「それで実際、三角メッシュって何?」。この問いへの最も明確な答えは、「三角形の小平面で構成された表面」です。ほとんどの 3D プログラムではこれが完全な答えとなりますが、Art of Illusion ではこの答えは単なる入り口です。
もっと明らかな答えは「三角形の小平面のメッシュで定義された表面」です。違いは「構成された」ではなく「定義された」の部分です。三角形の小平面は、作業者が表面を定義できる制御メッシュとして機能します。しかし表面そのものは、カクカクの小平面の集まりだったり、滑らかに平均化されていたり、その半々だったり、ほとんど滑らかですが尖った点や折り目があったり、あるいはそれらの中間だったりもします。
このチュートリアルでは三角メッシュについて、それが何なのか、その作成方法、編集に使えるツールのいくつかを紹介します。メッシュ編集機能のすべてについて説明するわけではありません。しかしそのほとんどを説明しようと思っています。また、説明しなかったことについては、容易に推測できるようにしたいと思います。
チュートリアルの本題に進む前に、スプラインメッシュとポリメッシュという、2つの異なるタイプのオブジェクトについて説明します。これらもフリーフォームな表面を作成できます。スプラインメッシュは特定のタイプの形状を作成するとき、三角メッシュで行うよりも、オブジェクトをより自然な形にできます。しかし全般に、あまり強力な方法ではありません。スプラインメッシュは特定のタイプの単純なオブジェクトを作るのには適していますが、複雑なオブジェクトには向いていないからです。もう一方のポリメッシュは3つ以上の辺を持てるので、状況によっては三角メッシュより強力です。これで多くのタイプのオブジェクトで便利な方法となりますが、レンダーの効率があまりよくなく、また表面の滑らかさがいまひとつの場合もあります。
スプラインメッシュとポリメッシュは、このチュートリアルでは説明しません。これらの編集ツールは三角メッシュのものにとても似ていて、このチュートリアルで学んだことは、そのままスプラインメッシュとポリメッシュの編集に使えます。
注意: ポリメッシュを使う場合、ますポリメッシュ(PolyMesh)プラグインを Scripts and Plugins Manager からインストールする必要があります。
三角メッシュがただの三角形の小平面のメッシュより優れている点は何でしょう? それは以下の2つです。
まず、すべての三角メッシュに 平滑方法 を適用できます。これで、実際の表面を制御メッシュから計算する方法を決めます。以下の図で示す、4つの異なる方法から選択できます。
A. | B. |
C. | D. |
三角メッシュには、表面の形状を制御できるもうひとつの機能があります。頂点や辺それぞれに 平滑度 の値があります。0にすると、尖った点や折り目となります。1にすると、滑らかな表面になります。その間の値では中間の結果(丸められた点、傾斜した辺など)となります。
以下の図で、メッシュの平滑度の値を変えるだけでできることがお分かりかと思います。どの図も同じオブジェクト(三角メッシュに変換した立方体)を使っていて、平滑方法は「近似」です。それぞれの図の違いは、頂点や辺の平滑度の値のみです。
直方体のようなオブジェクトの場合、もとのオブジェクトを正確に再現した三角メッシュを作成できます。しかしほとんどの場合、メッシュはもとの表面を近似したものにしかなりません。このようなときは「三角メッシュに変換...」コマンドを選択した後、メッシュ化での許容度を尋ねるダイアログが出ます。これは、もとのオブジェクトからメッシュが逸脱できる最大距離のことです(距離の1単位=画面上での100ピクセル)。つまり、平滑化されていないメッシュ上の点は、もとの表面から指定の許容度を超えたところにはないということです。許容度を小さくすると、三角メッシュはもとのオブジェクトに近いものになりますが、三角形を多く含む複雑なメッシュとなり得ます。
大抵は許容度を大きくした方がいいでしょう。単純なメッシュは編集が簡単で、レンダーも速いです。そのうえ、先のセクションで説明した、メッシュ平滑化の特徴の利点から、精度の低いメッシュでももとのオブジェクトの見映えをよく再現できます。
以下の図でそれを示しました。左側は円柱オブジェクトです。正確な数学的円柱にするには、側面は滑らかで完全に丸くなければなりません。
ここから、この円柱を許容度の大きな三角メッシュに変換しました。中央の図がそれで、平滑方法は「なし」にしています。もとの円柱に比べて明らかに、メッシュの近似はとても粗くなっています。
