ひとりごちるゆんず 2010年9月
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2010.9.1 水曜
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続報 ゴアサット

ゴアサット、調べたらなんだか復活しそうな感じでしたわ。1年半前の情報だけど(記事)。

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'Gore-Sat' Climate Probe May Get Second Chance

Irene Klotz, Discovery News

April 2, 2009 -- NASA's Deep Space Climate Observatory was designed to monitor Earth from the vantage point of distant space. It was to be the first probe to give scientists a holistic, global view of temperatures and environmental conditions.

Originally named Triana, it became a poster child for then-Vice President Al Gore, who thought it would be a good idea for NASA to put a TV camera on the spacecraft so it could broadcast live views of Earth from the vantage point of deep space as a constant reminder that we share one world.

Politics outmatched science, however, and when the Bush Administration took office in 2001, it killed the program, sending Triana into deep storage rather than deep space.

After sitting in a box at the Goddard Space Flight Center in Maryland for eight years, the observatory is now on the brink of resurrection.

〓ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ⊂<回 ←仕切りジッパー

「ゴアサット」気象探査機に第2のチャンスか

Irene Klotz, Discovery News

2009年4月2日 NASA の深宇宙気象観測衛星は、遠い宇宙の見晴らしのいい空域から地球を監視するために設計された。これは気温や環境の状況について、全体的かつ全地球的な視点を科学者に与える、最初の探査機になるはずだった。

当初は "Triana" と命名され、……(翻訳に自信ないんで省略)、「テレビカメラを宇宙機に載せれば、見通しの効く深宇宙から地球のライブ映像を報道できる。そうなれば我々がひとつの世界を共有してることを実感できる。これは NASA にとってもいいアイディアだ」と前副大統領アル・ゴアは考えた。

政治は科学に勝るが、ブッシュ政権時の2001年、この計画は中止の憂き目に遭った。Triana は宇宙の奥深くではなく、倉庫の奥深くに送られたわけだ。

メリーランドのゴダード宇宙飛行センターにしまい込まれて8年。この観測衛星は復活寸前の状況にまで来ている。

訳責: ゆんず

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ということらしい。そうかーブッシュ政権でお蔵入りか。まー2001年は同時多発テロがあったから、アメリカは「じんるいみなきょーだい」っつうどころでも、全然そんな気分でもなかったのは分からんでもないね。当時の報道が伝えたところだと、もうアメリカは「イスラムはこの国から出て行け」なムードだったからなぁ。別にイスラム教が悪いわけじゃないだろうに、アメリカに楯ついた異文化に仕返しする話になると、すぐ早とちりな団結をしちまうのがアメリカの悪い癖だね。日本や日系人もかつてそんな目に遭ったね。

この記事が書かれたのはオバマ政権になってから。民主党が政権を取り返してからだね。たぶんゴアかそのシンパが執念で復活させようとしてるんじゃないかな。けどゴアもなー、ゴアサットを推してた時点で信じてた地球温暖化データがのちに捏造だったと発覚するとはつゆ知らず、てな具合かも。ゴアが自作映画「不都合な真実」で訴えてた二酸化炭素による地球温暖化問題は、かのクライメイトゲート事件後はもう混沌化してるもんな。

ゴアの人気も環境保護運動の説得力も、地に落ちてしまった気がする。てことは復活寸前だったらしいゴアサットも、今はどうなったことやら。

てかもうアフガン侵攻だのイラク戦争だので、シルクロード沿線の西半分はもうアメリカのやることなすことを信用できない状態のような気がする。つか程度の差こそあれ、世界全体がもうアメリカをかつてのようには信用してない気がする。そんな状態でアメリカ発の「ちきゅうはひとつ」な宇宙中継映像をネットに垂れ流されても、「今度はどんな言いがかりのネタにするんだ」「この星全部アメリカのものですってか」「四六時中監視してやがるぞ」「恐怖政治だな」的な見方しかされないような。

例えばこれを中国がやったとしたら、世界は「中国の世界制覇予告だ」とか思うだろうなぁ。あの国の宇宙政策は露骨に覇権主義だからな(孤高を保ったままここまで来たのは凄いと思うが)。中国の国民もネット上で「地球は中国のもの!」なんて書き込みで盛り上がるんだろうなぁ。有人宇宙飛行のときそんな感じだったわ。

んー、ゴアサットって平和の使者的な雰囲気で捉えてたけど、意外とそうでもないなぁ。やるとしたら複数の国での協力か、単独なら平和への信用がある国がやらんといかんってことか。

……、

……、

……。

日本か!?

まぁ中国、韓国にはそのへんを信用されてないけど、世界全体だと、アメリカがやるよりまあまあ行けてるかもしんない。JAXA の世界的知名度は NASA よりはるかに劣るだろうけど、とりあえずそこは考えないどこう。今年は はやぶさ で世界に相当名を売ったことだし。つか、今世界中で語られてる はやぶさ の偉業をやってのけたのは、JAXA っつうより ISAS だけどね。JAXA は名前を貸して漁父の利の状態ってやつで。アメリカのジェット推進研究所(JPL)の手柄が、世界じゃことごとく NASA のものと見なされちまうのと同じ構図ですな。

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2003年に宇宙3機関統合で JAXA が設立された折、それまで独立した宇宙機関だった宇宙科学研究所(ISAS)は JAXA の内部組織になって、略称は ISAS のままだったけど、日本語名を「宇宙科学研究本部」に変えた。けど今年4月、ISAS は JAXA 内の組織のままで正式名が「宇宙科学研究所」に戻った。

おととし、宇宙基本法というのができた。それがこれからどう影響していくのかおいらには予測できんけど、今年の改名はその影響かな。もしかして ISAS は再独立する足がかりを得たのかな。なんかこう JAXA に編入されてからというもの、ISAS にとっては窮屈になっただけって感じがしてなぁ。旧 NASDA 勢力に言いがかり的な手出し口出しされてるし。

五代富文氏が引退されてから、旧 NASDA(現 JAXA 本体)は人の顔が見えなくなったし迷走・停滞気味でなんだか頼りないんだよな。ネットで情報はバンバン出してるのに、「日本の宇宙開発はこれをやるんだよっ!」「なんだってぇ!?」っつうものが感じられなくて。

20世紀、旧 NASDA に五代氏がいらした頃は、国際宇宙ステーションへの参加っつう大目標があった。旧 NASDA のプロジェクトや構想すべてがその方向で進んでたから、確かに分かりやすかった。で、それを成してしまった今が問題。NASA が目標を見失ったら JAXA も一緒にそうなった、と。五代氏は80年代から言ってたじゃないか。「自分の頭で考えよう」と。JAXA は素でそうなれる段階までは成長してないってことかな(自分の頭で考えることを設立時から運命づけられてる ISAS は除く)。

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2010.9.2 木曜
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妄想国産ゴアサット

さて、日本でゴアサットをやるとしたらどうなるか。

JAXA が担当することになるのは明白として、実用衛星かな、科学衛星かな。どっちにするかで内部の担当部署が違ってくる。目的は宇宙からの地球環境観測だから、旧 NASDA の領分ですな。ISAS のほうも気象観測をやってるけど、手段は弾道ロケットや気球なんだよね。日本の領内や北極圏・南極圏での局地的な高空観測が主で、衛星からの地球全体の観測は ISAS の縄張りじゃないらしい。ISAS の探査・行動範囲は、いったん軌道に上がると無限なんだけどさw

けどこの衛星の機能って一般人向けの地球のライブ中継なわけで、それ以外の地球観測データってろくなのが取れない気がする。気象データなら普通の気象衛星の方がずっと役に立つよね。ゴアサットの40分の1の距離から、何機もがいろんなセンサーで常時観測してるんで。日米欧がそれぞれの衛星で全世界の気象観測をしてて、データはすべての国・地域のすべての人が無償・無許可で取得・使用できる。場所によってはアバウトなデータしかもらえないんで、日米欧の衛星気象データだけじゃ足りない国は独自に気象衛星を運用してる。ロシア、中国、韓国がそうだね。インドもかも。

てことで、普通の気象データならもう間に合ってる。そしてゴアサットが取れる地球環境データは、距離が遠いんでたかが知れてるはず。そうなると、この宇宙機は別の機能がメインで、おまけ機能で地球の撮影をする形にした方がよさそう。

太陽−地球のラグランジュ点 L1 に滞在する宇宙機の便利な活用法は、地球観測じゃなく宇宙の観測。この機能と地球ライブカメラとを相乗りさせると、実現性が高まるわけで。宇宙科学ですな。こうなると ISAS の出番ですな。

この位置には NASA の太陽観測機 "SOHO" がもう行ってる。太陽の科学観測にはうってつけらしい。地球を回る衛星軌道より、ほんのちょっとだけど太陽に近いしね。日本の今の太陽観測衛星 ひので は地球の低軌道を回ってる。後継機の2つあるプランには L1 滞在のものはないみたいだけど、まだ間に合うなら、3番目のプランとしてこういうのも検討してみてはいかがかと。あるいは太陽風の分析や、L1 近傍の磁場(存在するかおいらは知らんけど)の測定や宇宙塵(これはけっこうあるかも)の採取と分析っつうテーマも行けるかも。

とりあえず ISAS 広報責任者の的川先生(月探査機 かぐや に広報効果を見込んでハイビジョンカメラを載せてくれたお方)なら、可能性を考えてくれるかなぁ。

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つか、無人探査機にスチルカメラじゃなくビデオカメラを載せて宇宙動画を撮るという発想、オリジナルはゴアサットだったんだな。それを、本家がやるのやらないのとゴタゴタしてる最中に、かぐや がお月様でやっちまったってことか。しかもハイビジョンで。メリケンさんすまないねぇ。最近じゃ太陽光帆船の世界初の座も、そっちで打ち上げ3連続失敗にめげずに4機目の準備をしてるうちに、日本が実機1発目の IKAROS でトンビアブラゲしちゃったし。わざとじゃないんだけどもねぇ。

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2010.9.3 金曜
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ゴアサット成立の人類学的な別の条件

1950年代に入って初めて、人類は外から地球を眺めた。しかしさー人間の感性で「美しい」と感じられる見栄えでほんとよかったよ。人類は生物種として何百万年もの時間をかけて地上で育ったから、地上から見た自然の風景を美しく感じられるように、感性をセッティングされてきた。そこは当たり前。で、つい49年前に初体験した、外から見たこの惑星の見栄えってのは、進化の過程でのセッティングには入ってなかったはず。宇宙に浮かぶ地球の姿を無条件で美しく感じるってのは、単なる偶然でしかなかったってわけ。

一方、自然界には、大抵の人間が「ウエエ気持ち悪い」と生理的に禍々しさを感じる見栄えってのもある。たぶん伝染病や腐った物や毒物から自分の身を守るべく、いかにもそんな感じの見た目を忌み嫌う感性が育ったんだと思う。「毒々しい」「禍々しい」ってやつだね。とばっちりなんだけど、蓮の花の中心部あたりがたまたまそういうデザインだったりして、一部のグロ好きに大人気だったりするw

で、もし地球の見栄えがたまたまそんなグロ系だったとしたら。

そこまでじゃなくても、特に美しくも醜くもない、どうでもいい感じだったとしたら。

「このかけがえのない母なる星の環境を守りましょー」っつう、もうそろそろ聞き飽きて偽善者っぽく感じられてきたこんな意識も、そんな耳タコになる水準まで来てたかどうか。まー、宇宙から見た地球の姿が、汚かったり吐き気を催すようだったりじゃなくてほんとよかったわ。

もしそんなだったら、とりあえずゴアサットは構想さえ出なかったろうなw

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2010.9.4 土曜
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醜悪地球

「もし地球の見た目が醜かったら」という発想が自分で気に入ってしまったんで、ちょっとだけ追加。

もしさ、宇宙から見た地球が、緑とピンクと紫のまだら模様だったらさ、しかも青と黄色の斑点がぶつぶつ出てて、見ただけで痒くなりそうだったらさ、初めてそれを見たガガーリンは「地球は青かった」じゃなく、どんな言葉を遺したろう。

アポロ計画の飛行士が、月面から見上げた黒い空に、母なる星の奇態を見る。「さあ懐かしいあの場所へ帰ろう!」となったかな。宇宙服のメットの中でツバでも吐いて、「あーもう酸素がなくなりそうだよ。嫌だけど帰るか。あのクソ溜めに……」とテンションだだ下がりで帰途についたんじゃないかとか。

小惑星探査機 はやぶさ。最後の最後、残った力を振り絞って送ってきた画像は、故郷の星・地球。地上でお祭り騒ぎのファンはみんなこう思ったろう。「白黒でよかった……」。

もしもゴアサットがアメリカで実現したら、その映像を見せられた人々は憤慨するだろう。「アメリカは世界に対して新手のテロを仕掛けてきた! 悪気がないのなら吐き気止めの薬を無償配布しろ!」と。

実際はそうならなかった。地球の見栄えは偶然にも人類の感性ととてもよく合ってて、写真を見た皆が「美しい……」とウットリ。実物を見た少数の人のそのまた一部はそんなもんじゃなく、哲学的な啓示を受けて信心深くなった人もいたり(新興宗教ではないらしい)。そのくらい、いい意味で印象的なわけです。幸せなことです。

てことで SF でも最近はもうほとんど出てこなくなった、侵略者的宇宙人みたいな連中はどうか。彼らは場合によっては、地球という美しい星が欲しくなって攻めて来たりしてた。てことは彼らは不運だったのかもな。がんばって文明を発展させてようやく初めて外から見た母星の姿が、きっと相当コキタナくてがっかりだったんだろうなぁw

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2010.9.5 日曜
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戻りかたを忘れたの巻

またやっつまった。先月の日記の容量、100KB を大幅オーバーだよ orz

歴代ファイル容量

歴代6位か。明らかに書きすぎ。本来の日付けに追いつく気ほんとにあるのかと自問。これさ、ちょうど2カ月遅れてるんだわ。今日は11月4日だったりする。遅れに遅れて、こんなところまで。思えば遠くへ来たもんだと。

今年の6月分が歴代トップで、7月分が3位。で、6位が先月分。ほかに10位が2月分で、先月のせいで1月分が11位に転落。

今年書きすぎ!

