ひとりごちるゆんず 2011年4月
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2011.4.1 金曜
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こうのとり、還る。

エイプリルフールだけどスルーでひとつ(自粛じゃなく、いつもそうなんでw)。

国際宇宙ステーション(ISS)に係留されてた日本の無人補給機 こうのとり 2号機、おととい無事に任務を終えたね。ISS から分離した後、大気圏再突入が確認されたそうな。

ISS の「最初で最後の大集合」の一役を演じてくれた後、震災の話題に追われてすっかりごぶさたしてしまってたよ。

こうのとり の管制室は茨城県つくば市。筑波は内陸だから津波被害はなかったろうけど、地震の影響で通信を確立できなくなったりして大変だったらしい。毎日新聞から(記事1, 記事2, 記事3, 記事4, 記事5, 記事6)。

ミッションフルコンプリートでしたなぁ(喝采)。しかし最後の記事、虎野吉彦プロジェクトマネージャーの災害対応のセリフがすごい。

「2000通りのトラブルを想定して何度も練習してきたが、2回線途絶は想定を超えていた。3号機では(こうした事態でも)通信回線を確保できる対策を取る」

と言いつつも、最後まで見事にやり遂げちゃったわけで。

確か2号機のスタッフは1号機とはかなり替えてたはず。人材を育てるために若手を多く起用したんだったような。それにしてもこれはまた凄まじい経験を積みましたですな。幸い、震災発生から離脱準備に入るまで こうのとり の管制業務はあんまし多くなかったと思うけど、とはいえ1年に2カ月の こうのとり ミッション期間中に1000年に1度の大災害が当たったわけで。

「幸い」というのも実際はそうじゃないかも。筑波の管制センターの通信復旧がもっと遅れてれば、こうのとり の離脱と再突入が遅れに遅れてたかもしんない。きっと震災の諸々の悪条件の中、必死に復旧を進めた成果として、無事な再突入の日をめでたく迎えたんだと思う。そして ISS 計画に一切迷惑をかけなかった。最悪、自力運用を諦めて NASA あたりに丸投げという選択肢もあったと思うけど、その事態には至らせずに自主独立を貫いた。

はやぶさ みたいにギリギリの状況からあらゆる手を尽くして生き延びるのも素晴らしい成果だけど、ギリギリの状況なのに全体のプロジェクト進行に何の滞りも発生させなかった、というのも同じくらい素晴らしい成果だと思うよ。当初の予定通り こうのとり 2号機は産み出され、予定通り順調に役目を果たし、途中、地上管制室が前代未聞の大災害に遭いながらも、予定通りに ISS から離れて、予定通りに元素の化合物に還った。

そういえば打ち上げは悪天候で2日延期したけど、軌道を工夫して到着は予定日ぴったりだったね。怖いくらい完璧ですがな。

2000通りものトラブルを想定して何度も練習して、それでも想定外の大災害に見舞われて、そこを臨機応変に対処して事無きを得た。東京電力に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ……。

震災直後はこっちがびっくりするほど同情的だった世界の世論も、日本政府の援助受け入れの不備や東京電力の原発事故対応のダメさ加減に、不満の声が大きくなってきてる感じ。そんなさなかでもきっちり任務をやり遂げた日本のチームがあるんですな。日本は宇宙分野じゃまたひとつ、きちんと信用を築いたと思うぞ。

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3号機の製造が筑波で進んでたと思うけど、地震の影響はなかったろうか。部品の調達は問題ないかな……。

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2011.4.2 土曜
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福島第二原発はどうなった

福島の原発、第一にばかり気が行ってしまって、第二はどうだったっけと。3月11日から数日後のあたりで、まだ半径●km は避難するようにって感じだったと思う。そのうち第一がヤバくなって、そっちの半径が 30km に拡大されたら、第二の範囲をすっぽり覆ってしまってたような。それでも地図では第二の丸は消えてなかったような。

あれってどうなってたかなと。

Wikipedia の福島第二原発のページを見ると、「3月15日に全ての原子炉が『冷温停止』状態となり安全に停止したことが発表された」だそうで。女川原発と同じ状態に無事に持って行けたと考えていいのかな。女川の方は近くの避難者が敷地内で暮らしてるほど安全な状態なわけで、福島第二ももし同じなら、あの丸の表示は解除でいいんじゃないかと思うんだけど。ってここ数日で解除されたとか?

んで最新情報を探してみたら、マピオンが出してくれてた

避難範囲

オレンジ色の丸が第二原発。いまだにマークされてるんか。

東京電力か政府が一言断ってからマークを外した方が、余計な情報が減って混乱しにくくなっていいと思うんだけど。実際、第一原発の作業員さんたちが第二原発内の施設で交代で寝泊まりしてるらしいし、街宣車が勝手に入り込んで迷惑かけたりもしてるしw

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2011.4.3 日曜
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予言映画

原発の問題、黒澤明が生きてたら「だからあれほど言ったのに」と呆れてたろうなぁ。オムニバス作品『夢』(1990年)の『赤富士』と『鬼哭』、今観る価値あると思う。たぶんこれから、世界中で『夢』が見直されると思う。同時に『日照り雨』『桃畑』『水車のある村』で日本の風景美を再認識してくれるだろうよ。

その美を今本当に原発事故で失おうとしてる日本に対して、どんな気持ちになるだろ。

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2011.4.4 月曜
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1年繰り上げ説 - 金星探査機 あかつき 1

ずっと話題にしてなかったけど、金星探査機 あかつき、再挑戦が1年繰り上がるかもしれなかったんだよね。毎日新聞の記事(元記事はもう削除されちまっただよ)

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あかつき:軌道再投入1年前倒し 「待ち伏せ作戦」を検討

毎日新聞 2011年1月5日

金星を回る軌道への投入に失敗した探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「6年後」としてきた金星への再投入計画を1年前倒しして、5年後の再挑戦を検討していることが4日分かった。あかつきをゆっくりと減速し、金星が追い付くのを待つ作戦で、トラブルで出力が落ちたエンジンでも実現可能な計画として浮上した。期間短縮は、機器の寿命の面でも有利に働くとみられる。【山田大輔】

あかつきは昨年12月7日に金星に最接近した際にエンジンを逆噴射して急減速し、金星の引力で進路を変えて周回させる予定だった。しかし、エンジンが計画より短い約2分半で停止。速度は十分落ちず金星を通過し、現在は太陽を回る軌道を金星より速く飛行している。

JAXAは当初、金星が太陽を10周する間にあかつきが11周し、金星が「周回遅れ」になる6年後の16年12月〜17年1月に最接近させる予定だった。だが、その後の調査でエンジンの出力が約6割に落ちていると判明。配管の弁の異常による燃料供給の支障や、エンジン噴射口の破損の可能性があり、完全復旧は厳しい状況だ。

噴射が弱ければ、最接近時に急減速が必要となる再投入は困難になる。このため、JAXAは、あかつきの速度を少しずつ減速させ、太陽を8周する5年後に金星に追い付かせる検討を始めた。時期が早まれば太陽からの放射線による機器故障の危険性が軽減され、金星投入後の長期観測も現実味を帯びる。

JAXA関係者は「当初計画の速度では、おそらく再投入できない。あらゆる可能性を検討し、金星の観測を実現したい」と話している。

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山田大輔記者には はやぶさ 以降、宇宙関係でずいぶんとお世話になっております。最近は原発関係で精力的に記事をお書きになっておられますなー。

あかつき の事故原因はモノがはるか彼方なもんで、限られたデータから暫定的な解釈しかできないわけで、おいらもいろいろ推理を楽しんだわな。で、公式見解はおいらの解釈とはけっこう違ってた。向こうはプロだし当事者だし詳細データも押さえて理解してるんで、向こうのほうが圧倒的に正確なわけで。

で、おいらはエンジンの出力は9割くらいはいけると思ってたけど、6割か。厳しいなぁ。ノズルスカートがほんとに破損してるなら、燃費がその程度まで落ちてるってこと。そうなると当初計画通りの軌道に入るのは、記事のとおり難しそうだね。となるともっとひょろ長い楕円軌道ってことで、それで観測できなくなるテーマもあるだろうけど、それでも構わないテーマもきっといくつか残るだろうと。妥協しなきゃなんないのは近点での観測。近点での速度が上がるわけで。計画通りだと近点で金星の雲をじっくり観測するつもりだったけど、それより早く通り過ぎてしまう。しかも軌道エネルギーが高いままだから周期が長くなって、近点での観測機会が減ってしまう。そこらの影響が大きそうだな。

あと、問題を起こしたバルブの改善方法がなさそうってのが怖いところ。それでも同じブツで地上実験を繰り返して、ちゃんと動きそうな条件範囲を決めていくだろうけど。いやーしかし肝心なときにまさか逆流防止バルブが反逆とはなぁ……返す返すも……。

報じられてる軌道の方は、遠日点高度を落とすのかな。金星の軌道をちょっと外側にはみ出してたぶんを。軌道投入エネルギーを小さくするならスイングバイの速度差を小さくする方向に持って行くはず。それなら軌道の楕円を小さくする方向。前に3年後の再挑戦を狙ってざっと自力計算したときは、それだけだと足りないっつう結果が出た。けど5年後ならそのくらいでいけるのかもしんない。

不幸中の幸いかなーと思うのは、12月の金星軌道投入のとき多く使ってしてしまったのが酸化剤の方だったってこと。燃料の方はバルブが詰まって出が悪くなってしまったわけで。あかつき にはメインエンジンのほかに、姿勢制御用のエンジンがいろんな向きにいくつもついてる。これ長期の運用に是非必要なものでして。ていうかこの燃料の残量で探査機の寿命が決まる。

んでこの小さなエンジン、燃料だけで作動するんですわ。酸化剤が要らない(そのぶん効率は落ちるけど)。だからまだ比較的たっぷり残ってるはず。金星周回軌道に入るには強力なエンジンが必要。だから酸化剤も使うメインエンジンにがんばってほしいけど、もし5年後に曲がりなりにも金星周回軌道に入れれば、あとはゆっくり軌道変更ができる。そこからは姿勢制御エンジンだけでいけるってこと。

さらに軌道投入直後にもしメインエンジンと酸化剤がまだ生きてれば、酸化剤を使い切るまでメインエンジンで軌道変更できる。その後の姿勢制御に使う燃料をそれだけ多く残せる。てことでメインエンジンには5年後、きついだろうけど是非ともがんばっていただきたいのココロ。

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なんで今頃 あかつき を一生懸命考えてるのかっつーと、こうしてると震災や原発のことをつかの間だけど忘れてられるからw

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2011.4.5 火曜
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1年繰り上げ説 - 金星探査機 あかつき 2

あかつき の5年後プランでの再挑戦をシミュレーションしてみようとか考えてみたりして。

12月17日の発表文(PDF)の図からそこらを考えてみた。まずは図1として今の あかつき の軌道(赤色)の図。その下の図2は あかつき の軌道についてのコメント。

軌道図
軌道についてのコメント

図1には2010年12月7日時点での あかつき と金星と地球の位置を書き足しといたよ。あかつき と金星はオレンジ色の○、地球は緑色の○ね。

あかつき と金星の位置の割り出しは、まず両軌道の交点であること、スイングバイ後に あかつき の軌道が金星の軌道の内側に入り込んだこと、の2つから、図の180°の位置と特定したよ。

地球の位置の割り出しは、下の図3から。太陽−金星−地球の成す角度がちょうど90°らしかったんで、そこから単純に出してみた(模式図だから精度はギモンだけど、アバウトな計算だからいいかな)。

投入軌道と金星の状況

んで5年後プランの前提として、昨日の推測を使ってみた。あかつき の遠日点が金星の公転軌道に内側から接する、というやつ。そこからいろいろガチャガチャ計算して、出ましたよ。5年後の各要素の位置が(図4↓)。

2015年の再挑戦の布陣

時期は2015年10月の前半から中頃(計算じゃ10月11日と出たけど、前提の精度が低いんでテキトーに幅を持たせた)。

もしかしたら2010年12月7日より地球からの観測条件が良くなってるんじゃないかと期待してたんだけど、悪くなってたわ orz

  2010年12月 6年後プラン 5年後プラン
金星−地球の距離 1億km 1億km 1億2500万km
太陽−金星−地球の成す角度 90° 90° 78.8°

うおお、自作 JavaScript "TABLE Maker" ラクだぁー(自画自賛)。自分のコピーロボットと一緒に作業してるみたいだーww

んで前回の逆噴射時(6年後プランもまったく同じ位置関係)と比べた結果は、距離は 25% 増し、地球から見えるアングルは 11° ほど見にくい方向。火星探査機「のぞみ」のときもそうだったけど、どうも日本の惑星探査機は人が見てないときの大仕事に弱いみたいでさ。その心配は5年後にまた持ち越しですな。

それでもちょっと有利になるのは、金星に接近するコースが違うってこと。前回は地球の軌道よりちょっと上(1.07AU)から落ちていったけど、今度は金星の公転軌道(半径 0.723AU)よりちょっと下(近日点距離 0.6AU)から駆け上がってくる。進入角度差がどのくらいか計算してないけど、逆噴射中の あかつき の軌道はこれでちょっと地球の方を向くことになる。これで相殺して前回と同じくらいにでもなってくれればいいがなぁ。

Wikipedia 記事によると、5年後プランは毎日新聞が出しただけの状態で、現時点で公式発表じゃないそうな。検討はされてると思うけど。

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Art of Illusion で前回(&6年後プラン)と5年後プランでの、地球からの金星の見え方を作ってみたよ。同じ倍率の望遠鏡でこう見えるだろうって感じで。

地球から見える金星2010年12月7日と2015年10月1〜20日

ものは取りようというか、このくらいの距離ならまだ条件はそんなに悪くない気がする。はやぶさ が小惑星イトカワを探査したときは、地球から見て太陽のほぼ反対側の地球軌道上のあたり、3億km(2AU)の彼方だったもんな。

ものは取りようついでに、12月7日の逆噴射が計画の2割程度で終わったのも、まだいい方だったのかも。おかげで次の会合まで5〜6年も待たされることにはなったのは事実だけど、噴射がもっと短ければ会合周期がさらに長くなって、機器の寿命がもっと危なくなってた。噴射がもっと長い&軌道投入の下限の9分20秒より短ければ、あかつき の近日点は今よりずっと太陽に近いところまで落ちてた。あかつき の設計はそこまでの高熱に耐えられないはずなんで、焼け死んでたかも。

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これ4月5日のログだけど、4月7日の深夜に書いてたんだわ。んで AoI で金星の絵を作ってたら震度5強で停電。保存かけてなかったもんだから金星画像が消滅しちまった orz

まぁモデリングもレンダリングも最高レベルに単純だから、すぐ作り直せたけどさ……。

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2011.4.6 水曜
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大地震予知は数日前に可能

前にも書いたことあるネタだけど、大地震発生を数日前に予知することは技術的にできる。今の緊急地震速報は恐らく世界で唯一実用化されてるものだし、仕組み上、間に合わないことも空振りもあるけど、それでも何もないよりずっとまし。んで、それで分かるのが数秒前じゃなく数日前なら、対応が何もかも違ってくる。「私には未来が見えるのです」なんて言い張る人のいい加減な予言を鵜呑みにしなくてもいーしさ。

てことでこの記事。ISAS/JAXA の3年前の発表なんだけど、国として研究・開発を本格化させるわけにはいかないだろうか。

地震が電離圏に及ぼす影響を「ひのとり」のデータで研究
論文「地震に伴う電離圏電子温度低下」アメリカ地球物理学連合の学術誌に掲載

1981年打ち上げの太陽観測衛星「ひのとり」で取った地球電離圏の電子温度データから、地震の震央になる場所の上空で、発生の5日前から兆候が出てたことが分かった、というもの。