右の図は同じメッシュで、平滑方法を「近似」にしました。側面は再び滑らかになり、オブジェクトはもとの円柱とほぼ見分けがつきません。
三角メッシュ編集ウインドウはメインのシーン編集機能のウインドウとよく似ています。中央の4つの視点には、編集するオブジェクトが表示されます(黒い表示の制御メッシュと、青い表示の実際の表面の両方)。左端にあるツールパレットで、メッシュを編集するさまざまなツールが使えます。また一番下のテキスト行で、選択中のツールの使い方が分かります。
このうち2つのツールはシーン編集機能でおなじみの、「視点の移動」と「視点の回転」です。これらのツールはオブジェクトを見る方向を変えるのみで、オブジェクトそのものには影響を与えません。
最も重要なツールは「選択と移動」ツールです。名前が示すとおりこのツールは、編集するメッシュの部分を選択し、選択した頂点を移動するという2つの用途に使います。頂点を選択するにはその頂点をクリックします。複数の頂点を選択するには shift クリックするか、そのすべてを含むように四角くドラッグします。頂点をクリックしてドラッグすると、選択した頂点すべてを移動できます。
ほかの5つのツール(拡大縮小・回転・変形・尖らせる・内側または外側へ移動)はみな、指定した方法でメッシュの一部を変形させるのに使います。これらのツールを使うには、最初に、変形させるメッシュの部分を選択します。これで選択したものの周りにハンドルのセットが表示され、選択した領域をドラッグで変形できます。ツールはそれぞれの操作をすぐに試せます。画面の一番下の1行テキストを読んでください。ここには選択中のツールの作用のヒントが書かれています。
さまざまな色の球のアイコンは、移動・拡大縮小・回転の複合ツールです。名前のとおり、移動・拡大縮小・回転ツールのほとんどの機能を1つのツールにまとめたものです。このユーザーインターフェイスはほかのツールより少し複雑ですが、慣れるととても便利です。これでツールを切り替えることなく多くの操作ができます。
水色の2つのアイコンは「傾斜/押し出し」と「点を作成」ツールです。後述のセクション6と7で解説します。
緑色の棒のような絵のアイコンは、「骨を編集」ツールです。これでメッシュの骨格を作成・編集します。後述のセクション9で解説します。
先の説明で、頂点の選択と移動を参照しました。実際、編集ツールはそれよりは一般的です。ウインドウの左下隅に "POINT", "EDGE", "FACE" の3つのボタンがあります。これら3つはメッシュ編集機能がサポートする選択モードです。"EDGE" モードでは、メッシュの辺(頂点同士を結ぶ線)を選択・操作できます。"FACE" モードでは表面を選択・操作できます。3つすべてを試して、モードを切り替えると選択している部分がどうなるか見てみましょう。
今度は編集メニューから「あいまい選択」を選んでください。このオプションで、四角くドラッグした範囲の辺や面を選択できます。普通の選択モードでは、四角の内側に完全に入っている辺や面のみ選択されます。「あいまい選択」モードでは、辺や面の 一部でも 四角の中に入ってさえいれば選択されます。このモードでは、"POINT" から "EDGE" や "FACE" に切り替えたときの選択の変換に似たような変化があります。どうなるかは試してみてください。
これは面倒な作業になり得ます。表面の形を作り直すのに頂点1つ1つを移動させるのは、難しく、また忍耐が要ります。頂点のグループをまとめて移動させることもできますが、選択領域の端の部分に鋭い段差ができてしまうことがあります。
「影響」コマンドがこの解決に大いに役立ちます。これでメッシュの挙動が、あたかも弾性があるかのようになります。頂点1つをドラッグすると、近くの頂点がそれに引きずられ、表面は滑らかなままになります。
この機能を使うには、編集メニューから「影響...」を選択します。現れるウインドウには、影響本数 と Tension の2つのオプションが表示されます。「影響本数」で、Tension が効果を及ぼす半径を設定します。これは辺の数で、0(デフォルト)に設定すると、ドラッグする頂点だけが移動します。1に設定すると、選択中の頂点と辺を共有する非選択の頂点も移動します(選択中の点ほどは移動しません)。設定を2にすると、選択したものから辺2本分の頂点までが動きます。それ以上の数でも同じようになります。どの場合でも、選択中の部分から離れた頂点ほど、その移動は少なくなります。
