って、自宅の階段で転んだら大工さんや建設会社に文句付けるのかなぁ。

とかエラソーにゴタクを並べつつ、この写真撮るときはおいら手すりにつかまってなかったわ (^_^;)>

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2009.10.5 月曜
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とりあえず写真で間を持たす 3 - 立体アジサイ

超久々のケータイ立体写真だす。6月に撮ってたんだけどさ。で、梅雨ってことでアジサイ。下の写真をクリックすると立体写真ページに飛びます飛びます。

立体アジサイへのボタン

いや、なんか普段おいらが見るアジサイとは花びらがなんだか違ってるんだけど、アジサイっぽいからきっとアジサイの一種なんじゃないかと。ほら、色もそれっぽいし(汗)

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2009.10.6 火曜
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とりあえず写真で間を持たす 4 - 信号機ブルース

ほんとしょうもない発見。警視庁と青森県警とじゃ、信号機のメーカーが違うらしい。上が東京で撮った信号機。下がうちの近所の信号機。

東京の信号機
八戸の信号機

ボディのデザインがなんだか違いますな。あと、ランプの間の距離も、東京の方が少し広い気がする。

まぁどっちも白熱灯の旧型機種だから、ほんとどうでいいんだけどさ。ていうか八戸の信号、なんで点灯してないんだろ。ちょうど色が変わるところを撮っちゃったのかな。まぁそれもどうでもいいやw そのときちゃんと稼働してたしさ。

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2009.10.7 水曜
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とりあえず写真で間を持たす 5 - 地鳴りのような2号

あとまぁ秋葉原の駅に行ったらですね、

アイちゃん(男)
ヤッターマン2号いらっしゃいました。

いやね、なんでかこのアイちゃん、男だったんですが。これがまたアカペラやったら担当の歌詞が「バルンバ」とか「ボブン」が合ってるみたいなすげー男らしいお声で。

けどヤッターマン2号のアイちゃんなんですよこれが。いやまぁどんな声の人が何を着ようと自由なんだけどさ。しかもアキバだしさ。

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2009.10.8 木曜
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とりあえず写真で間を持たす 6 - 阪本順治的タワーと空

阪本順治が大作監督になる前は、けっこう個性的な映画を作ってたのよね。最近はそれを封印するようになったけど。で、なんかこう、塔にこだわる傾向がある気がして。『トカレフ』(1994)、『ビリケン』(1996)、『傷だらけの天使』(1997) の3本でそう感じたってだけなんだけどさ。

んでまぁ真似してみたくなったわけじゃないけど、たまたまそういうのが7月31日に撮れたんで。

塔と青空

夏だってのにまるで秋みたいな空ですな。そういや今年は冷夏だったなー。

っつーかこの日から、ケータイの待ち受けずっとこの写真にしてるわー。

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2009.10.9 金曜
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「流行は繰り返す」の実例

「トレンカ」というらしい。女性向けの最新ファッションアイテム。脚のラインを綺麗に見せるそうで。ここしばらくすげー流行ってるレギンスの仲間っぽい。とりあえず画像をがめといた。

トレンカ

んでまぁこのまえ実物を見かけたんですけどね、着用して会社にいらした方がいて。で、おいらの感じだとレギンス以上に脚が綺麗に見えたですよ。ていうかその人もともと脚の線が綺麗だしな。

普段はファッションに見向きもしないおいらが、なんでまた今日に限ってこんな話題を出すかというと、いやいやちゃんと考えるところがあるんですよ(いつも通り超どーでもいいアレだけど)。

トレンカのデザインの発想って意外と古いよね、と思って。関連画像はコチラ↓

長嶋茂雄0
長嶋茂雄1

長嶋チョーさん現役時代の再現フィギュア。そしてズボンの裾から見えるそれはまぎれもなくトレンカ!!

いやほんとすんません (^_^;)>

野球のユニフォームの方は、正式には「アンダーソックス」というらしいです。トレンカはまぁ、たくし上がってシワやたるみが出ないように、かつ足首周りもセットでかっこよく見せるっつうことでこの形かと思う。けど野球のアンダーソックスはその存在意義がおいらまったく分からんです。

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2009.10.10 土曜
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ある解法

最近、ものの見方ごとにアウトプットがなんもかんも違うってのがちょいと気になってて。昔からよく言われてることではあるんだけどさ。

ひとつの事象でも、見る人の場所や立場や感性が違えば見え方がまったく違うってのはまぁ、アインシュタインの相対性理論でも黒澤明の『羅生門』でも言われてきましたわな。『羅生門』を挙げるなら、芥川龍之介の『薮の中』がそれを言ってたってことか。

この記事の最後を見たとき、「ああここにもそんなネタあったか」なんて思ったり。

「四角い頭を丸く、柔らかくしていきましょう」

意味はちゃんと分かる。「決まりきった筋道だけで考えていては新しいことを思いつけない。それを実現する柔軟な発想力を身に付けよう」ですな。んでまぁしょうもないと言えばしょうもないことだけど、「四角い頭を丸く」っつう、これまた昔からよく出てくる言い回しがちょいと気になって。図形全体を見たマクロな視点だと、この場合のこの視点は合点が行くわけ。けどそれは相手の意図を汲んであげた上での話。意地悪してミクロの視点で見るとこうなったりもする。

「丸いということは、図形の各部分が隣とまったく同じという画一の状態。人的組織の場合は、和が最重要ということになり、新しい発想、飛び抜けたアイディア、個人単位の独自の行動などはもってのほか。また物質で言うと、丸は表面張力が作り出す最も安定な形であり(シャポン玉や宇宙船内での水の玉など)、その物体が力学的に最も均質な状態である。状態維持には最も低いエネルギーで済むが、どこもまったく同じなので外部からは取り付きどころのない形でもある。つまり、守りに徹した、内部からも外部からも扱いに行き詰まりやすい形。一方、四角はとんがりがあるので、行き詰まった時はそこが突破口になる可能性がある。外部からの扱いも比較的容易」

あと、マクロ視点でもこんな見方ができる。

「四角は角と直線(平面)で構成されているので、外部からの扱いも比較的容易。加工成形の簡単さも、四角の方が有利」

てことで、見方によって評価なんかどうにでもなっちゃう。この記事はそれでも、さっさと読んで理解してもらうためにこの例えを使ってるんで、おいらの書いたことは意地悪にしかなってないんだけどさ。でもまぁこういうのをやたら使いたがる語り手ってけっこういてさ。そっちはどうも信用ならんなぁとか思っててさ。茶々入れないと気が済まなくて。おいらチキンだから、基本、心の中だけでするんだけどさ。

マクロとミクロで視点を変えればなんもかんも違う、というお題ならもうひとつ。

「地球の表面はのっぺりかデコボコか」

のっぺり
デコボコ

視点によるわけです。同じことは卵の殻でも言えるね。

けっこうさ、意見が噛み合ないってのは、こういうことなんじゃないかとか思ったり。同じものを見てるはずなのに、見方が違うから違うように見えてるってことにお互いが気付いていないってことなのかも。

相手に「それは違う」と言いたくなったとき、『本当に自分の考えだけが正しいのか?』と自問した方がいいような気がする。「この世知辛い世の中そんなんじゃやっていけん! 」という肉食な意見も場合によっては尊重するとしても、いつもそうだとは限らないんじゃないかと。確かにディベートするときなんかはこんな気の回し方は禁物かもしんないけどさ。いやいや、高度なディベートなら、そこまで読んだ上で勝ち方を探るんじゃないかとか。

ていうかそういう人たちって、自分のギスギスが周りを世知辛くしてる可能性、あるいは自分が勝手に世知辛いと思い込んでるだけの可能性については考えないもんなんでしょうかね。いやまぁそういう人が実際にいたもんだから。で、相手をギスギススパイラルに巻き込んじゃうんだよな。この、『バガボンド』で言うところの「殺し合いの螺旋」を降りるいい方法ってないもんかねぇ。

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2009.10.11 日曜
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「カムイ外伝」と "TAJOMARU"

映画ネタ。

今年の秋の新作映画は時代劇が花盛りですな。そのうち『カムイ外伝』と "TAJOMARU"を観たよ。

で、なんか興行と評価の両面で何かとこの2作品は比較されてるらしい。それによると、興行では『カムイ外伝』の圧勝、"TAJOMARU" の惨敗。評価は双方とも厳しいものがあるけど、カムイの方がマシ。てあたりらしい。

おいらの感想だと、"TAJOMARU" の方がかなり良かったんだが。

『カムイ外伝』はストーリーと特撮がなぁ。「日本映画最高級のアクション時代劇」みたいな触れ込みだったと思うけど、そんな大したことないエピソードをいちいち凄そうに語るっつうスケールの小ささがちょっとなぁ。漁民が馬の蹄を漁具にするためにわざわざ領主の馬を殺すって展開、苦しすぎるだろ。で、カムイは単なる興味でその男にのこのこついていったら、その妻が偶然、昔因縁があった抜け忍だったっつうご都合主義な展開。

アクションも凝ってはいたけど、今どきワイヤーワーク丸出しってどーなのよ。それに、忍者がすごい身のこなしだったと信じられてるとはいえ、漫画が原作だとはいえ、あそこまで現実離れした動きはないだろ。明らかに子供騙しだけど、どぎつい場面があるから子供が観るのはアレな感じだし。興行がうまく行ったら続編も考えてるっぽいラストだったけど、相変わらずこの程度のスケールなんだろうか。そういえば『七人の侍』も話のスケールで言ったら小さいもんなんだけど、ドラマの密度が凄まじいからな。要はストーリー次第ってことか。

いい点は、色設計がすごく綺麗だったことだね。たぶんそれを狙ってわざわざ沖縄ロケをしたんだろなぁ。そこはうまく機能してて見応えあったわー。

"TAJOMARU" についての批判的な意見は、『薮の中』のテーマ「事実の曖昧さ」が台無しってところらしいけど、そこは原作に忠実じゃなくてもいいんじゃないかなぁ。どこをどう利用しようが切り捨てようが、表現者の感性でどうにでもいじっていいんじゃないかと。芥川作品はもう著作権がフリーのはずだしさ。