ひのとり
「ひのとり」公式サイト

ひのとり は本業が太陽観測衛星だけど、一緒に電子温度・密度測定器が搭載されてたそうな。Wikipedia の「電離層」だと、ひのとり の軌道高度 600km というと最上部の「F2層」(昼間)と「F層」(夜間)での測定ですな。

いろいろ条件や不明な点があるみたいだけど(なぜそうなるのかの仕組みが不明とか、震源が深かったり海の下だったりだと検出できないとか、太陽活動が原因の磁気嵐と区別できないとか)、それは精度や観測範囲を拡大すれば明らかにできるのかもしれない。

国際宇宙ステーションに観測機器を載せてのデータ取りも始まってるみたいだけど、ここは日本主導で行きたいですな。ひのとり で使われた高精度な観測機器は日本独自らしいし、これが実用化されると一番利益を得るのが日本だしさ。

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

ただ、日本の地震学者は空中の予兆現象については懐疑的みたいでなぁ。たぶん過去に「地震の前夜に空が光るのを見た」みたいな曖昧な話に振り回された苦い思い出があるからかもだけど、この話は科学者が詳しいデータとともに公式に発表したものなんで、検討に値するものだと思うよ。

そのためにわざわざ衛星を打ち上げるのって「でも、お高いんでしょう?」って気がするけど、果たしてそうなのか。

地震の数日前から電離圏を擾乱させるほどの電場が発生するなら、その発生源が震源地近くなら、地上でも観測できるはずだよね。てことでその線で行くと安く上がりそうだけど、定点観測になるからたくさんの観測ポイントに機材を設置しなきゃなんないわけで。衛星なら常に地球の周りを回ってるから、何機かあれば地球上をまんべんなく観測できるわけで。コストはどっちもあまり変わらないような。しかも外国の地震も予知して教えてあげられるぞ。

衛星での観測機器は、ひのとり の打ち上げが1981年ってことは、70年代の技術で作られてる。今ならもっと高精度で安く小さく頑丈にできるはず。太陽同期軌道を参考にすると、1機1トン以内に収めれば、H-IIA ロケットで4機同時打ち上げができる。H-IIB ならいっぺんに8機いける。ひのとり はメイン業務が太陽観測だったんで、電離層の観測機器はオマケだった。それで全備質量がたったの 188kg。これは楽勝ですな。

衛星打ち上げでよく小判鮫してる、大学の研究室が作った超小型衛星。あの程度でいけるかも。それなら1機あたりの予算は1億円もかかんないかも。

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2011.4.7 木曜
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停電体質

てことでこのログの日付けである4月7日深夜に4月5日ぶんのログを書いてたら、震度5強(八戸)の揺れで市内全域が停電(これ書いてるの4月9日)。八戸市内どころか、東北地方の太平洋側ほぼ全域が停電したらしい。3月11日以来、東北と関東はすっかり停電体質になりましたなぁ。

忘れがちだけど、震災発生の2日前にもかなりでっかい地震があったよね。予兆だったわけで。あのときはまさか2日後に本番が控えてるとは思わなんだ。その前震じゃどこも停電しなかったような。3/9 と 4/7。3/11 が分水嶺だったのは誰でも分かるけど、東北電力の施設に、具体的に何にどう違いが出たのかな。

とりあえず宮城県と福島県の火力発電所が落ちたままってのはあるな。仙台火力発電所とかの宮城勢は、津波被害からまだ復旧できてないってことかな。福島の原町火力発電所は八戸火力の出力の9倍っつうごっつさだけど、場所が相馬市なんだよな。津波をかぶったろうし、福島第一原発の 30km 圏に引っかかるかどうかの微妙な立地だから、復旧作業さえ進んでないかも。

女川原発は 3/11 の地震発生直前まで稼働してたってことは、3/9 の地震じゃ止まらなかったってこと。4/7 現在は 3/11 以降止まりっぱなしのはず。そこもか。

今はとても「原発よ早くまた回ってくれ」って気分じゃないけど、とりあえず火力に復活してほしいところではあるなぁ。

日本のォォォォォォ火力発電はァァァァァァ世界一ィィィィィィィッ!!(洒落でなく本当に)

銘板
2011.4.8 金曜
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根本的モンダイ

原子力安全・保安院もまたヘンテコな発表したりして叩かれてるね。週刊誌は東京電力との癒着ぶりをすっぱ抜いたりもして。今までの原発の点検も、電力会社の操業に支障が出ないように配慮しながらだったとかも言われてるらしい。まぁそのぶん遠慮して、形だけの検査をしてたのかもしんない。週刊誌ネタの真偽は分からんけど、ここぞというときに権威として登場する割には頼りになんないってのは発表を聞くたびに思う。

んで思うんだけど、業者との癒着や配慮があるにせよ自分の専門のはずなのに頼りないにせよ、もともとがそうだからそうなんじゃないかと思うんだ。つまり問題は根本からなんで、今さらあの組織に文句付けてもどうにもなんないんじゃないかと。

何が根本的な問題かっつうと、これ経済産業省の団体だよね。文部科学省じゃなく。これ、なんで誰もツッコまないんだ?

大学の学部で言うと、経済産業省で主なのは商学部、経済学部、経営学部、法学部あたりかと。けど今現在原子力安全・保安院に求められてる専門センスは理学部、工学部、医学部のもの。

かすりもしない。

そりゃ科学技術や健康の話が分からんわけだわ。自国の経済と産業の発展のための省庁なんだから、そりゃ消費者より産業界に気遣って無闇に「安全です」「安心してください」を言いまくるわ。「許容値を超えていますが問題はありません」と分裂したことをしゃあしゃあと言い切れるのも、危険かどうかの判断を経済から離れた視点じゃできないからこそじゃないのかねぇ。

原子力技術の開発はもともとは旧科学技術庁の管轄のはずだったけど、実用段階に入ったってことで、旧通産省に担当替えになったかと思う。けど原子力の場合、安全に関する部分は相変わらず物理学と工学と医学のかなり分かりにくいところで判断する必要があるわけで、それは企業や業界の利益や社会全体の経済効果とは別の話なわけで。

そうなると、原子力安全・保安院は土台からして今の災害に対応できんのではないですかね。物事がうまくいってるとき専用の組織だから。組織体制や機械の現状維持ができてるかどうかをチェックするための機関だから、要は現状維持させるための組織。となると今みたいに「現状のままだと問題」のときに実効的な改善案や対策を練ったり実行したりってのはできないんじゃないかね。突っ込んだ専門知識がないから。

業界の利益とは離れて科学技術のセンスが必要となれば、これは今の原子力安全・保安院は一度全部潰して、文部科学省と厚生労働省の共同管轄の形で、まったく新しい人材と組織で作り直すべきじゃないのかねぇ。とりあえず今やると混乱してしまうから、福島第一原発が落ち着いてからってことで。

人や社会にはごまかしや印象操作が通用するけど、科学や技術にはそんなもんまったく通用しない。口だけで安全を唱えても「安全な気がするようになった」なんて洗脳効果だけで、実際は何も変わらんのですよ。政府も東京電力も原子力安全・保安院もそこを分かってらっしゃらないようで。つか、ごまかしや印象操作を繰り返すと、後々自分がしっぺ返しを食うってのさえお分かりになってないらしいな。「審査機構が信用をなくす → 業界全体も信用をなくす → 衰退または滅亡」っつう超当たり前な流れなのに、なんでわかんないんだろ。

つかこの前、東京電力の「1千万倍は間違いで本当は10万倍でした」ってあったよね。原子力安全・保安院に「1千万倍は行き過ぎでおかしい」とツッコまれて、やり直したら間違いが見つかったとか。もうどっちも信用してないから、どっちが正しいのか判断できん。ぶっちゃけほんとはきちんと測定できてて1千万倍の数字が出てて、政府と東京電力と原子力安全・保安院が口裏合わせて10万倍ってことにしたんじゃねーのかとか。

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2011.4.9 土曜
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認める人

人間誰しも、他者に認められたい。けど認められるってのはなかなかそうはいかない。認める方にも勇気や決断が要るってこともあって。まぁ要は、他者を認めるのは自分の今までとこれからが違ってくるからめんどいんだよね。できるだけ現状維持のままでいたいもんだから、他者の言い分はなるべく却下したりシカトしたかったりする。

今この国は非常時なわけで、新しい展開があるたびに、その情報が広がるたびに、どんどん情勢が移り変わっていく。てことでいろいろ対策してる方は外からのツッコミをなるべくスルーして仕事に専念したいとこだろうけど、そんな中で、その意味でなかなかナイスな御仁がいるなぁと。枝野だけどさ。

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福島第1原発:枝野長官、不手際「反省」…汚染水放出

枝野幸男官房長官は6日の記者会見で、東京電力が福島第1原発の低レベルの放射能汚染水を海に放出した際、国内外への連絡が不十分だったとの批判を受け「早い段階から政府内で準備を進め、関係省庁や各国との事前の相談や報告の手配がどうなっているか、私が指示すべきだったと反省している」と陳謝した。海洋汚染の拡大を阻止する狙いだったが、方針決定で総合調整を担う首相官邸の不手際を認めた形だ。【影山哲也、野口武則】

枝野氏は6日の会見で「高濃度の(汚染)水をキープする(ためておく)場所を確保しないと、今後も(海に)流れ続けかねないという強い危機感があり、丁寧な手順を怠ってしまった」「より丁寧な説明ができたのではないか。(放水)決定前の段階から、(説明の)準備に入ることが必要だった」と反省の弁を繰り返した。

汚染水の放出を巡っては6日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)が東電や経済産業省に抗議。日本政府が放出発表後に各国に連絡したことには韓国外交通商省が不満を示すなど波紋は海外にも広がっている。

海への放出について政府は「海洋汚染をより小さくするためのやむを得ない措置」(枝野氏)と説明しているが、国内外から一斉に批判が出たのは、政府の事前の調整不足が不安をあおった側面も強い。

水産庁を所管する鹿野道彦農相は5日、東電から事前連絡がなかったことについて、東電を所管する海江田万里経産相に「(東電から)何ら具体的な報告がなかった。厳しく指導してほしい」と不快感を示した。

海江田経産相は5日の会見で連絡不足について「4日に放水せねばいけないと、4日の段階で聞いた。汚染を少しでも少なくする手法を議論し、実際に(放出を)行うまで半日だった」と、急な決定だったと釈明した。

批判は野党からも噴き出した。6日の与野党と政府の震災対策実務者会合では、自民党の西村康稔衆院議員が「(関係機関に)事前に知らせなかったのはよくない。菅直人首相がメッセージを出すべきだった」と指摘。

社民党の阿部知子政審会長は「放出は本当に避けられなかったのか」と東電の判断に疑問を呈した。外国向けに連絡しなかったことについて原子力安全・保安院の担当者は「反省している」と陳謝した。

毎日新聞 2011年4月6日 21時40分(最終更新 4月7日 0時19分)

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自分の犯した間違いをとっとと認めると、その後の対応を早く正しくできるね。疑惑もそれ以上は発生しないから、要らぬ誤解も新たに受けずに済む。てことで、今回のこの対応は正解だと思う。てことで問題は、これに乗じて叩いてるやつら。この毎日新聞の記事は事実を伝える形を取りながら、要素には批判的なものを並べ立てて、中立とは言えん記事になっとりますな。

ここはそうじゃないだろ。

自分の失敗を認めるのって、一般的な組織でも社会でも、たぶん政治でも失点として扱われると思う。だからみんな自分がいっちょ変なことやらかしても知らない顔したり、そういうやつに力ずくでも認めさせようと吊るし上げたり、その上で認めたら思う存分に叩いたりするんだと思う。

「自分のしでかしたことを認めたから裁きを与える」ってのはたぶん法の論理に基づいてるんだと思う。けどその原理はあくまでも法の場合でさ、それは裁判所に任せりゃいい。それ以外の人がこれに則らなきゃいけないわけじゃない。

と言うと「お前は魔女裁判やアカ狩りの支持者か」なんてツッコまれそうだけど、そうじゃなく「認めたから制裁」という裁判所独特のルールを変に流用しちゃいかんだろよってこと。間違いを犯すのはいいことじゃないけど、それをさっさと認めてくれた方が、隠されたりとぼけられるより、その後に対策や改善をできるぶんだけはるかにいいよ。

小惑星探査機 はやぶさ の川口淳一郎先生の受け売りだけど、「これだからダメ」な減点法の発想は何も生まない。「これならいけるんじゃないか?」が新たな突破口を見つける(受け売りここまで)。そこから、「これならいけるんじゃないか」案を検討する前提として、正確な状況把握が必要なわけ。ところが事実を隠されるとこれができない。だから何も進まない。進んでるつもりでも間違った方向だったりする。

弱ってるものを叩きたがるのはもしかしたら人間の本能かもしんないけど、そっちはどん詰まりだよ。物事を洗練していくには、まずは自分の間違いを素直に認めることと、間違いを認めた人をねぎらうことですな。

おいらにとっては「人の振り見て」ですわ。反面教師ならもう結構ってほどそこらじゅうにいるからいいとして、今回の枝野対応はまともな好例として覚えておこうっと。枝野ありがとよっ。アタマ悪い人たちに叩かれる覚悟がやっぱし必要ではあるけどさ。

この人は弁護士出身らしいから、「認める」「認めない」の意味を身にしみて理解してるのかもね。

と持ち上げといてなんだけど、コメントの内容に間違いも嘘もないとまでは信用してないおいら。この人は「ただちに問題ない」の人でもあるからな。それにコミュニティ内に信頼できそうなキャラを育てて、その信頼を利用して好き放題やらかすって手口、前に別口で目の当たりにしたことあるもんで。

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その考えで行くと、福島第一原発事故についての勝又会長の「初動のまずさ感じない」コメントは対極ですな。こんなセリフを言わなきゃいけなかった真の理由が必ず裏にある、と勘繰らずにはいられないね。信頼されてる状況ならこのコメントは会社にとっても社会にとってもプラスに働くだろうけど、初動のまずさで信頼を失った今の状況じゃ逆効果だよ。東京電力と会長自身ともに極度の不信に晒されてる現状を、この人はまったく理解できてないってことは分かった。まぁ「今の東京電力よりは自分個人の方が信じられている」とでも思ってるのかなぁ。

あるいは、初動でやらかしてしまった経営陣をかばって、彼らに恩を売るつもりなのかもしんない。もしそうだとして、東京電力内での勝又会長の地位は上がるだろうけど、その東京電力全体の信用をますます落としてしまったわけで。外から見て、結局何をどうしたいのか分からん。

勝又会長、あんたが最優先で守るべきものは、あんた自身の立場でも東京電力でもない。あんたらが破壊しつつあるこの国、日本だよ。日本があって東京電力と東京電力会長のポストがある。その順番を間違えんでくれ。

なんて偉そうに言いつつ別なことも考えてたり。

3月14日の夜か15日の早朝、東京電力が福島第一原発から社員を全部撤退させたい、としたら総理がブチキレた、という話でさ、そのときは「そりゃーキレるわなー」と思ったんだわ。だってそんなの無責任じゃん。けど今思うと、東京電力のその判断は正しかったのかもしんない。だってあの会社の東京本社、自社の技術について無能じゃん。あの状況で的確な判断なんて、もともとできる素地がないだろ。

んで東京電力はさっさと現場から撤退して、日本政府は IAEA とアメリカとフランスの人材と装備を借りて対処すればよかったんじゃないかと。東京電力、件の原発の持ち主だから責任あるのは分かるけど、現状を見ると、幹部の判断ミス連打で現場作業の邪魔ばっかしてね?