まあ6〜8月で はやぶさ 帰還まつりやってたってのが大きいんだけどさ。ほとんど宇宙機ネタだもんな。それにしても、6月の時点で遅れまくってたのにな。そこからますます行ってしまったよ。休み癖がつきまくっちまったし。どうすべこの日記。来年の6月末で10周年なんだよな。当初期待したほどの文章力も付かなかったってことで、もうやめちまおうかなとか。

しかしここに出した12位までのうち10本がここ2年以内って、一体どうなってんだ? 昔はどんだけサクッと書いてたんだべ……。

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2010.9.6 月曜
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CD: あの問題は今

音楽 CD の音域問題ってどうなったんだろう。

レコードから CD への移行期、CD の規格じゃ人間の可聴範囲を超えた音域を記録しないってのが問題になってたときがあったんだわ。当時はオーディオマニアという、サウンドにやたらうるさい連中がけっこう多かった。充実のオーディオ環境を揃えるのには金に糸目を付けない人たち。趣味をオーディオと言い切る人たち。

彼らはアナログレコードが大好きだった。レコードのスペックを最大限に引き出す知識と経験、それに基づく腕前と装備、配置を誇ってた。オーディオ機械はいろいろあれど(昔は単機能のユニットをバラ買いして、積み重ねて配線でつなぐのが通の道で、異なるブランドのベストチョイスが腕の見せどころだった)、その中でも、レコーディング時の音に最も近いレコードとそのプレイヤーの扱いが素人と玄人とを分けた。だから、そこらのノウハウを全部フイにしてしまう CD なんてアタラシモノを、なかなか認めたがらなかった。

レコードに比べると、CD はほんとに扱いがラクだよね。小さいし、デリケートなのは片面だけだし、デジタルの上に非接触だから音も劣化しないし(最近、CD に使ってるプラスチックは20年で白濁して聴けなくなるっつうウワサが出たけど、うちの CD は問題ないなぁ)。けど昔の人たちは、アナログレコードのでっかくていろいろ面倒で手間がかかるところにありがたみを感じてたみたいで、CD の便利さがどうにも気に食わなかった。

で、CD にいろいろ文句をつけてた。その標的のひとつが、可聴域を超えた音域を切り捨てるっつう仕様。「そんなものは音楽に対する冒涜だ。耳に直接聞こえなくたって、聞こえる音への影響があるはずだ」「骨伝導を考えていないじゃないか」「リスナーの脳波を調査をしたら、同じ音源でも CD よりレコードの方がアルファ波が多く出たそうだ」ウンヌン。

あと、かなり眉唾だったのが、「CD は音程がズレる。致命的欠陥だ」というやつ。新聞の投書で読んだんだけど、あるクラシックの同じ音源で、CD だと嬰ナントカの音が上か下にズレてたとか。いくらなんでもそれはないだろ、と子供心に思ったのは覚えてる。アンチ CD 派はそこまで必死だったと。

彼らのがんばりも最初は世の中に「CD ってそうなのかー」と聞いてもらえてた雰囲気だったな。しかも CD プレイヤーの値段がしばらく高止まりだったんで、初の音楽 CD 製品が出てから何年もの間、ひとつのアルバムがレコードと CD とで併売っつう状況が続いてた。カセットテープ販売ってのも前々からあったから、レーベルにとっては媒体がひとつ増えたってだけだったかも。

ちょうどバブル期の1988年、ついに売り上げの逆転が来た。松任谷由実が20枚目のアルバム "Delight Slight Light KISS" を、桑田佳祐が初のソロアルバム "KEISUKE KUWATA" を出した年だな。CD の進撃はそこから先は一気呵成。レコードを売るレコード屋が次々になくなるっつう、字面ではかなり変な状態になっちまった。で、その頃にはもうレコード派も何も言わなくなっちまった。

その数年後に聞いたヨタ話だと、古い時代の CD プレイヤーは D/A コンバータの出来が甘くて、メーカーによって音の再現性がまちまちだったそうな。どうもレコード派が文句をつけた聞こえ具合の問題は、ほとんどそれが原因だったらしい。じゃあ可聴範囲超えの音域を切る問題って、それで決着しちまったんだろか。まだ論点が違うような。

売り上げ逆転前までは、可聴範囲の話がちょくちょく話題に上がってたんだけどな。はっきりした回答をいまだに得てないのが気持ち悪くて。CD を定着させたかったレーベルやオーディオメーカーのミスダイレクション戦術に、おいらは引っかかってるんだろうか。アルファ波の話もソースがはっきりしないんだけど、最新の実験環境で追試した例とかないんだろうか。

そこら謎のまんまなんだけど、あの頃思ったのは、CD のほうがレコードより大量生産しやすそうだなーってとこ。てことで、業界としては CD への早期移行は何を置いても重要な案件だったんじゃないかと踏んでたよ。

80年代はそれほどまで疑われてた CD だけど、90年代になったら CD 独自のよさが利用されてきたね。レコードというかアナログ音響機材は中音域の再現が得意で、コンテンツは高音域と低音域を弱めにセッティングされる傾向があった。たぶん高音域と低音域は、強調すると歪(ひず)みやくぐもりが目立ってしまってたんじゃないかと。対してデジタル媒体は、可聴範囲ならどの音域でもまんべんなくキレイに録音・再生できる。そうなるように仕様決定されたんだからして。

てことでスタジオ機材がデジタル化して CD に最適化した時点で、出てくる新譜はいわゆるドンシャリなサウンドばっかりになった。まあ中音域に偏ってたのがフラットになったんだから、本当の意味でのドンシャリじゃないんだけどさ。でもレコードの中音域主体の音に慣れた耳には、このトンガリ具合がきつくて。

と言いつつも、本来のナマの音楽は低音域から高音域までまんべんないんだから、レコードの音の方が曲げられてたってことなんだわね。あと、アナログだと多かれ少なかれ音がモコモコとくぐもってたのが、CD だと音質のロスなくスパーンと直に伝わる感じがするね。音がリアルになったってことですなぁ。んー、アナログレコードを擁護するつもりが、何が本当にいいんだかわかんなくなってきたでござるよ。

でさ、コンパクトディスク規格って80年代前半に作られたものなのよ。その頃はデジタルデータの圧縮技術が未熟だったし、デジタル回路も高価だったもんで、非圧縮データをそのまま媒体に記録するっつう方針になったのよ。それでも直径 12cm のディスクにレコードを超える高音質のデータを詰め込む必要があって、それで恐らく、人間の可聴域をちょっとでも超えたデータをばっさり切ることが決まったのよ。

2010年現在。音楽データの圧縮技術は完成済み。汎用パソコンに無料のプレイヤーソフトを入れて聴けるようにもなった。音楽はプレイヤーソフトでデータ規格に対応してれば媒体の形態は問わないっつう、四半世紀前じゃ思いもよらない事態になってる。

録音音楽コンテンツは100年以上まとってきた「媒体」という体をついに脱ぎ捨てて、見える姿のない情報そのものに還った。

となると、レコード派のウルサ方な意見が甦るわけですよ。「可聴範囲を超えた音域を切るなんて、音楽に対する冒涜だ!」。

彼らの要望が取り入れられる環境が、ほとんど整ってしまってるんですよ。今はもう、80年代前半の、媒体の制限に縛られたデータ規格なんてやめちまっても構わんってことなんですよ。アナログに回帰しなくても、デジタルデータのまんま音域の規格を拡大できるってことなんですよ。iTunes みたいな無料のプレイヤーソフトがプラグインででも対応すれば、その新規格で作られた音源を投資ゼロですぐさま聴けるってことなんですよ。

実際、CD の規格を超えるいろんな新規格が提案されてるらしんいだけど、まだどれも表に出てきてないみたいだね。CD 規格とその圧縮版の MP3 がもうデファクトスタンダードになっちまってるからな。あえて新規格でコケたくないってことなんだろか。

そういえば音楽リスナーの世界って、昔はごろごろいたコダワリ派の人たちがすっかりいなくなったな。スピーカーやアンプを自作する人とか全然聞かなくなった。部屋で聴くぶんにはパソコンで間に合うしな。おいらも今はそうしてる。机のすぐ横に昔揃えたフルコンオーディオセットがあるのに、通電さえもう何年もしてない。

パソコンのスピーカーなんかじゃ当然満足できんけど、もっといい音を聴きたきゃヘッドホンだしな。ダウンロードした音楽データを iPod なりケータイなりにヘッドホンのジャックを差して聴くから、でっかいスピーカーもアンプも要らんくなったのよね。なんかな、音楽観賞のソフトもハードも完成度が格段に上がったってことなんだけど、なんだろこの物足りなさ。もう自分でいじる余地がなくなってしまったのが大きいのかな。

iPod のハードをいじって音質の不満点を直した猛者なんてのも聞かんし、そもそも勝手にフタを開けると補償対象外になりそうだしな。今の時代はメーカーや業者の言いなりですなぁ。音楽業界の不況の原因ってきっと、レーベルの人たちが言うとおり不正なコピーやダウンロードが大きいんだろうけど、もしかしてこういう周辺文化を潰されてつまんなくなったからってのも遠因だったりして。

アナログ時代というか音楽鑑賞マニアが普通にいた時代、グラフィックイコライザー(グライコ)が垂涎の対象だったよ。今思うとレコード音源の音が不完全だった証左でもあるけど、「自分好みの音を作りたい欲求」を満たしてくれる品物でもあったわ。まぁ大抵はいったんセッティングを決めると、飽きてそのまんまだったけどさw

つかカーステにグライコ付けてるやつって結局グライコ自慢したくて、意味なくドンシャリにしてたりしてなwwww

技術の完成度が上がるとマニアは減るってことか。じゃあ音楽鑑賞マニアの最後の輝きというか断末魔の叫びというかが、「可聴範囲を超えた音域を切り捨てるなんて!」だったのかな。

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2010.9.7 火曜
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宇宙用 SOI

最近、ISAS ニュースのバックナンバーを少しずつ読んでるよ。2006年の6月号までは HTML 版があってさ、ネット経由で読むのに便利だったんだわ(本来は紙媒体の冊子らしい)。今は省力化のためか PDF 版のみ。まぁ PDF リーダで読めばいいし見栄えも HTML より綺麗なんだけど、例えばこのサイトからリンクを貼ったりとかじゃちょっと不便になったかな。2006年時点じゃ Mac で ウェブ上の PDF 書類を読むのもちょっと面倒だったりして、そのあたりからあんまし読まなくなってしまって。

で、HTML が今も生きてるバックナンバーを読んでいくと、驚きの最新技術なんかがとんでもなく昔の号に載ってたりする。そのうちのひとつは、2003年打ち上げの はやぶさ への搭載は間に合わなかった。はやぶさ は旧技術で飛んでたわけだ。

はやぶさ が旅の最後に抱えてた問題は、宇宙放射線による電子機器の劣化。川口先生が書いた、帰還2カ月前のメッセージ『はやぶさ、そうまでして君は。』の一節から。

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満身創痍。ハードウェアとしては、たしかにそうだ。しかし、自律機能や判断能力といったソフトウェア面は今までもちゃんと機能してきた。けなげにもがんばった。ところが、最近は、「はやぶさ」の頭脳や感覚にも老化が現れてきている。記憶であるRAM データレコーダにはビット反転が頻発し、頭脳であるDHU でも反転が発生、感覚器であるジャイロも反転が起きやすくなってきていて、動作も今や確実でない。そろそろ寿命が全うすることは、「はやぶさ」自身が感じているのかもしれない。これ以上、長い飛行を続けるのは苦しいだろうと思う。無理だろう。

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軌道上で10年以上もつ宇宙機もあるけど、はやぶさ の場合は7年が限界だったらしい。もともと設計寿命が4年だったし。つか、動作が確実じゃない状態でほんとよく帰ってきた(涙)。

そして現在。もっと頑丈なデバイスが出てるらしい。とりあえず JAXA/ISAS の2004年の発表で、宇宙技術が生んだ高信頼民生半導体部品の開発。というのがある。冒頭部分を引用。

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宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部(宇宙研)は、三菱重工業(株)名古屋誘導推進システム製作所(三菱重工)、沖電気工業(株)(沖電気)と共同で、 LSIの高速化・低消費電力化が期待されている最先端の民生SOI(Silicon On Insulator)プロセスを用いて、近年の民生半導体デバイスでも強く危惧されている宇宙から降り注ぐ中性子線によるソフトエラー(放射線によるビット反転エラー)の発生確率が極めて低い民生用128Kbit-SRAM(Static Random Access Memory)の開発に世界で初めて成功しました。

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SOI 技術って以前かなり話題になった技術だった。パソコン市場に初めて投入されたのは、確か PowerPC G4 でだったかと。調べたら2002年デビューの MPC7455 から(記事)。記事だとあたかも IBM 製みたいだけど、PowerPC G4 シリーズはモトローラ製ですな。

宇宙用の LSI って、世代がかなり遅れたものが使われるんだわ。放射線や熱、低温、真空への耐性っつう特殊な性能が求められるんで、特注品になっちゃうからして。故障を修理できない環境だから、性能よりも頑丈さが重視される。地上でしか実証できてない新技術より、実際に現場で稼働した証明済みの技術が優先される。そして LSI はどれも開発にカネも時間もかかるってのに宇宙用は需要が小さいんで、一定ロットを作ったら、それが捌けるまでその部品を使い続けなきゃなんない。それでいつも性能が犠牲になるわけ。まぁ宇宙開発って並外れたエキスパート技術者が揃うから、そんなしょぼい仕様の部品でも、隅々まで使いきって要求に間に合わせてしまうんだけどね。

