2007年5月のぶん |
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5月5日に、岩手県久慈市の久慈琥珀博物館で開催中の、特別企画展「飛び出せ宇宙」に行ってきました。写真撮影 OK とのことで、展示品の立体写真をバシバシ撮って参りました。でもデジカメを持って行かなかったんで、今回はケータイのカメラです。そのぶん写真のクオリティが落ちてしまったけど、宇宙施設やら打ち上げ施設やら衛星、探査機(の模型)の立体感はきっちり出せました。
あとケータイカメラの容量の関係で、衛星やスペースシャトル、国際宇宙ステーション等(の模型)の全景写真は割愛せざるを得なくて、そこがちょっと残念だったけど。
それでは、実際に飛んでる宇宙船たち(の模型)の世界へ行ってみましょうか。
まずはスペースシャトル関連からいきましょうか。とりあえず「スペースラブ」。「宇宙でラブラブ」じゃないですよ。"Space Lab"。宇宙実験室のことです。
スペースシャトルの荷台に搭載して様々な宇宙実験をする設備で、毛利さん、向井さん、土井さんの3人が確か使ったと思ったなぁ(あんまし自信なし)。野口さんのときは ISS(国際宇宙ステーション)の建造や補給が仕事だったはずだから、荷台にはこのスペースラブじゃなく物資が載ってたはず。
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スペースラブ |
オレンジのメットかぶった人が愛想良くこっちに手を振ってるみたいですが、これカットモデルなんで、そこにあるはずの機械を操作してる様子じゃないかと思います。
次は国際宇宙ステーション(ISS)完成予想模型と、それに取り付けられる予定の日本棟「きぼう」。船外実験パレットとロボットアームの見事な細工にご注目〜。
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国際宇宙ステーション |
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ISS 日本棟「きぼう」 |
ISS の写真組の左端にはスペースシャトルがドッキングしてますね。けどスペースシャトルって ISS の完成とともに引退することになったはず。てことは、この状況は実現しないってことになりますな。なんかちょっとなぁ。それに、ISS も相次ぐ計画変更でいささか小振りになりましたなぁ。
予算超過とスペースシャトルの事故の影響でこんな形に収まってしまったんだけど、さらに輪をかけて建設工事が長引いたせいで、完成から設計寿命まで、そう何年も満足に使えなさそうなんですな。いまだに出来てないんで、竣工までにまだまだ何が起こるか分かんないし。
ま、ある意味ハラハラドキドキなわけです。
日本の実験棟「きぼう」も、スペースシャトルで3回に分けて運搬・設置されることになってるけど、この前やっと打ち上げ予定が決まったかと思ったら早速延期の発表。こんなことになるならいっそ、日本自前の無人ロケット(H-IIA)で打ち上げて、現場の宇宙飛行士に組み立ててもらった方がよかったんじゃないですかねぇ。できるかどうか分かんない話だけど。結果論だし。
お次は種子島のロケット打ち上げ施設のジオラマ。日本の H-IIA ロケットは、こんな施設から打ち上げられるんですな。ちなみにロケット組み立て棟(「打ち上げ施設1」で手前、「打ち上げ施設2」で奥の、巨大な箱状の建物・「VAB」と呼ばれる)のロケットが出て来るドアは、「世界最大の引き戸」だそうです。日本は引き戸文化ですから。ええ。欧米だとこういうとき、何が何でも開き戸にするんだろうなぁ。
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打ち上げ施設1 |
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打ち上げ施設1ズーム |
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打ち上げ施設2 |
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打ち上げ施設2ズーム |
よくできた基地のミニチュアを見ると、なんだかワンダバ気分が盛り上がりますなぁ。ズームが粗いのはご容赦下さい。いわゆる「最大望遠です」ってやつです。立体視するとそれぞれの画像が脳内で補正し合って、けっこうマシな解像度になりますです。
射点は2つあって、クローラーに乗っかった H-IIA ロケットは、道路を斜めにずれた第2射点に向かってますね(赤白に塗られた2本の避雷針が立ってる方)。H-II の頃は VAB で組み立てられるのは頭がない状態までで、整備塔に運ばれてから衛星とフェアリングが組み付けられたけど、H-IIA は VAB 内で全て組み立てられるんで、H-IIA 計画に合わせて新設された第2射点には整備塔がないのだ。
なんですと? ミニチュア魂に火が点いたと申されますか。そうですかそうですか、それは結構なことです。ならばミニチュア技巧の極致、第1射点をたんとご覧なさいませ。
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第1射点 |
くぅ〜ッ! たまりませんですなぁ。これぞワンダバの中のワンダバですなぁ。この撮影にはかなり気合い入れたですよ接写モード発動で。