国が福島第一原発を東京電力から取り上げて、国内外の本当の原発事故・核汚染対策の専門家たち(東京電力と癒着してない人たちで)と自衛隊とで専属チームを作って対処してもらったほうがいいんじゃね? 新チームにとっても「ほかのやつがやらかした事件」ってことで、状況判断も客観的になるしさ。で、かかったコストは東京電力にしっかり請求、と。たぶん今のままより早く確実に片付くし、そのぶん安くも上がるよ。

んーでも東京電力の現場組はどうしても必要だよな。ブツに精通してるんで。

東京電力の幹部だけ、事故対応の組織から丸ごと外れればいいんじゃん。もしそうなったらもう現場も世間も混乱させるような余計なことしなくてよくなるよ。あとは事態が落ち着いてから、確実に責任だけ取ってくれればいいよ。「責任を取る」ってのは引責辞任すればオッケーとかじゃなく、賠償責任を取るってこと。

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2011.4.10 日曜
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中央が破壊する情報網

関西って景気がいいはずなんだが、本州の東側がへたり込んでるぶん特需状態のはずなんだが、そこらの話がまったく聞こえてこない。被災地としては、たまには日本経済がしっかり回ってることを確認したいんだけどな。もしかしたら東日本につられて経済がおかしくなってたりもあり得そうだけど、そこらへん今どうなってるのか、マスコミ経由じゃまったく情報が来ない。

「自粛」「不謹慎」で景気のいい話を封殺されてるのかな。それとも単にまた在京マスコミが地元ネタを全国ニュースと混同して最優先するあまり、「東京核パニック」だけに囚われて、西の話を東に伝えるのを忘れてしまってるんじゃないかとも思ったり。

だとすると、東の被災地の話もきちんと西に伝わってるかどうか怪しいもんだってことになるね。

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そういやマスコミ経由じゃなくネット経由で、関西は関西で高速増殖原型炉 もんじゅ の危機説が出てるね。ナトリウム漏れ事故が隠蔽事件に発展した頃から、なんか危ない、と漠然と語られてた原発だったね。そして去年の8月に起きた炉内中継装置落下事故風説でかなりまずいとかいうような(曖昧な話でスマン)。東日本大震災前の段階で、それまで何度も復旧を試みたけど全部失敗に終わってる、てとこまでは押さえてた。新聞社のニュース記事はもう消えてしまってるんで、ガジェット通信の記事にリンクしてみる。

ここではウワサ系はほかには紹介しないけど、破滅を伴う悲観的なシナリオも出とりますな。おいらにはしっかりと検証・予測する能力がないんで、そこは触れないでおくよ。デマになっちゃうんで。

Wikipedia 記事じゃ現状(炉内に落ちた中継装置が液体ナトリウムに浸かったままの状態)を保つ維持費が1日5500万円ってことになってるね。もしほんとだとして、たぶんそりゃ主に、大量のナトリウムを高温状態(液状)で維持しなきゃなんないからかな。たったそれだけのために税金からこんなに出さなきゃなんないとは、ほんとタチが悪い支出だわ。

金銭面でもアレだけど、もひとつ気になるのが今年の2月14日、装置を現場で担当する燃料環境課長が自殺してたってこと。早まったことをしてしまった真実は本人にしか分からんだろうけど、なんかこう、不安にさせるというか。この人はこの事故が何を意味するのか、つまり もんじゅ がこれからどんな事態を引き起こすのか分かってたんじゃないかと。この人がとても責任を負いきれないほどの凄惨なことが起こるんじゃないかなぁとか妄想したりしてさ。あるいは、この人の上役の保身のためのトカゲの尻尾切りに付き合わされたのかもなぁとか。

この事故が単に持ち主の日本原子力研究開発機構が困るってだけなら、部外者のおいらにとってどうでもいいことなんだけど、世の中はもう福島第一原発事故を経験してしまった。その影響で(おいらが)悪い方向に考えが及んでしまいそうで。

もちろん現場じゃ作業員さんたちが必死で復旧に向けての検討と作業をしてくれてるはずだから、軽はずみなことを言っちゃいかんけどさ。

福島第一原発ともども早く「事故対応完了」の声を聞きたいよ。

アバウトなことしか書けなかったけど、時期が時期なんで、下手に知ったかぶって半可通な専門用語とか並べるといろいろ攻撃されそうで怖くて。

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プルトニウム漏れの論議も深まっとりますなぁ。おいらの知識と判断力じゃ、どちらさんのおっしゃることも一理あるような気がして。てことで、おいらみたいな半端なやつがどっちかに付いて意見を言うと混乱の度合いが増すばかり、ってことだけははっきりしてる。この手のツッコんだ議論については黙ることにしますわ。

おのれの力不足を呪うこの春 orz

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2011.4.11 月曜
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謎の窒素漏れ

夕方に起きた福島浜通りの地震、とりあえず大事に至らなかったみたいだね。ホッ。

んでその前後にちょっと理解不能な謎の記事が出てるんだが。福島第一原発1号機への窒素注入とその漏れについて。読売新聞毎日新聞

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窒素注入、圧力上がらず…放射性物質が漏出

東京電力は11日、水素爆発を防ぐため窒素を注入している福島第一原子力発電所1号機の格納容器で、圧力が1・95気圧から上昇しなくなり、放射性物質を含む蒸気や窒素が外部に相当量漏れていると発表した。

東電によれば、7日未明から毎時28立方メートルの窒素を注入している。容器内の圧力は、7日の1・56気圧から9日の1・9気圧まで徐々に上昇が続いたが、10日頃から圧力が1・95気圧のまま上がらなくなった。

計算上は1000立方メートル前後の蒸気や窒素が外部に漏れ出したことになる。ただ、今のところ原発周辺の放射線量に大きな変化は見られない。

1号機には、6日間で約6000立方メートルの窒素を注入し、1・5気圧を2・5気圧にする予定だった。東電では「格納容器の密閉性が損なわれ、相当量が漏れている」とみている。東電では、水素爆発を回避するため、当面、現在の注入を継続、対応策を検討する。

(2011年4月11日13時37分 読売新聞)

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福島第1原発:注入の窒素が漏出か…1号機格納容器

東京電力は11日、福島第1原発1号機で、水素爆発の発生を未然に防ぐため、原子炉格納容器への不燃性の窒素ガスの注入作業を進めた。しかし、容器内の圧力は1.95気圧(正午現在)で、前日から大きな変動はないという。圧力が上がらない原因を東電は「注入した窒素が容器内から外部に漏れ出ている可能性がある」と分析する。

◇圧力上がらず

東電によると、原発施設周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの数値には大きな変動がなく、漏れ出ている放射性物質は少ないとみられるという。

窒素の注入量は1時間当たり28立方メートルで、午前6時現在の総量は2800立方メートル。窒素注入を継続しながら、圧力が上がらない原因を調査する。

東電は、4月7日から6日間かけて、約6000立方メートルの窒素を注入し、容器内の圧力を2.5気圧にする予定だった。しかし、11日朝までの注入量は2800立方メートルにとどまった。容器内の圧力は窒素注入に伴って上昇傾向を示してきたが、同日朝になって平衡状態に転じた。注入作業は、同日夕の最大震度6弱の地震で中断された。

経済産業省原子力安全・保安院は「水素と酸素の反応による爆発的燃焼を予防するためにも、窒素を緩やかに入れていく」と話す。

また、同原発2号機取水口付近から漏れだしていた高濃度の放射性汚染水が海へ拡散するのを防ぐため、汚濁水の拡散防止のために利用する「シルトフェンス」の設置作業も行われた。【中西拓司、河内敏康、藤野基文】

毎日新聞 2011年04月11日 20時39分

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窒素を注入してる1号機の格納容器の内圧が 1.95気圧で止まった、と。注入してもその気圧のまんま。だからどこかから漏れてる可能性あり、と。記事はそう言ってるわけだけど、この窒素注入作業、おいらはてっきり格納容器の密閉がとっくに破れてることを分かった上で、内部の気体が外に漏れることが前提でやってるもんだと思ってただよ。それが、密閉が生きてることが前提だったんかい。んで漏れてることが今分かって慌ててるんかい。だとしたらこれ辻褄が合わないような。

格納容器内の水素と酸素の量は、密閉されてる場合は減らない。逃げ場がないから。水素と酸素は、圧力容器内の冷却水が放射線で分解されて出てくるぶん増える一方。それは窒素を入れようが入れまいが同じ。てことで爆発のリスクも同じ。引火してしまったときの爆発力も同じ。それどころか窒素を足したぶん内圧が高くなって、格納容器の強度の余裕を奪う。爆発したときの破壊力も上がる。つまり、やる意味がない。

格納容器に破損があって中の気体が漏れる状態だと、窒素を入れたぶんだけ水素や酸素(と混ざった窒素)が外に出る。水素と酸素の収支は、生成量より排出量の方が多けりゃ赤字になって、だんだん少なくなる。だんだん安全になる。

なんか水素・酸素の雰囲気中の濃度で発火しやすさが違うとか聞いたこともあるな。4% だか 5% だかそこらへん。今回の窒素注入はその数値を下回らせるため、と考えればいいのかな。けど密閉容器中だと水素と酸素の量は時間とともに増えていくわけで、割合を保つために窒素を積め続けると、容器の圧力はどんどん高まっていくわけで、いずれ限界が来る。爆発じゃなく破裂の形で(本質的には同じだけど)。あまり長続きしない策のうえ、最後はどん詰まり。やっぱし窒素注入はガス抜きしながらが前提だよなぁ。

どこから漏れてるのか分からないのが問題なのかな。格納容器の外のどこで水素爆発が起きるか分からないという理屈で。んー、1号機の建屋はとっくに吹っ飛んだ。格納容器はほぼ野ざらし状態。水素は格納容器の外に出たら、すぐさま大気に拡散して安全な濃度に落ち着くんじゃないかと。軽いから上に行くしさ。漏れがあっても格納容器の外での爆発は考えにくいですな。いったん当初予定の2.5気圧まで上げてからドレインで抜く手はずだったのかな。容器の上部から抜くと水素をよく排出できそうな気がする。けどそれなら計画発表段階でその話が出るだろうし。

漏れた気体に放射性物質が混じってるとまずいってやつかな。これ多分に混じってそうだね。前に外部に水蒸気の煙が派手に出てたときがあったね。放射性物質、もう出てる出てる。しかもヨウ素131やらセシウム137やらって炉心以外のどこで生成されるんだってな。つーかプルトニウムさえ屋外で検出されてるしさ。自慢だった「5重の防御」なんてかなり早い段階で筒抜けになって、圧力容器も格納容器もとっくに突破されてると思う。けど発表者側はそこははっきり言ってない感じだよね。「確かに内臓が飛び出ましたが、腹が破れたわけではありません」ってどんなイリュージョンだよ(自分で例えを出しといて吐き気がしてきた orz)。

……それかな? 建前上、炉心は外にまだ通じてないってことになってるから、圧力容器も格納容器も抜けてることは知らないふりをしたかったのかな? それで、窒素注入でそれが初めて判明した形を取りたかったのかな?

だとすると発表側の姿勢としては、「格納容器だけは抜けていたことが今日判明したが、その内部の原子炉圧力容器が抜けている証拠をまだ掴んでいないし調査も測定もするつもりがないので分からない。ひょっとして抜けていないかもしれない。いや抜けていないと私が信じているので決して抜けていない。大丈夫。圧力容器内でしか生成されないはずの放射性物質が外部で検出されているが、福島第一原発事故との因果関係は不明だから因果関係はない。放射線量が基準値を大幅に超えているが、基準値の方も合わせて上げるので直ちには影響はない。30km エリアに近い人たちは、問題はないが念のため自己責任・自己負担で自主的に避難することを許可する。安定ヨウ素剤は国が独占保有していて個人購入はほぼ不可能で、指定区域から一歩でも外れたら配らない。指定区域内の人にも配らない。しかし我々が資金援助してきた学者たちの発表は鵜呑みにして安心してほしい。ほかの意見は聞くな。確認もするな。楯つく者には容赦しない。また我々は避難民の対応で忙しいので、避難民の対応にまで手が回らない。各自でがんばれ。最後に、IAEA の勧告は無視すること」って感じ?

とはいえこれはあくまでも妄想。証拠ないし。

今おいらが分かってるのは、東京電力の窒素注入作戦、格納容器内の気体がそのぶん外に出ることが前提じゃなきゃ意味がないんだけど、「そんなつもりじゃなくやってみたら、そこで初めて漏れてることが分かった」と主張してるってこと。何なんだこれ。

信じられないけど信じることにすると、東京電力、自分で自分のやってることが何も分かってないってことになる。対策チームの参謀、高校程度の物理や化学を理解してないってことになる。それ危なっかしいだろ。

わざとだった、とすると、まぁ技術的にはちょっと安心できるけど、ウソの行動・発表をしたことになるわけで。だとしたらほんと不誠実な会社ですな。こんな子供騙しで欺く必要がある特定の誰かがいるのか? あるいは格納容器の破損を認めるまで、何らかの理由で世間を数日間だまして、時間稼ぎする必要があったのか? 株価の下落を遅らせて、大切な株主様にインサイダー情報でも流したのか?