それでもデバイスの性能が上がればやれることがそれだけ増えるし、余裕もできる。はやぶさ だと、イトカワへの着陸のときに画像処理で自律的に状況判断を試みたけど、なかなかうまくいかなかった。結局、全自動じゃなく地上からの支援を交えてどうにかした。イトカワの表面状態は事前予測と全然違ってたから、打ち上げ前にインストールした航法プログラムが違いを吸収しきれなかったらしいけど、それでも処理能力と記憶容量がもっとあれば、より状況に適した最新のプログラムを地上から送信して書き換えられたんじゃないかってことで。通信速度も関係するからどっちにしろ無理だったのかもだけど、もしかしたら無理じゃなかったかもだし。次の はやぶさ2 じゃ新型の LSI を積むだろうから、放射線耐性もそうだけど、記憶容量も演算力も期待できますな。はやぶさ×イトカワでの経験を反映した、きめ細かい着陸プログラムを最初から装備するんじゃないかな。

で、放射線耐性が高い LSI を、2000年代前半で最新だった SOI 技術で作るのに成功した、というのが2004年の記事。

これさ、実は2000年にはもう情報が出てたことが分かって。ISAS ニュースで(ISAS ニュースの記事)。この記事からだとあたかも「SOI にすると放射線耐性と耐熱性が上がる」かのようだけど、2004年の記事によると、「SOI は高クロック・低消費電力のための手段で、SOI 技術とはまた別に、宇宙用に耐放射線・耐熱性能を上げる技術を盛り込んだ LSI」ということらしい。

てことで、宇宙環境に耐える高速・大容量の LSI が日本で生まれたってことですな。高速つっても CPU だと 100MHz 程度らしい。はやぶさ の CPU は日立の SuperH シリーズの SH-3 (7708) という型番だそうで、クロックは 60MHz らしい。100MHz になると単純計算で演算速度が 67% 増し。消費電力が気になるけど、SOI は信号の漏れが少なくなるぶんクロックあたりの消費電力が低くなるそうなんで、どのくらいの省電力になるかは分からんけど、さすがに1.67倍までにはならんかも。

2004年の記事だと SOI はメモリで実現したらしいけど、CPU ではできたんだろうか。ビット反転が激減なのはメモリでこそ重要な性能ではあるけど、SOI のほうは高速・省電力が売りだから、CPU でこそだと思う。世の中、PC 用の CPU はインテルと AMD で寡占だけど、組み込み用では日立が強いらしい。SuperH シリーズですな。今回開発に成功した LSI は三菱電機と沖電気。日立のライバルになっちゃうけど、これからは是非、ISAS も共同で開発した新型 SOI を使ってほしいっすよ。そしたら あかつき や IKAROS はどうなんでしょ。

と調べたけど、CPU の諸元は発見できず。代わりにというとちょっと違うけど、OS に TRON が搭載されてることは分かったよ(ソース)。そうだった。日本の探査機の OS は TRON なんだよね。TRON の正体は規格なんで、実際のブログラムは各開発者がその規格に沿って自力で作るか、どっかから調達しなきゃなんない。で、このマーケットだと eSOL 社が開発を受け持ってるらしい。はやぶさ のソフトウェアの開発と管理は NEC だったから、この会社は NEC の子会社か何かだろうか。そんで OS のプログラム仕様は CPU に依存するわけで、新型の SOI LSI に対応してくれてるといいなーと。あかイカがそうだといいなーと。

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2010.9.8 水曜
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本場の探査機はどうかと思ったら地上の話でした

「そういえばアメリカの探査機って PowerPC 使ってるやつあったなー」と思い出して調べたら、PowerPC G3 だったわ。宇宙用にチューンされたスペシャル仕様で、RAD750 という型番だそうで。

こいつのクロック数は、この資料(PDF)からだと 132MHz だそうな。はやぶさ の倍速以上かー。アメリカの宇宙技術の進みっぷりを実感させてくれるわ。それでも日本の探査機はできるだけ国産のパーツを使うのだ(全部じゃないけどさ)。企業や技術者が同じ国にいると、話が通りやすくてな。はやぶさ だと特に NEC と古河電池が素晴らしい仕事をしてくれた。

けど Wikpedia で例に挙げてる探査機ってマーズ・リコネッサンス・オービターで、打ち上げは2005年。比較的最近なんだわ。ここまで進んだ CPU って、アメリカでも新しいのかもね。

NASA の探査機の OS って何なのか、そっちも気になってきたw まさか TRON じゃないだろうし。Windows CE でもないだろうし。Linux かなぁ。

地上システムじゃ Solaris と RedHat と Mac OS X らしい(ソース)。記事の信頼性は不明だけど、どうもサーバのことみたいだね。個別の PC だとご多分に漏れず、Windwos が強いんじゃないかと。

つかスペースシャトルには DOS が使われてるらしいw シャトルは1981年デビューだからね。問題なく使えてるシステムってむやみに更新するのはかえっておっかないからな。それでこんな具合なんだろうと。超エキスパートにかかると、一般的に「古臭い」とされるようなブツは「枯れた技術」としてかえって便利に思われるもんだしな。この場合の「枯れた」は、「不具合と対策が出尽くして安定している」というイイ意味。別名「勝手知ったる」w てことで、それなりの技術者を抱えていてこそできる芸当だったりもする。

最新の高性能デバイスを開発しつつ、枯れた旧技術でも運用できるってのが、NASA の絶対の強みなのかもね。

銘板
2010.9.9 木曜
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戦場 Mac

昨日の続き。

大企業・大組織がシステム更新トラブルの洗礼を受けた例、日本でいくつかあったね。思い出したのは3つ。みずほ銀行東京証券取引所航空局。システム更新に対する認識が足りなさすぎますなぁ。自社専用に開発した新システムなんてどこに不具合が入ってるか分かったもんじゃないから、バックアップと技術者・使用者の慣熟の両方の意味で、しばらく旧システムと並行稼動するのが当たり前だと思うが。大組織のお偉いさん、どんだけそこらへんに疎いんだと。つうか東証ってほとんど常習犯だな。

そういやイラク戦争のとき、米軍の前線拠点がテレビに出ててさ、そこにあった PC が Mac でびっくりだったわ。Windows じゃねーのかよと。まぁウイルス対策としては有効かと。世の中のウイルスはほとんどが Windows 専用だからして。てことでウイルススキャンで毎日定期的にパフォーマンス低下ってのもあんましないしね。けど Mac と戦場ってほんと似合わんなー。

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日本の警察や自衛隊も、クライアント OS は国産にすりゃいいのに。超漢字4でいいじゃん(超漢字 V は Windows 上で動作するんでボツ)。スーパー301条をちらつかされてアメリカに脅されたのも今は昔。当時のアメリカ政府が保護して日本にゴリ押ししたマイクロソフト、今や成長しすぎて誰の言うことも聞かなくなって、欧米じゃウザがられてるよ。ヨーロッパなんかマイクロソフトに露骨につらく当たってるしな。もう政府レベルで義理立てして Windows だけを選び続けなくていいと思うぞ。

で、日本の警察や自衛隊の用途だとソフトは専用が多いだろうから、世の中で普及しきってる、しかも外国製の OS をわざわざ選ぶ必要なんてないはず。とりあえず Winny での情報流出の心配がなくなるよ。マイナー OS じゃ、一般に出回ってる変なプログラム食っておかしなことになるってのもないだろうし。米軍との連携に PC が必要なら、向こうは Mac でいけてるってことで、同じ UNIX 系列の Linux でも FreeBSD でも補助としてデュアルブートできるようにしたらいいんではないかと。補助なら Windows でも問題ないだろうけど、世界に普及してる OS ってことで、その業界だと危ない気がして。Mac OS X は Mac のハードウェアが必要なんで、かえって外国に大事なところをよけい握られることになっちゃうな。

銘板
2010.9.10 金曜
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代償は42年

準天頂衛星 みちびき 打ち上げ前日にグッドニュースが来たね。

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H2Aロケット打ち上げ、来年度から制限撤廃

日本版の全地球測位システム(GPS)を可能にする準天頂衛星「みちびき」を搭載したH2Aロケット18号機が11日夜、打ち上げられる種子島宇宙センター(南種子町)。周辺海域の漁期に配慮し、年間190日間に限定されているロケット打ち上げについて、国や関係5県の漁協などは2011年度から制限を撤廃することで合意した。通年運用による人工衛星の受注増や波及効果に、県や地元・種子島の期待が高まっている。

文部科学省によると、制限はセンターがオープンする前年の1968年、政府と漁協の間で取り決めた。

打ち上げの際、進路にあたる海域は、危険防止のため漁船などの船舶が進入禁止となり、漁が出来ない。制限は漁の最盛期を避けるために設けられ、当初は90日間だったが、97年に6〜9月、11〜2月のうちの計190日間に延長された。

時期の制限を設けている国はほかにないといい、海外からの衛星の受注にとっては不利な条件の一つ。このため、政府が中心となって漁協などと交渉、今回の合意にこぎつけた。内之浦宇宙空間観測所(肝付町)でも制限が撤廃される。

センターの地元、南種子町商工会の寺田栄一郎会長(63)は「期間制限はセンター建設時からの最大の懸案。撤廃は外国へのアピールになり、衛星受注が増える下地が出来た」と喜ぶ。

町では、打ち上げのたびに、約1か月前から作業員らが宿泊施設に泊まり込む。直前になると、観光客が宿を求め、町内約30軒の施設は予約が取りにくい状況になる。ただ、町内の宿泊施設は制限撤廃を歓迎しているものの、室数増などに乗り出す動きはまだ見えないという。

寺田会長は「以前も、海外からの受注が増えるということで改装した宿泊施設があったが、失敗によって1年以上、打ち上げがストップしたこともあった。実際に回数が増えるのを見なければ、先行投資は難しい」と話す。

最近では、センター内の施設の老朽化も問題となっている。ロケット組み立て棟がさびついて壁に穴があいたり、配管が傷んだりするなどし、クリアすべき課題となっている。

県や関係市町などでつくる「県宇宙開発促進協議会」は毎年、関連施設の整備に向けた予算確保などを国に要望。県は「ロケット発射場が県のイメージアップにつながっていることは間違いない。今後も後押ししていきたい」としている。

(2010年9月10日 読売新聞)

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この打ち上げ時期の制限、JAXA の前身の宇宙開発事業団(NASDA)が種子島宇宙センターの着工をしたときに隣の宮崎県の漁協と諍いがあって、それでこうなっちゃったらしい。その前から近くの大隅半島の内之浦に基地を作って打ち上げてた宇宙科学研究所(ISAS)は「自分らはよそ者だから」と地元の人々に気遣って仕事をしてたんでそういうトラブルは特になくて、こうなるまでは好きなときに打ち上げができたそうで。で、当時の NASDA というか科学技術庁のあまりの不誠実さに宮崎の漁協がキレて、「ロケットは出て行け!」てことで ISAS までとばっちりを受けてきたそうな。そこからの交渉でようやく条件交渉に発展して、種子島、内之浦ともども、年間90日の制限で打ち上げできることになったんだとさ(吉田武 著『はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語』からの受け売り)。

んで記事にあるとおり、当初は90日だったのが1997年に190日に倍増。そして今年9月10日になって、ついに制限撤廃にまで持ち込めた、と。190日というと1年の半分以上なんだけど、打ち上げ時期は夏期と冬期に限定(盆暮れ周辺)のまんまだったし、打ち上げるロケットも年間で多くて4発程度で、実際はそんなに変わったって印象はなかったなぁ(2005年度の冬期、スケジュールを詰めてまくって、1ヶ月で種子島と内之浦で合わせて4発打ったこともあったけど)。外野からはそう見えても、運用してる人にとっては、自由度が格段に増えてラクになったってことだったのかな。

この時期に決まったのは、漁師さんたちが比較的暇な時期だからってことだったそうで。あくまでも漁業の都合だったわけ。ロケットという精密機械にとっちゃ暑い盛りと寒い盛りは厳しいわけ。それなのに国の省庁がこの条件を呑まざるを得なかったってことで、当時、科技庁のまずい対応が地元の人たちの怒りをどんだけ買ったかが分かろうというもの。

けど地域の一般人の集まりと国の組織ってのは、粘りとしつこさが違う。相手が「もういいよ」となるまで、いつまでも同じテンションで交渉を続けるのが国家機関の怖いところ。漁協の本職は漁業だけど、国家機関のその担当部署の本職は交渉そのものだから、プロ度が違うってことかな。そのほかに、NASDA も ISAS も統合後の JAXA も、つらい時期を乗り越えて全国的な印象がよくなったんで、特に種子島は「昔は鉄砲伝来の島、今はロケットの島」として名を売ってる状態になったんで、それで許してもいい気分になってくれたのかもしんない。

おいらとしては、日本のロケット基地の代名詞としてすっかり定着した種子島宇宙センターもいいけど、地元とずっと仲よくしながら世界一線級の科学的成果を出し続けてる ISAS、その基地がある大隅半島の内之浦宇宙空間観測所を推したいところ(日本最初の衛星を「おおすみ」と命名したほど地元重視)。「合併された側の悲哀」で JAXA 内で冷や飯を食わされてるイメージもまた判官びいき的なアレだったりして。つかニコニコ動画で見たけど、韓国のテレビ局が はやぶさ の取材で映し出したのが種子島宇宙センターだったのにはガックリ来たわ。はやぶさ はそっちじゃねーよ。