そこを期待した人はがっかりだったんだろうけど、それはもう映画じゃ『羅生門』がとっくにやってしまってるからね。『羅生門』を観てしまったおいらとしては、違うものを期待しててさ、ちゃんと違うものを見せてくれたんで満足だよ。しかも面白かったし。

世間(というかおいらが読んだ週刊誌)での不評のもうひとつは、「結局最後は復讐劇」というあたり。復讐劇でいいんじゃないの? 主人公は実はずっと守られてたんだよね。それを知ってしまったら、ここはやっぱ決着付けなきゃ観客は納得行かんでしょ。ここらへん話の組み方がうまくて、おいらすっかり主人公の味方になっちまってたよ。

殺陣もよかった。集団戦も最後の対決も、リアル路線で迫力あったですよ。まぁ主人公の手下たちのルックスは若干デザイナー臭かったけどさ(でも「盗賊は格好から入らなきゃ」なんてナイスなセリフでそれを説明してた)。

けど宣伝に失敗したっぽい。興行がイマイチなのはきっとそこだね。「女を絶対に捨てない」なんてフレーズで快活な主人公のイメージを出してたけど、70年代のマンガじゃないんだから。それで主演が小栗旬なんだもん、小栗ファンか『羅生門』好き以外に観に行く気が起きなくなるっての。ていうか実際は、女を守れなかった自分を許せなくてウジウジ悩むっつう、けっこう普通の人だったりしてさ。どういう意図で宣伝したのかよく分からんかったり。

ちょっとアレだったのが、地獄谷の意味分かんなさとそこから這い上がる場面の苦しさかなぁ。女を背負って、鎖を掴んで腕力で崖を登るっての、無理だろ。握力があっても汗で手が滑るし。ていうかあの場面、鎖が微妙にたるんでた…… (^^;) 日本映画はそこらへんの甘さが昔からの悪い癖だね。

てことで興行成績とかマスコミの受け具合ってのは、自分の個人的評価とは別物なんだなぁとか思ったり。

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っつうかさ、『カムイ外伝』に厳しい批評をした人に監督が噛み付いてるみたいだけど、あれは見苦しいから是非やめていただきたい。場面ごとのツッコミに対していちいち説明付けて反論してるみたいだけど、だったらそういう展開のアヤまで客の記憶にしっかり残る作り方しろよ、と。作家が作品の外の場で作品を解説するってことは、作品がそのぶん出来が悪いってことになるでしょ。プロの監督がそれ認めてどーすんの。

正しい対処としては、「いやいや、この人のどの指摘も、ちゃんと作品を観れば普通に分かるところですがねぇ」なんてノリで、その批評家の無能を暗に指摘するあたりで止めとくってあたりなんじゃないのかねぇ。感想を言う側ってさ、どうしても「自分の感覚が世界で最も正しい」と思い込みがちになるからね。

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"TAJOMARU" で出色だったのは松方弘樹だね。決まった味の芝居しかできないと思ってたらとんでもない。あの人はものすごくやり手の役者でしたですよ。今頃それを知ってしまった。セリフ回しの絶妙な緩急、それを駆使したキャラ作り、他にできる人いるんだろか。

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2009.10.12 月曜
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ホラー映画で変に怖がる話

3月にすげぇゴキゲンな映画を観たのをちょいと思い出して(「ゴキゲンな」って80年代っぽいなぁ)。それは『13日の金曜日』。ツッコミどころ&お約束満載で、見終わった瞬間笑いが止まんなくなったっつう素晴らしすぎるB級ホラーだったさ。

んでまぁその方向での怖さってのを特に感じなくてさ、楽しく鑑賞したんだけど、1カ所だけちょっと怖くなったみたいな場面があってさ、そこを今日思い出したってわけ。

話のはじめの方、米国式体育会系の鼻持ちならん系のあんちゃん(「ジョック」ですな)がですね、女の子と取り巻きと一緒に、田舎の小さな雑貨屋に入るんですよ。ああ思い出したらまた怖くなってきたw

そこで仲間になんだか指示を出すんですよ。そのときの人間離れした早口と言ったら。いやーほんとすげえんですよ。感心をはるかに通り越して、恐怖を覚えましたですよ。よく「マシンガントーク」とか言うじゃないですか。そんなもんじゃない。バルカン砲トークですよアレは。むしろショットガンに近いかも。

早口と言えばイタリア人とかスペイン語圏の人たちも早口な気がするけど、ラテン系言語の早口ってなんだかカワイイ気がする。けど英語のありえないほどの早口ってほんと怖いぞ。理由もなく怖いぞ。ああ怖い。

ウソだと思うんなら「13日の金曜日」(今年公開されたやつ)を DVD で観てみてくださいな。そろそろレンタルリリースされてる頃だと思うよ。思い出すだにおおお恐ろしい……。

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

そういえば、平成ガメラシリーズの監督 金子修介の著書で、「意図せざる笑い」だったかな、まぁそういうのについて書かれてた。笑わすつもりのない場面で観客がウケてしまうっての、表現者としては大変不本意なんだそうで。そりゃそうだよなぁ。で、『13日の金曜日』の場合、怖がらせようと気合い入れたところは全然怖くなくて、意図しないところがやたら怖いっつう、これはまたこれで不本意であろう事態が起きてしまってたですよw

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2009.10.13 火曜
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Chrome トラップ

え? なになに?

Google Chrome 1

ふむふむほほう……。

Google Chrome 2

じゃあちょっとやってみっか。

Google Chrome 3
ってなんじゃそりゃー!!

その気にさせといてそりゃねーだろ。ていうかそうならそうと、もっと早く言えよばかぁ。

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2009.10.14 水曜
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Dyson 革命 - 秋も深まる頃に夏製品

Dyson すげー扇風機出してきたなぁ。サイクロン掃除機といいこれといい、もう大して進化の余地がないと思われてる家電にすさまじい革命起こすメーカーだよ。っつうか Dyson って流体工学の応用が得意な家電屋さんなのかねぇ。だったら次は洗濯機革命だろか。

Dyson 扇風機 画像1Dyson 扇風機 画像2

この新型扇風機のサイトの「人々の反応」のビデオで、また輪をかけて(ちょっとひっかけてみた)驚いたさー。

だって3番目の人、知り合いにすごく似てるんだもんよー。声が違ってて別人と分かって一安心(←そういう問題か)。

で、どうもおいら原理をまだよく分かってなくて。ITmedia の記事の断面写真を見ると、左下に小さな切り欠きがある。

Dyson 扇風機 画像3

たぶんここを通して風が右方向に吹き出るんじゃないかな。写真で言うと、天井部分を伝って風が右側に放出されるのかと。そこから先は簡単。運動してる風は圧力が周囲より低くなるから、周りの空気を吸い込んで風量を増やす、と。けどまぁ静止した空気に運動エネルギーを与えるわけだから、風速はそれなりに落ちるはず。てことは、吹き出した瞬間はけっこうな風速のはず。

この吹き出し風速が少なすぎると、輪の真ん中あたりの空気の動きにあんまし影響しないから効率が落ちるはず。てことで、最大効率を出す風速があるはず。風量はツマミでフレキシブルに調整できるそうだけど、そのボリュームと風量は比例しないんじゃないかな。まあきっちり比例させてもアバウトでも、別に体感なんだから大した問題じゃないけどね。

あと「プロペラを使っていない」のが触れ込みみたいだけど、胴体内で大元の風を起こすのはどうやってるんだろ。ファンか、水車みたいな遠心タービンかだと思うけど。てことで、見た目でファンがないってのは画期的だけど、実は胴体内にダクテッドファンを仕込んだだけなんじゃないかと。

「だけ」とは言ったけど低く見るつもりはなくて、ファンを露出させないアイディアをできるだけ単純な機構で実現するってのは、ものすごいことですわな。メカは同じ目的を達するのなら、シンプルなのが偉いのです。

んでまぁ『お掃除も簡単。丸い枠の内側を拭くだけ』ってのも触れ込みだけど、これちょっと眉唾な気がする。内部でファンが回るのなら、そのファンは結局埃まみれになるはず。その掃除、かえってめんどそうだぞ。それともエアインテークにファンヒーターの裏側みたいな埃よけの網が張ってあるんだろか。で、その網を掃除するだけでいいってことなんだろか。しかしファンヒーターのあの網、綿埃はよく取るけど、土埃みたいな細かいのは通しちゃうんで、やっぱしファンが汚れてザラザラになるぞ。この扇風機はそのあたり実際どうなんだろ。

あとさ、首振り機構はあるのか? あれは必須だと思うけど。なんかそれ日本製扇風機にしかないような気がしてきた。アメリカの扇風機なんて換気扇と大して変わらん姿だからな。てことで、日本市場で売る場合、もし首を振れなきゃ商品価値がガタ落ちかと思うが。

それと、こんな秋も深まった頃合いに発表っての、これから夏本番の南半球市場をメインターゲットにしてるってことなんでしょか。そこらがまた謎だったりする。まぁインドとかは年中必要っぽいけどさ。

あと輪の部分の外形なんだけど、効率をシビアに追求しないんなら、丸じゃなくても、角を落とした三角でも四角でも六角でもいいような気がする(角がとんがってると安全上の問題があるからね)。ますます扇風機の固定観念から離れる意味もあって。そんなのが扇風機だっての、なんか面白そうだし。それに四角だと丸に比べて、サイズに対して吹き出し口の周長を取れるから、同じ風量なのに小さくできるデザインにもなりそうだし。ただ、強度で言えば丸が最強だね。