策略だとすると、読売新聞と毎日新聞の記者さんたちは見事にハメられたみたいだけどさ。

「新聞社が発表を勝手に誤解したのかも」とも思ったけど、2社が同じ内容で報道してるからな、内容はたぶん発表を正確にそのまんま、右から左へと出したんじゃないかな。だとすると東京電力の言ってることがおかしいわけで。あ、もちろんおいらがいろいろ誤解してるのかもだけどさ(逃げを打っとくw)。

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1〜4号機が危ないとかあの号機はこうで、そっちの号機はそんな状態で……っての、恥ずかしながらどれがどれだかついていけてなかったんだわ。現状の大ざっぱな一覧が欲しいのに、新聞もテレビも不定期にしか出さないし見にくいし、Wikipedia はなんかバイアスかけたい人にいろいろやられてそうな気がするし。それでも見てみたら号機ごとの状況一覧がないし。と、ずっと困ってたんだけどとうとう見つけた。しかもバイアスなし。あっても最小限。それは IAEA 公式サイト

こういうのほんと欲しかったんだ。Fukushima Nuclear Accident Update Log 内で前日のログをクリックして、Summary of Reactor Status をクリックすると出るよ。1日ごとのまとめなんで、前日のログが最新ログだよ。

英語を読むのが面倒でも、ジャマイカ国旗の色wで分けられてるから、各号機がだいたいどんな状況なのか一目で分かる。表にある用語を調べたら、 "EQ" は「地震」、"RPV" は「原子炉圧力容器」(内側で燃料棒を納めてるやつ)、"CV" は「格納容器」(RPV の外側の容器)、"RCS" は「原子炉冷却材系統」だったよ。

4月10日だと、まず2号機の「炉心と燃料の健全性」(Core and fuel integrity)のセルが赤いね。「深刻な損傷」だわ。1号機と3号機は黄色で「損傷」。4号機は緑色で「炉内に燃料なし」。5号機と6号機は全項目で「冷温停止」で緑色。

あと赤いところは、「建屋」(Building)の1号機、3号機、4号機で「深刻な損傷」。「圧力容器の水位」が1号機、2号機、3号機で「燃料の約半分が露出」。

この赤や黄色が減って、そのぶん緑色が増えていけば「進展」ってことですな。しかし「交流電力」(AC Power)が1〜4号機で黄色なんだけど、書いてることは「交流電力使用可能 - 機器への電力。中央制御室の照明」でさ、なんで緑色じゃないのかなぁとか。具体的に何が不足してるんだろ。まぁ今日の地震で一時的に止まりはしたけどさ。「応急処置だから」ってことかな。

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"Drywell" の意味が分からんかったけど、画像検索して拾った画像でようやく分かったわ。下の図解の原子炉は7号機まであるんで、柏崎刈羽のかな(不明)。

ドライウェル

格納容器内の気体が詰まってる空間のことらしい。まさに今、窒素を注入してる場所。日本語でも「ドライウェル」なのか。IAEA の各号機状況一覧の "CV Pressure Drywell" は「格納容器のドライウェル部分の圧力」だね。んで窒素注入でこの圧力が 1.95気圧で上昇が止まって初めて、「漏れてるっぽいなー格納容器から漏れるなんて思いもしなかったなー」なんて呑気なこと言ってる、と。

頼むからこんな事態のさなかにふざけるのやめれ。

銘板
2011.4.12 火曜
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エセなグリーンエネルギー

レベル7ですなぁ。とうとう来てしまったか。

そういや徳川幕府の民の扱いは「知らむべからず依らしむべし」だったそうで、衆愚政治そのままなんですなぁ。今までの原発行政と今の原発事故対応そのものですなぁ(しみじみ)。なめられとりますなぁ。

んでまあ福島の原発事故が発生してからというもの、原発に替わる電力調達法がいろいろ脚光を浴びとりますな。有名どころの太陽電池と風力のほかに、波力、潮力、地熱あたりが主かな。

この中で個人的に、発電量と確立済み技術の面で一番行けそうだと思うのは地熱。もういくつか動いてるし、アイスランドあたりじゃ日本製の機材でバンバン地熱発電してるらしい。日本の場合は立地許可でいろいろ問題あるみたいだけど、放射能の不安がはじめからないんで、原発建設の10分の1の努力でだって相当やれると思うよ。つまり本気出してないってだけで。

地熱発電に対して、国が原発なみに補助金だの税的優遇だのをじゃぶじゃぶやりさえすれば、業者も利権目当てに本気出すと思うんだ。利権目当ての人は行動力がある。そして彼らにとっては儲かりさえすれば発電方式なんてどうでもいいんだからさ。

あとは太陽光も風力も波力も潮力も、主役になるには発電量や電力供給の安定性が問題だけど、とりあず規模が小さいうちはゆらぎの範囲に収まるんで、全体としては幾分かの助けになる方向だろうと。特に太陽電池は電力需要のピークカットに効果的だ。まぁ設置・運用・廃棄のトータル発電コストが現実的で環境問題が起きないように配慮できるんなら、どんどん進めればいいんじゃないかと。

風力はクリーンエネルギーの代表みたいなイメージだけど、近くに住む人にはいたく評判が悪いらしい。低周波音被害が出て具合が悪くなるとか。「風力発電 低周波音」で調べるといろいろ出てくるよ。風車が大型化すると、そりゃ出るわな低周波音。厄介なのは、波長が長いから障害物を存分に回折して来ちゃうってとこだよな。防音壁を立ててもあんまし効果がないと。

詐欺風車

おいらも、性能も弊害も一切語らず語らせず、イメージのみ優先で進めてるってのにうさん臭さを感じてる。1タイプしか普及してないのもなんだかなーって感じ。

しかもクリーンなイメージを作るために雁首並べて純白なのばっかし。

白の顔料は鉛を含む。はげ落ちて周りに散らばれば環境汚染だよ。例えば灯台だって白塗りだけどさ、たぶん視認性の点からそう決められてるからそうなんじゃないかと思うよ。んで灯台はエコのために建てられてるわけでもなし。風力発電がエコを謳ってるんならそこは厳しく見るのが筋。そして鉛入り塗料だから回転部が重たくなって、発電効率も落ちる。軸と軸受けの寿命も短くなる。寿命を確保すればコストが上がる。白塗りは実際は害悪しかないのに、それでも見た目のイメージ最優先。この時点でうさん臭い。

上の写真は5年も前のだけど、八戸近郊の郊外型ショッピングセンターが自社の環境意識をアピールすべく建てた風力発電施設だよ。無風で発電量ゼロの夜にライトアップしててさ、むしろ電気を食いまくり。

完全に印象狙いの効率無視。ご多分に漏れず純白ですなぁ。イメージ戦略の効率はいいと踏んだんだろうけど、少なくともおいらに対しては、この会社の最低ぶりのアピールになったよ。

てなわけで、おいらとしては風力発電はどうにもまがい物な気がしてしょうがない。風車を売る方も、買いたい客がいればそりゃ売りたいだろうけど、長期的に製品の評判を落としそうな客には売らないのも手だぞ。それでも環境配慮とコストで真に有益になるならやればいいけどさ。

風力発電と太陽電池はグリーンエネルギーの代表格。でも日本時間の3月11日午後3時あたりまでは、原発もそのひとつだった。ていうか「切り札」とまで持ち上げられてた。前々からそれはおかしいだろと思ってたけど(何万年も管理しなきゃなんない廃棄物とか)、ついに全人類に分かるほど派手に化けの皮がはがれてしまった。グリーンエネルギーの定義なんてそんぐらいテキトーなもんだ。「誰か偉い人がそう言ってたからそうなんだろう」ってなレベルで。

専門業者以外で風力発電を設置するのもちょっと流行ってるみたいだけど、素人は手を出さない方がいいんじゃないかな。エコのフリして別な企みがあることがバレちゃうから。上に書いた変な風車のショッピングセンター、それとは別に「木を植えています」というキャッチコピーが得意なんだが、アスファルトと鉄筋コンクリで固めた巨大駐車場付き店舗を構えるために、山林をでっかく買って木を全部刈り倒したわけで。言ってることとやってることがハナから違うもんなぁ。風車もそのノリだなーって分かっちゃうんだわ。

例えばある環境保全活動が実効性があって、それを自社宣伝に使うなら分かる。そういう活動が経済的に自立できてるって意味で素晴らしいことなんだわ。効果が上がってるならその会社のイメージも上がって当然だしさ。それで収益を上げて環境保全活動を継続・拡大していただきたいわけで。

けどそういう活動がポーズだけで実は何の効果もなくて、自社のイメージアップにしかなってないのなら、そりゃ詐欺だ。「やってみたら当初の目論見通りには行かなかった」てのもナシ。風力発電程度なら、事前に第三者の企業コンサルを雇って計画を評価させれば充分予測できるから。

このショッピングセンターだけ槍玉に挙げちゃったけど、エコブームが続く昨今、そんなエセエコ商売してる会社ってほかにも多いんだろうなぁ。原発事故でよりクリーンさを求める風潮も強まりそうだし。さてこれからどんなふざけたニセモノが出てくるか、ちょっとした見ものかも。

ってオール電化住宅もエセなエコだしなーと前から思ってたら、ついに自滅したわけだ。けどあれってウソ(ガスや灯油を使う家より二酸化炭素排出量がかえって大きくなる)がとうとうバレたわけじゃなく、単に東京電力の管区が電力不足になったからなんだよね。まあこの勢いで自然消滅すればそれでいいんだけど、なんか最近ミヤネ屋を見てると、AC の CM に混じって小野寺昭と仲本工事がオール電化住宅の CM やってるんだわ。なんぞこれ。青森県内だけかな?

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2011.4.13 水曜
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失敗ネーミング

スリーマイル島って海の島じゃなく、ペンシルバニア州の真ん中を流れるサスケハナ川の中州なんだわ(今調べた)。けどこの州は特に放射能まみれなイメージはない。もしこの原発の名前が「ペンシルバニア原発」だったら、その土地全体の印象は相当変わってたろうよ。

後の祭りなんだけどさ、「福島第一原発」「福島第二原発」って最悪なネーミングだなーと思って。

このおかげで福島県民はこれからしばらく、出身県を名乗りにくくなると思う。日本国内じゃそれなりに詳細で正しい情報が流れるだろうし、国民には一応の土地勘もあるんで、福島県全体へのそういう風評被害はいずれ廃れると思う。

けど「福島」という土地名は「スリーマイル島」「チェルノブイリ」とともに、世界の原発事故史に永遠に刻まれてしまったよ。世界中の社会の教科書に永久に載り続けるよ。

今は海外じゃ、日本人というだけでなんだか放射線が出てそうに思われて避けられたりもすると思う。けどまぁ時間が経てば、そこらは落ち着いていくでしょう。スリーマイル島とチェルノブイリの事故があったからって、今はアメリカ人もロシア人もそれで避けられたりはしてないから。

でもさ、「スリーマイル島から来ました」「チェルノブイリ出身です」って人と会うとさ、さすがに露骨に避けはしなくても、やっぱちょっとだけ気になるかも。なんかこう漠然と「地元は大丈夫?」って訊きたくもなるかも。訊いたってなんにもなんないんだけどさ。で、訊かれる方もきっとそこらを承知してるわけで。でも普通に考えて、そんなこと訊かれたくないわけで。無駄に気まずくなるわけですよ。教養のない人ならそれだけで差別するかも。

その業を福島県の人たちにも負わせてしまったわけですよ。もんじゅ のナトリウム漏れ事故や東海村の JCO 臨界事故までなら、世界中の人たちは気にも留めてないと思うけど、福島第一原発はその意味で閾値を超えてしまった。

このネーミングで問題なのは、これだけで福島県全体が風評被害を受けてしまうってこと。特に県名と同じ名前の福島市の人は、出身地を訊かれたら「福島」と答えるしかない。問題の原発から 60km も離れてるのに。もっと遠い会津若松や喜多方の農畜産物も、福島県というだけで国内でさえ敬遠されたりするらしい。

ほんと後の祭りだけど、なんで東京電力はあの原発に県の名を冠してしまったかねぇ。せめてほかの原発みたいに市町村名にしとけば、風評被害もここまでは広がらなかったろうに。

Wikipedia「日本の原子力発電所」によると、ほかに県名がついてるのは「島根原発」だけだね。福島のつらい例を鑑みて、島根県庁は早いとこ、島根原発の名前をもっと小規模で限定的なものに改めさせた方がいいんじゃないかな。原発推進派が弱気になってる今こそチャンスだと思うよ。まぁ当地の自治体は「県に見放された」と感じるだろうから難しそうではあるけど、事故が起きたときにそれで事態がもっと悪くなるわけじゃないし。やった方がいいと思うよ施設の改名。

松江市が自分とこの名前を使われるのに抵抗あるなら、いっそ地名じゃない名前にしてもいいんじゃないかと。中国電力だから「中電原発 A」とか。味気ないか。だったら東日本大震災に追い討ちをかけた企業を記念して「みずほ原発」とか。ほんとに安全に自信あるなら堂々と「安全安心原発」とか。

むしろ全然関係ない方がいいか。強そうな感じなら「アルティメット原発」とか。役人のネーミングセンスでいくと「ふれあい原発」「まごころ原発」かな。政治家のセンスだと「ふるさと原発」「思いやり原発」「地域振興原発」かなぁ。決して狙ってるつもりじゃないのに、どうしても補助金じゃぶ漬けのニオイプンプンな名前になってしまう……。

銘板
2011.4.14 木曜
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ピークカットすればいい話では?

パチンコ屋と自販機が節電厨(ていうか都知事)に叩かれとりますな。

確かに電気を食いそうなイメージではあるな。けどさ、叩かれる理由ってさ、単に客商売でビカビカ光って目立つからじゃないの? 電力消費削減の判断基準が目立つかどうかってさ、魔女狩りと何が違うんだ。

節電の目的は何だったか。

大規模停電を防いで、計画停電もできるだけ回避するためだったよね。

原発の多くが止まってしまって、火力の増設もすぐにはできないから、すぐできる策が節電。んでこれ、闇雲にやればいいわけじゃないんですな。電力供給側の都合で考えると、電力が一番足りなくなる、つまり電力需要ピークって、平日のお昼から午後の日が高いうちまで。こちらのサイト様に図が載ってたから、ちょいとがめさせていただいてみた。

電力需要曲線

朝10時から午後6時ってとこかね。その中で一番高いのが午後2時〜3時。ピークのあたりは、エアコンを最も動かすからってのがありそう。それと午後1時がガタッと落ち込んでるのは昼休みの時間帯。そのときは機械やエアコンの稼動を止める工場や事業所が多いからかと。

ピーク以外の時間帯は発電力に余裕があるわけ。電力会社としては電力が商品なんだから、できる限り売りたいもんです。口じゃ「節電にご協力を」と前々から言ってるけど、それは需要ピークがいつもギリギリで危ないから。てことでピークの時間帯を狙い撃ちで節電して、そのぶんをほかの時間帯に振り分けると、電力会社はきちんと稼げるし大規模停電や計画停電のリスクを下げられるってことで、みんなが助かるわけですよ。特に東京電力はこれからは今まで以上に稼がなきゃなんないでしょ。原発事故で兆円単位の損失をかぶるの確定なんだから。まー設立以来、旧国鉄債務の返済に明け暮れる本州 JR 各社よりラクそうではあるけどね。

んでこの電力需要のグラフで分かるのは、普通の9時5時な仕事での電力消費に大きく左右されてるってこと。パチンコも自販機もあんまし関係ないんだわ。

確かに、パチンコは客商売だから夏場はエアコンをガンガン効かせますな。涼を取りたい人が集まるように。お客がなるべく店に居続けてくれるように。けどそりゃスーパー・コンビニや家電量販店、映画館みたいなほかの客商売も同じ。パチンコだけ槍玉に挙げられるのは違うだろ。

自販機の方は、午前中に中の商品をキンキンに冷やして、電力需要ビークの時は冷蔵庫を稼働させないんだよね。既にピークカットに協力してる。ちょうどバブル崩壊のあたりかなぁ、なぜか自販機のハイテク化が進んだんだよ。そのうちのひとつがこのメカだったよ。あとまぁ商品やおつりを取る位置を高くして、客がいちいちしゃがまなくていい仕掛けとかも同時期にできたんだけど、そっちはあんまし普及しなかった。たぶん図体がばかでかくなるのが嫌われたんじゃないかと。

けどピークカット協力機能はもう普及してるらしい。これって節電というより、ヒートアイランド対策だった気もする。都市の気温を上げる要因として厳しい目を向けられて、それで装備するようになったような。記憶で語ってしまってるけど。

てなわけで電力不足の折に節電は大いに結構だけど、目立つという理由で敵を設定して叩く今の盛り上がり方は、あんまし理にかなってないと思う。

例えばパチンコ屋や自販機が消えたとして、確かにそのぶんは節電になるけどさ、電力需要のピークカットの意味じゃあんまし実効的じゃないというか。けど「いいことした気分にだけはなる」という、なんかすごくどうでもいいアレなような気がする。それに携わる人たちの生活を破壊する行為なんですけどね。

それより電力の大口需要家に節電をお願いした方が絶対にいい。でかい工場や事業所だね。数も限られるから意思確認もラクだしさ。省エネ対応機材への買い替えや屋根への太陽電池設置で、補助金や融資の特典を付けるとかさ。JR や私鉄にも、電力需要ピークの時間帯は今より間引き運転してもらうとかさ。ちょうどラッシュアワーから外れてるから、あんまし無理はないと思うぞ。

お昼休みで工場の稼動を止める時間帯をずらしてもらうのも手じゃないかと。グラフじゃそのときかなり落ち込むんで、散らすと幾分か効きめがありそう。

てことで、はい、グラフ1枚と素人1人だけで、魔女狩りよりマシな素案を作れましたよと。

個人的には、パチンコまったくやんないし自販機もあんまし使わないから、そこらがあってもなくてもおいらには影響ないけどね。

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2011.4.15 金曜
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氷蓄熱冷房