その移動はどれだけ少なくなるでしょうか。これは Tension オプションで決定します。低い Tension ではより少なく、高い Tension ではより大きく移動します。設定を変えて実験をすると、その作用を感覚的にすぐに掴めますよ。
あるキャラクターの頭部を作る場合を考えましょう。球(頭部の形を作る初期の合理的な近似)から始めて、額を四角くする、あごを引き出すなど形を整えるのに三角メッシュに変換するとします。顔を作るにはメッシュの解像度が低すぎた場合を考えます。鼻や口、目などを作り込むのに、単純に頂点の数が足りないとき、どうしたらいいでしょう。
答えは「辺を分割」コマンドです。このコマンドで選択領域を分割して頂点・辺・面の数を増やし、メッシュに細部を追加します。正確には、これはそのときの選択モードによります。
この説明が分かりにくければ、単に以下のルールを覚えましょう。"EDGE" モードで「辺を分割」コマンドを繰り返し使うと、制御メッシュはすぐさまオブジェクトの平滑化された表面に向かって集中します。何度か試すと、その意味が分かるでしょう。
「辺を分割」メニューアイテムに加えて、もっとインタラクティブな方法で同じことをする「点を作成」ツールもあります。このツールを選択して辺や面(使用中の選択モードによる)をクリックすると、クリックしたその位置で分割できます。
「辺を分割」コマンドで、とても簡単に新規の頂点と辺を多数作れますが、問題もあります。先の説明の、簡単なメッシュの方が作業がラクということを思い出してください。辺を分割してメッシュの一部を編集して、求める形を作った後、実はもっと頂点が必要だったことに気づくことが多いと思います。この編集を何度か繰り返すと、深刻な問題になることがあります。
解決法は「単純化...」コマンドです。これは「辺を分割」コマンドの逆を行います。隣り合う頂点同士をまとめて、メッシュ内の頂点・辺・面の数を減らします。使用するには、メッシュの単純化したい部分を選択、メッシュメニューから「単純化...」を選びます。何も選択していない場合、このコマンドは「メッシュの単純化...」となっており、メッシュ全体を単純化します。
この単純化は、局所的な誤差測定をもとにします。つまり表示されたプロンプトに入力した最大許容誤差に合わせ、新規に単純化されたメッシュ上の点のどれもが単純化前のメッシュからの距離より近くなるよう調整しつつ、可能な限り制御メッシュを単純化します。
小さな数値では、単純化されたメッシュはもとのメッシュ形状にとても近くなりますが、単純化の量自体は制限されます。数値を大きくするとメッシュはより単純になりますが、表面の形状に明らかな変化が起きてしまうことがあります。
注意: 誤差測定の計算は、平滑化された表面 ではなく 制御メッシュに基づいて行われます。このため、制御メッシュ上に、もとの制御メッシュから指定した許容度より逸脱した点がなくても、平滑化した表面上の点は、もとの表面から見て、さらにずれることがあります。
表示されるウインドウで、操作の詳細を決定できます。オプションは以下です。
4. 三角メッシュ編集機能
三角メッシュを作ったらそれを選択して、オブジェクトメニューから「オブジェクトを編集」を選びましょう。以下のような新規のウインドウが表示されます。
5. 影響
先に述べたように、低解像度のメッシュは高解像度のものより編集が簡単です。さらに三角メッシュの自動平滑化機能で、比較的単純で低解像度のメッシュでとても複雑なオブジェクトを表現できます。最大限の努力にも関わらず、とても小さな三角で構成された高解像度のメッシュを編集することになったとき、これが役立ちます。
6. 分割と単純化
これまで解説したコマンドは既存の頂点の移動ができましたが、メッシュ内の頂点の数に変化はありませんでした。このセクションで解説する2つのコマンドでは、頂点の数が変わります。1つは細部の追加、もう1つは細部の削除です。
微妙ですが重要な注意点があります。"EDGE" モードで「辺の分割」をする場合、分割操作は選択中の平滑方法をもとにします。平滑方法が「なし」か「陰影」のときは、新規の頂点が追加される場所は、選択中の辺の両端のきっちり中間です。設定が「補間」のときは、メッシュの平滑度を保つため、新規の頂点はもとの辺から少しずれた場所に追加されることがあります。「近似」の場合、各辺に新規の頂点が追加されるだけでなく、それまでの頂点自体がわずかに移動します。