しかしエアコンの方が単価が高くて商売しやすそうなのに、そこを敢えて今の時代に扇風機で勝負って発想、ほんと素晴らしいよ。冷静に考えると、扇風機もエアコンももう市場は飽和してそうだしね。てことは、どっちにしろライバルと似たような製品を作ってちゃ不毛な価格競争に巻き込まれるだけってことか。エアコンが普及するにつれて、エアコン嫌いの人が一定数いるってことも分かってきたしね。

銘板左端銘板銘板右端

けどファンに向かって「ア゛ーーー」「ワ゛レ゛ワ゛レ゛ワ゛」 ができないのはある意味致命的欠陥かもw

銘板
2009.10.15 木曜
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日本の未来の夢の顔 1

半年前、リニアモーターカーの先頭車両の形がほぼ決まりになってたっぽい。今までいくつか作っては性能をチェックしてきたその結果ですな。主に、トンネルに突入する時の低周波音の発生を抑えるのに腐心したらしい。とりあえず1997年の山梨実験線の部分完成とともに、同時に2種類がデビューしましたな。公式サイトにその写真が載ってた(公式にしちゃいささかしょぼい気がする……と思ったらこいつは旧サイトみたい。新しいのはこちら。けど内容が薄い……)。そうそう、はじめは「ダブルカスプ形状」と「エアロウェッジ形状」の2つだったよ。列車の両端にそれぞれ違う形の先頭車両を付けてた。

どっちかつったらおいらはエアロウェッジ(下の画像の左側)の丸みが好きだったけど、ダブルカスプ(同右側)もかっこいいなーと思ってた。こっちは愛知万博で展示されてたね。で、まぁどっちでも満足だよと。

初期のノーズ2つ

とりあえず流線型のデザインは新幹線でもう普通に採用されてるとして、顔の真ん中に小窓がひとつだけっての、未来っぽい気がする。運転席の窓がないってことで。実際の運転管理は中央官制室がやるそうだから、運転席自体存在しないのかもしんない。画像からすると、この窓は照明ランプ専用なのかな。普通の電車のルールと同じく、前方は白色灯、後方は赤色灯になってるっぽい。画像じゃ両方とも後ろを向いてるってことか。

で、3番目の新型がデビューしたのと入れ替わりに、おいらが贔屓にしてたエアロウェッジが採用競争から脱落(泣)。やっぱスピードが時速 500km にもなると、角がとんがった方が騒音が少なくなるのかねぇ。下の画像は生き残ったダブルカスプのアップ。愛知万博で展示されてたね。

ダブルカスプ形状

アゴが鋭くしゃくれてますなぁ。この形から想像すると、気流をとにかく上に持ってって、車体の両サイドにできるだけ流し込まない発想っぽい。主に空気抵抗と騒音対策で有利だったんだと思うけど、もしかしたら推進用磁石の位置との兼ね合いだったのかもしんない。

そして今日の本題。エアロウェッジと入れ替えで出てきた「新型」(名称不明)ってのがまーこれがヘンなデザインで。ダブルカスプと並んでる写真を見つけたよ。

何がヘンって、塗装かなぁ一番おかしいのは。それまでのかっちょよさを受け継いでない感じ。この、だらしなく何本も並んだ縦線はどうなのかと。窓のようで窓でない。そのあたりでモヤモヤした気分になっちゃう。鼻もこんなにびろーんだし。それと鼻の先っぽがねぇ、スキッとしてないんですよ。灯火類をそこに持ってきちゃったかぁ。この部分のモチーフは豚ですか猪ですか。空気を切り裂くその部分の形状をわざわざダルにする意味がよく分からん。いや工学的な意味はちゃんとあるんだろうけど、見た目のスピード感がこれでずいぶん落ちましたなぁ。ていうかぶっちゃけ一気にカッコ悪くなったと思う。

それでですね、半年前の記事を最近になって見つけたわけですよ。たぶんこれが最新型かと。その見た目がまた御愁傷様というか。

最新型
ますますびろろ〜ん。

何ですかこれ。もう1ミリたりともかっこよくない。間違えてプレス機で圧延しちゃったみたいなこの異常な潰れっぷりと延びっぷり、どうなんですかこれ。明らかにバランスが悪い。山梨実験線初期のデザインは均整が取れてたなぁとつくづく実感しちゃうよ。ダブルカスプもエアロウェッジも、何らかの精悍な生物を連想させるフォルムだった。そこに未来を感じさせた。そこらを排した上でこれかい orz 似てるモノっつうとマイナスドライバーくらいしか思いつかないんすけど。

待てよ、記事には「先頭部分の長さは約23メートルから約15メートルになった。」とある。よくよく見ると、上の方の画像は望遠、下のは普通の焦点距離(50mm あたり)で撮られてる。てことは遠近感って別物に見えるってだけかな? 実は同じ車両なのかも。そこは不明ってことでひとつ。曲面が多い形状なんで、そこらも紛らわしいですなぁ。けどどっちにしろおいらは認めたくないっす。

大阪万博での模型展示以来、常に日本人に未来の夢を与え続けてきた憧れの乗り物が、まさかこんなヘンテコなルックスで最終決着ってこと、ないよね、ないよね、ね……。

こんなんじゃ外国人に自慢できねぇどころか笑われちまうよ!

銘板左端銘板銘板右端

ちなみに大阪万博で展示された模型は、こんな形↓だったらしい。

大阪万博モデル

レトロフューチャー!! けどザクレロ(『機動戦士ガンダム』に出てきたヤラレメカ)にちょっと似てるのがいささか可哀想かなぁ。ああでもこちらのプログ様におかれましては、「ザクレロは『プジョー207』にソックリともっぱらの噂です」とのこと。ほんとだぁーww

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2009.10.16 金曜
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日本の未来の夢の顔 2

昨日のリニアモーターカーの前衛すぎるデザインに続いて、今日もなんかこう、日本の未来技術はどうなっちまうんだ系のネタ。

日本が世界に誇る最先端(というかオンリーワン)技術と言えば汎用人型ロボット。ホンダやソニーが有名だけど、企業だけじゃなく、独立行政法人つまり政府機関でも精力的に研究開発してる。「産業技術総合研究所」(産総研)がそれ。たぶんホンダのロボットをベースに開発を始めたと思われる、HRP シリーズを着々と熟成させてる。ゆくゆくは、生身の人間にとっては危険だったり重労働だったりする仕事に投入するのが目標らしい。原発の放射線区域での作業や(今は人がやってるんだよなぁ)、もっと身近な例だと工事現場や介護関係での肉体労働が考えられてるとか。

それでね、今の最新型の "HRP-4C"、メカの新規要素としては、腰の部分がフル可動(3自由度)になって、より柔軟に動けるようになったってことらしい。そこだけ押してればいいものを、外観がなんでか女の子型になってしまった。

これが、頭部だけやたらリアルだったりして。胴体や四肢は、カラーリングはロボコップっぽいメタリックなデザインで、胸やお尻の形状は女性的。この趣味の悪さ、一体どうなのかと。いや、だからって全身リアルに女の子にしろって意味じゃなく (^^;)、何をどう考えればわざわざ少女がモチーフになるのかと。確かに、動きを人間に近づけるのは、人間に替わって、あるいは人間と共に作業する意図がある以上これからも進めていった方がいいと思う。けど外観を人間に近づける方向性は、ASIMO 程度で止めといた方がいいと思うんですがね。ASIMO なら抵抗なくカワイイと感じられるよ。

自律動作する少女ロボットと言えば、押井守の『イノセンス』(2004) があったね。まさにあの不気味さ。それでも、ポーズを決めた静止画なんなら「マネキン人形っぽいね」で済む感じ。

HRP-4C

てことで、動く姿はなかなかにグロい。以下の産総研公式動画、かなりトラウマになるよ。

こっち来んじゃねー!!(泣)

頭と髪の不自然な揺れがおっかなすぎ。おいらが拳銃持ってたら、間違いなく取り乱してこいつに連続発砲しちまう自信満々。弾丸が切れても引き金カッツンカッツン引きそう。そうするに決まってる。同時にションベンちびるような気もものすごくする……。

っつうかこいつ、弾丸が何発か当たったくらいじゃ気にせずそのまんま歩いてくるんだろうなぁ。それでももし当たりどころが悪くて歩行不能になったら、無言のままいきなりゴトーン!と倒れるんだろうなぁ。倒れてからもアクチュエータの音をウニウニと轟かしてもがくんだろか。怖すぎる……。痛がられたら痛がられたで気味悪いし。

ていうかホンダの2足動歩行ロボットが公表されてからもう10年以上経つけど、ある必須機能がまだできてない気がする。どうなんだろ。つまり、転んだら自分で起き上がる機能。2足での直立動歩行ってのはわざと静的に不安定にして動的安定を取る方式なんで、本質的に倒れやすい。不測の事態や外乱で転倒する可能性が必ずある。だから、自力での起き上がり機能がないと2足歩行は完成とは言えないと思うんだ。

それと受け身というか、転んだ時の衝撃を最小限に緩和する反射動作の機能も欲しい。転ぶくらいでいちいち壊れてたんじゃ実用になんないんで、制御限界を超えてバランスを崩した時に、受け身やせめてとっさに地面や壁に手を伸ばしたりとかできる自己保護機能も必要かと。っつうか人型ロボットの手指は精密機械そのものだから、かえって手なんか伸ばさない方が被害額が小さいのかも。

とか考えて調べたら、HRP シリーズは転倒した状態から起き上がれるんだそうだ。意外と進んでたんだな。これは失礼しましたです。けど ASIMO はできないらしい。確かに背中の箱は後ろにひっくり返ったとき起き上がるのに邪魔だよね。でもその状態→釈迦涅槃姿勢→うつぶせ と段取ると、なんとか起き上がれそうな気がする。体のあちこちが擦り傷だらけになっちゃうだろうけど。