夏場の電力ピークカットにイケる技術と製品ってさ、うってつけなのがあったわ。

それは氷蓄熱冷房。これまたちょうどバブルの頃に実用化されたやつ。もともとはオール電化住宅と同じく原発の都合に合わせたものなんだけどさ、こっちは今の需要にぴったり合ってる。

どんな冷房装置かっつうと、夜や早朝の余ってる電力でシャーベット状の氷を作っておく。昼間はその「氷室」に風を通して冷気を作って、ビルの冷房に使う、というやつ。

これ、2重の意味で電力需要のピークカットに有効なんですわ。

まず昼間に冷房の電力を使わない(送風と制御には使うが)。そして、昼間に建物の外に廃熱をしないんで、ヒートアイランド現象を抑えられる。ヒートアイランド現象が緩和されればムキになって冷房をガンガン回す必要がなくなって、域内の昼間の消費電力がますます減る。むしろ外気を温めずに冷気だけが外に漏れる形になるんで、一番暑い電力ピークの時間帯に街を冷やす効果がある。

そのぶん熱帯夜が加速するけど、大規模停電よりマシでしょ。

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2011.4.16 土曜
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別に新しくないやり方

あと、あんまし具体的じゃないし現実的でもないかもだけど、海辺や川っぷちってのは内陸より涼しいんですな。てことで、そこで大規模に空気を冷やしてやると、内陸まで涼しい風が通るかもしんない。打ち水の大規模版。熱い土地のすぐ隣に涼しい土地があるとする。風を考慮に入れないとすると、熱い空気は上に昇る。そのぶん冷やしたての涼しい風が都市に流れ込む、と。そのぶんエアコンをあまり動かさなくて済んで、ピークカットできる、と。

どうやって冷やすかってのも分からんけどさ。そのためにエネルギーを多く使うとそれが熱源になるわけで、本末転倒になっちまうしさ。

気化熱の作用で都市を冷やすのなら、既に屋上緑化とかに補助金が出てるよね。植物の葉からの水分の蒸散で打ち水効果を期待してるわけで。葉っぱの影の地面やコンクリートも過熱しないしさ。東京は夏場に向けて、緑化を加速するのも手じゃないですかね。

対策として消極的な感じではあるけど、無理がない方法って解釈もできるね。感情的・思想的なエコ派な方々も率先してがんばってくれそうだしさ。都市機能を植物に守ってもらうってのも、オツな感じでイメージよさそうだしさ。

植物の1日の蒸散量ってどのくらいだろ。そこが分かれば計算でおおよその効き目を算出できそうな気がするが。「いくらやっても焼け石に水で無駄」って結果が出るかもしんないけど、まあ現状じゃ「分からん」と。少なくともそのせいでヒートアイランドが悪化することはないし、見た目での涼しげな感じの演出もできるし。

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2011.4.17 日曜
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原発ロボ

原発事故の対処でもう多くの人が感じてると思うけどさ、日本ってロボット大国のはずなのに、原発事故の危険区域で作業員の代わりに働くロボットって日本にはなかったんだな。フランスやアメリカにはあるのに。あまつさえ中国からも「貸しましょうか?」と打診された。これほんと日本人として屈辱だよ。

電力会社が開発してた時期はあったらしいけど、途中で開発打ち切りになったっぽい。「日本の原発は絶対に安全だから、そんなロボットが必要になるような事故は起き得ない」という理屈だったらしい。アタマおかしい。

んで今になってロボット製造に携わる日本企業や技術者が、有志でそれ用のロボットを作ってるとこらしい。電力会社からの依頼じゃなく、あくまでも「有志」ってのがなぁ……。

んで難しいのは、電子機器は放射線に弱いってこと。民生品の活用はその意味で危なっかしいわけで。

けどね、あるんですよ放射線に強い電子機器って。それ用に作られたものが。国産で。原発事故のためにってわけじゃなかったけど。

それは原発と並んで過酷な放射線環境の宇宙機器用。小惑星探査機 はやぶさ に積まれたものは旧型で対放射線耐性が弱くて、7年も飛んだ最後の方じゃかなりキツい状況に陥ってた(エラーが出るたびに再起動かけて、騙し騙し運用したらしい。人の体で言うと、手足をもがれて脳までやられた、ほんとにボロボロの状態。まさに『はやぶさ、そうまでして君は』)。そして はやぶさ が地球から飛び立った次の年(2004年)、対放射線特性に優れた国産の LSI がついに完成(記事)。

三菱重工と沖電気の快挙ですな(三菱電機じゃないんだな)。

7年前に国産でできてた。これを使わない手はないんじゃないかと。クロックは 100MHz 程度だけど、複数搭載するなりソフトウェアを工夫するなりすれば、充分に実用できると思う。

原発事故での人の作業の代行ロボットとなると、宇宙と違って真空でも無重力でもなし、温度環境もキツくはない。修理もメンテナンスもできる。飛ぶものじゃないから重量制限も緩い。供給電力にも余裕がある。開発は宇宙用途より数段ラクなはず。唯一の泣き所の対放射線性能はこの LSI でいける。

今まで原発ロボの開発をサボってきたからツケを払わされてる形だけど、急いで開発できるはず。それだけの技術はもう国内に揃っとるよ。しかも実地テストできる環境もあるしw 日本はこれから原発の新設は停滞か撤退だろうけど、今原発ロボを作ると、あとで頼もしい輸出品目にもなってくれそうだし。

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「宇宙開発への投資は無駄」ってけっこういろんな場面で言われてきたけど、4月6日のログで紹介した衛星での地震予知といい、今日紹介した放射線に強い LSI といい、役に立つ最先端技術てんこ盛りですが何か。

「これから役立つはず」だけじゃなく、今回の震災で活躍してるのもあるよ。

関係者以外はほとんどマニアだけが見つめてきた衛星たち、今すげー働いてるよ。

だいち は打ち上げられてから、中国四川省地震、ハイチ地震、ニュージーランド地震はもちろん、いくつもの災害現場を観測してきた。被災地の広域状況の把握に役立つだけでなく、データを比較すれば、きっといろんなことが分かってくる。それがこれからの防災に必ず役立つ。

きく8号は公開情報が少なくて、何やってんだかよく分からん衛星と思われてきた。小さいトラブルが多くて、実用衛星としてはもう死んでるんじゃないかって気もしてたけど、どっこい生きてた。今、まさに設計時に想定されてたふさわしい仕事をこなしてる。

きずな はおととしの皆既日食のとき、NHK の硫黄島からのハイビジョン映像を中継して、鮮明なまま全国に流したのを覚えてる。あの超大容量通信の力が、こんな未曾有の大災害後に存分に使われてる。

……、

……、

……。

日本の宇宙技術、はやぶさ に限らず「こんなこともあろうかと」だらけだww

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おお、だいち の後継機、今回の成果を受けて開発が1年前倒しになったらしい。朝日新聞の記事から。

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JAXA、地球観測衛星「だいち」後継機の打ち上げを1年前倒しへ

2011年4月15日

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、宇宙から地球災害を監視する地球観測衛星「だいち」の後継機の打ち上げを前倒しする方針を固めた。東日本大震災を受け、災害時により詳細な衛星画像を役立てるのが狙い。近く文部科学省に後継機開発計画について前倒しを要求する。後継機は現在、2013年度と15年度に打ち上げる計画だが、実現すれば、それぞれ1年程度打ち上げが早まる見通し。

立川敬二理事長が同日開いた定例会見で明らかにした。06年から運用するだいちはレーダーと光学センサー2種を載せ、レーダー分解能10メートル。今回の震災を受け、文科省をはじめ、国土交通省、農林水産省などに約70種の撮影した解析画像を提供している。ただ、観測データの取得は1基なので3―4日で1回程度と限られ、通常、国内では観測開始からデータをとるまで5時間、処理に1時間かかる。後継機は2号機がレーダー(分解能3メートル)を、3号機が光学センサー(解像度0・8メートル、現行は2・5メートル)を載せ精度を上げ、処理時間も現行の半分の30分程度に短くする。

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だいち はもう5歳。設計寿命は一応3年で、目標が5年。てことでそろそろ経年劣化の故障確率が高くなってきてる頃。前倒しで新型が打ち上げられるのは嬉しいですなぁ。2012年度は H-IIA ロケットにとっても、たまたま打ち上げ予定がガラガラだったから好都合だろうしさ。

となると、データ中継衛星はどうなんだと。高度 600km の低軌道の衛星から地上局がデータを直接取れるのは、ごく限られた時間でしかない。だいち から来るデータは膨大で、それだけじゃ間に合わない。この状況を救うのが、高度 35,800km の静止軌道を飛ぶデータ中継衛星 こだま。この中継衛星のおかげで、だいち から地上に落とせるデータ量を数倍に伸ばせてる。この衛星は2002年の打ち上げで、7年の設計寿命を2年も過ぎてる。後継機の話はあるけどまだ具体的じゃない。こっちもどうにか用意していただきたいところ。

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2011.4.18 月曜
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正念場 あかつき 20

金星探査機 あかつき は5〜6年後に金星軌道投入に再挑戦するんだけど、推進剤の残量に余裕がないわけだ。これどうにか乗り越えられないかなぁと。何か余裕のあるものはないかな、それを有効利用できないかな、と。

小惑星探査機 はやぶさ の姿勢制御は、まず電気だけで動くリアクションホイールがだめになって、燃料を使う姿勢制御(RCS)で代用した。けどその姿勢制御の燃料が漏れて空っぽになってしまった。でもイオンエンジンの推進剤はたっぷり余裕があった。で、これでどうにかした。

あかつきにはイオンエンジンがない。この時点で選択肢がひとつ足りないわけで。うーん。

あと余裕あるのといえば、リアクションホイールは全部生きてる。電力はさらに余裕があるな。電力の余裕はどんぐらいかっつうと、必要量の2倍の発電力がある。金星近くの太陽光エネルギーは地球近くの2倍。打ち上げ直後は地球の近くを飛んでて、それでも充分に発電できてた。その場面に合わせて太陽電池の発電力を設定してたはず。

今の あかつき の軌道は金星軌道の近く。もっと太陽に近づく局面もある(半周期は約3.3カ月。近日点は2月半ばに過ぎてたんだな)。てことで、電力だけは常に余りまくりのはず。

んむー、「こんなこともあろうかと」と緊急対策用にイオンエンジンを1基でも欲しかったなぁ。探査機は重量制限が厳しいうえに故障しても修理できないから、余計そうな装備は極力外すんだけどさ。

例えば火星探査機 のぞみ の場合も あかつき の場合も、周回軌道投入時はいったん強力なメインエンジンで長楕円軌道に入って、そこからしずしずと遠点を落としていく方法なわけで。この、遠点下げの行程に使うって理屈で、これからの軌道周回型惑星探査機にはイオンエンジンを搭載するって方便でいかがでしょうかw

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はやぶさ で得たノウハウで、RCS の出力と探査機の挙動を照らし合わせることで、より少ない推進剤消費でより正確に姿勢を決定する方法が編み出された。はやぶさ や あかつき みたいな3軸安定の探査機は、リアクションホイールにたまった誤差をリセットするのに定期的に RCS を使う。ここで あかつき にもこの技を使うと、推進剤をなんぼか節約できそうだなぁ。たぶん可能ならもうやってるはずだけど。メーカーは はやぶさ と同じ NEC だしさ。

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2011.4.19 火曜
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ラテンガー

まる1年前の3月26日のログで、スペイン語圏でのマジンガーZ の愛されようをちょいと紹介したけどさ、彼らの愛はほんと半端ない。

なんか久しぶりにあの Tarragona 動画の音楽を聴きたくなって。聴きつつ当時のログも読んでたら、あの曲について「おいらはこのメロディは記憶にあるようなないような、7対3で、ない方」とかほざいたわ。

今回ほかのマジンガー動画もいくつか拝見してたら、例の曲で水木一郎が歌ってたのがあってさ。ようやく純正オリジナル曲だったことを思い出した始末。この動画で。歌詞でようやく記憶の糸がつながったというか。うp主の国籍は非公開だけど、フィリピンのお方らしい。フィリピンは歴史的にスペインの影響が強いお国柄みたいですな(すげー前にフィリピンバーに連れてかされたことあってさ、おねーちゃんとお話ししたらそう言ってた)。

あとこの動画とか。こちらのうp主はベネズエラのお方。

マジンガー、スペイン語圏に強すぎww

そんで関連動画を見てたら、グレートマジンガーの 3D 動画はイタリア人が作ってるし。さらに "Goldrake" で検索すると、別なイタリア人たちが作りまくったグレンダイザー 3D 動画がこれでもかと出てきやがる。

フランスでもグレンダイザーは歴代視聴率1位(100% だそうで、もう誰も超えられないわけで)を誇る凄まじい人気ぶりだったらしいし。ラテン気質の人たち、なんでまたこんなことになってしまってるんだろwww 原作の永井豪って、日本の男の子だけじゃなく彼らのハートをも掴んじまったんだなぁ。

しかし外国人がマジンガーシリーズに狂ってるのって、いまだにすげー変な気分だよ。放送してた当時って、日本は世界から全然尊敬されてなかったしさ(実態は知らないけど、日本国内じゃ「日本人は外国ではそうあしらわれてる」って意識が強かった。70年代でも「第二次大戦の敗戦国」っつう心理的ダメージがけっこうあったみたいで)。

さてそんじゃ Tarragona 動画に戻ってあの曲をもっぺん聴くかー。

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2011.4.20 水曜
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ボルテスV と堀江美都子とキャンディ・キャンディ

『ボルテスV(ファイブ)』っつうロボットアニメがあったんですよ。昨日そのままの勢いで YouTube の関連動画を見てたらね、ボルテスV が結構引っかかってきて。それがなぜかフィリピンの方々が作ったのが多くて。んでまぁその謎を解くつもりなわけでもなく Wikipedia を見てみたら、その顛末が書かれてたわ。

つうか Google の検索窓に「ボルテスV」と入れると、関連ワードが出てきてですね、その一番上が「ボルテスV フィリピン」だったりもして。こちらのサイト様でより詳しい解説を読めますです。NHK で特集してたんだね。

このアニメ作品、かの国では人気のあまり政治の道具に利用されてしまったと。つか当時のマルコス大統領の権力を見せつけるための見せしめにされたというか。こういう勘違いな指導者っているからなぁ。自分が超人になったと思い込んじゃうやつ。今はカダフィ大佐が同じ罠に自らハマって、マルコスと似たような目に遭ってるわけで。

マルコス時代のフィリピンも今までのリビアも、国としては産業でそんなに稼いでなかったでしょ。圧政って産業育成には逆風でしかないんだと思う。そういうタチの悪い手合いが威張れば威張るほどその組織や集団はジリ貧になっていくだけなのに、なんでそうなっちまうのかねぇ。

てなことで多くのフィリピン人は、ボルテスVに特別な意味と感慨を覚えるらしい。

けどおいら、見たことないのよこの番組。青森県じゃ放送されなくて(涙)。シリーズ前作の『コンバトラーV』はやってたんで、期待してたらスルーされちゃって。

んで見ちゃいなかったけど、主題歌を聴いたことはあってちょっと覚えてた。

女性ボーカルなんですよ。ロボットアニメでってのはまぁ『Z ガンダム』がそうだけどさ、それよりはるか前はかなり珍しいんじゃないかと。歌ってる堀江美都子という歌手も、オファーを受けて躊躇したみたいだし。

