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手のモデリング・テクスチャ・アニメーション

by Julian MacDonald (勝手日本語訳: ゆんず)


手のモデリング

先々の工程を考えることは重要で、特に複雑なもののモデリングやアニメーションをするときがそうです。モデルの骨格を作る目的で、メッシュオブジェクトを作成する必要があります。手のように有機的なものの場合なら、とにかくこれが一番です。メッシュの作成のしかたは後で決めましょう。手とは基本的に、平らな直方体(手のひら)に円柱状の指が5本付いたものです。このため、考えられる方法のひとつは右の図のように、1個の直方体と5本の円柱の演算オブジェクトで作り、それを近似平滑で三角メッシュに変換する方法です(とりあえず指は1本)。注意: 変換後にメッシュを滑らかにするには、近似平滑を使う必要があります。すべての辺を選択し、平滑度を 1.0 に設定します(デフォルトでは辺の平滑度は0)。

しかし演算ツールには問題があります。三角メッシュに変換したとき、接合部がごちゃごちゃになることがあります。このため今はお勧めしない方法です。

ここでお見せするのは、閉じた多角形から手のひらを押し出すところから始める方法です。多角形ツール をダブルクリックして、「辺」の入力欄に4を入力してください。「形状」は「近似」です。そして「左」視点で、ctrl キー併用のドラッグで長方形を描きます。ctrl キー併用の場合、曲線ではなく「中実」の多角形になります。高さは幅のおよそ2倍にしてください。右図のような楕円型の多角形ができたはずです。ツール → 押し出す... を選択すると、図の右側のようなダイアログボックスが表示されます。
この手のひらの上端から、間に段差が3つある指を4本生やしましょう。このために Number of Segments(区分の数)を7にしました(これは後で明らかになります。先の段取りを考えた上のことです)。Extrude Direction(押し出しの方向)を X に、Distance(距離)を1.5にしたのは、手のひらの外形を適正にするためです。

さて、これで三角メッシュができました。オブジェクトリストでダブルクリックすると編集ダイアログが開きます。今は「手のひら」の両端は平らで、あまり写実的ではありません(右側の最初の図)。またセグメントの間の辺には「筋」が見えています(訳注: ver. 2.9.1 では筋は見えません)。両方の問題を解決するには、EDGE モードで 編集 → すべてを選択 を選んで、メッシュ → 平滑度... を選択します。ここで 1.0 を入力すると、メッシュの見映えは右の2番目の図のようになります。 少しだけそれっぽくなりましたが、手のように見えるにはまだかかります。

次は、手のひら本体に点をいくつか追加します。現時点で手のひらの上部と底部に点が存在しますが、これは形状を変えるときに問題の元となります。
辺をすべて選択してから、上部と底部で辺の選択を解除していきます。選択/移動ツール ctrl キー併用で矩形選択領域をドラッグして、まず上部で、そして底部で行います。そして、端にある辺の選択解除です。これをするには 編集 → あいまい選択 を使います。このとき、端が見えるように視点を調整して、選択ボックスで端の辺を囲むように ctrl ドラッグします。
あいまい選択 が ON のときは、辺が選択ボックス中に完全に入っているかどうかは気にすることはありません。右の図のようになったら作業を終えてください。つまり縦方向に伸びている辺のみが選択された状態です。
メッシュ → 辺を分割 を選択します。これで左側の図のように、もとの辺の中間に新規の点が作成されます。リアルな手を作るにはさらに作業が必要ではありますが、現時点ではこれが分割で得られるものです。次は、進行中の指の作成です。指は手のひらの上部から面を押し出す方針です。しかし分割を行ったら端にある点が下に移動し、上部が平らではなくなりました(下の中央の図)。押し出しは面に対して垂直に行われるので、この状態は問題となり得ます。
すべての面の向きを同じにしましょう。方法のひとつとして、上部の点をすべて選択し、メッシュ → 移動 で Y ボックスに同じ値を入力します。実際の値は予測が難しいですが、私は 0.8 にしました。この操作で、メッシュは下の図の右側のようになります。
指を押し出す前に、視点を「上」にして、メッシュを上から眺めてみましょう。手のひらは下の左の図のように厚くなっているので、点をすべて選択して拡大縮小ツールを起動、control キー併用で上のハンドルを下向きにドラッグします。結果は下の図の右側のようになります。
指の元とその隙間のために、少し作業をしましょう。指はその間の隙間より明らかに幅を取りますが、現時点では等間隔になってします。人差し指となる点の右側と、中指となる点の左側を一緒に選択します。拡大縮小ツール を起動して、これらの点のまとまりを移動します。このとき ctrl キー併用で横のハンドルをドラッグします。これをほかの指の隙間のメッシュでも繰り返すと、一番右の図のようになります。


いよいよ指の作成を始めます。FACE モードにして、下の左側の図のように、人差し指の元となる面2つを選択します。メッシュ → 押し出す... を選択して、押し出す高さに 0.3 を、傾斜幅に0を入力します。「これに適用」は「いっしょに」です。他の指でもこれを繰り返し、それぞれの指の第1関節を作成します(下の中央の図)。指の幅はまだそれっぽくないことに注目してください。それぞれの指の点を選択して、下の右側の図のように、拡大縮小ツールでここを調整します。