んでまぁ、産総研はロボットを人間に近づけるべく、日夜研究を重ねてるわけです。それでもやっぱし少女型ってセンスが分からんのだけど。っつうかぶっちゃけ真の最終目標は、「イノセンス」みたいにロリなラブドールを作ることなのか? そういやあの映画の少女ロボが全裸で何体も天井からゴトゴト落ちてきてはこっちにぎこちなく歩いてくる場面、マジで恐怖したっけ。っつうかあの映画、年端も行かない女の子の体型を「完璧な美しさ」(正確な表現は忘れた)みたいな意味で言い切ってたのにすげぇ違和感あったわ。

とりあえず JR 総研(超伝導リニアモーターカーの開発元)と産総研に一言。

サイバーパンクな未来ってのは、意図して作り出すものじゃ決してないんですよ。研究成果を見ると、なんかどっちもそのあたりを誤解してるっぽい気がしてしょうがない。

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

ていうか HRP-4C のデザインやっぱ……

ロボコップと HRP-4C
ロボコップのパクリだろ!w

偶然と言うにはあまりにも似すぎじゃないのかと。元祖の石ノ森章太郎に謝れ!ww(『ロボコップ』公開当時、石ノ森章太郎原作の特撮ドラマ『ロボット刑事』からのパクリ疑惑が囁かれた)

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2009.10.17 土曜
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日本の未来の夢の顔 2.5

昨日のログで、産総研がなんだかアレな方向に走ってそうなアレをアレしたわけだ。そしてその一方で、なんでか Vocaloid 用の周辺技術に妙にご執心で、"Vocaloid Listener(ぼかりす)" とゆープログラムを開発してる。これ確かにすごいけど、雑多なホビー市場の中のひとつっつう明らに泡沫的な分野に、常軌を逸したかのような知力を投入してたりする。

で、その産総研技術の2つの方向性が合体したブツというのがしばらく前から出てきてるんですが。ぼかりすは使ってないみたいだけど、Vocaloid にどうもこだわっておられるみたいで。

すげー気持ち悪いんですけど。不気味の谷ですな。

ミクだけでなく GUMI までも餌食に……。

人間に似せられた知性のない存在が、ここまで不気味だとは思ってもいなかったよ。死体を怖いと感じるのと同じ感覚なのかも。いやほんと、死体が動いてるみたいに感じられるわ。西洋じゃ人型ロボットの開発に心理的な抵抗があるそうで、それでこのジャンルじゃ日本が独走状態ってことらしいんだけど、HRP-4C 開発スタッフの暴走ぶりを見ると、西洋人の感覚が分からんでもないわ。

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2009.10.18 日曜
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日本の未来の夢の顔 2.6

あとまぁ人型ロボット研究って本質的にグロいものなのかもなぁと思わせる、1葉の写真を発掘しただよ。なんかこう、かなりサディスティックな印象を与えてくれますです。

産総研試作ロボ 1

マイコミジャーナルの記事に出てた写真。奥の方のどう見てもホンダ P3 を黄色くしただけなのは、ハードウェアがホンダ製で、プログラムが産総研製らしい。問題は手前の二足歩行ロボの試作品と思われるもの。事情は分かるんだよ。歩行の研究だもん、上半身はそんなもんでいいのは分かる。けど、下半身だけ実体があって上半身が「箱」にまでデフォルメされた存在って、これまたグロいもんだなぁと思って。

すげー昔、八戸市立図書館の子供ブースに週刊少年チャンピオンが何冊か置いてあった。で、当時はいろいろと表現の規制が緩くてさ、少年漫画誌とはいえ性・暴力描写がかなりエグかった。それで連載してたギャグ漫画でさ、マッドサイエンティストが作った巨大ロボが出てきてさ、このロボ、女性の裸の下半身だけなんですよ(さすがに性器の表現はなかった)。こいつがのしのし歩いて主人公たちを攻撃しててさ。どういう攻撃だったか忘れたけど。あれはもう発想自体が気持ち悪かった。作者も出版社も、子供にそんな倒錯した性的趣向を見せつけるなよなー。ていうかそれを置いてた八戸市立図書館は一体何だったのかとw

それとは別に、バイオレンスもので『さよなら岸壁先生』ってのがあったわ(『さよなら絶望先生』の元ネタかと)。これもエグくて。不良の高校生が担任の女教師を椅子に縛りつけて、脅しながら裸にしていろいろしちゃうっつう、今どきの AV っぽい展開があったのを覚えてる。昔の少年誌ってフリーダムだったんだなぁ。『ダイナマ舞』とか『まいるど7』とかもやたらエロかったし。ていうか図書館の子供ルームで何読んでんだ>幼き自分

産総研の別な試作ロボもまたけっこうフランケンっぽい。

産総研試作ロボ 1

見た目なんて最後に作るものなんで、メカの動作の研究中はそこらへんはどうでもいいんだからこれで正しいんだけどさ、でも作りかけを見てしまうと、メカ好きなおいらでもかなり引いてしまうですよ。下手に人体に似てるもんだから、内臓むき出し感がちょっとね。しかし、腕と足の外骨格に空けられた無数のバカ穴は一体何なんだろ。軽量化かな。放熱かな。整備性かな。機能的にはどれも考えられるけど、シルエットが人体っぽいもんで、湿疹やあせもの強烈なものを連想させるなぁ。ていうか「蓮コラ」画像を思い出しちゃったよ(うげー)。

頭はあるのに顔がないってのも恐い要素かと。けど下手な顔つけるとまたこれはこれで「先行者」と同じ轍を踏むことになるし、リアルならリアルで、HRP-4C みたいなことになっちゃうしな。どの方向に転んでも悪趣味になりそう。とりあえずガンキャノンかゲルググの顔でもプリントアウトして貼っとくのが一番無難な気がする。おでこにキョンシーのお札を貼ったりした日にゃ洒落になんないしな。ていうかそのお札に "EMETH" なんて書いたりしちゃったら、もうほんとそのまんまだし。

その点はホンダとソニーのロボットはうまく逃げたよなぁ。ヘルメットのバイザーがスモーク仕様。その向こうに顔はきっとないんだろうけど、人間としてはどうしても顔があると思いたくなる。そこは見る人の想像にオマカセっつう設定。『竹取物語』でかぐや姫の顔つきについて具体的な描写が一切なくて、ただ絶世の美女ってことだけがはっきりしてる、というのと同じだね。目にあたるものが外から見えないから、得体の知れないものに見つめられる恐怖もないし。うまいよなー。

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2009.10.19 月曜
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日本の未来の夢の顔 2.6.1

今思い出した。顔がある日本のロボットと言えば、元祖は 學天則(学天則)(がくてんそく)だったよ。

學天則 1

おっ、復元版の映像が出てきた(YouTube)。オリジナルは昭和3年製作ってどんだけ早いのよ。気になる顔の元ネタは、世界中の民族の特徴を合わせたものらしい。『帝都物語』(1988) でそう説明があったと思う。

そしたらさ、んー、んー、よっしゃ見つけた! 『帝都物語』に出演した時の学天則も出しちゃおう。ちょいと不鮮明だけど、封切当時に買ったパンフをスキャンしたですよ。地下鉄のトンネルを掘るバージョンの学天則ですな。

學天則 2

添え書きにはこうある。

西村真琴により作られた、日本最初の人造人間。天により創られた生物の機能や機構を手本に作った、つまり「天則に学ぶ」という意味で命名された。動力は空気の膨圧で、それを体中にはりめぐらしたゴム管に伝えて、人間に近い滑らかな動きを可能にした。映画では、西村真琴役を実子・西村晃が演じている。

「人造人間」っていい響きですなぁ。いやいやいや、日本のロボット熱はアトムや鉄人がその始祖かと思いきや、戦前からだったんだねぇ。そういや茶運び人形とかのからくり人形にルーツを求める向きもあるね。けどそこまで遡ると、フランスのオートマトンがなんで現代に引き継がれなかったのかっつう疑問も出てきたりして。

『帝都物語』で学天則がトンネル掘りに駆り出されたのには、それなりの筋道があったよ。人間が掘ると折から湧いて出てきた魑魅魍魎にやられてしまうから(やつらは人の恐怖心に働きかける、実体のない存在だから)、というのでロボットの投入となったわけです。とまあ原作ではそうなってたんだけど、映画でもその説明だったと思ったけど、結局妖怪たちは相手がロボットだろうが関係なく襲いかかってたよ。うーむ。

んで学天則はそいつらを振り払うのに大変だし動力伝達のゴム管は食い破られるしでろくに掘り進めない。西村博士は充分に戦った学天則を楽にさせようと自爆させて、それでトンネル開通。いや、だったらわざわざ学天則を投入せんでも、はじめから発破だけでよかったんじゃ……。

映画の学天則はさすがに現代の映画なだけあって(20年以上前だけど)顔からバタ臭さが抜けてるね。どうも仏像をモチーフにしたっぽい感じ。仏像の顔ならけっこう見慣れてるし、美術として発展してきたぶん人の美意識のツボを押さえるてから、あんまし抵抗ないかもしんない。今の人型ロボット開発者の方々は参考にされてはいかがかと思う所存にござります。

銘板左端銘板銘板右端

ヤバい。『帝都物語』のオープニング映像(YouTube) を見つけちゃったよ。脚本も SFX もボロだらけのヘタレ映画のはずなのに、なんかこう、そういう有象無象のクズフィルムとは違う次元に居場所を確保してるんだよね。妙な格調があるというか、何か特別なものに祝福されているというか。

この投稿動画で言うと、パッパッと出る明治東京の家並みは「よくできたミニチュア」だと分かるし、廃神社の場面だってセット撮影だとバレバレ(屋外の設定なのに照明が舞台風)。それどころか鉄杭の位置がカットごとに変わってしまってたりもするし。

とりあえず、土俗ホラー SF に清々しくて荘厳な音楽を当てた対位法効果は効いてるし役者も超一流なんだけど、それだけじゃない何かを感じまくっちゃってしょうがない。

けど、おいらみたいなこの映画のファンにとっても、恐らく製作陣にとっても計算外だったのは、主演級の石田純一のその後の私生活のグダグダさ加減だったんじゃないのかと。あいつにゃほんとがっかりだw

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2009.10.20 火曜
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インスパイアされた事象

雷に打たれたかのごとく閃いたことがあった。

善は急げとすぐに行動した。

ビグザムと「寺」
なんか似てない?