今回の件は旧 NASDA(というか科学技術庁)の自業自得を、今の文部科学省がついに解決したっつう流れだけど、同時に ISAS が不当に受けてきたとばっちりも消えたわけで。めでたいめでたい。不当ではあったけど、漁師さんたちからすると「あっちのロケットはいいけどこっちのはダメ」ってのはめんどくさいだけだよね。漁協内部でまず理解しにくいし、外部に事情を説明しにくいし。だもんで一緒くたに「ロケットはダメ」としたのも分かるわ。そして、あくまでも地元の人々を気遣って、文句も言わずにとばっちりを受け入れ続けてきた ISAS はほんと素晴らしいよ。

打ち上げ時期の制限が始まったのは1968年。今年は2010年。原状回復まで42年かかりましたですよ。

取り戻しはしたものの、いっときの不誠実の対価として42年の歳月。これは大きかったと思うよ。その時期に日本のロケット・衛星・探査機の技術と実績はここまで来たけど、打ち上げ時期の制限がなけりゃもっと先に行けてたはず。つまらんことで発生する大損失ってあるんだなぁ。

だいたい同じ流れだった成田空港問題の方は、いまだに完全解決が見えてない。あれって国が謝罪したのは90年代も半ばになってからだったよね。それまで国はどんだけ威張ってたんだと。各地の原発誘致と反対運動のこじれも、地元の人たちを無駄に怒らせてる不誠実さはないのか、一度チェックした方がいいんじゃないのかねぇ。国家プロジェクトだからってゴリ押しで進めていい時代じゃなくなったんだし。

いったん決まるといつまでも続ける粘りのおかげで、ついに地元の理解を得られてロケット打ち上げ時期の制限撤廃に持ち込めた。これはいい方向に力が働いたけど、原発と関連施設のほうは、なんだかその力がかえって嫌われてる感じ。そこは今風に、計画中止も含めて柔軟に考え直すとかしてみちゃどうかと。

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2010.9.11 土曜
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みちびき

準天頂衛星 みちびき、打ち上げに成功しましたな。よかったよかった。

打ち上げたロケットは H-IIA 18号機。標準の 202 型。もう危なっかしい感じがしないなぁ。失敗は6号機が1回のみ。成功率は 94.4% まで来た。悲願の 95% 到達まであと2回成功すればいいのか。待ち遠しいなぁ。しかしさ、95% 以上を保つとなると、40号機まで連続成功しなきゃいけないんだよね。それはそれで遠い道のりな気がするよ。

ちょうど1年前の今日は、H-IIB ロケットの1号機で HTV(国際宇宙ステーション行きの無人貨物船)の1号機を打ち上げたっけな。HTV 2号機は来年1月打ち上げ予定。

準天頂衛星軌道

準天頂衛星の軌道って静止軌道の派生版なんだけど、一番違うのが軌道傾斜角が45°な点。静止軌道は赤道上に配置なんで傾斜角0°ですな。これからの みちびき の運用がうまくいくと、この軌道の使いでがあることの実証になるわけで、これって日本に有利な打ち上げ市場の開拓になるね。

今のとこ、商用の衛星打ち上げ需要で一番人気があるのは静止軌道。赤道上空に沿って配置するんで、打ち上げ基地の場所は赤道に近い方がいい。地球の自転速度を最大限に利用できる上に、軌道傾斜角の修正量が少なくていいんで。ヨーロッパの基地は北緯5°の仏領ギアナにある。かなり有利。日本だと種子島は北緯29°。ヨーロッパに比べると不利。日本が衛星打ち上げビジネスになかなか食い込めないでいる理由のひとつですな。

業界第1位のヨーロッパのアリアンロケットってのは市場の開拓者なわけで、当然、原理的に一番おいしいところに居座るわけです。後発参入組はただ追従するだけじゃ不利な点は埋まらないし、開拓者だって必死に蹴落としにかかる。となると後発組はもちろん競合分野もがんばるけど、その一方で別市場の開拓者にもなればいいわけで。その開拓した市場で一番おいしいところに居座れるってことで。

日本にとってその可能性があるのが、今回の準天頂衛星軌道なんじゃないかと。

静止軌道は、ほかの多くの衛星の軌道に比べて飛び抜けて高いというか遠いというか。てことでそれなりの技術が必要で、どこの国でもすぐにできるってわけじゃない。んでその技術ならもう日本は取得済み。空虚質量3トンの静止衛星 きく8号の打ち上げ実績もある。正直、その実績を作るまで死屍累々だったけどさ。きく6号、かけはし、MTSAT-1 ……。君たちのことは忘れないよ(涙)。

その技術と実績を基盤に、今回の打ち上げは実質的に大型静止衛星打ち上げと同じだったのに、全く危なっかしいところがなかった。安定してきましたなぁ。んで、ロケットにとっては実質的に静止衛星打ち上げと同じではあるけど、衛星にとってはちょっと事情が違う。

静止衛星の打ち上げって、ロケットの役割は「静止遷移軌道」という、途中まででいいんだわ。そこから衛星は自前のアポジエンジンと推進剤で、自力で静止軌道にまで行くことになってる。日本の場合、静止遷移軌道の傾斜角が約30°。これを0°にするのに、衛星は貴重な推進剤を使わなきゃなんない。ヨーロッパの傾斜角は5°なんで、衛星はそのぶん推進剤の消費量が少なくて済む。衛星の寿命って軌道の制御に必要な推進剤の残量で決まるんで、ぶっちゃけ日本のロケットで打ち上げると、ヨーロッパに頼むよりも衛星の寿命が縮まってしまうんだわ。

今回の準天頂衛星軌道の傾斜角は45°。

ヨーロッパの軌道傾斜角より日本の傾斜角の方が近い。これだけ見るとかえって有利に見えますな。実際は赤道直下の基地からはどの軌道傾斜角にも打ち上げられるし、地球の自転速度も相変わらず利用しまくれるんで、その意味だとヨーロッパの優位性は揺るがないんだけど、日本にとっては不利な要素を量的に減らせる。しかも今回で開拓者になれた。この軌道の価値を国際的にアピールできると、ヨーロッパ寡占の風向きが変わるかもってことで。

準天頂衛星が日本で24時間いつでも利用できるようになるには、つまり本来の便利さを発揮するには、少なくともあと2機を追加で打たなきゃなんない。その証明が みちびき の試験運用の出来にかかってる。「みちびき は使える → 2機を追加 → 準天頂軌道はイケる → 世界の皆さんいかがですか」。この流れに持っていきたいですなぁ。日本の衛星打ち上げビジネスの将来のために、みちびき は責任重大ですな。

もし準天頂衛星の追加発注2機が決まったとしたら、H-IIB ロケットでいっぺんに打ち上げちまえばいいと思うんですがいかがでしょ。みちびき は H-IIA 標準型で打ち上げられた。H-IIB の能力は H-IIA 標準型の2倍よりちょっと少ないけど、追加機は みちびき より設計寿命が短くなる予定。その短さの原因は恐らく、搭載する推進剤が少なさから来るはず。てことで、ペイロード質量の合計は2倍に届かないはず。H-IIB 1機で行けるんじゃないかと。H-IIB の能力はヨーロッパのアリアン V に近いから、打ち上げ単価でもアリアンに肉薄できる。

H-IIB の打ち上げ単価は、去年の初号機で147億円だった。H-IIA の今までで一番安かった打ち上げ単価(85億円)の2倍が170億円なんで、試験機の時点でかなり安上がり。H-IIB の将来目標の110億円、是非達成していただきたいですよ。そうなると みちびき2号と3号は、1号の3分の2の出費で打ち上げられるよ。

まー みちびき の製造費が400億円だったんで、その倍額近くをまとめて捻出できるのかっつう別な問題はあるけどね。みちびき とほぼ同じ設計で2機を同時に作ればトータルで安くなるだろうから、ここはがんばってその線で行くのが賢明な気がするよ。

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準天頂軌道が地球表面に描く8の字(イカロス君が Twitter で「デンプシーロール」と呼んでるアレですなw)、その線の近くに日本全土を含むのは当然として、反対側はオーストラリア全土ですな。彼の国の需要も掘り起こそうという意図が見えるわけで、それもうまくいくといいなぁ。

みちびきの売りは GPS 測位の精度を上げること。今までだと数 m の誤差があったのが、数 cm オーダーまでいくとか。これで可能になることのひとつが、農業の自動化の推進。トラクターとかを自動操縦させるってやつですな。確かに誤差がメートル単位だと難しいわな。

これって農業のコストダウンにつながるんだけど、作業がアバウトな大規模農業の方が導入しやすそうな気がする。もしそうだとすると、日本の農業も自動化のメリットを確かに受けられるけど、オーストラリアの方がより享受できるんじゃないかと。両国の農産品のコスト格差がかえって拡大しそうな気がするけどどうなんでしょ。とりあえずそのぶん、オーストラリアから日本に何らかの見返りがあれば問題なしだけど。

けどこの衛星計画、恐らくオーストラリアからお願いされたわけじゃなく、日本が勝手にやってることだからね。今の段階で見返りを期待するのは図々しいよな。

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2010.9.12 日曜
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「熊出没注意」

前々から無駄に気になってることがあって。

熊出没注意

熊の「出」は危ないから注意が必要だけど、「没」のぶんには別に気にしなくていいんじゃないかと。

これほんとどうでもいいな (^_^;)

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2010.9.13 月曜
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デコード その1

9月8日のログで PDF 書類にリンクを貼ったんだけど、そのためにちょいと JavaScript を作りましたですよ。

というのも、宇宙用 PowerPC を紹介したこのソース、Google.com で探したんだけど、リンク先の URL が Google を通したやつでさ、直リンクじゃなくて。↓こんなのだった。

http://www.google.com/url?sa=t&source=web&cd=1&ved=0CBIQFjAA&
url=http%3A%2F%2Fwww.baesystems.com%2FBAEProd%2Fgroups%2Fpublic%2F
%40businesses%2F%40eandis%2Fdocuments%2Fbae_publication%2Fbae_pdf_eis_750_6u_comppci.pdf&rct=j&
q=RAD750%20clock%20http%3A%2F%2Fwww.baesystems.com%2FBAEProd%2Fgroups%2Fpublic%2F%
20bae_publication%2Fbae_pdf_eis_750_6u_comppci.pdf&ei=ua_fTOi9NoX0vwP3_cSlDg&
usg=AFQjCNHUknJim-XmJzIRM1ZXE5Rl0UwX5A&cad=rja

途中から本物の URL が入ってるんだけど、"%3A" とか "%2F" とか、記号の部分がエスケープ文字に変換されちまってるんだわ。これを復元しましょってことで、すげー簡単なの作ってみた

これで出した URL を、8日のログでリンクの中身として使ってるよ。

一応、使いたい人のために操作方法でも。入力手段が一切ないように見えるけど、実はあるんですよ。「ソースをいじる」というふざけたやり方でww

  1. このソースをゲットする。やり方は、画面上を右クリックして出たプルダウンメニューにそれっぽいことが書いてあるはずなんで、それを実行。自分の PC のハードディスクに保存。デスクトップでもどこでも(ここまでは1回やれば OK)。
  2. テキストエディタでソース書類を開く。
  3. 「str = 」直後の " で挟まれた部分を、復元したい URL に入れ替えて保存。
  4. このソース書類をブラウザで開く(JavaScript を ON にしてね)。
  5. 復元された URL が「デコード後: 」以降に出る。

作る手間を惜しんだんで、使う人にとってはめんどいのになりましたとw 作者は別にこの操作はめんどいとは思わんけどww

これで使ってる JavaScript 関数の "decodeURIComponent" やその反対の "encodeURIComponent" って、どうも特定の記号5つはノータッチらしい。"!" とか"(" とかそういうやつ。そこらはエスケープ文字の規格がはっきり決まってないのが原因らしくて。で、ちゃんと作るならそのあたりも対応すべきなんだけど、めんどいから今回はこんな感じでひとつ。あとでやる気が出たら完成まで持っていこうかと。

それはいつかというと、……んー、「あと」でww

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2010.9.14 火曜
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デコード その2

昨日の追加。最近のそこらへんの分野での発見。

JavaScript で文字列をいじるのに、大事だけどどうやっていいか分からんかったのがあって。それは「改行コード」。

Mac OS Classic だと "CR"、UNIX や Mac OS X だと "LF"、Windows だと "CR + LF" というものを記号化したものだってのは一応分かってた。でもソースにモロに文字で "LF" と書いてもどうにもならんのも、実際にやってみて分かってた。その正しい扱い方が不明で。

いろいろ調べたりやってみたりして、ひとつ思いついた。本当に正しいかどうかは別として、使えそうな方法を。JavaScript 内で使うなら、例えば

var CR = decodeURIComponent("%0D");
var LF = decodeURIComponent("%0A");
var CRLF = CR + LF;

を先に設定する。で、変数 CR なり LF なり CRLF なりを改行コードとして好きに使えるんではないかと。どうもこれでいけそう。んー、今まで思いつかなかったよ。これで例えば「表計算シートからセルを縦に複数選んでコピって、HTML で作ったテキストエリアに貼り付けて、JavaScript で行ごとに処理する」というのができるはず。改行コードを目印に split 関数でバラせばいけるはず。仕事でいろいろ応用が利きそうですな。

OS で改行コードが違うから場合分けが必要だけど、とりあえずこの方向でどうにかなるんじゃないかと。

銘板
2010.9.15 水曜
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奇跡の ISS 完成の舞台裏は gdgd

技術や冒険では、あるプロジェクトの失敗は痛いけど、次の機会での絶好の教訓になりますな。火星探査機 のぞみ は懸命の努力にもかかわらず、結果として火星の周回軌道にたどり着けなかった。でもそのときに得たものが、その後の日本の探査機にこれでもかと生かされている。