小林亜星が作ったメロディもアレンジも歌謡曲風で、時代を感じないわけでもないけど、こちらの動画で今聴いてたらなんだかハマってヘビロテになってしまって。慣れるとまったく違和感なかったりして(うp主様の 3D アニメーションの完成度の高さも、作品に対する愛を感じさせまくりだ)。

堀江美都子様の歌声が素晴らしいんですわ。聞き惚れちまうよ。これまた Wikipedia で調べたら、主にアニメ・特撮畑の歌唄いさんで、水木一郎とのデュエットも多いね。さらに声優もこなされてるらしい。この方の滑舌最強だもんそりゃ声優もいけますわなぁ。

『キャンディ・キャンディ』の主題歌も歌っておられたのか。と動画を探したら何にビックリしたかって、堀江様の歌声のお美しさはまぁ対衝撃姿勢を取ってたからうまく受け止められたとして、アニメーションがすごく高度で。調べたら1976年放映開始。マジンガーZ は1972年、ボルテスV は1977年だそうで。マジンガーからボルテスV での進化は正常と思えるけど、その間から始まったキャンディキャンディ、絵の繊細さも(たぶん原作マンガに忠実に再現したかと)アングルもモーションも、すべてが男の子向けアニメを凌駕してるような。当時の女の子たちはこんなにもリッチなアニメを楽しんでたのかぁ。いいなぁ。ファーストガンダム(1979年)より絵柄が丁寧ってのが悔しくて泣けるw

そうそう Wikipedia にも書いてあるけど、キャンディ・キャンディってヨーロッパですげー大人気だったらしいね。今も人気なのかな。つか物語の舞台の本場で受け入れられるって一体どうなってんだよww フランス人だけで作った江戸時代劇が日本人を感動させるのと同じ難易度だぞwww

その線でいくと、映画『ラストサムライ』は優れた作品だったけど、実際の日本のノリとはちょっと違うパラレルワールドなファンタジー世界にも思えてしまったよ。つかその少し前に "SAYURI" を観たから違和感は少し薄まってマシになってたのかもしんないw 神社のガラガラの綱を振るとお寺の鐘の音だもんなぁww

んでキャンディ・キャンディのストーリーはおいらは知らんけど、アニメーションはこのくらいのクオリティなら子供は古臭さを感じないんじゃないかと。デジタルリマスターして退色を補えればなおよし。むしろ最新アニメ技術で新規に作り直しても充分に稼げると思う。歌はもちろん堀江美都子様ご再臨でひとつ。そこらへんやると世界中でいつまでもファンを再生産し続けられそうだけど、2001年以降は著作権問題で放映できない状態なのかー。残念すぐる……。

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2011.4.21 木曜
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節電案: あの LED 化を進めたらどうなるか

節電が必要な地域ってさ、東北電力管内もなんだよね。東京電力の方が大騒ぎなもんだからこっちのは影が薄いけど、逼迫してるって点は同じ。仙台や福島のでっかい火力発電所が派手に津波被害を受けてしまって、復旧にかなり時間がかかりそうでさ。宮城県沿岸は地震の影響で地盤沈下してしまったから、もしかしたら「そのまま修理するだけじゃこれからの津波対策が不十分→大掛かりな工事または移転」ってことになりかねないし。だとしたら電力に余裕ができるまでますます時間かかっちゃうわけで。

今できるというか、比較的さっさとできそうなインフラ節電があったなーと、ひとつ思い出したのがあって。それは信号機の LED 化の促進。

あれにすると消費電力が2割になるらしい。2割引で今までの8割になる、じゃなく本当に 20% にまで減るそうな。電力消費の削減比率としては劇的なわけです。

まぁ普通の交差点で電球が4個〜8個光ってるわけで、電球は何 W なのか知らんけど、100W だとすると節電量は 320〜640W。歩行者用が同じ数だけ付くとして、2倍の 640〜1280W。2〜3世帯ががんばって節電したのと同じくらいかと。その程度っちゃその程度だけど、数があるし24時間営業だから、意外とでかいかもしんない。

信号機の設置数をちょっと調べたら、香川県の昨年度のデータが出てきた。全部で2097基。信号機の数え方は、交差点ひとつで1式の制御装置単位なのか、電柱1本で2個でも1個でも1つの柱単位なのか、それとも基本3色揃った1パッケージが1つの発光装置単位なのか、そこらおいらは分からんのよね。とりあえず結果に厳しめに発光装置単位で考えるか。

簡単のために基数を2100とすると、1344〜2688kW ですな。平均で 2016kW(すべて電球式とした場合)。

信号機の LED 化率が現時点で3割ほどだとすると(特に根拠ないけど感覚で)、削減対象になるぶんは全体の7割で 1411kW。これを全部 LED 化すると、節電量は 1411kW の8割で 1129kW。

これ、比較的新しい原発1基(100万kW)の1000分の1ちょいくらい。

香川県の人口は『香川県統計情報データベース』からだいたい100万人。東北地方の人口はスウェーデンと同じくらいの約900万人。東北電力は管内に新潟県(約240万人)を含むんで、そのぶんを足して1140万人。香川県人口の11.4倍。大ざっぱに信号機の数は人口に比例するとして、東北全体で信号機を完全 LED 化したとすると、節電量は 12871kW。原発1基の1.3% くらいの節電量ですな。

東北電力で止まってる原発は4基。合計約 330万kW(古い型のがあるんで 400万kW とはならない)。この 0.4% をフォローできるってあたり。

思ったよりしょぼい数字だったわ。もうちょっと期待してたんだけど。

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八戸火力発電所の遊休地に大規模太陽光発電(メガソーラー)をやる計画があってさ、ちょうど今年の3月から着工の予定になってたんだけど、震災でどうなるか分からんのよね。んでその予定出力が 1500kW でさ、香川県の信号機を完全 LED 化した場合の節電量の見積もり(1411kW)と同じくらいなんだわ。 インフラの節電にしても太陽光発電にしても、だいたいこんなオーダーの数字が出るって目安にはなるかも。

悔しいが原発のパワーは強大だなぁちきしょー。

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ちなみに太陽光発電で原発と同じ 100万kW を出すとなると、太陽電池1平米の発電力が 1kW だとして、1km 四方の土地に太陽電池パネルを敷き詰めなきゃなんない。ギリギリ現実的に思えなくもないけど、原発が 100万kW を24時間出し続けるのに対して、太陽電池の方は瞬間最大。快晴の日の真昼あたりでこのくらい。丸1日の発電量合計としては、原発に軍配が上がるわけです。

まあ原発って24時間同じ出力でしか発電できなくて、それもまた不便なんだけどさ。対して太陽電池は時間帯での電力需要に合わせた形で発電量が推移する。けど夜の間はまったく発電してくれない。両極端な両者なのであった。そして風力は風次第で需要動向をまったく意に介さない、協調性皆無なやつだったりする。

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2011.4.22 金曜
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必要なのは実動部隊

話題に出すのがかなり遅れてしまったけど、災害があると実動部隊ってほんと大事だね。今回はそれを実感してるよ。自衛隊と米軍、大活躍だもんなぁ。ここまでやってくれるとは。

うちの地元・八戸もまたオペレーション・トモダチの恩恵にあずかりまして。以下はデーリー東北(八戸の地元紙)の記事

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海中の障害物撤去始まる/八戸港(2011/03/26 11:03)

サルベージ船「セーフガード」

津波により八戸港で船舶の安全航行が困難となっている問題で、青森県などから協力要請を受けた米海軍のサルベージ(引き揚げ)船・救難艦「セーフガード」が25日、同港に入港し、第1工業港に通じる航路に沈む障害物の撤去作業を開始した。

セーフガードは、ダイバーが湾内の調査を行った後、午後5時20分ごろから作業を開始。あっという間にクレーンで、沈んでいた軽乗用車を引き揚げた。

同港では、これまでに第1工業港や八太郎航路、河原木の一部航路、白銀地区、ポートアイランド周辺、石油基地の石油桟橋などが暫定復旧。エネルギー関連施設の航路確保を最優先に作業を行っている。

今後は、漁港区域や河原木2号埠頭(ふとう)A岸壁などにも範囲を広げて障害物の撤去が行われる方向だ。

一連の復旧作業で航行しやすくなったのを受け、26日午前には、JX日鉱日石エネルギーの液化天然ガス(LNG)関連施設に、LNG輸送船が入港する予定。

【写真説明】

八戸港内に沈んでいた軽乗用車を引き揚げる米海軍のサルベージ船・救難艦「セーフガード」=25日午後5時25分ごろ

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米軍ってちょっとマイナスのイメージを持ってたよ。アフガンやイラクのことで。けどまぁあれって、指揮してる米政府に忠実に従ってるだけってことでもあるよなぁとか今さら気付いたぐらいにして。今回の大規模な作戦に日本人は大いに助けられました。本当にありがたいです。

八戸でも上の記事に出てるけど、このおかげで港湾が早期に使えるようになった。これで八戸港を拠点に、三陸の多くの港町の支援や修復が早く進むようになった。八戸が役に立ててるのが嬉しい。そして、そうできるようにしてくれたのが米軍ですよ。

八戸にも自前でサルベージの設備があるけど、そのための船は使えた状態だったかどうか。おまけにこのときはまだ燃料不足が続いてた。ろくに稼働できない状態だったはず。八戸のサルベージは2つの川から流れて海底にたまる土砂の排除用なんで、今回、一瞬で大量に海底に積もったガレキを早く片付けるには足りなかったかも。

こう言うと「海上自衛隊は何やってんだ」と思う方々もいらっしゃるかもだけど(陸上自衛隊や米軍と違って、あんまし報道されてないよね)、こんだけ大規模な災害だもん、すべてに完全には手が回らなかったのが実情じゃないかな。海上自衛隊は米軍と分担して、トータルで最大効率を出すべく事に当たってくれてたはず。だから、八戸港のサルベージはたまたま米軍が受け持ってくれたってことで、ほかの港じゃ米軍も海上自衛隊も全力でがんばってくれてたと思う。

海上自衛隊のサイトを見てみたら、こんなにも大活躍ですよ。被災地への物資輸送や海上での行方不明者捜索活動、福島第一原発の冷却水の確保も任務なんだね。おお、震災の次の日、八戸の基地に被災者を770人も収容したのか。あそこは陸上自衛隊も一緒の基地でマンパワーがあるはずだから、被災者はきっと手厚く支援されてることだろう。

航空自衛隊も被災地への生活物資輸送を主にがんばってくれてる。松島基地があんなことになったのに。米空軍と同居の三沢基地は、民生支援用ガソリン6000リットルを提供してくれたんだね。病院や公共機関に回したぶんだと思う。それで命や生活が助かった人たちはたくさんいるはず。

海自と空自の活動も、ちゃんと報道してくれないかなぁ。

陸自は主役だね。多くの人たちが救われてる。多くの人たちに頼られてる。多くの遺族の方々も、きっと感謝してくれてる。

戦場はつらいものだろうけど、こういう極限状態での救助・支援活動もまた違った意味できつい仕事だと思う。被災地で実際に行動してくださっている皆様、本当にありがとう。

銘板
2011.4.23 土曜
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永眠(ねむ)る だいち

昨日、陸域観測衛星 だいち の機能が止まったんだね。打ち上げは2006年1月24日。5年と3カ月でしたか。

設計寿命は3年で、目標が5年。ちゃんともったなぁ。日本の地球観測大型衛星3部作、3度目の正直で。

それに先立つ2つの衛星、みどり、みどり II は地球全体の自然環境を観測する衛星だった。けど1年はデータを取らないといかんのに、みどり は6カ月、みどり II は10カ月で故障して絶命してしまって。残念だったよ。んで「ほんとに大丈夫か?」と心配されつつ打ち上げられた だいち は順調に稼動を続けて、見事に使命を果たしてくれた。

この地球観測大型衛星3部作全体としての評価は、主に みどり シリーズの反省から、「複数の機能をひとつにまとめると、何かが壊れたときにすべての機能を失うリスクが大きい」となった。以降は大型路線をやめて、機能を絞った中型衛星を複数作ることに決まった。みどりシリーズの後継衛星計画はないけど、大成果を挙げた だいち の後継計画はもう動き出してる。これ、だいち の機能を2つの衛星に分けるんだってさ。

まー確かに、だいち は光学センサー(カラーで撮れる。分解能も高い。晴れた昼間のみ撮影可能)と合成開口レーダー(白黒で分解能が低いけど、曇りや夜間でも撮影できる)の2つを1機に積んでるからな。それぞれ最適な軌道が微妙に違うみたいだから、分けた方が合理的ってことも判明したらしくて。ここらへん事前からそういう意見もあったろうけど(同じ装備の情報収集衛星の方は、はじめから各機能を各衛星で分けてる)、やってみないとはっきり断定できなかったってのもあったんじゃないかな。

悲願の国産大型ロケット H-II/H-IIA を手にして、ようやく実現した大型衛星計画でもあったし。

最近打ち上げられた JAXA の地球観測衛星っつうと、温室効果ガス観測技術衛星 いぶき(2008年打ち上げ)だな。こっちはその流れで、3部作の半分程度の質量。しかも設計思想を変えて、「壊れないよう工夫する」から「壊れてもいいようにフェイルセーフ機能を充実させる」になった。そのぶん衛星は重くなってるはずで、てことは観測機器がそんなに載ってないはずだけど、途中で死なれるよりずっといいね。もし いぶき の運用でフェイルセーフ機能のいくつかが過剰と分かったなら、後の衛星で余計な部分を削ればいいし。

「絶対に死んではならない」は、宇宙科学の方では惑星間空間を飛ぶ探査機で先に認識されて徹底されてるんだけど(はやぶさ はそれで絶体絶命のピンチを切り抜けた)、サバイバル能力の要求水準が探査機より低いはずの実用衛星のほうもそうなりつつあるんだね。きっと みどり/みどり II のつらい結果を正面から受け止めてるんだと思う。

だいち は旧世代最後の地球観測衛星なんで、そういう頑丈さ第一の設計思想じゃなかった。それでも先立つ失敗を教訓に強化されて、旧世代なりに頑丈な体を持つことになった。それで見事に目標をクリアできた。最後に意地を見せたわけですよ。

それと、だいち が立派だったのは、偶然ではあるけど東日本大震災の様子をきっちり観測して、貴重で膨大なデータを遺してくれたこと。ほんと、この大仕事が済むまで寿命を3カ月延ばして耐え抜いたって感じだもんな。その成果から、生きてるうちに後継機打ち上げが1年前倒しで動き始めたし。

しかし5年って早いね。衛星も打ち上げロケットもただでさえ高額だから、フェイルセーフも含めて、これからはより長寿命な設計を狙っていくんだろうなぁ。実際、去年打ち上げられた準天頂衛星 みちびき は設計寿命が10年、バッテリーと推進剤は12年もつことになってるし。だいち 後継機も長生きして、だいち 以上に世界の役に立ちますように。

だいち、みどり と みどり II のぶんまでよくがんばってくれた。今は安らかに眠れ。

銘板
2011.4.24 日曜
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日本式宇宙商売

日本のロケットは世界のトレンドに合わせて大型化してきた。対して衛星はリスク軽減のために大型路線をやめて、今は中型路線。この矛盾をどうするんだろうなーと思ってた。けどそれでいいんじゃないかと。空きスペースを商用に回すってことで。

2008年打ち上げの温室効果ガス観測技術衛星 いぶき のときは多数のピギーバック衛星を一緒に持って行ったけど、全部足しても大した質量じゃなかった。ロケットの容量、ガバガバ余った状態。ロケットは振動や重心のバランスを規定の範囲に収めなきゃなんないんで、こういうときは重りを積むそうだ。もったいないなーと思ってた。けど1回の打ち上げで空きスペースができるってことで、それを商用衛星の国際市場で売れるってことでもあったんだよね。今の今まで気付かなかった。