ドズル中将、思ったほど似てなくてほんとすんませんした。

銘板左端銘板銘板右端

っつうかひとつの漢字をあんましでかいサイズで見ると、字体がゲシュタルト崩壊を起こして何の字だかよく分からんくなるなぁ。

銘板
2009.10.21 水曜
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月と韓国

李大統領「国際月探査計画への参加を検討」 という記事を見つけた。10月13日付聯合ニュース。

いやあの水を差すようで悪いんだけど、やめといた方がいいんじゃないかなぁ。韓国が、ではなく、たぶん言い出しっぺのアメリカ以外の参加国全部がひどい目に遭うと思うよ。日本もお付き合いで参加しそうな雰囲気だけど、どうなるんかねぇ。アメリカが声をかけて始めた国際宇宙ステーション(ISS)計画のゴタゴタぶりがまだ記憶に新しくて。

ISS は今それなりに稼働してはいるけどさ、そこにたどり着くまでがほんと迷走に次ぐ迷走で。しかもそのゴタゴタの震源地はほとんどがアメリカ。で、ISS がようやく動き出したと思ったら、アメリカは ISS 計画を途中で投げ出す発表。そんで次は月、その次は火星だ、と言い始めた。

国際宇宙ステーション計画で分かったのは、技術を持ってない国は振り回される側にしかなれないってことだった。ロシアが入ったときは強力な援軍が来たと思ったけど、ロシアもロシアでいろいろ強気な交渉で計画を自国に有利に持っていった。それができたのも、ロシアは宇宙ステーションの建造と運用に必要な技術、ノウハウ、データ、実績を全部持ってたから。特に、スペースシャトルより安全で低コストな有人宇宙往還技術があったのが大きかった。しかも当時、実際に自前のステーションを運用中だったから、国際協力の方は脱退しても別に何も困らない状態。独自の新型ステーションの計画も動いてたりして。交渉材料、世界最強。そりゃ後から入ってきていきなり上座に座れるわ。

今の ISS につながる国際宇宙ステーションの話が立ち上がったのは80年代。日本とヨーロッパの宇宙技術と言えば、中型無人ロケットを運用しつつ、大型ロケットと有翼往還機(日本のは無人、ヨーロッパのは有人。最終的には両方とも開発中止)の研究開発をしてた頃。ステーション関係のそんな必要技術はほとんど全部と言っていいくらい、ステーションができる頃までに手にするはずの絵に描いた餅でしかなかった。ヨーロッパは日本よりは進んでたけど、必要技術の不足具合はだいたい同じようなもの。で、日欧とも米ロにひたすら振り回され続けた。

それでも、ISS は軌道上での科学・工学実験が目的だからまだ需要があるし、研究成果という見返りも期待できる。

月に人を飛ばして、それだけの何らかの成果が得られるもんなんだろか。国家単位で観光旅行しましたっつうノリでしかないような気もする。40年前のアポロだと、それだけでも相当の価値があった(実際それだけじゃなく、当時有人でなきゃできないような様々な科学観測をしたけど)。

今、ロボット技術は格段に進歩したよ。月面探査って、無人で充分やれると思うんだけど。

費用の割に成果の見返りが少なさそうだとはいえ、月はまだ実現性がある。恒久基地に長期滞在も、ISS での経験を生かせばどうにかなるかもしんない。けど火星はちょっとやそっとの計画規模じゃ人を送って帰ってこさせるってのは無理。往復するだけで2年かかって、ISS と違って物資の補給ができない。何かトラブルがあっても緊急脱出の手段がない。で、最低2年間。

今までに惑星空間に出て行って地球に帰ってきた宇宙船は、スターダストというアメリカの無人探査機1機だけ。日本の小惑星探査機 はやぶさ は満身創痍でいつ死んでもおかしくない状態で、今、地球に向かってる。こんな現状で「地球 - 火星で人を往復させる」っての、計画するのはいいけど、実際にやるのはかなり無謀なんじゃないかなぁ。まぁアメリカに言わせれば、月だって初めての往復ミッションはいきなり有人だったぞってことになるかもしんないけど、計画倒れの可能性が高いと思うなぁ。

その準備としての国際協力での有人月探査も、どうも月探査単体だと説得力が足りないから、その先の火星を話に出すことで成り立ってる計画のような気がする。もしそうだとすると、有人火星探査がポシャれば有人月探査もとたんに足元が危うくなるってことなんじゃないかと。トータルの計画がこんな感じであやふやっぽいんで、参加表明はもっと様子を見て、アメリカが本気だと確信できてからでいいんじゃないかなぁ。

ああそうか、参加の是非の検討ならいくらやってもいいわな。なんですぐに気付かなかったんだろ。ただ、参加ありきの検討だとヤバいかな、と。

銘板
2009.10.22 木曜
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Crew Return Vehicle (X-38)

国際宇宙ステーション(ISS)計画の一部で、そういやそんなのもあったなぁってのを見つけたよ。それが NASA の Crew Return Vehicle (CRV。開発名 "X-38")。ISS の乗組員の緊急脱出船ですな。救命ボートと言うか。アメリカで作ってたんだけど、予算縮小の的になって開発中止にされちゃった。

CRV 画像 1
CRV 画像 2

んー、写真が銀塩フィルムの味わい。時代を感じさせますな。

"CRV" っつうとホンダのクルマみたいだけど別物。ああでも "Vehicle"(乗り物)は同じ意味か。

しかし開発開始が1996年で実験機初号機の初飛行(80% スケールモデル)が1998年か。カネと設備がある組織は仕事が速いですなぁ。で、確かこれ2002年にキャンセルが決まったとき、開発継続を日本に丸投げしたような気がする。んでまぁそのカネと技術があれば願ったりかなったりの話、結局日本は尻込みしてスルーしちゃったような気がする。古い話なんで記憶があやふやだけど、そうだったとして考えてみる。

日本の宇宙関係の担当省庁はその頃大変な時期だったからな。90年代末に国産大型ロケット H-II の連続失敗で失った信頼を、新型の H-IIA で少しずつ取り返してたのに6号機で失敗。H-IIA 4号機で打ち上げたばかりだった大型衛星 みどり II は早々の機能停止。1998年に打ち上げた 火星探査機 のぞみ も火星到達断念。一体どうなっておるのだ、と世間からの風当たりが厳しかった上に、折からの省庁再編の波もろかぶり。そのうえ情報収集衛星が横から入ってて宇宙関係予算を食ってるし(ただし固定需要という意味ではありがたいらしい)。ってことで、もう内部は何がなんだか分からん状態だったらしい。そんな状態で全く未経験の有人宇宙機を開発っての、かなりの重荷だよなぁ。

けど要素技術は手ぶらってわけじゃなかった。有人じゃないしリフティングボディでもないけど、HOPE または HOPE-X っつう有翼宇宙往還機を開発&途中キャンセル済みだったもんで。

HOPE-X 画像1
HOPE-X 画像2

上の画像は開発前期型。設計見直し後のが下の画像。垂直尾翼の位置が違うね。おいらとしては前期型の方がカッコ良かったけど、完成してくれさえすればどっちでもよかったよ。

HOPE(-X) は完成してはいなかったけど研究データと人材は手元にあったってことで、おいらは CRV を日本が引き継ぐ話に希望を持ってた。けどやっぱだめだったか。CRV はスペースシャトルに積めるサイズっつう制限があったけど、HOPE(-X) ベースなら打ち上げは H-IIA ロケットも対象にできるしさ。ヨーロッパのアリアン V ロケットとの互換も考えれば融通が利くし。

結局一番悪かったのはタイミングだったかなぁ。

銘板
2009.10.23 金曜
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土星巨大輪

土星すげえ!! その記事だす。

土星と言えば輪っかだけど、ものすごく巨大なのが新たに発見されたそうで。うむむ、スピッツァー宇宙望遠鏡で発見か。赤外線観測だと日本にも衛星 あかり があるけど、そうか……そこはちょっと残念かも。重量的には近いものがあるのになぁ。

その輪っか、巨大さと来たらもう土星そのものが点に見えるくらいだよ。しかしまぁ、本体からこれだけ離れてても内径と外径がある「輪」の形になる理由が分からんなぁ。内側と外側のそれぞれの縁で、輪を構成する微粒子のそれ以上の拡散を防ぐ何らかの力学的条件があるはず。おいらに理解できるものかどうか知らんけど、ちょいと気になるわー。これ、輪がその位置にある理由ってことにもなるね。

輪のサイズを含めれば、土星って太陽系最大の惑星なのは確実かと。

他に輪を持つ惑星と言えば、木星と天王星、それと海王星も。そうか全部木星型のガス惑星か。本体には岩はないけど、輪はなぜか岩石質なんだな。そういえば衛星も岩のやつが多いなぁ。ていうか輪の粒子とか衛星サイズだと、固体じゃないと重力が弱くて形を保てないってことなのかな。

あとさ、なんか火星と地球にも薄い輪があるのかもしんないっつう話を聞いたことがある。未発見らしいけど、計算上あってもおかしくないとか。火星は探査が行き届いてるとは言えないからともかく、地球の輪ってどうなんでしょ。こんな近くなのに存在を感知できないっての、あり得るのかねぇ。「何かが絶対ない、とは証明不可能」って論理は「悪魔の証明」と呼ばれるけど、地球の輪もこれにハマってしまってるんじゃないかとか。

銘板
2009.10.24 土曜
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金星探査機 PLANET-C