7. 傾斜と押し出し
傾斜/押し出しツールは、メッシュオブジェクトに特徴を追加するのに非常に便利なツールです。これで、選択した点・辺・面から押し出し(表面から外向きに引き伸ばした柱)を作成します。使うには、メッシュの一部を選択して、「メッシュ」メニューから「押し出す...」を選びます。
「傾斜/押し出し」ツールでは、同じことをするのにさらにインタラクティブな操作ができます(正確さは劣りますが)。使うには、メッシュの一部を選択し、選択領域の中央にあるハンドルをドラッグします。マウスを上下に動かすと押し出しの高さが変わり、左右に動かすと傾斜の幅が変わります。
その最初のコマンドは、「編集」メニューの「削除」コマンドです。これで選択した頂点・辺・面をメッシュから削除し、それがあった場所に穴を作ります。キーボードの Delete キーでも同じことができます。
「ふちを閉じる」コマンドはその逆です。新規の面を作り、メッシュに開いている穴を閉じます。使うには、EDGE 選択モードになっていることを確認し、閉じたい穴を囲む辺を選択します(穴を囲む辺を 全部 選択してください。選択に抜けがあると、このメニューアイテムは使用できません)。
「ふちをつなぐ...」コマンドは似ていますが、1つの穴を閉じるのではなく、メッシュ上の異なる場所の2つの穴をつなぐ面を作成します。使うには、つなぎたい両方の穴の境界の曲線を選択し、「メッシュ」メニューからこのコマンドを選びます。
2つの穴をつなぐには、1つの辺がある境界からもうひとつの境界へと、それぞれの頂点をつなぐように追加される必要があります。これをするにはもちろん、多くの方法があります。この編集機能は穴同士をつなぐ最適な方法を考えますが、常に作業者の要求どおりにはなりません。このためダイアログを表示して、境界同士をつないだらどのようになるかをプレビューします。このダイアログを操作して、2つの境界をどのようにつなぎ合わせるかを編集できます。見映えに満足したら OK をクリックして、操作を終えます。
この両方の操作をする便利なコマンドは、「編集」メニューから「特殊な選択 → ふちを選択」です。これでメッシュの ふち(1つの面のみで作られた辺)すべてを選択できます。これで操作にふさわしい辺をすべて選択できます。
骨格はメッシュを作成するのに便利なツールですが、アニメーションを作るときには決定的な役割を果たします。オブジェクトでアニメーションをするとき、骨格が役に立つ場面が2つあります。
上の図は単純なメッシュと、3つの骨でできたその骨格を表しています。骨はダイアモンド型のオブジェクトで、関節はその両端の十字マークです。
骨格ツールはとても簡単に使えます。関節をクリックで選択して、ドラッグで移動させます。上の図のように、選択中の関節は赤い色になっています。新規の骨を作成するには、ctrl キー併用でクリックします。これでその場所に新規の関節が作られ、その前に選択していた関節をつなぐように新規の骨が作られます。関節が1個も選択されていない場合、新規の関節はどの骨ともつながりません。これで、つながりのない骨の組み合わせ同士を接続できるので、いくつもの別々の骨の組み合わせで作られた骨格を作成できます。
注意: 骨格中の関節のひとつは緑色になっています。この関節は 固定 されています。ここを shift クリックすると、固定/固定解除ができます。固定されていない関節をドラッグすると、固定ジョイント(とその向こう側のすべて)は固定されたままです。そしてその間にある骨が、ドラッグでの移動に合わせて曲がります。骨格を作ってみて、固定ジョイントに骨が対してどのように動くか見てみましょう。その感覚はすぐに掴めるはずです。関節を削除するには、単にその関節を選択して、delete キーを押します。
選択中の関節の横に出ている赤いハンドルにご注目ください。これをドラッグすると、選択中の関節はほかの関節を変化させずに曲がります。これは骨格の形を正確に調整するときに便利です。ハンドルは、選択中の関節の、固定されていない自由度について表示されます。その意味は次のセクションで詳述します。
骨格の作成・移動の方法はもうお分かりでしょうが、それだけではまだまだ便利とは言えません。本来、形を変えたいのはメッシュです。そして、骨格の動作はこの段階では、そのために何の効果もなさそうです。それにはメッシュを骨格に 関連付け ます。やり方は以下です。
骨格を動かすと、それに合わせてメッシュが動くようになります!