次は親指です。視点の向きを親指の側が見えるようにして(下の図の左側)、親指の基底部になりそうな2面を選択します。先にやったように、下の2番目の図のようになるよう、高さ 0.3 で押し出します。しかし親指と手のひらとの接合部に問題があります。曲線がもっと必要です。3番目の図の場所の、メッシュを作っている2つの点を選択して、選択と移動ツールでちょうどいいところまで下に移動します。下の一番右の図がその例です。


指を長く伸ばしていきます。親指の作業を続けましょう。この面が上向きになるよう、面を親指の関節の端まで回転ツール で回転させます。先の操作のように、関節の近くに新規の点を作るため、高さ 0.1 で少しだけ押し出します。そして再び新規の端面を作ります。今回の高さは 0.4 で、親指の根元近くの部分となります。親指の新規の端面をサイズ調整して、このすぐ右側の図のように、先細のリアルな形に整えましょう。

残り4本の指では、各指1本ずつで端面を選択して、関節では小さな高さ(0.1)で、指の部分ではより大きな高さで押し出します。右端の図のようになるまで続けてください。
現状の指は少し直線的に見えるので、多少の時間をかけて、関節の面や指先などをそれらしい形に修正しましょう。右の画像は修正済みものです。また、指は少しだけ外向きに回転させて、もっとリラックスしたポーズとしました。指の基底部は上下に動かして、よりリアルな外形にしました。
もう少しだけ作業を加えて、手をもっとリアルにしましょう。まず親指の付け根の膨らみを作ります。この時点では、この領域にある動かせる点の数が充分ではなく、できることは少しです。分割ツールに戻り、点をいくつか作りましょう。
左の図は、そのために考えられる方法の1つです。

図の左側のほうは、手のひらの上部での工程です。EDGE モードで関連する辺を選択しました(上の図)。これをするには、移動と選択ツールを起動してそれぞれの辺をクリックします。下の図は メッシュ → 辺を分割 を行った結果です。

右側の2枚の図は、同じ工程を手のひらの下部で行ったものです。

この工程で、手のひらの細部を編集できる点がたくさん得られます。以降はこの点を利用します。

まずは、親指の付け根の膨らみを作る、曲線を描いている辺の点を移動します(左側の図)。最終的には、この境界の内側の面を押し上げるのですが、今これをやると、手のひらのその上の部分も一緒に外側に伸びてしまいます。このため、その前にこの間にもう少し点を作りましょう。関連する辺を選択して(中央の図)、分割します。そして新規の点を、既に定義済みの親指の付け根の膨らみの辺の近くに移動します(右側の図)。この新規の点は、親指の付け根の膨らみを移動しても、位置関係を同じように保ちます。


FACE モードにして、親指の付け根の膨らみ内の面を選択しましょう(上の図の左側)。内側または外側へ移動ツール で、選択領域内の点を外側に動かします。ちょうどいい膨らみ具合になるよう、ご自身のセンスで調整してみてください(上の図の右側)。

次は手の甲の細部を作りましょう。指の付け根の関節から始めます。手の甲が見えるよう手の向きを変えて、右の図の左側のように、指の付け根の関節の面を選択します。選択した面を分割して、それぞれの中央に新規の点を作ります。この点を選択して、移動と選択ツールで外側に引き出します。コツ: 点を選択した後、視点を横にします。そして点を、手から離すようにドラッグします。
以下の図がその結果です。この状態はとても簡単なもので、さらに細部を作り込む必要があるのは明らかですが、今はこのままにしておきます。


仕上げに爪を作成しましょう。それにはその部分を平らにします。視点の向きを変えて、指先の爪が付く部分が見えるようにします。対角線になる辺を選択して(下の左側の図)、分割します(その隣の図)。そして下の3番めの図のように辺を2つ選択して、再び分割しましょう。新規の点を「爪」の端のあたりに移動させます(4番めの図)。


爪となる4つの面を選択します(下の図の左側)。指の端が正面に見えるよう向きを変えて、選択中の面を指の内側向きに少しだけ移動します(下の中央の図)。これをほかの指にも行いましょう。下の右側の図は、爪が乗る、平らになった領域のレンダープレビューです。


爪そのものについては、別々に作った方が簡単かと思います。爪を作るため、下の左側の図のような曲線を作り、まず Z 軸で押し出しました(下の中央の図)。これで厚みを与え、次にこの結果を Y 軸で押し出して、長さを与えました(下の右側の図)。できたメッシュを編集して形を整え、4回コピーして爪を5つ作りました。この「爪」をそれぞれの指に合うように調整して、手のメッシュに演算ツールで追加しました。演算は最後に三角メッシュに変換しました。


これがこの段階での「手」です。手のひら側と手の甲側でレンダーしました。


これ以上に手の細部を凝ることもできます。それは最終レンダーでどれだけクローズアップするかによります。テクスチャで多くの要素を表現できることを心に留めておきましょう。ここではこのあたりで止めておいて、手の作業は 骨格 の設定に移りましょう。

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