来年打ち上げの日本の金星探査機 "PLANET-C" の愛称が決まったね。

「あかつき」だそうで。おいらは気に入ってる。イイ感じだと思うよ。このページ に決定理由が載ってる。

銘板左端銘板銘板右端
名称は、金星探査機「PLANET-C」の開発に携わるプロジェクトチームで検討を行い決定しました。
「あかつき(暁)」とは、日の出直前の東の空が白み始める頃を指し、金星が最も美しく輝く時間です。金星探査機「PLANET-C」は、2010年の冬、まさに明けの明星として「あかつき」の空に輝く金星に到着します。この探査により惑星気象学を新たに創出しようというイメージにも合致します。一日の始まりである夜明けを意味するこの言葉には、情景の美しさだけではなく物事の実現への力強さがあり、ミッション成功への想いと決意が込められています。
今回は、衛星の打上げやその後の運用に向けて、皆様により身近に感じていただけるように、事前に名称を公開することにしました。
銘板左端銘板銘板右端

まず、公募じゃなかったんだね。旧 NASDA(宇宙開発事業団)系の衛星は最近は公募が多いけど、ISAS(旧 宇宙科学研究所。現 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部)系はその流れにこだわってないらしい。それまで通り、内部で案を募って決めてるっぽいね。国税で作られるものだから公募というのも一理だけど、彼らが作ったものなんだから、彼らがそれにふさわしい命名をするのもまた一理かと。公募したって選定するのは内部の人だしさ。

打ち上げ前に公表ってのは、 ISAS だと初めてかも。ああ、月探査機 かぐや は公募&事前発表だったね。伝統的には日本の衛星は NASDA 系、ISAS 系を問わずに、愛称は打ち上げが成功してから発表されるのが習わしで、それはそれでいいと思ってたんだけど、プロモーションの観点じゃ事前に出した方が盛り上がるよね。打ち上げ前までのコードネームは英字で、言葉としても素っ気ない感じだし。情緒があって覚えやすい愛称、やっぱ事前に出した方がいいってことになったのかも。

実際、かぐや はそれもあってかなり広く知られるようになったと思う。もし小惑星探査機 はやぶさ もそうだったら、もっとファンが増えてたかもなぁ。

あかつき は惑星空間への日本の探査機としては四半世紀ぶりに、目標天体に向けて直接打ち出されますな。ハレー彗星を探査した さきがけ、すいせい 以来。火星探査機 のぞみ はまず月に2回、地球に1回接近した。小惑星探査機 はやぶさ も、打ち上げから1年後に地球に接近した。それぞれ立ち寄った天体の重力を利用した「スイングバイ」っつう航法技術で加速。そのままじゃ足りない速度と燃料をそれでカバーした。当時打ち上げに使ってた M-V ロケットの能力が足りなかったからってんで編み出されたアクロバット技でござったよ。

けど今回はそれはやらない。ミッションを複雑にする要素は極力排除した方がいい。てことで、今回は直行便なんで安全性が高そう。実際、のぞみ は2回の月のスイングバイの後の地球スイングバイでエンジントラブルが出て、予定軌道から外れて大変な目に遭った。そのせいで運用期間が延びたせいか、さらに電源系にトラブルが出て、火星にたどり着く前にミッションを放棄する羽目になった。はやぶさ だと、目的地の小惑星イトカワに到着する少し前にリアクションホイールっつう姿勢制御装置が3個中2個故障して、探査活動に支障が出た(結果オーライだったけど)。スイングバイが不要だったなら探査開始までの運用は1年短かったはずで、大事なときにその故障は起きてなかったはず。それを思い出すと、行き先に直接向かえるのはほんといい。

今回は現地到着までの旅行時間は半年程度。直行で単純だし片道旅行だしってことで、今までの日本の、地球の重力圏外での探査ミッションの中じゃ最短かつ最もシンプルな部類。設計だって今までの失敗やトラブルの経験をぶち込んであるだろうから、おいらは心配してないよ。重力圏内ではあるけど、かぐや はほぼ完璧に月探査ミッションを乗り切ったしさ。

あかつき は H-IIA ロケットで打ち上げられるけど、この探査機の製作が始まった頃はまだ、M-V ロケットで打ち上げる予定だった。金星は地球に近いし あかつき の質量は のぞみ、はやぶさ よりちょっと小さいくらいだから、たぶん M-V でもスイングバイ不要だったんじゃないかな。

今回の H-IIA での打ち上げ、ちょっとツッコミどころがあったりする。日本の誇る大型ロケット H-IIA は一体何を金星に飛ばすのか、というあたり。もちろん あかつき(質量約500kg)を飛ばすんだけど、H-IIA の2段目もその後ろについて金星まで飛んでっちゃう。その質量およそ3トン。本体の6倍もの質量の不要な物体が旅のお供をするってことで、かなり無駄の多い段取りになってしまってる。かつてスイングバイという名のヒッチハイクで、爪に灯を灯す思いでようやく旅費を浮かせてきたあの辛い日々は何だったのか、とw

普通、宇宙関係の計画じゃこんなあからさまな無駄は許されない。けどどうしてもこの形になってしまったんだよね。今は日本の打ち上げ手段は 大型ロケット H-IIA と、もっとでっかい H-IIB の2つしかないしさ。それでもまぁ確か、はじめに予定してた M-V が政治絡みで廃止に追い込まれてしまって、しょうがなく外国のロケットを探してたら、それを知った別の政治家先生が「日本には立派なロケットがあるのだからそれを使うべきだ」と主張して、そんな顛末でこうなったんだと思った(違ってたらスマヌ)。政治権力に翻弄されまくりですなぁ。

この打ち上げ、そんなこんなでこんな巨漢の無駄なお供が付くくらいだから(日本が惑星空間に打ち出す過去最大の物体という皮肉。しかも断トツにでかいんで、この記録はこれから何十年も破られないかもw)、力が有り余ってる。てことで、大学の研究室とかが作った超小型の宇宙機を一緒に何個か積んでって放出することになってる。

金星遷移軌道ってかなり特殊だからほとんど需要がないかと思いきや、相乗りの超小型衛星のいくつかは地球周回する低い軌道に投入されるらしい。ということは、地上からいきなり金星に向かうのともちょっと違って、いったん地球周回軌道に入って、そこからタイミングを見計らって旅立つっぽい。ISAS が言う「ドンドン打ち」(打ち上げたが最後、脇目も振らずただひたすら加速して地球の重力を振り切るという、大変分かりやすいやり方)ではないってことか。ふむふむ。

ドンドン打ちはローンチウインドウ(打ち上げ可能な時間帯)がめちゃめちゃ狭いから、構造が複雑で打ち上げ延期しがちな液体燃料ロケットじゃちょっと不安があったりするしな。

で、その地球周回軌道の時点で小型衛星3個(WASEDA-SAT2、大気水蒸気観測衛星、Negai☆“)を放出。金星に向かったところで2個(UNITEC-1、ソーラー電力セイル実験機)を放出、ということらしい。おいらが注目してるのはソーラー電力セイル実験機だす。これ、うまくいけば将来、日本が木星に探査機を飛ばせるかもっつう技術。木星って太陽から遠いから、電源は太陽電池が使えなくてプルトニウム電池を使うのが普通。日本の宇宙政策は放射性物質を使わないことに決めてあるんで、年単位のミッションじゃ電力源として何が何でも太陽電池を使わなくちゃなんない。てことは、行けるのはせいぜい小惑星帯あたりまで(はやぶさ は実際にそこで、太陽電池の電力でイオンエンジンを稼働させた)で、木星なんかとても無理、となってたみたい。

けどどうもこのソーラー電力セイルなら木星に届くらしい。正確なところは知らんけど、たぶん超軽量で太陽電池面積を大きく取れてイオンエンジンを稼働できて、しかも太陽光圧まで推進力に動員することで可能になる、ってことなんじゃないかと。まーしかし、太陽電池の発電効率を上げるには、光をよく吸収する黒い色がいいわけ。一方、太陽光圧を利用するソーラーセイルは膜面の反射率が高いほど効率がいいんで、銀色がいいとされてる。相反する条件をどう折り合わせてるんだろ。

金星探査機 あかつき に話を戻すよ。技術面で注目なのは、日本の惑星探査機で初投入のフェイズドアレイアンテナですな。

金星探査機 あかつき

上の画像、機体の向かって右側の面のでっかい丸、これがフェイズドアレイアンテナ(だと思う)。たぶん隣の小さい丸もそうかな。宇宙探査機でパラボラアンテナがない代わり、こいつが高速通信を受け持つんですな。この特徴は、機械的な可動部なしにアンテナの首振りと同じことができるってこと。これは便利。っつーか見た目やたらスッキリですなー。

旧来のパラボラアンテナって、あのお椀の内側で電波を収束して飛ばしてた。電波強度の減衰が少ないんで、画像データ送信なんかの大容量通信で強みがあった。けど問題点がひとつ。それは指向性が強いってこと。狙いが1°ずれただけで強度が10分の1とかに落ちるという気難しさ。さらに宇宙環境独特の難しさで扱いがますますめんどかった。真空の環境は可動部(というか摩擦部分)の劣化を早める。だからはじめから可動部を極力なくすのが安全確実な設計方針。てことで、はやぶさ なんかはパラボラアンテナを胴体に固定して、高速通信が必要なときは探査機丸ごとの高精度な姿勢制御でお椀を地球に向けなきゃいかんかった。これはこれでキツい。

フェイズドアレイアンテナは、その面が斜めでもいいから向いてさえいれば、狙った方向に指向性の強い電波を出せる。可動部がないから首振り機構の故障の心配はない。発信角度変更はその範囲内なら自在。ただ、強度は恐らく相手側からの見かけの面積に比例する(と思う)んで、真正面を向いてるときが一番強度が高そう。だとすると、傾きが45°なら強度は最大値の70%程度のはず。それでもかなり視界が開けますな。で、「1°ずれたら」なんて神経質さに比べたら、ずいぶん融通が効くじゃないですか。さらに、どうも通信速度がパラボラよりもなんぼか高いらしい。NASA の火星探査車スピリット、オポチュニティにこのアンテナが既に積んであって、実際に はやぶさ のパラボラより速い、と松浦晋也のブログで読んだような気がする(根拠弱くてスマヌ)。