メッシュ内の頂点を1つ選択して「移動...」を選んでください。表示されたウインドウには 逆向き制御の骨 と 逆向き制御の重み の2つがあります。逆向き制御(IK)とは Inverse Kinematics のことで、画面上で関節をドラッグして動かして、骨格の曲がり具合を追従させる方法の名称です。
はじめのオプションで、この特定の頂点が骨格のどの骨に対応するかを指定します。この骨が動くときはいつでも、この頂点は一緒に動きます。メッシュを手動で骨格に関連付けるには、頂点を選択して「移動...」を選ぶ、を複数の点で繰り返し、各点について骨を選択します。通常はこうする必要はありません。この作業は「点を骨に関連付け...」コマンドで自動で行います。
頂点それぞれを1つの骨に単純に関連づけたなら、結果は満足のいくものではないかと思います。骨格を動かすと、ある骨に関連付けた頂点が、隣の骨に関連付けた頂点と異なる方向に動くにつれ、関節近くのメッシュに折り目やゆがみが出るからです。この問題を軽減するため、頂点は一度に2つの骨に「部分的に関連付ける」ことができます。これが逆向き制御の重みの目的です。頂点を重み1で骨に関連付けるとします。この場合、完全にその骨のみに関連付けられます。骨格を動かすにつれ、その位置はその骨の動きでそのまま決定されます。逆に重みを0にすると、その頂点はその骨との関連がなくなります。その代わり、この頂点は骨格内のその骨の 親 に完全に関連付けられます。重みを0と1の間にすると、2つの骨それぞれに部分的に関連付けられ、動作はそれぞれの位置の重み付け平均で決まります。それぞれの関節周辺で中間の重みを使うと、メッシュ内の変形が滑らかになり、より満足のいく結果が得られます。
このことは大抵は気にする必要はありません。「点を骨に関連付ける...」コマンドは通常、どの骨にどの頂点を割り当てるか、重みをどうするかを適切に算出します。しかしときには、この割り当てで満足できないこともあります。このような場合、手動で調整をかけます。
「骨」メニューにあるもうひとつの「関連付けを一時解除」コマンドも便利です。メッシュを骨格に慎重に関連付けた状態を考えましょう。重みも、結果が満足できるまで調整したとします。ここで骨格の位置を少しだけ、メッシュへの影響 なし で変えたくなったとします。確かに、すべての点を選択して選択して骨との関連をなくし、骨格を動かして手動でまたメッシュを骨に割り当てるのも手です。しかしこれはあまりにも作業が多くなります。それをせずに、単に「関連付けを一時解除」を選択するといいです。このオプションを選択すればいつでも、メッシュに影響を与えず骨格を動かせます。点が骨格に割り当てられているかどうかも気にすることもありません。骨格を動かし終えたら、単にこのオブションの選択を外してください。
さて今度は1個の骨について、詳しく見てみましょう。骨1個を選択して、「骨」メニューから「骨を編集...」を選んでください(もちろん実際に選択するのは関節ですが、これは「関節ではなく骨を選択する」に関して、感覚的には外れている一例です。例えば、キャラクターの腕をひじのところで曲げたいとき、ひじ ではなく、腕の端を選択するでしょう。 関節に関して考えると奇妙に思えますが、骨に関して考えると理にかなっています。このため、選択するのは前腕、つまりその端の関節をクリックすることとなります)。以下のようなウインドウが表示されます。
1個の骨で表示・編集する情報がこんなにたくさんあるなんて、誰が考えるでしょう!
はじめの X Bend(X 曲げ)と Y Bend(Y 曲げ)の2つは、その骨の親の骨に対する方向を表します。これを理解するには、自分の腕を横方向に真っ直ぐに向けてください。腕を上下にゆっくり動かします。これが X Bend の動作方向です。今度はゆっくりと前後に動かしてください。これが Y Bend の動作方向です。お分かりでしょうか?
3つめの自由度 Twist(ねじり)は、骨の一方の端を、もう一方の端に対してその骨の軸まわりに回転させることを表します。理解するには、自分の腕を真っ直ぐ前に伸ばして、手のひらを下に向けます。そして手のひらが上を向くよう、腕を回転させます。これが、腕のねじりの自由度です。前腕の端(手首側の端)が180°回転したとしても、もう一方の端(ひじ側の端)はほとんど動いていないことに注目してください。
もちろん本物の骨は剛体で、端は互いに回転しません。前腕は実際には2本の異なる骨でできていて、位置が互いにねじれることで、全体として腕のねじりが生まれます。しかし我々の目的の場合、ただ1本の骨それ自体がねじれるようにすると簡単になります。
最後の自由度は Length(長さ)です。再度、本物の骨は剛体で、長さは変わりません。しかし現実にこだわる必要があるでしょうか?