てなことで、今年度打ち上げ予定の新鋭地球観測衛星 "GCOM-W1" と相乗りで、韓国の衛星 アリラン3号も運ぶことになった。GCOM-W1 の質量は 1900kg だそうで。いぶき より重いけど、H-IIA は極軌道に3.6〜4.4トンを上げられるんでまだいける。アリラン3号は 800kg だそうだから、それでもまだ余裕なんですな。たぶん今度もピギーバックをたくさん積むんじゃないかな。

アリラン3号って日本初の海外からの打ち上げ受注なんですわ。宇宙ビジネスは高額のうえに常に失敗のリスクがあるんで、何事も実績第一。てことで、商用打ち上げの実績がないメーカーは相手にされない。だからなかなかスタートにさえ着けない。てことで、今度のミッションは日本の宇宙産業が一皮むけるための、特別な意味を持ってるんですな。

実は90年代後半の H-II の時代に、アメリカの衛星を多数受注したことがあった。まだ中国やインドの打ち上げサービスがまともに立ち上がる前で、ライバルが少なくてハードルが比較的低かった頃。複数の衛星メーカーから合計20機以上のご注文をいただいた。先方様は、日本の宇宙開発事業団(NASDA)ロケットがその頃までは一度も失敗したことがない点を実績として買ってくれた。そしてその契約遂行は後継ロケット H-IIA でなされることまで決まってた。あの頃は夢のようだったなぁ。

ところが1998年と1999年の、悪夢の H-II 2連続失敗。1回なら「どこの国でもよくあること」で済んだけど、2回はなぁ。契約書には「もし契約履行までに打ち上げに2回失敗した場合、発注者は無条件で契約を破棄できる」との条項があったそうで。てことで逃げられてしまった。H-IIA って2回目の失敗より前の予定じゃ華々しくデビューするはずだったのに(開発計画が前倒しになったのは、H-II の好調が背景だったし)、すべてを失った状態で始めなきゃなんなかった。

まぁ H-II 時代には気付かなかった脆弱さが分かって、H-IIA はそのフィードバックを受けてより頑丈になったけどさ。先立つ H-II の2回のトラブル箇所はそれぞれ、2段目エンジン、1段目エンジン。H-IIA で今のとこ唯一失敗の6号機は、H-II でトラブルが出なかった固体燃料ブースターが原因。これで、危ないところは一通りトラブルを出し切った感じ。ついでに再点検でほかにトラブルが起きそうな部分を洗い出して改修したらしいし。おかげでそれ以来、H-IIA もほとんど同じ部品を使ってる超大型の H-IIB も失敗知らず。ようやく信用を取り戻しつつある。

おっと(自分が)忘れがちだけど、組織改革にも取り組んだらしい。それまでの体制全体を見つめ直して、自ら全部叩き直したらしい。記憶ですまんけど、役員のメンバーに外国人を加えたのはこの機会だったと思う。国の宇宙開発でそういう大胆な方策って、他の国ではなかなかないと思う。んでこれはたぶんただの一例。自らを疑って、痛みに耐えて改革したってことで。こういうことができたのは、この組織が自己保存以外の明確な目標と存在意義を持ってたからじゃないかな。

そして外国のお客様がようやく戻ってきてくれた。それがアリラン3号。干支が1周する時間がかかってしまったよ。

H-IIA の単体価格は、国際市場ではちょっと高めらしい。先代の H-II は研究段階から打ち上げビジネスの国際相場をもとに設計が進められて、円建てでは当初予定通りのコストに見事に収まった。けどその間に円高が進んで、国際相場の倍額の高価なロケットになってしまった。めげずに H-IIA で大幅コストダウンを実現。単体価格を半額にまで下げて、ようやく戦える値段になった。はずが、さらに円高が進んで、そしてロシア・中国・インドが安値攻勢を仕掛けてきて、またしても高めのロケットになってしまってる。

けどアリラン3号のロケットの入札で、H-IIA を擁する三菱重工業はとんでもなく安い値段を掲示したらしい。ライバルのロコット社(ドイツとロシアの合弁。ソビエト時代の ICBM を中型ロケットに転用して打ち上げてる。在庫が1万発あるそうで、原価はとてつもなく安い)が敵わなかったほど。

ロコットに勝てた理由を妄想。まず H-IIA が大型ロケットだったってこと。スケールメリットですな。メインの衛星の相乗りって形にすれば、中型ロケット1機をチャーターするより安く上がる。

そして H-IIA 19号機の先客は日本の官需衛星。たぶん GCOM-W1 側が打ち上げ費用のほぼ全額を三菱に支払うことになってたんじゃないかと。相乗りがあろうがなかろうが、H-IIA 19号機は GCOM-W1 が押さえてたってことで。三菱としては採算ライン保証済みってことで、国際市場での入札額はかなり自由度があったんじゃないかと。今回は初めての商用打ち上げなんで、デモンストレーションの意味で格安で請け負う必要もあったはず。カネ回りが悪い日本の宇宙関係ビジネスがアリラン3号に破格値を提示できたのは、こういうカラクリだったんじゃないかと。

ロコットはそんなに安くなくなったって意見もあるらしいし。ロシアルーブルはロシア国内の景気の良さにつられて上がってきてるらしい。H-II の頃の日本の事情と同じ釣り天井状態。それにウワサでは、ロコットの機体は在庫から状態のいい順に選んで使っていってるらしくて、打ち上げれば打ち上げるほど機体の程度が下がっていくとか。あくまでウワサだけど、状態のいいものから使うのは常識的なんで、あながち的外れでもなさそう。となると、まともに飛ぶようにメンテナンスするのに、だんだんカネがかかっていくってこと。

しかし、ロコットが ICBM から衛星打ち上げロケットに転身して今年で21年なわけで。30年ものとかの作り置きがずーっと保管されてるわけで、いくら状態がいい個体を選んで使うとはいえ、全般的な経年劣化は大丈夫かなーって気がする。

てなノリで、H-IIA はしばらくは今まで通り、官需衛星を一番のお得意先様にし続けそうな気がする。官需衛星のうちの低軌道ものが大型路線をやめて中型にシフトしてるんで、余ったスペースを国際市場に売りに出す、と。官需は情報収集衛星は H-IIA をチャーターだけど、それ以外は年間1〜2回の打ち上げ頻度。ここに縛られる限り、打ち上げ回数は伸びないだろうなぁと。

アリラン3号の打ち上げに成功したとして、その実績が呼び水になって注文がドカスカ来るようになればそっちのほうがいいんだけどさ。とりあえずライバル(H-IIA が一方的にライバル視してる状態だけど)のアリアン V の打ち上げ成功率は今現在で 94.73%(部分的成功1回あたり「成功・失敗ともに0.5回ずつ」と案分すると、成功54回、失敗3回)で、H-IIA/H-IIB の 95% が微妙にリードしてる状態(成功19回、失敗1回)。打ち上げ成功実績はいい勝負のとこまで来たんで、あとは商用打ち上げ実績ですなぁ。

アリアン V と H-IIA とは協力関係もあったりする。また記憶に頼った古い話でアレだけど、どちらか片方が商用打ち上げに失敗して、復帰に時間がかかるようなら、それまではバックオーダーの顧客をもう片方のロケットに誘導する、という相互契約。まだ生きてる話かどうかさえ知らんけど。もしこの契約が生きてたとしたら、商用打ち上げのバックオーダーをいっぱい抱えるアリアンが失敗すると、急ぎのお客が日本に流れてきてくれることになる。そうなったら嬉しいなと。ライバルの不運を祈るのはいかんことではあるけど。

同時に H-IIA の失敗は即座に、後発組として逆風の中、苦労して取った注文をみすみすアリアンに取られることにもなるわけで。まぁ仕手側としては精神的にあまりよろしくない協定だけど、衛星打ち上げビジネス全体が順調に発展していくことを願ったものだと思うよ。アメリカ、ロシア、中国、インドが参加してるかどうかも知らんけど、もし日欧だけの契約なら、シェア1位のアリアンに、代打としてくらいは認められてるってことにもなるわけで。

H-IIA もアリアン V もヤバいところはだいぶ出尽くして完成度は上がってるんで、システムの根本に関わるほどの大失敗はなさそうだけどさ。

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

あと日本が商業打ち上げで不利そうなのは、ほかの輸出商売と同じ原因。放射能で汚れた商品・サービスと思われたらキツいってこと。商売は客受けが大事。直接発注する衛星メーカーは科学者がいるから気にしないでくれるとは思うけど、その衛星サービスを使う一般のお客に嫌われたくなくて H-IIA を避けられたりでもしたらツラいなぁ、と。

H-IIA の製造工場は、部品も含めて主に名古屋。エンジンの打ち上げ前試験は秋田県田代町。打ち上げはご存知、鹿児島県の種子島。国内的には風評被害を受けそうにない感じだけど、外国から見ると日本全体が原発事故レベル7で、陸海空に放射性物質をまき散らした国だもんなぁ。

どっちみち衛星が打ち上げられて宇宙空間に出たら、放射線を四六時中浴びまくるんだけどね。

銘板
2011.4.25 月曜
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震災と鉄道

今月12日に東北本線が仙台までやっと通ったよね。これで人と物資の輸送がよりスムーズになりましたな。新幹線はまだだけど、重度の被災地近くまで鉄道が動くのは嬉しい。

それまでの間、羽越本線が生きててよかった。

東北には4本の在来線の縦貫線(とりあえず常磐線と三陸沿岸の路線をひとまとめにして)があるけど、東北本線も常磐線もやられた。仙台が終点の常磐線から北に続く三陸沿岸もやられた。山形線+奥羽本線は、福島で東北本線から分岐するってことで、東北本線が福島まで復旧するまで関東と繋がれなかった。まぁ山形線は山形新幹線の関係でレールの幅が違うんで、貨物輸送はもともとできないけど。

けど日本海沿岸の羽越本線が生きててくれた。

あのガソリン不足の危機的状況、この路線のおかげでかなり緩和されたと思う。新潟−酒田−秋田−青森−八戸−盛岡とずいぶん遠回りになったけど、それでもガソリンや軽油、灯油はこのルートで被災地にどんどん運ばれた。JR 貨物も路線確保が大変だったと思うけど、よくやってくれたよ。恐らく激増した旅客輸送でただでさえ羽越はきつかったろうに。しかもほとんど単線だしな。青森まで来れば、そこから先の東北本線は無駄に複線だけどw

今回思ったんだけど、山形新幹線の山形線と秋田新幹線の田沢湖線、貨物も通れるように全線3本レール(三線軌条)にしない?

それは技術的にウンヌンとか言う人もいるみたいだけど、山形新幹線の蔵王−山形は3本レールの時期があった。秋田新幹線は神宮寺−峰吉川が3本レールだそうな。てことでできないことはないはず。手間やらコストやらで、運営側にはあまり喜ばれないっぽいけどさ。

あるいはそこらへんの線路を狭軌に戻して、ミニ新幹線はフリーゲージにするとかさ。日本のフリーゲージは走りながら可変できるってことで、かなり実用的な仕様になってるはず。と Wikipedia 記事を読んだら、そうかまだ完全にモノになってるわけじゃないんだ。

3本レールにしろフリーゲージにしろ、やっぱし非常時の保険として、貨物列車や在来線が自在に往来できる環境って欲しいなぁと。狭軌の在来線で見ると、今は山形線と田沢湖線は線路がない状態なわけで。こういう大規模災害のときに不便だなぁと思ってさ。それぞれの縦貫線にはハシゴみたいに横断線が通ってるわけで、それを有効に使えなかった感じで。

米坂線が通っても、新潟からの貨物は米沢止まりだったり。羽越本線で秋田まで貨物が来ても、盛岡まで直接行けなかったり。東北の路線図を見る限り、結局は横断線も東北本線側の駅の状況が芳しくなさそうだったんで、南東北の場合は横断線を使ったにしても、米坂線で米沢まで、陸羽西線で新庄まで貨物や人を運んで、あとはバスやトラックで、というあまり変わらない形になってたかも。

けど岩手の場合は盛岡駅の復旧が比較的早かった。てことは秋田新幹線の路線が全線で在来線として使えてれば、輸送はもっとサクサク行けたと思うんだが。あるいは横断線は狭軌レールでも、貨物列車が通れない仕様になってしまってたのかもなぁとも思ったり。

新幹線は速くて便利。ステイタスでもある。てことで東北全部の県に新幹線が通ったけど、ミニ新幹線の導入は在来線を寸断した。新幹線は貨物を運ばない。てことで世の中は在来線貨物輸送よりも新幹線を選んでしまったわけで、今回の大震災でそのツケを払わされてしまった気がして。

まぁトラックやタンクローリー輸送でも現地の人にとっては同じことだし、実際、高速道路の規制緩和後からトラック・ローリーが動いてくれたおかげでどうにかなったんだけど、鉄道って一挙にローリー10台ぶんとか大量に運べるじゃないですか。途中での事故のリスクも少ないし、一応、自分が走るぶんの燃料や電力も、石油元売り業者より公共寄りな存在ってことで優先で確保できそうだし。

銘板
2011.4.26 火曜
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震災とトラック・タンクローリー

つか、トラックやローリーでの輸送が進まなかった理由ってさ、高速道路の規制がいつまでも厳しすぎたのも分かるし、現地での燃料切れの恐れがあったのも分かるけど、どうももうひとつ、放射能が怖かったってのもあったみたいで。関東から東北にまっすぐ行くには、福島県を通らなきゃなんない。輸送業者たちはそれを避けたらしくて。別にほとんどの便は防護服が必要なほどの限られた地域にまで行くわじゃあるまいし、風評以外の何物でもないね。

週刊文春4月28日号でさ、なんだか情けない話が出てたよ。ほんとかどうかおいらは未確認だけど、なんでも燃料不足に応えて福島県内に向かったタンクローリー車両、それ以降は誰も乗りたがらないんで、しょうがなく政府が買い取ったとか。何だこの思考力弱者の群れは。確かに、運転手はその車内で長い時間を過ごすから不安を感じるかも。確かに、政府の「安全です」発表は全然当てになんなかった。けど放射能が残ってるかどうかなんて、ガイガーカウンターで調べればすぐ分かるだろ。フリージャーナリストが自前で調達して持って歩いたくらいなんだから、値段も現実的なはず。

つーか行って荷物降ろしてすぐ帰ってきたくらいじゃ、気にするほどの被曝量じゃないだろうに。それでも政府に買い取らせたっての、これ迷信だろ。風評やデマを作ってるよ。あるいは、それを理由にこれ幸いと新しいローリーに買い替えたかったんだろ。だったら便乗詐欺。どっちにしてもろくなもんじゃない。

便乗詐欺だとしたら、経営者がそれを分かった上で誘導したんじゃないかな。誘導ってことは、運転手たちに風評を吹き込んだんじゃないかな、となる。てことで運転手の人たち、自然発生的に嫌がったんだとしても経営者に乗せられたんだとしても、なんかこう、あまりにも流されすぎな感じで。トラック運ちゃんって腕っ節が強くて荒っぽいことでもいとわないイメージだけど、放射能の先入観に対してはからっきしなんだなーとかなりがっかりしてしまって。少なくともいわき市、郡山市、福島市までなら防護服も要らない程度だった。普通に住んでる人たち大勢いたし。

んで思ったのは、もしかして東北以外の人たち、福島県全域がヤバいくらい放射能まみれになったと勘違いしてる人、多くない? 東北の太平洋側ほぼ全域が地震と津波で壊滅したと思ってる人、意外といるんじゃない? マスコミも、全国にそう勘違いさせるような荒っぽい報道をしてたりしない?