その一方、失敗が許されないプロジェクトもある。国際宇宙ステーション(ISS)ってその意味で、奇跡的な幸運で完成したなぁと。途中でステーション経験者のロシアが参加したけど、本格的な宇宙ステーションの建設と運用は、主担当国のアメリカにとってもパートナーの日欧にとっても初めてだったわけで、冒険の要素が多分にあったと思う。

で、すべての資材は当然、地球からロケットで打ち上げられたんだけど、無人ロケットの打ち上げ成功率って 95% 程度なんだわ。しかも目標値。実際に達成してるロケットってそう多くない。20発に1発は失敗してもしょうがないかなーってノリ。それでも、ISS 関係での打ち上げ失敗は皆無だった。

有人ロケットはもっと成功率が高い。20回に1回は乗組員が死んでもしょうがない計算って明らかにおっかないよね。ISS の物資運搬と建設だと、スペースシャトルが大立ち回りをしたわけで、有人規格だからこそ資材の安全性を確保できたって面もあると思う。けど建設が続く中、2003年、スペースシャトル・コロンビアは大気圏への再突入で空中分解っつう痛ましい事故を経験した。

それでも、たまたまこのときのミッションは ISS とは関係がなかった。例えば ISS のモジュールが失われたり、ISS の致命的な設計変更や途中放棄が必要になったり、なんて事態にはならなかった。シャトルの問題解決のために建設スケジュールの遅れが出たけど、一応解決できてシャトルは無事に復帰。ISS の建設は再開した。まぁ日本が提供したセントリフュージという機材が完成したのに、この事故の影響でお流れになってしまったのが残念だったけどさ。

このセントリフュージ、日本の実験棟 きぼう の打ち上げと組み立てをアメリカにお願いする対価として作ったんだわ。コロンビア号事故の後、ISS は計画を縮小してとっとと「完成」ということにすることになって、セントリフュージはそれで計画から外されてしまって。それでも契約に沿って、日本は義務を果たしたと判断されて、きぼう の打ち上げと組み立てはアメリカがちゃんとやってくれた。

一応の完成を見た ISS、どのモジュールでも今のとこ致命的な問題は出てないね。日欧の無人補給機も今まで1回ずつ打ち上げられて、どっちも最初から完璧に成功してる。

なんかこう、いろいろチャレンジングな要素が多そうなのに、気持ち悪いくらいうまくいってるのがちょっと怖い気がして。確かに、今までの経過を見るといろいろあったけどね。80年代に動き出してから、アメリカの議会で突っ込まれまくって何度も何度も仕様変更を受けたり、ロシアの協力を仰いだらかなりロシアに都合のいい仕様を呑まされたり(軌道傾斜角とかステーション滞在者の国別割り振りとか)、ロシア責任のモジュールの建造資金がショートして、アメリカが肩代わりしてようやくできあがったり(そのモジュールの所有権はアメリカらしい)。

ほかにも完成が大幅に遅れたりとか、コロンビア号事故の影響で、運用に入っても頼みの綱のはずだったスペースシャトルが ISS の完成と入れ替わりで引退することになったりとか。シャトルにとっては、その存在意義を活かす「行き先」ができあがった途端に退役という、皮肉なことになりましたな。けどおかげで、日本の無人補給機 "HTV" が存在感を増すことにもなったね(シャトルでしか運べなかった大型貨物を扱える、唯一の補給機なんで)。

言い出しっぺのアメリカが完成前に ISS への興味をなくして、一時期、存続が危うくなったり。それでメリケンさんの言うには、「これからアメリカは火星有人探査に邁進する。その前段階として月への有人復帰を果たす」。結局、実現性の薄さが露呈してポシャった。アメリカがそんなあーでもないこーでもないをごちゃごちゃやってる間に、ISS の実権がロシアに移りそうになってしまったり。ISS は人が滞在することに意義がある。そして ISS と地上との人の往復は、ロシアが一手に握ることになった。まさに「母屋を乗っ取られる」ですな。

帰るべき場所はロシアに取られ、ブッシュ時代の火星有人探査計画も現状じゃ無理ってんで、オバマ政権は火星よりちょっとだけラクそうな地球近傍小惑星の有人探査をぶち上げはしたものの、月が無理なんなら結局小惑星も無理なんじゃないかなぁ。つか、それ用のロケットの開発を中止して、一体どうやって行く気なんだ?

いやー ISS ってまだいろいろあるわ。技術的な問題は奇跡的な幸運でクリアしてきたけど、政治絡みの部分がもう四半世紀来グダグダですがな。

銘板
2010.9.16 木曜
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長期国家プロジェクト

9月10日のログの続き

種子島のロケット基地は、設立から42年後にはますます重要なものになった。成田空港もたぶんそう(羽田空港の拡張で今後どうなるか分からんけど)。んで原発はどうなんだろ。今も本当に、これ以上必要なのかな。1995年の高速増殖炉 もんじゅ のナトリウム漏れ事件じゃ事故そのものは放射能漏れとは関係がなかったのに、組織の隠蔽体質のせいで事件に発展した。それで世の中は原発行政に不信を募らせた。隠蔽しなきゃ事故だけで済んだのに。

1997年の京都議定書から、原発は二酸化炭素削減の切り札として持ち上げられたけど、1999年の東海村 JCO 臨界事故で、核反応物質の杜撰な管理状況が発覚。またまた世間は原発に不信感。でもそこから地球温暖化危機の声が世界的に大きくなっていって、原発の重要性がまた注目されてきた。新聞でも書いてたよ。「欧米諸国は原発へ回帰」とか「温暖化対策の切り札は原発」とか。新聞社の主張じゃなく、誰か偉い人がそう言ってるよ、というちょっと腰が引けたノリだったけど、そういう記事をバンバン出し始めてきた。

そしたら去年のクライメイトゲート事件で、「温暖化の原因は二酸化炭素」という前提そのものが虚構だった可能性が発覚。

温暖化対策っつう錦の御旗が傾いた今、ほんとに原発ってこれ以上必要なのか? 特に高レベル放射性廃棄物の処理問題なんか現状でなんも解決してないんだが。政府が進めてるガラス固化体での地層処理処分ってさ、

廃棄物だけでもこんな矛盾に満ちてるのに、それでもこの方向のまま強引に進めちゃってる。どこかの誰かが「私らの利権確保のため、この仕組みを変える気は一切ないです」と固く決意してるニオイがプンプンするんですけど。この先10万年の食い扶持確保が、世の中を騙すほど大事なんですかと。

自分ではっきり言えばいいのに。ウソの大義名分と本音がバレてからじゃ体面を保てなくなりますよと。こういう人たちってとにかく自分の体面が世界の最重要項目だからなぁ。それなのになんでそんな大事にしてるものをいちいち危険に曝すかねぇ。

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2013.11.16 追記: 福島第一原発事故より前の話題です。このときは世の中、原発政策にほんと無関心だったよな。タブーな感じもあった気がする。あれって国民がこのことをなるべく考えないよう、逆ステマをかけてたってことなんだろうか。

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2010.9.17 金曜
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内容不明記事

H-IIA ロケットについて、毎日新聞がある意味面白いネタを速報してたよ。

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H2Aロケット:受注増狙い大幅改良 3年後打ち上げ目標

文部科学省は、国産の「H2Aロケット」の打ち上げ能力を大幅に向上させる方針を固めた。異なる高度に衛星2基の同時打ち上げを可能とするなど高機能・低価格化で欧露の「世界標準」ロケットと互角の受注合戦に挑む。

01年の1号機以来、初の大幅改良で、宇宙航空研究開発機構と三菱重工業は近くプロジェクトチームを発足、13年度の打ち上げを目指す。大きさは今と同じで、H2Aの名前は継続する。総事業費は161億円。文科省は来年度予算で機体開発費など約22億円を概算要求する。

計画では、2段ロケットエンジンの燃焼と停止を繰り返す「再々着火」を実現。需要の多い観測衛星を太陽同期軌道(高度500〜1000キロ)の異なる高度に1基ずつ、エンジンを再燃焼しながら2基投入し、1基当たりの打ち上げ費を3〜4割減らす。また、放送通信衛星などは静止軌道(同3.6万キロ)により近い軌道に投入。衛星の軌道変更用の燃料が少なくでき、衛星の寿命を3〜5年延ばせる。

H2Aは11日、米国のGPS(全地球測位システム)を補完する準天頂衛星「みちびき」を打ち上げ、成功率は94.4%と世界水準に達した。打ち上げ時期の制限も漁業交渉の結果、来年度から撤廃される。文科省は、これらに大幅改良が加わることで、価格面で商業衛星受注をほぼ独占する欧露に互角となるともくろんでいる。

一方で、1号機から10年経過し、開発当初の電子部品や材料の多くが製造中止で枯渇し、打ち上げ設備の老朽化も深刻になっている。これらの改善にも着手する。

文科省は「海外のロケットも5〜10年ごとに大幅改良している。部品メーカーの撤退や技術の断絶を食い止めたい」と説明する。【山田大輔】

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総事業費161億円ってあんた、「大幅改良」というには安すぎるお値段じゃないですか。おいらが見出しから想像した「大幅改良」ってのは、H-II → H-IIA に匹敵する規模(1200億円)だったんだが。10分の1オーダーですか。部品の使い回しで超リーズナブルな開発だった H-IIB でも270億円。そのたった6割とな。

それで何をするのかといえば、「『再々着火』を実現」。あれれ!? 再々着火機能は H-IIA 1号機から標準装備のはずですが。確かに今まで出番がなかったけど、もうそれできあがってるぞ。うーん、毎日新聞は一体何を取材したんだろ。んーまぁ異なる高度の極軌道に同時に2衛星を投入するのは、おいらは今まで聞いたことがなかった。それに再々着火を使う、という JAXA の説明を記者は聞き間違えたんだろうか。だとしても、これは新規開発要素じゃないな。もうあるものを使うだけだから。

静止衛星での対応は、前にちょっと書いたことがあったな(その1, その2)。たぶんこのうち松浦氏が紹介した案が実用化されるってことなんじゃないかと。ただ、記事からすると五代富文氏の案に近い感触あるな。ていうか今考えると、到達点が違うってだけで、どっちも本質的には同じだな。

結局、「持ち腐れてた手持ちの技の有効利用で、衛星1機あたりの打ち上げ単価ダウンと商品力アップを図る」という話で、それで H-IIA の何をどう改良するのか全然見えない。JAXA のプレスリリースはどうなってるんだろ。って、この近辺じゃ関連記事はないし。毎日新聞の山田大輔記者、どこからソース持ってきたんだ?

けど「わかるなぁ」ってのもあるよ。「H2Aの名前は継続する」ってとこ。H-II ロケット開発責任者の五代富文氏によると、ロケットの名前は予算の承認を受けるのに大事なんだそうで。まったく新規の計画はなかなか承認されないけど、今あるものの発展版の案なら比較的通りやすいとか。

てことで、H-II ロケットは名前からすると H-I ロケットの続編みたいだけど、実は全部新規開発だっだんだわ。能力4倍弱に大型化したし。同じ方便で H-II → H-IIA では性能や大体のサイズと外見は保ったままで、中身はほとんど全とっかえ。けどマイナーチェンジしただけみたいな名前になってるわけで。まぁそういう事情が存在するらしい。

記事にはこの事情を伝えてそうな「H2Aの名前は継続する」の記述があるから、この記事が変なところから勝手にわいてきたわけじゃなさそうってのも分かるわけで。

しかし何を伝えたい記事なのか、ほんとに分からん。

それともおいら何か勘違いしてるかな(汗)

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2010.9.19 日曜
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老朽化問題を伝える問題

種子島宇宙センター

昨日の記事でも種子島宇宙センターの老朽化について触れてるけど、9月10日のログで紹介した九州読売新聞の記事に、同じ話題で写真が載ってたんだわ(拡大写真のウインドウに「無断転載・複製を禁じます」とあるけど、引用だからたぶん問題ないかなと)。この写真、ちょっと注意が必要で。

手前の建物は組立棟。奥のは射座点検棟。組立棟の老朽化は確かに問題だと思うけど、射座点検棟は別にどうでもいいんだわ。もうなくてもいいんで。そのまま壊してしまってよし。

射座点検棟は H-II ロケットのときは必要だったんだわ。組立棟ではロケット部分のみを組み立てて、そこから H-II は首なし状態で巨大な台車に乗って射座点検棟の内部に運び込まれ、そこで衛星を据え付けられてフェアリングをかぶせられて完成、という段取りだった。射座点検棟の壁は観音開きの巨大な扉になってて、できあがった H-II ロケットの威容が報道陣の眼前に現れては、毎回「おおーっ」と歓声が上がったとか。

H-IIA ロケットの開発目的は H-II のコストダウンだった。本体もそうだけど、打ち上げまでの段取りも簡素化することになって、組立棟のみで完成まで持ってくことになった。今度はできあがったロケットが射点まで移動する姿が、見学者を虜にしてるそうな。H-IIA は H-II より幾分でっかいうえにフェアリングまで完備した外観だから、かなりの迫力なんじゃないかな。

んで、射座点検棟は要らなくなった。この横に「第2射点」があって(写真だと右側に切れたところ)、そっちは H-IIA 時代になってから作られたんで、避雷針しか建ってない。

それじゃなんで撤去しないのかっつうと、たぶん今撤去しなくても別に問題ないからなんじゃないかとw あるいは撤去費用を出すのが嫌で先延ばしにしてるだけとか。

穿った見方をすると、理由が2つ考えられる。

ひとつは衝撃波対策。噴射が始まると、噴射ガスは超音速なんで衝撃波が発生する。これがロケットや衛星を激しく揺さぶって具合が悪い。てことで射点には噴射を受け止める巨大な穴が掘られてる。この穴は U 字型のトンネルになってて、射座点検棟の下をくぐって反対側の地面から噴射ガスを吐き出す形になってる。このトンネルは「煙道(えんどう)」というらしい。吐き出されたガスには煙道内で水をぶっかけて勢いを削ぐけど、もしかしたらまだ超音速なのかもしんない。となると、射座点検棟がその衝撃波からロケットと衛星を守ってくれてるのかも。