この第1射点の模型は観音開きが開いた状態なんで、正面から見た方が精巧な内部まで見えて迫力があったんですが、ジオラマを破壊しないで接写できたのはこの斜め後ろのアングルだけでした。すんません。
ここからは日本の探査機、人工衛星(の模型)のコーナーです。日本のォォォォ科学はァァァァ世界一ィィィィッ!!(JOJO) ということで、科学探査機・科学衛星から紹介しますです。
まずはあの、2005年秋に小惑星イトカワに到達して、素晴らしい観測と果敢な試料採取を試みたあの小惑星探査機「はやぶさ」。観測成果は今は一般に公開されていて、その成果を利用してイトカワの立体写真シリーズを、このサイトで既に公開してます。
その はやぶさ は今、小惑星イトカワのかけらを持って、地球に向かっての復路についたばかりです。到着予定は2010年6月頃。正直かなりヤバい状態です。
姿勢制御用のリアクションホイールは3台中2台が故障。残る1台もいつ逝くか分かりません。同じく姿勢制御用の燃料は全て漏洩して残量ゼロ。推進用のイオンエンジンは4台中3台が不調。好調な1台はもうすぐ設計寿命を迎えます。はやぶさ が無事に地球に帰れるかどうかは、近いうちロンドンあたりでオッズの対象になるでしょうw
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小惑星探査機はやぶさ後ろ姿 |
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小惑星探査機はやぶさ後ろ姿ズーム |
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小惑星探査機はやぶさ横顔 |
はやぶさ の後ろ姿、イオンエンジンの4つの黒い噴射ノズルが見えますね。それぞれが機体の重心方向に推力を出すよう、わずかに内向きにオフセットされているのが分かるでしょうか? 「はやぶさ横顔」では、画像左下隅のあたりに、大気圏再突入カプセル(お椀を伏せたような丸い膨らみ)が見えていますね。
何ッ!? そんなボロ探査機なんかさっさと諦めろだとッ? ならば名言集 from 「ジョジョの奇妙な冒険」で返すまでッ!(出典)
はぁッ、はぁッ……どーだ! これがはやぶさに萌えた者の「覚悟」だァーッ!!
……、
……、
……。
自分で書いといてアレだけど、めちゃめちゃ後に続けづらいことになってしまった orz
とりあえず仕切ってみるか。
さて今度は、日本の最新の科学衛星である、太陽観測衛星「ひので」。衛星での太陽観測は、X 線観測と並んで日本のお家芸。過去にも「たいよう」「ひのとり」「ようこう」が世界に誇る科学的成果を挙げています。ひので も去年の打ち上げ以来、これまでにない高性能望遠鏡で有用なデータを着々と地球に送ってきているようなので、これからどんな新発見があるのか、今から期待大です。ってなんか宣伝みたいだな (^^;)
あ、そだそだ、ここから下で紹介する衛星は太陽電池が大きい(ていうかやたら長い)んで、画像ではほとんど割愛しましたです。ひのでは太陽を観測する衛星なんで、観測機器(各種望遠鏡)と太陽電池が同じ方向を向いていますね。
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太陽観測衛星ひので |
地球に最も近い恒星、太陽。この太陽を観測して未解明の謎を解き明かすことは、ひいては宇宙全体の謎を解く鍵を手に入れることになります。欧米でも ひので の後を追うように、太陽観測衛星の計画が進んでいます。これらと共同で観測をすることで、人類はより多くの太陽の秘密を知ることができるはずです。
そんなこと知って何の役に立つんだって? これが意外と役に立つんです。太陽は時々「フレア」と呼ばれるかんしゃくを起こします。フレアはその数日後、「磁気嵐」という現象になって、地上の電子機器を誤作動させたり通信障害を発生させたり、人工衛星を壊したりします。その発生の仕組みを解明すれば、発生を予測できるようになるはず。いわば「宇宙天気予報」ってとこですかね(ひので と宇宙天気予報)。科学衛星は科学者のためだけのものじゃないんですよ。こうして一般人の生活をより快適にする知識をも与えてくれたりもするんですな。
そんなわけで、ひので の活躍を期待してま〜す。
でも惜しいことに、ひので のプロジェクトマネージャーだった小杉健郎教授は、試験観測が始まるか始まらないかの2006年11月26日に急逝されました。この衛星の開発のリーダーとして10年以上もの間携わって来られただけに、本格的な観測を前にして、さぞご無念だったかとお察しします。謹んでお悔やみ申し上げます。
次からは実用寄りの衛星というか、地球環境を観測したり大規模通信したりする大型衛星です。まずは2002年12月14日に打ち上げられた地球観測技術衛星「みどり2」。1996年8月に打ち上げられた「みどり」の後釜。Wikipedia によると、「地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象など、地球規模での環境変化の実態把握のためのデータを取得するのが目的」だったそうです。
ズーム立体写真は、アンテナのあたりの細工に感動したんでそこらを狙いました。
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地球観測技術衛星みどり2 |