銘板
2011.4.27 水曜
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知られざる被災地状況

地震や津波や原発事故でひどい目に遭った地域は、報道されてるとおり確かにたくさんある。けどそこまでじゃなかったところや、今じゃほとんど再起できたところや、最初からほぼ影響なかったところもたくさんあるんだよなー。三陸沿岸でも岩手県普代村は、強烈に高い水門と防潮堤が津波を完全に食い止めて、その内側を見事に防ぎきったそうだ。日経が記事にしてたんで引用。

銘板左端銘板銘板右端

岩手県普代村は浸水被害ゼロ、水門が効果を発揮

2011/4/1 7:00

岩手県普代村に設けた防潮水門などが東日本大震災で効果を発揮。同村の中心部や集落を大津波から守った。2011年3月30日時点で行方不明者は1人出ているものの、死亡者はゼロ。住宅への浸水被害も出ていない。

三陸海岸に面した普代村は、普代川に沿って中心部を形成している。1896年に発生した明治三陸大津波では、1000人以上の死者や行方不明者を出している。

普代水門
3月20日午後3時57分に撮影した普代水門。下流側からの様子(写真:下も普代村)

この明治三陸大津波を対象に、普代川の河口から約300m上流に建設したのが普代水門。水門の高さは15.5mで、長さは約200mとなっている。岩手県が高潮対策事業の一環で総事業費35億6000万円をかけて建設した。完成したのは1984年。

普代水門は遠隔操作で水門の開閉をできるようになっているが、操作中に地震の影響で停電。一部を久慈消防本部の職員が手動で操作して、津波の到達前に水門を閉めた。

津波は到達時に水門を越えたものの、水門から約200m上流付近で停止。水門の上流側に設けた管理用の橋が破損したが、住宅などに浸水の被害はなかった。

普代水門より下流
普代水門から見た下流側の様子。3月14日午後1時22分に撮影

さらに同村の太田名部地区では、太田名部防潮堤が効果を発揮した。同防潮堤は高さが15.5mで、長さが約130m。1970年に完成した。津波は防潮堤の高さ約14mの位置で止まり、背後の集落に被害はなかった。

普代村では住宅への浸水被害はなかったものの、水門や防潮堤の下流側で水産加工場が全壊するなど、漁業施設に大きな被害が出ている。行方不明となっている1人について同村は、「船を心配して海岸側に向かったときに被災したのかもしれない」と話している。

(フリーライター 山崎一邦)

[ケンプラッツ 2011年3月31日掲載]

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普代は相馬や仙台や石巻、気仙沼とかに比べてかなり北に位置してるから、それだけ震源から遠くて津波が低くなってたにしても、そこよりさらに北の久慈や八戸、三沢は津波被害を受けたわけで。ここは過去の津波被害からきちんと学んで、しっかりと備えをしてきたんだと思う。んで日経は記事にしたものの(確か八戸と周辺地域の地方紙・デーリー東北も出したと思う)、全国的にあんまし話題になってないよね。

たぶん甚大な被害を受けた悲惨な様子じゃないと、ニュースとして絵にならないからだと思う。八戸も海の近くは、派手に報道されたとおりの大惨事だよ。けど市街地は内陸の高台なんで津波被害ゼロ。地震での倒壊家屋もたぶんゼロ。八戸近辺で検出される原発事故由来の放射線量も検出限界未満でほぼゼロ(福島第一原発からの距離は東京の方が 100km ほど近い)。てことで、八戸の被災地区以外のフツーな日常が全国ニュースで取り上げられることもゼロ。

「狭い日本」「日本は狭い」と言う人は、大都市圏にギチギチになって住んでて、そこが日本の全部だと思い込んでる人かと。けど実際、日本は広いのですよ。全国の全都道府県を見て歩いたことある人なんてそんなに多くないでしょ。おいらは北海道(南西側のみ)、東北、関東の各地はだいたい泊まったことあるけど、北陸は寝台列車で通過しただけ。信州は長野だけ。東海地方も静岡と愛知にしか行ったことない。関西は大阪、兵庫、京都、奈良のみ。中国地方は岡山と広島だけ。ほかは完全に未知の領域。この国は広すぎて、おいらはとても全部見て回りきれない。世の中、多くの人はだいたいそんなもんじゃないですかね。

メディアのカメラが切り取った、被災地での多数の衝撃的な現実。してそのフレームの外には、もっと多くの普通の現実があるんですよ。そういう面が報道されないのは、平常すぎてインパクトなさすぎて、マスコミのネタとして商品価値がないからなんですよ。それでも普通の現実は東北地方の至る所に存在して、普通に暮らしとるよ。依然変わりなくッ!

んで、東北全体で普通に生活してる地域や人ってさ、プロの運び屋にとって尻込みするほど怖いですか。来れば汚染されますか。つうか実際、政府もある程度正確そうな汚染マップをようやく出すようになったんで、そこで要注意になってるところ以外は被曝の心配しなくていいと思うぞ(IAEA 勧告も加味するとなおよい)。放射能汚染の心配をしながらも、普通に住んでる人たちがたくさんいらっしゃるくらいだから。

特に避難せずに暮らしてる多くの福島県民に比べてさ、そこにちょっと行っただけで何かあるんじゃないかと尻込みしたり、福島県に行ってきたローリーに決して近寄らない運ちゃんたちってさ、どんだけケツの穴が小さいんだと。

あと情けないのは、原発事故で避難してきた人たちを差別するやつら。放射能が人から人に空気感染するとでも思ってるらしいしな。つーかそもそも放射線被曝しないように避難してきたんだから、被曝してないんじゃん。仮になんぼか被曝してたとしても、それで周りの人に迷惑がかかるようなことはないよ。そんなことも分からないんか。今回の原発事故の避難者をもし気持ち悪いと感じるなら、それは教養か人間性が足りないから。避難者にゆえのない後ろ指を差す前に、自らを恥じた方がいいですな。

銘板
2011.4.28 木曜
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鬼門勘違い

そういやただの迷信で言えばさ、東京から見た東北って方角、風水や陰陽道で言う「鬼門」らしいね。その方角から悪いものが入ってくるというやつ。もしかしたらそれを本気で信じてる人もいるかも。つか「東北 鬼門 震災 東京」でググったらボロボロ出てきた。

そんな人はもしかしたら、今度の災厄、特に原発事故を「鬼門から災いが来た」と見てるかもだけどさ、とりあえず福島県の人たちは何も悪くないから。確かに福島第一原発は東京から見ておおよそ北東の方向で、主に風評で首都を脅かす大事故が今も継続中だけど、それをその方角に作って事故を起こしたのは東京の会社だから。東北から災いが侵入してきたんじゃなく、明らかに自爆だから。

むしろ東京よりはるかにひどい実害と風評被害を受けてる福島県浜通りから見ると、災いは南西から持ち込まれたわけで。逆方向ですな。てことで今回の震災での「東北は鬼門」説は、東京視点オンリーのコジツケですな。この主張をする人たちは、現地の状況を想像さえしない自己中心な人たちってことで理解してるよ。ひどいもんだ。この原発事故の原因は運勢でも方角でもなく東京電力にあるだろ。論理のすり替えにご注意。

銘板
2011.4.29 金曜
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任務完遂も、敵はさらに強かった 1

今回の震災での誤解というかがもうひとつ。

いくつもの防波堤や防潮堤が津波で破壊されたけど、役立たずだったわけじゃなかったってこと。

とりあえず今出てる解析結果だと、釜石港湾口防波堤(かまいしこうわんくちぼうはてい)に関して、読売新聞が報道してるね。

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世界最深・釜石の防波堤、津波浸水6分遅らせる

釜石港湾口防波堤

東日本大震災の大津波で、世界一深い防波堤としてギネスブックにも認定されている岩手県・釜石港の防波堤が破壊されたのは、コンクリートブロックのすきまに発生した強い水流で基礎部分が削られたのが引き金になったことが、港湾空港技術研究所の分析で明らかになった。

ブロックの倒壊は徐々に進んだため、防波堤がない場合と比べると、市街地への浸水を6分間遅らせる効果があったという。

2009年に完成した湾口防波堤は全長約2キロ。防波堤としては世界最深63メートルの海底に基礎の石材が置かれ、その上に幅30メートルのブロックが並ぶ。ブロックは海面から約6メートル出ており、高さ5・6メートルの津波から街を守るよう想定されていた。

同研究所では、沖合20キロの波浪計で観測した津波波形をもとにコンピューター解析し、現地調査の結果とともに破壊過程を推定した。最初に到達した高さ10・8メートルの津波は、防波堤の内側では高さ2・6メートルにとどまった。しかし、ブロック同士の間にある約30センチのすきまに強い力で水が流れたため、基礎の石が削られ、最終的にはブロックの7割が倒壊した。

(2011年4月2日22時31分 読売新聞)

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Wikipedia 記事だと同じ港湾空港技術研究所の発表として、「浸水を6分遅らせたほか、沿岸部の津波高を(推定)13mから(実測)7-9mに低減させた」のだそうな。

世界最高級の性能を誇ったこの防波堤でも守りきれなくて、釜石の町が津波にひどくやられてしまったのは事実だけど、これがなけりゃ被災者数も被災額もさらに増えてたはず。あのとき防波堤が浸水を6分遅らせてくれたおかげで、あるいは津波の高さを 5m 低くしてくれたおかげで、命や財産が助かった方々も多くいらっしゃると思う。備えは確かに足りなかったけど、無駄じゃなかったってことで。

釜石だけがそうだったわけじゃないわけで。どこの港町も、そのときあった防波堤と防潮堤はその設計なりの性能を発揮して、そのぶんあの津波の勢いを削いでくれた。

ただ、ほとんどみんなとこの防波堤や防潮堤が大規模に破損してしまったのは痛いよな。全損じゃないからゼロからのやり直しじゃないにせよ、再建にまた莫大なお金がかかっちゃうね。ていうか修復前にまた大津波が来たら、この前ほどの規模じゃなくても被害が同じくらいかもっと行きそうで怖い。M8 級がもう1発来るかもしんないらしいし。

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2011.4.30 土曜
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任務完遂も、敵はさらに強かった 2

しかしまたなんで防波堤や防潮堤は破壊されちまったんだろうかと。そのメカニズムはどうなってたんかと。3月11日以来、ときどき考えてた。昨日引用した読売新聞記事での解説だと、「ブロック同士の間にある約30センチのすきまに強い力で水が流れたため、基礎の石が削られ、最終的にはブロックの7割が倒壊した」とのこと。釜石港湾口防波堤の場合、破壊の力は圧力差もあったろうけど、水流が主だったんだね。

「津波は普通の波と違って、海底から水面までの水が一気に動く」と言われてはいるけど、そこからよく分からなくて。

今回の津波でいうと「海底が急に隆起したせいで、そこにあった海水が四方に流れた」と理解してはいる。けどそれがほんとに「海底から水面までの水が一気に動く」になるんだろか。だとすると、水中を衝撃波として伝わってきてもおかしくないわけで。けどそんな話は聞いたことがない。水中の衝撃波の速度は水中の音速と同じかな(パルス波と同じことだとして)。およそ 1500m/s だそうなんで、大気中の音速の約4.4倍、マッハ4.4ですな。

インド洋津波は水深が深いところで時速 700km 程度で移動したそうで。これマッハで言うと0.57。水中の音速の 13% 程度でしかない。てことでどうも、「津波は普通の波と違って、海底から水面までの水が一気に動く」はもしかしたらガセか、おいらがそういうもんだと理解してた衝撃波だっつうのは違うか、てことになった。原理としては、単に海面が盛り上がって高くなったぶんだけ四方に流れて、それが海面に表面波(いわゆる普通の波)を作るんじゃないかって気もするが。これだと水の移動はすぐに収まる。そして巨大な表面波だけが周りに広がっていく。

「海底から水面までの水が一気に動く」を説明する筋道をひとつ今思いついたよ。圧力差のことかな。津波の高さが防波堤の高さを上回ったとき、防波堤を越えて水が内側に入っていくけど、防波堤の内側の水かさの増え方は、防波堤が邪魔してるぶんだけ遅くなる。一方、防波堤の外側じゃ水はどんどん高くなっていく。てことは、防波堤の外側と内側じゃ水圧差がどんどん大きくなっていくってこと。

風由来の普段の波だと波長が短いんで、何度ザブンザブン来てもそれは何時間オーダーだと平均化されて、どんなに波が高くても、防波堤の外側と内側の圧力差が問題になることはない。津波で勝手が違うのはそこじゃないかな。

で、たぶん圧力差のみじゃどこの防波堤もヘタレないと思うけど、釜石港湾口防波堤の場合でいうと、ブロック同士の間に 30cm の隙間があった。この隙間での水流って水圧差に応じて激しくなっていったはず。これで基礎が削られた量が想定を越えてて、ついに水圧差そのものでブロックが倒された、のじゃないかな。

そう考えると自然に、「なんで隙間なんかあったのかなー」と行き着く。けどそれも、工学的にきちんと理由があってそうしたはず。おいらは想像つかんけど、そうなってたはず。巨大な防波堤の場合、そう設計しないと別な理由で不具合があったんだと思う。

一方、比較的規模が小さな防波堤・防潮堤だとぴっちり隙間なく作るのに問題がなかったらしく、普代村の防潮堤がその期待に応えた。けど宮古の2重の防潮堤、通称「万里の長城」は津波に越えられたうえに外側の半分が破損。そこからも考えると、防波堤や防潮堤って、津波がその高さを越えなきゃ強いけど、超えられると途端に脆くなるのかな。ここらへんの現象、上を乗り越えていった水流が破壊した感じがする。

八戸港の防波堤も、津波が防波堤を越えなきゃよかったろうけど、越えられて破壊されてしまった。八戸港の防波堤に釜石港みたいな 30cm ほどの隙間があったかどうか分からんけどさ。つうかもともと八戸港の防波堤は 30cm といわず衛星写真で分かるほどでかい隙間だらけなんで、もともと津波対策じゃなく、高波対策だったってのを今さら理解したわ。

んで、八戸港の防波堤ってどのくらい損壊したかなぁと、そのビフォーアフターを探ってみた。報道からするとほぼ全部やられたような感じがしてて。現地はすぐ近くだけど確かめたわけでもなし(横から見たって分からんしな)、ちょいと衛星写真を探してみた。ビフォーの方は YAHOO! 地図にあったよ。アフターの方は Google Earth から。上が津波前。下が津波後。

八戸港_津波前
八戸港_津波後

なんかこう、意外とやられてなかったというか。

6枚あるうち、外側の西側1枚だけが半分ほど持って行かれたけど、外側は中央と東側は見た感じ無傷。内側は3枚とも大丈夫そう。損壊は一部のみですな。総延長の1〜2割ってとこかと。ところが財務省によると、「八戸港八太郎地区北防波堤の破損状況」として、「防波堤の大部分が転倒・決壊」だそうな。これ何なんだろう。単に報告がいいかげんなのか、それとも大袈裟に見せかけることで何か狙ってるんだろうか。

しかし各防波堤の間は船を通す隙間があるとはいえ、乗り越えられたとはいえ、がんばってくれたおかげで津波被害を軽くした部分もあるんだよな。テレビで繰り返し流された、八戸港の道路に横たわった巨大な漁船。あの場所はこの画像だと一番下の真ん中あたり。防波堤が津波の威力を弱めてあんなだったんだもんな。もしこの守りがなかったら、もっとひどいことになってたのか……。

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