Art of Illusion モデリングチュートリアル
木のサイコロ
By Duncan H, September 2001.
(For AoI version 0.9)
(勝手翻訳: ゆんず)
このチュートリアルの狙いは演算差分モデリングの基本的な手引きで、3D モデリング全部のガイドは意図していません。砂時計チュートリアル をまだやっていなければ、まずは少なくともご一読をお勧めします。チュートリアルを進めるとともに、数字を表すドットを球状にくりぬいてサイコロを作る方法がお分かりになってくるでしょう。以下は演算操作のリストです。
差分 1つの形状からもうひとつの形状を引き算して、引き算したものと同じ形の「穴」を残します。
共通部分 2つのオブジェクトが重なっている部分を残し、それ以外をすべて削除します。
結合 2つのオブジェクトを足し合わせ、単一のオブジェクトを作ります。ほかのオブジェクトの「内側」になった部分は消失します。
このチュートリアルでは差分のみを扱いますが、ほかのものでも原則はみな同じです。
スタート
AoI を立ち上げ、新規のシーンで始めましょう。まず シーン → グリッド で背景のグリッド設定します。グリッド間隔を0.5に、「グリッドを表示」と「グリッドにスナップ」にチェックを入れます。今度は シーン → 表示方法 でワイヤーフレームを選びます。
2.「 直方体を作成」ツールを選択し、左上の視点ウインドウ(前)で5×5グリッド四方の立方体を作成します。このとき、立方体の辺がグリッドの四角にぴったり乗るように注意してください。立方体ができたら、オブジェクトリストでそれが選択されていることを確かめてから、オブジェクト → 配置...を選択します。X, Y, Z のサイズはすべて2.5になっているでしょうか。そうなっていなければ、ここで修正します。
3. 「前」の視点で、立方体の中央にグリッドサイズ1の球を作ります。これが、サイコロ表面の「点」を作る「スタンプ」になります。オブジェクトリストから Sphere 1 を選び、オブジェクト → 配置 をクリックしてください。もし X, Y, Z のサイズがすべて0.5になっていなければ、ここで修正します。
4. 「上」視点で、球を下の方向に移動します。立方体の下の境界線に球の半分ずつが区切られるようにしてください。また、グリッドの四角の真ん中に来るようにもしてください。これが「1の点」になります。
5. オブジェクトリストで Cube 1 を選び、Shift キー併用で Sphere 1 を選択します。両方が選択されるはずです。ツール → 演算... をクリックすると、選択した2つのオブジェクトの基本レンダーが表示されます。ドロップダウンメニューから 1つ目 - 2つ目 を選択してください。これでオブジェクトリスト内で2番目に選択されているオブジェクトを、1番目のオブジェクトから引き算します。プレビューウインドウ内でドラッグすると、オブジェクトを回転できるので、この穴が立方体からどのように「切られる」のかを確認できます。
もし切った穴の見映えが球のよう見えず、立方体の中身が中空のようなら、演算ウインドウをキャンセルして、球を立方体の辺の正確な中央からほんの少し外れるよう動かしてください。そして演算ウインドウをもう一度開いて作業してみましょう。これで立方体の表面から球が正しく切られるはずです。「1の点」の出来に満足できたら、OK をクリックして演算の差分を完了させます。これで AoI は Boolean 1 という新規オブジェクトを作成し、もとのオブジェクトから少しずれた位置に配置します。混乱を防ぐため、もとの Cube 1 は削除します。ただし Shere 1 と Boolean 1 は残してください。これをするには、 オブジェクトリストで Cube 1 を選択、キーボードの Delete キーを押します。
6. ご覧のように、サイコロのモデル(Boolean 1)は、これを作り始めたときと同じ位置にはありません。以降の準備を簡単にするため、サイコロをドラッグして、もとの位置に戻しましょう。完璧に同じ位置でなくても、あまり気にしなくて大丈夫です。
7. ステップ4〜6を繰り返して、サイコロのそれぞれの面にほかの数字の点を作っていきましょう。はじめに「上」視点で Sphere 1 サイコロの左の辺の脇に移動し、下端から2番目の四角に置きます。ここでも、サイコロの辺で球が半分ずつになるようにします。そして「左」視点で、球を1スクエア下に移動させます。Sphere 1 は、「3の点」の最初の点を作る正しい位置に来ました。ステップ5とまったく同じように演算差分を作ります。ただし今回は Boolean 1 オブジェクトがオブジェクトリスト内で Sphere1 の下にあるので、2つ目 - 1つ目 を使います。