まあ去年デビューした第2射点が、今までで最大出力だった H-IIB ロケットの打ち上げで何の問題も出さなかったから、完全に関係のない話なのかもだけど。

もうひとつは、将来の有人飛行のためかなと。第2射点みたいに何もないと、宇宙飛行士が乗り込めないってことで。組立棟で乗り込むと、そこから時速 3km かそこらでゆーっくり射点に移動して、そしたら液体燃料をゆーっくり注入して(液体酸素と液体水素は極低温なんで、まずタンク内部や配管を冷やしきるまで時間がかかる)と、半日以上も待たされる。無人衛星なら問題ないけど、ペイロードが人間ならそうはいかないよね。食事やトイレもあるし、日本国民の血税をぶち込みまくったプロジェクトの命懸けの主役のプレッシャーも並大抵じゃない。そんな状態の人を狭い空間内にずーっと閉じ込め続けるのは精神的にどうかと。

となると打ち上げ直前に飛行士が乗り込むのなら、射点にはロケットの先端に届く塔が必要なわけで。てことで老朽化してるとはいえ(20年も前に建てられた、海風が当たりまくりの建物だからな)、「もしかしてその用途で使えるんじゃないかなー」と今は放置されてる、のかもしんない。

そんなわけで、この記事の写真ってその状況を一目で理解してもらえる見事な出来ではあるけど、真実を伝えてるってわけでもなさそう。

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80年代に活躍した H-I ロケット用の射座点検棟というのが、H-IIA の時代になるまで長らく放置されてたらしい。海の近くだからサビサビで、解体するにも近寄るのが危険っつう状態にまでなったらしい。それでもどうにか解体・撤去したらしいけど、んー、なんてーか、これからは錆び止め塗装以外のもっといい方法を使ったらどうかと。

ニッケルを混ぜた鋼の耐食性がやたら強いってんで、海に近い橋の建設とかで採用されてるってのを、山根一眞の『メタルカラーの時代』で読んだことがある。資材代は上がるけど(ニッケルの含有率を 1% 上げると1割上がるとか)、そのあとは耐用年数は長いわメンテナンスも要らないわで、潮風が強い場所だと結局安く上がるとか。塗装しなくていいもんだから、この建材で造った建築物は独特のメタリックな輝きを誇るらしい。JAXA も今度からそれ使ってみてはどうかなーと。

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2010.9.18 土曜
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木なんかもう見ないで森を見ようとする話

おとといの続き。

クライメイトゲート事件はなぜか日本じゃあまり大きな話題にならないけど、それでもマスコミはこれに触れるのを控えてるってわけでも、口裏を合わせてるわけでもないっぽい。読売新聞なんかはけっこう記事にしてた。去年まではマスコミは一時的な異常気象でも何でも温暖化に結びつけてたけど、今年の猛暑に関しては『ミヤネ屋』だと「原因は一概には言えませんが」と慎重な表現になってるね。読売テレビは事件の展開と結論を様子見の構えですな。賢明かと。読売系列のスタンスは分かったけど、ほかはどうなんだろね。

で、読売新聞によると、温暖化のデータを出して警鐘を鳴らしてきた国際組織 "IPCC" の親分、エコ関係の企業から付け届けを相当いただいてたらしい。ハイブリッド車のトヨタからも。それで、ウソのデータや印象を作っては流してた疑いがあるとか。

IPCC の釈明によると、例えば「『ヒマラヤの氷河が近々消滅してしまう』という発表は数字を取り違えていて、決してわざとではなかった」とか。ほかのも大体そういう説明で単純ミスを強調してたけど、あからさまに苦しい。「間違い」がすべて温暖化危機を煽る方向だったっての、確率的に不自然だろ。

っつうか日本の気象庁の専門技術って世界に誇れるものだと思うけど、それでさえ「今年の夏は冷夏になる見込み」「今年の冬は暖冬になるでしょう」なんつう半年後の予想でさえ外れまくってる。そんで10年後や100年後の気候予測を言い切れる人なんて世界にどんだけいるのかと。オカルト予言レベルな気がしてきてるよ。

もしかしてさ、原発業界からも IPCC に実弾ぶち込まれてるんじゃね? としたら、トヨタ1社なんかより袖の下の規模が違うんじゃないかと。それで彼らに都合のいいデータを提供してたんじゃないかと。あるいはそういうデータ作成を請け負うからってんで、環境を謳う企業や団体に営業かけてたとかさ。邪推だけどさ。

なんかもうここ10年以上、ちっとは温暖化に気を遣う方向で生きてきたけど、もうどうでもよくなった。一応これからもエネルギーは無駄遣いしない方向は維持だけど、理由から温暖化対策は除外。家計の保持のみが目的で行くわ。石油・天然ガスの枯渇時期を延ばすとかも一切考えない。個人の努力が無に近いからして。このへんの問題はエネルギーやエネルギー消費製品の作り手・売り手側でどうにかしてくれ。自分たちの商売の持続如何がかかってるんだから、消費者よりずっと真面目にかつ論理的に取り組めるだろ。

地球の気候を操作したいのなら、やることは個人規模じゃ無意味。地球規模じゃなきゃどうにもならん。そんなわけで、地球を冷やしたいのなら、おいらが考えた原理をひとつ紹介したい。あんまし具体的じゃないんで、あくまでも「原理」止まりだけど。

以上。これで地球は確実に冷える。めんどくさい上に不確実な気象予測シミュレーションは結果の検証に使うだけ。それに頼らなくていい。

難点は広範囲・短時間かつ少ないエネルギーで雲を作ったり消したりする仕組みが不明ってあたりだけど、原理上はこれで行ける。全地球じゃなくても、例えば 表面積の 5% 程度でやっても、太陽に正対する北回帰線−赤道−南回帰線の範囲でならそれなりに効果が出そうな気がする。大気中に 1% もない二酸化炭素(CO2)の量をウンヌンするのもいいけど、こっちの方がより直接的じゃね? CO2 削減での温暖化対策に失敗したときのバックアップにいかがですか。目的達成のためなら途中で手段を替えるのもアリだと思うんですがね。

といっても世の中、「人類に悪影響を与える地球的気候変動を抑える」という本来の目的よりも、「人類が排出する CO2 を減らす」という手段のほうが目的化してしまってるからな。本末転倒というか。手段はあくまでも手段でしょが。

ていうか「人間が出す CO2 で地球が温暖化していて危ない」という報告自体がガセだったってのが、クライメイトゲート事件が暴いたことなんだけどね。

どいつもこいつも狂っとる。まともなのはおいらだけだ(←狂人フラグw)

とりあえず事実としてさ、大気中や水中には適量の CO2 がないと、植物が光合成できなくなって死滅するんですが。それ環境保全ですかね。かつて厚生省が「摂取する塩分は少なければ少ないほどいい」という、似たようなとんでもない声明を出してたな。「塩分ゼロ摂取が理想」ということになるんだけど、塩分摂らなきゃ死ぬに決まってんだろ厚生省が人殺しなんてばかじゃねえのか、と思ったわ。

てことで温暖化問題で思うのは、熱くなりつつあるとされる地球表面を冷やす話なんだから、本来はどれだけ地球を冷やせたかを直接数値化して評価基準にすべきなんじゃないのか、 CO2 の排出削減量なんて間接的すぎて、効き目がどれほどあるのかの説明になってないんじゃないのか、というギモン。

考えれば考えるほど、世の中がおかしな考え方に支配されてるのが分かってしまうんだが。これでもおいらのほうがおかしいですかね。

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2010.9.20 月曜
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若者への提言への提言

「若者よ、もっと……しなさい」っつうメッセージ、プロ野球選手でもノーベル賞受賞者でも、何かを成した人たちが言うのはもっともだけど、そうでもない人たちが一緒になって言うのは違うんじゃないかと。自分より若かろうが何だろうが、ほかの人に注文ぐだぐだ付ける前に、自分自身をなんとかしろってな。

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2010.9.21 火曜
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光の速さは意外と遅い

光の速度は1秒で30万 km。地球の周長は4万 km だから7回り半に当たる距離ですな。

意外と遅いなーと思ってしまって。すげー速いんだけど、これより速いものはこの宇宙に存在しないそうだけど、ふと、そんなもんかと思ってしまって。

スペースシャトルでも国際宇宙ステーション(ISS)でも、日本の ISS 無人補給機 HTV でも、地球1周にかかる時間は、軌道高度が低いときは1時間半ほど。7回り半するのに11時間15分=40500秒。第一宇宙速度は光の速度のだいたい4万分の1ですな。

地球の公転速度は秒速 30km。光の速度の1万分の1。

万分の1オーダーではあるけど、こうして現実的な数字で比べられるほどの違いしかないってのがちょっと新鮮な驚きで。1円玉も1万円札も同じ財布に入ってるよねって感覚で。

光の速さはこんなもんか。

こりゃ小惑星イトカワにいた はやぶさ との通信に、往復30分以上もかかるわけだわ(電波も光も同じ電磁波のくくりなんで、速度も同じ)。

その一方、運動エネルギーは速度の2乗に比例する。HTV の速度を光速まで持っていくことを考えると、単純計算で、巡航速度の第一宇宙速度を出すための16億倍のエネルギーを投入しないといかんくなる。日本最大のロケット H-IIB を16億発。そこまで考えるとさすがに途方もない気分になってくるな。

この単純計算はニュートン力学の話で、実際は光速の100分の1くらいから相対論効果が目に見えて効いてくるそうな。速度が上がるにつれて質量が増えるんで、加速に必要なエネルギーも16億倍どころじゃなくもっともっと増えるらしい。光速に到達した時点で質量が無限大、てことで、質量がある物質が光速に到達するのは不可能 → 光より速いものはない、となる、のだそうな。なむなむ(なぜ拝む)

しかしまー、光速がどういう原理で決定されてるのか、その原理はおいらは知らんけど、もし光速がもっと速かったら、例えば現実の10倍だったら、はやぶさ との交信のタイムラグは3分でよかったんだよな。SF や素人考えじゃ光速を超えるアイデアはいろいろ出てるけど、現実の宇宙はこの、ままならない定数に縛られてるんだよね。

不便だよなー。

と思えるようになるほどまで、人類の、そして日本の宇宙技術は進んだんだよなー。その点は満足すべきかなー。

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もし光速が現実の10倍だったなら、あの公式 "E=mc2" の数字は100倍だよな。核爆弾の破壊力は100倍増だわ原発はすぐさま大暴走の大メルトダウンだわで、これはこれでまたもっと大変になってたろうなぁ。

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2010.9.22 水曜
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月より明るい流れ星

はやぶさ、まだすごい話題を振りまいてるよ。7月26日のログ

「再突入の光の明るさは事前には『最大マイナス5等級』とされてたけど(金星くらいの明るさだそうだ)、それよりはるかに明るくて、地面に影ができるほどだったらしい。それって金星どころじゃない明るさだよな。半月くらいの明るさにはなったってことかな」

なんて書いちまったけど、全然そんなしょぼいもんじゃなかった。明るさの実測は最大で満月の約2倍だったそうな。

発表のタイミングは偶然か狙ったのか、今日はちょうど中秋の名月だよ。

複数の新聞社が取り上げてたから、見つけたのみんな載せちゃう。

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はやぶさ 大気圏突入時の輝き「満月以上」 天文台が解析

毎日新聞 9月22日(水)4時1分配信

6月に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が地球の大気圏に突入して本体が燃え尽きる際、満月を上回る輝きを放っていたことが、国立天文台などのチームの解析で分かった。22日は中秋の名月。はやぶさの最後の明るさが実感できそうだ。同日から金沢市で始まる日本天文学会で発表する。

【動画】これは確かに明るい! はやぶさが落下する様子を動画で見る

チームは6月13日夜、はやぶさの突入ルートに近いオーストラリア南部で撮影した。本体が放った光は明るすぎて解析できなかったが、カメラのレンズに数回反射して写った光から分析。最大発光時にはマイナス13等に達していたことが分かった。この明るさは満月をやや上回り、満月の前日に当たる今年の中秋の名月の約2倍という。

一方、本体から分離され回収されたカプセルは惑星で最も明るい金星とほぼ同じマイナス5等を記録した。

流星は、ちりなどが大気中を超高速で移動することで前面の大気が圧縮、高温になって発光する現象で、はやぶさも人工流星として輝いた。

国立天文台の渡部潤一教授(天文学)は「大気中に飛び込んだ物体の表面積が大きいほど明るくなる。はやぶさはごく短時間にバラバラに分解し、予想以上の明るさになった」と話す。【須田桃子】

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帰還の「はやぶさ」 最後の輝き満月級

産経新聞 9月22日(水)7時56分配信

6月13日に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が大気圏突入後に燃え尽きる際、満月に匹敵する明るさで輝いていたことが、国立天文台などの分析で分かった。22日から金沢大学で開かれる日本天文学会で発表する。

同天文台がはやぶさの映像や観測データを天文学的視点で解析。その結果、はやぶさの本体は大気圏突入後に分裂しながら複数回にわたって爆発的に明るくなり、最大時の明るさはマイナス12・3〜マイナス13等だったことが判明した。

この明るさは、満月(マイナス12・66等)級かそれ以上となり、今夜(22日)の「中秋の名月」よりも明るかった。

一方、本体から分離されたカプセルの明るさもマイナス5等に達し、月以外の夜空の天体で最も明るい金星の最大光輝(マイナス4・7等級)を超える明るさだった。

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はやぶさ、満月以上に発光=カプセルは金星並み−落下時の観測・国立天文台など