あかつきのフェイズドアレイアンテナの通信速度は最大 32Kbps らしい。昔の 52K モデムのもうひとつ前の 33.6Kbps とだいたい同じですな。何千万km、時には億越え km の向こうからの通信でこの速度は天晴だと思うぞ。32KB の画像の転送に8秒かかるのか。インターネットにゃそんな時代もあったよなぁ(しみじみ)。将来の惑星ミッションってやっぱ B フレッツ並みになったりするんだろか。

おっ、はやぶさ の通信速度の公式発表みっけ。そうか 8Kbps か。あかつき、4倍速。まぁ はやぶさ は距離3億kmの場合。あかつき はそこまで地球から離れることはないんで(最大2.6億km)、そのぶん稼げてるのかも。ちょっと計算。

電波強度と通信速度が比例するものだとして、地球と はやぶさ の距離(イトカワ着陸ミッション時)と、地球と あかつき の最大距離の比は 86.67% ですな。電波強度は距離の2乗に反比例なんで、強度は 75% になる。もし はやぶさ が あかつき と同じフェイズドアレイアンテナを積んでたら、32(Kbps)×0.75=24(Kbps)。つまり実際の3倍の通信速度を確保できたってことか。フェイズドアレイアンテナすげー。

今研究段階の新たな小惑星探査機 はやぶさ2にも、もちろんこの新型アンテナが採用されるそうな。だよなぁ。パラボラよりずっと便利だもん。そういや天文学者の故カール・セーガンが書いた SF 小説『コンタクト』でさ、地球から宇宙人に招待された主人公が、宇宙空間で宇宙人が使ってる巨大なパラボラアンテナを見て、意外と普通でちょっとがっかりしてしまうって場面があったな。高利得アンテナを作るなら、宇宙をあまねく共通に支配する物理法則を利用してるから、誰が作ろうが同じ用途なら同じ形になるはず、が根拠だったかと思う。執筆当時はそれで正しかったと思うけど、今はお客さん、フェイズドアレイってのがあるんですよーすごいでしょw

しかしこれ発信に便利なのは分かったけど、受信でも同じく、首振りと同等のことができて感度もパラボラより高いんだろか。そこがちょいと気になると言えば気になるかも。軍事レーダーとして開発されたものだから、大丈夫な気もするけどさ。探査機なら発信の性能さえよければ、受信はまぁ地上からコマンドを貰うくらいだから中利得アンテナあたりでどうにかなりそうだし(たまにプログラム丸ごと受信して書き換えて再起動っつう荒技やるときもあるけどさ)。もし受信性能も同じだとしたら、これから作られる電波望遠鏡ってみんなこのスタイルになるんじゃないかって気がする。アンテナ技術の一大革命のニオイ……。

で、あかつき の肝心の観測目的なんだけどさ、ここらへんどうもおいらは弱くて、Wikipedia の記事を読んでも、どうもねって感じの理解度しかないのよね。金星の衛星軌道を回りながら大気を観測するってとこまでは分かるんだけど。主にレーダーで雲の様子を立体的に捉えるらしい。金星本体の自転速度ってほとんど止まってる程度でしかないんだけど、大気はなぜか4日で1周するほどの猛スピードで循環してるんだそうで。なんでそうなってるのか、というのが今、金星気象学で一番熱い話題らしい。それを知るための詳細なデータを取る、というのが あかつき の使命っぽい。そういえば のぞみ の目的も火星大気の観測だったよ。日本の惑星科学はそこらに有能なエキスパートが揃ってるんだろか。

彼らに言わせると、天文学の中でもこのジャンルは比較的実用に近いらしい。というのも、他の惑星の気象を調べて地球の気象と比べることで、地球の気象現象を客観的に捉えられるようになる、ということみたいで。となると、天気予報や長期の気候変動予想の的中率が上がったりするのかもしんない。ことに金星大気の組成は二酸化炭素が支配的で温室効果バリバリ。サイズも地球に近いものがあるんで、地球温暖化問題に関する重要な情報をもたらしてくれるかも。

おお、火山活動も調べるのか。確か地球以外で活火山がはっきり確認されてるのは、木星の衛星イオしかなかったと思った。どっかの衛星で氷が噴出してるのがあったと思ったけど、「火山」と言えるのかは微妙な気がするし。だとしたら、ここでいっちょ金星で見つけたら大発見ですよええ。鼻息も荒くなろうってもんです。

おおっとこれに関する ISAS の公式文書発見。あ、やっぱ今のとこ活火山が確認されてるのは地球とイオだけなんだってさ。けどこの文書じゃ あかつき がそれをやるんだぞっつうはっきりした記述がないっす。これ、あかつき からのデータと地上からの観測のタッグで見つけるってことなのかねぇ。イマイチすっきりしないけど、とりあえず金星での火山の発見に あかつき が貢献するらしいってことで。

うおお、こっちの文書じゃはっきりと「地表面から発せられて宇宙空間にまで漏れ出す赤外線をとらえて、地表面や低層の雲や水蒸気を観測し、活火山の検出もねらう」だそうで。でかした!

正直、かぐや のときはおいらはあんまし萌えんかった。月はもう手垢にまみれた感があってなぁ。人が行ったことあるしさ。けど今は違う。はやぶさ 以来の地球圏外へのお出かけ。そして惑星探査ミッションは のぞみ 以来。てことで今、すごい久しぶりに萌えてるかもw 日本が初めて別の惑星の重力圏内にお邪魔して滞在するときが、刻々と近付いてきとりますよ。わくわく。

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2009.10.25 日曜
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なまえかぶり

もしやと思って調べたら、「あかつき」ってかつてのブルートレインの名前でもあったわ。

日本の探査機の愛称(和名)ってそこらとよくかぶるみたいだけど、確かにこういうのに使いたくなるようなナイスイメージな和名となると、自分で思いついたって、戦前の飛行機とか船とか列車とかにもう使われてそうだもんなぁ。乗り物の名前ってのも共通だしさ。

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2009.10.26 月曜
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バーチャルスタジアム リターンズ なしよ

ほんと今さらだけど、東京オリンピックが霧散した件でさ、招致委員会はバーチャルスタジアムを提唱すればよかったんじゃないかと思って。

これ、リンク先のログにも書いたけど、90年代に、2002年の FIFA ワールドカップ開催国の権利を韓国と綱引きしてた当時、日本側が提唱してた必殺武器。会場とは別のグラウンドに試合の様子を 3D 投影して、そこにも集客して収益を図れるっつう夢の技術。これ、原理的にいくつでも会場を作れるから、ひとつの試合での収益を何倍にもできますな。設備費にもよるけどさ。もし各バーチャルスタジアムの投影設備を安く上げられるのなら、実際に試合が行われる本スタジアムの撮影設備の費用を薄めるには、よりたくさんのバーチャルスタジアムを確保した方がよくなるわけで。撮影・投影とも費用が安いなら、ともかくバーチャルスタジアムを確保した数だけ収益が上がりますな。

ただ、技術的に可能かどうかってところが問題で。10年以上前に FIFA に提案したっぽいけど、2002年の日韓共催の時点じゃそんなもん影も形もなかった。なんか結局、既存の大型 2D モニタに映し出して、それを「バーチャルスタジアムです」ってことにしたらしい。それ違うから。今は亡き後楽園球場のオーロラビジョンでとっくにやってたから。

というまぁかなりイカサマっぽい話だったけど、FIFA 誘致の時点で提案したってことは、技術的実現性は皆無じゃないってことかと思ってさ。だったら2016年のオリンピックなら、今度こそ間に合うんじゃないかと思ってさ。けど東京オリンピックの招致委員会はこの案を出さなかったみたいだね。収益の面でものすごい利点のはずなんだけど。

って考えてから、今思いついた。もしこの技術の完成度が高ければ、ナマで観戦してるのと大して変わらないなら、臨場感もろとも世界中に配信できちゃうってことで、開催地の特権が減りますなぁ。これ意外と諸刃の剣ですなぁ。

銘板左端銘板銘板右端

間に合わなかった技術と言えば、長野冬季オリンピック(1998年開催)での「氷筍(ひょうじゅん)」もあったね。これをスピードスケートリンクの氷として使うと、摩擦抵抗が減って新記録が生まれやすくなる、という触れ込みだったよ。けど前年に同じリンクで開かれたプレ大会に開発が間に合わなかった。てことでぶっつけ本番ってわけには行かなくて、そのままオリンピックには見送り。

開発チームは本番に採用されるべく最後まで頑張ったらしいけど、採用する側としては、どんな不具合があるか分からん全く新しいものは怖いからね。やっぱ充分にテストして安心したいわな。それにどの程度の性能か確かめたいだろうし、運用性も大事だろうし。選手だって使い心地が気になるだろうし。

とりあえずあの大会のスピードスケートだと、選手側が用意した新技術としては、スラップスケートとボルテックスジェネレータ(と思われるもの)があったな。スラップスケートはその後の標準アイテムにまでなったけど、ボルテックスジェネレータはあのとき限りだったかと。金メダルを取った清水が「空気抵抗が 5% 減る」と言い切ってたんだけどな。競技中のアスリートの肉体なんつう不定形なものを対象に、そこまできっちりした流体力学的結論をどうやって出したのかいまだに謎w