8. Boolean 2 オブジェクトを作ったら、Boolean 1 は削除できます。そして新規オブジェクトを Boolean 1 があった位置に移動させてください。「左」視点で、Sphere 1 を中央のスクエアに移動させて、次の点を作ります。ここでも古いオブジェクトを削除して、新規オブジェクトを正しい位置に戻します。「左」視点で、Sphere 1 を Boolean 3 の左上の隅に置きましょう。ここが最後の点の位置です。そこに穴を開けます。古いオブジェクトを削除すると、Sphere 1 と Boolean 4 は図のようになります。
9. サイコロの最後の面では「2の点」を作るのにあと2回、演算差分を行います。そのまま続けてすべての面を作るのもいいですが、この画像の場合は3面のみ見えればいいので、そこまでは必要ありません。すべての面を作ると時間がかかり、多くの多角形を作ることにもなります。その結果、プログラムの処理が遅くなるかもしれません。
10. 最後の面を作るには、「上」視点で、Sphere 1 を左上から2番目のスクエアに移動します。「前」視点で Sphere 1 を上に動かして、先にやったように球を半分ずつに切るように、その球を辺と重ねます。そして先のように、次の穴を作ってください。古い Boolean 4 を削除して Boolean 5 をもとの位置に戻したら、「上」視点で Sphere 1 を反対側のカドに配置して、最後の点を作ってください。そのあとは、データをなくさないよう保存しましょう。
11. Boolean 5 と Sphere 1 を削除すると、基本的なサイコロ型が生成されます。今度はカメラです。カメラを動かして最適な位置を探し、最適な照明も調整しましょう。そしてサイコロにテクスチャも追加しましょう。これらの作業の間は、基本的なラスターレンダーで画像がどのようになるかをチェックします。
私が見つけた最も良いカメラと照明の移動方法は、「上」視点で 10% にズームアウトすることです。これですべてを見ることができます。そしてオブジェクトリストからカメラや照明を選択して、「上」視点で それらを大まかな位置に移動させます。次に「左」視点をズームアウトして、カメラと照明が見えるようにしましょう。この状態で、高さとティルト角を調整します。ときどきカメラ視点ウインドウを見て、加えた変更がどう影響するかをチェックしてください。
12. カメラアングルと照明に満足したら、オブジェクトにテクスチャを追加しましょう。私の場合は、テクスチャ編集機能から以下の設定で木目のテクスチャにしました。定数2が木目テクスチャのノイズ入力に追加され、木目の年輪をよりランダムにしています。グラデーション色彩関数にはほんの2カ所だけ設定しました。1つは暗い茶色、もう1つは明るめの茶色です。
「光沢」に定数0.2を加えて、磨いたような光沢を木目に与えています。求める効果になるまで、この数値をいろいろ試してみましょう。
テクスチャを作り終えたらサイコロに割り当てて、プレビューウインドウを見ながらテクスチャの見映えに納得するまで設定を調整します。
13. サイコロの最終テストレンダーは右の図のようになります。さらに良い見映えにするには、このページのトップの画像のように、辺を滑らかにしてみるのもいいでしょう。この効果を得るには、最初の演算を作る前に Cube 1を三角メッシュに変換し、点と辺をちょうどいい具合に調整します。それからこのチュートリアルで説明した段取りをそのまま行います。しかしこれではまったく新しいチュートリアルになってしまいます。そこでこれは、あなたが実験してみる材料とします。また、これを据え付けるための表面として、サイコロの内側に立方体オブジェクトをもう1つ加えるのもいいでしょう。
これはどのような作り方をしても構いません。私はテクスチャ編集機能をいじって、マープル型の効果を用いました。そしてレイトレーサーレンダーで被写界深度以外の全部のオプションにチェックを入れて、すべて仕上げてみたりもしました。レンダーの条件をいろいろ変えてみるのは、それ自体へのすべてのチュートリアルとなります。何がどうなるか、ご自身で確かめてみましょう。
このチュートリアルはここでお開きです。これは Art of Illusion のほんの一部でしかなく、やってみる価値、遊んでみる価値のある機能はほかにもざくざくあります。最も重要なコツ、それは楽しむことですよ!
演算差分チュートリアル by Duncan H
(訳注: 英語原版では作者様へのメールリンクがありますが、ここでは割愛させていただきます。作者様へ連絡を取る場合は、英語原版からどうぞ)
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