時事通信 9月22日(水)5時31分配信

小惑星探査機「はやぶさ」が6月13日深夜、大気圏に突入してオーストラリア南部の砂漠に落下した際、探査機本体は最大で満月より明るく輝いたことが分かった。小惑星「イトカワ」の砂粒が入っている可能性があるカプセルは、「宵(明け)の明星」の金星並みに光ったという。国立天文台や長野高専などの観測隊が、22日から金沢大で開かれる日本天文学会で分析結果を発表する。

国立天文台の渡部潤一教授によると、はやぶさの大きさや構造、素材は分かっているため、この「人工流星」現象の観測で発光との関係が詳しく判明すれば、自然の流星の組成などを解明する手掛かりとなる。

米探査機カプセルの突入時にこうした観測が行われたことがあるが、大きな探査機本体の突入を観測できたのは珍しい。はやぶさ本体が分裂しながら数回爆発的に明るくなった際は、想定を大幅に上回ったため、デジタルカメラ内部の反射光(ゴースト)の明るさまで使って本来の明るさを計算した。

観測地はカプセル落下地点から南南東へ約165キロ離れた場所。はやぶさ本体は約300個の破片に分かれて落下し、最大発光時の明るさはマイナス13等程度と、満月より明るかった。一方、カプセルは同5等程度と、金星に匹敵する明るさだった。 

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はやぶさ最期の輝き、満月の2倍だった

読売新聞 9月22日(水)4時41分配信

約60億キロ・メートルの宇宙の旅から帰還した小惑星探査機「はやぶさ」は、燃え尽きる際に満月の約2倍の明るさで輝いたことが、国立天文台などの観測でわかった。

きょう22日の夜は中秋の名月。満身創痍(そうい)でオーストラリアにたどり着いたはやぶさの最期の輝きに、遠い日本から思いをはせてはいかがだろうか。

国立天文台などは今年6月、はやぶさが大気圏に突入する様子をオーストラリア南部で観測した。その明るさは最大でマイナス13等ほどで、満月の約2倍、北極星の約100万倍もの明るさになっていたことがわかった。

はやぶさは大気圏に突入するとき、300個以上もの破片に分解した。個々の破片の表面が輝いたため、足し合わせた明るさが月を大きく超えた。

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はやぶさ のこと、新聞はちゃんと扱ってくれるなぁ。ほかにも検索すると記事がザクザク出てくるし。ちょっと小さめな、地方の関連記事でも全国扱いだったりする。新聞も商売だから、限られた人的リソースや紙面には人気が取れないネタを振れないわけで。たぶんそれで、ここ何年も科学・技術関係の話題は冷や飯を食わされてきたけど、ここへ来て はやぶさ が一気にそのあたりを取り戻してくれたなぁ。新聞各社、これを機に科学・技術ネタの記事を増やしてくれないかなぁ。

はやぶさ がきっかけで、もっとそういう話題に触れたいと思い始めた読者が増えてると信じたいよ。

テレビはもういい。どうせ次の話題が来ればすぐ捨てるんだろうな。特に大金ぶち込んだ感動企画をセルフプロデュースなんかするとそりゃぁもう。♪さくらーふぶーきのー

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2010.9.23 木曜
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月での先達

はやぶさ は何かとアポロ計画と比べられるね。まー、他天体からのサンプルリターンの先例だからね。まあソビエトのルナ16号、20号、24号の方が無人サンプルリターンだから近いんだけど、アポロの方が断然有名だからして。

けど、なんかいろいろ違いすぎてさ。アポロは確か17号までで、月の石を合計 382kg も地球に持って帰った。これでも喰らえと言わんばかりのアメリカ的圧倒的物量。ルナ計画はずっと少なくて、326g("kg" じゃなく "g")。まあ微量でも大量でも、学術的価値はあんまし変わらんけどね。それよりアポロの場合「月面上の異なる6地点で採取」「周囲の地形・地質の詳細情報も多い」というのが価値だと思うよ。サンプル量が多くて初めてできること、分かることも確かにあるだろうけども。

てなことで、はやぶさ は地球の引力圏外の星からの初めての直接サンプルリターン計画(間接的なものはアメリカの探査機スターダストで実現済み。彗星の尾の物質を採取してきた。尾の中を通り抜けたんで着陸はしなかった)だけど、月を入れるとこうして立派な先達がいらっしゃるんですな。

昔、ルナ計画のサンプルリターンの採取量を聞いて、アポロと比べて「しょぼいなー」と思ったもんだけど、はやぶさ はサンプラーホーンの弾丸発射が正常に作動してたとしても、採取料は 0.何g 程度になるはずだった。しかもそれがうまくいかなかったもんだから、実際は取れてたとしても限りなくゼロに近い質量ですな。

多すぎてもしょうがないとは思ったけど、ここまで少ないとまた素人感覚じゃ「意味のある研究ができるのか?」と不安になったりして。ルナくらいが適量に思えてしょうがない。

まぁどう考えても少ないんだけどさ(「『微』粒子」ってくらいだから)、それんなちんまい量でも、現代の技術は分析を可能にするらしい。北海道大にある施設は、微粒子を破壊検査して、成分組成比率を原子の数で調べたりもできちゃうそうで、イトカワ微粒子が見つかったらその施設を使うらしい。筑波の KEK も兵庫の SPring-8 も動員予定だそうな。

とりあえず、日本国内にそんなごっつい装備がとっくに揃ってて、微粒子発見の報を今か今かと待ち構えてるってのがすごくて。

イトカワのサンプルがいくつも見つかったら、国内外の研究者にお裾分けするそうだ。「ここはおれのおごりだ。楽しめ」っての、こりゃイイ気分だねー。海外にはアメリカに優先的に渡すんだけど、別に献上ってわけじゃない。小惑星サンプルリターン分野で「日本が主、アメリカが従」の立ち位置を作り上げるための作戦らしいから。月の石のときと立場逆転ですな。けどこれ、分け与えるほどの数のサンプルが取れないとできないわけで。カプセル内で見つかった微粒子は地球由来のものがかなりあるっぽいんで、選別してイトカワ由来と確定できたのがなかったり、1個か2個程度だったりすると、それができなくなる。頼むからいっぱい見つかってくれー。

とずーっと願ってたんだけど、これ書いてるの11月16日(この日記、今すごく遅れてるのだ)。

微粒子約1500個、イトカワ由来だと結論が出ましたー!! \(T▽T)/

国内の研究施設に割り振った後も、外国にいっぱいお裾分けできそうだねー。しかもカプセル内の2部屋のうち、この部屋は2回目の着陸時のもの。「不時着」だった1回目、荒っぽく着陸したあの回の部屋は未開封だそうな。

弾丸発射をしてなさそうだという発表の直後、「それでも2回着陸したから、砂がまき上がってカプセルに入ったかも」という希望的観測が公式に出た。で、その可能性が高いとされてたのが、1回目の着陸のとき。はやぶさ本体がバウンドするほど、サンプラーホーンをイトカワ表面にガツーンとぶつけちゃった。しかも2回バウンドして3回接地した。あのときフタを開けてた小部屋が未開封なんですよ。

回収されたカプセルが宇宙科学研究所に運び込まれたときの X 線検査だと、どっちの部屋でも直径 1mm 以上のものは確認できなかった。けど、今調べてる部屋よりもっとでかい粒が、もっとザクザク出てくる可能性がまだ残ってるんですよ。

いやー 11/16 のニュースは素晴らしかったけど、もっと行けるかと思うとワクワクが止まりませんですよ。

結局、ルナ計画よりはるかにはるかに少量でも、やっぱしうれしいもんなんですな。うんうん。現金だなーと思いつつもww

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2010.9.24 金曜
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宇宙工芸

アポロの司令船/機械船のデザインって、宇宙機屈指のバランス感覚だと思うよ。

アポロ司令船/機械船

狙ったわけじゃないだろうけど、司令船、機械船本体、ノズルスカートの3者のサイズ比が美的に絶妙すぐる……。

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2010.9.25 土曜
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ゲテモノじゃないグロ料理

ホットケーキってときどきすごく食べたくなるんだけど、あれ自分で焼くのはちょっと苦手で。

料理全般が苦手なんだけどさ。ホットケーキはその中でも特に簡単だからおいらでもできるんだけどさ。

技術的な問題じゃなく、印象の問題で。

……、

……、

……。

焼いてるとき、泡がブツブツ出るよね。

あの見た目が気持ち悪くて気持ち悪くて、いやもうどうにもダメなんです。

と思ってさ、恐いもの見たさでさ、「ホットケーキ ブツブツ」とか「ホットケーキ 泡」とかで画像検索かけたら、同じセンスのお方がいらっしゃいました

やっぱそうなんだよなぁ。お月様のクレーター画像ならなんとも思わんのにな。

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2010.9.26 日曜
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業界用 LED 考

白熱灯って国内メーカーはもう作らないみたいだね。これからは蛍光ボールや LED 電球に置き換えていくからってことで。

電力の無駄を減らす意味で有用なことではあるんだけど、そんな急でいいのかなと。一般家庭用はそれで構わないだろうけど、業務用はどうなんだと。

例えば舞台照明や映画・テレビの撮影スタジオの照明なんか、今のところ白熱灯を超える使い勝手のものはなさそうな気がして。熱源を黒体放射で光らせる仕組みだから光量の変化は色温度に従ってしまって、光量を絞ると赤っぽくなったりっつう癖があるけど、今まで100年以上の付き合いだから、どうにかできる技は揃ってる。

けどこれを蛍光灯だの LED だのに置き換えるのってキツい気がして。舞台も映画もテレビ番組もとにかく1発あたりの光量が必要そう。舞台は光量をゼロから最大までリアルタイム制御できないと使い物にならないけど、蛍光灯はそれが無理。LED はいけそうだけど最大光量の小ささが問題。映画やテレビカメラだと、蛍光灯、LED ともに点滅がカメラのシャッター速度と同期してしまって、チラツキが出たりもする。カメラのセッティングでどうにかできるみたいだけど、今度はそのセッティングに縛られて、表現の幅が奪われるだろうし。

たぶん国産の電球生産が全廃ってのは、こんな理由から一般向けだけだと思う。プロ用途はまだ作り続けるんじゃないかな。けど共通の原料の調達やら加工やらが大量生産の一般向けと一緒にできなくなるだろうから、コストが上がりそうですな。電球はただでさえ電気代がかかる上に寿命が1万時間もない。そのあたりの舞台・映像の経営、大変なことになりそうだなぁ。

てことで、実は新しい光源を一番必要としてるのはプロ用途だったりする。蛍光灯も LED も、白熱灯より消費電力が少なくて寿命が長いから、コスト面で有利だよね。ロケのときは予備の電球を減らせるし、発電機やバッテリーの持ち込み数も少なくてよくなる、つまり荷物を減らせる。こんな間接的なコストも減る。

これに先駆けて、映画カメラのデジタル化というのがあった。そしたらフィルムをどっさり用意しなくてもよくなった。撮影中にそのあたりを神経質に管理しなくてよくなった。プロ用途の照明が「脱・白熱灯」を果たすと、こんないいことがまた起き得るはず。撮影隊全体の機動性が上がるんで、今まで技術的/経済的に不可能だった撮影スタイルもできるようになるかも。

だったらそのブレイクスルーはいつ、どう起きるのか(もしかしてもう起きてるのかもだけど、おいら知らないんで妄想を続けることにする)。

いつなのかは不明。どう起きるのかは、たぶん蛍光ボールじゃ無理。光源の表面面積あたりの発光量が小さくて、点光源になれないから。改善してきてはいるけど、まだまだですな。LED はもともと点光源だから、この点で有望ですな。けんど LED 素子は電子部品の例に漏れず熱に弱い。LED の発熱量は白熱灯の何分の1かだけど、それでも大光量を出すとなると熱が問題になる。だから LED 電球は根元半分がまるまるヒートシンクになってる。

白熱灯換算 100W 程度であんなごっついヒートシンクが必要なんだもん、それ以上が必要な業界用では実用化はまだって感じかと。

そんな LED が取るべき方法は2つ。

  1. 耐熱性を上げる
  2. 消費電力を減らす

まぁ飽くなき大光量を求めるのなら、その両方をやる必要があるけどね。

1. の耐熱性はどうだろ。LSI で耐熱性があるものなら開発済み。9月7日のログで紹介した、宇宙用のやつ。300℃まで行けるらしい。もしこの技術を応用できるなら、もっと熱くても大丈夫ってことで LED の光量を力ずくで上げられる。電気を食うと言っても、消費電力は現行の白熱灯の何分の1だからして、やる意味はちゃんと確保されてる。

もっと効率のいいヒートシンクを作るのも手だね。さらにファンで強制冷却とか、ペルチェ素子で排熱とか。けど冷却であんまし電力を食うようだと本末転倒になっちゃうか。

2. は、確か青色 LED 発明者の中村修二先生、カリフォルニア大学で燃費のいいやつを研究室レベルでは開発に成功したはず。前に読んだ新聞記事を信じるとすれば、消費電力が現行の10分の1になるとか。単純に考えて10倍明るい LED を作れるってこと。

あとね、前々から考えてたことなんだけど、1粒の LED に3原色の素子を埋め込んじゃったらいいんじゃないかと。今の白色 LED は、発光素子は青色だけなんだそうだ。ほかの緑と赤は、青色の波長を落として作り出してて、その3色を混ぜて白色にしてるらしい。仕組みはたぶん蛍光剤かなと。プラックライトって紫外線を出してるからその光が見えないけど、蛍光剤に反射しておいらたちの目に見える光になる。これと同じ原理じゃないかと。