たぶん固定した円柱や球にボルテックスジェネレータを貼って、風洞実験をした結果の数字じゃないかな。だとすると、空気抵抗はボルテックスジェネレータを貼ってる部分のみで最大 5% 減ってことかな。頭とスネにしか貼ってなかったし、姿勢やフォームによっては風に対して斜めになる(見かけの長さが減る)ことの方が多かったろうし、てことで、実際は有意な違いが出なかったんじゃないかと。そんなに邪魔になるものでもないから、そのときだけ着けてたんじゃないかと。

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2009.10.27 火曜
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ため撃ちのルーツ

『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲に始まると思われる、いわゆる「ため撃ち」。シューティングゲームでよく使われてきてるけど、格闘系ゲームにもちょくちょく登場するのは、『ドラゴンボール』の かめはめ波の影響かもしんない。しかし、かめはめ波はためないと出せないっぽいけど、どどん波はすぐさま撃てるよなぁ。鶴仙人、意外とすげえw

んでまあこの ため撃ち、日本のマンガ・アニメが生んだ独特の見せ技って見方ができそう。その源流って何だろう、と思ってね。

ひとつ浮かんだのが、戦艦大和の46センチ3連主砲。艦載砲として当時最大(最近はミサイルが主流らしいで、放物線で飛ばすものとしては現在まででも最大かも)。あれ、撃ちたいときにすぐに撃てたわけじゃなく、弾丸の装填と照準合わせに40秒くらい必要だったらしい。連射もその間隔。そこらへんため撃ちっぽいかな、と。

んでさ、いや、もっと遡ってみたらさ、あったわ。

これなんですけど。ええ(汗)

けっこうそれっぽいと思うんですけどいかがでしょ。 (^^;)

銘板左端銘板銘板右端

ちなみに戦艦大和の主砲の砲弾って、現代のイージス艦ならミサイルで撃ち落とせちゃうらしい。かわぐちかいじの『ジパング』にそんな場面があったんで、その受け売り。

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2009.10.28 水曜
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生態学 vs マナー

食べ方のマナーでさ、「歩きながら食べるのは行儀が悪い」ってのがあるじゃないの。これ、たぶんファーストフードが流行り始めた頃に、この点が社会的な問題になったと思うんだ。八戸の街にも世の中から少し遅れてロッテリアが来て、かなり繁盛してた(そういやその八戸の街のロッテリア、この前ついに撤退したよ(寂))。おいらは当時子供で、学校で担任の先生がこのマナーについて言ってたのを覚えてる。

まぁ確かにそうなんだわ。んで、そういうアメリカンなスタイルがいきなり流行っちゃうと、やっぱ伝統的な良識としては反発したくもなりますわな。子供をそんなものに毒させちゃいかん、と、当然そう思いますわな。んでまぁ子供って自分が住んでる環境じゃ何が正しいっつうのはまだ分からんから、もちろんその善悪の判断が場所や時代によって違うってのも知らんから、大人が教え込まないといかんわけですな。それでまぁいろいろ理由を付けて、大人は子供に納得させて教育するわけです。

けど、中には明らかに子供騙しな理屈もあるわけで。

当時納得してしまったものがあってさ。子供のくせに理屈をガタガタウンヌンしたがるかわいくないやつだったおいらとしては、今になってそれを思い出すと妙な敗北感にまみれてしまってさ。その理屈ってのはこんな感じ。

「歩きながらものを食べるのは人間くらいなものです。他の動物はそんな行儀の悪いことはしません」

これ、その時は「おおーなるほど」と思ったもんじゃった。

今思う。けど動物って食べ物をくわえて歩くぞ。あれもあれでかなり行儀悪いんじゃね? まぁ「手で持って歩く」ができないからどうしようもないんだけどさ。

あとさ、考え方を変えれば、「歩きながら食べる」ってのは同時に2つの動作をこなすことなわけで、かなり高度な機能なわけです。地球の生物で人類だけに許された特権とも取れるわけで、それをやるべきかやらないべきかは、当の人間が選んでいいことだったりする。神様的には別にどっちでもいいよってことなんだろうと思う。だってそうできるように人体が設計してあるんだもん。

動物の能力とマナーってのは全くの別物で、あんまし関係ないってことですな。てことで、上の理屈は子供騙しの屁理屈だったわけです。子供騙しに簡単に引っかかって、いい大人になってからようやく見抜けたってことで、まぁ全然自慢にもならんことだけど。

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ちなみにツール・ド・フランスみたいな自転車の長距離・長時間の競技だと、ペダルを漕ぎながら食事するらしいよ。生理学の裏付けのもと、そのタイミングも勝負の駆け引き材料になるそうで。

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ずいぶん前、友達数人と1升瓶の酒を回し飲みしながら歩いたことがあってさ、一人だけ、立ち止まらなきゃ飲めないやつがいたっけ。彼のマナー的な問題だったのか、それともこれってある程度訓練しないとできないものなのか、いまだに謎。

ていうかそうやって飲んだらさ、瓶の口が前歯にゴキゴキ当たってなんかヤだったよw

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2009.10.29 木曜
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こけおどしっぽい前進

アメリカの新型有人宇宙船計画用のロケット・アレス I の試験機アレス I-X の打ち上げ実験が成功した、とのことで、新聞にも YAHOO! ニュースにも写真付きでけっこう派手に出てたね。

おいらそれをチラと見て、『おお、意外と計画は進んでたんだなー』と思ったよ。

けどそれ間違いだった。

アメリカ人、大したことじゃないのに騒ぎすぎ。事情に疎い日本のマスコミ、すっかり騙されちまってるよ。

記事をよく読んだらば、今回テストしたのは1段目のみ。2段目とペイロード(宇宙船)部分は形と重量を揃えただけのダミーだそうで。どうりで到達高度 45km は低すぎると思ったよ。確かにロケットって1段目の開発が一番難しいんだけどさ、アレス I はちょいとそこらにカラクリがありまして。

この1段目、正体はスペースシャトルの固体燃料ブースターの流用なんだよね。完全にそのままってわけじゃないだろうけど、ほとんどそのまま。だから今回は成功してある意味当たり前の、あんまし技術的到達度の高くない試験だったってことでひとつ。

報道されなかった部分にいろいろな新技術がぶち込まれてたのかもしれんけど。その動作確認が成功した、ということで意義のあったことだったのかもしれんけど。でも記事からはそれ確認できないし。ああでも振動のデータは取れたはず。そこらは実際に飛ばさないとよく分からんらしいんで。固体燃料ロケットの振動はキョーレツらしいし。

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

いやいやちょっと待て。アレス I の1段目の正体はスペースシャトルの両脇に付いてるブースターのはずだけど、

アメリカンロケットサイズ比較
それにしちゃでけーなオイ。

セグメントを4個から5個に増量したそうだけど、見た目それ以上に見えるのはなんでだ? 目の錯覚かなぁ。

っつーか図の右端のアレス V って、サターン V ロケットに匹敵する巨大さですな。打ち上げ能力は若干上回ってるし。日本最大の H-IIB ロケットの約8倍ってあんた……。いやいやいや、こりゃ〜まかり間違えれば国の経済が傾く規模ですな。瀕死のソビエト経済にとどめを刺したと噂される エネルギヤ=ブラン の二の舞にならないことを祈るよ。

しかしエネルギヤってスペースシャトルのオービター抜きと似たような形とサイズだったわけで(ブースター4本装備だったけど)、それでアレス V の7割近い打ち上げ能力(低軌道でアレス V が130トンなのに対してエネルギヤは88トン)って立派だと思う。

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2009.10.30 金曜
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裸の王様

いやー何がすごかったかって、4日前、ちょいとやらかしていざこざになってしまって。

いやさ、裸の王様に面と向かって「王様、裸ですよ。そんなのおかしいのでやめてください」と言ったら処刑されそうになってさ。

いやいやいや、おいらの首ちゃんとつながってるけどさ。っつうかこの1件で、王様がもっと上から隠れてヘンテコなことやらかしたのが上に発覚したんで、王様の立場はなんぼか悪くなってしまったんじゃないかと思うけどさ。

おいらの側の非としては、言われる相手の身になっての振る舞いじゃなかってこと。これはいかんかったよ。反省しとるだす。

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2009.10.31 土曜
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正しい日本語ってさ……

外来語を日本語表記するのって、難しさがあるよね。日本語の発音の数が少ないってのもあるし、そもそも発音の概念が違うのが普通だから、正確に表記できないのは最初から仕方のないことと思う。逆に、発音の種類が日本語より多い英語圏だって、日本語をいつも正確に表記できるわけじゃないし。「こんにちわ」→「コニチォワー」とか。

いやさ、正しい日本語を指導されてるあるサイト様で、そのあたりでちょっと「ん?」と思うのがひとつあったんで。

【誤】 ウォッカ ⇒ 【正】 ウォツカ

どうせ原語に忠実に表記できないんなら「ウォツカ」だって間違いってことで、「ウォッカ」でも別にいいんでないかなー、と思って 、とりあえず Wikipedia で調べてみた

どれが正しい・間違いの区別なく、いろいろありますがな読み方。「ウォッカ」「ヴォトカ」「ウォトカ」「ウォツカ」「ウオッカ」「ヴォトカ」「ウォトカ」「ウォツカ」。

まぁ、「ヴ」か「ウ」、「オ」か「ォ」、「ツ」か「ッ」か「ト」でいろいろ組み合わせられるってあたりですか。で、きっとどれでもロシア語の正確な発音とは違ってるんだろうなぁ。

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「ウラジオストック」って「ヴラディヴォストーク」の方が発音が近いって聞いたことあるなぁ。そういえば「ヴォストーク」はソビエトが打ち上げた世界初の有人宇宙船の名前だね。意味は方角の「東」だそうで。じゃあ「ヴラディヴォストーク」は「東ヴラディ」なんだろうか。「ヴラディ」ってなんだろう。とまた Wikipedia で調べたら、この都市の名の意味は「東方の支配地」だそうで。うおお、ロシア/ソビエトの軍事拠点であり続けた歴史を持つだけに、ご近所さんとしてちょっと怖いぞこの名前。

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