それで、各自由度のオプションは一体なんなのでしょう? 第一に、そして最も重要なのは、角度の実際の数値です(長さの場合は距離)。設定するには、新規の値を打ち込むか、その隣にあるダイアルのハンドルをドラッグします(訳注: ver. 2.9 ではハンドルはないようです)。
その隣の「固定」チェックボックスで、特定の自由度が変化しないよう動作を固定できます。自由度それぞれは、骨の動きかたを表します。異なる骨には異なる動きを与えられます。例えば、人の上腕は上下(X 曲げ)や前後(Y 曲げ)に回転できますが、ねじりや長さは変えられません。前腕はひじで1方向に曲げられますが(X 曲げ)、他の方向(Y 曲げ)には曲げられません。アニメーションのキャラクターのひじ関節が、まるで肩関節のようにどの方向にでも曲がるとしたら、それがどれだけ奇妙に見えるか想像してみましょう。
その下で、その自由度の範囲制限ができます。例えば、前腕を完全に真っ直ぐ(0°)の状態から、内側に鋭角(150°)に曲げたとします。内側にはこれ以上に曲げられず、外側にも真っ直ぐ以上には曲がらないでしょう。それぞれの自由度の範囲設定は、アニメーションのキャラクターをリアルに動作させるのに重要です。
自由度をもっと制御したいのなら、無理のない範囲 を設定できます。これは最もラクに動けるよう許可された範囲のサブセットです。骨が無理のない範囲から外側に動くにつれ動きは硬くなり、簡単には動かなくなっていきます。このため、範囲制限内で許された範囲で動くことはできますが、普通は無理のない範囲内にとどまる傾向にあります。
最後に、全体的にどれだけ簡単に動かせるかを各自由度について決める Stiffness(固さ) を設定できます。例えば、長い尻尾の動物をモデリングしているとしましょう。そして、いくつかの骨のつながりを尻尾の長さのぶんだけ用意したとします。これで尻尾は自由に動けます。この尻尾を曲げるには、単に尻尾の付け根の関節を固定して、尻尾の端を選択してドラッグします。しかしその曲げ方で満足することはないと思います。恐らく、端の方では曲がり過ぎ、付け根近くでは曲がりが不十分になるでしょう。これを直すには、端近くの Stiffness を増やします。あるいは、付け根近くが曲がり過ぎるのに、端では足りないかもしれません。この場合、付け根近くの関節の Stiffness を増やします。
もしすべてのオプションを面倒に感じても、どうか気にしないで! このほとんど、特に無理のない範囲と Stiffness 値は無視して構いません。これらは骨格の操作に慣れてから便利に思えるものですが、使うかどうかはあなたが選べばいいだけのことです。8. トポロジーの変更
今までで説明したすべてのコマンドは共通して、メッシュを位相幾何(トポロジー)的に保つという重要な特徴を持っています。メッシュに穴をあけるわけでも、メッシュ上の離れた部分同士で新たな接続を作るわけでもありません。この章では、そのようなトポロジーを変えるコマンドをいくつか見ていきます。
9. 骨格
三角メッシュの 骨格 は、人間の骨格によく似ています。人を見ても、その人の骨格は体の中に隠れて見えません。しかし人が動作するといつでも、体の互いに異なる部分の動きの連携で、骨格の構造は明らかに見えます。同じことがメッシュにも言えます。骨格は実際には見えませんが、骨格は1つのメッシュの異なる部分の相対的な動きを決定します。
骨格は 関節 で互いにつながった 骨 で構成されます。骨は骨格ツールで作成・編集します。注意: 以降、折に触れ、骨と、骨の端の関節を同じものであるかのように解説します。例えば、「骨1つを選択、ドラッグします」と書いている場合、実際はその骨の関節をクリックしてドラッグすることを意味します。しかし、その結果は関節ではなく骨を選択・移動するものとして理解できるでしょう。
10. 骨格 パート2
ここまでで、骨格の作り方とメッシュへの関連付け、骨格でメッシュの形を変える方法を学びました。これらはすべて簡単でしたが、それ以上のことができます。この章ではその行程をもう少し細かく見ていきましょう。
このウインドウは4つに別れています。これらはこの骨の4つの 自由度 です。骨が動いたり変化したりする方向1つが1自由度です。
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