だとすると、蛍光反射でロスが出てるはず。さらに、青色 LED は緑や赤に比べてもともと消費電力が大きい。電気を一番食う色で全部の色をロスを出しながら作ってるんだから、そりゃ熱が出るでしょって気がする。この解決には、青のほかに赤と緑も同じ LED に仕込むってことじゃないかな。

ってこれ電機のプロが思いつかないはずがないから、「やれるんならもうやってる」のはず。何か事情があるはず。おいらが今思いつくのは生産コスト。けど価格競争が激しい一般用ならいざ知らず、3原色の素子を仕込んだ LED じゃなきゃできない分野がある以上、やってみて損はないと思うんだけどなー。

その方法でも全然足りないからやんないってのが現状なのかも。

となると、中村先生の低消費電力青色 LED の実用化を待つのが吉ってことか。

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2010.9.27 月曜
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凄いんだか普通なんだかよく分からない名前

「アレキサンダーみのる」。

なんかいきなり思いついちゃって、ちょっと自分でウケてたりするww

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2010.9.28 火曜
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ポジティブ思考を信じない 前編

今の世の中、ポジティブ思考だかポジティブ指向だかポジティブ志向だかがすげー流行ってるよね(以下「ポジ思考」で統一)。あたかも大脳生理学的に理にかなってるかのような理論もどきを振りかざしては信者を獲得してるけどさ、これってほっとけば、あと2,3年で「もーいーよ」と飽きられるんじゃないかな。

別にそれでイイし。ていうかもうこの不自然な状態を可及的速やかに終わっていただきたい。おいらは既に「いーかげんもーいーよ」だよ。

世の中がすっかりポジ思考でいい気分になってるっぽい今、なんでこんなイヤなことを申し上げるっつうと、ポジ思考は根も葉もない嘘っぱちだからです。ここの読者さんたちはこんなの信じちゃいけませんw 世の中を斜めに見てはケチを付け、ケチのついでにツバを吐く。ツバと交互に呪詛も吐く。それがここに集う者たちのあるべき姿なのですww

ポジ思考の反対はネガ思考だよね。

ポジ思考教全盛の今、ネガ思考はいろいろ忌み嫌われて遠ざけられてるけど、実はネガ思考って人類にとって必要かつ有用なものなのですよ。ネガ思考こそが地球人類に豊かさをもたらしてきたのですよ。

「めんどくせー」「冗談じゃねー」「やりたくねー」「くだらねー」「なんでおれがこんなこと」「ばかばかしい」。これポジ教の教えだと、「聞いた人のやる気をなくさせ、世の中を殺伐とさせる諸悪の根源。自分の夢の実現を阻む、忌むべき考え方や感性」って感じですかね。だから自分を成功させるには、それは即座に捨てなければならないのです。その実践があなたをさらに1段高いステージへと引き上げるのです。救済の日は近い。では皆さん一緒に唱えましょう。「ポジティブ思考ポジティブ思考ポジティブ思考ポジティブ思考ポジティブ思考」「ネガティブ駄目ネガティブ駄目ネガティブ駄目ネガティブ駄目ネガティブ駄目」なんてさ。

ナンマイダと唱えさえすれば極楽浄土に行けるってのと同じ発想ですな。故人の冥福を祈って唱えるぶんには、祈りの形だから何もおかしいことはない。けど自分の幸せのために念仏みたいなのを唱えて安心するのって、おいら的にはなんか違和感がある。ポジ思考はまったく同じことしてる気がする。おいらが信じる気になれんのはそういう理屈かもな。

けどね、すっかり嫌われ者になってしまったネガな欲求不満。古来、これを解決するために数々の発想と発明がなされ、さらにそこに科学理論までが応用されてきたんですよ。新技術が次々と実用化されてきたってことは、商業的にずっと採算が取れてきてるってことなんですよ。この世知辛い世の中で勝ち続けてるってことなんですよ。道楽止まりなら赤字で構わないけど、それで事業を興して商売しようってんなら黒字化は必須ですよ。物事、黒字に持っていくのって大変だよね。それで持続的に成功してきたからこそ、文明はここまで高度に発展したわけですよ。

「めんどくせー」「冗談じゃねー」「やりたくねー」「くだらねー」「なんでおれがこんなこと」「ばかばかしい」のネガなメンタルエネルギー、これがどんだけ莫大かつ有用かってことを、現代の文明社会がめちゃめちゃ実証しとりますですよ。ポジ思考だけなら現状で満足なんだから、こんな便利な世の中になってないって。

そういや前々からギモンがひとつあってさ。現代文明が発達してる地域って伝統的に、北半球のけっこう寒いとこ、温帯から亜寒帯が主だよね。最近でこそ東南アジア諸国やインドやブラジルの技術と経済がブレイクしてるけど、そうなる前の技術の本場といえば、欧米と日本と旧ソビエト/ロシアくらいだった。赤道近くや南半球はどうして技術文明がなかなか根付かないのか、これがギモンでさ。

北半球の方が陸地が大きいからそのぶん人がたくさん住んでて、都市が生まれやすいってのもあるんだろうけども、本質的には、気候が厳しかったからなんじゃないのかなと。同じ人口を賄うための食料調達だけでも、寒い地域は暑い地域の何倍もの耕作面積と労力が要る。かなりめんどくさい思いを強いられる境遇なわけ。しかも安定して食料を確保するには、技術蓄積も暑い地域より多く必要になる。

で、かなり乱暴な展開は承知の上で、暑い地方は人類が素のままで生きやすいから大した改善が必要じゃなかった、のだと思う。「これでいいよー。満足だよー」というポジ指向。寒い地域は逆に、そのままじゃ生きにくい。「今のままじゃ嫌だ。こんなんじゃなくもっといい暮らしってねーのかよ」という自分の現在の境遇の否定。否定せざるを得ない現状の認識。つまりネガ思考。この違いが技術格差を生んだんじゃないのかと。ハングリー精神の差とも言うかもね。

これがその答えかなって気がして。もしそうだとしたら、ほら、今や日本の世の中、ポジ思考教が猛威を振るってるじゃないですか。こういう現状の頭ごなしな肯定って、技術開発に停滞をもたらすことになるんじゃないのかね。こんなものにうつつを抜かしてる間にも、それでこの技術立国の停滞の理由をほかの何かに押し付けて自分をごまかしてる間にも、BRICs はどんどん成長して、日本をどんどん追い越していっちゃうよ。

まぁそんなギャンギャンわめかなくたって、どうせあと数年内でこんなブームなんか自然消滅するからほっときゃいいか。

なんでそんなこと言えるのか。それは四半世紀前の日本人が、これとまったく同じ洗脳に取り憑かれてたからだよ。

当時の宗教は「ネクラ排斥」教。

個々人を性格で「明るい人」「暗い人」にまっぷたつに分けて(乱暴だよな。そんな単純なもんじゃないだろうに)、「ネクラ(根が暗い人)」と断定された人はとかく仲間外れにされた。魔女狩りと同じだね。そんでみんな「明るい」グループから切り捨てられる恐怖から「自分は明るい人間だよ」と不必要なまでにアピールして、作り笑いして明るい人間のふりしてた。でも何年もそれやってたらみんな疲れてきたのか、それとも単に飽きたのか、もうどうでもよくなっちまった。たまたまそのタイミングでバブル経済スタート。みんな金儲けに血眼になって、他人の性格が暗いか明るいかなんて些細なことなんか、ますますどうでもよくなった。

バブルはほどなくみんなはじけて、暗黒の90年代は「失われた10年」と呼ばれた。ついでに今になっても景気が良くならないもんだから、ちょっとタイトル替えして「失われた20年」になったぐらいにして。

で、濡れ手で粟の金儲けなんつう、何を置いても夢中になれるお祭りがないままの20年間、日本人は基本的にヒマだった。目の色を変えて打ち込むべきものがない暮らしが続く続く。けど根源的な欲求として、今よりもっと幸せになりたい。そしてヒマ。だから何かすべきだけど何していいか分かんない。そのときたまたまどこかからやってきたポジティブ教、みんなの心の隙間になんとなくスポッと収まってしまった、てのが真相なんじゃないかと。

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2010.9.29 水曜
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ポジティブ思考を信じない 後編

「とりあえず現状でいいじゃないか。今のままの自分を肯定しようよ」「もしもっと幸せになりたいのなら、もっとポジな気持ちを持とう」なんてそれもいいんだけど、手当たり次第なポジ思考や無闇やたらなネガ排斥って、人類の精神を不自然のどん詰まりに追い詰める危険な行為にも思えるんだが。信者は「それが人のあるべき姿」と根拠なく信じてるみたいだけど。まあ社会生活をする上で、嫌なことはなるべく言わないってのはうまくやっていく作法なわけでして、言うなれば人類じゃ昔から当たり前のことでして。てことは、そんな当たり前のことをなんでいちいち新発見の形に偽装してまでわざわざ広めなきゃなんないのかと。

つかさ、四半世紀前の「ネクラ排斥」教ってさ、おもくそ矛盾してたんだわ。言ってることとやってることが逆だったんだわ。ネクラと断定された人に対して、「おれらは明るい人限定の楽しい集まりなんだよ。暗くなるからネクラはこっち来んな気持ち悪いんだよ死ねバーロー」というノリで。この考えや行為、もろに陰湿なんですが。全然明るくない。暗い。

これを今のポジ教と比べてみる。さすがに他人を「あいつはネガだ」と決めつけてつらく当たるっつう露骨な矛盾はあんましないみたいだけど、その攻撃性が内向きになってるよね。自分を対象にして、ネガな自分を否定・無視して切り捨てて、その切り傷に無理にポジなネタを接ぎ木しようとしてるというか。考えるだけでも疲れる。疲れる割に、得られる利益が少なさそう。メンタル的な意味で赤字必至な行為なんじゃないのかと。これのどこが幸せへの道なんですかね。

そんなのよりもっとすべきことがありそう。例えば自分の仕事に関する勉強とか、趣味を極めるとか。部屋を掃除するとか、逆に本を散らかして読みたい順に読んではぶん投げるとか。死にものぐるいでサッカーするとか、映画を観まくるとか、腹立たしいあいつのどこがどう腹立たしいのか研究して反面教師にするとか、そいつへの復讐の算段を立てて、機を見て一気に吊るし上げてタコ殴りして、二度と消えない心の傷を刻み付けてやるとか。

上に書いたのは前向きじゃないのも含まれてるけど、ポジ教で臭いものにフタして自分の現実を見ないふり、なんてのよりまだマシに思えて。

つか、自分のポジ面ネガ面を関係なく認めて受け入れるのが、正真正銘のポジな行為のような気がするんだけど。で、これって結局は「ポジになって幸せを掴んだ自分」という、ポジ教が見せる理想像を捨てることになりそう。ポジ思考、結局成り立たないんじゃんw やっぱし矛盾してんじゃんww

ていうか、ネガをネガだからと忌み嫌って排除するのは、とってもネガティブな考え方だと思うんだ。ポジ思考ってやっばし矛盾してる。

人が幸せや満足を感じるかどうかは状況にも性格にもよる。だからツボは人それぞれ。共通して言えるのは、供給源がはっきりしなくて漠然とした幸せ気分は、幸せなふりをして自分を騙してる状態ってこと。あるいは、誰かに吹き込まれた気分ってこと。本当の幸せじゃないってこと。そこらに気づくと、偽物の幸福は破綻するってこと。

ポジ教ってときどき、何者かが世の中の雰囲気全体をその状態に持っていこうとしてる活動のような気がしたりする。もしその意思があってのことなら、目的もあるはず。

つか、ここまでポジ教が蔓延しまくったのに、世の中は相変わらずソフトなのは上辺だけで、殺伐としたまんまなんですが。そこを景気や政府のせいにするのも結構だけど、ポジ思考がその問題の解決に対して何の役にも立ってないのが分かりますな。だって現状維持路線の肯定で何もしないのが教義なんだもん。この景気の後退局面を肯定してその状態の保全を務めれば、そりゃ景気も世間の雰囲気も悪化するわな。ほんと誰だよ、こんなクズほどにも役に立たんヘンテコな思想をばらまきやがったのは。なんか玄徳・孔明没後の蜀の末期みたいに思えてきた。

銘板
2010.9.30 木曜
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ポジティブ思考を信じない シンクロ輪廻編

この「明るい」「ポジ思考」の輪廻と妙にシンクロしてる現象があるんだわ。因果関係が不明だけど、とりあえず時期が妙にシンクロしてるんだわ。

それは秋元康の跳梁跋扈。

四半世紀前はおニャン子クラブ。今は AKB48。チーム名とメンバーが違うだけで、やってることはだいたい同じ。世代が一巡りしたら、前回を知らない客を同じ餌と仕掛けで釣ってもう一稼ぎ。違うことと言えば、稼ぎ方がさらに悪どくなったってことw 今の客の方がボロいってことかな。AKB ファンの皆さん、もろになめられてますぜww

関係ありそうなことといえば、おニャン子のファンって学校のサークル活動でいうと、文化部部員や愛好会・研究会会員の割合が高い感じだった。のちに「オタク」と呼ばれることになる人々の密度が高かった場所というか。AKB の方も活動拠点が秋葉原ってことで、特にはじめのあたりはモロにオタク層が顧客ターゲットだった(今は驚異の営業力ですっかり一般化したけど)。こっちも、ポジ思考で解脱したい人たちに忌み嫌われてる層のような。そこらへん本当に関係あるのかないのか、全然不明だけどさ。

ちなみにおいらもおニャン子の時代は文化部系を2つ掛け持ちしてたけど、秋元康には引っかからなんだぞ。どっちの部活も部員のおにゃのこがかわいくて。そのコたちはリアルだよ。目の前だよ。ブラウン管とは違うのだよブラウン管とは!(当時は液晶テレビもプラズマテレビもなかった)という、あんまし自慢できん理由でww あと、当時の八戸じゃフジテレビを視聴できなかったってのもあったwww

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