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地球観測技術衛星みどり2ズーム |
初代 みどり は、打ち上げから約半年で太陽電池パドルが破断して機能停止してしまったんで、「2」にかける世間の期待は大きかったんだけど、その みどり2 も打ち上げから約10カ月で電源系にトラブルが発生してお亡くなりになりました。こういう環境観測目的の衛星は、最低でも1年を通じて四季のデータを取らないとあまり意味がないんだそうで、その意味では みどり シリーズは失敗だったですね。
なんでも、大型地球観測衛星を作る計画を立てたはいいけど、当時の宇宙開発事業団(NASDA)は霞ヶ関式の人事がまかり通ってて、こういう開発に10年かかる計画に対して関係者が2年でコロコロ異動してしまって、チェック体制がかなり無責任な状態になったのが失敗原因だったんじゃないかと言われておりまする(松浦晋也氏の著書「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」からの受け売り)。
で、みどり、みどり2 に続く第3弾の大型地球観測衛星として開発されたのが、陸域観測技術衛星「だいち」。当初計画では みどり2 が海を、だいち が陸を同時に観測することで地球環境を調べ尽くすはずだったんですが、みどり2 が早々と死んでしまったせいで、だいち は単独で観測をする羽目になりましたとさ。
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陸域観測技術衛星だいち |
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陸域観測技術衛星だいちズーム |
三度目の正直らしく。だいち は2006年1月の打ち上げ以来、1年以上稼働してます。最近、通信系にトラブルが出てバックアップに切り替えたそうですけど、まぁせっかくだから3年は持ってほしいですね。ここで だいち まで夭逝しちゃうと、日本の大型衛星はもう作られなくなっちゃいそうで(ていうか みどり シリーズの反省として、既に中・小型路線に入りつつあるって話も)。
そうなると大型ロケット H-IIA の出番も減ってしまうんですよ。「せっかくいいロケットがあるのにもったいない」なんてことにならないように、ここはひとつ だいち と、次に紹介する、日本最大の静止衛星である技術試験衛星「きく8号」に踏ん張ってもらって、大型衛星の存在意義を誇示していただきましょう。
きく8号は、2枚の巨大なパラボラアンテナ(この世界最大級のアンテナ展開のときは、うまくいくかドキドキしたなぁ。見事に成功したんで、今後の衛星開発にそのまま応用できそうです)が作り出すその強力な通信能力を利用して、軽装備の情報員が被災現場の状況をリアルタイムで中継したりするのに使えるそうです。
立体写真だと、その巨大アンテナと太陽電池の取り付け具合や位置関係がよく分かります。ズームでは、昆虫っぽい本体の形をお楽しみ下さいw
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技術試験衛星きく8号 |
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技術試験衛星きく8号ズーム |
ところがどっこいこの きく8号 も、肝心の移動体通信用機器の電源に異常が出て使えない状態らしいのよね。宇宙は甘くはないですなぁ。現在、電源内の8系統ある回線のひとつがショートしてるというとこまでは特定できてるらしくて、あとはどうやってヒューズを飛ばすかにかかってるみたい。
日本の実用衛星は実験の名目が課せらることがほとんどなんで(普通の実用衛星であれば国際的な自由競争で発注しなきゃいけないんで、どうしても衛星先進国のアメリカに仕事を取られちゃう)、常にチャレンジングな内容を含まなきゃいけないんですわ。だからトラブルも発生しがちなんだろうけど、それにしてもちょっと致命的なトラブル多過ぎじゃないかなぁ。特に電源系統。正直、日本の実用衛星はこんなんで大丈夫なのかなぁと思っちゃう。
え? はやぶさだっておもっきし致命的じゃないかって? いやいやあれはいいんです。だってただ地球の周りを回るだけなら多くの国がその技術を持ってるけど、地球の重力圏を飛び出して、未知の星に着陸してお土産もらってまた地球に帰って来ようってくらいぶっ飛んだチャレンジなんだから、その勝ち気さと健気さが泣けるからいーんです。いーんですったらいーんです。
それに、はやぶさ は確かに死にそうだけどまだ生きててその使命を全うすべく稼働中だけど、実用衛星や試験衛星がその機能に致命傷を負ったら、使命の全うどころかただの役立たずなわけで、同じ致命傷でも質が違うんですよ(←完全に はやぶさ に肩入れしてる人)。
予算不足であんまし頻繁に衛星を作れないという経験不足も影響してると思うんで、失敗に萎縮しないで、大型ばっかりじゃなくていいから、これからもどんどん衛星を作って飛ばしてほしいですなぁなんて思いつつ、特別企画展「飛び出せ宇宙」(←このタイトルにもいささかの不具合を感じる……)の会場をあとにしたおいらであった。
やい政府ッ! 道路ばっかじゃなくもっと宇宙開発に予算回しやがれーッ!! とここでこっそり吠えてみるテスト。
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